有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国においては景気が緩やかに回復し、欧州についても景気の持ち直しが見

られましたものの、中国の経済成長の鈍化、原油価格の下落による資源国に与える影響、また欧州・中東における地

政学的リスクの高まりなどにより、不透明感がより一層増してまいりました。また日本経済は、日銀による金融政

策などにより企業収益や雇用に改善がみられ、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、海外景気の下振れ懸念、ま

た昨年末からの円高の進行など、予断を許さない状況が続いております。

自動車業界におきましては、米国では、ガソリン価格安や緩やかな経済成長に支えられ、ピックアップトラックや

SUVを中心として販売台数は増加いたしました。また欧州でも景気の持ち直しにより販売台数は堅調に推移いたし

ましたが、中国やタイなどアジア諸国においては経済成長の鈍化に伴い、厳しい状況が続いております。また、日本

においては、人気新型車の投入などにより普通車は前年並みの販売台数を確保できましたが、これまで堅調であった

軽自動車では、軽自動車税率見直しの駆け込み需要による反動的な販売減がみられ、全体としては緩やかな減少傾向

が続いております。

このような情勢の中で当社グループは、2016年度までの2年間を体質強化の期間と定め、もう一度原点に立ち返っ

て、足元固め、構造改革を推進しております。昨年10月からは、第1に「開発力と生産技術力・生産力の徹底的な強

化」、第2に「経営情報基盤の構築の取り組みの加速」、第3に「社員がいきいきと働くことができる環境の整備」

を最重点課題として取り組んでおります。

また11月には、「もっといいシートづくり」を加速させるため、アイシン精機㈱とシロキ工業㈱から、トヨタ自動

車㈱に供給するシート骨格事業を集約いたしました。これにより開発から生産まで、グローバルで一貫した体制とな

り、開発力の強化、開発スピードの向上を図ってまいります。

技術開発につきましては、Toyota New Global Architecture(TNGA)の思想に基づいた、シートの新しい標

準骨格を開発し、新型プリウスに搭載されました。「環境・安全」の両面に配慮するとともに、「軽量化・高剛性

化」、さらに、生産の合理化対応の構造など、高い次元でバランスのとれた骨格となっております。また、身体に

フィットする骨格構造を追求することで、シート全体の「乗り心地性能」の向上を実現しております。

また、当社初の航空機シートが搭載された全日本空輸㈱の国内線ボーイング767が、5月より就航しておりま

す。このシートは、自動車で培った技術・知見を最大限に活かし、男女問わずリラックスできる姿勢を保持できるよ

うになっております。また体格差を考慮したレイアウトを追求することで、使いやすさと心地よさも、お客様にご満

足いただけるものと思っております。

また、夏の炎天下におけるシートを、エアコンの冷風を活用して即時に冷やす「速涼シート」や、上質な肌触りの

本革を採用し、伸ばした脚をゆったりと受けとめるオットマンや格納式テーブルなどを装備したロイヤル

ラウンジシートなど、お客様の期待にお応えする数々の新製品を生み出してまいりました。

収益体質強化につきましては、北中南米では、既存事業の合理化や再編を進めてまいりました。生産準備費用や

立上げロスの増加により、収益的にも厳しい状況が続いておりましたが、「モノづくりの基本の徹底」、「収益改善

活動」の2本柱で収益構造改革に取り組んできた結果、災害や品質不良、納入不具合の改善が着実に進み、利益の出

せる企業体質に変革しつつあります。

また、欧州では、全社をあげて収益構造改革を進めてまいりましたが、ビジネスとして成り立たせるためには、

さらにもう一歩踏み込んだ抜本的な改革が必要との結論にいたりました。今後の損失の拡大を回避するため、紡織

オートモーティブヨーロッパ㈲の3工場と、紡織オートモーティブポーランド㈲、紡織オートモーティブチェコ㈲の

全株式売却及びトヨタ紡織ヨーロッパ㈱のミュンヘン支店の事業のうち、自動車シート事業を除く内装事業を売却

することにいたしました。一方で、今後の持続可能な成長に向け、当社の独自開発生産技術である『天然繊維

同時成形技術』を活用したドアトリム事業を、売却先と合弁会社(Megatech Boshoku Europe s.r.o)を設立し、継

