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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成28年5月1日から平成29年4月30日まで)における世界経済は、アメリカや中国等のアジア新興国の経済の先行きや政策に関する不確実性、世界的な地政学リスクの影響を受けながらも、緩やかな回復基調で推移しました。

わが国の経済においては、政府の経済対策や金融政策の効果もあり、企業の輸出および雇用・所得環境の改善、外国人観光客の増加などを背景に個人消費が底堅く推移し、緩やかな回復基調が続いております。

飲料業界におきましては、消費者マインドに回復の兆しが見られるものの、各社の販売競争が激化する中で、経営環境は更に厳しさを増しております。

このような状況の中、当グループは経営理念であります「お客様第一主義」のもと、当グループを取り巻く全てのお客様に対し「お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか」を常に考え、グループ一丸となって積極的な事業活動を行ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,758億66百万円(前期比2.2%増)、営業利益217億74百万円(前期比26.3%増)、経常利益215億24百万円(前期比42.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益136億93百万円(前期比58.9%増)となりました。セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。

 

<リーフ・ドリンク関連事業>

国内においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、プレミアムティーバッグシリーズをはじめとして、パウダータイプのインスタント緑茶などの手軽にご賞味いただける簡便性商品が引き続きご好評をいただいております。また、「ティーテイスター資格」を保有する社員自ら、急須で入れたお茶の実演販売や試飲会などの活動を通して、高価格帯のパック茶販売を強化しております。これまで社内資格制度として運営してきた「ティーテイスター制度」は、平成29年3月24日に「伊藤園ティーテイスター社内検定」として、厚生労働省に認定されました。

飲料(ドリンク)製品につきましては、主力製品であります「お〜いお茶」においては、季節感豊かな食生活や、緑茶の新しい楽しみ方をご提案することで、国内茶系飲料No.1ブランドとしての価値向上を図りました。「お〜いお茶 緑茶」の製品パッケージに、春は「桜」、秋には「紅葉(もみじ)」をデザインして日本特有の季節感を演出し、「氷水出し」で日差しの強い夏の暑さを和らげ、「甘み」で至福のひと時を演出する「氷水出し京都宇治抹茶入りお〜いお茶」を発売するなど、緑茶の新しい楽しみ方をご提案しました。

また、当グループでは「茶産地育成事業」を推進しております。主に九州地区において、耕作放棄地を積極活用するとともに、生産性と環境保全を両立した大規模茶園経営のもと高品質で安定した原料調達を実現しております。この「茶産地育成事業」によって香りにこだわって育てられた「お〜いお茶専用茶葉」の使用量を増やし、急須で入れたお茶本来の香りとおいしさを追求するとともに、今後も更なるブランド価値向上を図ってまいります。

この「茶産地育成事業」等が評価され、ビジネス誌「フォーチュン」にて平成28年9月に「世界を変える企業50社」のうち、日本企業では最高位の18位に選ばれました。

日本茶・健康茶・中国茶飲料におきましては、ノンカフェイン茶系飲料No.1である「健康ミネラルむぎ茶」が、夏の暑さ対策はもちろんのこと、1年を通して、おいしくミネラルと水分補給ができる商品として、好調に推移しております。

コーヒー飲料におきましては、「TULLY'S COFFEE」ブランドシリーズが更に販売数量を伸ばすなど、ボトル缶コーヒー市場を牽引する存在として、引き続きご好評をいただいております。

販売活動を取り巻く厳しい経営環境において、前述の各種政策に加えて、小型容器を中心とした主力ブランド強化、更なる原価低減、費用対効果を意識した販売促進費の更なる管理強化、各エリア毎の業績管理強化を行い、引き続き収益性の改善に努めてまいります。

チチヤス㈱においては、広島県を中心とした乳類および発酵乳等の積極的な販売に加え、当社との共同開発によるブランドシナジーを拡大しております。また、ネオス㈱は、西日本に強い販売チャネルを持っており、当グループの自動販売機事業に関して、継続的に収益性を高める基盤づくりを行っております。

