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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 医薬品産業は、革新的な治療薬の創出と質の高い情報・サービス・製品の提供を期待される一方、日本、米国、欧州、アジア諸国の医療費抑制策の進展、研究開発コストの増大、企業再編の活発化など、産業を取り巻く事業環境はますます厳しさを加え、大きな変革の時期にあります。また、地球環境、社会および事業の持続性に関する企業の社会的責任の遂行も強く求められております。
 このような状況の中、当連結会計年度の連結業績は、売上高7,342億86百万円(前連結会計年度比8.9%増)、営業利益177億49百万円(同83.1%減)、経常利益188億50百万円(同82.9%減)、当期純損失170億12百万円(前連結会計年度は当期純利益706億14百万円)となりました。
 売上高については、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」が2,909億82百万円(前連結会計年度比15.1%増)と伸長し、プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤「パリエット」(米国名「アシフェックス」)は1,759億20百万円(同0.9%増)となりました。また、所在地別には日本、北米、アジア他が順調に伸長いたしました。
 積極的な研究開発活動への資源投入に加え、MGIファーマ社買収に伴うインプロセス研究開発費874億42百万円などの計上により、営業利益、経常利益は大幅な減益となり、当期純損失を計上いたしました。
 これにより、1株当たり当期純損失は59円80銭(前連結会計年度の1株当たり当期純利益は247円85銭)となりました。
(注) インプロセス研究開発費:特定の研究活動の目的で利用され、将来他の目的に使用できない資産であり、研究開発費として一括して計上される費用のことであります。
<MGIファーマ社買収の影響>
 MGIファーマ社買収に伴う米国会計基準の企業結合会計(SFAS141号)に基づくパーチェス法の会計処理の連結損益に与える影響額は、次のとおりとなりました。
 ・インプロセス研究開発費 : 874億42百万円(研究開発費)
 ・無形固定資産償却費     :  31億35百万円(売上原価および研究開発費)
 ・たな卸資産評価アップ分 :  24億76百万円(売上原価)
 ・法人税その他      :△53億17百万円(法人税等調整額など)
  ※( )内は該当する勘定科目であります。
 企業活動の実態を見るため、「GAAPベース」(現行の会計基準ベース)から上記の買収に伴う企業結合会計特有の処理(非キャッシュ項目)を除き算出した「実業ベース」での営業利益は1,108億3百万円(前連結会計年度比5.3%増)、経常利益1,119億4百万円(同1.3%増)、当期純利益は707億24百万円(同0.2%増)となりました。
<キャッシュ創出力>
 当社はキャッシュ・インカムを成長投資、事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額であり、「キャッシュ創出力」を表わすものと考えております。よって、企業の成長性・戦略を検証する尺度として記載しております。
 キャッシュ・インカムは1,054億92百万円(前連結会計年度比8.1%増)となり、1株当たりキャッシュ・インカムは370円82銭(前連結会計年度より28円19銭増)となりました。
 *キャッシュ・インカムの算式
  当期純損益+有形・無形固定資産償却費+インプロセス研究開発費+のれん償却費+減損損失
 *1株当たりキャッシュ・インカムの算式
  キャッシュ・インカム/発行済株式数(自己株式控除後)
<資産等の状況>
 当連結会計年度末の資産合計は、MGIファーマ社の買収およびその資金借入により、1兆1,239億39百万円(前連結会計年度末より3,318億24百万円増)と大幅に増加いたしました。資産の主な増加は、MGIファーマ社およびモルフォテック社の買収に伴う無形固定資産であり、一方、現金及び預金、有価証券、投資有価証券などは減少いたしました。
 負債合計は6,701億47百万円(前連結会計年度末より4,407億31百万円増)となりました。主な増加は、買収等に伴う短期借入金と長期借入金の発生であります。
 純資産合計は4,537億91百万円(前連結会計年度末より1,089億6百万円減)となり、自己資本比率は39.9%(同29.8ポイント減)となりました。
<セグメントの状況>
(各セグメントの売上高は外部顧客に対するものであります)
①事業の種類別セグメント
[医薬品分野]
 「アリセプト」が伸長いたしました。「パリエット/アシフェックス」は競合激化がありましたが、前年実績を上回りました。
 この結果、医薬品分野の売上高は、7,118億44百万円(前連結会計年度比9.0%増)、営業利益はMGIファーマ社買収の影響により198億20百万円(同81.7%減)となりました。
[その他の分野]
 食品添加物、化学品、製薬用機械等の売上高は、224億42百万円(前連結会計年度比6.0%増)、営業利益は19億19百万円(同12.2%増)となりました。
②所在地別セグメント
[日  本]
 売上高は3,126億56百万円(前連結会計年度比7.0%増)、営業利益は804億82百万円(同10.5%増)となりました。医療用医薬品では、「アリセプト」の売上高は、623億7百万円(同25.4%増)、「パリエット」の売上高は、371億7百万円(同21.0%増)とそれぞれ伸長いたしました。
[北  米]
 売上高は3,393億96百万円(前連結会計年度比11.9%増)、営業損益はMGIファーマ社買収の影響および親会社に支払うロイヤルティ率の変更等により、668億83百万円の損失となりました。「アリセプト」の売上高は、1,868億74百万円(同15.2%増、現地通貨では18.0%増)、「アシフェックス」の売上高は、1,247億11百万円(同1.7%減、現地通貨では0.7%増)となりました。MGIファーマ社の平成20年1月28日から約2カ月間の売上高は100億15百万円であります。
[欧  州]
 売上高は544億16百万円(前連結会計年度比0.7%減)、営業利益は新市場への進出や競合激化もあり17億99百万円(同55.7%減)となりました。「アリセプト」の売上高は、332億58百万円(同3.5%減)、「パリエット」の売上高は、85億95百万円(同29.1%減)となりました。
 平成19年9月、ベルギーに医薬品販売会社エーザイ・エスエー/エヌヴィを設立いたしました。
[アジア他]
 売上高は278億17百万円(前連結会計年度比17.4%増)、営業利益は56億17百万円(同39.7%増)となりました。「アリセプト」の売上高は、85億42百万円(同30.4%増)、「パリエット」の売上高は、55億6百万円(同18.7%増)とそれぞれ伸長いたしました。
 なお、日本を除く海外所在地別売上高の合計は、4,216億30百万円(前連結会計年度比10.4%増)となり、売上高比率は57.4%(前連結会計年度より0.8ポイント増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度の営業活動から得たキャッシュ・フローは、732億42百万円(前連結会計年度より79億46百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益は176億53百万円、減価償却費は345億59百万円、買収に伴うインプロセス研究開発費は880億48百万円、法人税等の支払額は493億24百万円であります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、4,764億47百万円の支出(前連結会計年度より4,212億35百万円増)となりました。そのうち、MGIファーマ社およびモルフォテック社の買収に4,355億4百万円、有形固定資産の取得に392億27百万円、無形固定資産の取得に145億8百万円を支出いたしました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、買収による借入の発生等により3,753億65百万円の収入(前連結会計年度は406億20百万円の支出)となりました。配当金の支払いには369億38百万円を支出いたしました。
 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,199億50百万円(前連結会計年度末より511億40百万円減)となりました。
[連結財務指標の推移]
 
第92期
第93期
第94期
第95期
第96期
自己資本比率(%)
68.1
69.4
69.5
69.7
39.9
時価ベースの自己資本比率(%)
131.8
157.0
196.3
202.7
86.2
債務償還年数(年)
0.03
0.06
0.03
0.03
5.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ
1,040.6
856.3
1,922.7
796.8
96.2
 (注)各指標の算出方法
 
自己資本比率
:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率
:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産
債務償還年数
:有利子負債(借入金、代理店預り金等)/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ
:営業キャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)
(3) 米国バイオベンチャー企業モルフォテック社の買収について
 当社グループは、平成19年3月に抗体医薬の研究開発を専門とする米国のバイオベンチャー企業であるモルフォテック社を買収する契約を締結し、平成19年4月に契約が発効いたしました。
 当社グループは、がん領域を第Ⅴ期中期戦略計画「ドラマティック リープ プラン」において重点領域のひとつと位置づけており、自社による抗がん剤開発に向けてグローバルな研究開発に取り組んでおります。本買収により、当社グループは抗がん剤などの研究開発においてバイオロジクス(生物学的製剤)分野に本格的に参入することになりました。モルフォテック社の持つユニークな抗体技術を活用し、がんに対する抗体治療薬創出の充実をはかることで、自社で取り組んでいる低分子化合物の抗がん剤開発と合わせて、がん患者様の多面的なニーズに対応することが可能となりました。
モルフォテック社は、抗体医薬の研究開発を専門とする研究子会社で、同社の保有している独自のヒト抗体技術である「Human MORPHODOMA®」(ヒューマン・モルフォドーマ)および「Libradoma™」(ライブラドーマ)を使用し、各種がん、リウマチ、感染症などの疾患に対する抗体治療薬の開発に取り組んでおります。また、米国で著名な研究機関と共同研究も積極的に実施しており、これらの共同研究から導かれる新しい抗原からの創薬研究も期待されます。
当社グループの筑波研究所(茨城県)、カン研究所(兵庫県)、ボストン研究所(米国)、ロンドン研究所(英国)にモルフォテック社が加わることで、探索研究ユニットの充実とともにグループ研究所間で緊密な連携によりグローバルな研究機能が強化されました。
