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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度のわが国経済は、アジア諸国を中心とする新興国向け輸出の増加や政府の経済対策等により全体としては緩やかな回復軌道を辿りましたが、雇用・所得環境の回復の遅れなどから個人消費は依然として伸び悩んでおり、円高の進行や資源価格上昇といった懸念材料も多く、景気の自律的回復が見通せない不透明な状況で推移いたしました。当業界におきましても、お客様のニーズをしっかり掴んだ商品は高価格でも売れ始めている反面、デフレ経済の下で消費者の節約意識・低価格志向は根強く、販売価格が下落基調で推移する中で企業間競争がますます激化する厳しい事業環境が続いております。また、3月に発生した東日本大震災は、東北・関東地方を中心に甚大な被害をもたらし、サプライチェーンの寸断や消費マインドの悪化、さらには原発事故による不安や電力不足への対応など、国内の経済活動は深刻な影響を受ける状況となっております。

このような状況の下、当社グループは、“アジアの中で最も信頼される食肉加工メーカーになる”という経営ビジョンのもと、「コンプライアンス体制のさらなる充実」、「お客様目線での商品開発を伴うマーケティング力の強化」、「国内外の生産基地配置の見直しを含む構造改革の推進」、「人材の育成」を基本方針に掲げ、さらなるブランド力の強化とコスト競争力の強化に向けて取り組んでまいりました。また、今年1月には、今後5年間の経営指針となる次期中期経営計画を策定し、新たな目標に向かって構造改革と成長戦略への取り組みを加速させることを発表すると同時に、人事制度改革と生産拠点再編等の一部施策については、当期中において具体的内容を決定し、実行段階に移しております。なお、東日本大震災による当社グループへの影響につきましては、東北、関東地区の事業拠点が被災し一時的に稼動を停止するとともに、たな卸資産の廃棄損失や生産設備の修復に係る費用等が発生しましたが、一部を除いて4月上旬にはほぼ被災前の稼働状況に回復しております。

当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、食肉事業本部において鶏肉の販売が好調だったことなどから、前年同期に比べて35億3千5百万円増加して4,559億8千9百万円(前年同期比0.8%増)となりました。また、利益につきましては、厳しい販売環境の中で加工品の利益率が悪化する一方、販売費及び一般管理費の削減に取り組んだ結果、営業利益は前年同期に比べて3億9千1百万円増加して24億8千1百万円(前年同期比18.7%増)、経常利益は5億3千4百万円増加して38億2千5百万円(前年同期比16.2%増)となりました。当期純利益につきましては、構造改革の実行等に伴って特別損失が膨らみましたが、遊休土地の売却益35億8千1百万円及び繰延税金資産の計上による法人税等調整額36億7千9百万円を計上した結果、前年同期に比べて8億1千3百万円減少して4億7千8百万円(前年同期比63.0%減)となりました。なお、特別損失の主なものは、生産拠点等における固定資産の減損損失38億6千3百万円、希望退職による特別退職金30億8千2百万円、東日本大震災に伴う災害損失11億4千8百万円、豪州の肉牛肥育事業撤退等による事業整理損失8億1千3百万円並びに過年度に係る資産除去費5億3千5百万円であります。

 

〔セグメント別の概況〕

(加工食品事業本部)

ハム・ソーセージにつきましては、主力商品である「アルトバイエルン」「朝のフレッシュシリーズ」にキャンペーンやテレビコマーシャルの投入など積極的な販売促進に取り組みました。また巣籠もり消費・内食回帰の流れの中で、本物志向の「ベルガヴルスト」を投入し売上拡大に努めました。ギフトにつきましては、市場がシュリンクしていく中、主力ブランドである「伝承シリーズ」の拡販に努め、中元ギフトは数量の拡大により前年同期実績を大きく上回り、通期でも前年同期を上回ることができました。ハム・ソーセージ全体としては、販売価格の下落による影響はあるものの、前年同期に比べて売上高は増加いたしました。

 調理加工食品につきましては、主力商品であるチルドピザ「ラ・ピッツアシリーズ」が新商品投入やキャンペーン、イメージキャラクターの設定効果等により大きく売上を伸ばしました。チキン商品につきましても復刻発売した「チキンフィレ」が好調に推移した結果、前年同期を上回る実績となりましたが、一方で近年の市場環境の変化による百貨店からの撤退の影響を受け、調理加工食品全体としては前年同期に比べて売上高が減少いたしました。