海外においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、「グローバルブランド」で展開する「MATCHA GREEN TEA」の販売により、米国、豪州、東南アジアを中心に積極的な海外展開を行ってまいりました。

飲料(ドリンク)製品につきましては、ITO EN(North America)INC. において、和食や抹茶の世界的ブームや健康志向の高まりを背景に、「お〜いお茶」などの無糖茶飲料が順調に売上を伸ばしております。また、米国を中心にコーヒー豆の栽培から販売までを行うDistant Lands Trading Company, Inc. においては、主要顧客であるフードサービスチェーンへの当グループ製品の販売など、引き続きシナジー効果を追求してまいります。

この結果、リーフ・ドリンク関連事業の売上高は4,396億98百万円(前期比1.8%増)となり、営業利益は190億93百万円(前期比28.1%増)となりました。

 

<飲食関連事業>

タリーズコーヒージャパン㈱におきましては、創業20周年記念コーヒー豆「タリーズ ブラジルファゼンダバウ ピーベリー レッドブルボン/イエローブルボン」や、抹茶系はじめドリンク類が好調なことに加え、パスタなどのデリカ類やサンドイッチ類につきましても、ご好評をいただいております。また、新規出店も順調に進み、総店舗数は671店舗になりました。

引き続き積極的な投資とあわせて既存店舗の改装などによる活性化を図り、店舗競争力を強化することで、スペシャルティコーヒーショップとしての更なるブランド強化を図ってまいります。

この結果、飲食関連事業の売上高は302億52百万円(前期比9.9%増)となり、営業利益は31億30百万円(前期比8.7%増)となりました。

 

<その他>

 Mason Distributors,Inc. におきましては、サプリメントの販売が好調に推移しておりますが、為替変動の影響を受けております。

この結果、売上高59億15百万円(前期比2.2%減)となり、営業利益は8億1百万円(前期比3.4%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、270億98百万円の収入(前期は300億85百万円の収入)となりました。主な要因といたしましては、増加要因として税金等調整前当期純利益207億23百万円、減価償却費124億69百万円、のれん償却額17億65百万円であるのに対し、減少要因として法人税等の支払額68億50百万円、たな卸資産の増加額28億16百万円であったことによるものです。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、82億43百万円の支出(前期は81億50百万円の支出)となりました。これは主に設備投資による支出82億94百万円があったことによるものです。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、80億12百万円の支出(前期は180億18百万円の支出)となりました。主な要因といたしましては、増加要因として長期借入による収入200億円、社債の発行による収入99億51百万円であるのに対し、減少要因としてファイナンス・リース債務の返済による支出103億61百万円、社債の償還による支出200億円、配当金の支払52億45百万円があったことによるものです。

 

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して109億42百万円増加し、642億2百万円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産の状況

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

 

 

(販売用製品)

61,717

0.5

(自社製品用原料)

14,653

△1.7

リーフ・ドリンク関連事業計

76,371

0.1

その他

 

 

(販売用製品)

1,555

△6.6

合計

77,926

△0.1

(注)1 販売用製品の金額は販売価格、自社製品用原料の金額は原価によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 上記生産実績には外部へ製造委託している仕入製品は含まれておりません。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)仕入の状況

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

211,104

2.4

飲食関連事業

10,053

4.6

その他

2,052

13.0

合計

223,210

2.5

(注)1 金額は仕入原価によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注の状況

 当グループは受注生産を行っておりません。

 

(4)販売の状況

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期比増減率(%)

リーフ・ドリンク関連事業

439,698

1.8

飲食関連事業

30,252

9.9

その他

5,915

△2.2

合計

475,866

2.2

(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。

2 上記販売実績につきましては、セグメント間取引を相殺消去しております。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 下記の文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年7月26日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当グループは創業以来、「お客様第一主義」の経営理念に基づき、全社員が「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」を考え、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」の製品開発の基本理念に基づき、お客様にお喜びいただける製品の開発と、お客様に密着したサービスに努めてまいりました。

 当グループの考える「お客様」とは、「消費者の皆様・株主の皆様・販売先の皆様・仕入先の皆様・金融機関の皆様・地域社会の皆様」であり、単に消費者の皆様にとどまらず、当グループと関わりを持たれるすべての方々を「お客様」と定義しております。

