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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 製薬産業における事業環境は、日本、米国、欧州の医療費抑制策の進展、研究開発コストの増加、企業再編の活発化などにより、益々厳しさを増しております。
 このような状況の中、当連結会計年度の連結業績は、売上高5,330億11百万円(前期比6.6%増)、営業利益868億7百万円(同4.5%増)、経常利益890億87百万円(同6.8%増)、当期純利益555億5百万円(同10.7%増)となりました。
 売上高におきましては、アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」が1,628億60百万円(前期比15.0%増)、プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤「パリエット」(米国名「アシフェックス」)は1,322億97百万円(同2.5%増)とそれぞれ増加し、所在地別には米国、欧州、アジアとも順調に伸長し、国内も堅調に推移いたしました。
 営業利益は研究開発活動への積極的資源投入を行う一方、原価率の改善や経営資源の効率化につとめ増益となりました。
 以上のことに加え、為替差損益の改善と税金費用の減少などもあり、当期純利益は増益となりました。
 当連結会計年度末の資産合計は、6,627億11百万円(前期末より469億34百万円増)となりました。主な増加は、受取手形及び売掛金、繰延税金資産(流動)、有形固定資産、無形固定資産、投資有価証券などであります。
 負債合計は1,941億20百万円(前期末より64億3百万円増)となりました。金銭での退職給付信託の設定により、退職給付引当金が減少いたしました。
 資本合計は4,596億7百万円(前期末より401億46百万円増)であり、自己資本(株主資本)比率は69.4%(前期末より1.2ポイント増)となりました。
<セグメントの状況>
(各セグメントの売上高は外部顧客に対するものであります)
①事業の種類別セグメント
[医薬品分野]
 すべての地域において「アリセプト」が伸長し、「パリエット/アシフェックス」も堅調に推移いたしました。また、平成16年4月末より米国において抗てんかん剤「ゾネグラン」の販売を開始いたしました。この結果、医薬品分野の売上高は5,109億81百万円(前期比7.2%増)、営業利益は883億74百万円(同4.5%増)となりました。
[その他の分野]
 食品添加物、化学品、製薬用機械等の売上高は、220億30百万円(前期比5.9%減)となりましたが、プロダクトミックスの改善により営業利益は20億6百万円(同38.5%増)となりました。
②所在地別セグメント
[日  本]
 売上高は2,682億68百万円(前期比2.8%増)、営業利益は744億5百万円(同3.5%増)となりました。 医療用医薬品では「アリセプト」350億96百万円(同23.5%増)、「パリエット」193億86百万円(同32.7%増)の2品が伸長し、薬価改定等の影響を受けましたが売上高は増加いたしました。
[北  米]
 売上高は2,145億42百万円(前期比10.3%増)、営業利益は113億80百万円(同4.1%増)となりました。「アリセプト」の売上高は975億86百万円(同11.0%増、現地通貨では16.7%増)、「アシフェックス」の売上高は1,040億64百万円(同1.4%減、現地通貨では3.7%増)となりました。
 当連結会計年度より販売を開始した「ゾネグラン」の売上高は111億32百万円となりました。
[欧  州]
 売上高は382億92百万円(前期比9.9%増)、営業利益は34億70百万円(同 1.6%増)となりました。「アリセプト」の売上高は272億37百万円(同19.7%増)と伸長し、「パリエット」の売上高は67億67百万円(同7.6%減)となりました。
[アジア他]
 売上高は119億8百万円(前期比20.8%増)、営業利益は20億69百万円(同13.0%増)となりました。「アリセプト」の売上高は29億40百万円(同18.1%増)、「パリエット」の売上高は20億78百万円(同33.1%増)と伸長いたしました。
 なお、日本を除く海外所在地別売上高の合計は、2,647億43百万円(前期比10.7%増)となり、売上高比率は49.7%(前期より1.8ポイント増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度の営業活動から得たキャッシュ・フローは、492億円(前期より235億18百万円減)となりました。前連結会計年度より減少の主な要因は、退職給付信託設定による金銭での支出200億円であります。税金等調整前当期純利益は876億52百万円、減価償却費は224億45百万円、法人税等の支払額は379億61百万円であります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、375億31百万円(前期より102億75百万円増)の支出となりました。そのうち、有形固定資産の取得に216億70百万円、製品買収等に伴う無形固定資産の取得に175億35百万円を支出しました。
 財務活動におきましても、配当金の支払い、自己株式の市場買付け等により167億43百万円(前期より46億13百万円減)を支出しております。
