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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

①事業を取り巻く環境

 当連結会計年度の世界経済は、欧州連合(EU)の体制の変動による不安定要素や米国の新政権誕生など、先行き

不透明となりましたが、先進国を中心に年後半にかけて持ち直しの動きが広がりました。また、日本では、個人消費

の停滞が続きましたが、円安の進行などの影響もあり、企業収益や賃金、雇用にも改善がみられました。

 自動車業界におきましては、米国では、ガソリン価格安や経済・雇用の順調な回復に支えられ、ピックアップト

ラックやSUVを中心として、販売台数は増加しました。また欧州では、EUの不安定要素はありますが、全体的に

経済の安定化により販売台数は堅調に推移いたしました。新興国では、石油価格の下落など、資源国の台数伸び悩み

がありましたが、その他の地域は、比較的堅調な台数で推移してまいりました。また、日本においては、新型車の投

入などにより普通車は堅調に推移し、販売台数も500万台を超え、3年ぶりの増加となり、前年比2.8%の増加となり

ました。

 一方、IoT(Internet of Things)や人工知能などの技術革新が加速し、自動運転の進展など自動車を取り巻く

環境も大きく変貌した社会が、すぐそこまで来ているという期待が高まってまいりました。

②当期の事業概要

 このような情勢の中で当社グループは、当連結会計年度までの2年間を体質強化の期間と定め、原点に立ち返っ

て、「開発力と生産技術力・生産力の徹底的な強化」「経営情報基盤構築の加速」「いきいき働き方改革」を重点と

して足許固め、構造改革を推進してまいりました。特に、米州の収益構造改革、欧州の不採算事業の見直しについて

は、これまでの徹底した取り組みが実を結び、当連結会計年度の収益の改善に大きく貢献しています。

 こうした足許固めの取り組みに加え、将来を見据えた成長戦略の構築にも取り組みました。2030年の未来を予測

し、ありたい姿を明確にしたうえで、その実現のために必要な技術開発・能力構築の方向付けを行い、持続可能な成

長を目指した中期経営実行計画を策定しました。

技術開発・生産技術・生産

 発売以来、幅広いユーザー層から人気を博しているトヨタ自動車㈱のコンパクトSUVに、シート、内装部品、

エアフィルターが搭載されました。シートは、Toyota New Global Architecture(TNGA)の思想に基づいた標準

シート骨格の2車種目のモデルです。高いシートフレーム剛性に加え、最適なクッションパッド形状を追求したもの

で、しっかりとしたホールド感と包まれるような座り心地を実現しています。

 また、LEXUSの新型クーペに、匠の技で先進的なデザインと機能性を両立したシートや内装品が採用されまし

た。内装システムサプライヤーとして、次世代のLEXUSを象徴するクーペにふさわしい手触りや質感を追求し、

上質な車室空間を実現しました。

 自動車以外では、映画館用シートのデザイン監修を初めて担当しました。2016年7月に愛知県名古屋駅前にオー

プンした「ミッドランドシネマ2」において、当社デザインのプレミアムシートが設置され、お客様に特別な時間を

提供する空間として多くのメディアで紹介されました。

 また、2016年4月、米国のシリコンバレーに、トヨタ紡織アメリカ㈱シリコンバレーオフィスを新設しました。

当社の日本の基礎研究所や世界各地域における開発センターとも連携し、自動運転や移動空間に関する先進技術の情

報調査・分析活動をさらに強化してまいります。

事業展開

 2017年3月、㈱タチエスと、自動車用シート事業におけるグローバル市場での競争力強化を目的として、業務提携

契約を締結いたしました。自動運転技術の急速な進歩など自動車を取り巻く環境が大きく変貌することが予測される

中、自動車のシートにおいても、求められる機能・価値が今までにないスピードで変化していこうとしています。将

来を見据えた新たな技術開発やモノづくり革新により、一層の競争力強化に取り組む両社は、この取り組みをさらに

推進するために業務提携を行い、今後、両社が保有する知見・ノウハウ・経営資源を相互活用し、さらなる競争力の

向上を目指してまいります。

 また、2016年11月より、三井化学㈱と、高耐衝撃プラスチックの事業化に向けた業務提携を検討してきました。こ

れにより、「高耐衝撃プラスチック」を自動車用シートやドアトリムなど当社製品だけでなく、三井化学製の改質材

のひとつとして、自動車市場や産業財、消費財市場における他部品や自動車分野以外への採用拡大を期待しています。

CSR・環境活動の推進

 持続可能な地球環境を目指し、当社グループが一体となって地球環境保全を推進していくため、2050年環境ビ

ジョンと2020年環境取り組みプランを策定しました。2050年環境ビジョンは、気候変動などの環境問題に対し、

CO2排出量ゼロを目指す取り組みなど、6つのチャレンジ目標を掲げたもので、未来の子どもたちが笑顔で暮らせ

る社会の実現のために、ステークホルダーの皆様と一致協力して取り組んでいきたいと考えております。

 