 全社員が「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」の精神を持ち、「お客様」にお喜びいただける最良のサービスをご提供することが、最良の経営につながるものと確信しております。

 今後も、当グループは「お客様第一主義」の経営理念に基づき、継続的に企業価値を高め、より一層株主価値を向上させる経営に努めてまいります。

 

 

 

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(2)目標とする経営指標

当グループは株主価値を向上させ、かつ効率的なグループ経営を推進するため、連結中長期の目標経営指標を以下の通り設定しております。

経営指標

平成29年4月期

実  績

平成30年4月期

見通し

中長期

目標値

売上高

4,758

億円

4,925

億円

6,000

億円

自己資本当期純利益率(ROE)

10.5

10.0

10.0%以上

総還元性向

43.5

37.4

40.0%以上

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当グループは、今後も引き続き「お客様第一主義」の経営理念のもと、長期ビジョンである「世界のティーカンパニー」を目指し、「お茶で、世界をつなぎ、笑顔を届ける。」をスローガンとして掲げ、伝統と最先端の技術により、時代に合わせた新しいお茶の楽しみ方を、提案しつづけてまいります。

 そのために、「茶畑から茶殻まで」の事業バリューチェーンを強化し、「お〜いお茶」と「ITO EN」のグローバル展開を推進してまいります。

 同時に、茶葉(リーフ)製品および飲料(ドリンク)製品を中心とした国内収益基盤の強化に取り組み、グループ全体としてブランド力の強化とシナジー(相乗効果)を創出してまいります。

 すべての「お客様」との接点をより一層強化し、一人ひとりが、いきいきと目標に挑戦し、今いる「世界」で、お客様へ笑顔を届ける「ITO EN WAY」を通じて、「共有価値創造(CSV)」を実現し、持続可能な成長を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

 当グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられるなか、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。

 

①ブランドの確立

1.製品開発

当社は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を基本理念に、全社員が「STILL NOW(お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか)」を考え、当社独自の提案制度であるVOICE制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取り入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発および既存製品の改良を行っております。今後もVOICE制度を積極的に活用し、お客様に喜んでいただける製品の開発および既存製品の改良に努めてまいります。

 

2.研究開発

研究開発におきましては、当社基本理念の内、特に「健康」、「安全」と「おいしい」に重点をおいて、基礎・応用研究を進めております。当社が提供する飲料が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、情報発信してまいります。さらに健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでいきます。また飲料の味や香りに関与する成分研究、物性に関する研究を進め、より香味に優れた製品開発に向けて、技術提案を行ってまいります。

 

3.ブランド強化政策

『伊藤園』という「総称ブランド」を軸に「お〜いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」「TULLY'S COFFEE」などの「個別ブランド」の強化を図ってまいります。また、「1日分の野菜」「充実野菜」「TEAs' TEA」などのブランドにおいても今後も積極的な販売促進を展開してまいります。

特に主力製品であります「お〜いお茶」につきましては、昭和60年の発売から続いている原料と製法にこだわり、無香料・無調味の自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した当社ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・玉露・ほうじ茶・玄米茶」など茶葉の特徴を取り入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、緑茶飲料のNo.1ブランドに甘んずることなく、清涼飲料のNo.1ブランドを目指し、より一層のブランド強化に努めてまいります。今後も品揃えを強化し、お客様にご満足いただける本物のおいしさを引き続きご提供してまいります。

 

②営業基盤の強化

1.ルートセールス

ルートセールスとは、「製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システム」のことであります。当社はこの販売システムを採用することにより、当社とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した営業活動を展開しております。

また、機能性、携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。

 

 

2.お客様へのサービスの強化

これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、連結中長期の目標経営指標を達成するための確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様の訪問サービスの強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。

 

③総コストの削減

1.委託生産方式

飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。

また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流費の削減も可能となっております。

 

