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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当期の世界経済は、米国を中心とした底堅い先進国景気が全体を下支えしたものの、中国ほか新興国・資源国における景気の減速基調が継続する中で、世界的に景気の停滞感が強まりました。また国内景気の回復も、輸出や個人消費の伸び悩み等を背景に緩慢なものとなりました。

このような状況のもと、帝人グループの当期の連結決算(累計)は、売上高としては樹脂シンガポール工場の生産停止に伴う減収影響があったものの、製品事業やヘルスケア事業等の増収により前年同期比0.6%増の7,907億円となりました。営業利益は、素材事業が原燃料価格の低下や、構造改革効果により大幅増益となったことに加え、ヘルスケア事業も主力製品・サービスが堅調に推移したことから、前年同期比280億円増加し671億円(前年同期比71.7%増)となりました。

一方、経常利益は持分法による投資損失(関連会社出資金の評価損失等)があったものの、同179億円増の603億円(同42.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の減少等もあり同392億円増の311億円となりました。また1株当たり当期純利益は31円63銭(同39円86銭増)となりました。

 

当連結会計年度における事業の概況は次のとおりです。

高機能繊維・複合材料事業

:[売上高 1,330億円(前期比 1.9%減)、営業利益 185億円(同 28.9%増)]

<高機能繊維分野:自動車関連用途が堅調に推移、炭素繊維・複合材料分野:航空機・一般産業用途向けが順調、新商品開発と川下展開加速>

高機能繊維分野における、パラアラミド繊維「トワロン」が欧州のタイヤ向け等自動車関連用途向けの販売を順調に拡大し、また防弾用途でも販売が回復傾向となりました。反面、ユニフォーム用途や光ファイバー用途向けは低調な推移となりました。パラアラミド繊維「テクノーラ」は、国内の自動車関連用途と海外のインフラ関連用途向け販売が好調に推移し、収益も大きく改善しました。「テクノーラ」については、優れた耐疲労性、耐薬品性等が評価され、より過酷な条件下での用途拡大が進んでおり、生産もフル稼働の状況が続いているため、製糸工程の増設等により、生産能力を約10%増強することを本年3月に決定しました。

メタアラミド繊維「コーネックス」は、市場が拡大しているフィルター用途では厳しい競合環境が継続していますが、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。

このような環境のもと、優れた熱防護性と安定した染色性を持つ新規メタアラミド繊維「Teijinconex neo」について、昨年8月よりタイ新工場での生産・販売を開始しており、難燃規制・環境規制強化を背景に高い成長が見込まれるアジア・新興国での同素材の事業拡大を図っています。

ポリエステル繊維は、タイ子会社では同国内での自動車関連用途の販売が伸び悩みましたが、一方衛材・詰綿等の販売が堅調に推移し、加えて原料価格低下やその他コストダウンの寄与もあり、収益は底堅く推移しました。日本国内でも自動車関連用途の販売は盛り上がりを欠きましたが、需要の堅調な水処理用RO膜支持体向け等の増販やコストダウンにより、収益確保を図っています。また、将来の更なる競争力強化に向けて、国内生産体制の再編とタイ子会社への生産移管を推進しています。

炭素繊維・複合材料分野では、炭素繊維「テナックス」が、航空機メーカー各社からの好調な受注を受け、航空機用途向けの販売が順調に推移しました。その他の用途では、一般産業用途の販売は堅調でしたが、アジア地域におけるスポーツ・レジャー用途は昨年央より需給バランスが軟化しました。耐炎繊維「パイロメックス」の販売は、航空機のブレーキ材向け等の需要好調を背景に堅調に推移しました。また一昨年秋から続く原燃料価格の低下も収益の押し上げに寄与しました。

このような状況のもと、航空機や自動車用途において求められる高強度と高弾性率を両立した新しい炭素繊維「テナックスXMS32」や、熱可塑性樹脂を使用した難燃かつ高強度・高剛性の織物プリプレグ等、新商品開発を加速しています。鉄道車両分野では、川崎重工業㈱が開発した新世代台車「efWING(イーエフ ウィング)」に搭載する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製バネを同社と共同開発し、同社への供給を開始しました。加えて、高収益・高成長分野での事業拡大に向け、ダウンストリームビジネスへの展開の一環として、欧州において高機能成形機を導入し、プリフォームの自動製造プロセスと組み合わせてCFRPの一貫生産体制の構築を図りました。

また、量産車構造部材等への適用を目指す熱可塑性CFRP「Sereebo」についても、ゼネラルモーターほかの自動車メーカーと商業化に向けた取り組みを引き続き推進しています。なお、新工場の建設に向けて、米国内で土地の取得手続きを実施しています。

当セグメントの生産規模は、1,489億円(前期比 1.1%減、販売価格ベース)でした。

 

 

電子材料・化成品事業

:[売上高 1,637億円(前期比 11.4%減)、営業利益 223億円(同 555.4%増)]

樹脂分野:シンガポール生産子会社の生産を停止、高付加価値分野へのシフトに注力、フィルム分野:構造改革による国内生産拠点集約を推進し、コスト競争力を強化

樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂「パンライト」、「マルチロン」が、主原料価格の低下に加え、従来から進めてきた構造改革効果の発現もあり、収益は前年比大幅に改善しました。また、昨年12月にはシンガポール子会社の生産を予定通り停止し、生産能力の適正化を通じて稼働率の向上・販売構成の改善と固定費圧縮を図り、安定的に収益を計上できる体制を構築しました。今後は、従来からの強みであった事務機器・エレクトロニクス分野に加えて、自動車、インフラ、住設、医療といった成長分野をターゲットとして、帝人グループが保有する高機能繊維(アラミド繊維、炭素繊維)や共重合ポリマー、韓国SKケミカル社との合弁会社INITZ Co., Ltd.において量産を開始するスーパーエンプラPPS(ポリフェニレンサルファイド)等を活用し、コンパウンド品を中心とした製品のラインナップを拡充していきます。同時に成長分野において、付加価値の高い材料・部材・サービスを通じたソリューションを提供するための開発・マーケティング活動を一層強化して、収益力の向上を図ります。