続していくことにいたしました。

CSR活動の取り組みといたしましては、当社は基本理念において「よき企業市民として社会との調和を目指

す」ことを宣言し、コンプライアンス、リスクマネジメント、社会貢献を、CSR活動の重点課題として取り組んで

おります。特にリスクマネジメントでは、災害発生時の初動対応と迅速に事業を復旧し、社会的な使命を果たすため

の事業の継続計画(BCP)のグローバルな整備に取り組んでおります。

また社会貢献では、世界各地での森づくり活動を実施しています。また地域社会とのつながりを最重点として、そ

の地域のニーズに耳を傾け、地域に根ざし、地域社会から信頼される社会貢献活動に取り組んでいます。

 

環境活動といたしましては、2015年度を最終年度とする環境取り組みプランでは、低炭素社会・循環型社会の構

築に向けて、また環境負荷物質の低減、地域社会との関わりを基本として活動を行ってまいりました。低炭素社会の

構築では、省エネラインや再生可能エネルギー設備の導入を進めるとともに、輸送効率の向上を図り、グローバルな

CO2排出量の低減に努めてきました。循環型社会の構築では、生産における廃棄物の発生抑制や利材化、また水使

用量の低減活動にも取り組んでまいりました。環境負荷物質の低減については、各国の法規に従って化学物質の管理

を行い、環境負荷物質の低減に取り組み、地域とのかかわりでは、異常・苦情ゼロ活動を推進するため、環境リスク

マップに基づき、各工場・事業体での巡回・対策を実施してまいりました。

 

連結売上高につきましては、日本地域での車種構成の変化や為替の影響などにより、前連結会計年度に比べ

110,270百万円(8.4%)増加の1,415,772百万円となりました。利益につきましては、主要車種のモデルチェンジに

伴う生産準備費用等、諸経費の増加などによる減益要因はありましたが、増収の影響や合理化などの増益要因に

より、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ27,099百万円(83.7%)増加の59,492百万円、連結経常利益は、前連

結会計年度に比べ15,031百万円(36.6%)増加の56,123百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は欧

州子会社における事業整理等、特別損失の計上などにより、前連結会計年度に比べ1,303百万円(△25.0%)

減少の3,900百万円となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 日本

当地域におきましては、生産台数は減少しましたが、とりわけ高付加価値製品の販売が拡大したことなどにより、

売上高は、前連結会計年度に比べ47,396百万円(7.0%)増加の726,264百万円となりました。営業利益につきまして

は、車種構成の変化の影響や合理化などにより、前連結会計年度に比べ4,001百万円(18.1%)増加の26,074百万円

となりました。

 

② 北中南米

当地域におきましては、北米における販売拡大や為替影響などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ28,790百

万円(10.0%)増加の316,406百万円となりました。営業利益につきましては、前年度に発生した製品立上げ影響の解

消も含めた合理化や諸経費の減少などにより、前連結会計年度に比べ8,296百万円増加の4,213百万円となりました。

 

③ アジア・オセアニア

当地域におきましては、タイなどでの減産はありましたが、中国における生産台数の増加や為替影響などにより、

売上高は、前連結会計年度に比べ44,226百万円(14.1%)増加の357,208百万円となりました。営業利益につきまし

ては、合理化や為替影響などにより、前連結会計年度に比べ12,232百万円(61.4%)増加の32,159百万円となりま

した。

 

④ 欧州・アフリカ

当地域におきましては、為替影響などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ5,299百万円(△5.2%)減少の

96,564百万円となりました。営業損失につきましては、前年度に発生した製品立上げ影響の解消も含めた合理化など

により、前連結会計年度に比べ2,553百万円減少の2,908百万円となりました。

 