 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,424億29百万円(前期末より36億87百万円減)となりました。
[連結財政指標の推移]
 
第89期
第90期
第91期
第92期
第93期
自己資本(株主資本)比率(%)
63.0
64.9
65.6
68.1
69.4
時価ベースの
自己資本(株主資本)比率(%)
168.3
164.8
107.7
131.8
157.0
債務償還年数(年)
0.31
0.15
0.04
0.03
0.06
インタレスト・カバレッジ・レシオ
110.6
150.5
489.6
1,040.6
856.3
 (注)各指標の算出方法
 
自己資本(株主資本)比率
:自己資本(株主資本)/総資産
時価ベースの
自己資本(株主資本)比率
:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産
債務償還年数
:有利子負債(社債、借入金、代理店預り金等)/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ
:営業キャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
① 生産実績
  当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
506,764
111.5
その他の分野
8,305
96.6
合計
515,069
111.2
 (注)1 金額は販売見込価格により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
② 商品仕入実績
  当連結会計年度における商品仕入実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
18,545
100.8
その他の分野
8,925
94.0
合計
27,469
98.5
 (注)1 金額は仕入価格により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
 当社および連結子会社は販売計画に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。
(3)販売実績
  当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
510,981
107.2
その他の分野
22,030
94.1
合計
533,011
106.6
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりで
あります。
相手先
前連結会計期間
(自 平成15年4月1日
至 平成16年3月31日)
当連結会計期間
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
(米国)
 マッケソン社
53,825
10.8
77,993
14.6
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3【対処すべき課題】
 当社グループでは、「患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する」という企業理念の実現を通して企業価値の向上をはかるために、「患者価値」「株主価値」「社員価値」の創出、ならびに企業の社会的責任の遂行を経営における重要課題ととらえ、以下の具体的な活動を展開しております。
(1)「患者価値」の創出
 当社グループは、疾病の克服やQOL(生活の質)の向上に資する革新的な新薬の開発、品質の高い製品の安定供給、加えて薬剤の安全使用のための有用性情報の提供を行うことが、製薬企業の使命であると考えております。
 これらの活動の充実と効率性の追求に向けて、研究、開発、生産、マーケティング、医薬品の安全性監視まで全てを自社で一貫して行う「シームレス・バリュー・チェーン」を構築し、企業理念のもとで第一義にそのベネフィット向上を目指す患者様のための価値の創出に取り組んでおります。
①医療ニーズを充足する新薬の継続的な創出
 研究開発活動において、神経、消化器、がん・クリティカルケア(急性期医療)を重点領域と位置付け、経営資源を集中いたします。これらの領域には、世界に多くの患者様が存在するだけでなく、未だ治療法が確立されていない疾病が多数存在します。これらのアンメット・メディカル・ニーズに対し、有効性、安全性、経済性に優れた医薬品を創出することを目指しております。
 また、重点領域に経営資源を集中することにより、研究開発から販売までの最新情報を集積し、それに基づいて正確性、迅速性を追求して、新薬創出の確率向上をはかってまいります。
②高品質の医薬品の安定供給
 「シームレス・バリュー・チェーン」の構築のもと、自社による製造を中心とした生産体制を推進しております。徹底した生産管理、研究開発およびマーケティング部門との情報の共有や緊密な連携により効率化を進め、原価低減ならびに品質の向上をはかっております。また、日本、米国、アジアに配備した生産拠点において、主要製品のバックアップ生産体制の構築と物流の整備により、安定供給を果たしてまいります。
③情報提供活動の充実