2.原材料調達力の強化

当社は、緑茶のトップメーカーとして国内荒茶生産量の25.2%を取扱い、長年にわたり生産者との信頼関係を築き上げた結果、高品質の原料茶を安価で安定的に確保できる極めて強力な原料調達力を持っております。また、これまでに蓄積したノウハウと高い製造技術により、高品質の飲料用原料茶を自社製造で調達することができる飲料メーカーであります。

国内では就農者の高齢化と後継者不足のため、就農人口、茶園面積の減少が進んでおります。そこで当社は今後特に需要の増大が見込まれる飲料用原料茶を主体に、宮崎県、鹿児島県、大分県、長崎県、熊本県などにおいて、茶産地育成事業を行っております。当社の農業技術部が農家を直接指導し、苗木の選定から茶園づくり、そしてその茶園を機械化、IT化により低コストで管理できる栽培指導を行うことで、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、耕作放棄地の活用及び生産農家の後継者育成ならびに雇用の創出など茶業界と地域の活性化にも寄与しております。

 

④海外事業の強化

 海外事業戦略につきましては、連結子会社ITO EN(North America)INC. が米国での緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店に対し営業活動を行い、本物の緑茶を米国に普及させると同時に、「ITO EN」ブランドの確立を図っております。

 また、特に全米の耳目の集まるニューヨーク州マンハッタン地区では、当社の強みであるルートセールスを導入し、お客様に密接した営業活動を行うことで、確実に緑茶飲料の裾野を広げ、かつ「ITO EN」の存在を積極的にアピールしております。特に会員制スーパーマーケットを通じて販売しております、緑茶ティーバッグにつきましては、これまでの米国市場には無かった高品質の緑茶ティーバッグとして、お客様に大変なご好評をいただくとともに、緑茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。また中国、東南アジアにつきましても茶系飲料を中心とした販売強化を進めてまいります。

 

⑤CSR(企業の社会的責任)への取り組み

 当社は、経営理念であります「お客様第一主義」のもと、社会に求められる企業として、企業価値を高め、持続的成長・発展を目指します。このため、ステークホルダーの皆様の信頼を得ることを旨として、法令遵守を徹底し、世界の持続可能な社会・環境の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の内容も踏まえて、国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000を活用して事業を通じたCSRに取り組みます。

 「世界のティーカンパニー」を目指し、国内および世界で新たな食文化の創造と生活提案を行い、社会の課題解決と当社グループの成長を両立させる「共有価値の創造(CSV)」により、持続可能な社会・環境の実現に貢献します。

 このことを踏まえ、環境保全におきましては、環境行動方針を基本に環境中期目標を設定し、目標達成のための取組みを積極的に推進しております。また、環境活動の持続的な改善に有効な手段として、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの導入を推進し、全社全部門において認証を取得しております。

 社会貢献活動におきましては、企業ができる活動は、地域の方々とともに明るい社会を築いていくことと捉え、地方創生への参画やスポーツ・文化活動などにも一層力を入れてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

当グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年4月30日)現在において当グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)国内経済、消費動向

当グループの事業の大部分は、日本国内において展開しております。そのため、日本国内における景気、金融や自然災害などによる経済動向の変動や、これらの影響を受ける個人消費動向の変動は、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)市場での競争

当グループの主要事業である飲料製品の市場は、近年の消費マインドの冷え込みを背景に、店頭での低価格化が続き、販売額の伸び悩みが顕著となっており、併せて、キャンペーン等による販売促進活動により、依然として飲料各社の激しい競争が続いております。また、カテゴリー間でのシェア争いや、消費者の嗜好の変化により、製品のライフサイクルが短い市場でもあります。

このような市場環境のなか、当グループは緑茶飲料を中心としたお客様のニーズに沿った製品の提供や、ルートセールスを中心とするお客様へのサービスに努めた結果、業績は堅調に推移しております。

今後も継続してこれらの施策を実施するとともに、市場動向を予測し、競争に打ち勝つ施策を展開してまいりますが、これらの施策が市場環境の変化に十分対応できなかった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料、資材調達

当グループの主要事業は、茶系飲料を中心とする飲料製品でありますが、就農人口の減少や、茶園面積の減少による茶生産量の減少に加え、飲料用茶葉の需要増大により、当グループが必要とする茶葉の確保が出来ない場合の需給関係の悪化や、輸入原料(穀物・野菜等)の高騰により調達コストが上昇し、原価高の要因となる可能性があります。