その他商品は「乳製品群」「めん群」が好調に推移し、前年同期に比べて売上高は増加いたしました。

 この結果、加工食品事業本部の外部顧客に対する売上高は、2,395億2百万円(前年同期比0.0%減)、営業利益は53億1千5百万円(前年同期比0.3%増)となりました。 

(食肉事業本部)

国内の牛肉・豚肉につきましては、宮崎県で発生した口蹄疫による影響は軽微でしたが、国産牛肉は高価格帯部位の需要が低迷し、国産豚肉は猛暑により産肉量が低下し販売量が落ち込む厳しい状況となりました。輸入牛肉はロックデール事業を売却したことにより海外売上が減少いたしましたが、競争力のある調達が可能となるなど収益構造の改善が進みました。輸入豚肉は、国内販売を取巻く環境は価格競争などにより利益面で厳しい状況にありましたが、取扱量の拡大に重点を置き販売を伸ばしました。鶏肉につきましては、猛暑と鳥インフルエンザの影響から一時供給が不足する状況となりましたが、新規顧客の開拓に積極的に取り組んだことなどから、売上・利益ともに大幅に伸びました。 

この結果、食肉事業本部の外部顧客に対する売上高は、2,158億1千万円(前年同期比1.7%増)、営業利益は21億7千3百万円(前年同期比26.1%増)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ52億8千3百万円減少し、347億6百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、76億3千5百万円(前連結会計年度は210億円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失18億8千6百万円を計上したものの、減価償却費62億4千7百万円及び仕入債務の増加31億7千3百万円の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、1億1千8百万円(前連結会計年度は38億6千4百万円の支出)となりました。これは既設工場の設備更新など固定資産の取得により65億4千4百万円、貸付金の純増加により4億6千3百万円の支出があった一方で、不動産等有形固定資産の売却により60億3千7百万円、投資有価証券の売却により11億円の収入があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、127億6百万円(前連結会計年度は30億6千1百万円の支出)となりました。これは主に、借入金の純減少により101億9千1百万円、自己株式の取得13億5千万円及び配当金の支払いにより7億3千5百万円の支出があったことによるものであります。 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業本部(百万円)

120,797

102.7

食肉事業本部(百万円)

89,348

94.4

  報告セグメント計(百万円)

210,145

99.0

その他(百万円)

2,465

99.9

合計(百万円)

212,611

99.0

 (注)1.金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日)

前年同期比(%)

加工食品事業本部(百万円)

239,502

100.0

食肉事業本部(百万円)

215,810

101.7

  報告セグメント計(百万円) 

455,313

100.8

その他(百万円)

676

109.1

合計(百万円)

455,989

100.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺処理しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 日本市場は更に少子高齢化が進み、世界のどの国も経験したことがない、成熟した超高齢化社会を迎えつつあります。そのような環境の中では、新しい価値ある商品やサービスをお客様や社会に提案、提供できる企業にのみ大きく飛躍するチャンスも与えられます。当然、当社グループに求められる商品やサービスも従来のものとは大きく変わると考えております。現在の国内外での厳しい競争に打ち勝ち、今後ともナショナルブランドメーカーとして持続的な成長を続けるために、商品力の強化や構造改革によるコスト競争力強化を含む新中期経営計画の確実な達成に向けて取り組んでまいります。また、タイでの合弁事業も軌道に乗りつつありますが、成長を続ける中国や東南アジア市場における更なる事業強化も必要だと考えております。

 なお、東日本大震災の発生以降、当社グループは関係省庁及び各自治体の災害対策本部と連携しながら、被災された方々へ支援物資をお届けする支援活動や義援金の拠出など、グループ企業及び従業員をあげて行ってまいりました。今後もできうる限りの復興支援を続けてまいります。また、この夏予定されています節電につきましても万全の対応を行ってまいります。

[目標とする経営指標と中期的な経営戦略]

 当社グループは平成23年度から平成27年度までの5ヵ年のグループ中期経営計画(CNV2015)を策定いたしました。定量目標といたしましては平成27年度の連結売上高5,300億円、連結経常利益160億円、連結売上高経常利益率3%をグループ目標としております。