 当社グループの医薬品に係る最新情報を全世界からタイムリーに収集、分析、評価を行い、安全使用のための有用性情報の提供活動を行っております。また、日本、米国、中国などにおいて医薬情報担当者(MR)を適切に増員し、情報提供活動の一層の強化をはかってまいります。
(2)「株主価値」の創出
 株主の皆様との価値共有のもとで、企業理念が目指す患者様にとっての価値向上、すなわち「患者価値」創出をグローバルに展開することにより、持続的な成長を果たし、その成果を株主の皆様に還元いたします。あわせて、経営情報の積極的な開示を行い、企業の透明性を高めて、「株主価値」の向上につとめてまいります。
①事業基盤整備による持続的な成長性の確保
 当社グループは、日本、米国、欧州およびアジアの主要地域に拠点を配備し、事業活動を展開しております。現在、これらの拠点に加え、拡大EU諸国や中国、インドを成長市場と捉え、新市場への進出ならびに事業基盤の拡大を進めております。
 各地域では、「アリセプト」、「パリエット/アシフェックス」などの一層の伸長を目指しております。さらに、重点領域における積極的な提携や製品導入を行い、成長性を確保してまいります。
②利益配分に関する基本方針
 当社は、株主の皆様への利益還元を重視するとともに、内部留保の状況などを勘案して、利益配分を決定しております。
 株主還元につきましては、連結業績ならびに株主資本配当率(DOE)等を勘案し、株主の皆様へ継続的・安定的な配当を実施してまいります。中期的にはDOE5%の実現を目指しております。また、内部留保資金は将来の企業価値を高めるための研究開発や事業基盤の強化などの投資に充当してまいります。
(3)「社員価値」の創出
 当社グループは、社員と企業理念を共有しその実現をはかるとともに、「社員一人ひとりは社の貴重な資産である」との認識のもと、社員の個性と意欲を尊重して能力開発をはかり、社員に働きがいを提供することを人事の基本としております。
①企業理念の共有と実現
 「患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する」と定めた当社グループの企業理念を、教育、研修、グループ活動などを通して社員と共有し、役職員が日々一丸となり理念実現に向けて日常業務にあたっております。研究開発、生産、管理、営業など、社員それぞれの部署・持ち場の業務が、患者様のベネフィット向上につながっていることを理解し、意義ある目標の達成が働きがいに結びつく組織マネジメントを目指しております。
②雇用と生活の安定
 当社グループでは、社員に対し「生活」の安定を維持するために雇用の確保と、価値創造に向けた生産性に対応する良き報酬水準を堅持しております。また、社員と家族の「健康」を守るために健康保険組合の健全な運営をはかるとともに、「老後」への豊かな安心を提供するために企業年金を維持してまいります。
③社員の能力開発
 能力開発において、個人の尊重を基本に、機会均等につとめ、社員のキャリア形成を促進する部門間交流や留学制度の充実をはかっております。また、従業員満足度調査、配属やキャリアについて社員の希望を答申する制度を設けております。
(4)企業の社会的責任の遂行
 当社グループは、経営の公正、透明性の確保と社会的責任の遂行を経営の重要課題ととらえ、内部統制の推進、コンプライアンス、環境保全、社会貢献活動に積極的な取り組みを進めております。
① 内部統制の推進
 当社グループに係る種々の経営リスクに対処するため、内部統制の強化を積極的に推進しております。
 当社グループの役員、従業員は、各部門において、意思決定の手順をより明確化するとともに、経営リスクへの対応を目的とした監視・モニタリング機能を強化して、一層の内部統制の充実に取り組んでまいります。
② コンプライアンス
 当社グループでは、企業行動憲章と行動指針を定め、全役員、全従業員の一人ひとりが、これを遵守し日々行動することにつとめております。
 相談窓口を社内外に設け、活用を促進し、役員および従業員への継続的な研修、コンプライアンスに関するリスクアセスメントならびに対応策の推進など、国内外においてコンプライアンス・プログラムの実効性を高める施策を推進しております。
③ 環境保全
 国内主要工場おいてISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、継続的な環境管理の充実をはかっております。また、その他の国内外各企業・事業所においては、独自の環境管理体制を構築し、温暖化ガス排出抑制、省エネ・省資源、廃棄物の削減およびリサイクルの推進などを積極的に行い、地球環境負荷の低減に取り組んでおります。
④ 社会貢献活動
 困難な医療環境のもとで長年にわたり医療・福祉業務に従事された方々を顕彰する事業への協賛、人類の疾病と治療に関する自然科学研究の奨励と知識の普及や、医療経済を含む医療の学際的研究の推進と若手研究者の育成などを、企業理念実現の一環として支援しております。また、アルツハイマー病の啓発活動に対する様々な取り組みや、高齢患者様ならびに介護者に対する支援活動等を国内外で行っております。
4【事業等のリスク】
 当社グループの連結業績を大幅に変動させる、あるいは投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて以下に記載しております。なお、これらのリスクは、有価証券報告書提出日現在において判断、予測したものであります。
(1)他社との提携におけるリスク