機能樹脂のPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂は堅調に推移し、耐薬品性、耐ガスバリア性等の特長を活かした用途展開に一層注力しています。また難燃剤についても安定的に収益を確保している既存ラインナップに加え、ポリエステル繊維等への難燃性と着色性の付与を強みとする新たなリン系製品を開発する等、スペックインに向けた活動を強化しています。

樹脂加工品では、ポリカーボネート樹脂を使用した液晶用ならびに3Dメガネ用の位相差フィルムに加えて、スマートフォン・タブレット向け有機ELディスプレー(OLED)反射防止用の逆波長分散フィルムが堅調に推移しました。また、透明導電性ポリカーボネートフィルム「エレクリア」は中国向けのスマートフォン・タブレット用途が伸び悩んだものの、カーナビ、プリンター及びゲーム機等のタッチパネル用途向けが好調でした。

フィルム分野では、液晶TV向け反射板用途で中国メーカーの台頭により数量・価格ともに競争が激化しており、飲料缶ほかの特殊包装用途でも需要が低調に推移し、苦戦を強いられました。一方、スマートフォン等の関連部材であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「Purex」の販売は堅調に推移し、加えて、原油価格下落に伴う原燃料コストの低下や現在進めている構造改革等に伴うコストダウン効果が寄与したことから、損益面では前年比改善しました。現在、平成28年度に予定している国内生産拠点の宇都宮事業所への集約に向けて、生産銘柄の統廃合や高付加価値用途への特化を進めつつ、難燃フィルム等の新規開発品の販売拡大を図っており、今後は市場起点のマーケティング・開発の促進による高機能フィルムの新規開発に更に注力していきます。

海外拠点は、中国では市況が低調に推移する中、販売量、価格ともに厳しい競争環境が継続していますが、欧米では包装用途や太陽電池等の販売が比較的堅調に推移しました。

なお、同事業を取り巻く環境が一段と厳しさを増している状況に鑑み、第3四半期において、国内事業に係る固定資産について、減損処理を実施しました。

当セグメントの生産規模は、1,454億円(前期比 15.5%減、販売価格ベース)でした。

 

ヘルスケア事業

:[売上高 1,475億円(前期比 4.1%増)、営業利益 288億円(同 16.0%増)]

<医薬品分野:高尿酸血症・痛風治療剤の販売が順調に拡大在宅医療分野:高水準のレンタル台数を維持・拡大

医薬品分野における国内医薬品事業は、新薬群の高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク錠」や、先端巨大症治療剤「ソマチュリン*1」の販売が引き続き順調に拡大しました。一方、後発品の伸長に伴い長期収載品は厳しい事業環境が続いています。そのような中で、骨粗鬆症治療剤「ボナロン*2」では経口ゼリー剤や点滴静注剤といった剤形追加品の販売が堅調に推移しています。昨年7月には1日1回の服用で効果が持続し、小型の錠剤である徐放性気道潤滑去痰剤「ムコソルバンL錠45mg」を発売しました。これら剤形追加品により、幅広い治療選択肢を患者さんに提供していきます。また、本年1月より経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコアテープ」を大正富山医薬品㈱との共同で販売開始しました。

海外での高尿酸血症・痛風治療剤の販売も順調に拡大しています。現在、販売提携国と地域は117に達しており、その内日本を含め57の国と地域で販売していますが、残りの国・地域においても、順次販売承認を取得して更なる拡大を図っていきます。

研究開発においては、昨年4月に、新規高尿酸血症・痛風治療剤として「TMX-049」の第1相臨床試験に着手しました。また「フェブリク錠」のがん化学療法に伴う高尿酸血症への適応拡大プロジェクトとして開発中の「TMX-67TLS」について、同年7月厚生労働省に対し承認申請を行いました。更に、同年9月にはペプチドリーム㈱との共同研究開発契約を締結し、これまで創薬の対象から除外されてきた様々な創薬標的*3に対して、特殊環状ペプチドの医薬品化に取り組むことで、医療ニーズの高い疾患に対する革新的医薬品の創製を目指しています。そのほか、中国でアステラス製薬(中国)有限公司と共同開発中の痛風・高尿酸血症治療剤「TMX-67」(一般名:フェブキソスタット)について、同年11月に中国国家食品薬品監督管理局に承認申請を行いました。また、本年1月に英国シグマタウ社が創製したADA欠損症治療薬「EZN-2279」(国内開発コード;STM-279)の臨床開発に着手し、同年3月には厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得しました。

なお、静注用人免疫グロブリン製剤「献血ベニロン‐I」につきましては、製造販売元の化学及血清療法研究所(以下「化血研」)が厚生労働省より、昨年来出荷停止等の指導を受けていましたが、化血研において承認書と製造実態との不整合解消が進んでおり、本年3月に一部変更承認が得られました。当社としましては、医療現場への供給責任を果たすことに全力で取り組んでいきます。

在宅医療分野では、国内外で40万人以上の患者さんにサービスを提供しています。主力の在宅酸素療法(HOT)用酸素濃縮装置は、新機種「ハイサンソ5S」、「ハイサンソポータブルα」の投入効果もあり、高水準のレンタル台数を堅調に維持しました。今後は本年3月に上市した携帯型酸素濃縮器「ハイサンソポータブルαⅡ」の積極展開により、レンタル台数の更なる拡大を目指します。睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療器は、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求効果や、睡眠検査装置「SAS2100」の活用によるSAS患者の顕在化により、レンタル台数を順調に伸ばしました。今後は本年1月に上市した、ネムリンクの機能と加湿器を内蔵した新機種「スリープメイト10」の積極展開により、レンタル台数の更なる拡大を目指します。また、福岡市と大阪市に設置したコールセンターを活用し、患者さんのサポート体制の強化を図っています。

一方、発展戦略の一環として、昨年9月より販売を開始した患者情報共有システム「バイタルリンク」は、地域包括ケアの軸となる施設等を中心に営業活動を行い、事業展開を図っています。また、大阪大学等との産学連携で開発した磁気による刺激装置の治験器を用いた医師主導による難治性神経障害性疼痛治験は、昨年12月の大阪大学医学部附属病院の治験開始に続いて、そのほか複数の病院においても治験が開始されました。更に、平成25年度に上市した脳卒中後遺障害等の歩行機能回復用の電気による刺激装置「ウォークエイド」についても、首都圏の医療機関等から順次エリアを拡大して事業展開を進めています。