[モルフォテック社の開発品の概要]
 現在、モルフォテック社の創製した2つのがんに対する抗体がすでに臨床試験段階にあります。概要は次のとおりであります。
・MORAb−003(卵巣がん/フェーズⅡ)
MORAb−003は細胞表面の葉酸受容体αという糖タンパクに結合するIgG1クラスのヒト化抗体です。葉酸受容体αは、卵巣がん、乳がん、腎がん、肺がん、大腸がん、脳腫瘍など多くの上皮性がん細胞において過剰発現していることが知られています。現在、卵巣がんを対象としたフェーズⅡ試験が進められております。当該適応については、FDA(米国食品医薬品局)および欧州委員会より稀少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)としての指定を受けております。
・MORAb−009(膵臓がん/フェーズⅡ)
MORAb−009はがん細胞の細胞表面に過剰発現しているメソセリンに対するモノクローナル抗体です。メソセリンの過剰発現は、膵臓がん、中皮腫、卵巣がん、子宮内膜がん、非小細胞肺がんなどで認められております。現在、膵臓がんを対象としたフェーズⅡ試験が進められております。当該適応については、FDAおよび欧州委員会より稀少疾病用医薬品としての指定を受けております。
・前臨床段階の抗体
上記2つの抗体以外に、がん、関節リウマチ、感染症などの治療薬をめざした抗体を前臨床段階に複数保有し、研究を進めております。
[モルフォテック社の抗体技術]
・Human MORPHODOMA®(ヒューマン・モルフォドーマ)
Human MORPHODOMA®技術は、完全ヒトモノクローナル抗体を産生することができる抗体創出基盤です。さらに、モルフォテック社の独占技術およびノウハウにより、細胞による抗体力価の最大化、抗体のクラススイッチ、抗体の抗原への親和性の向上が可能となります。
・Libradoma™(ライブラドーマ)
Libradoma™技術は、Human MORPHODOMA®技術およびモルフォテック社独自の技術を用いて、数千種のハイブリドーマ細胞のライブラリを構築します。その後、ハイブリドーマ細胞から、ハイスループット・ロボットを用いて、望ましい親和性プロファイルをもった抗体を産生する細胞株を速やかに選択します。
(4) 米国バイオファーマのMGIファーマ社の買収による完全子会社化について
[MGIファーマ社買収の目的]
 当社グループは、平成20年1月に総額約39億米ドルを投資し、米国のバイオファーマであるMGIファーマ社を買収により完全子会社といたしました。
 本買収により、MGIファーマ社の有するがん・救急治療関連製品・開発品と米国の販売促進機能および研究開発機能を獲得いたしました。それらの機能が、自社の既存のがん領域製品・開発品、グローバルに展開するインフラおよび研究開発機能に加わることで、世界最大かつ重要市場である米国での事業基盤をより強化するとともに、がん領域のグローバルパイプラインを強化してフランチャイズ化を一層進展させ、第Ⅴ期中期戦略計画「ドラマティック リープ プラン」の目標達成の確度を向上させることになります。さらに、平成24年度以降の持続的成長にも確実につながるものと考えております。
 米国事業に関しては、MGIファーマ社が参画することで、研究開発、生産、物流、マーケティング、市販後医薬品の安全性監視にいたる米国におけるシームレス・バリュー・チェーンが一層強化されることになります。特に、米国でのコマーシャル・インフラストラクチャーにおいては、がん領域ならびに病院販路におけるマーケティングをはじめ、政府、学会、保険償還などへの対応体制が強化されることになります。
 がん領域においては、MGIファーマ社の有する開発品・製品が加わることで、当社グループのがん領域における開発品・製品の充実化をはかることができます。あわせて、従来から得意としてきた低分子医薬品に加え、抗体医薬、治療用ワクチン、さらに、がん治療には必須となる支持療法に係る治療剤まで、がん治療における多くのニーズを充足するための多様なアプローチが可能となります。また、MGIファーマ社の製品、開発品に関しては、当社グループのグローバルなネットワークを活用することで、そのポテンシャルを極大化してまいります。
 MGIファーマ社の有する既存品の制吐剤「アロキシ」、DNAメチル化阻害剤「ダコジェン」は、それぞれの領域でカテゴリーリーダーの位置づけにある製品であり、いずれも売上の拡大が予想されます。また、本買収において人員と機能について整備・最適化を進めることでコストシナジーを生み出すことも計画しております。その結果、平成20年度より当社グループの連結業績において収益面で貢献することになると予想しております。
[MGIファーマ社の買収、完全子会社化までの経緯]
 当社とがん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマであるMGIファーマ社は、平成19年12月10日(米国時間、以下同じ)、当社がMGIファーマ社を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結いたしました。本契約に基づき、当社は、MGIファーマ社の発行済み株式のすべてについて、1株当たり41米ドルの現金にて取得する公開買付けを平成19年12月21日から開始いたしました。
 本買収に関する米国独占禁止法による待機期間が平成20年1月16日に早期終了し、公開買付け期間終了となる平成20年1月22日までにMGIファーマ社の全発行済み株式の約96.1%に相当する78,363,716株の応募(Notice 
of Guaranteed Delivery*1により応募された株式18,933,563株を含む)があったことから、本公開買付けは成功いたしました。
 その後、平成20年1月23日より3営業日の間、公開買付け終了前に応募しなかった株主に対して引き続き株式譲渡の機会を提供するSubsequent Offering Period*2を設定いたしました。当期間終了時の平成20年1月25日には、当初応募された株式も含めてMGIファーマ社の全発行済み株式の約93.8%に相当する76,494,076株の応募が確定いたしました。なお、平成20年1月22日時点でのNotice of Guaranteed Deliveryを含む応募された株式数と最終的に応募された株式数の差異は、Notice of Guaranteed Deliveryにより応募された株式の一部が実際には届けられなかったためであります。
 そして、平成20年1月28日、略式合併によりMGIファーマ社は当社の米州統括会社エーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカの100%子会社となりました。
<MGIファーマ社買収までの経緯>
平成19年12月10日 MGIファーマ社と本買収に関する最終契約を締結
平成19年12月21日  公開買付けを開始
平成20年1月16日  米国独占禁止法による待機期間の早期終了
平成20年1月22日  公開買付け期間が終了
平成20年1月23日  Subsequent Offering Periodを設定
平成20年1月25日  Subsequent Offering Periodが終了
平成20年1月28日  略式合併によるMGIファーマ社の完全子会社化
※上記日付はすべて米国時間であります。
*1 Notice of Guaranteed Delivery
株主が、所有する株式の公開買付けに応募しようとする際、株券をすぐに手元に用意できない場合、もしくは所有する株式が振替株式等で、公開買付け期間終了までに株主自身が買い付け応募の手続きをとれない場合に、株主はNotice of Guaranteed Deliveryを提出することにより、公開買付けに応募することができます。
*2 Subsequent Offering Period
公開買付け期間が終了した後に、買付者が株式の買い付けを承諾する場合、米国法が規定するSubsequent 
Offering Periodを設定し、公開買付け終了前に応募しなかった株主に対して、引き続き株式譲渡の機会を提供することができる制度であります。なお、この期間中の株式買取条件については、Notice of Guaranteed 
Deliveryによる手続きが行えないこと、応募の取り下げができないことを除き、公開買付けと同様となります。
[MGIファーマ社の概要](本項は西暦で表示しております)
 MGIファーマ社は、がん・救急治療に強みを持つ米国のバイオファーマ企業であります。アンメット・メディカル・ニーズ(患者様や医師から強く望まれているにもかかわらず、未だ満たされていない医療上の必要性)を充足する薬剤の獲得、研究開発、生産、販売機能を持ち、ミネソタ州ブルーミントン市に本社、マサチューセッツ州レキシントン市に研究所、メリーランド州ボルチモア市に工場を有しております。
 1979年にMolecular Genetics, Inc.として創立後、1982年に米国NASDAQ(ナスダック、National 
Association of Securities Dealers Automated Quotations)に上場し、1988年に重点分野を農業から医薬品へ移行するとともに、社名をMGIファーマ社に変更いたしました。2008年1月28日のエーザイによる買収完了後、当社の米州統括会社エーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカの完全子会社となり、米国NASDAQ上場を廃止しております。
[MGIファーマ社の製品と開発品]
 MGIファーマ社は、がん・救急治療分野でカテゴリーリーダーの位置付けにある製品や、DNAワクチン治療薬をはじめとするユニークな開発品を有しております。主な製品と開発品は次のとおりであります。
①MGIファーマ社の製品群
・制吐剤「アロキシ」
「アロキシ」は、がん化学療法に伴う悪心・嘔吐を適応症とする長時間作用型セロトニン(5−HT)受容体拮抗剤(注射剤)であります。悪心・嘔吐を適応症とした5−HT受容体拮抗剤の中で、唯一急性ならびに遅発性の悪心・嘔吐の適応を有しており、他剤と比べ簡便な投与方法が可能なベスト・イン・クラスの薬剤であります。平成20年2月に、術後の悪心・嘔吐の予防の効能・効果追加の承認を取得いたしました。また、新しい剤形となる経口剤の剤形追加承認を申請中であります。
・DNAメチル化阻害剤「ダコジェン」
「ダコジェン」は、骨髄異形成症候群(MDS/Myelodysplastic Syndrome)を適応症とするDNAメチル化阻害剤(注射剤)であります。前治療の有無を問わず、初発および二次性MDSの全サブタイプを適応症としております。急性骨髄性白血病の新適応、MDSでの延命効果の立証、新用法・用量の追加などの開発を進めており、有用性の拡大をはかってまいります。
・DNA・RNAアルキル化剤「グリアデル・ウェファー」
「グリアデル・ウェファー」は、悪性神経膠腫・多形性神経膠芽腫を適応症とする、DNA・RNAアルキル化剤の脳内埋め込み型徐放性製剤であります。 
②MGIファーマ社の主な開発品
・鎮静剤「アクアバン」
「アクアバン」は、簡便な診断・治療の際の鎮静を適応症とする注射剤で、適用が拡大する大腸や気管支の内視鏡検査施行時等に適応されることが期待される薬剤であり、平成19年12月に承認申請がFDA(米国食品医薬品局)に受理されました。効果発現が早く投与量調整が容易、鎮静からの爽快かつ早い回復が特徴であります。対象となる診断の実施例数は急速に拡大しております。