 また、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人2017 〜ホワイト500〜」に認定されました。

これは、優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度で、当社が社員の健康づくりに積極的に取り組んでいる

ことが評価されたものです。

 「多様な人材がいきいき活躍できる環境整備」を重点項目のひとつに掲げ、各職場で上司と部下のコミュニケー

ション活性化や、業務の効率化、高い意欲を持って挑戦できる仕組みづくりなど「いきいき働き方改革」に取り組ん

でいます。当社は今後も、一人ひとりが心身ともに健康で安心して働くことのできる職場づくりを目指していき

ます。

 

 連結売上高につきましては、欧州地域などの増産はありましたが、為替の影響などにより、前連結会計年度に比べ

57,859百万円(△4.1%)減少の1,357,913百万円となりました。

 利益につきましては、製品価格変動や為替の影響などによる減益要因はありましたが、商品力を向上させた新製品

の増産による影響や合理化などの増益要因により、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ12,443百万円(20.9%)

増加の71,936百万円、連結経常利益は、前連結会計年度に比べ21,101百万円(37.6%)増加の77,224百万円となりま

した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ41,459百万円増加の45,359百万円となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 日本

 当地域におきましては、製品構成の変化などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ7,622百万円(△1.0%)減

少の718,642百万円となりました。営業利益につきましては、競争力強化のための先行投資の影響などにより、前連

結会計年度に比べ2,989百万円(△11.5%)減少の23,084百万円となりました。

 

② 北中南米

 当地域におきましては、為替の影響などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ21,002百万円(△6.6%)減少

の295,403百万円となりました。営業利益につきましては、北米での車種構成の変化や合理化などにより、前連結会

計年度に比べ9,053百万円(214.9%)増加の13,267百万円となりました。

 

③ アジア・オセアニア

 当地域におきましては、中国などでの増産はありましたが、為替の影響などにより、売上高は、前連結会計年度に

比べ29,535百万円(△8.3%)減少の327,673百万円となりました。営業利益につきましては、車種構成の変化や主力

車種のモデルチェンジに伴う増産の影響などにより、前連結会計年度に比べ985百万円(3.1%)増加の33,145百万円

となりました。

 

④ 欧州・アフリカ

 当地域におきましては、生産台数の増加はありましたが、欧州事業再編や為替の影響などにより、売上高は、前連

結会計年度に比べ5,869百万円(△6.1%)減少の90,694百万円となりました。営業利益につきましては、欧州事業再

編の影響や、新製品立上げに伴う増産の影響などにより、前連結会計年度に比べ5,140百万円増加の2,232百万円とな

りました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、144,889百万円と前連結会計年度末に比

べ16,014百万円(△10.0%)の減少となりました。

 営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は95,389百万円となりました。これは主に、法人税等の支払額19,666

百万円、売上債権の増加10,903百万円などによる資金の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益79,079百万

円、減価償却費36,228百万円などにより資金が増加したことによるものです。

 投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は48,927百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却によ

る収入1,055百万円などによる資金の増加はありましたが、有形固定資産の取得による支出31,439百万円、事業整理

に伴う支出11,149百万円などにより資金が減少したことによるものです。

 財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は61,347百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入

1,083百万円などによ資金の増加はありましたが、長期借入金の返済による支出25,526百万円、短期借入金の純増

減額24,538百万円などにより資金が減少したことによるものです。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

  至 2017年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

686,297

△0.1

北中南米(百万円)

268,358

△8.5

アジア・オセアニア(百万円)

293,435

△8.6

欧州・アフリカ(百万円)

73,939

△14.0

合計

1,322,031

△4.7

 (注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注状況

 当社グループは、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとする各納入先より、四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しております。

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

  至 2017年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

669,156

△0.4

北中南米(百万円)

291,444

△6.7

アジア・オセアニア(百万円)

308,588

△8.8

欧州・アフリカ(百万円)

88,723

△4.8

合計

1,357,913

△4.1

 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2015年4月1日

  至 2016年3月31日)

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

  至 2017年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

398,111

28.1

391,585

28.8

トヨタ車体㈱

147,563

10.4

152,636

11.2

トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ㈱

153,227

10.8

146,163

10.8

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、経営の基本方針を次のとおり「基本理念」として掲げております。

