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セクション一覧
3【対処すべき課題】
(1)当社の現状の認識について
 今後の経済見通しにつきましては、引き続き企業収益、設備投資、個人消費など多くの経済指標で伸びが予想されるものの、米国経済の減速による景気腰折れ懸念もあり、一部に不透明感が残る状況となっています。
 建設業界では、民間企業の設備投資は堅調に推移している一方で、公共投資は低調に推移しており、その結果、地域間において業績の格差が拡大するなどの影響が生じてきています。
 空調計装業界におきましては、新設工事においては民間設備投資の増加に伴い、受注件数減少は底打ちしたものの、当該分野は特に景気動向に左右されることから、今後については予断を許さない状況です。
 一方、建築物の維持、補修、更新からなる既設工事では、京都議定書発効及びそれに伴う省エネルギー規制強化の動きが継続しており、省エネルギー化のニーズを中心に、引き続き堅調な伸びが予想されています。
 このような状況におきまして当社は、「I can…『計装』の可能性を追求します」という将来ビジョン、企業のあるべき姿として定めた「『計装』のブランド企業となる」という二つの究極的な目標の達成を目指し、全社一丸となって取り組む所存であります。
(2)当面の対処すべき課題の内容
 このような状況を踏まえ、当社では次の事項を対処すべき課題として認識しております。
 ①空調計装関連事業/既設工事の質的向上を通じての事業拡大
  ②空調計装関連事業/新設工事における収益モデルの確立
  ③産業計装関連事業の拡大
  ④事業領域の拡大
      ⑤スピード重視の経営
  これらの課題の解決を図るべく当社では下記の基本方針を盛り込んだ事業計画を策定いたしました。
  ①収益重視の構造改革とその実現
空調計装関連事業新設部門、同既設部門、産業計装関連事業の各事業において、より収益率を重視した   事業活動を展開し、安定的な利益成長が可能となる企業になることを目指してまいります。
②お客様志向への意識改革
ソリューションビジネス拡大のために必要不可欠な、お客様志向の考え方を従来以上に徹底してまいります。 
③データ重視の事業戦略 
戦略的情報システムを活用した、効率的かつ機動的な事業展開を行ってまいります。
④事業領域拡大の継続
常に新しい事業の芽が育つような社風の確立を目指してまいります。
⑤ビジョン実現のための人財育成・確保
時代の変化やお客様ニーズに即応できる社員の教育及び即戦力の人財確保に注力してまいります。
4【事業等のリスク】
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)建設工事の安全衛生・品質管理について  
 当社は、主にオフィスビル、商業ビル等の建築現場で工事の施工及び管理を行っております。
 施工作業に関しましては「施工業務標準」等に則って行うよう安全・技術管理室が指導を徹底しており、また安全パトロールを実施する等工事の安全衛生や品質の管理の充実を図るとともに賠償責任保険に加入する等、万全を期しておりますが、事業の特性から人的、物的事故や労働災害、竣工後のクレームに伴う多額の補修費の負担請求が発生する可能性があり、また、これに伴う相応の損害賠償義務を負う可能性があります。
 このため、当社が加入する賠償責任保険により填補される金額を上回る賠償請求義務を負うこととなった場合、直接的には多額のコストが発生し、また間接的には当社に対するお客様の品質評価に重大な影響を与え、業績及び財政状況に影響が出る可能性があります。
(2)フィールドサービス事業の品質管理について 
 当社は既設市場において、フィールドサービス(メンテナンス)を行っておりますが、作業現場は工場、病院、ショッピングセンター、研究所等多岐に亘ることで、作業現場に応じた広範な保守・点検技術を必要とします。
 作業に関しましては「メンテナンス業務標準」に則って行うよう安全・技術管理室が指導を徹底しており、また賠償責任保険に加入する等十分に配慮しておりますが、サービスの瑕疵等により不測の事故等が発生した場合は多額の補修費の負担請求が発生し、またこれ以外にも相応の損害賠償義務を負う可能性があります。
 このため、当社が加入する賠償責任保険により填補される金額を上回る賠償請求義務を負うこととなった場合、直接的には多額のコストが発生し、また間接的には当社に対するお客様の品質評価に重大な影響を与え、業績及び財政状況に影響が出る可能性があります。
(3)特定の仕入先への依存度が高いことについて
 当社は、㈱山武と空調自動制御機器等の仕入れに関する特約店契約を結んでおります。