・治療用DNAワクチン「アモリモジン」
「アモリモジン」は、子宮頚部異形成を適応症とする世界初の治療用DNAワクチン注射剤をめざして開発しております。ヒトパピローマウィルス(HPV/Human Papilloma Virus)のタイプによらず効果を発揮し、HPV感染後の前癌状態にある細胞を除去することが期待され、現在、フェーズⅡ/Ⅲ試験が進行中であります。
・トロンボポエチン受容体作動剤「AKR−501」
「AKR−501」は、血小板減少症を適応症とするトロンボポエチン受容体作動剤(経口剤)をめざして開発を進めております。トロンボポエチン受容体に対するフルアゴニストとして機能することが特徴で、現在、フェーズⅡ試験が進行中であります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
① 生産実績
  当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
金額(百万円)
前連結会計年度比(%)
医薬品分野
697,136
109.0
その他の分野
8,536
103.3
合計
705,673
108.9
(注) 1 金額は販売見込価格により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
 2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
 
② 商品仕入実績
  当連結会計年度における商品仕入実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至  平成20年3月31日)
金額(百万円)
前連結会計年度比(%)
医薬品分野
22,388
107.2
その他の分野
10,270
107.5
合計
32,658
107.3
(注) 1 金額は仕入価格により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
 2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
 当連結グループは販売計画に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。
(3)販売実績
  当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
金額(百万円)
前連結会計年度比(%)
医薬品分野
711,844
109.0
その他の分野
22,442
106.0
合計
734,286
108.9
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
(米国)
 マッケソン社
115,796
17.2
128,625
17.5
(米国) 
  カーディナル
 ヘルス社
87,208
12.9
95,905
13.1
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3【対処すべき課題】
 当社グループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としております。この理念のもと全役員・社員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足することを通して、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしております。この基本的な考え方を定款に記載し、株主の皆様と共有化をはかっております。
 この理念の実現にあたっては、主要なステークホルダーズと考えている患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築につとめるとともに、法と倫理の遵守を目的としたコンプライアンス活動を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでおります。
 医薬品産業は、革新的な治療薬の創出と質の高い情報・サービス・製品の提供を期待される一方、日本、米国、欧州、アジア諸国の医療費抑制策の進展、研究開発コストの増大、企業再編の活発化など、産業を取り巻く事業環境はますます厳しさを加え、大きな変革の時期にあります。また、地球環境、社会および事業の持続性に関する企業の社会的責任の遂行も強く求められております。
 このような中、当社グループでは、グローバルな事業展開において、あらゆることに柔軟かつ丁寧に取り組むことで、効率性と生産性の一層の向上をはかる企業体の構築をめざしてまいります。そのために、平成23年度を最終年度とした第Ⅴ期中期戦略計画「ドラマティック リープ プラン」を平成18年度よりスタートし、「ベストな人のベストな場所でのベストなストラクチャーによる価値創造」を基本に、最も妥当性の高い国や地域に製薬企業の重要な機能を設置するとともに、地域ごとの状況やニーズを踏まえたビジネスを展開しております。
 本中期戦略計画の2年目においても成長を果たすとともに、研究開発や事業技術基盤の整備、グローバルな事業強化のための積極的な投資を行うなど、経営成績、事業活動において着実に成果をあげております。抗体医薬の研究開発に強みを持つ米国バイオベンチャー企業であるモルフォテック社を平成19年4月に買収したことに続き、平成20年1月には、買収総額約39億米ドルを投資し、がん・救急治療に強みを持つ米国のバイオファーマMGIファーマ社の買収による完全子会社化に成功いたしました。本買収は、世界最大かつ重要市場である米国での事業基盤を一層強化するとともに、がん領域のグローバルパイプラインを強化することを目的としたものであり、中期戦略計画の目標達成の確度を向上させ、さらに平成24年度以降の持続的な成長にも寄与するものと考えております。(MGIファーマ社の買収による完全子会社化の概要は「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(4)」に記載しております。)
 今後も、成長機会をしっかりととらえ、企業価値向上のために「患者価値」「株主価値」「社員価値」を創出し、あわせて企業の社会的責任の遂行につとめてまいります。
(1)患者価値の創出
 当社グループは、予防、疾病管理、最新治療という医療の各段階において患者様に提供する価値を創出してまいります。「患者価値」の創出とは、未だ十分な治療法が確立されていない疾病の克服やQOL(生活の質)の向上に資する革新的な新薬の創出、品質の高い製品の安定供給、および薬剤の安全使用のための有用性情報の提供を行うことであると考えております。
①研究開発領域の集中
 当社グループでは、研究開発活動における領域集中のコンセプトをより進展させ、未だ十分な治療法が確立されていない疾病が多く存在する「神経」と「がん」の2つの領域において、有効性、安全性、経済性に優れた医薬品を創出することをめざして、積極的に取り組んでおります。あわせて、有用性の高い新たな治療剤が求められているクリティカルケア(救命医療)、免疫、血管生物学の分野においても研究開発を進めております。
 また、各々の領域の製品ラインアップの充実や技術力を強化するため、戦略的製品買収や先端技術を保有するバイオベンチャー、バイオファーマの買収あるいは戦略的提携を行うとともに、外部機関との共同研究も積極的に進めております。
 神経領域では、アルツハイマー病に代表される神経変性疾患の新たな治療薬の創出をめざすとともに、てんかん、神経因性疼痛などその他の神経・精神疾患に関する研究を着実に進めてまいります。特に、アルツハイマー病に対する治療薬開発に関しては、原因療法に一歩せまる低分子化合物の開発、抗体医薬やワクチンなどの免疫療法および原因遺伝子関連の研究など多面的なアプローチを推進しております。
 がん領域では、今日最も革新が進む抗がん剤治療に関して、がん細胞の増殖阻害や血管新生を抑制する低分子化合物、抗体医薬、治療用DNAワクチンなど多面的な取り組みを行うとともに、がん患者様のベネフィット向上に欠かせない、化学療法における悪心・嘔吐、神経障害および血小板減少の治療などの支持療法も含めて、パイプラインの充実をはかってまいります。
②研究開発体制の充実
 探索研究では、筑波研究所(茨城県)、ボストン研究所(米国)、ロンドン研究所(英国)と、創薬研究の最上流となる生命科学研究を担うカン研究所(兵庫県)、抗体医薬の研究開発を専門とするモルフォテック社(米国)からなる5拠点体制にがん・救急治療に強みを持つ米国のバイオファーマであるMGIファーマ社の研究機能が加わることで、低分子化合物研究とバイオロジクス(生物学的製剤)研究の両面から幅広いアプローチの創薬研究が可能となる体制を構築いたしました。
 さらに、ロンドン研究所の機能を拡充するために、英国ハットフィールドに建設中の欧州ナレッジセンター内に化合物最適化研究機能を設置する予定であり、グローバルな創薬研究活動のより一層の充実をはかっております。
 臨床研究に関しては、グローバルな臨床研究開発活動の生産性向上と効率化をはかるため米国に本部機能を設置し、日本、米国、欧州、アジアの4地域での臨床研究が、統一されたリーダーシップのもとに機能する体制を構築しております。ここに、モルフォテック社、MGIファーマ社の臨床研究機能が加わることで一層充実いたしました。また、シンガポールに設置した臨床研究拠点を軸とし、国際的にも重要性を増すアジア地域での臨床研究活動への取り組みを強化しております。
③コーポレートプログラムの選定 
 未だ十分な治療法が確立されていない疾病分野において、有用性の高い新薬等をいち早く患者様にお届けするために、最重点開発4テーマをコーポレートプログラムとして選定いたしました。テーマごとにチームを編成し、最優先の資源投入を行うなど、総力を挙げて取り組んでまいります。また、企業価値向上のための重要テーマの推進を強化するためにCEOオフィスを組織し、コーポレートプログラムなどの重要課題に関しては、CEOオフィスへ直接報告することで迅速な意思決定につなげるなど、新製品をいち早く提供するために的確な対応を推進してまいります。
④高品質な医薬品の安定供給体制の充実
 当社グループは、グローバルなレベルで品質確保・安定供給をはかるとともに、コスト競争力を強化することを目標としております。その実現に向け、より高いレベルの品質基準に基づく高品質な医薬品の生産体制構築を推進しております。あわせて、がん領域での新製品開発をめざす中、鹿島事業所(茨城県)では抗がん剤専用原薬生産棟がすでに稼動し、ノースカロライナ工場(米国)では抗がん剤専用製剤棟の建設を進めております。さらに、グローバルな生産機能の拡充をめざして、英国、インドにおいて新たな生産拠点の建設も進めて
おります。
 このような取り組みを通して、「シームレス・バリュー・チェーン」の充実をはかり、高品質な医薬品のグローバルな安定供給を果たしてまいります。
⑤情報提供活動の充実
 当社グループは、自社の医薬品に係る最新情報をタイムリーに収集、分析、評価して、安全使用のための有用性情報の提供活動を行っております。今後の自社開発の新製品上市を見据え、自社によるマーケティング活動をグローバルに展開するために、各エリアをつなぐグローバルマーケティング体制を一層強化し、より質の高い情報を適切に伝達する体制の充実をはかっております。