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用

し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、160,904百万円と前連結会計年度末に比

べ17,410百万円(12.1%)の増加となりました。

営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は78,912百万円となりました。これは主に、売上債権の増加19,430百

万円、法人税等の支払額18,808百万円などによる資金の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益23,945百

万円、減価償却費41,012百万円などにより資金が増加したことによるものです。

投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は48,086百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却によ

る収入2,249百万円、定期預金の払戻による収入1,073百万円などによる資金の増加はありましたが、有形固定資産の

取得による支出36,392百万円、事業譲受による支出9,700百万円などにより資金が減少したことによるものです。

財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は8,739百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額

12,350百万円などによ資金の増加はありましたが、長期借入金の返済による支出39,468百万円などにより資金が減

少したことによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

  至 2016年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

687,048

6.3

北中南米(百万円)

293,282

9.2

アジア・オセアニア(百万円)

321,052

11.7

欧州・アフリカ(百万円)

85,946

△4.8

合計

1,387,329

7.3

 (注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注状況

 当社グループは、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとする各納入先より、四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しております。

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

  至 2016年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

671,826

6.7

北中南米(百万円)

312,293

10.5

アジア・オセアニア(百万円)

338,495

14.8

欧州・アフリカ(百万円)

93,156

△5.3

合計

1,415,772

8.4

 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

  至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

  至 2016年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

382,208

29.3

398,111

28.1

トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱

139,688

10.7

153,227

10.8

トヨタ車体㈱

119,039

9.1

147,563

10.4

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

今後の世界経済の見通しにつきましては、米国の経済は当面は堅調に推移するものと思われ、また欧州経済も、緩

やかに回復が続くことが期待されますが、中国をはじめとするアジア経済の状況、欧州・中東の地政学的リスク、米

国の金融政策正常化による新興国通貨に与える影響など、景気の不確実性が一段と増すものと思われます。また、日

本経済においては、景気の緩やかな回復基調が見込まれますが、海外景気の行方によっては厳しい経営環境となるこ

とが予想されます。

自動車業界においては、モビリティ環境は大きく変化しており、消費者の嗜好は多様化することが予想されます。

お客様の嗜好や市場環境の変化を見据え、新しい技術を開発し製品を創造することが、持続可能な成長のた

めに不可欠な競争力の強化につながると考えます。このような中で当社グループは、喫緊の課題である「体質強化」

を完遂することを最優先に取り組むとともに、成長戦略を描き、①競争力のさらなる向上と、②強靭な事業構造の構

築の2本を柱に取り組んでまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクに以下のようなものがありま

す。しかし、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存

在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2016年6月15日)現在において当社グループ

が判断したものであります。

 

(1) 経済状況等

  当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。重要な部分

を占める自動車関連製品の需要は、製品・サービスを提供している国又は地域の経済状況の影響を受けることにな

ります。従って、日本、北中南米、アジア、欧州を含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う

自動車需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合がありま

す。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価

格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や

原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる

可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び

財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。

 

(2) 特定の取引先への依存

 当社グループは、自動車内装品をはじめとした各種自動車部品を主にトヨタ自動車㈱に販売しており、当

連結会計年度の売上高に占める同社への割合は、28.1%となっております。そのため、同社の自動車販売動向に

よっては、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合39.7%、間接所有割合

0.1%であります。

 

(3) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの生産及び販売活動は、日本をはじめ北中南米、アジア、欧州など幅広い市場で展開しているた

め、これらの地域市場への事業進出には各国諸事情の違いにより次のようないくつかのリスクが内在しておりま

す。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への影響

③不利な政治または経済要因の発生

④人材の採用・確保と労働問題に係るリスク

⑤テロ、戦争、その他要因による社会的混乱

 