海外では、現在米国・スペイン及び韓国においてサービスを展開しています。米国では、医療制度改革に伴い保険価格が大幅に引き下げられる等、厳しい事業環境が継続していますが、営業所の統廃合・人員削減といった収益改善策を進めています。

当セグメントの生産規模は、639億円(前期比 12.7%増、販売価格ベース)でした。

*1 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharmaの登録商標です。

*2 ボナロン®/Bonalon®はMerck Sharp & Dohme Corp.の登録商標です。

*3 創薬標的: 疾患の原因と深く関連する分子。これを制御すると疾患治療につながる。

 

製品事業

:[売上高 2,709億円(前期比 4.5%増)、営業利益 53億円(同 25.4%増)]

衣料繊維分野:自社素材を強みに海外グローバルブランドとの取り組みを拡大、産業資材分野:自動車関連資材の販売が堅調、機能素材の輸出販売が好調

衣料繊維分野におけるスポーツ衣料分野では、基幹素材「デルタ」を軸とする高機能素材による海外グローバルブランドとの取り組みが拡大し、国内向け販売もアセアンでのOEMを活用した素材縫製一貫の取り組みにより好調に推移しました。一方ユニフォーム分野では、天候不順による顧客の販売不振・在庫調整の影響により苦戦を強いられました。また原糸販売は差別化品の販売が好調に推移し、テキスタイル販売では、中東での新規市場向けが伸長しました。

衣料製品は、主力となるアパレルOEM事業において、円安と海外生産のコストアップによる採算圧迫に加えて、衣料品の消費減退、天候不順による秋冬物の販売不振により苦戦を強いられました。その中で、ベトナム・ミャンマーを中心に、生産管理体制の見直しをはじめとした生産基盤の拡充を推し進め、受注対応力の強化を図りました。また、帝人フロンティア総合展示会(東京)の開催や「プルミエール・ヴィジョン展」(パリ)への出展により、当社戦略素材「ソロテックス」をはじめとする独自素材をベースにした衣料製品の企画提案を積極的に行い、ビジネス拡大を図りました。

産業資材分野における工繊・車輌資材分野では、主力のタイヤコードにおいて高機能タイヤ向けが堅調に推移、ホース・ベルト等自動車用ゴム資材も総じて安定的に推移しました。またエアバッグは、年度後半にはフル稼働・フル販売となっており、更なる増産を予定しています。シートカバー等の車輌用付属品については低調な状況が続きましたが、車輌用内装材は主力車種への採用等により総じて安定的に推移しました。

繊維資材分野では、国内市場において土木・農業・水産・包材分野ならびに不織布関連商材が堅調に推移しましたが、膜材関連の装飾テントやフィルター分野は低調でした。また海外市場については、ショートカットファイバーや炭素繊維等の機能素材が旺盛な需要を受け、好調に推移しました。

生活資材分野では、ワイピング関連用途や、大手コンビニとの新たな取り組みとなるフェイスマスク等の用途が伸長しました。またインテリア関連では、床資材や壁装は堅調に推移しましたが、カーテン商材の販売が苦戦を強いられました。

化成品分野では、年度後半より中国での電子部品生産調整の影響を受け、フィルム販売が苦戦しました。また樹脂関連についても、電子部品の梱包材用途がリサイクル率の上昇により低調な推移となりました。一方、設備機械の販売は堅調に推移しました。

 

その他

:[売上高 756億円(前期比 16.7%増)、営業利益 65億円(同 62.9%増)]

IT事業は、ネットビジネス分野において電子書籍の売上が順調に拡大する等、堅調な推移となりました。ITサービス分野においては、病院向けの「がん患者指導管理支援システム」を開発し販売を開始したほか、地域包括ケア領域では㈱ソラストと業務・資本提携しました。また、統合業務ソフトウェアパッケージ「GRANDIT」については、マイナンバー対応等の製品強化を図るとともに開発・販売パートナーの拡充を進めました。加えて、IoT*領域ではクラウドサービスを提供するAfero, Inc.と事業提携する等、事業領域の拡大を推進しました。その一方で、事業構造改革の一環として、自社保有のデータセンターを活用したサービスの提供終了を決定しました。

新事業ではリチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の販売が順調に拡大しました。また自社開発による微多孔膜(メンブレン)の製膜技術を基にして、ポリエチレンを用いた高機能メンブレンを開発し、製品ブランド「miraim(ミライム)」として本格展開を図っています。

ヘルスケアの分野においては、埋め込み型医療機器、医療材料複合医薬品等、新たな事業分野の創出を目指し研究開発活動を推進しています。整形外科領域では、人工関節の事業展開に向け、昨年4月に帝人ナカシマメディカル㈱を設立しました。ナカシマホールディングス㈱との合弁会社となる同社においては、戦略的な営業体制の構築を図るとともに、両社の技術シナジーを活かした製品開発を推進しています。また循環器領域では、心臓修復パッチの開発について、経済産業省の医工連携事業化推進事業として継続的に取り組んでいます。

2次元通信シート「セルフォーム」を活用した棚管理システム「レコピック」については、入出庫・在庫状況・所在把握を正確かつ効率的に管理できる性能を活かし、図書・機密文書や医療機器等の物品の管理システムへの展開を進めています。

* IoT (Internet of Things) : 世の中に存在するさまざまなモノがインターネットにつながることによって実現される全てのサービスを指す。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが806億円の資金収入、投資活動によるキャッシュ・フローが403億円の資金支出及び財務活動によるキャッシュ・フローが83億円の資金支出となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ304億円増加し、1,010億円となりました。

 

営業活動・投資活動・財務活動による各々のキャッシュ・フローの主な内容は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ46億円(6.1%)収入が増加し、806億円の資金収入となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅増加に加え、減価償却費及びその他の償却費が389億円、減損損失が76億円あったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ93億円(18.7%)支出が減少し、403億円の資金支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が319億円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ187億円支出が増加し、83億円の資金支出となりました。これは主に、社債の償還、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各事業のセグメントの業績に関連付けて示しています。

3【対処すべき課題】

(1) 会社の経営の基本方針

帝人グループは、「人と地球環境に配慮した化学技術の向上と、社会と顧客が期待している解決策の提供により、本当の価値を実現することに挑戦し続けること」を通じて企業理念としている「人間への深い理解と豊かな想像力をもってクォリティ・オブ・ライフの向上に努める*1」企業となることを目指しています。