また、当グループの飲料製品の販売数量のうち、PET容器の占める割合はおよそ73%となっており、PET容器の原材料である石油価格の高騰により、原価高の要因となる可能性があります。当グループが今後これらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)生産体制

当グループでは、グループ内工場で茶葉製品の大部分と、飲料製品の原料製造を行っております。また、飲料製品の大部分と茶葉製品の一部は、グループ外の委託工場で製造しております。

グループ内工場におきましては、生産設備が突発的に停止することがないよう、定期的に設備点検等を実施しております。また委託工場につきましては、不測の事態が発生した場合に備えて、全国各地に複数の委託工場を確保しております。しかしながら、天災等による生産への影響を完全に排除できる保証はなく、不測の事態が発生した場合には、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)天候・自然災害

当グループの主力製品の原材料は、茶、野菜、果実、コーヒー等の農産物であるため、当グループの主要事業であります茶葉及び飲料製品は、天候や自然災害の影響を受ける可能性があります。特に冷夏や暖冬の他、台風や長雨などの悪天候が販売に与える影響や、生産地での天候不良による不作が生じた場合の原材料調達価格の上昇及び必要量の不足に伴う販売機会損失などが想定されます。また、地震などの自然災害が想定範囲を超えた場合、本社機能や生産、物流体制に支障をきたすことが想定され、これら天候・自然災害が、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)「お〜いお茶」ブランドへの依存

当連結会計年度の売上高のうち、当社の飲料製品売上に占める「お〜いお茶」ブランドの割合は約39%と、高い比率を占めております。国内の緑茶飲料市場規模は4,350億円(平成28年1月〜12月当社調べ)で、当社のシェアは約33%(当社調べ)となります。

当グループでは、今後も緑茶飲料市場の成長が期待され、市場の拡大とともに「お〜いお茶」ブランドも伸長するものと予測しておりますが、緑茶飲料市場の激しい競争のなか、当グループのシェアが低下することや、緑茶飲料に代わる製品の登場により、緑茶飲料市場の成長が鈍化した場合、並びに当グループがこれらの市場環境の変化に対応できなかった場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)為替動向

当グループは海外において事業展開を行っております。海外のグループ会社の財務諸表は現地通貨にて作成されているため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外事業

 当グループの主要な海外連結子会社は、米国ニューヨーク州にITO EN (North America) INC.、ハワイ州にITO EN (Hawaii) LLC.、フロリダ州にMason Distributors, Inc.、ワシントン州にDistant Lands Trading Company, Inc.、豪州ビクトリア州にITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED、シンガポール共和国にITO EN Asia Pacific Holdings Pte. Ltd.、中華人民共和国に福建新烏龍飲料有限公司、伊藤園飲料(上海)有限公司の各社があります。

 当グループは、国内を中心に事業展開しておりますが、今後の発展と企業活動のグローバル化に伴い、海外活動の重要性がますます増大しており、海外における企業活動や取引はその対象国固有の政治的、経済的、法的要因により、重要な変化があった場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末における累計投資総額は247億80百万円となります。また、Mason Distributors, Inc.、福建新烏龍飲料有限公司以外の各社には累積損失があります。

 

(9)法的規制等

当グループが展開する事業は、食品衛生法、製造物責任法(PL法)、廃棄物処理法、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法等、様々な法的規制を受けております。

当グループでは、これら全ての法的規制等を遵守していく所存でありますが、今後、法的規制等を遵守することが著しく困難になった場合や、規制の強化によりコスト負担増となった場合、当グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報管理

当グループは、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、相当数のお客様情報を保有しているほか、当グループで実施している「新俳句大賞」の募集により、潜在的なお客様の情報も保有しております。これらお客様の個人情報は、当グループで管理するほか、一部はグループ外の管理会社に管理を委託しております。

