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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
 (1) 業績
当社グループは、「Finechemical Specialistとして独自技術を開発、駆使し、価値ある製品を創出してお客さまに提供し、お客さまとともに発展していくことにより、人類社会の福祉の増進に貢献していく」ことを経営方針として、お客さま、従業員、株主各位ならびに地域社会から真に信頼される存在となることを目指しております。
この方針の下、当社グループは、液晶ポリマー(LCP)原料の“ビフェノール”、半導体や液晶ディスプレー(LCD)向けの“フォトレジスト材料”、ビタミンE原料の“トリメチルフェノール”、特殊ポリカーボネート樹脂や特殊エポキシ樹脂原料の“特殊ビスフェノール”の4事業をコア事業(注)と位置づけ、国内外において積極的な事業活動を展開しております。 
当社グループは、ますます高度化・多様化する市場ニーズに的確に応えるため、情報・通信、自動車、医薬などのニッチ分野向けを中心に、独自の技術による各種のファインケミカル製品を製造販売しております。 
(注)「コア事業」とは、次の3条件を満たす事業と位置付けております。
①成長する市場がある
②独自技術が活用できる
③世界のマーケットシェア1位または2位
当連結会計年度におきましては、国内経済が企業収益の改善による設備投資の増加などを背景に緩やかながらも回復基調をたどり、IT関連機器やデジタル家電分野においても、期後半において一部製品の在庫積み増しがみられたものの、総じていえば生産・在庫調整が終了し需要が回復したため、国内向けのビフェノール及びフォトレジスト材料の販売は、順調に推移しました。また、トリメチルフェノール及び特殊ビスフェノールについては、海外での需要が旺盛であったため、引き続き輸出を中心に好調でありました。しかしながら、一方では、ビフェノールの輸出が不調なまま推移するとともに、期前半における原油価格の急騰による主要原材料の値上げなど、依然として収益圧迫要因を抱えた不安定な事業環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、さらなる収益の改善・向上と強固な事業基盤を構築するため、コア製品を中心とした積極的な販売活動の展開と新規製品・新規用途の開発に注力するとともに、事業採算性の改善を目的とした製造プラントの合理化など競争力強化のための諸施策を経営全般にわたって推進してまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高19,011百万円(前年同期比+10.7%)、経常利益 1,943百万円(同+29.2%)、当期純利益982百万円(同+7.9%)の増収増益となりました。
営業部門別の売上高はつぎのとおりであります。
<高機能樹脂原料>
・ビフェノール
ビフェノールは、パソコン・携帯電話等のIT関連機器やデジタル家電の電子部品に用いられる耐熱性、精密成型性に優れた液晶ポリマー(LCP)の主原料として使用されており、中長期的に需要の拡大が見込まれております。
 当社は、高品質の製品を安定的に製造できる連続プロセス方式による世界最大規模のビフェノール製造プラント(生産能力6,000トン/年)を有しており、現在世界におけるトップメーカーの地位を築いております。
当連結会計年度におきましては、国内においてIT関連機器やデジタル家電の生産・在庫調整終了による需要回復を背景に販売が順調に推移したため、国内の売上高は増加しましたが、輸出については米国の大手ユーザーによる購入が減少し大きく落ち込んだため、国内外を合わせた売上高はほぼ前連結会計年度並みとなりました。
なお、当社は、ビフェノール事業の競争力を強化するため、昨年の夏に生産効率のさらなる向上を目的とした製造プラントの合理化を行っております。
・特殊ビスフェノール
特殊ビスフェノールは、耐熱性、光学特性に優れた特殊ポリカーボネート樹脂や特殊エポキシ樹脂の原料として使用されております。特殊ポリカーボネート樹脂は自動車用部品や光学用電子部品向けに、特殊エポキシ樹脂はエポキシ封止剤・積層板用途向けに今後の需要の増大が見込まれております。
 当連結会計年度におきましては、Hi-Bis GmbH(ハイビス社)によるバイエル社への特殊ポリカーボネート樹脂向けの販売を中心に引き続き好調に推移したため、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
 なお、バイエル社からの特殊ビスフェノールの増産要請に応えるため、和歌山工場所在の既存プラントの転用による生産を目的として、昨年9月より実施しておりました改造工事につきましては、本年3月末に完了することができました。
なお、Hi-Bis GmbH(ハイビス社)では、特殊ビスフェノールの製造プラント(生産能力5,000トン/年)をドイツ・ザクセン アンハルト州ビッターフェルド地区に設置しており、平成16年12月から特殊ポリカーボネート樹脂の原料用としてバイエル社に対する販売活動を開始しました。 
以上の結果、高機能樹脂原料部門の売上高は、7,021百万円(前年同期比+12.8%)となり、総売上高に占める割合は、36.9%(同+0.7ポイント)となりました。
<高機能化学品>
・フォトレジスト材料
半導体及び液晶ディスプレー(LCD)の製造過程で使用されるフォトレジスト材料は、当期におきましては、IT関連機器やデジタル家電の生産・在庫調整の終了による需要の回復を背景に、半導体用及びLCD用のいずれも販売が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