 この契約に基づく取引は、当社創業時(昭和34年)以来、長年に亘り継続して行われてまいりましたことから、㈱山武とは深い信頼関係があり継続性について問題は無いと思われますが、この仕入れが滞る事態となった場合は、当社業績に多大な影響を及ぼすこととなります。
 ㈱山武に対する仕入高が当社総仕入高に占める割合は次のとおりであり、高い依存度となっております。
項目
前事業年度
(自 平成17年4月1日
  至 平成18年3月31日)
当事業年度
(自 平成18年4月1日
  至 平成19年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
㈱山武
2,804,166
56.0
3,161,171
55.3
総仕入高 
5,008,194
100.0
5,711,471
100.0
(4)業績の下期偏重について 
 当社の完成工事計上時期は、事業年度末である3月に集中する傾向にありますので、当社の売上高は下半期に偏重しております。また、販売費及び一般管理費の上半期、下半期がほぼ50:50であることから、営業利益は著しく下半期へ偏重し、上半期は営業損失となる傾向にあります。
5【経営上の重要な契約等】
特約店契約
相手先
契約の内容
契約期間
 株式会社山武
 (ビルシステムカンパニー)
  同社より製品の提供を受け、これを販売すること
  並びに同社のソフトウェアを使用する契約。
 自 平成18年4月1日
 至 平成19年3月31日
株式会社山武 
 (アドバンスオートメーションカンパニー)
  同社より製品の提供を受け、これを販売すること
  並びに同社のソフトウェアを使用する契約。
 自 平成18年4月1日
 至 平成20年3月31日
 (注)契約期間は、株式会社山武 ビルシステムカンパニーについては平成19年4月1日から平成20年3月31日まで更新
       されています。
6【研究開発活動】
 当社は、将来ビジョンである「『計装』の可能性を追求します」の精神の下、本社技術本部を中心に、様々な研究開発活動を行っております。
 計装エンジニアリング会社である当社の性格上、研究開発の内容は、シーズや基礎研究というよりは、様々な計装技術の応用研究、基礎技術の汎用化研究などが中心となります。
 当事業年度における研究開発費は98百万円となりました。
 主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 
(1)マイクロガスタービンを用いたVOC処理システムの開発 
 ㈱トヨタタービンアンドシステム、藤森工業㈱、トヨタ自動車㈱と共同で、300kW級マイクロガスタービン  
(MGT)コージェネレーションシステムを応用したVOC※1処理システムを開発いたしました。
(2)データ分析ツールの開発
 前事業年度に引き続き、省エネルギーデータ解析ツールについて、既納入システムや他社製システムでも解析が可能となるように、表示形式や機能のブラッシュアップを行いました。
(3)Web対応監視システム用ツールソフトの開発
 自社製の簡易型中央監視システムについて、Web対応化しました。Web画面上でも本体と同様のユーザー向け機能を実現させました。
    (4)RF-ID利用技術の開発
 搬送システムや入退室管理システム等への応用を想定し、RF-ID※2を用いた識別技術の調査及び応用技術開発を行いました。
    (5)BAC-netゲートウェイ技術の確立
      市販のBAC-netデバイス及びソフトを利用したBAC-net※3(オープンネットワーク)システム構築の応用技術 
    開発を行いました。
 
   (6)無線センサーネットワーク構築技術調査
      従来の有線による計測システムが持ついくつかの制約を打破するために無線センサーネットワーク※4が考え
    られ始めたため、同ネットワーク構築の応用技術開発を行いました。
 
    ※1 VOC
      揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略。塗料溶剤、接着剤、インキ、洗浄剤などに含まれ  
    る。大気汚染防止法により、主要な排出施設に規制が設けられている。
    ※2 RF-ID
      Radio Frequency Identificationの略で、一般的には非接触型ID識別システムと呼ばれている。対象に組み
    込まれた微小な無線チップにより人やモノを識別・管理する仕組み。
    ※3 BAC-net
      米国の空調衛生学会で規格化された通信プロトコル規格。単一メーカー(シングルベンダー)によるクローズ
    ドシステムから複数メーカー(マルチベンダー)によるオープンシステムへの転換を可能にする。
       ※4 無線センサーネットワーク   
 無線で接続できる計測端末で構成されたネットワーク。固定のアクセスポイントを介さず他の端末を中継することで、より広い範囲の計測ができる。