この企業理念のもと、「持続的な企業価値の増大」を図るために帝人グループは、「事業戦略」、「コーポレート・ガバナンス」、「CSR*2」の三つを軸として事業運営を行います。また、これを通じ各ステークホルダー*3との信頼関係の構築に努めます。

*1 企業理念は、「クォリティ・オブ・ライフ」を中心として「社会とともに成長します」「社員とともに成長します」の3つです。

*2 CSR: 環境・安全・健康、コンプライアンス(社会規範・倫理・法令等の遵守)、社会貢献等の社会的責任

*3 ステークホルダー: 株主、従業員、債権者、顧客を含む取引先、消費者、地域社会等の利害関係者

 

(2) 目標とする経営指標

帝人グループは、ROA、ROE、またD/Eレシオを重要な経営指標として位置づけています。

(3) 対処すべき課題

1)短期での取り組み

「重点戦略事業」として位置づける高機能繊維・複合材料事業では、航空機、自動車、インフラ関連といった成長分野での拡販に注力します。同じく、ヘルスケア事業では成長ドライバーである高尿酸血症・痛風治療剤や睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療器の販売拡大に引き続き注力します。

「基幹事業」と位置付ける製品事業、IT事業では、それぞれの事業分野での収益拡大に取り組むとともに、重点戦略事業との連携強化を図っていきます。

「再構築事業」とした電子材料・化成品事業及び原料重合事業においては、構造改革の着実な実行に加え、事業構造の変革を更に推し進めます。

2)中長期での取り組み

帝人グループでは、2014年11月に、構造改革と発展戦略を柱とする、2017年3月期までの「修正中期計画」を策定し、公表しました。

a) 構造改革

構造改革の狙いは、帝人グループがこれまで培ってきた「強み」を正しく認識し、強化して、将来の成長・発展のための基礎を築きあげることです。そのため、帝人グループの各事業を「市場の成長性」「競争優位性」「収益性」の観点から徹底的に絞り込み、成長分野への経営資源の集中を行っていきます。そうした絞り込みの結果として、生産・開発拠点の統廃合を推進しています。

2016年3月期までにすでに45億円の営業利益改善効果を実現しましたが、2017年3月期には更に80億円を加えた累計125億円の効果発現を見込んでいます(2015年3月期対比)。

b) 発展戦略

帝人グループは、素材・ヘルスケア・ITの3つの領域を併せ持つユニークな企業体です。これまでは、各々が個別の事業として成長を図ってきましたが、今後は各領域での強み・優位性を融合することにより、「環境・省エネ」、「安心・安全・防災」、「少子高齢化・健康志向」といった重点領域において、帝人グループにしか出来ない新しいユニークなビジネスの創出を目指し、これらの分野に今後も積極的な資源投入を行っていきます。

c) 中期経営目標

修正中期計画では、構造改革の成果及び重点戦略事業を中心とした既存事業の成長により、2017年3月期の目標として、営業利益500億円、ROE8%以上の実現を目指していましたが、2016年3月期にはこれを前倒しで達成しました。2017年3月期も、当初目標を上回る営業利益580億円、ROE11.3%の実現を目指して事業運営を進めていきます。

 

d) 次期中期経営計画

修正中期計画の最終年度となる本年度においては、中長期での更なる成長に向けた次期中期経営計画を策定することも大きな課題となります。この策定プロセスにおいて成長シナリオの具現化を行い、ソリューション提供型事業体への転換に向けた道筋をより明確化していきます。

(4) 会社の支配に関する基本方針

① 当社の株主の在り方に関する基本方針

(会社法施行規則第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)

当社の株主の在り方について、当社は、株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えています。したがって、株式会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えています。

しかし、当社株式の大量取得行為や買付提案の中には、「企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの」「株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの」「買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分なもの」等も想定されます。このような大量取得行為や買付提案を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えています。

② 基本方針の実現に資する取り組み

当社では、多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続して頂くために、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を既に実施しています。これらの取り組みは、上記①の基本方針の実現にも資するものと考えています。

ア.修正中期計画「抜本的構造改革と将来に向けた発展戦略」による企業価値向上への取組み

帝人グループでは、2014年11月に、構造改革と発展戦略を柱とする、2017年3月期までの「修正中期計画」を策定し、公表しました。

構造改革においては、各事業を「市場の成長性」「競争優位性」「収益性」の観点から徹底的に絞り込み、成長分野への経営資源の集中を行います。生産・開発拠点の統廃合や事業構造の見直しを進め、最終的には2015年3月期対比で125億円の営業利益改善効果を発現すべく、各種施策を推進していきます。

また発展戦略においては、素材・ヘルスケア・ITの3つの領域を併せ持つユニークな企業体として、各領域での強み・優位性を融合することにより、今までにない顧客価値の創造を図ります。当社の強みが発揮できる「環境・省エネ」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」といった領域で、新しいユニークなビジネスの創出を目指しています。

2017年3月期には、構造改革の成果及び、重点戦略事業と位置付けるヘルスケア事業、高機能繊維・複合材料事業を中心とした既存事業の成長により、ROE11.3%の実現を目指します。また2020年近傍には、素材事業を一元的に統合し、既存事業の延長ではない「ソリューション提供型事業体」への転換に向けた道筋をより明確化していきます。

株主還元については、連結業績に連動した利益還元を行うことを基本方針とし、併せて財務体質の健全性や中長期の配当の継続性を勘案して配当を実施します。

イ.「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」による企業価値向上への取り組み

当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のために不可欠な仕組みとして、従来より、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題に掲げ取り組んでいます。具体的には、以下の施策を実施しています。

1)意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化

2)国内外の有識者による経営全般への助言・提言を通じた「より良い経営、透明性の高い経営」の遂行と経営トップの評価を目的とした、取締役会の諮問機関としてのアドバイザリー・ボードの設置

3)コーポレート・ガバナンスに関する具体的な指針である「コーポレート・ガバナンスガイド」の制定と開示

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(買収防衛策)

当社は、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において株主の皆様の承認を受け、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下、「本プラン」という)を更新しました。本プランの概要は以下のとおりです。

ア.対象となる買付

本プランの対象となる買付は、株式の保有割合が20%以上となる買付です。

 

 