 また、各エリアでは、アルツハイマー病協会や専門医への支援ならびに疾患啓発活動を通して、患者様とそのご家族や介護の方々、生活者の皆様に対して、疾病関連情報の提供を行っております。
⑥日本における価値創造に向けた体制の刷新
 日本では、医療用医薬品、一般用医薬品、診断薬、ジェネリック医薬品の4つの事業において統合された戦略を推進するために日本事業本部を設置いたしました。日本における医療の将来動向や治療技術の進展を踏まえつつ、予防、疾病管理、最新治療という医療の流れの中で統合された情報・サービス・製品の提供を行うことで、患者様にとってのさらなる価値向上をめざしてまいります。
(2)株主価値の創出
 株主の皆様との価値共有のもとで、「患者価値」創出をグローバルに展開することにより、持続的な成長と企業価値の向上を果たし、その成果を株主の皆様に還元いたします。あわせて、経営情報を積極的に開示し、経営の透明性を高めて、「株主価値」の向上につとめてまいります。
①積極的な投資による持続的な成長性の確保
 当社グループは、グローバルな事業活動をさらに推進するために、日本、米国、欧州、中国、アジア・大洋州・中東の5リージョン体制を構築し、それぞれのリージョンにおける基盤整備、機能強化を進めております。
 欧州では、事業展開を一層推進するために、欧州ナレッジセンターの建設を進めるとともに拡大するEU諸国等での新しい拠点を設置するなど、基盤整備に取り組んでおります。アジア・大洋州・中東地域では、各現地法人の経営支援機能の一層の強化、一貫したガバナンス体制の整備と内部統制の推進を企図し、その統括機能をシンガポールに移転いたしました。また、インドでは新たな生産拠点の建設に着手しております。
 また、自社抗がん剤の開発が進展する中で、バイオロジクス(生物学的製剤)分野への本格的進出やがん領域のグローバルパイプラインの強化をはかるための企業買収を行うなど、オンコロジー(がん領域)ビジネスに関する投資を積極的に行っております。あわせて、抗体医薬の研究体制の拡充、抗がん剤の生産ならびに米国におけるコマーシャル・インフラストラクチャーの体制整備と強化を進めております。
 このように、研究開発、有形固定資産ならびに重点領域を強化するための戦略的提携などへの投資を積極的に行っております。そして、主力品であるアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」、プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤「パリエット」(米国名「アシフェックス」)の一層の浸透をはかるとともに、新製品群を適切かつ速やかに提供できる体制を構築し、持続的な成長をめざしてまいります。
②新たなエリアでの戦略的取り組み
 当社グループでは、効率性と生産性の一層の向上をはかる企業体の構築をめざし、優れた技術レベルを有し、生産性の高いエリアに一部のオペレーション機能を移すトランスフォーメーション戦略を進めております。グローバル臨床研究開発を支える基盤を強化し、業務の効率化と開発期間の短縮をはかるため、日本、米国、欧州を対象とした臨床データマネジメント業務をインドで実施する委託契約を行い、業務を開始いたしました。さらにインドにおいて医療用医薬品の原薬・製剤の製造および研究機能を併せ持つ拠点の建設に着手いたしました。今後、これらの生産・研究拠点へ当社グループの保有する機能の一部を移転する戦略を進めてまいります。
③剰余金の配当等に関する基本方針
 当社は委員会設置会社であり、剰余金の配当等に関しては機動的に行うことを目的として取締役会決議とすることを定款に定めております。
 株主還元については、連結業績ならびに純資産配当率(DOE)等を勘案し、株主の皆様へ継続的・安定的な配当を実施してまいります。DOEは、株主の皆様への利益配分を示す配当性向(DPR)と、株主の皆様が投資した資金を使いどれだけ効果的に利益を出せたかを示す自己資本当期純利益率(ROE)の2つの要素が含まれていることから、株主還元指標としてバランスのとれた相応しいものと考えております。
④経営の透明性の確保
 当社グループでは、経営活動情報を積極的かつ公正、公平、タイムリーに開示することで経営の透明性を高め、ステークホルダーズの皆様からの信頼を得るとともに、企業価値ならびに株主価値の向上につとめております。今後も、情報開示をより一層適切に行うために、社内体制の整備・充実をはかってまいります。
(3)社員価値の創出
 当社グループは、自ら企業価値を高めることのできる唯一のステークホルダーズを社員であると考えております。すべての社員が企業理念を共有し、日々の事業活動を通して企業理念の実現に向け積極果敢に取り組んでいく姿をめざしております。
 そのために、社員の個性と意欲を尊重して能力開発をはかり、社員に働きがいを提供することを人事の基本としております。
①社員の能力開発・キャリア開発
 社員が新たな知識を創造することで自己成長を遂げ、継続的に業務の革新を生み出すために、社員一人ひとりが自発的に自己変革をすることができるプログラムを整備しております。業務上必要な知識・技術の習得などを支援するため、各国のニーズに応じて、ビジネススクール、ロースクールや各種外部短期資格取得コース等への派遣も行っております。
 また、グローバルなヒューマン・リソース・マネジメント戦略を担う専門組織を設置し、国境を越えた人材交流やローテーションを促進するシステムの構築、国際レベルでのリーダーシップ研修制度の導入をはかるなど、社員のグローバルなキャリア開発に積極的に取り組んでまいります。
②働きがいを提供するための環境整備
 当社グループでは、社員が企業理念の実現に邁進できるように、採用、昇格・昇進、配置、能力開発における均等な機会を提供し、価値創造に向けた生産性に相応する報酬水準を志向することを基本方針としております。
 社員一人ひとりの働き方を尊重する制度として、社員のライフプランの選択肢を拡大する諸制度や育児支援制度を積極的に提供し、社員が持てる能力を遺憾なく発揮できる環境整備に取り組んでおります。加えて、就労環境を定期的に点検し、社員がより安全で健康に働けるよう職場環境の向上につとめております。
 また、当社では、健全な運営下にある健保組合、老後の安心を提供する企業年金を堅持したいと考えております。当社グループにおいても、各国の状況に応じて保険パッケージの提供や個人の年金プログラムへのサポートを整備しております。
(4)企業の社会的責任の遂行
 当社グループは、多様なステークホルダーズの皆様から継続的な信頼を得るために、企業の社会的責任の遂行が経営の重要課題であると認識し、内部統制、コンプライアンス、環境保全、社会貢献活動に積極的に取り組んでおります。
①内部統制
 当社は、内部統制担当執行役のもとに内部統制推進部を設置して、内部統制システムの充実、効果的・効率的な運用をはかっております。
 当社グループでは、グローバルな内部統制ポリシーと内部統制基本規程等を策定し、日本、米国、欧州、アジアの各地域における規程類の整備を行ってまいりました。あわせて、各地域に内部監査実施ならびに内部統制を推進する専任部署を設置しております。
 当社では、財務報告の信頼性を担保するため、金融商品取引法への対応を進めております。具体的には、海外関係会社も含めて、全社的な内部統制・業務プロセスに係る内部統制の両面から、関連財務報告リスクとコントロールを明確にし、整備・評価を推し進め、継続的な内部統制の構築とモニタリングを実施できる体制をめざしております。日常的なリスクについては、内部統制推進の専任部署が、各組織が自ら内部統制システム構築状況を評価するCSA(Control Self Assessment)を実施し、内部統制の整備・改善のための活動を推進しております。 
さらに、財務、法務、環境・災害等のリスクの領域ごとに、当該損失の危険に関する事項を統轄する執行役を任命して、それぞれの損失のリスクを適切に管理する規則を作成し、運用しております。
 情報管理に関しては、当社グループにおける情報セキュリティの責任を担う執行役を任命し、そのポリシーを定め、運用をはかっております。
②コンプライアンス
 当社グループでは、企業行動憲章と行動指針を定め、全役員・従業員(派遣・アルバイト社員を含む)の一人ひとりが、これを遵守し日々行動することにつとめております。
 当社は、コンプライアンスの推進を統轄する執行役(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を任命し、コンプライアンスを推進する専任部署を設置するとともに、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの諮問機関として外部の法的専門家を中心に組織されたコンプライアンス委員会を設置しております。
 当社グループ各社は、コンプライアンス推進責任者・担当者を任命し、コンプライアンス推進活動を展開しております。定期的に、日本、米国、欧州、中国、アジア・大洋州・中東のリージョンごとに、コンプライアンス推進担当者の会議を開催し、各社の推進計画や活動状況について意見交換を行い、コンプライアンスの推進につとめております。
 全世界の役員・従業員が同じコンプライアンス・マインドで活動できるよう、当社グループに適用される企業行動憲章および行動指針を記載した「コンプライアンス・ハンドブック」を各国の言語(13カ国語)で作成し、定期的に改訂を行っております。平成19年10月には、第5版を発行いたしました。また、携行用の「コンプライアンス・カード」を作成し、全役員・従業員に配布しております。あわせて、役員研修会をはじめとするコンプライアンス研修や、リスクアセスメント活動を継続的に実施するとともに、e−ラーニングによる研修も定期的に実施しております。
 当社は、内部通報窓口であるとともに全役員・従業員のコンプライアンス相談窓口として機能する「コンプライアンス・カウンター」を社内外に設けております。国内外の関係会社においても、より身近な相談窓口として、社内コンプライアンス・カウンターを設置し、さらに各地域の事情に合わせ、第三者機関を内部通報窓口として契約し、従業員がより相談しやすい環境となるよう整備しております。
③環境保全
 当社グループでは、国内主要工場においてISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、継続的な環境管理の充実をはかっております。また、その他の当社グループ各企業・事業所においては、独自の環境管理体制を構築し、温室効果ガス排出抑制、省エネ・省資源の推進、廃棄物の削減およびリサイクルの推進、グリーン購入などを積極的に行い、地球環境負荷の低減に取り組んでおります。
④社会貢献活動
 当社グループでは、医学・薬学の歴史、健康科学に関する知識の普及、特にくすりの正しい使い方について社会の理解を得ることを目的とした日本初のくすりに関する総合的な資料館「内藤記念くすり博物館」(岐阜県)を無料で公開しております。あわせて、困難な医療環境のもとで長年にわたり医療・福祉業務に従事された方々を顕彰する「医療功労賞」事業への協賛、人類の疾病と治療に関する自然科学研究の奨励と知識の普及や、医療経済を含む医療の学際的研究の推進と若手研究者の育成などを支援しております。
 また、アルツハイマー病の啓発活動に対するさまざまな取り組み、高齢患者様ならびに介護者の皆様に対する援助活動、自然災害の被災者に対する支援等を国内外で行っております。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
<基本方針の内容等>