・トリメチルフェノール
主として家畜用飼料の添加剤に使用されるビタミンE原料のトリメチルフェノールは、当連結会計年度におきましては、海外での需要増大を背景に輸出が好調に推移したため、売上高は前連結会計年度に比べ大幅に増加しました。
・その他メタパラクレゾール誘導品
トリメチルフェノール以外のメタパラクレゾール誘導品は、当連結会計年度におきましては、酸化防止剤向けの需要が特に堅調であったため、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、高機能化学品部門の売上高は、10,013百万円(前年同期比+10.2%)となり、総売上高に占める割合は、52.7%(同△0.2ポイント)となりました。
<その他化成品>
当連結会計年度におきましても、事業構造の改善を目的として、引き続きリセール製品の整理・削減を実施しましたが、受託生産品の販売数量が増加したため、その他化成品部門の売上高は、前連結会計年度を上回る1,976百万円(前年同期比+5.8%)となり、総売上高に占める割合は、10.4%(同△0.5ポイント)となりました。
 (2) キャッシュ・フローの状況
・営業活動によるキャッシュ・フローは、2,286百万円(前年同期比15.9%減)の収入となりました。これは主に売掛金の増加等によるものであります。
・投資活動によるキャッシュ・フローは、1,359百万円(同26.7%増)の支出となりました。これは主に政府補助金収入がなくなったこと等によるものであります。
・財務活動によるキャッシュ・フローは、998百万円(同28.2%減)の支出となりました。これは主に短期借入金の借入等によるものであります。
・この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度に比べ11百万円増加し、1,175百万円となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1) 生産実績
 生産実績の事業の種類別セグメント情報の記載は、ファインケミカル製品の製造・販売のみの単一事業であるので省略しております。
なお、当連結会計年度の生産実績を部門別に示すと、次の通りであります。
部門別
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
高機能樹脂原料(百万円)
7,178
+8.4 
高機能化学品(百万円)
9,855
+14.2 
その他化成品(百万円)
1,632
+6.8 
合計(百万円)
18,666
+11.2 
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 製品仕入実績
 製品仕入実績の事業の種類別セグメント情報の記載は、ファインケミカル製品の製造・販売のみの単一事業であるので省略しております。
 なお、当連結会計年度の製品仕入実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
部門別
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
高機能樹脂原料(百万円)
高機能化学品(百万円)
415
+0.4
その他化成品(百万円)
291
△20.0
合計(百万円)
706
△9.1
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 受注状況
 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4) 販売実績
 販売実績の事業の種類別セグメント情報の記載は、ファインケミカル製品の製造・販売のみの単一事業であるので省略しております。
なお、当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次の通りであります。
部門別
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
高機能樹脂原料(百万円)
7,021
+12.8
高機能化学品(百万円)
10,013
+10.2
その他化成品(百万円)
1,976
+5.8
合計(百万円)
19,011
+10.7
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度年度の主要な相手先別販売高及び割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
三井物産㈱
8,518
49.6
9,106
47.9
三井化学㈱
1,985
11.6
2,104
11.1
3【対処すべき課題】
今後の事業環境につきましては、引き続き国内景気が個人消費や設備投資の増加を背景に緩やかながらも拡大基調のなかで推移すると予測され、このような状況のなかでIT関連機器やデジタル家電の需要も概ね順調に伸長していくものと見込まれます。しかしながら、一方では、原油価格の動向、為替相場の変動やアメリカ経済の減速などの懸念要因があり、先行きは依然不透明であり、また当社主力製品の競合他社との競争激化も予想されるため、なお予断を許さない状況が続くものと見込まれます。
 このような環境のもとで、当社グループは、原材料コストに対応した製品価格の改定に努める一方、持続的成長が可能な収益力のある企業基盤の構築を図るため、既存製品の販売活動を強化するとともに、成長が期待される情報電子・高機能樹脂分野での事業拡大を目的とした新規製品・新規用途の開発を促進していくほか、業務全般にわたる合理化・効率化によるコストダウンの徹底に一層努めてまいる所存であります。