イ.買付者との交渉手続き

買付者には、事前に買付説明書の提供を求め、当社が、情報収集や検討を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案を提示したり、買付者との交渉を行っていくための手続きを定めています。

ウ.買付者が手続きを守らなかった場合の取得条項付新株予約権の無償割当て

買付者が前記手続きを守らなかった場合等には、独立委員会の勧告に従い、取締役会は、その時点の全ての株主に対し、保有株式1株につき1個の割合で「取得条項付新株予約権」を無償で割当てることを決議します。

エ.取得条項付新株予約権の取得と当社株式の交付

新株予約権に付された取得条項により、当社は買付者等以外の株主の皆様から新株予約権を取得しこれと引き換えに、新株予約権1個につき、当社株式1株を交付します。

オ.買付者等以外の株主の皆様への影響

買付者等以外の株主の皆様全員に平等に当社株式を交付しますので、株主の皆様の保有する株式の希釈化は生じません。買付者等には当社株式は交付されませんので、この交付により、買付者等の保有する当社株式の議決権割合を最大50%まで希釈化させる可能性があります。

カ.新株予約権の無償割当ての要件

新株予約権の無償割当ては以下いずれかに該当し、新株予約権の無償割当てをすることが相当と認められる場合に行われます。

1)本プランに定める手続きを遵守しない場合

2)買収の目的や買収後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある買付であり、下記に掲げる行為のいずれかに該当する場合

a) 株式を買い占め、その株式につき当社に対して高値で買取りを要求する行為

b) 当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等、当社の犠牲の下に買付者の利益を実現する経営を行うような行為

c) 当社の資産を買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

d) 当社の経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って高値で売り抜ける行為

3)株式の売却を事実上強要するおそれのある買付である場合

4)買付の対価が当社の企業価値に鑑み不十分な買付である場合

キ.発動までのプロセスの概要

買付者から買付説明書が提出された場合、社外取締役又は社外監査役のうち5名で構成される独立委員会は、取締役会に対して、買付者の買付の内容に対する取締役会の意見等を一定の期間内(30日を上限とします)に提示するよう求めることがあります。その後、最長60日間、情報収集・検討等を行います。独立委員会は、30日を上限として検討期間を延長することができるものとします。

独立委員会はこれらの情報収集・検討等に基づき、取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施または不実施の勧告を行います。取締役会は、独立委員会の勧告を尊重し、これに従い最終的に新株予約権の無償割当ての実施または不実施の決議を行います。ただし、独立委員会が当該実施に関し株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合、取締役会は、実務上可能な限り速やかに株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議するものとします。

*「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.teijin.co.jp/ir/governance/defense/)に掲載しています。

④ 前記取り組みが、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

当社では、本プランの設計に際し、以下の諸点を考慮し織り込むことにより、本プランが、基本方針に沿い当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

ア.買収防衛策に関する指針の要件の充足等

本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性確保の原則)を充足しています。また、経済産業省の企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえた内容となっています。

 

イ.株主意思の反映

本プランは、平成27年6月24日に開催された第149回定時株主総会において承認され発効し、その有効期限は、平成30年3月期の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までの3年とします。また、当社取締役の任期は1年となっていますので、取締役の選任を通じて株主の皆様の意思を反映させることが可能です。更に、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。

ウ.独立性の高い社外役員の判断の重視

当社は、本プランの導入に当たり、本プランの発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しました。独立委員会は、社外取締役または社外監査役のいずれかに該当する者の中から取締役会が選任した者から構成します。

エ.本プラン発動のための合理的な客観的要件の設定

本プランは、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、しかも、これらの客観的要件は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないとされる場合と一致させています。これにより、取締役会による恣意的な発動を防止します。

オ.コーポレート・ガバナンスの強化と継続

当社では、定員10名以内の取締役のうち4名を独立社外取締役、監査役の過半数の3名を独立社外監査役とすること等により、意思決定、業務執行、監視・監査の3機能の分離と強化を図り、また、5〜7名の社外アドバイザーと取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)、CEOで構成されるアドバイザリー・ボードを取締役会の諮問機関として設置して、CEOの交代及び後継者の推薦、帝人グループの役員報酬制度の審議等を行い、上記の取り組みを含むコーポレート・ガバナンスの指針を「コーポレート・ガバナンスガイド」として開示しています。

以上の施策は、我が国の上場会社において、コーポレート・ガバナンスの先駆的な取り組みと評価されています。この仕組みは、当社役員の保身的な行動を強く抑制するものであり、本プランの実施にあっても、その恣意的な行使を抑止する重要な機能を果たすことが期待されます。

 

4【事業等のリスク】

業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、以下の事項があります。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。

(1) 競合・市況変動にかかるもの

帝人グループは、外部環境の変化に左右されない企業体への転換を図っていますが、一部で市況製品を展開しており、景気動向、他社との競合に伴う市場価格の変動が事業業績に影響を及ぼす可能性があります。

特に、景気や他社との競合という観点からは、ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム、ポリカーボネート樹脂といった汎用素材の分野では、販売量、売値及び原燃料調達価格に関し変動を受ける構造となっています。また、これらの事業は、製造原価に占める原燃料コストのウェイトが高いため、原油価格の動向により、損益に大きな影響を受ける可能性があります。

また、帝人グループの素材事業は中間財が多く、末端需要の拡大・縮小が各段階での在庫調整により実体経済以上に増減する可能性があります。

加えて、ヘルスケア事業は、公定価格水準の変動といった価格変動要因以外にも他社との競争はますます激化しており、売値下落のリスクがあります。

また、為替や金利の変動が、帝人グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の品質にかかるもの

帝人グループでは、帝人㈱及び帝人ファーマ㈱等の主要な子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部門を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。しかしながら、全ての製品・サービスにおいて、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできません。従って、そうした製品・サービスの欠陥が、業績、財務状況、社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 研究開発にかかるもの

帝人グループでは、技術を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入しています。しかしながら、そうした研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

特に医療用医薬品の開発には、多額の費用と長い期間がかかるうえ、創薬研究において、有用な化合物を発見できる可能性は決して高くありません。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。また、承認申請した後でも審査の過程で承認されない、また、市販後調査の結果、承認が取り消される可能性があります。