(4) 為替レートの変動

 当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。各地域にお

ける売上、費用、資産、負債を含む外貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これら

の項目は換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなくても、円換算後の価値が影響を受ける可

能性があります。一般に、他の通貨に対する円高は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能

性があります。

 

(5) 価格競争

 自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっております。特に自動車メーカーからの価格引き下げ

要請は、近年特に強まってきております。

 また、当社グループは、技術、品質、価格に優れた製品を全世界に供給し、顧客の要望に対応できる企業と考え

ておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はありません。これは当社グループの属している各製

品市場、地域市場において新しい競合先、既存の競合先間の提携により市場シェアを急速に拡大する可能性がある

ためです。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの経営成績及び財務状況

に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 原材料、部品供給元への依存

 当社グループの生産は、原材料・部品を複数のグループ外供給元に依存しております。当社グループは、グルー

プ外供給元と取引基本契約を結び、原材料・部品の安定的な取引を安定的な生産の前提としておりますが、供給逼

迫による世界的な品不足や供給元の不慮の事故・大規模な震災などにより、原材料・部品の不足が生じないという

保証はありません。その場合、生産の遅れを招き、また、原価を上昇させる可能性があります。

 

(7) 新製品の開発力

 当社グループは、経営の基本理念の一つである「革新的な技術開発、製品開発に努め、お客様に喜ばれる、良い

商品を提供する」のもと、高度化・多様化する市場のニーズを先取りし、顧客の満足が得られるよう、新製品開発

に努めております。今後も継続して新製品を開発し、販売できると考えておりますが、そのプロセスは複雑かつ不

確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクがあります。

 ①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後、十分充当できる保証はありません。

 ②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術へつながる保証はありません。

 ③技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの製品が時代遅れになる可能性があります。

 ④現在開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。

(8) 知的財産権

 当社グループは、他社製品と差別化を図るため、技術とノウハウの蓄積と、これらの保護について努力を傾注し

ておりますが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であったり、または限定的にしか保護されない

状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを防止できな

い可能性があります。また、他社が類似する、もしくは、当社グループより優れている技術を開発したり、当社グ

ループの特許や企業秘密を模倣又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに、当社グループは

他社の知的財産権に配慮しながら製品や技術の開発を行っておりますが、これらが将来的に他社の知的財産権を侵

害していると判断される可能性があります。

 

(9) 商品の欠陥

 当社グループは、経営の基本理念の一つに「クリーンで安全な商品を提供することを使命とし、地球環境保護を

重視した企業活動の推進」を掲げ、総力をあげて品質向上に取組んでおります。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来リコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。

 また、製造物責任賠償について、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカ

バーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼし、売上の低下、収益の悪化などにより、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 災害や停電等による影響

 当社グループは、製造中断によるマイナス影響を最小化するため、生産設備の定期的な検査、点検を行っており

ます。しかし、当社グループならびに仕入先企業の生産施設で発生する人的・自然的災害、停電などの中断事象に

よる影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の

多くは、東海地方に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可

能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能

性があります。

 

(11) 退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率などの数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は変更された場合は、将来の期間に認識される費用及び計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 上記リスク等が予期せぬ事象を招き、生産活動及びその他事業の遂行に問題を生じさせる可能性があります。こ

れらの事象は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

<事業譲渡>

当社は、2015年5月13日開催の取締役会決議に基づき、アイシン精機㈱(以下、アイシン精機)とシロキ工業㈱

(以下、シロキ工業)がトヨタ自動車㈱(以下、トヨタ自動車)または当社に供給しているシート骨格機構部品事業

を譲受することについて、同日付けで事業譲渡契約を締結いたしました。

 

その主な概要は、次のとおりであります。

 

(1)事業譲渡契約の理由

当社は、当社のシート骨格事業とアイシン精機、シロキ工業がトヨタ自動車へ供給するシート骨格機構部品

の事業がひとつになることで、さらに技術開発力を高め、自動車メーカーの多様なニーズに対して、より付加

価値の高い“もっといいシート”を供給することができると考え、当社よりシート骨格機構部品の事業取得を

提案し、当社、アイシン精機、シロキ工業の3社で議論を積み重ねた結果、今回の事業譲渡契約を締結するこ

とを決定いたしました。

 

