有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府や日銀の経済・金融政策を背景に、企業収益や雇用情勢に一定の改善がみられるなど、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、少子高齢化の進行や新興国経済の停滞等による先行き不透明感から消費マインドには依然として弱さがみられ、個人消費の力強い回復までには至りませんでした。

食品業界においては、円安等による輸入原材料価格の高止まりや消費者の根強い節約志向により、厳しい経営環境となりました。

このような環境の中、当グループは、大豆の葉や茎に含まれる機能性糖類ピニトールについて、神戸大学と共同でヒト試験による機能性研究に取り組むとともに、北海道十勝管内の自治体や経済団体等で構成される“フードバレーとかち推進協議会”と包括連携協定を結び、その実用化に向けた抽出・精製技術の研究を進めました。

また、最終年度となる中期経営計画の目標達成のため、全社結束して販売の拡大及び収益性の向上に努めました。売上高は、目標600億円に対してわずかに未達となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は目標33億円を達成することができました。

当連結会計年度の売上高は、昆布製品が前期比1.5%減となりましたが、豆製品、デザート製品が堅調に推移し、惣菜製品、ヨーグルト製品が前年実績を大きく上回ったことから、587億18百万円(前期比3.2%増)となりました。

また、利益面では、売上高の増加に加え、売上原価率の改善が進んだことから、営業利益は49億73百万円(前期比16.7%増)、経常利益は53億77百万円(前期比17.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は39億20百万円(前期比30.1%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度を含めて7期連続の増収増益とともに、売上高及び営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を更新いたしました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ25億88百万円減少し、136億43百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を57億39百万円、減価償却費を19億95百万円計上したものの、法人税等の支払やたな卸資産の増加等により、45億97百万円の収入(前連結会計年度は72億38百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得等により、17億2百万円の支出(前連結会計年度は35億14百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得等により、54億81百万円の支出(前連結会計年度は22億66百万円の支出)となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

分類

金額(百万円)

前年同期比(%)

惣菜製品

18,184

105.8

昆布製品

17,592

98.4

豆製品

13,757

105.4

ヨーグルト製品

4,652

105.9

デザート製品

3,054

108.8

その他製品

1,345

93.3

合計

58,586

103.2

 

(注) 上記金額は、消費税等抜きの販売価格により表示しております。

 

(2) 受注状況

当グループは、市場動向の予測に基づく見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

(3) 販売状況

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

分類

金額(百万円)

前年同期比(%)

惣菜製品

18,263

105.5

昆布製品

17,569

98.5

豆製品

13,598

104.2

ヨーグルト製品

4,879

108.7

デザート製品

2,999

107.2

その他製品

1,407

98.6

合計

58,718

103.2

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱日本アクセス

10,971

19.3

10,616

18.1

 

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当グループが対処すべき当面の課題としては、次のようなものがあります。

 

(1) 中期経営計画への取り組み

平成29年3月期(第57期)を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の策定にあたり、10年後の目指すべき姿と目標を「フジッコNEXTビジョン2025」として取りまとめ、その目指す姿を「美味しさと健康価値を創造し、顧客に愛されるフードカンパニー」としました。本中期3ヵ年をファースト・ステージ「飛躍に向けた基盤固め」の重要な期間と位置付け、将来事業構成を見据えた持続的成長の志向だけでなく、長期的な視点に立った企業価値の最大化を実現するための企業基盤の強化も重要視しています。

 

以下の5つの指針の下、前中期経営計画からのポートフォリオ・マネジメントを踏襲・徹底し、さらなる高成長・高収益性の事業形成を目指してまいります。そして、中期経営計画の最終年度(第59期)において、売上高700億円、営業利益63億円を目指してまいります。

 

①基幹事業の収益力強化

豆と昆布のコア事業は安定収益事業でもあり、高いシェアを確保し、創出した利益を次なる成長のための投資に充当して成長と分配の好循環を創り出します。即ち、市場が縮小傾向の中、シェア確保の選択投資を行い、「健康」「簡便性」の訴求、新たなレシピ提案による利用シーンの拡大を促進し、市場減少に歯止めをかけます。

 

②成長事業の加速

ヨーグルト事業、OKAZU事業、通信販売事業を成長事業として重点的に事業拡大に取り組みます。

ヨーグルト事業は、研究エビデンスに裏付けられた高付加価値商品の提供により、「カスピ海ヨーグルト」ブランドの価値向上をもって事業拡大に注力します。

OKAZU事業は、国内で最も先進的な商品を提供し続け、価格競争力、ブランドロイヤリティーを獲得し、事業拡大とともに収益力の強化を図ります。

通信販売事業は、健康食品通販の乳酸菌市場ナンバー1に挑戦し独走するための基盤固めを強く推進すべく、メーカー通販らしい優れた商品戦略と新商品の開発に注力します。

 