4【事業等のリスク】
当社及び連結子会社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成19年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
①景気変動
当社コア事業の内、フォトレジスト材料及びビフェノールについては、その需要の大半をIT業界に依存しており、IT業界の景気変動が当社業績に大きな影響を及ぼすこととなります。
②為替レートの変動
当社売上高の内、3割程が輸出であります。輸出の大半はドル建であり、残りはユーロ建と円建であります。又、連結子会社ハイビス社の財務諸表はユーロを円に換算して連結されています。
 ドル及びユーロの為替レートの変動が当社の業績及び財務状況などに影響を及ぼすこととなります。
③競合
当社はニッチ市場において特長ある製品の安定供給に努めていますが、急激な需要伸長の際には新たな競合が生じ、当社の業績及び財務状況などに影響を及ぼす可能性があります。
④原料調達
当社は、主要原料であるフェノール及びメタパラクレゾールを三井化学㈱から購入しています。特にメタパラクレゾールは、同社と他社1社の寡占製品であるため、その安定調達は三井化学㈱の操業状況に大きく依存しています。
⑤訴訟事件等
該当事項はありません。
⑥安全の確保
当社及び連結子会社は、化学メーカーとして安全の確保を第一義として生産活動に従事しています。社員教育及び設備対応に万全を期す所存であります。
⑦法令遵守
当社及び連結子会社は、社会の一員として法令遵守を第一義として、研究・生産・販売活動に従事しています。社員一人一人があらゆる局面で法令を遵守するよう社内教育の徹底を図る所存であります。
5【経営上の重要な契約等】
①当社は、三井物産㈱と一手販売契約を締結しております。
②当社は、三井物産㈱、ドイツ三井物産㈲、バイエル㈱およびハイビス社とドイツにおけるビスフェノールプロジェクトに関する合弁会社契約を締結しております。
6【研究開発活動】
当社は「Finechemical Specialist として独自技術を開発、駆使し、価値ある製品を創出してお客さまに提供し、お客さまとともに発展していく」ため、研究開発活動を継続的に行っております。特に「独自技術の強化」及び「顧客との緊密な連携による独自製品の創出」を基本とし、合成研究、プロセス開発、試作から製造・販売に至る迄一貫した研究開発を遂行しております。
当連結会計年度の主要な研究開発内容は以下の通りであります。
①特殊ポリカ−ボネート樹脂及び特殊エポキシ樹脂用特殊ビスフェノ−ル類の開発
②次世代フォトレジスト材料の開発
③感光性ポリイミド樹脂用材料の開発
④液晶材料用中間体の開発
⑤光学用途向け特殊樹脂用シクロオレフィンモノマ−の開発
⑥ビフェノ−ルプラントの合理化研究 他
尚、当連結会計年度の研究開発費は533百万円であり、対売上高比率は2.8%であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
本分析は、当社の代表取締役が行い、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成19年6月28日)現在において、当社の代表取締役が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に準拠して作成しております。
当社連結財務諸表作成において使用されている重要な会計方針は、以下の通りであります。
①  棚卸資産の評価 
・総平均法による原価法を採用する一方、定期的に陳腐化の有無を確認し、適時評価減・廃棄損を計上することとしております。 
②  機械装置の減価償却の方法
・定額法を採用する一方、実質的残存価値(零)迄償却しております。
・当連結会計年度末における減価償却超過額は、888百万円であります。
③  退職給付会計
・当連結会計年度末の退職給付債務は、2,435百万円であります。この内、1,423百万円を適格年金資産とし、1,059百万円を退職給付引当金に計上しております。
・退職給付債務の算定に当たり、割引率及び期待運用収益率は、3%を使用しております。又、数理計算上の差異の償却年数は3年を使用しております。
・数理計算上の差異は、前々連結会計年度6百万円、前連結会計年度は184百万円、当連結会計年度は231百万円発生しております。年金資産運用実績が当社業績に影響を及ぼすこととなります。
④  税効果会計
・当連結会計年度末の繰延税金資産(純額)は、808百万円であります。超過償却・退職給付引当金等を原因とする繰延税金資産1,013百万円と、固定資産圧縮積立金等を原因とする繰延税金負債205百万円の差引額を計上しております。
・繰延税金資産1,013百万円の計上に当たっては、将来ともある程度の課税所得が発生することを前提に回収可能性を判断しております。当社業績が悪化した場合、既計上額の回収可能性に疑義が生じ、それを取崩す(期間損益が更に悪化する)可能性があります。
(2) 経営成績の分析
①  売上高 
・当連結会計年度は、IT関連機器やデジタル家電の需要回復と、連結子会社ハイビス社が順調に推移したため、対前年同期比1,835百万円増の19,011百万円になりました。
②  経常利益
・原料価格の高騰による減益を、増販利益及びコスト削減でカバ−し、対前年同期比439百万円増の1,943百万円となりました。
③  当期純利益
・当期純利益は、対前年同期比71百万円増の982百万円となりました。
(3) 流動性及び資金の源泉
・連結子会社は、予定通り建設資金の返済を開始しております。




出典: 本州化学工業株式会社、2007-03-31 期 有価証券報告書