(4) 海外活動にかかるもの

帝人グループは、中国、タイ等の東南アジア、ドイツ・オランダ等の欧州、米国等海外で事業展開しており、これら海外での活動について為替変動に係るリスクのほか、特に中国及び東南アジアの各国においては、次のようなリスクがあります。そのため、これらの事象が発生した場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しない法律・規制の施行、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・経済変動、政変・テロ・戦争等による社会的混乱

(5) 事故・災害にかかるもの

帝人グループは、グループ共通の防災に関するガイドラインを整備し、防災診断、地震対策、火災予防等の未然防止対策や防災教育、防災訓練、防火設備強化等の拡大防止対策を積極的に推進しています。しかしながら、万一、大規模な自然災害や不慮の事故等により生産設備が損害を受けた場合や原材料の供給等サプライチェーンに大きな障害が生じた場合は、帝人グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において締結している経営上の重要な契約は、以下のとおりです。

契約会社名

相手先

内容

期間

帝人㈱

(当社)

デュポン社

(米国)

合弁会社の設立等に関する契約

・ポリエステルフィルムを製造・販売する合弁会社を世界6ヶ国で設立

1999.7.14

から

合弁会社の存続する期間

帝人㈱

(当社)

ベーリンガーインゲルハイム社

(独)

技術等導入に関する契約

・医薬品の供与

・「ラキソベロン」等医薬品4品目の製造に関する技術

2005.1.1

から

2016.12.31

(注)

(注)2016年6月9日付にて、契約更新(一部については修正契約の締結)を行っているため、本有価証券報告書提出日現在における契約期間は、2021年12月31日まで(一部については無期限)に延長されています。

 

6【研究開発活動】

 帝人グループでは、ブランドステートメント"Human Chemistry, Human Solutions"のもと、人々の暮らしを豊かにし、社会の発展に貢献することで事業の持続的成長と収益性向上を実現するための研究開発をグローバルな視野で推進しています。研究開発活動への積極的かつ効率的な投資を継続して実施しており、国内8ケ所、海外7ケ所のグローバル研究開発ネットワークにおいて1,600名余りの研究者が、基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づく研究開発活動を推進しています。

中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」で定めた帝人グループの成長戦略と、それを支える経営基盤の強化を基軸に据え、既存事業の深化、幅出しに加え、「グリーンケミストリー」「ヘルスケア」及びこれらの「融合領域」を研究開発の重点技術領域と定めて、基盤・基幹強化を進めています。更に平成26年11月公表の修正中期計画では、発展戦略の主要施策として「複合化」と「融合」による「ソリューション提供」の実現に向けた重点資源投入を行う事を発表しました。高機能素材、ヘルスケア、ITという3つの異なる事業の強みを複合化、融合し、競争力のある素材を用いたソリューション提供型ビジネスの構築による高収益事業創出に向け、研究開発を着実に進めています。サプライチェーンやビジネスモデルの変革を念頭におき、素材等の一次製品の提供だけではなく付加価値をつけた部材・デバイスまでを作り上げて納入する、またIT技術を活用しヘルスケア分野で新しいサービスを提供する等、従来型のビジネスの域を超えた価値創造、ポートフォリオ変革に積極的に取り組んでいきます。

 平成26年度から継続して研究開発機能の強化と研究開発成果の早期事業化の推進を目的にいくつかの組織改編を進めています。まず平成26年4月には、従来の技術最高責任者、研究部門、エンジニアリング本部及び原料重合技術開発部を統合し、技術本部を設置しました。

 平成27年4月からは、プラットフォーム構成技術(基盤・基幹技術)の強化・拡充と出口発想に基づくソリューション開発力の強化を目的に技術本部内に技術開発部門とその下部組織である「加工・ソリューションセンター」(松山拠点)を新設し、併せて、これまで技術本部直下組織であった「先端技術開発センター」を同部門へ編入しました。平成27年8月には高機能素材のソリューション開発拠点として、松山事業所(愛媛県松山市)内に「技術開発センター」を開設し、本格稼働しました。「技術開発センター」は、全社横断的なソリューション開発機能、及びエンジニアリング機能の融合の場として設立するもので、帝人グループの研究開発の中核拠点として、高機能素材分野におけるソリューション開発機能の強化を図るとともに、素材の複合化、モノとサービスの複合化によるソリューション開発の加速を目指しています。

 なお、「加工・ソリューションセンター」は、発展戦略を加速的に推進する「ソリューション開発センター」に、また、「先端技術開発センター」は基盤技術の強化を担う「基盤技術開発センター」として平成28年4月にそれぞれ改組しました。

 「技術開発センター」では、発展戦略における成長コンセプトとして掲げている「高機能複合材料による顧客価値の実現」「モニタリング・サービスの横展開」「在宅医療モデルの横展開・市場創造」及び「生体適合医療材料の実用化」に向けたソリューション開発に注力していくこととしており、既にスマートウェアラブルの実用化や、高機能素材とITの融合による高靱性軽量構造材の建築分野への展開等を重点テーマとして活動しています。

 また、産官学連携等のオープンイノベーションの推進、知財戦略や構造解析能力等、研究開発活動を支える機能・組織の見直しとインフラ機能の強化、技術系人材の育成を一層推進しています。

 人財育成に関しては、高分子・バイオ関連分野の大学教授や研究者が集まるフォーラムの開催、学界・学術研究機関等の有識者による技術アドバイザリー会議の開催、国内外の最先端研究機関への若手研究員派遣等を積極的に推進しています。平成22年度ノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名誉フェローにご就任いただいている根岸英一 米・パデュー大学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションと「Teijin Limited Director of the Negishi-Brown Institute」としての派遣研究員への直接のご指導を継続してお願いしており、幾つかの新しい技術開発成果が生まれつつあります。

なお、当連結会計期間の研究開発費は333億円(前期比9億円増)でした。

また、報告セグメントごとの研究開発活動の概要は次のとおりです。

 

高機能繊維・

複合材料事業

:  アラミド繊維分野では、帝人グループでパラ系アラミド繊維「トワロン」を生産・販売しているテイジン・アラミドB.V.(オランダ・アーネム市)が、この度、貨物輸送関連製品を扱う米国のマクロ・インダストリー社(米国・アラバマ州)と、「トワロン」を使用した、耐久性・難燃性の高い航空貨物コンテナ(ULD)の共同開発、及び製造、商業化に向けて協力していくことで合意しました。「トワロン」を使用して製造されたULDは、軽量性や耐久性がアルミ製ULDよりも優れていることが評価されており、世界に約90万台あるとされるアルミ製ULDからの置き換えも容易で、設置後のメンテナンスも削減できるため、環境負荷低減にも貢献することが期待されます。