当社における「株式会社の支配に関する基本方針の内容」、「基本方針の実現に資する特別な取組み」および「基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」は、以下の「当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針」に記載しております。また、「当社の取組みが基本方針に沿うものであること、株主の共同の利益を損なうものではないことおよび当社の役員の地位の維持を目的とするものではないことについての当社の取締役会の判断およびその判断の理由」についても本対応方針に記載しております。
 本対応方針は、平成18年2月28日開催の取締役会において社外取締役独立委員会より提案され、導入されたものです。本対応方針については、毎年、定時株主総会後に、新たに選任された社外取締役全員で構成される社外取締役独立委員会で維持・見直し・廃止の審議を行うことになっております。
 平成19年6月22日に開催された第95回定時株主総会終了後に、新任1名を含む社外取締役7名全員で構成される社外取締役独立委員会において、本対応方針を現行の内容で継続する旨を当社取締役会に提案することについて全委員が賛成し、決議いたしました。
 社外取締役独立委員会は、本対応方針が以下の仕組みを有しており、取締役会の決議での継続を妥当と判断いたしました。
① 本対応方針は社外取締役独立委員会のイニシアティブで運用され、経営陣の恣意性を排除している
② 本対応方針は毎年継続、見直し、廃止が検討される
③ 毎年の定時株主総会における株主の皆様の取締役選任をもって、そのご意向を反映できる
平成19年7月31日に開催された取締役会において、社外取締役独立委員会から提案のあった本対応方針の継続が審議され、承認されました。
また、平成20年3月28日に開催された社外取締役独立委員会において、社外取締役全員が本対応方針に賛成する旨の意思を表明いたしました。
[当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針](平成18年2月28日に公表)
1.導入の理由
 当社は、ヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業として、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを最優先の課題としておりますが、かかる企業価値・株主共同の利益の向上は、患者価値を創出することにより実現できるものと考えております。この患者価値を創出するためには、新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等が必要です。これらを実現するためには、長期的な視野のもとに大胆に企業施策を行わなければならず、また、株主価値を創出するためには、企業として安定的かつ継続的に成長していくことが不可欠の前提となります。さらに、当社は、企業としての社会的責任を全うしつつ、これらの課題を達成するため、2004年に委員会等設置会社に移行し、透明性の高いガバナンス体制を志向しております。
 また、当社は長期的視点に立って策定された第V期中期戦略計画をはじめとする諸施策を遂行・実施することにより、企業価値を高め、株主の皆様の価値を向上する所存であります。しかし、当社事業を取り巻く競争関係の激化、企業買収に対するわが国における法制度・企業文化の変化・変容等を踏まえると、当社の経営方針に重大な影響を与える買付が行われることも予想されます。特に、当社の発行済株式総数の15%以上に相当する株式の買付が行われると、当社経営に重大な影響が生じ、上記施策を遂行・達成することができなくなるおそれがあります。この15%以上に相当する株式の買付による影響については、次の事項からもその重大さは明らかであると考えられます。まず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則による関連会社の基準に、議決権の15%以上、20%未満を所有し重要な影響を与え得ることが推測される事実の存在がある場合が含まれていることがあげられます。また、15%という株式の買付は、株主総会の特別決議の否決に関して、その定足数も考慮に入れた場合、非常に大きな割合を占めることになります。
 もとより当社は、当社の株式を大量に取得したり、当社の経営に関与しようとする買付については、それが当社の企業価値を大きく向上させるものであれば、これを一概に否定するものではありません。しかし、株式を大量に取得する買付の中には、買付目的や買付後の経営方針等に鑑み、株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、会社や株主に対して買付に係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値に照らして不十分又は不適切であるもの等の不適切な買付も少なくありません。更に、当社が患者価値の創出を実現し、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるためには、上述のとおり新薬の研究・開発体制、高品質製品の安定供給、薬剤の安全性と有効性の情報の管理・提供の確保が必要不可欠であり、これらが確保されなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が毀損されることになります。
 そこで、当社は、上記に記載した買付類型を含む当社や株主の皆様の利益に反する買付を防止するためには、当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針(以下「本対応方針」といいます。)を導入することが必要不可欠であると判断し、その導入を決定致しました。
 本対応方針は、当社に対するかかる買付が行われる場合には、買付者又は買付提案者(以下、公開買付者又はその提案者も含め、併せて「買付者等」といいます。)に対し、事前に当該買付内容に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、必要に応じて、株主の皆様に事業計画等を説明したり、代替案を提示するとともに、買付者等と交渉を並行して行っていくことを可能とすることを狙うものです。これに対し、買付者等がこうした事前の情報提供なく買付を行う場合や、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損しないものとは認められない場合には、後述のとおり、当該買付者等及びその一定の関係者による権利行使は認められないとの行使条件が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)を、その時点の全ての株主に対して株主割当ての方法により発行します。本対応方針は、本新株予約権の発行により、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合を相当低下させ、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付行為の阻止を図るものです。
 もっとも、こうした対応方針の導入、実際に買付がなされた場合の当該買付の検討、必要に応じた買付者等との協議・交渉、その結果等を踏まえた本新株予約権の発行の必要性の有無の判断については、経営陣の自己保身に利用されることがないように特に客観性・合理性が要求されるところです。この点、当社の取締役会は、過半数が社外取締役によって構成されています。当社社外取締役7名は、いずれも、会社経営陣から独立した、経験と実績に富む会社経営者、経営学者、公認会計士、法律家であり、これらの者を過半数とし、かつ、社外取締役ではない4名も、業務執行に当たる取締役は1名のみであり、当社取締役会は、株主の皆様の利益を代表して上記の判断を客観的かつ合理的に行うことができるものと考えます。
 本対応方針の導入に際しては、社外取締役のうち3名を構成員とする「特別委員会」を設置し、まず当該特別委員会にて、複数の外部専門家からもアドバイスを受け、検討致しました。その結果、特別委員会は、本対応方針が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買付を防止するためには必要不可欠と判断しました。次に、本対応方針は社外取締役7名全員を構成員として設置された「社外取締役独立委員会」(その決議要件・決議事項等については(別紙1)「社外取締役独立委員会の概要」をご確認ください。)に対し提案され、社外取締役独立委員会は、本対応方針導入の可否を検討し、その結果本対応方針が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買付を防止するためには必要不可欠と判断し、その導入を当社取締役会に提案致しました。取締役会は、審議の結果、本対応方針の導入を決定致しました。このように、本対応方針は当社の企業価値ひいては株主共同の利益のために、会社経営陣から独立した両委員会のイニシアティブにより採用されるに至ったものです。
 加えて、本対応方針導入後においても、本対応方針の運用に際しての判断についてはその客観性・合理性が確保されるようにしております。実際に当社に対して買付がなされた場合には、社外取締役独立委員会が主体的に、下記4.に記載の各要件を満たすものであるか否かの判断を行います。
 そして、社外取締役独立委員会は、当該買付が下記4.に記載のすべての要件を満たすと判断する場合を除き、原則として本新株予約権の発行を取締役会に提案いたします。取締役会は、これを受け本新株予約権の発行が必要であるかどうかを決議します。また、社外取締役独立委員会において、当該買付に対して本新株予約権を発行しない旨の決議をした場合には、取締役会では本新株予約権の発行に関する審議・決議は行いません。このように、本新株予約権を発行すべきか否かの判断に関しまして、経営陣の恣意的な判断を排除するとともに、本新株予約権の発行が容易にできない仕組みをとっております。
2.本対応方針の対象となる買付
本対応方針においては、本新株予約権は、以下1)又は2)に該当する買付又はその提案(以下併せて「買付等」といいます。)がなされたときに、本対応方針に定められる手続に従い発行されることとなります。
1) 当社が発行者である株券等(1)について、保有者(2)の株券等保有割合(3)が15%以上となる買付その他取得
2) 当社が発行する株券等(4)について、公開買付け(5)に係る株券等(6)の株券等所有割合(7)及びその特別関係者(8)の株券等所有割合の合計が15%以上となる公開買付け
(1) 証券取引法第27条の23第1項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。
(2) 証券取引法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。
(3) 証券取引法第27条の23第4項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。
(4) 証券取引法第27条の2第1項に定義されます。
(5) 証券取引法第27条の2第6項に定義されます。
(6) 証券取引法第27条の2第1項に定義されます。
(7) 証券取引法第27条の2第8項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。