③次世代事業への挑戦

次世代事業を介護食事業、海外事業、新規事業とし、今後の「成長の芽」として飛躍的な事業拡大に向けた準備を進めてまいります。

 

④開発機能の革新

社内外ネットワークの構築とともに、部門間の連携による研究開発テーマと事業開発のマッチング、次世代研究者の育成、新規事業分野を視野に入れた生産技術の研究を進めていきます。具体的には、乳酸菌の機能性研究の深耕、健康機能のエビデンス研究体制の強化、機能性表示食品制度の対応強化、「とかち連携事業」として着手した大豆ピニトールの実用化等に注力いたします。

 

⑤経営基盤の革新

持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を実現するため、経営基盤の革新を進めてまいります。「ガバナンス・コード」の実践、監査等委員会設置会社への移行によりガバナンス体制を強化してまいります。また、内部統制委員会による財務報告から業務執行までの内部統制範囲の拡大、リスクマネジメント委員会の発足による全社的リスクマネジメント、取締役会によるガバナンス等を通してリスク・コントロールを強化してまいります。

 

(2) 製品の安全性を確保する品質保証体制の強化

当グループは、製品の品質と安全性を確保するため、「ふじっ子あんしんシステム」の確立をもってグループ全体の品質保証の体制づくりに注力してまいりました。今後は、品質にかかる審査・監査・是正のサイクルをもって品質保証体制の強化を図る一方、お客様相談室による品質保証の監督機能を強化し、相互連携による全社的品質保証システムの構築を推進してまいります。

 

(3) 買収防衛策の実施

当社は、当グループの企業価値を毀損する態様での濫用的な買収等を未然に防止するため、株主総会の承認を受け買収防衛策を導入いたしました。そして、平成26年に開催の第54回定時株主総会において、従前の事前警告型ライツ・プラン(以下、「本プラン」といいます。)を継続する議案を付議し、承認されました。

当社取締役会は、買付者等から受領した情報提供回答書等を外部有識者で構成する企業価値判定委員会(以下、「判定委員会」といいます。)に提出し、判定委員会は、本プランの定める買収防衛策の発動の要否を判定し、その旨を当社取締役会に勧告します。当社取締役会は判定委員会の勧告を最大限尊重し、買収防衛策(本プラン)の発動又は不発動を最終的に決定いたします。当該取組みにつきましては、当社の基本方針に沿うものであり、株主の皆様方の共同の利益を損うものではなく、また、決して当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(4) 社会貢献活動の推進

当グループは、美味しさと健康価値を商品として提供するとともに、日本の食卓・食材・食文化のよさを伝えるべく、親子料理教室、丹波篠山の黒豆作付け・収穫体験、「カスピ海ヨーグルト」フォーラムの開催等の食育活動に注力し、人々の幸せで健康な食生活に貢献してまいります。また、国内のみならず、世界の人々の健康にも貢献できるよう、ネパールにおけるヨード欠乏症の問題に「昆布ミネラル」の無償提供で支援してまいります。

 

(5) 女性活躍の推進

当グループは、女性活躍の推進を重要な経営課題のひとつとし、「多様性こそフジッコ成長のチカラ」という方針の下、老若男女を問わず多様性を活かした企業を目指してまいります。平成28年4月に「女性活躍推進委員会」を発足し、いわゆる「女性活躍推進法」に求められている現状把握、改善目標、実行計画について検討してまいります。

 

 

 

4 【事業等のリスク】

以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

 

(1) 食品の安全性について

当グループは、「ポジティブリスト制」の対応とともに、残留農薬検査システム、遺伝子組み換え検査システム、製品履歴を管理する「フジッコトレースシステム」の導入により、品質管理、衛生管理、鮮度管理に取り組んでおりますが、今後も当グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、当グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 原材料の価格変動について

当グループの取扱製品の主原料である昆布、豆は、主に北海道等国内産のものを使用しております。これらの原料は、在庫の備蓄により価格変動リスクを可能な限り抑えておりますが、産地の天候等により生産量及び価格が変動し、当グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当グループは、原材料の一部を海外から調達しており、中長期的な為替変動は、当グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 保有有価証券の価格変動について

第56期の連結貸借対照表において、投資有価証券を67億26百万円計上しており、連結総資産の9.6%を占めております。当グループの有価証券運用は短期的な売買を行わない基本方針でありますが、保有有価証券の著しい時価変動等があれば、当グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特に記載すべき事項はありません。

 
 

 

 