  また、パラ系アラミド繊維「トワロン」は、㈱LIXILが開発した木造軸組工法住宅向けの耐震リフォーム工法「アラテクト」に採用されました。「アラテクト」は既存の壁を壊さずに耐震化が可能な、木造住宅向けの新たな耐震リフォーム工法で、薄いシート状に加工することが可能でかつ引張強度の高い材料が必要であることから「トワロン」が採用されたものです。

  更に、新規メタ系アラミド繊維「Teijinconex neo」の生産工場をタイ国アユタヤ県に新設し、平成27年8月より生産・販売を開始しました。「Teijinconex neo」は世界最高レベルの優れた熱防護性を持ち、安定した染色性により従来の「コーネックス」では実現できなかった後染め(紡糸・製織後の染色)が可能で、かつ特殊な紡糸法により製造プロセスにおける化学物質排出やエネルギー消費を削減することができます。生産工場の本格稼働により、既存の「コーネックス」と合わせ、日本や欧米のほか、中東やアジア等グローバル市場に向けて事業展開を図っていきます。

  ポリエステル繊維分野では、極細ポリエステル繊維を使用した面ファスナー「ファスナーノ」を開発しました。超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」のパイル地を用いた同製品は、その特性である高い摩擦力を最大限に活かし、僅かな力で容易に着脱することができます。今後は介護用や一般向けの寝装、雑貨用途等に向け、「ファスナーノ」を使用した商品を展開していきます。

  炭素繊維・複合材料分野では、自動車向けの高付加価値CFRPビジネスを加速させるため、これまで複合材料開発センターが担ってきた熱可塑性CFRPのマーケティング機能と、グループ会社である東邦テナックス㈱が担ってきた熱硬化性CFRPのマーケティング機能を平成27年4月に統合し、炭素繊維・複合材料事業本部直轄の組織「オートモーティブ事業開発推進グループ」として再編しました。これに伴い複合材料開発センター(愛媛県松山市)は、個別テーマの技術開発機能に特化して取り組む組織として「複合材料技術開発センター」に改称しました。

  また、複合材料技術開発センターでは、国際的な試験所認定規格である「ISO/IEC 17025」(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)を取得し、これにより同センターでは、熱可塑性CFRPの製造から評価までをワンストップで顧客に提供することが可能となりました。

  更に、航空機や自動車用途において求められる高強度と高弾性率を両立した新しい炭素繊維「テナックスXMS32」の開発や、産業機器・航空機部材用途等幅広い用途への展開を目指す熱可塑性樹脂を使用した難燃かつ高強度・高剛性の織物プリプレグの開発を行いました。鉄道車両用途では、川崎重工業㈱が開発した新世代台車「efWING(イーエフ ウィング)」に搭載するCFRP製バネを同社と共同開発し、同社への供給を開始しています。加えて、高収益・高成長分野での事業拡大に向け、ダウンストリームビジネスへの展開の一環として、欧州において高機能成形機を導入し、プリフォームの自動製造プロセスと組み合わせてCFRPの一貫生産体制の構築を図りました。

  また国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している「革新的新構造材料等研究開発」の成果として、世界初の技術である「マイクロ波による炭素化技術」と「プラズマによる表面処理技術」の開発に成功しました。来るべき炭素繊維複合材料の量産化時代に向けて、これら製造エネルギーと二酸化炭素排出量を半減させ、生産性を飛躍的に向上させる革新的な炭素繊維製造量産プロセスの工業化を目指していきます。

  当セグメントに係る研究開発費は48億円です。

 

電子材料・

化成品事業

:  樹脂分野では、自動車樹脂グレージング用途で要求される耐擦傷性と耐久性を向上させる技術として、ラボレベルでのプラズマCVD(化学気相成長)法によるコーティング技術の開発を推進しています。この度、自動車窓に求められる新たな保安基準への対応に目途をつけたことにより、今後は実車サイズに対応可能な開発設備を松山に導入し、スケールアップ技術・三次元形状対応技術の開発による積極的なソリューション提供を行っていきます。

  カメラレンズ用途においては、最高レベルの屈折率と耐熱性を兼ね備えた特殊ポリカーボネート樹脂を開発し、市場での評価を開始しました。スマートフォンの薄型化や車載カメラ、防犯カメラ等厳しい条件下で使用される用途での今後の伸長に対応するため、更に高い屈折率と耐熱性を有する樹脂の研究開発を継続します。

  更にノンハロゲンに対応した難燃剤「FCX-210」の用途拡大に向けて、予め対象とする樹脂へFCX-210(紛体)を練り込み、粒状としたマスターバッチを開発することで、繊維への同剤の応用を可能としました。難燃性を求められるカーテンやカーペット、壁紙等インテリア用途への市場拡大に向けて、顧客へのサンプル出荷を開始しています。

  フィルム分野では、平成27年10月に高い汎用性と輝度や拡散性、傷つき防止等の機能の高さを併せ持つ液晶ディスプレイ用反射フィルムの新商品「テトロンUX K2シリーズ」「テトロンUX QTシリーズ」を開発し、上市しました。

  また、平成28年1月に離型フィルム「Purex」の新グレードを開発、インドネシア工場での生産を開始しました。今後、「Purex」生産の国内外での拡大を図っていきます。

  当セグメントに係る研究開発費は34億円です。

 

 

ヘルスケア事業

:  医薬品分野では、平成27年4月に新規高尿酸血症・痛風治療薬として「TMX-049」の第1相臨床試験に着手しました。また「フェブリク錠」のがん化学療法に伴う高尿酸血症への適応拡大プロジェクトとして開発中の「TMX-67TLS」については、平成27年7月に厚生労働省に対し承認申請を行いました。平成27年9月には、ペプチドリーム㈱との共同研究開発契約を締結し、これまで創薬の対象から除外されてきた様々な創薬標的に対して特殊環状ペプチドの医薬品化に取り組み、医療ニーズの高い疾患に対する革新的医薬品の創製を目指しています。そのほか、中国でアステラス製薬(中国)有限公司と共同開発中の痛風・高尿酸血症治療剤「TMX-67」(一般名:フェブキソスタット)について、平成27年11月に中国国家食品薬品監督管理局に承認申請を行いました。また、平成28年1月には、英国シグマタウ社が創製したADA欠損症治療薬「EZN-2279」(国内開発コード;STM-279)の臨床開発に着手し、同年3月には厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得しました。