(2)譲渡対象事業

アイシン精機、シロキ工業が保有するトヨタ自動車または当社向けのシート骨格を構成するリクライナーや

スライドレールなどの機構部品事業

 

(3)事業譲渡日

2015年11月

 

<株式譲渡、一部事業譲渡及び合弁会社設立>

当社は、2016年3月31日開催の取締役会決議に基づき、Megatech Industries AGに連結子会社である紡織オート

モーティブヨーロッパ㈲、紡織オートモーティブポーランド㈲及び紡織オートモーティブチェコ㈲の3社の全株式譲

渡及びトヨタ紡織ヨーロッパ㈱ミュンヘン支店の一部事業譲渡をする、株式譲渡契約及び資産譲渡契約を締結いたし

ました。

また内装事業のうちドアトリム事業の一部については、譲渡先と合弁会社を設立し、事業を継続する、合弁契約を

2016年6月に締結いたしました。

 

その主な概要は次のとおりであります。

 

(1)株式譲渡、一部事業譲渡及び合弁会社設立の理由

当社は将来に向けた持続可能な成長を実現するため、2016年度末までを「足元固め」の期間と位置付け、収

益構造改革を進めてまいりました。しかし、欧州事業の一部につきましては苦戦が続いており、事業再編など

の収益性向上施策の検討を実施してきた結果、今後の損失の拡大を回避することを目的に、上記3社の全株式

及びトヨタ紡織ヨーロッパ㈱ミュンヘン支店の事業のうち、自動車シート事業を除く内装事業を譲渡する契約

を締結いたしました。

なお、当社の独自開発生産技術である「天然繊維同時成形技術」を活用したドアトリム事業につきまして

は、譲渡先と合弁会社を設立するための合弁契約を締結し、両社の開発能力と既存の顧客関係を活かし、今後

の発展を目指します。

 

(2)株式譲渡、一部事業譲渡及び合弁会社の概要

①株式譲渡の概要

 

名称     紡織オートモーティブヨーロッパ㈲

所在地    ドイツ連邦共和国 ゲーレッツリート市

代表者    取締役社長 川崎 俊夫

事業内容   自動車用内装品の製造及び販売

資本金    26千ユーロ(2015年12月末)

純資産    22,004千ユーロ(約28億円)(2015年12月末)

売上高    170,798千ユーロ(約229億円)(2015年1月〜12月)

当期純利益  △46,534千ユーロ(約△62億円)(2015年1月〜12月)

 

 

名称     紡織オートモーティブポーランド㈲

所在地    ポーランド共和国 ウッチ県

代表者    取締役社長 R.Matkovic

事業内容   自動車用内装品の製造及び販売

資本金    13,895千ポーランドズロチ(2015年12月末)

純資産    19,510千ポーランドズロチ(約6億円)(2015年12月末)

売上高    240,707千ポーランドズロチ(約77億円)(2015年1月〜12月)

当期純利益  △16,347千ポーランドズロチ(約△5億円)(2015年1月〜12月)

 

名称     紡織オートモーティブチェコ㈲

所在地    ポーランド共和国 ピルゼン州

代表者    取締役社長 R.Matkovic

事業内容   自動車用内装品の製造及び販売

資本金    200千チェココルナ(2015年12月末)

純資産    △65,533千チェココルナ(約△3億円)(2015年12月末)

売上高    1,324,601千チェココルナ(約65億円)(2015年1月〜12月)

当期純利益  48,201千チェココルナ(約2億円)(2015年1月〜12月)

 

②一部事業譲渡の概要

 