7【財政状態及び経営成績の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
 (1)重要な会計方針及び見積り
 当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成に当たりまして、期末時点の資産・負債及び期中の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定が必要とされます。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の計上についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社は、次の重要な会計方針の適用における見積りや仮定は財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
①収益の認識 
 当社の完成工事高の計上は、工事完成基準によっております。完成工事高は、お客様からの注文書に基づいた請負金額によっており、また、計上時期は目的物の引き渡しが実質的に行われた時点としております。目的物の引き渡しが実質的に行われた時点の判断は、「竣工検査終了後、検査に基づく手直し工事及び試運転、調整が完了した時点」を原則としております。
②貸倒引当金 
 当社の債権のうち、損失の発生が合理的に予想される債権に対しては、貸倒引当金を計上しております。
 貸倒引当金の計上にあたっては、債務者からの債権回収状況、過去の貸倒実績率、債務者の財務内容及び担保価値等を総合的に判断した上で、債権の回収可能額を見積り、必要な貸倒引当金を計上しております。
なお、債務者の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
③投資の減損
 当社は、長期的な取引関係の維持のために、特定のお客様や金融機関等の取引先に対する少数持分を所有しております。これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれております。
 公開会社の株式については、期末時点で市場価格が取得価額に対して著しく下落している場合、非公開会社の株式については、投資先の純資産価額の当社持分が当社の帳簿価額に対して著しく下落している場合につき、将来の回復の可能性を検討し、評価損を計上することとしております。
④繰延税金資産
 当社は、財務諸表と税務上の資産・負債との間に生じる一時的な差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産・負債を計上しております。
 繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得と実現可能なタックス・プランニングを考慮して一時差異の解消に係るスケジューリングを行い、回収可能と判断される繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断には、実績情報とともに将来に関するあらゆる入手可能な情報が考慮されております。
 当社は、繰延税金資産の回収可能性の判断は合理的なものと考えておりますが、スケジューリング期間における課税所得の見積りの変動及びタックス・プランニングの変更等により、将来において繰延税金資産の増減が生じる可能性があり、将来の財務諸表に重要な影響を及ぼすことも考えられます。
⑤退職給付費用
 当社は、従業員の退職給付費用及び年金債務について、年金数理計算に使用される前提条件に基づいて算定しております。
 年金数理計算の前提には、割引率、退職率、死亡率及び昇給率、年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。これらの前提条件の決定にあたっては、金利変動等の市場動向を含め、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断し決定しております。
 当社は、これらの前提条件の決定は合理的に行われたと判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合は、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があり、将来の財務諸表に重要な影響を及ぼすことも考えられます。
 (2)当事業年度の経営成績の分析
①売上高
 売上高は、前事業年度に比べ1,976百万円増加し21,378百万円となりました。 