 ① 社会  よき企業市民として社会との調和ある成長を目指す。

       ・企業倫理の徹底をはかり、公正で透明な企業活動の推進。

       ・クリーンで安全な商品を提供することを使命とし、地球環境保護を重視した企業活動の推進。

       ・地域社会の一員としての役割を自覚し、よい社会づくりに貢献。

 ② お客様 革新的な技術開発、製品開発に努め、お客様に喜ばれる、よい商品を提供する。

 ③ 株主  将来の発展に向けた革新的経営を進め、株主の信頼に応える。

 ④ 社員  労使相互信頼を基本に、社員の個性を尊重し、安全で働きやすい職場環境をつくる。

 ⑤ 取引先 開かれた取引関係を基本に、互いに研鑚に努め、共に長期安定的な成長を目指す。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 今後の世界経済の見通しにつきましては、当面回復基調が続くと予想されますが、米国政権の保護主義政策・財

政政策の動向や、欧州での政治の動向には留意が必要です。また、欧州、中東、東アジアなどの地域における地政

学リスクの発生は予断を許さず、世界経済の不透明感は否めません。日本経済は回復局面にあるものの、こういっ

た外部要因により大きな影響を受ける可能性があり、その波及の仕方によっては厳しい経営環境になることが予想

されます。

 また、技術の進化に目を向けますと、IoT(Internet of Things)や人工知能といった技術の進展は目覚まし

く、こうした技術革新とともに私たちの社会環境は大きく変わりつつあります。自動車業界においても、自動運転

化の進展や、燃料電池自動車或いは電気自動車といったエコカーの急増など、モビリティーを取り巻く環境も大き

く変貌していくことが予想されます。このような中で当社グループは、体質強化の取り組みに加えて、中長期を見

据えた成長戦略を構築し、将来のありたい姿を定めました。そしてこのありたい姿実現に向けたロードマップとし

て「中期経営実行計画」を策定、社会との調和ある、持続可能な成長を追求することで中長期的な企業価値向上を

目指してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクに以下のようなものがありま

す。しかし、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存

在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2017年6月14日)現在において当社グループ

が判断したものであります。

 

(1) 経済状況等

  当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。重要な部分

を占める自動車関連製品の需要は、製品・サービスを提供している国又は地域の経済状況の影響を受けることにな

ります。従って、日本、北中南米、アジア、欧州を含む当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う

自動車需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合がありま

す。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価

格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や

原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる

可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び

財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。

 

(2) 特定の取引先への依存

 当社グループは、自動車内装品をはじめとした各種自動車部品を主にトヨタ自動車㈱に販売しており、当

連結会計年度の売上高に占める同社への割合は、28.8%となっております。そのため、同社の自動車販売動向に

よっては、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合39.7%、間接所有割合

0.1%であります。

 

(3) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループの生産及び販売活動は、日本をはじめ北中南米、アジア、欧州など幅広い市場で展開しているた

め、これらの地域市場への事業進出には各国諸事情の違いにより次のようないくつかのリスクが内在しておりま

す。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への影響

③不利な政治的または経済的要因の発生

④人材の採用・確保と労働問題に係るリスク

⑤テロ、戦争、その他要因による社会的混乱

 

(4) 為替レートの変動

 当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。各地域にお

ける売上、費用、資産、負債を含む外貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これら

の項目は換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなくても、円換算後の価値が影響を受ける可

能性があります。一般に、他の通貨に対する円高は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能

性があります。

 

(5) 価格競争

 自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっております。特に自動車メーカーからの価格引き下げ

要請は、近年特に強まってきております。

 また、当社グループは、技術、品質、価格に優れた製品を全世界に供給し、顧客の要望に対応できる企業と考え

ておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はありません。これは当社グループの属している各製

品市場、地域市場において新しい競合先、既存の競合先間の提携により市場シェアを急速に拡大する可能性がある

ためです。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの経営成績及び財務状況

に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 原材料、部品供給元への依存

 当社グループの生産は、原材料・部品を複数のグループ外供給元に依存しております。当社グループは、グルー

プ外供給元と取引基本契約を結び、原材料・部品の安定的な取引を安定的な生産の前提としておりますが、供給逼

迫による世界的な品不足や供給元の不慮の事故・大規模な震災などにより、原材料・部品の不足が生じないという

保証はありません。その場合、生産の遅れを招き、また、原価を上昇させる可能性があります。

 