(8) 証券取引法第27条の2第7項に定義されます。但し、同項第1号に掲げる者については、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令第3条第1項で定める者を除きます。
3.本新株予約権の発行のプロセス
1) 買付者等から社外取締役独立委員会に対する事前の情報提供
 上記2.に定める買付等を行う買付者等には、買付等の実行に先立ち、当社社外取締役独立委員会宛に、(別紙2)に定める当該買付者等の買付等の内容の検討に必要な情報(以下「本必要情報」といいます。)及び買付者等が買付等に際して本対応方針に定める手続を遵守する旨を記載した書面(以下併せて「買付説明書」といいます。)を提出していただきます。
 当社社外取締役独立委員会が、当該買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、当社社外取締役独立委員会は買付者等に対し、適宜回答期限を定めた上で、本必要情報を追加的に提出するよう求めることがあります。この場合には、当該期限までに、買付者等より追加の本必要情報の提供をしていただくこととします。
 なお、当社社外取締役独立委員会は、引き続き買付説明書(本必要情報を含みます)の提出を求めて買付者等と協議・交渉等を行うべき特段の事情がある場合を除き、買付者等が本対応方針に定められた手続に従うことなく買付等を開始したものと認められる場合には、原則として、下記3.3) (1)記載のとおり、当社取締役会に対して、本新株予約権を発行することを提案します。
2) 社外取締役独立委員会による買付等の内容の検討・買付者等との交渉・代替案の提示
 当社社外取締役独立委員会は、買付者等から本必要情報が十分に記載された買付説明書及び社外取締役独立委員会から追加提出を求められた本必要情報が提出された場合、必要に応じ、当社の執行役に対しても、社外取締役独立委員会が定める期間内に買付者等の買付等の内容に対する意見及びその根拠資料、代替案その他社外取締役独立委員会が適宜必要と認める情報・資料等を提示することを求めます。
 社外取締役独立委員会は、買付者等及び執行役からの必要な情報・資料を受領後、原則として60日間(但し、下記3.3) (3)に記載するところに従い、社外取締役独立委員会は当該期間を延長することができるものとします。)(以下「社外取締役独立委員会検討期間」といいます。)、買付者等の買付等の内容の検討、当社執行役による代替案の検討、買付者等と当社執行役の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行います。また、社外取締役独立委員会は、必要があれば、当社の企業価値・株主共同の利益の観点から当該買付等の内容を改善させるために、直接又は間接に、当該買付者等と交渉を行い、また、株主の皆様に対する代替案の提示を行うものとします。
 社外取締役独立委員会は、社外取締役独立委員会の判断が適切になされることを確保するために、自らの裁量により、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ることができるものとします。
 また、社外取締役独立委員会検討期間中、社外取締役独立委員会は、買付者等から買付説明書が提出された事実及び本必要情報その他の情報のうち社外取締役独立委員会が適切と判断する事項について、情報開示を行うことができます。
 なお、買付者等は、社外取締役独立委員会検討期間が終了するまでは、上記2.に規定する買付等を実行することはできないものとします。
3) 社外取締役独立委員会の決議
社外取締役独立委員会は、買付者等が出現した場合において、以下の手続を行うものとします。
(1) 社外取締役独立委員会は、買付者等が上記3.1) 及び2) に規定する手続を遵守しなかった場合を含め、下記3.3) (2)又は(3)のいずれにも該当しない限り、原則として、社外取締役独立委員会検討期間の開始又は終了の有無を問わず、当社取締役会に対して、本新株予約権を発行することを提案します。
社外取締役独立委員会は、当該発行を提案した事実及びその概要並びに本新株予約権を発行すべきと判断した理由その他社外取締役独立委員会が適切と判断する事項について、情報開示を行うことができます。
但し、社外取締役独立委員会は、かかる提案の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、本新株予約権の発行の中止を含む別個の判断を行うことができるものとし、かかる場合には、社外取締役独立委員会は必要と認める情報開示を行うことができます。
(2) 社外取締役独立委員会は、買付者等の買付等の内容の検討、買付者等との交渉の結果、当該買付者等による買付等が下記4.1) から9) のいずれの要件も満たすと判断した場合には、社外取締役独立委員会検討期間の終了の有無を問わず、本新株予約権を発行しないことを決議いたします。この不発行の決議に関して、当社取締役会で本新株予約権の発行の有無について改めて審議等をすることはありません。
社外取締役独立委員会は、当該不発行を決議した事実及びその概要並びに本新株予約権を不発行とすべきと判断した理由その他社外取締役独立委員会が適切と判断する事項について、情報開示を行うことができます。
但し、社外取締役独立委員会は、かかる決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、本新株予約権の発行の提案を含む別個の判断を行い、これを当社取締役会に提案することができるものとし、かかる場合には、社外取締役独立委員会は必要と認める情報開示を行うことができます。
(3) 社外取締役独立委員会が、当初の社外取締役独立委員会検討期間終了時までに、本新株予約権の発行又は不発行の決議を行うに至らない場合には、社外取締役独立委員会は、当該買付者等の買付等の内容の検討・当該買付者等との交渉・代替案作成等に必要な範囲内で、社外取締役独立委員会検討期間を延長する旨の決議を行います(なお、当該期間延長後、更なる期間の延長を行う場合においても同様の手続によるものとします。)。
社外取締役独立委員会は、社外取締役独立委員会検討期間を延長するに至った理由、延長期間、その他社外取締役独立委員会が適切と判断する事項について、情報開示を行うことができます。
上記決議により社外取締役独立委員会検討期間を延長した場合、社外取締役独立委員会は、引き続き、買付者等の買付等の内容の検討・必要な場合には買付者等との交渉及び代替案の作成等を行うものとし、延長期間内に本新株予約権の発行の提案又は不発行の決定や代替案の提示等を行うよう努めるものとします。
4) 取締役会の決議
 当社取締役会は、社外取締役独立委員会から上記本新株予約権発行の提案を受けた場合、速やかに決議を行うものとします。
 取締役会は、本新株予約権の発行の決議を行った場合、直ちに当該決議をした事実及びその概要並びに当該決定の判断理由その他取締役会が適切と判断する事項について、情報開示を行います。
 但し、取締役会は、かかる決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、別個の判断を行うことができるものとします。
 なお、当社社外取締役独立委員会が本新株予約権の不発行の決議をした場合には、上記3.3) (2)に記載のとおり、社外取締役独立委員会の決議によるものとし、当社取締役会で本新株予約権の発行の有無について審議等をすることはありません。
 
4.本新株予約権を発行する基準
社外取締役独立委員会は、本対応方針の対象となる買付等が、以下の全ての要件を満たすと判断する場合を除き、原則として本新株予約権を発行することを取締役会に提案する予定としております。
1) 本対応方針に定める手続を遵守した買付等である場合
2) 下記に掲げる行為等により当社企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらす虞のある買付等ではない場合
(1) 株式を買い占め、その株式について当社に対して高値で買取りを要求する行為
(2) 当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等当社の犠牲の下に買付者等の利益を実現する経営を行うような行為
(3) 当社の資産を買付者等やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
(4) 当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為
3) 強圧的二段階買付(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目以降の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付け等の株式買付を行うことをいいます。)等株主に株式の売却を事実上強要する虞のある買付等ではない場合
4) 当社に、当該買付等に対する代替案を提示するために合理的に必要な期間を与えない買付等ではない場合
5) 当社株主に対して、買付者等の概要(別紙2本必要情報1.の例示を含みます。)、買付等の価格の算定根拠(別紙2本必要情報3.の例示を含みます。)及び買付等の資金の裏付け(別紙2本必要情報4.の例示を含みます。)、買付等の後の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策等(別紙2本必要情報5.の例示を含みます。)の買付等の内容を判断するための情報が提供されない、又は提供された場合であっても当該買付者等の現在又は将来の株券等保有割合等に照らして提供された情報が不十分である買付等ではない場合
6) 買付等の条件(別紙2本必要情報2.及び6.の例示を含みます。)が当社の本源的価値に鑑み不十分又は不適当である買付等ではない場合
7) 法令又は定款に違反する買付等ではない場合
8) 株主としての買付者等の行動が当社の経営に悪影響を及ぼし、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に重大な損害をもたらす虞のある買付等ではない場合
9) 買付等が行われる時点の法令、行政指導、裁判結果、証券取引所の規則により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に重大な損害をもたらす虞のある買付等であると明らかに認められている買付等ではない場合
 
5.本対応方針の有効期間
 本対応方針の有効期間は、第Ⅴ期中期戦略計画(2006年4月から2012年3月までを対象)の期間を包含すべく、2012年6月30日までとします。
 社外取締役独立委員会は、本対応方針導入後、毎年、定時株主総会開催後に、本対応方針の継続、見直し又は廃止について検討するものとします。その結果は、取締役会に提案され、取締役会で審議の上、本対応方針は継続、見直し又は廃止されるものとします。当社では、全取締役の任期を1年としており、取締役は、毎年6月の定時株主総会で選任されております。取締役の任期の期差別や解任制限等は存在しないことから、1回の株主総会により全取締役の選解任が可能であり、当該総会で選任された取締役により構成された取締役会において、社外取締役独立委員会の提案を受け、本対応方針を廃止する決議を行うことが可能であり、また社外取締役独立委員会において本新株予約権の発行を行わない旨の決議を行うことも可能であります。以上の点からしまして、本対応方針の継続、見直し又は廃止に関して当社の株主の皆様のご意向を十分に反映させることができるものと考えております。