 当社グループは、他社との業務提携を行っております。米国、欧州主要国では市場全体をカバーし、プロダクト・セールスの極大化をはかるため、提携企業の販売促進協力を受けております。これら提携企業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、売上高が減少し業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外展開におけるリスク
 当社グループは、「アリセプト」と「パリエット/アシフェックス」を軸として日本をはじめ、米国、欧州、アジアを中心に生産・販売活動を展開しております。グローバルな事業活動を展開するうえで、法的規制や政情不安などのリスクを完全に回避できる保証はありません。このようなリスクに直面した場合、当該国における売上高が当初の見込みを達成できない可能性があります。
(3)新薬開発の不確実性
 医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良い結果が得られた場合であっても、製品開発中に施行される薬制等の変更により、承認が得られない可能性があります。新薬の開発中止により、将来に期待していた収益を得られない可能性があります。
(4)医療費抑制策
 日本では医療費抑制策の一環として、通常2年に1回程度、医療用医薬品の薬価が引き下げられております。欧米の国々などにおいても、医薬品の価格低減への圧力は年々高まっており、売上高を減少させる要因となります。
(5)後発医薬品との競合
 先発医薬品の特許には期限があります。通常、先発医薬品の特許が切れると同成分のジェネリック医薬品(後発医薬品)が発売されます。開発リスクを伴わないジェネリック医薬品の低価格での販売により、市場シェアを奪われる可能性があります。
(6)知的財産に関するリスク
 特許の不成立や特許成立後の無効審判、または取得した特許を適切に保護できない場合、想定より早く他社の市場参入を招き、売上高が減少する可能性があります。
(7)副作用発現のリスク
 製品に重大な副作用が発現した場合、処方の停止、製品の回収等の措置を取る可能性があります。発現した副作用に対する情報の収集、伝達および製品の回収は費用の増加につながります。
(8)法規制に関するリスク
 医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。法規制に適合しない場合、製品の回収さらには製品の許認可の取り消し、あるいは賠償請求等の可能性があります。
(9)訴訟に関するリスク
 現在直面している訴訟または将来直面する訴訟の結果が、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、合成ビタミンEバルク製品に関する価格および販売活動に関して訴訟対象となっております。
(10)工場の閉鎖または操業停止
 技術上もしくは薬制上の問題、使用原材料の供給停止、火災、地震、その他の災害等により工場が閉鎖または操業停止する可能性があります。この場合、製品の供給が妨げられ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)使用原材料の安全性に関するリスク
 使用する原材料に安全性の懸念が発生した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと製品の回収、販売停止等を実施し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12)外部への業務委託に関するリスク
 当社グループでは研究や製造などの一部を外部へ業務委託しております。何らかの原因で業務委託先が操業停止し、当社グループへの委託業務の供給が妨げられることがあった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)環境に関するリスク
 当社グループ所有の事業所が環境汚染の原因と判断された場合、事業所の閉鎖等の法的処置が講じられる可能性があります。また、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用は、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14)ITセキュリティおよび情報管理に関するリスク
 当社グループでは業務上、各種ITシステムを駆使しているため、システムの不備やコンピューターウィルス等の外部要因により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有していますが、万が一の事故等によりその情報が社外に流出した場合、信用を大きく失うことで業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15)金融市況および為替の動向に関するリスク
 市場性のある株式等を保有しているため、株式市況の低迷によってはこれらの株式等の売却損や評価損が生じ、また、金利動向によって退職給付債務の増加など業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに連結売上高の約半分を外貨で占めているため、連結子会社業績の円換算において外国為替変動の影響を受けます。また、輸出入取引においても外国為替変動が業績に影響を及ぼします。
5【経営上の重要な契約等】