(7) 新製品の開発力

 当社グループは、経営の基本理念の一つである「革新的な技術開発、製品開発に努め、お客様に喜ばれる、良い

商品を提供する」のもと、高度化・多様化する市場のニーズを先取りし、顧客の満足が得られるよう、新製品開発

に努めております。今後も継続して新製品を開発し、販売できると考えておりますが、そのプロセスは複雑かつ不

確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクがあります。

 ①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後、十分充当できる保証はありません。

 ②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術へつながる保証はありません。

 ③技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品価値が急激に低下する可能性があります。

 ④現在開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要に対応できず、収益機会を逸する可能性があります。

 

(8) 知的財産権

 当社グループは、他社製品と差別化を図るため、技術とノウハウの蓄積と、これらの保護について努力を傾注し

ておりますが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であったり、または限定的にしか保護されない

状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを防止できな

い可能性があります。また、他社が類似する、もしくは、当社グループより優れている技術を開発したり、当社グ

ループの特許や企業秘密を模倣又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに、当社グループは

他社の知的財産権に配慮しながら製品や技術の開発を行っておりますが、これらが将来的に他社の知的財産権を侵

害していると判断される可能性があります。

 

(9) 商品の欠陥

 当社グループは、経営の基本理念の一つに「クリーンで安全な商品を提供することを使命とし、地球環境保護を

重視した企業活動の推進」を掲げ、総力をあげて品質向上に取組んでおります。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来リコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。

 また、製造物責任賠償について、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカ

バーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼし、売上の低下、収益の悪化などにより、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 災害や停電等による影響

 当社グループは、製造中断によるマイナス影響を最小化するため、生産設備の定期的な検査、点検を行っており

ます。しかし、当社グループならびに仕入先企業の生産施設で発生する人的・自然的災害、停電などの中断事象に

よる影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の

多くは、東海地方に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可

能性があります。遅延・停止が長期間にわたる場合、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能

性があります。

 

(11) 退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率などの数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は変更された場合は、将来の期間に認識される費用及び計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 上記リスク等が予期せぬ事象を招き、生産活動及びその他事業の遂行に問題を生じさせる可能性があります。こ

れらの事象は、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

 

6【研究開発活動】

研究開発活動の基本方針

 当社グループでは、「お客様に信頼と満足をお届けする製品の開発」という基本的な考えのもと、当社独自の技術

や仕組みにより、世界のあらゆるお客様の期待に応えられる魅力的で高品質な商品開発に取り組んでおります。

そのために、年々高度化・多様化するお客様のニーズを先取りし、他社を凌駕する魅力的な技術・商品開発、

及びコア技術の更なる熟成を図っております。また、各地域統括会社が、それぞれの地域のニーズに即した製品

開発を行うことで、グループをあげて、グローバルマーケットを視野に入れた最適な開発体制を構築しております。

 また、新興国市場の急激な拡大にも対応できる徹底した良品廉価活動による競争力の強化を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、37,884百万円であり、セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであり

ます。

 

①日本

 2016年12月の発売以来、幅広いユーザー層から人気を博しているトヨタ自動車㈱のコンパクトSUVに、シート、

内装部品、エアフィルターが搭載されました。シートは、高いシートフレーム剛性に加え、最適なクッションパッド

形状を追及したもので、しっかりとしたホールド感と包まれるような座り心地を実現しています。

 また、LEXUSの新型クーペに、匠の技で先進的なデザインと機能性を両立したシートや内装品が採用されまし

た。内装システムサプライヤーとして、次世代のLEXUSを象徴するクーペにふさわしい手触りや質感を追求し、

上質な車室空間を実現しました。

 材料開発技術においては、2016年5月に横浜市にて開催された「人とくるまのテクノロジー展2016」に世界トップ

クラスの軽量化と衝撃強度を両立した軽量発泡基材や、意匠性とリラックス・抗菌効能を有したヒノキ複合プラス

チック材を出品し、自動車部品などへの活用例を提案いたしました。

 自動車以外では、映画館用シートのデザイン監修を初めて担当しました。2016年7月に愛知県名古屋駅前にオー

プンした「ミッドランドシネマ2」において、当社がデザイン監修したプレミアムシートが設置され、お客様に特別

な時間を提供しています。

 

②北中南米

 2016年4月に米国のシリコンバレーにトヨタ紡織アメリカ㈱シリコンバレーオフィスを新設しました。当社の日本

の基礎研究所や世界各地域における開発センターとも連携し、自動運転や移動空間に関する先進技術の情報調査・分

析活動をさらに強化してまいります。

 

③アジア・オセアニア

 特に記載すべき事項はありません。

 