 5ヵ年グループ中期経営計画は「構造改革」と「成長戦略」の2つの基本戦略から構成されております。抜本的な構造改革によりコスト競争力を強化し、その上で成長戦略に取組んでまいります。 

<経営ビジョン>

 ・アジアの中で最も信頼される食肉加工メーカーになる

<中期経営方針>

 ・コンプライアンス体制のさらなる充実

   あらゆる企業活動の大前提はコンプライアンスであるとの考えのもと、引き続き体制の充実を図ってま   いります。同時にコーポレート・ガバナンス強化の観点から、業務執行に対する監督機能の一層の強化を

  図るとともに、経営の透明性をより高めることを目的として、社外取締役の導入を予定しております。

 ・人材の育成

     従来からの社内外研修を更に充実させると同時に中長期的な視点に立ち、次世代リーダーを計画的に育成するためのグループ・部門を超えたローテーションの制度を構築いたします。さらに製造技術、食品衛生知識、生産管理手法などの教育と実地訓練を目的とした「生産技術センター」を設立し、製造技術及び知識の伝承とレベルアップを図ります。

 ・営業力・生産力をはじめとする現場力の強化

 現場こそがメーカーにとって価値を生み出すところであります。それぞれの現場に熟練のプロがいて、 圧倒的な生産性と競争力を持ち、同時に仕組みや組織を目的に合わせ自発的に改善、改革していく、そのような現場の力を強化してまいります。

 ・お客様目線での商品開発を伴うマーケティング力の強化

 市場の変化、お客様の変化を半歩でも先取りし需要を創造する、すなわち新しい価値を創造することがこれからのメーカーにとり最も重要な課題になります。本年度以降さらに商品開発・マーケティング部門に有能な人材を投入し、コンシュマー商品に加えて、業務用商品の開発力、マーケティング力も強化してまいります。

 ・コスト競争力の強化

 組織及び関連会社の見直し、国内外の生産基地の見直し、人事制度改革などの抜本的な構造改革により無駄や贅肉を落とし、より強い筋肉質の企業体質を築き、厳しい経済環境の中でも成長をしつづけられる企業体質にしてまいります。    

<事業戦略>

・全社戦略

 中食・外食チャネルへの対応力強化による売上拡大を図るため、チャネル対応の組織に再編すると同時に、本部商談スタッフと商品開発要員の投入により機能強化を図ります。先ずは加工食品事業本部、食肉事業本部それぞれで販売力の強化を図り、将来的には両事業本部から切り離し、独立したチャネル対応組織への再編を予定しております。 

・加工食品事業

    収益性の低い商品の見直しを行います。また加工食品事業本部の取扱いアイテム数を約4割削減し、生産・物流・販売の生産性を高めます。新商品構成比率のアップによる収益性向上を図るため、マーケティング機能と商品開発要員の増強により商品開発力を強化いたします。

 ・食肉事業

    食肉バリューチェーンの創造と拡大を図るため、バリューチェーンの川上となる国内外の畜産事業を拡大し安定的な供給力を確保し販売の拡大を図ります。また、グループ会社の食肉一次加工機能を高め、お客様のニーズを生み出すような商品の開発力を強化することにより、中食・外食企業や小売業などのより消費者に近いお得意先様へ販売するビジネスモデルを強化し収益性の向上を図ります。

 ・海外事業

 将来を見据え、成長著しいアジア市場での販売拡大を図るため、中国市場で日系メーカーとして優位性のある高付加価値商品を投入することにより伊藤ハムブランドの浸透を図ります。また、ASEAN諸国のハブとなるタイでの高級ハム・ソーセージ市場への取り組みを強化します。FTA、TPP等によるグローバル化、ボーダーレス化の進展を見据え、海外拠点を充実させて日本向け生産も拡大いたします。 

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)市況変動リスク

 当社グループは食肉及び食肉加工食品を中心に扱っており、販売用食肉、ハム・ソーセージ、調理加工食品などの原材料となる畜産物の日本国内及び海外の相場変動によるリスクを受けます。

 特に、BSE、鳥インフルエンザ及び口蹄疫等の獣疫の発生や輸入豚肉、輸入牛肉を対象としたセーフガード発動等により仕入数量の制限や仕入価格の上昇が考えられ、また需給バランスの崩れや消費者ニーズの変化等により販売価格が下がるリスクがあります。