6 【研究開発活動】

(1)「カスピ海ヨーグルト」に関する研究

乳酸菌クレモリスFC株に関する基礎的な研究は、九州大学、神戸大学、海外の専門機関等との共同研究又は共同開発に取り組んでいます。

クレモリスFC株が産生する粘り成分であるEPS(菌体外多糖)のアレルギーモデルマウスに対する作用については、昨年度に引き続き、大阪府立大学との共同研究結果を日本食品科学工学会において発表しました。

 

(2)大豆の機能性研究

芝浦工業大学及び神戸大学との黒大豆種皮ポリフェノールに関する共同研究では、“戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)”に協力機関として参画しています(2/5年目)。

北海道十勝管内の自治体、経済団体等でつくる“フードバレーとかち推進協議会”では、包括的連携協定を締結し、研究に取り組んでいます。帯広市の十勝産業振興センター内にピニトール(大豆の葉や茎に含まれる機能性糖類)の抽出・精製テストプラントを導入し、試験を開始しました。ピニトールの機能性研究については、神戸大学と共同で予備的なヒト試験に取り組みました。

 

(3)昆布の研究

当社の基幹素材のひとつである昆布の健康効果は一般に広く認知されているにも関わらず科学的な研究データが少ない分野です。大阪府立大学との共同研究によって、北海道産昆布の比較的分子量の小さいアルギン酸に免疫調節作用が強いことを明らかにし、学術誌“Journal of Applied Glycoscience”に論文が掲載されました。今後も、アルギン酸、フコイダン、ラミナランなどの昆布の水溶性食物繊維を中心に研究の展開を行います。

 

(4)新たな機能性表示食品制度への取り組み

平成27年4月に始まった機能性表示食品制度が注目されています。当社でもこれまでに大豆イソフラボンを関与成分とし、“丈夫な骨の維持に役立つ”2製品が受理されています。「そのままがおいしい蒸し大豆」は、大豆加工食品としては初めての機能性表示食品であり、販売面においても表示の効果が認められています。通販用商品を含めて、今後もさらに多くの届出を行う予定です。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は6億3百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要となる会計上の見積りは、合理的な基準に基づき行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ20億52百万円減少し、700億3百万円となりました。これは主に、自己株式の取得で現金及び預金が減少したことによるものです。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて11億43百万円減少し、99億15百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済によるものです。固定負債は、前連結会計年度末に比べて4億35百万円減少し、19億77百万円となりました。これは主に、長期借入金が減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ4億73百万円減少し、581億10百万円となりました。これは主に、自己株式の取得によるものです。

これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.3%から83.0%となりました。

 

(3) 経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前連結会計年度に比べて18億21百万円増加し、587億18百万円となりました。これは主に、成長事業の惣菜製品に加え、コア事業の豆製品が大きく伸長したことによるものです。

 

製品分類別の分析は次のとおりであります。

惣菜製品は、包装惣菜において少量食べきりサイズの「おかず畑ミニ」シリーズや電子レンジ対応のチルドスープ「朝のたべるスープ」が伸長しました。また、日配惣菜においてもヘルシーで和洋折衷の「豆腐ハンバーグ」を中心に大きく伸長しました。

昆布製品は、前期のTVパブリシティによる反動減が影響したとろろ昆布並びに昆布巻等の減少により、昆布製品全体の売上高は前年実績を下回りました。

豆製品は、食べきりタイプの煮豆「おまめさん豆小鉢」が好調に推移し、料理にそのまま使える水煮・蒸し豆「ビーンズキッチン」シリーズが大きく伸長したことから、豆製品全体の売上高は前年実績を上回りました。

ヨーグルト製品は、2月より販売再開の「カスピ海ヨーグルトプレーン400g」並びに「カスピ海ヨーグルト脂肪ゼロ400g」の生産一時休止の影響を受けましたが、通信販売チャネルのサプリメント「善玉菌のチカラ」が好調に推移し売上全体をけん引しました。また、「カスピ海ヨーグルト手づくり用種菌」は、事業開始から累計販売個数が500万セットを突破しました。

 

デザート製品は、チルドゼリー「フルーツセラピー」において「スイートピンクグァバ」等の期間限定商品の新規投入並びに新たな店頭販促提案など品群の活性化に取り組んだ結果、前年実績を上回りました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、売上高の増加を受け、前連結会計年度に比べて2億47百万円増加し、345億10百万円となりましたが、売上原価率は1.4ポイント改善しました。売上原価率の改善は、原材料のコストダウン、重油等のエネルギー単価の値下がり等によるものです。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて8億62百万円増加し、192億34百万円となりました。これは主に育成品群である「豆小鉢」や「朝のたべるスープ」等の販売拡大を目的とした広告宣伝費の増加によるものです。

 

③ 営業外損益、特別損益

営業外損益は、4億4百万円の黒字となりました。

特別損益は、3億61百万円の黒字となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 





出典: フジッコ株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書