(1)技術導入等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
武田薬品工業㈱
平成9年
9月12日
製剤特許に関するライセンス
特許の有効期間
一定料率のロイヤルティ
(ドイツ)
アボット社
平成9年
12月19日
抗肥満薬「シブトラミン」の開発および製造・販売
契約締結より15年
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
富山化学工業㈱
平成10年
9月30日
抗リウマチ薬T−614の共同開発・販売提携
販売開始より10年または、特許満了日のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(ドイツ)
アボット社
平成11年
6月16日
完全ヒト抗TNF−αモノクローナル抗体注射剤の開発および販売
契約締結より15年
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(イタリア)
ユーランド社
平成15年
5月2日
「硝酸イソソルビド」の輸入およびその製剤の製造・販売
契約締結より10年
以後2年毎の更新
(イスラエル)
テバ社
平成15年
5月14日
米国における「ラサジリン」の共同開発およびコ・プロモーション
最初のジェネリックの発売から6ヵ月後まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(スイス)
ノバルティス社
平成16年
2月6日
全世界における抗てんかん剤「ルフィナマイド」の開発および製造・販売に関するライセンス
各国毎に特許満了日または販売開始日から10年のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(注)マック社との「硝酸イソソルビド」の輸入およびその製剤の製造・販売に関する契約は、平成16年12月1日で終了いたしました。
(2)技術導出等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
(米国)
ファイザー社
平成6年
10月5日
E2020に関する包括的提携
特許の有効期間または市販後10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(ベルギー)
ヤンセン社
平成9年
4月10日
E3810に関する包括的提携
特許の有効期間または市販後10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(注)ブリストル・マイヤーズ スクイブ社との抗真菌剤についての製造・販売ライセンスに関する契約は、平成16年10月28日で終了し、米国を中心とした開発を自社で行うことといたしました。
(3)合弁契約・その他
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
(英国)
ロンドン大学
平成2年
9月11日
研究所の建設・運営に関する提携
契約後50年間
研究所建物の建設他
(イタリア)
ブラッコ社
平成2年
11月30日
「イオメプロール」他造影剤の日本国内における製造販売に関する合弁事業
契約後19年間
(アイルランド)
エラン社
平成16年
3月30日
北米および欧州における抗てんかん剤「ゾネグラン」の戦略的製品買収(「ゾネグラン」に関する大日本製薬㈱とエラン社とのライセンス契約の承継を含む)
米国:平成24年3月31日
欧州:承認後10年間
カナダ・メキシコ:市販後10年間
契約一時金他
(米国)
トーリーパインズ・セラピューティクス社
平成17年
2月28日
アルツハイマー病に関する探索研究で発見された化合物についての第一次交渉権ならびに第一次拒否権
契約締結より2年間
契約一時金
(4)販売契約等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
当社
ノボ ノルディスク ファーマ㈱
平成11年
4月26日
「グルカゴンG・ノボ」の販売提携
平成21年12月31日まで
アベンティス ファーマ㈱
平成13年
3月30日
「ルリッド」に関する販売提携
契約後5年間
以後1年毎の更新
アベンティス ファーマ㈱
平成14年
3月28日
「アクトネル」のコ・プロモーション
販売開始より10年間
杏林製薬㈱
平成15年
7月30日
日本における「マクサルト」の販売
平成29年1月31日まで
   (注)中外製薬㈱との「インヒベース」の販売提携に関する契約は、平成17年3月31日で終了いたしました。
6【研究開発活動】
 当社グループは、神経、消化器、がん・クリティカルケアの領域に経営資源を集中し、積極的な研究開発を行っております。
 主要開発品としてフェーズⅡ段階にある、敗血症および冠動脈バイパス術後の予後改善を目指すエンドトキシン拮抗剤「E5564」(一般名:エリトラン)、抗がん剤「E7070」(一般名:インジスラム)および「E7389」、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症の治療薬を目指す選択的AMPA受容体拮抗剤「E2007」の4テーマについて創薬概念の検証を進めております。
<欧米開発品>