  在宅医療事業分野においては、小型・軽量でありながら連続流1L/分を実現した携帯型酸素濃縮装置「ハイサンソポータブルαⅡ」を平成28年3月に上市しました。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療器であるCPAP装置についても、快適に治療を継続できる「スリープメイト10」を平成28年2月に上市しました。また超音波骨折治療法においては、患者の治療継続意識の向上を図った「セーフスexogen」を平成28年1月に上市しました。

  これらに加え、発展戦略の一環として平成27年9月より患者情報共有システム「バイタルリンク」の販売を開始し、地域包括ケアの軸となる施設等を中心に営業活動を行い、事業展開を図っています。また、大阪大学等との産学連携で開発した反復経頭蓋磁気刺激装置の治験器を用いた医師主導による難治性神経障害性疼痛治験は、平成27年12月の大阪大学医学部附属病院の治験開始に続いて、その他複数の病院においても治験が開始されました。

  当セグメントに係る研究開発費は152億円です。

 

製品事業

:  帝人フロンティアでは、平成27年10月に社長直轄組織として技術専任スタッフ構成による「新事業開発室」を新設しました。各種商品展開が期待される「ウェアラブル電極布技術」、「身に纏う化粧品ラフィナン」関連から環境・介護・ヘルスケア分野等を中心に、製品事業グループ全般にわたる新領域開拓、新事業モデル構築を目的として、本格的な技術開発に向けた取り組みをスタートしています。

  当セグメントに係る研究開発費は6億円です。

帝人㈱で行うコーポレート研究(グループ共通の基礎研究及び新事業・新製品創出)では、帝人グループの発展戦略を実現すべく、素材技術・ヘルスケア技術・IT技術の融合により、新事業の創出を目指して研究開発に取り組んでいます。

高変換効率太陽電池を製造するための材料となる「NanoGramシリコンペースト」については、太陽電池メーカーへのマーケティング活動、共同開発活動を本格的に推進しています。

また、帝人の素材技術を活かした『電波を制御するシート』である「セルフォーム」の2次元通信技術をベースとした棚管理システム「レコピック」の販売を推進しています。「セルフォーム」とタグキャストのビーコン技術「TAGCAST」の組み合わせにより、スマートフォンやタブレットを置くことでネットワークへの接続を認証する世界初のシート型ビーコンである「PaperBeacon(ペーパービーコン)」を開発し、平成27年6月より販売を開始しました。

ヘルスケアの分野においては、埋め込み型医療機器、再生医療製品等、新たな事業分野の創出を目指し、研究開発活動を推進しており、心臓修復パッチは経済産業省の医工連携事業化推進事業として継続して開発に取り組んでいます。

これらに係る研究開発費は93億円です。これらの費用については、各セグメントへの配賦は行わずに「消去又は全社」に表示しています。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。

帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

① 貸倒引当金の計上基準

帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

② たな卸資産の評価基準

帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。

③ 投資有価証券の減損処理

帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。

④ 繰延税金資産の回収可能性

帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(2) 経営成績の分析

帝人グループの平成27年度連結決算は、売上高としては樹脂シンガポール工場の生産停止に伴う減収影響があったものの、製品事業やヘルスケア事業等の増収により前年同期比0.6%増の7,907億円となりました。営業利益は、素材事業が原燃料価格の低下や、構造改革効果により大幅増益となったことに加え、ヘルスケア事業も主力製品・サービスが堅調に推移したことから、前年同期比280億円増加し671億円(前年同期比71.7%増)となりました。

一方、経常利益は持分法による投資損失(関連会社出資金の評価損失等)があったものの、同179億円増の603億円(同42.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の減少等もあり同392億円増の311億円となりました。また1株当たり当期純利益は31円63銭(同39円86銭増)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

① 資産、負債、純資産

総資産は8,234億円となり、前期末に比べ3億円減少しました。資金収支の黒字により現預金等は増加しましたが、減損処理や投資有価証券の評価差により固定資産が減少しました。

負債は前期末比110億円減少し、5,090億円となりました。この内借入金、社債等の有利子負債は、社債の償還に加え、外貨建て有利子負債の為替変動影響(円高)等もあり、同49億円減少し3,033億円となりました。

純資産は3,144億円となり、前期末に比べ108億円増加しました。この内「株主資本」に「その他の包括利益累計額」を加えた自己資本は、3,001億円と前期末比130億円増加しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益による増加が、「その他有価証券評価差額金」「為替換算調整勘定」等の減少により一部相殺されたことによるものです。

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅増加に、減価償却費や減損損失といった非資金項目を加え、合計で806億円の資金収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により403億円の資金支出となりました。

この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは403億円の資金収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、社債の償還、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きで83億円の資金支出となりました。

またこれらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の増加額は304億円となりました。

 

また、財政状態に関する各種指標は以下のとおりです。

 

第146期

第147期

第148期

第149期

第150期

ROA(%)

4.5

1.6

2.4

4.9

8.2

ROE(%)

4.2

△10.3

3.0

△2.8

10.6

D/Eレシオ

0.89

1.00

1.00

1.07

1.01

自己資本比率(%)

38.3

35.6

36.7

34.9

36.4

時価ベースの自己資本比率(%)

37.8

31.3

34.9

43.5

43.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

4.9

4.2

7.3

4.1

3.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ

10.9

18.4

10.5

23.8

32.5

(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。

・ROA:営業利益/期首・期末平均総資産

・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本

・D/Eレシオ:期末有利子負債/期末自己資本

・自己資本比率:(期末純資産の合計−期末新株予約権−期末非支配株主持分)/期末総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/時価ベースの総資本

*株式時価総額・・・期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)にて算出。

*時価ベースの総資本・・・期末自己資本を時価ベースに置き換えて算出。

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

*営業キャッシュ・フロー・・・連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用。

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

*利払い・・・連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用。





出典: 帝人株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書