④欧州・アフリカ

 特に記載すべき事項はありません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお

ります。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響

を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断して

おりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)

連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以

下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

① 製品保証引当金

 当社グループは製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、将来支出が見込まれる額を計上し

ております。従って、実際の製品保証費は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があり

ます。

② 退職給付に係る負債

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前

提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれ

ております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積さ

れ、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があり

ます。

③ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評

価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来

の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上され

る可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

当連結会計年度の世界経済は、欧州連合(EU)の体制の変動による不安定要素や米国の新政権誕生など、先

行不透明となりましたが、先進国を中心に年後半にかけて持ち直しの動きが広がりました。また、日本では、個

人消費の停滞が続きましたが、円安の進行などの影響もあり、企業収益や賃金、雇用にも改善がみられました。

自動車業界におきましては、米国では、ガソリン価格安や経済・雇用の順調な回復に支えられ、ピックアップ

トラックやSUVを中心として、販売台数は増加しました。また欧州では、EUの不安定要素はありますが、全

体的に経済の安定化により販売台数は堅調に推移いたしました。新興国では、石油価格の下落など、資源国の台

数伸び悩みがありましたが、その他の地域は、比較的堅調な台数で推移してまいりました。また、日本において

は、新型車の投入などにより普通車は堅調に推移し、販売台数も500万台を超え、3年ぶりの増加となり、前年比

2.8%の増加となりました。

一方、IoT(Internet of Things)や人工知能などの技術革新が加速し、自動運転の進展など自動車を取り

巻く環境も大きく変貌した社会が、すぐそこまで来ているという期待が高まってまいりました。

このような情勢の中で、当連結会計年度の売上高は、1,357,913百万円と前連結会計年度に比べ57,859百万円

△4.1%)の減収となりました。営業利益は、71,936百万円と前連結会計年度に比べ12,443百万円(20.9%)

の増益となりました。経常利益は、77,224百万円と前連結会計年度に比べ21,101百万円(37.6%)の増益とな

りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、45,359百万円と前連結会計年度に比べ41,459百万円増加となり

ました。

② 売上高

 売上高は、為替の影響などにより、1,357,913百万円と前連結会計年度に比べ57,859百万円(△4.1%)の減収

となりました。

③ 営業利益

 営業利益は、製品価格変動の影響や為替の影響などによる減益要因はありましたが、増産の影響や合理化など

の増益要因により、71,936百万円と前連結会計年度に比べ12,443百万円(20.9%)の増益となりました。

④ 営業外損益

 営業外収益は、欧州における事業再編に関連する雑収入などにより、10,305百万円と前連結会計年度に比べ

3,583百万円(53.3%)の増加となりました。

 営業外費用は、為替の影響などにより、5,017百万円と前連結会計年度に比べ5,074百万円(△50.3%)

の減少となりました。

 以上の結果、経常利益は、77,224百万円となり、売上高経常利益率は5.7%となりました。

⑤ 特別損益

 特別損益は、受取保険金による特別利益を3,585百万円計上し、固定資産減損損失による特別損失を1,730百万

円計上しました。

⑥ 法人税等及び法人税等調整額

 法人税等及び法人税等調整額は、25,142百万円と前連結会計年度に比べ12,428百万円(97.8%)の増加となり

ました。また、税金等調整前当期純利益に対する比率は、前連結会計年度の53.1%から31.8%となりました。

⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主に北中南米地域の連結子会社における利益の増加などにより、8,577百

万円と前連結会計年度に比べ1,246百万円(17.0%)の増加となりました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、45,359百万円と前連結会計年度に比べ41,459百万円の増益となりまし

た。なお、1株当たり当期純利益は244円28銭となりました。

 

(3) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は95,389百万円となりました。これは主に、法人税等の支払額

19,666百万円、売上債権の増加10,903百万円などによる資金の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益

79,079百万円、減価償却費36,228百万円などにより資金が増加したことによるものです。

投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は48,927百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却

による収入1,055百万円などによる資金の増加はありましたが、有形固定資産の取得による支出31,439百万円、事

業整理に伴う支出11,149百万円などにより資金が減少したことによるものです。

財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は61,347百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収

入1,083百万円などによ資金の増加はありましたが、長期借入金の返済による支出25,526百万円、短期借入金の

純増減額24,538百万円などにより資金が減少したことによるものです。

② 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資・出資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品

購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

③ 財務政策

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを

財務方針としております。設備投資・出資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の

発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主に金融機

関からの借入によって調達しております。

 資金マネジメントについては、当社と海外子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることに

より、グローバルな資金効率の向上を図っております。

 





出典: トヨタ紡織株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書