 抗てんかん剤「ゾネグラン」(一般名:ゾニサミド)は、平成17年3月に欧州委員会より販売承認を受けました。また、ノバルティス社から導入した抗てんかん剤「イノベロン」(一般名:ルフィナマイド)は、平成17年3月にレノックス・ガストー症候群の併用療法について、欧州医薬品審査庁に中央審査方式に基づく販売承認申請を提出いたしました。テバ社(イスラエル)が開発したパーキンソン病治療剤「TVP−1012」(一般名:ラサジリン)の「アリセプト」との併用によるアルツハイマー型痴呆への効能追加を目指し、米国においてフェーズⅡ試験を共同で実施しております。なお、当社が独自に合成したトリアゾール系抗真菌剤(一般名:ラブコナゾール)は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に導出しておりましたが、平成16年10月に契約を終了し、米国を中心とした開発を自社で行うことといたしました。
<国内開発品>
 頻脈性不整脈治療剤「タンボコール」の発作性心房細動・粗動の効能追加を、平成16年12月に申請いたしました。また、肥満症治療剤「KES524」(一般名:シブトラミン)は平成16年5月からフェーズⅢ試験を実施しております。
<主力品のライフサイクルマネジメント>
 「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」に関しては、製品のポテンシャルを極大化するために、効能追加および剤形追加を進めております。「アリセプト」においては、脳血管性痴呆の効能追加に関し、米国では追加データの提出を、欧州では再申請を目指して、臨床試験を進めております。平成16年5月には、欧州で液剤の剤形追加を申請し、平成16年10月には、米国で口腔内崩壊錠および液剤の承認を取得いたしました。「パリエット」に関しては、欧州において平成16年4月に症候性胃食道逆流症のオン・デマンド療法、平成16年6月にはゾリンジャー・エリソン症候群の承認を取得いたしました。日本では、平成16年6月に非びらん性胃食道逆流症のフェーズⅢ試験を開始しております。また、平成17年3月にH.ピロリ除菌の効能追加を申請いたしました。
<新規導入品>
 ブグァン社(韓国)と慢性B型肝炎治療剤(一般名:クレブジン)のライセンス契約を平成16年10月に締結いたしました。現在、中国でフェーズⅢ試験の準備段階にあります。
 また、国内で関節リウマチを適応としてアボット ジャパンと共同開発中の「D2E7」(一般名:アダリムマブ、ヒト抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体)に関し、新たな適応である乾癬についても国内で共同開発する契約をアボット・ゲーエムベーハー(ドイツ)と締結いたしました。
 当連結会計年度における研究開発費総額は、783億25百万円、売上高比率14.7%であり、そのほとんどが医薬品分野で発生しております。
7【財政状態及び経営成績の分析】
 文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断、予測したものであります。なお、文中に記載されている金額は、四捨五入で表示しております。
(1)重要な会計方針および見積り
 当社グループの連結財務諸表は、各国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成しておりますが、連結財務諸表の作成に当たっては見積りや仮定によることが必要となります。使用する見積りや仮定は、これまでの経験、業界標準、経済状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられるものを継続的に採用しております。ただし、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があり、また、これらの見積りは異なった仮定の下では違う結果となることがあります。
 なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は、次のとおりであります。
① 退職給付会計
 退職給付債務および年金資産は、年金数理計算に用いられる仮定に左右されます。仮定となる割引率、将来の給与水準、年金資産の期待運用収益率、退職率および死亡率については、現在の統計データ、年金資産に対する実際の長期収益率その他の要因に基づき設定しております。これらの仮定に基づく見積りと実績との差異は毎年償却を行っており、将来における営業費用等に影響を与えます。
② 繰延税金資産
 繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を見積り、評価しております。また、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。課税所得を見積る際の利益計画は、事業リスク等を十分に考慮し保守的に作成しておりますが、その見積り額が増減した場合は繰延税金資産が増減いたします。
(2)経営成績の分析
① 売上高
 当連結会計年度の連結売上高は5,330億円であり、前連結会計年度より328億円、6.6%増加いたしました。「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の合計売上高は連結売上高の55.4%を占めており、このうち米国の構成比は全体の68.3%であります。引き続き主力2製品の売上拡大に注力していくとともに、米国、欧州においては「ゾネグラン」の販売を拡大していくことにより、翌連結会計年度の連結売上高は増加する見込みであります。
