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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 当連結会計年度のわが国経済は、年度前半におきましては、輸出や設備投資が鈍化するとともに生活必需品の値上げ等により個人消費が弱含むなど、徐々に景気の減速感が強まる状況で推移いたしましたが、9月以降につきましては、米国に端を発した金融危機と急激な景気後退が世界規模で波及し、投資、生産、消費などの経済活動が著しく停滞、縮小する極めて厳しい状況となりました。当業界におきましても、景気後退が鮮明となる中で消費者の低価格志向がなお一層強まり、事業を取り巻く環境は大変厳しい状況で推移いたしました。
 このような状況の下で当社グループは、当年を初年度とする中期経営計画(2008〜2010年度)において「収益力の強化」と「成長への基盤作り」を基本テーマとし、「コア事業の競争優位の確立」「成長分野へ積極展開」「経営品質の向上」の3つの基本戦略に沿って、新たな業績目標に向けスタートをきりましたが、昨年秋に東京工場において発生しました地下水の汚染問題により、消費者の皆様はもとより、お取引先様、株主・投資家の皆様をはじめ各方面に多大なご迷惑、ご心配をおかけすることとなりました。あらためて深くお詫び申し上げます。問題の発生以降、第三者による調査対策委員会や行政当局からの助言、指導を受けながら、原因の究明と危機管理体制における不備の是正並びにコンプライアンス徹底への取り組みを強化し、再発防止と信頼の回復、そして伊藤ハムブランドの復活に向けた努力を続けてまいりました。
 当連結会計年度の業績につきましては、上半期においては売上高、損益とも概ね順調に推移しておりましたが、下半期につきましては、地下水問題の影響によりハム・ソーセージ類を中心に売上高が大きく落ち込んだことや製品回収と東京工場の稼動停止に伴う多額の損失が発生したことから急速に損益状況が悪化いたしました。また、食肉につきましては、豪州における畜産事業の採算が依然厳しいことや夏以降の相場急落により鶏肉の販売環境が激変し、採算面で大変厳しい状況となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、ハム・ソーセージが前年同期比8.5%減、食肉が同5.0%減、調理加工食品ほかが同5.5%減と全ての部門で減少したことにより、全体として前年同期より308億2千2百万円減少して4,871億2千8百万円(前年同期比6.0%減)となりました。売上総利益につきましては、売上の大幅な減少に加えて、ハム・ソーセージの利益率が大きく悪化したことから、前年同期より126億5千8百万円減少し898億6千5百万円(前年同期比12.3%減)となりました。また、営業利益は、販売費及び一般管理費が売上の減少等に伴って40億8千5百万円減少したことにより、前年同期に比べ85億7千2百万円減少して24億6千5百万円の損失(前年同期は61億7百万円の利益)、経常利益は前年同期より77億4千4百万円減少して8億7千6百万円の損失(前年同期は68億6千7百万円の利益)となりました。
 特別損益では、製品自主回収関連費用並びに東京工場の稼動停止に伴う工場休止関連損失を特別損失に計上しました結果、税金等調整前当期純利益は前年同期より99億9千6百万円減少して45億8千4百万円の損失(前年同期は54億1千2百万円の利益)、当期純利益は、前年同期より106億9千万円減少して62億9千4百万円の純損失(前年同期は43億9千5百万円の純利益)となりました。
[事業部門別の概況]
 ハム・ソーセージ部門
 ハム・ソーセージ部門は、上半期は「アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」を柱とする主力商品の販売が好調に推移し、中元ギフトについても百貨店部門で大きく伸びたことから前年同期を上回る実績となりましたが、下半期につきましては、歳末商戦を控えた時期に地下水問題が発生し11月以降の売上高が大きく減少いたしました。特に歳暮ギフトにつきましては、大幅な落ち込みとなりました。そのような中で、主力商品の増量セールの実施や商品の安定供給のための対応を強化し、早期の売上回復に取り組みました。
 この結果、この部門の売上高は1,173億7千7百万円(前年同期比8.5%減)となりました。
 食肉部門
 マーケットが低価格志向に移行していく環境の下で、国産牛肉は、市場ニーズに合わせた値頃感のある交雑牛を中心に拡販し販売量を伸ばしましたが、高価な和牛の販売が伸び悩み販売単価も下落した結果、売上金額は減少いたしました。輸入牛肉では、オーストラリア自社生産商品について第三国への販売やオーストラリア国内販売を戦略的に強化し日本向け出荷量を絞った結果、販売量、売上金額ともに前年同期を大きく下回りました。豚肉につきましては、積極的な販売活動の結果、国内物、輸入物ともに堅調な売上推移となりました。また、鶏肉につきましては、下期以降に輸入鶏肉相場が暴落した影響を大きく受け販売量が減少いたしましたが、上半期における販売が好調だったことから通期では前年同期を上回る売上金額となりました。なお、海外子会社の売上高につきましては、為替相場変動の影響により円貨ベースの売上高が前年同期に比べ大幅に減少いたしました。
 この結果、この部門の売上高は2,637億1千8百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
 調理加工食品ほか部門
 調理加工食品部門は、「チキン商品」や「ハンバーグ類」が年間を通じて好調に推移いたしましたが、「焼き鳥」等の海外調理食品の販売不振が続くとともに、11月以降主力のチルドピザ「ラ・ピッツァ」の販売が落ち込んだ結果、この部門の売上高は720億8千万円(前年同期比4.2%減)となりました。
 また、その他部門は、乳製品や麺類の売上が好調に推移する一方、9月に医薬品関連子会社を売却し、医薬品事業から撤退した結果、この部門の売上高は339億5千1百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