 さらに、食肉を供給する生産飼育事業においては、畜産物相場に加え飼料価格の変動も受けます。また、包装資材などの調達費や運送費等は原油価格等の変動の影響を受けます。従いまして、これらの事象は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替レートの変動

 当社グループは、海外から外貨建ての輸入業務を行っており、これらの国の現地通貨に対する為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な通貨変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)価格競争

 食肉及び食肉加工品を含む食肉業界ならびに調理加工食品等の食品業界における競争はたいへん厳しいものとなっております。また、小売・外食等での販売競争も熾烈となっており、当社グループは、各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。

 当社グループは、安全・安心はもとより、高品質で高付加価値の製品を送り出すリーディングメーカーの一社であると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 高付加価値と低価格との二極化の中で、当社グループは、低コスト・低価格の競合先に対して市場シェアを維持もしくは拡大し、収益性を保つことができない可能性があります。

(4)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの生産及び販売活動の一部は、豪州、アジア、米国ならびにヨーロッパ等の日本国外で行われております。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。

①予期しない法律または規制の変更

②不利な政治または経済要因

③人材の採用と確保の難しさ

④潜在的に不利な税影響

⑤テロ、戦争、伝染病等の要因による社会的混乱

 当社グループは、競争力のある製品の製造と原料肉の調達とコスト削減のために、海外における生産及び原料と食肉の調達の規模拡大を続けてまいりました。しかし、それぞれの国における政治または法環境の変化、天候不順、飼料価格の高騰、経済状況の変化など、予期せぬ事象により生産設備の管理やその他の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。従いまして、これらの事象は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)知的財産保護の限界

 当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。

 また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発したり、当社グループの特許や企業秘密の模倣を防止できない可能性があります。さらに、当社グループの将来の製品または技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。

(6)製品の欠陥

 当社グループは、世界中の工場と肥育場で、世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品の製造や牛・豚の肥育をしております。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

 さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(7)他社との提携等の成否

 当社グループは、技術開発の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために、コラボレーション、技術提携や合弁の形で多くの他社と共同での活動を行っております。

 当社グループは、引き続きこのような機会を前向きに活用する予定であります。しかし、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、効果的な開発による結果を享受できず、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(8)公的規制

 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税や獣疫等によるその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。

 また、通商、独占禁止、食品衛生、下請、特許、消費者、租税、証券取引、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。

 また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9)災害や停電等による影響

 当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。

 例えば当社グループの主力製品は、現在千葉県柏市、兵庫県西宮市、愛知県豊橋市、佐賀県基山町等で製造しており、該当地域での大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。

(10)退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)食品の安全性 

 食品の安全性がますます強く求められる中、当社グループでは、国際的に認められている管理基準を取得し、品質保証部による厳しい品質管理体制のもと製品の安全性と品質の確保に万全を期しております。
 しかしながら、当社グループにおいても、偶発的な事由によるものを含めて、異物混入や誤表示など、消費者に健康被害を及ぼす恐れのある製品事故が発生する可能性があるほか、当社グループの取り組みの範囲を超えた品質問題等が発生した場合や、その対応に遅れ・誤りがあった場合には、当社グループの評価が低下し、売上高の減少や多額のコスト発生などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発につきましては、基礎研究を中央研究所が行い、全社的な商品開発は加工食品事業本部の開発部門が中心となり、マーケティング部門と連携を取りながら新商品の企画立案、商品化を推進しております。

 基礎研究の分野では、独自の技術を使用し加工適正が低い鶏肉に弾力性や保水・結着性を付与し、低カロリーで添加物の少ない健康志向型の商品を開発いたしました。これによりカロリーオフ商品「モアファインシリーズ」の発売が実現いたしました。また、食品の安全性に関する分析検査体制や官能評価検査体制の拡充も順調に進んでおり、新商品の設計やお客様へのご提案にも有意義に活用しております。

 商品開発の分野では、お客様目線に立った商品をタイムリーに市場に提案できるよう心掛け、価値訴求型及び価格訴求型の双方に対応すべく技術力の更なる向上を進めております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、9億1千2百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。