 なお、当社は、本対応方針の有効期間中であっても、社外取締役独立委員会の検討に基づき、必要に応じて、本対応方針を見直しもしくは変更し、又は別の買収防衛策を導入する場合があります。
 
6.本新株予約権の主要な条件
本対応方針に基づき発行する予定の本新株予約権の主要な条件等は以下のとおりです。また、当社は、機動的な発行を目的として、本新株予約権について予め発行登録を行う予定でおります。
1)割当対象株主
 本新株予約権の発行決議(以下「本発行決議」といいます。)において、当社取締役会が割当期日と定める日(以下「割当期日」といいます。)の最終の株主名簿及び実質株主名簿に記載又は記録された株主に対し、その所有株式(但し、当社の保有する当社株式を除きます。)1株につき本新株予約権1個の割合で割り当てます。
2)本新株予約権の目的とする株式の種類及び数
 本新株予約権の目的となる株式の種類は当社普通株式とし、本新株予約権1個当たりの目的となる株式の数は1株又は本発行決議において当社取締役会が定める株数とします。
3)本新株予約権の総数
 割当期日における最終の発行済株式総数(但し、当社の保有する当社普通株式を除きます。)を上限とします。
4)本新株予約権の発行価額
 無償とします。
5)本新株予約権の行使に際して払込をなすべき額
 新株予約権1個当たり1円とします。
6)本新株予約権の行使期間
 本発行決議において当社取締役会が定める本新株予約権の発行日から、最短1カ月最長2カ月の間で、本発行決議において当社取締役会が定める期間とします。
7)本新株予約権の行使条件
(1) ①割当期日又は本新株予約権の行使日において特定大量保有者(下記(ア)ないし(エ)の各号に記載される者を除き、(i)当社が発行者である株券等(証券取引法第27条の23第1項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)で、当該株券等に係る株券等保有割合(同法第27条の23第4項に定義されます。)が15%以上となる者もしくは15%以上となると当社取締役会が認めた者、又は(ii)公開買付け(同法第27条の2第6項に定義されます。)によって当社が発行者である株券等(同法第27条の2第1項に定義されます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に定義されます。以下同じとします。)を行う者で、当該買付け等の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして証券取引法施行令第7条第3項に定める場合を含みます。)に係る株券等所有割合(同法第27条の2第8項に定義されます。以下同じとします。)及びその者の特別関係者(同法第27条の2第7項に定義されます。但し、同項第1号に掲げる者については、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令第3条第1項で定める者を除きます。以下同じとします。)の株券等所有割合と合計して15%以上となる者)、
②その共同保有者(同法第27条の23第5項に定義される者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)(上記(i)に定めるとき)、
③その特別関係者(上記(ii)に定めるとき)、
④上記①ないし③記載の者から本新株予約権を当社取締役会の承認を得ることなく譲受もしくは承継した者、又は、
⑤実質的に、上記の①ないし④記載の者が支配し、当該者に支配されもしくは当該者と共同の支配下にある者として当社取締役会が認めた者、もしくは当該者と協調して行動する者として当社取締役会が認めた者(以下、上記①ないし⑤を総称して「特定大量保有者等」といいます。)は、本新株予約権を行使することができません。
(ア)当社、当社の子会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第3項に定義される。)又は当社の関連会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第5項に定義されます。)
(イ)当社を支配する意図がなく上記(i)又は(ii)に該当することになった者である旨当社取締役会が認めた者であって、かつ、上記(i)又は(ii)に該当することになった後10日間(但し、当社取締役会はかかる期間を延長することができます。)以内にその保有する当社の株券等を処分することにより上記(i)及び(ii)に該当しなくなった者
(ウ)当社による自己株式の取得その他の理由により、自己の意思によることなく、上記(i)又は(ii)に該当することになった者である旨当社取締役会が認めた者(但し、その後、自己の意思により当社の株券等を新たに取得した場合を除きます。)
(エ)その者が当社の株券等を取得又は保有することが当社の利益に反しないと当社取締役会が認めた者(一定の条件の下に当社の利益に反しないと当社取締役会が認めた場合には、当該条件が満たされている場合に限ります。)
(2) 上記(1)の規定のほか、自己が特定大量保有者等ではないことを表明していない者、その他本発行決議において当社取締役会が定める事項を誓約する書面を提出していない者は、本新株予約権を行使することはできません。
8) 本新株予約権の消却
 本新株予約権については、消却事由及び消却の条件は定めません。
9) 本新株予約権の譲渡
 本新株予約権を譲渡するには当社取締役会の承認を要します。
 上記6.7)に基づき、特定大量保有者等は本新株予約権を行使することができないにも関わらず、特定大量保有者等において本新株予約権を自由に第三者に譲渡することができれば、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付行為の阻止を図るという目的が達成し得なくなります。従って、本新株予約権には譲渡制限が付されることになりますが、特定大量保有者等は、当社取締役会の承認する第三者には、本新株予約権を譲渡することができます。
7.株主の皆様への影響
1) 本対応方針の導入時に株主の皆様に与える影響
 本対応方針の導入時点においては、本新株予約権の発行自体は行われませんので、株主の皆様の権利・利益に直接具体的な影響が生じることはございません。
2) 本新株予約権の発行時に株主の皆様に与える影響
 本新株予約権が発行される場合においては、取締役会の当該発行決議において別途設定する割当期日における株主の皆様に対し、その保有する株式1株につき1個の割合で本新株予約権が無償にて割り当てられます。仮に、株主の皆様が、権利行使期間内に、所定の行使価額相当の金銭の払込その他本新株予約権の行使に係る手続を経なければ、他の株主の皆様による本新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化することになります。
 また、本新株予約権の発行は割当期日の4営業日前(割当期日を含む)において取り消し不能となります。割当期日において本新株予約権を取り消し不能とする理由は、買付者等以外の株主の皆様に損害を与えることとなる市場における混乱及び株式の流動性がなくなることを避けるためです。本新株予約権を取り消し不能とすることで、個々の株式に対して発生する希釈化の量及び時期に関する疑いが全くなくなります。個々の株式は希釈されますが、一人ひとりの株主の方は、少なくともその希釈化を相殺するに十分な株式を受領することになります。それぞれの株主の方の株券等保有割合は、変化しないか又はわずかに増加いたします。
3) 発行に伴って株主の皆様に必要となる手続
(1) 名義書換の手続
当社取締役会において、本新株予約権を発行することを決議した場合には、当社は、本新株予約権の割当期日を公告いたします。割当期日における最終の株主名簿又は実質株主名簿に記載又は記録された株主に本新株予約権の引受権が付与されますので、株主の皆様におかれては、当該割当期日に間に合うように名義書換を完了していただくことが必要となります。
(2) 本新株予約権の申込の手続
当社は、割当期日における最終の株主名簿又は実質株主名簿に記載又は記録された株主の皆様に対して、本新株予約権の引受権の付与通知及び本新株予約権の申込書を送付いたします。株主の皆様においては、本新株予約権の引受けについて、別途定める取締役会決議で決定された申込期間内に、申込書に必要な事項を記載し、捺印の上、申込取扱場所に提出することが必要となります。当該申込期間内に申込が行われない場合には、申込の権利を失い、本新株予約権を引き受けることができなくなります。
(3) 本新株予約権の行使の手続
当社は、申込期間内に本新株予約権の申込を行った株主の皆様に対し、本新株予約権の行使請求書(株主ご自身が特定大量保有者でないこと等の誓約文言を含む当社所定の書式によるものとします。)その他本新株予約権の権利行使に必要な書類を送付いたします。本新株予約権の発行後、株主の皆様においては、権利行使期間内に、これら当社所定の本新株予約権の行使請求書等を提出した上、本新株予約権1個当たり1円を払込取扱場所に払い込むことにより、1個の本新株予約権につき、1株又は発行決議において別途定められる数の当社普通株式が発行されることになります。
 
 上記のほか、申込方法、名義書換方法及び払込方法等の詳細につきまして、本新株予約権発行決議が行われた後、株主の皆様に対し、公表又は通知致しますので当該内容をご確認ください。
 本新株予約権の発行及び行使の手続は、原則として以上の通りですが、取締役会は、株主の皆様が新株予約権の引受け、行使をしないことによる不利益をさけるために、その時の法令等の許す範囲内で、別の発行及び行使の手続をとることがあります。この場合にも必要事項の詳細につきまして、株主の皆様に対し、公表又は通知致しますので当該内容をご確認ください。
 (別紙1)
 社外取締役独立委員会の概要
1.構成員  
当社社外取締役全員で構成される。
2.決議要件
社外取締役独立委員会の決議は、原則として、社外取締役独立委員会の全員が出席し、その過半数をもってこれを行うものとする。但し、社外取締役独立委員会の全員が出席できない場合には、社外取締役独立委員会の決議は社外取締役独立委員会の過半数が出席し、その過半数をもってこれを行うものとする。
3.決議事項その他
社外取締役独立委員会は、原則として以下の各号に記載される事項について決定し、その決定の内容をその理由を付して当社取締役会に提案するものとする。但し、本新株予約権の不発行の決議及び社外取締役独立委員会検討期間の延長については、取締役会への提案はせず、社外取締役独立委員会の決定によるものとする。なお、社外取締役独立委員会の各委員は、こうした決定にあたっては、企業価値ひいては株主共同の利益に資するか否かの観点からこれを行うことを要し、専ら自ら又は当社取締役、執行役の個人的利益を図ることを目的としては行わないものとする。
1) 本対応方針の対象となる買付等の決定
2) 買付者等及び執行役が社外取締役独立委員会に提供すべき情報の決定
3) 買付者等の買付等の内容の精査・検討
4) 買付者等との交渉
5) 買付者等による買付等に対する代替案の決定
6) 本新株予約権の発行もしくは不発行又は社外取締役独立委員会検討期間の延長に係る決定
7) 本対応方針の導入・維持・見直し・廃止
8) 本対応方針以外の買収防衛策の検討・導入
9) その他本対応方針又は本新株予約権に関連し、当社取締役会が判断すべき事項