これら個人情報を含めた重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、今後これらの情報が停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、ウイルスの感染、不正アクセス等の予期せぬ事態の発生により、情報の消失、外部へ漏洩する等の事態が起きた場合、当グループの信用低下を招き、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)食品の安全性、衛生管理

当グループは、食品の安全性、衛生管理を経営上の最重要課題と認識し、「伊藤園グループ品質管理方針」を設定、これを遵守し食品の安全性と衛生管理を確実にするため、当社に品質管理部を設置しております。品質管理部では自主基準を設け、製品の安全性について品質検査を行うとともに、外部委託工場にも定期的に立会い品質管理指導と監査を実施しております。また、定期的に開催する品質会議において、当グループ製造担当者、外部委託工場担当者に監査結果をフィードバックすることにより、食の安全性、衛生管理に対する意識向上を図っております。さらに、これらの活動のほか、原材料に由来する異物混入、禁止添加物等の使用を防止するための確認も実施しております。

なお、東日本大震災以後の放射能汚染等の状況を踏まえ、全ての飲料製品につきましては、放射線量測定器での検査を行い、品質に問題がないことを確認する体制を整えており、緑茶原料についても同様の検査体制を整えております。

国内の直営店で行っている事業につきましては、食品衛生法の規制対象となっているものがあります。これらの事業につきましては、法令の遵守に加え、出店先の衛生基準及び当社マニュアルに基づいた衛生管理を徹底しております。

当グループは、過去に食品の安全性、衛生管理に関しまして訴訟並びに行政指導を受けてはおりませんが、今後異物混入及び品質・表示不良製品の流通、原材料由来による禁止添加物の使用及び残留農薬問題(連鎖的風評被害を受ける場合を含む)、食中毒等の衛生問題が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12)減損会計

当グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待しているキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により減損会計の適用を受ける可能性があり、減損損失が発生した場合、当グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当グループの主な研究開発部門は、当社の中央研究所、開発一部、開発二部、マーケティング一部、マーケティング二部、マーケティング三部及び農業技術部であります。

央研究所では、当グループ製品の健康価値に関する研究につきまして、茶の成分による生活習慣病予防効果、認知機能改善効果等を検証するため、社会研究機関との共同研究を進めております。野菜飲料の主要原料である人参についてもピューレ摂取による便通改善を確認しました。

後も緑茶、コーヒー、野菜飲料、乳酸菌飲料など、当グループ製品の健康価値の検証や、香味や安定性の向上に関する研究開発を行い、当グループ製品の品質向上とブランド強化に貢献していきます

開発一部、開発二部、マーケティング一部、マーケティング二部及びマーケティング三部では、茶葉、飲料、その他の新製品の開発を行っております。

開発一部、開発二部では各カテゴリーの新製品の開発で、原材料の加工方法、処方の開発、製造技術の開発を行い原料の開発から製品の試作・製品化までを担当しております。また茶殻等の未利用資源の活用に関する研究開発を行い、茶の機能を活用した紙・樹脂製品の開発を推進しております。

マーケティング一部、マーケティング二部及びマーケティング三部では新製品の開発につきまして、市場調査、消費者の動向分析に基づき、基本コンセプトの開発を担当しております。

農業技術部では、当グループ製品に適した緑茶・野菜飲料原料を安定的に確保するために、品種素材、栽培方法、加工方法に関する調査研究や技術開発と、国内外の産地形成に関する活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は18億25百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

<リーフ・ドリンク関連事業>

当社独自製法による製品開発や、茶の特性を活かした製品開発を行っております。荒茶・仕上げ加工の研究により茶の特性を活かした製品を多数開発しております。また、茶の加工技術等を応用し簡便性商品であるティーバッグ・インスタントティーの製品開発を行っております。

日本茶飲料や紅茶飲料、中国茶飲料等の製品開発に関しまして、飲料用に適した原料茶の開発と飲料加工技術の研究を継続して行っております。野菜飲料、果実飲料に関しましては、野菜の原料開発と搾汁技術の開発、果実の搾汁技術の開発や果実の砂のう等の固形物入り飲料等の製造技術開発を行っております。コーヒー飲料におきましては、原料の選定、処方・製造技術の開発を行っております。乳飲料、炭酸飲料、機能性飲料におきましても、原料開発や飲料製造技術の開発を行っております。また各ホット飲料の開発では、ホット飲料に適した原料の開発、製造技術開発を行っております。