 この結果、この部門全体の売上高は1,060億3千1百万円(前年同期比5.5%減)となりました。
 なお、当社グループは事業の種類別セグメント情報を記載していないため、事業部門別に区分しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ62億5千7百万円減少し、257億4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動により支出した資金は77億2千8百万円(前連結会計年度は132億2千1百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失に加え、非資金損益項目の減価償却費64億1千5百万円、売上債権の減少37億6千9百万円による増加要因があった一方で仕入債務の減少97億2千4百万円及びたな卸資産の増加5億5千7百万円による減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は34億7千7百万円(前連結会計年度は12億6千4百万円の支出)となりました。これは主に、既設工場の増強等有形固定資産の取得による支出68億2千2百万円に対し、子会社株式の売却等による収入15億6千6百万円並びに貸付金の純減少による収入16億3千5百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は56億1千5百万円(前連結会計年度は73億5千7百万円の支出)となりました。これは主に、第三者割当増資の株式の発行による収入120億2千5百万円に対し社債の償還による支出50億2千万円並びに配当金の支払いによる支出10億4千2百万円があったことによるものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
 当連結会計年度の生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別
当連結会計年度
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
前年同期比(%)
ハム・ソーセージ(百万円)
70,532
98.7
食肉(百万円)
101,289
94.8
調理加工食品ほか(百万円)
53,096
99.0
合計(百万円)
224,918
97.0
 (注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
 当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別
当連結会計年度
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
前年同期比(%)
ハム・ソーセージ(百万円)
117,377
91.5
食肉(百万円)
263,718
95.0
調理加工食品ほか(百万円)
106,031
94.5
合計(百万円)
487,128
94.0
 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3【対処すべき課題】
 東京工場の地下水問題で傷ついたブランドの復活と早急な信頼回復を図るため、コンプライアンス徹底への取り組みを一層強化いたします。
 今後の経営環境は、少子高齢化の進展による国内市場の縮小、食の安全に対する消費者意識の高まりなどに加え、米国の金融恐慌をきっかけとした未曾有の大不況により、消費行動が生活防衛型となるなど、厳しい状況が予想されます。このような環境下で「収益力の強化」「成長への基盤作り」を実現するため、業務提携を通じた優良企業とのコラボレーションを推進し、コア事業である「加工食品事業」と「食肉事業」を強化するとともに、シナジー効果の見込める成長分野や海外販売に積極的に取り組んでまいります。
[目標とする経営指標と中期的な経営戦略]
 当社グループは平成20年度から平成22年度までの3ヶ年グループ中期経営計画を策定いたしました。定量目標といたしましては平成22年度の連結売上高5,500億円、連結経常利益110億円、連結売上高経常利益率2%をグループ目標としております。また、「収益力の強化」「成長への基盤作り」を基本テーマとし、「コア事業の競争優位の確立」「成長分野への積極展開」「経営品質の向上」に取り組んでまいります。
<経営ビジョン>
 ・経営品質の高い会社を目指します。
 コンプライアンス(企業倫理の厳守)を経営の基本とし、コーポレートガバナンスを確実に実現することにより企業の永続性を図るとともに、地球環境に配慮し、社会に貢献できる企業を目指します。
 ・利益ある成長を続け、企業価値の最大化を図ります。
    食肉事業と食肉を中心とした加工食品事業を強化し、シナジー効果の見込める成長分野へ積極展開するとともに、海外市場での販路拡大を推進することにより新たなる成長を目指します。さらにローコスト経営を推進することで、外部環境に左右されない利益体質を確立いたします。
 ・チャレンジ精神の高揚と活力ある企業風土作りを目指します。
    機能的で効率的な組織により、ムダを省きスピードを重視する経営を行います。人材の育成、能力開発を促進するとともに、人事の流動化を図り、活力ある企業風土を醸成いたします。
 
<事業戦略>
・加工食品事業
   製販一体型組織への再編により加工食品事業の収益力・商品開発力・マーケティング力の強化を図り、コンシューマー商品におけるシェア№1を目指すとともに、業務用チャネルを強化いたします。チャネル別営業体制にエリア別の視点を加味した販売組織の再編により市場ニーズへの対応力を強化いたします。また、在庫を持たない営業拠点体制の推進及び事務処理集中化の推進によりコスト低減を図ります。製造部門では国内生産拠点の再構築、国内協力工場の活用及び東南アジアを中心としたグローバルな調達体制の構築によりコスト競争力を強化いたします。
 ・食肉事業
        国内事業では生産協力農場との連携により市場ニーズにあった国産牛・こだわり豚の販売を強化いたします。また、当社グループの食肉事業の中では牛・豚などの畜種に比べて供給力に劣る国産鶏事業の強化を図ります。