名称     トヨタ紡織ヨーロッパ㈱

所在地    ベルギー王国 ザベンタム市

代表者    取締役社長 石井 正哉

事業内容   自動車用内装品の製造・販売及びその他の自動車部品事業、設計業務委託

資本金    383,534千ユーロ(2016年3月末)

譲渡内容   ドイツ ミュンヘン支店の事業のうち、

       自動車シート事業を除く内装事業の統括、開発機能など

 

③合弁会社の概要

 

名称     Megatech Boshoku Europe s.r.o

所在地    チェコ共和国 ピルゼン州 ピルゼン市

代表者    CEO Maximilian Gessler

生産品目   自動車用内装部品(天然繊維ドアトリム)

株主構成   Megatech Industries AG 50%

       トヨタ紡織㈱ 50%

 

(3)譲渡先の概要

名称     Megatech Industries AG

所在地    リヒテンシュタイン公国 ファドゥーツ市

代表者    CEO Maximilian Gessler

事業内容   自動車部品の製造及び販売

資本金    50千スイスフラン(2015年12月末)

 

6【研究開発活動】

研究開発活動の基本方針

 当社グループでは、「お客様に信頼と満足をお届けする製品の開発」という基本的な考えのもと、当社独自の技術

や仕組みにより、世界のあらゆるお客様の期待に応えられる魅力的で高品質な商品開発に取り組んでおります。

そのために、年々高度化・多様化するお客様のニーズを先取りし、他社を凌駕する魅力的な技術・商品開発、

及びコア技術の更なる熟成を図っております。また、各地域統括会社が、それぞれの地域のニーズに即した製品

開発を行うことで、グループをあげて、グローバルマーケットを視野に入れた最適な開発体制を構築しております。

 また、新興国市場の急激な拡大にも対応できる徹底した良品廉価活動による競争力の強化を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、38,450百万円であり、セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであり

ます。

①日本

 Toyota New Global Architecture(TNGA)の思想に基づいた新しいシート標準骨格を開発し、新型プリウスに

搭載されました。このシートは「環境・安全」の両面に配慮するとともに、「軽量化・高剛性化」、さらに、生産の

合理化対応の構造など、高い次元でバランスのとれた骨格となっております。また、身体にフィットするシート構造

を追及することで、シート全体の「乗り心地性能」の向上を実現しております。

 航空機シート開発におきましては、当社初の専用シートが全日本空輸㈱の国内線ボーイング767へ搭載され、5月

より就航を開始しております。このシートは、自動車で培った技術・知見を最大限に活かし、どなたでもリラックスできる姿勢を保持できるという特長を持つとともに、体格差を考慮したレイアウトを追求することで、使いやすさと心地よさも、実現しております。

 また、当社のコア技術のひとつでもあります表皮一体発泡工法を用いたシートがレクサスGS Fに採用されまし

た。身体の曲線に合わせた理想的な凹断面形状で、優れたフィット感と高いホールド性を実現したこのシートは、

2013年5月に発売されたIS“F SPORT”を皮切りにレクサスRC F、燃料電池車MIRAIなど、順次採用

車種を拡大しています。

 

②北中南米

 特に記載すべき事項はありません。

 

③アジア・オセアニア

 特に記載すべき事項はありません。

 

④欧州・アフリカ

 特に記載すべき事項はありません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお

ります。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響

を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断して

おりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)

連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以

下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

① 製品保証引当金

 当社グループは製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、将来支出が見込まれる額を計上し

ております。従って、実際の製品保証費は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があり

ます。

② 退職給付に係る負債

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前

提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれ

ております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積さ

れ、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があり

ます。

③ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評

価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来

の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上され

る可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

当連結会計年度における世界経済は、米国においては景気が緩やかに回復し、欧州についても景気の持ち直し

が見られましたものの、中国の経済成長の鈍化、原油価格の下落による資源国に与える影響、また欧州・中東に

おける地政学的リスクの高まりなどにより、不透明感がより一層増してまいりました。また日本経済は、日銀に

よる金融政策などにより企業収益や雇用に改善がみられ、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、海外景気の