食品の開発では、野菜スープ、お汁粉及び味噌汁等の開発においても、当社の強みを生かした原料調達力をもって製造技術開発に取組み製品化をしております。また、カテキンの抗菌、消臭作用を応用した抗菌防臭加工繊維製品や茶殻を有効利用した茶配合製品の製品化を行っております。

なお研究開発費には、中央研究所で行っている緑茶や野菜飲料の健康性に関する研究や、飲料の香味に関する研究などの研究費用が含まれております。

 

<飲食関連事業>

該当事項はありません。

 

<その他>

該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,746億57百万円で、前連結会計年度末に比べて151億40百万円増加しております。流動資産の主な変動要因は次のとおりです。

・「現金及び預金」の増加  109億42百万円

・「受取手形及び売掛金」の増加  11億23百万円

・「商品及び製品」の増加  36億43百万円

なお、「現金及び預金」の変動内容につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,277億48百万円で、前連結会計年度末に比べて4億37百万円減少しております。固定資産の主な変動要因は次のとおりです。

・「建物及び構築物」の増加  13億93百万円

・「機械装置及び運搬具」の増加  11億6百万円

・「工具、器具及び備品」の増加  11億89百万円

・「土地」の増加  9億42百万円

・「リース資産」の減少  12億65百万円

・「建設仮勘定」の減少  13億46百万円

・「のれん」の減少  18億7百万円

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は815億60百万円で、前連結会計年度末に比べて191億96万円減少しております。流動負債の主な変動要因は次のとおりです。

・「1年内償還予定の社債」の減少  200億円

・「リース債務」の減少  14億47百万円

・「未払費用」の増加  21億2百万円

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は841億35百万円で、前連結会計年度末に比べて244億5百万円増加しております。固定負債の主な変動要因は次のとおりです。

・「社債」の増加  100億円

・「長期借入金」の増加  177億79百万円

・「リース債務」の減少  31億62百万円

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,367億9百万円で、前連結会計年度末に比べて94億93百万円増加しております。純資産の主な変動要因は次のとおりです。

・親会社株主に帰属する当期純利益の計上による「利益剰余金」の増加  136億93百万円

・配当金支出による「利益剰余金」の減少  52億53百万円

・「自己株式」の減少  6億81百万円

・「その他有価証券評価差額金」の増加  3億4百万円

・「為替換算調整勘定」の増加  6億10百万円

・「退職給付に係る調整累計額」の増加  5億89百万円

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は4,758億66百万円(前期比2.2%増)となりました。売上高の分析につきましては、「第2〔事業の状況〕1〔業績等の概要〕(1)業績」をご参照下さい。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は2,261億70百万円(前期比3.4%増)となりました。主な増加要因といたしましては、上記のとおり売上高が増加したことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,043億95百万円(前期比1.4%増)となりました。主な増加要因といたしましては、販売手数料の増加(前期比14億60百万円増)、広告宣伝費の増加(前期比18億80百万円増)等によるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は217億74百万円(前期比26.3%増)となりました。主な増加要因といたしましては、前述の要因等により、売上総利益が73億52百万円増加したことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は215億24百万円(前期比42.8%増)となりました。主な増加要因といたしましては、前述の要因等により、営業利益が45億30百万円増加したことと、為替差益が2億5百万円増加し、為替差損が12億22百万円減少したことによるものです。

 

(特別損益)

当連結会計年度において特別損失として8億54百万円を計上しております。主な内容といたしましては、関係会社整理損を4億80百万円、減損損失を2億99百万円計上したことによるものです。特別利益は53百万円計上しております。主な要因といたしましては、固定資産受贈益を21百万円計上したことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は207億23百万円(前期比38.8%増)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は68億70百万円(前期比10.3%増)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は136億93百万円(前期比58.9%増)となりました。

 





出典: 株式会社伊藤園、2017-04-30 期 有価証券報告書