海外事業では海外自社ブランド牛のビジネスモデルを利益重視型へ再構築することにより収益の拡大を図ります。在庫量の適正化をさらに推進し、相場変動リスクをコントロールするとともに、キャッシュ・フローの創出及び物流コスト等の削減を図ります。
4【事業等のリスク】
 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況
 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める食肉や食肉加工製品等の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。顧客にとって当社グループ製品の購入をすることは、多くの場合必要不可欠なことであるとは言えません。同様に、当社グループの業務用製品の需要は、当社グループが製品を販売している様々な市場における経済状況の影響を受けます。
 従いまして、日本、オセアニア、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業は、原材料を輸入する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず競合他社でも、調達価格が下がる可能性があります。このような傾向により、輸入競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
 さらに、当社グループの販売先は多岐にわたっており、顧客の業績悪化により債権回収が困難になる場合や顧客の株式の下落による評価損もあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
(2)為替レートの変動
 当社グループは、米国、オセアニア及びヨーロッパ等の海外から外貨建ての輸入業務を行っており、これらの国の現地通貨に対する為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ、豪州ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)新製品開発力
 当社グループは、現在、食肉加工品と食肉などの既存製品による収入が、引き続き当社グループ収入のかなりの部分を占めておりますが、将来の成長は主に革新的な新製品の開発と販売が必要であると想定しており、顧客のニーズ、シーズからの先進的な新製品の開発が重要な経営課題と認識しております。
 当社グループは、継続して斬新で魅力ある新製品の開発に向けて取り組んでおりますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤技術の急速な進歩と消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。
 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を維持向上出来ず、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
 食肉及び食肉加工品を含む食肉業界ならびに調理加工食品等の食品業界における競争はたいへん厳しいものとなっております。また、小売・外食等での販売競争も熾烈となっており、当社グループは、各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。
 当社グループは、安全・安心はもとより、高品質で高付加価値の製品を送り出すリーディングメーカーの一社であると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 高付加価値と低価格との二極化の中で、当社グループは、低コスト・低価格の競合先に対して市場シェアを維持もしくは拡大し、収益性を保つことができない可能性があります。
(5)市況変動
 BSE、鳥インフルエンザ及び口蹄疫等の獣疫の発生や輸入豚肉、輸入牛肉を対象としたセーフガード発動等により仕入数量の制限や仕入価格の上昇が考えられ、また需給バランスの崩れや消費者ニーズの変化等により販売価格に影響を及ぼす場合があります。従いまして、これらの事象は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
 当社グループの生産及び販売活動の一部は、豪州、アジア、米国ならびにヨーロッパ等の日本国外で行われております。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。
①予期しない法律または規制の変更
②不利な政治または経済要因
③人材の採用と確保の難しさ
④潜在的に不利な税影響
⑤テロ、戦争、伝染病等の要因による社会的混乱
 当社グループは、競争力のある製品の製造と原料肉の調達とコスト削減のために、海外における生産及び原料と食肉の調達の規模拡大を続けてまいりました。しかし、それぞれの国における政治または法環境の変化、天候不順、飼料価格の高騰、経済状況の変化など、予期せぬ事象により生産設備の管理やその他の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。従いまして、これらの事象は業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)キーパーソンの確保や育成
 当社グループの将来の成長と成功は有能な研究者・技術者やキーパーソンに大きく依存するため、開発技術の高い研究者・技術者やその他のキーパーソンの新たな確保と育成は当社グループの成功には重要であり、キーパーソンを確保または育成できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