下振れ懸念、また昨年末からの円高の進行など、予断を許さない状況が続いております。

自動車業界におきましては、米国では、ガソリン価格安や緩やかな経済成長に支えられ、ピックアップトラッ

クやSUVを中心として販売台数は増加いたしました。また欧州でも景気の持ち直しにより販売台数は堅調に推

移いたしましたが、中国やタイなどアジア諸国においては経済成長の鈍化に伴い、厳しい状況が続いておりま

す。また、日本においては、人気新型車の投入などにより普通車は前年並みの販売台数を確保できましたが、こ

れまで堅調であった軽自動車では、軽自動車税率見直しの駆け込み需要による反動的な販売減がみられ、全体と

しては緩やかな減少傾向が続いております。

このような情勢の中で、当連結会計年度の売上高は、1,415,772百万円と前連結会計年度に比べ110,270百万円

(8.4%)の増収となりました。営業利益は、59,492百万円と前連結会計年度に比べ27,099百万円(83.7%)

の増益となりました。経常利益は、56,123百万円と前連結会計年度に比べ15,031百万円(36.6%)の増益とな

りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の計上などにより、3,900百万円と前連結会計年度に比

べ1,303百万円(△25.0%)の減益となりました。

② 売上高

 売上高は、アジア・オセアニア地域での生産台数の増加や為替の影響などにより、1,415,772百万円と前連結会

計年度に比べ110,270百万円(8.4%)の増収となりました。

③ 営業利益

 営業利益は、主要車種のモデルチェンジに伴う生産準備費用等、諸経費の増加などによる減益要因はありまし

たが、増収の影響や合理化などの増益要因により、59,492百万円と前連結会計年度に比べ27,099百万円

(83.7%)の増益となりました。

④ 営業外損益

 営業外収益は、持分法による投資利益の減少などにより、6,722百万円と前連結会計年度に比べ6,513百万円

(△49.2%)の減少となりました。

 営業外費用は、為替の影響などにより、10,092百万円と前連結会計年度に比べ5,553百万円(122.4%)

の増加となりました。

 以上の結果、経常利益は、56,123百万円となり、売上高経常利益率は4.0%となりました。

⑤ 特別損益

 特別損益は、主に欧州・アフリカ地域の事業整理損失などにより、32,177百万円を特別損失として計上し

ました。

⑥ 法人税等及び法人税等調整額

 法人税等及び法人税等調整額は、12,713百万円と前連結会計年度に比べ1,673百万円(△11.6%)の減少となり

ました。また、税金等調整前当期純利益に対する比率は、前連結会計年度の57.9%から53.1%となりました。

⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主にアジア・オセアニアの連結子会社における利益の増加などにより、

7,331百万円と前連結会計年度に比べ2,088百万円(39.8%)の増加となりました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、3,900百万円と前連結会計年度に比べ1,303百万円(△25.0%)の減益と

なりました。なお、1株当たり当期純利益は21円02銭となりました。

 

(3) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は78,912百万円となりました。これは主に、売上債権の増加

19,430百万円、法人税等の支払額18,808百万円などによる資金の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益

23,945百万円、減価償却費41,012百万円などにより資金が増加したことによるものです。

投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は48,086百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却

による収入2,249百万円、定期預金の払戻による収入1,073百万円などによる資金の増加はありましたが、有形固

定資産の取得による支出36,392百万円、事業譲受による支出9,700百万円などにより資金が減少したことによるも

のです。

財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は8,739百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額

12,350百万円などによ資金の増加はありましたが、長期借入金の返済による支出39,468百万円などにより資金

が減少したことによるものです。

② 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資・出資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品

購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

③ 財務政策

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを

財務方針としております。設備投資・出資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主に金融機

関からの借入によって調達しております。

 資金マネジメントについては、当社と海外子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることに

より、グローバルな資金効率の向上を図っております。

 





出典: トヨタ紡織株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書