(1)財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は1,197億7千7百万円(前連結会計年度末は1,236億9千4百万円)となり39億1千7百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金資産14億2千4百万円の増加と売上高増加の影響等による受取手形及び売掛金7億6千2百万円が増加したものの、現金及び預金52億8千3百万円の減少及び原材料等のたな卸資産8億1千4百万円の減少があったことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は847億7千9百万円(前連結会計年度末は937億6千2百万円)となり、89億8千3百万円減少いたしました。これは主に、有形及び無形固定資産において工場設備の増強及び工場用地の取得等により69億6百万円増加したものの、減価償却費62億4千7百万円の減少と海外子会社の資産売却・除却等により32億1千万円及び減損損失38億6千3百万円があったことに加えて、保有する株式の価格下落等による投資有価証券24億7千9百万円の減少があったことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は618億2千8百万円(前連結会計年度末は734億7千7百万円)となり、116億4千8百万円減少いたしました。これは主に仕入高増加に伴う支払手形及び買掛金31億3千6百万円が増加したものの、一年以内に返済予定の長期借入金93億9千万円と短期借入金55億6千万円の減少があったことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は259億9千9百万円(前連結会計年度末は241億2千4百万円)となり、18億7千5百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金資産計上に伴う繰延税金負債30億7千5百万円が減少したものの、シンジケートローン等による長期借入金46億4千1百万円の増加があったことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は1,167億2千9百万円(前連結会計年度末は1,198億5千5百万円)となり、31億2千6百万円減少いたしました。これは主に、自己株式取得に伴う自己株式13億2千7百万円と保有株式価格の下落等によるその他有価証券評価差額金11億1千5百万円の減少に加えて、為替相場の変動による為替換算調整勘定3億8千4百万円の減少があったことによるものであります。 

  

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度における売上高は4,559億8千9百万円(前年同期比0.8%増)、売上原価は3,639億3千4百万円(前年同期比1.4%増)となりました。

 販売費及び一般管理費は主に人件費及び広告宣伝費が減少したことにより、895億7千3百万円(前年同期比2.1%減)となりました。

 営業損益は主に加工品の利益率が悪化したものの、販売費及び一般管理費の削減の取り組み等により、前連結会計年度の20億9千万円の利益から24億8千1百万円の利益となりました。

 営業外収益(費用)は前連結会計年度の12億円(純額)の利益から13億4千3百万円(純額)の利益となりました。これは主に支払利息が減少したことによるものであります。

 特別利益(損失)は前連結会計年度の10億2千8百万円(純額)の損失から57億1千1百万円(純額)の損失となりました。これは主に、土地売却に伴う固定資産売却益があったものの、固定資産の減損損失や希望退職による特別退職金、震災に伴う災害損失及び海外事業の撤退等による事業整理損失を計上したことによるものであります。

 これらの結果、法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額、少数株主損益を差し引いた当期純損益は前連結会計年度より8億1千3百万円減少の4億7千8百万円の利益となりました。1株当たりの当期純損益は前連結会計年度の5.27円の利益に対し1.96円の利益となりました。

(3)キャッシュ・フローの分析

(キャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より133億6千5百万円少ない76億3千5百万円の資金を得ました。これは主に、税金等調整前当期純損失を計上したことと売上債権の増加に加えて、たな卸資産が増加したことによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より37億4千6百万円少ない1億1千8百万円の資金を使用しました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したものの、有形固定資産の売却による収入が増加したことによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローでは前連結会計年度より96億4千5百万円多い127億6百万円の資金を使用しました。これは主に短期借入金が純減少したことと、長期借入れによる収入の増加より返済による支出が増加したこと、及び自己株式取得による支出が増加したことによるものであります。配当金の支払には前連結会計年度とほぼ同額の7億3千5百万円を使用しております。

 これら活動の結果及び為替レートの変動が海外子会社の現金及び現金同等物の円換算額に与えた影響により、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度より52億8千3百万円減少し、347億6百万円となりました。

(キャッシュ・フローの指標)

 

平成21年3月期

平成22年3月期

平成23年3月期 

自己資本比率(%)(注)1

55.7

54.8

56.7

時価ベースの自己資本比率(%)(注)2

33.0

40.0

35.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)(注)3

1.6

3.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)(注)4

33.5

14.6

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

*各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

*株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

*キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

なお、セグメント別の分析等は「第2[事業の状況]1[業績等の概要](1)業績」項目をご参照ください。





出典: 伊藤ハム株式会社、2011-03-31 期 有価証券報告書