② 売上原価および売上総利益(返品調整引当金繰入、戻入額を含む)
 当連結会計年度の売上原価は985億円であり、前連結会計年度より13億円の増加、売上原価率で約1ポイント減少いたしました。売上原価率の減少は主に、生産部門における継続的な原価低減努力や当社グループの製品の平均に比べて原価率の低い、「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の売上高が増加したことによるものであります。その結果、当連結会計年度の売上総利益は4,345億円となり、前連結会計年度より316億円、7.8%増加いたしました。
 翌連結会計年度におきましても、グローバル2品のさらなる伸長および生産の効率化により、売上原価率の低減を見込んでおります。
③ 販売費及び一般管理費
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費(研究開発費除く)は、2,694億円であり、前連結会計年度より185億円、7.4%増加いたしました。主な増加要因は、主として「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の積極的売上拡大施策に伴う、米国を中心としたプロモーション費用の増加および「ゾネグラン」の製品買収に伴う販売権の償却費の増加等によります。
 当連結会計年度の研究開発費は783億円であり、前連結会計年度より93億円、13.5%増加いたしました。主な増加要因は、主要開発品の臨床研究活動の進展ならびに委託研究費用の増加等によるものであります。
 今後も、当社グループの目標である、未だ満たされていない医療ニーズに応える画期的な製品を創出するため、引き続き積極的な研究開発投資を行ってまいります。
④ 営業利益
 営業利益は前連結会計年度より37億円、4.5%増の868億円となりました。
 翌連結会計年度は、積極的な研究開発への投資やグローバル展開のための販売管理費の増加を主力2製品の売上拡大および生産コストの低減により吸収し、当連結会計年度以上の営業利益を確保できる見込みであります。
⑤ 特別損益
 特別利益は、前連結会計年度より30億円減の14億円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に厚生年金基金の代行部分返上益を計上したことによるものであります。また、特別損失は前連結会計年度より24億円減の29億円となりました。特別損失の主なものは、特許侵害訴訟関連費用等であります。
⑥ 当期純利益
 当期純利益は前連結会計年度より54億円、10.7%増の555億円となりました。税金等調整前当期純利益に対する税率は、試験研究費の法人税額特別控除等により、前連結会計年度の39.9%から当連結会計年度は36.3%となりました。
 収益性の面では、当連結会計年度におけるEPS(1株当たり当期純利益)は193.39円、ROE(株主資本利益率)は12.6%、ROA(総資本利益率)は8.7%となっております。
 翌連結会計年度におきましても安定した収益性を確保し、増益の見込みであります。なお、翌連結会計年度の配当金につきましては、株主の皆様への利益還元を重視し、DOE(株主資本配当率)5%の早期実現を目指した配当方針のもと、一株当たり中間配当金40円、期末配当金40円の年間配当金80円(前期より24円増)を計画しております。
(3)資金の流動性および資本の財源についての情報
① 資金の流動性
 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より235億円減の492億円であります。主な減少要因は退職給付信託設定による200億円の支出に加え、米国における売上増加に伴い売上債権が増加していることによります。一方、設備投資等の現事業維持のための支出は前連結会計年度より149億円増の387億円となっております。主な増加要因は、「ゾネグラン」の販売権取得によるものであります。  
 この結果、自由に使途を決定できる資金であるフリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度より384億円減の105億円となりました。
 当社グループでは、積極的な事業活動の推進に十分な資金を確保した上で、株主の皆様への安定的および継続的な配当を実施していく方針であります。
 なお、当連結会計年度においては配当金の支払いに112億円、自己株式の市場買付けに61億円を支出しております。
② 資本の財源
 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の21.5%を占める1,424億円であり、当該残高に加え、営業活動によるキャッシュ・フローの実績および未使用の借入枠を勘案すると、将来の予測可能な運転資金および資本的支出等の資金需要に対して、十分な財源が存在すると考えております。
(4)新会計基準の適用等について
減損会計基準の適用
 平成16年3月期より「固定資産の減損に係る会計基準」および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の早期適用が可能でありますが、当連結会計年度では適用しておりません。




出典: エーザイ株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書