 一方、最新技術の経験を持つ有能な研究者や技術者の採用は、採用コストと人件費を時には大きく押し上げる可能性があります。また、従業員の継続的な再研修はコストの増加を伴う可能性がありますが、技術革新と業績の向上を維持するために必要となる可能性があります。特に当社グループ固有の技術の伝承においては、計画的で継続的な取り組みが必要となり、コストの増加を伴う可能性があります。また、技術の伝承ができないことによる技術力の低下が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのコストの増加は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産保護の限界
 当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。
 また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発したり、当社グループの特許や企業秘密の模倣を防止できない可能性があります。さらに、当社グループの将来の製品または技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。
(9)製品の欠陥
 当社グループは、世界中の工場と肥育場で、世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品の製造や牛・豚の肥育をしております。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
 さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(10)他社との提携等の成否
 当社グループは、技術開発の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために、コラボレーション、技術提携や合弁の形で多くの他社と共同での活動を行っております。
 当社グループは、引き続きこのような機会を前向きに活用する予定であります。しかし、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、効果的な開発による結果を享受できず、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(11)公的規制
 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税や獣疫等によるその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。
 また、通商、独占禁止、食品衛生、下請、特許、消費者、租税、証券取引、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。
 また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)災害や停電等による影響
 当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。
 例えば当社グループの主力製品は、現在千葉県柏市、兵庫県西宮市、愛知県豊橋市、佐賀県基山町等で製造しており、該当地域での大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。
(13)退職給付債務
 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)食品の安全性 
 食品の安全性がますます強く求められる中、当社グループでは、国際的に認められている管理基準を取得し、品質保証部による厳しい品質管理体制のもと製品の安全性と品質の確保に万全を期しております。
 しかしながら、当社グループにおいても、偶発的な事由によるものを含めて、異物混入や誤表示など、消費者に健康被害を及ぼす恐れのある製品事故が発生する可能性があるほか、当社グループの取り組みの範囲を超えた品質問題等が発生した場合や、その対応に遅れ・誤りがあった場合には、当社グループの評価が低下し、売上高の減少や多額のコスト発生などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
 特記すべき事項はありません。
6【研究開発活動】
 当社グループの研究開発につきましては、基礎研究を中央研究所が行い、全社的な商品開発は加工食品事業本部及び食肉事業本部の開発部門が中心となり、マーケティング部門と連携を取りながら新商品の企画立案、商品化を推進しております。
 基礎研究の分野では、「生産コア技術の強化」「食の安心・安全性の追求」「食を通したヒトの健康への寄与」を三本柱に研究を進めております。特定保健用食品に代表される機能性食品の研究開発では、美味しさの素である脂肪量を減らすのではなく、脂肪吸収を阻害することによって体脂肪の付きにくいハム・ソーセージの開発を行っております。
 商品開発の分野では、コア事業にたち返り、お客様に「安全で安心」な商品を提供し、『食育』を基本テーマに「おいしくて健康な食生活」に貢献するとともに、「食べることの楽しさ」の提案を進めております。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、654百万円であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(1)財政状態の分析
(流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は1,174億6千2百万円(前連結会計年度末は1,324億8千万円)となり、150億1千8百万円減少いたしました。これは主に当期純損益が損失であったことに伴う現金及び預金61億8千4百万円の減少と、売上高減少の影響等による受取手形及び売掛金51億2千2百万円の減少及び製品在庫等のたな卸資産37億3千7百万円の減少があったことによるものであります。
(固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は924億2千2百万円(前連結会計年度末は1,011億8千5百万円)となり、87億6千3百万円減少いたしました。これは主に有形及び無形固定資産において工場設備の増強等により81億9千5百万円増加したものの、減価償却費64億1千5百万円の減少と子会社及び営業拠点の売却・除却等による減少が14億4千5百万円あったことに加えて、保有する株式の価格下落等による投資有価証券53億7百万円と長期貸付金9億4千4百万円の減少があったことによるものであります。