 空調計装関連事業における新設工事の完成工事高は、官公庁発注工事で落ち込んだものの、民間発注工事の大幅増により1,627百万円増加しました。既設工事におきましても官公庁発注工事の落ち込みを民間発注工事の増加で補い、完成工事高は543百万円増加しました。一方、制御機器類の販売については既設向けでは増加したものの、新設向けの落ち込みにより27百万円減少しました。
 産業計装関連事業における完成工事高は、当期の受注工事高が増加したものの、次期繰越工事高の増加により201百万円減少しました。一方、制御機器類の販売については堅調に推移し34百万円増加しました。
②売上総利益
 売上総利益は、前事業年度に比べ898百万円増加し5,545百万円となりました。
 空調計装関連事業においては新設、既設工事共に売上高の増加及び利益率の上昇により、前事業年度に比べ 881百万円増加しました。産業計装関連事業においては売上高の減少を利益率の上昇により補い、前事業年度に比べ16百万円増加しました。これにより売上総利益率については、全体で2.0ポイント上昇し25.9%となりました。
③販売費及び一般管理費 
 販売費及び一般管理費は、営業利益等の業績目標達成に伴い従業員給与手当、法定福利費が増加した他、役員賞与に関する会計基準の適用により役員賞与引当金繰入額を計上したこと等により前事業年度に比べ323百万円増加し4,455百万円となりました。
④営業利益
 営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増加により前事業年度に比べ575百万円増加し1,090百万円となりました。売上高営業利益率についても2.5ポイント上昇し5.1%となりました。
⑤営業外収益及び営業外費用、特別利益及び特別損失
 営業外収益及び営業外費用は、前事業年度の収益94百万円(純額)から92百万円の収益(純額)となりました。営業外収益で受取利息、投資事業組合運用益等が増加したものの、営業外費用で投資有価証券評価損、会員権評価損の計上等により収益(純額)の減少となりました。
 特別利益及び特別損失は、前事業年度の損失121百万円(純額)から22百万円の損失(純額)となりました。特別利益で投資有価証券売却益の増加、貸倒引当金戻入益の計上等により増加となり、特別損失で前事業年度で発生した退職給付制度改定損失が当事業年度は発生しなかったこと等により損失(純額)の減少となりました。
⑥税引前当期純利益
 税引前当期純利益は、前事業年度に比べ671百万円増加し1,159百万円となりました。
⑦法人税等
 法人税等は、税引前当期純利益が増加した他、繰延税金資産に対し評価性引当額を計上したこと等により前事業年度に比べ396百万円増加し586百万円となりました。
⑧当期純利益
 当期純利益は、前事業年度に比べ275百万円増加し573百万円となりました。これにより1株当たり当期純利益は、前事業年度の32.67円から69.98円に増加しております。
 (3)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フロー 
 営業活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度644百万円の支出に対して、当事業年度は1,476百万円の収入となりました。前事業年度においては、適格退職年金制度から確定拠出年金制度への一部移行に伴い、未償却過去勤務債務等に対する支払が発生しましたが、当事業年度においてはこれらの要因もなく、また、前事業年度に比べ税引前当期純利益の増加や法人税等の支払額が減少したこと等により収入が増加しました。
 投資活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度272百万円の収入に対して、当事業年度は633百万円の支出となりました。これは資金を安全かつ効率的に運用する基本方針のもと、前事業年度より投資有価証券の取得が増加となったほか、投資有価証券の売却・償還が減少したこと等によるものであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度より73百万円少ない73百万円の資金を使用しました。これは主に配当金の支払額が減少したことによるものであります。
②資金需要
 当社の運転資金需要のうち主なものは、各種工事のための原材料購入及び外注工事費の支払いのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは人件費であります。 
③財務政策
  当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金を充当しており借入金はございません。今後も引き続き、最適な資本構成や設備投資等のあり方について事業計画との整合性を図りながら検討してまいります。




出典: 日本電技株式会社、2007-03-31 期 有価証券報告書