(流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は605億5百万円(前連結会計年度末は811億3千2百万円)となり、206億2千6百万円減少いたしました。これは主に仕入高減少に伴う支払手形及び買掛金102億4千7百万円の減少と、一年以内に償還予定の社債50億円及び短期借入金23億7千6百万円減少したことに加えて、当社において税金等調整前当期純損益が損失であったこと等による未払法人税等10億4千6百万円の減少があったことによるものであります。
(固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は319億4千2百万円(前連結会計年度末は339億7千8百万円)となり、20億3千5百万円減少いたしました。これは主に長期リース債務計上に伴うリース債務5億1千2百万円が増加したものの、保有株式価格の下落による投資有価証券評価差額金減少に伴う繰延税金負債17億7千1百万円の減少と長期借入金の返済期限が1年内に到達したこと等による長期借入金10億9百万円の減少があったことによるものであります。
(純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は1,174億3千6百万円(前連結会計年度末は1,185億5千5百万円)となり、11億1千9百万円減少いたしました。これは主に新株発行による資本金及び資本剰余金120億2千5百万円の増加があったものの、当期純損失計上及び剰余金の配当に伴う利益剰余金73億3千6百万円の減少に加えて、保有株式価格の下落等によるその他有価証券評価差額金25億8千1百万円と為替相場変動による為替換算調整勘定30億7千3百万円の減少があったことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの分析
(キャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より209億4千9百万円多い77億2千8百万円の資金を使用いたしました。これは主に当期純損失を計上したことと仕入債務の減少額が前連結会計年度に比べて増加したことに加えて、たな卸資産が減少したことによるものであります。
 投資活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より22億1千3百万円多い34億7千7百万円の資金を使用いたしました。これは主に子会社株式の売却による収入を計上したものの、有形固定資産の取得による支出の増加と投資有価証券の売却による収入が減少したことによるものであります。
 財務活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より129億7千2百万円多い56億1千5百万円の資金を得ました。これは長期借入金による収入の減少及び社債の償還による支出の増加に対し、株式発行と長期借入金の返済による支出が減少したことによるものであります。配当金の支払いには前連結会計年度より2億7百万円多い10億4千2百万円を使用しております。
 これら活動の結果及び為替レートの変動が海外子会社の現金及び現金同等物の円換算額に与えた影響により、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度より62億5千7百万円減少し、257億4百万円となりました。
(キャッシュ・フローの指標)
 
平成19年3月期
平成20年3月期
平成21年3月期
自己資本比率(%)(注)1
48.2
50.5
55.7
時価ベース自己資本比率(%)(注)2
45.9
52.3
33.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)(注)3
2.7
3.2
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)(注)4
17.5
12.9
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
*キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)経営成績の分析
 当連結会計年度における売上高は4,871億2千8百万円(前年同期比6.0%減)、売上原価は3,972億6千2百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
 販売費及び一般管理費は主に給料・手当及び賞与金等の人件費が減少したことに加えて、広告宣伝費及び販売手数料が減少したことにより、923億3千万円(前年同期比4.2%減)となりました。
 営業損益は主に地下水問題の影響に伴う売上減少とハム・ソーセージ部門の利益率悪化等により、前連結会計年度の61億7百万円の利益から24億6千5百万円の損失となりました。
 営業外収益(費用)は前連結会計年度の7億6千万円(純額)の利益から15億8千8百万円(純額)の利益となりました。これは主に持分法による投資利益が増加したことに加え、海外子会社の支払利息が減少したことによるものであります。
 特別利益(損失)は前連結会計年度の14億5千5百万円(純額)の損失から37億7百万円(純額)の損失となりました。これは主に製品自主回収関連費用並びに東京工場の稼動停止に伴う工場休止関連損失によるものであります。
 これらの結果、当期純損益は前連結会計年度より106億9千万円減少の62億9千4百万円の損失となりました。1株当たりの当期純損益は前連結会計年度の21.10円の利益に対し30.01円の損失となりました。
 なお、事業部門別の分析等は第2[事業の状況]1[業績等の概要](1)業績項目をご参照ください。




出典: 伊藤ハム株式会社、2009-03-31 期 有価証券報告書