また、社外取締役独立委員会は、適切な判断を確保するために、上記判断に際して、必要かつ十分な情報収集に努めるものとし、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ることができる。
 (別紙2)
本必要情報
1.買付者等及びそのグループ(その共同保有者、その特別関係者及び(ファンドの場合は)組合員その他の構成員を含みます。)の概要(具体的名称、資本関係、財務内容を含み、(買付者等が個人である場合は)年齢と国籍、当該買付者等の過去5年間の主たる職業(当該個人が経営、運営又は勤務していた会社又はその他の団体(以下「法人」といいます。)の名称、主要な事業、住所、経営、運営又は勤務の始期及び終期、(買付者等が法人である場合は)当該法人及び重要な子会社等について、当該法人の主要な事業、設立国、過去3年間の資本及び長期借入の財務内容、当該法人又はその財産にかかる主な係争中の法的手続、これまでに行った事業の概要、取締役、執行役等の役員の氏名を含み、(すべての買付者等に関して)過去5年間に犯罪履歴があれば(交通違反や同様の軽微な犯罪を除きます。)、その犯罪名、科された刑罰(その他の処分)、それに関係する裁判所、及び過去5年間に証券取引法、商法に関する違反等があれば、当該違反等の内容、違反等に対する裁判所の命令、行政処分等の内容を含みます。)
2.買付等の目的、方法及びその内容(買付等の対価の価額・種類、買付等の時期、関連する取引の仕組み、買付等の方法の適法性、買付等の実行の蓋然性を含みます。)
3.買付等の価格の算定根拠(算定の前提となる事実・仮定、算定方法、算定に用いた数値情報並びに買付等に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジーの額及びその算定根拠を含みます。)
4.買付等の資金の裏付け(買付等の資金の提供者(実質的提供者を含みます。)の具体的名称、調達方法、関連する取引の内容を含みます。)
5.買付等の後の当社の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策(株式の売却、事業の売却、合併、分割、株式交換、株式移転、資産の売却、会社更生、清算、現在の資本・配当性向・配当政策・負債額・資本総額の変更、当社の現在の経営陣の変更、当社の会社構造・事業・経営方針・事業計画の変更、当社の証券の取得もしくは処分、上場廃止、当社の基本文書の変更、通例的でない取引を含みます。)
6.買付等の後における当社の従業員、取引先、顧客、地域社会その他の当社に係る利害関係者に関する方針
7.買付等に関連した必要な政府当局の承認、事業の承認、及び規制遵守対応、第三者から取得しなければならない同意、合意ならびに承認、独占禁止法、その他の競争法ならびにその他会社が事業活動を行っている又は製品を販売している国又は地域の重要な法律の適用可能性に関する状況
8.その他社外取締役独立委員会が合理的に必要と判断する情報
4【事業等のリスク】
  当社グループの連結業績を大幅に変動させる、あるいは投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、次のとおりであります。なお、本項目における将来に関するこれらのリスクは、有価証券報告書提出日現在において判断、予想したものであります。
(1)海外展開におけるリスク
 当社グループは、「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」を軸として、日本をはじめ、米国、欧州、アジアを中心に生産・販売活動を展開しております。グローバルな事業活動を展開するうえで、法的規制、政情不安や事業環境の不確実性などのリスクを完全に回避できる保証はありません。このようなリスクに直面した場合、当該国における収益が当初の見込みを達成できない可能性があります。
(2)新薬開発の不確実性
 医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良い結果が得られた場合であっても、製品開発中に施行される承認審査基準の変更により、承認が得られない可能性があります。開発の不確実性による新薬の開発中止などの理由で、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。
(3)特定の製品への依存に関するリスク
 当社グループの売上高のうち、主力製品である「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の2品の割合が過半を占める高い水準になっております。これらの製品において、有力な競合品の出現、特許などの保護期間の満了に伴うジェネリック医薬品の発売等により売上高が減少し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)他社とのアライアンスにおけるリスク
 当社グループは、主要製品である「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」について、他社との業務提携を行っております。米国、欧州主要国では市場全体をカバーし、プロダクト・セールスの極大化をはかるため、提携企業の販売促進協力を受けております。これら提携企業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、売上高が減少し業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、製品買収や導入品などの活動に伴う不確実性により、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。
(5)MGIファーマ社買収に関するリスク
 米国のバイオファーマ企業であるMGIファーマ社の買収は、当社グループの事業戦略に重要な役割を果たす予定ですが、事業環境や競合状況の変化等により当初の事業計画の遂行に支障が生じたり、見込んだシナジーが実現できず、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6)医療費抑制策
 日本では医療費抑制策の一環として、通常2年に1回程度、医療用医薬品の薬価が引き下げられております。欧米、アジアの国々などにおいても、医薬品の価格低減への圧力は年々高まっており、売上高を減少させる要因となります。
(7)後発医薬品に関する競合・訴訟
 先発医薬品の特許には期限があります。通常、先発医薬品の特許が切れると同成分のジェネリック医薬品(後発医薬品)が発売されます。開発リスクを伴わないジェネリック医薬品の低価格での販売により、市場シェアを
奪われる可能性があります。また、特許期間内であっても、米国のようにジェネリック医薬品の申請が可能な国もあります。現在、「アシフェックス」および「アリセプト」の2品について、ジェネリック医薬品の申請が米国Hatch-Waxman法に基づきなされております。当社グループは、これに対して特許侵害訴訟を提起していますが、その結果によっては、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産に関するリスク
 特許の不成立や特許成立後の無効審判、または取得した特許を適切に保護できない場合、想定より早く他社の市場参入を招き、売上高が減少する可能性があります。
(9)副作用発現のリスク
 製品に重大な副作用が発現した場合、処方の停止、製品の回収等の措置を取る可能性があります。発現した副作用に対する情報の収集、伝達および製品の回収は費用の増加につながります。
(10)法規制に関するリスク
 医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。法規制に適合しない場合、製品の回収さらには製品の許認可の取り消し、あるいは賠償請求等の可能性があります。
(11)訴訟に関するリスク
 現在直面している訴訟または将来直面する訴訟の結果が、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、合成ビタミンEバルク製品に関する価格および販売活動に関して訴訟対象となっております。
(12)工場の閉鎖または操業停止
 技術上の問題、使用原材料の供給停止、火災、地震、その他の災害等により工場が閉鎖または操業停止する可能性があります。この場合、製品の供給が妨げられ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13)使用原材料の安全性に関するリスク
 使用する原材料に安全性の懸念が発生した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと製品の回収、販売停止等を実施し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14)外部への業務委託に関するリスク
 当社グループでは研究や製造などの一部を外部へ業務委託しております。何らかの原因で業務委託先が操業停止し、当社グループへの委託業務の供給が妨げられることがあった場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15)環境に関するリスク
 当社グループ所有の事業所が環境汚染の原因と判断された場合、事業所の閉鎖等の法的処置が講じられる可能性があります。また、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用は、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(16)ITセキュリティおよび情報管理に関するリスク
 当社グループでは業務上、各種ITシステムを駆使しているため、システムの不備やコンピューターウィルス等の外部要因により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有していますが、万が一の事故等によりその情報が社外に流出した場合、信用を大きく失うことで業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17)金融市況および為替の動向に関するリスク
 市場性のある株式等を保有しているため、株式市況の低迷によってはこれらの株式等の売却損や評価損が生じ、また、金利動向によって退職給付債務の増加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに連結売上高の半分以上を外貨で占めているため、連結子会社業績の円換算において外国為替変動の影響を受けます。また、輸出入取引においても外国為替変動が業績に重要な影響を及ぼします。
(18) 内部統制の整備等に係るリスク
当社グループは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価および監査の基準ならびに実施基準に準拠し、財務報告に係る有効な内部統制システムを整備し、その適正な運用につとめます。しかし、内部統制が有効に機能せず、あるいは予期しない内部統制上の問題により、多大な損失が発生した場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
(1)買収契約
当社は、がん領域のグローバルパイプラインを強化するため、平成19年12月10日に米国MGIファーマ社と買収契約を締結いたしました。当該契約は平成20年1月28日に発効し、MGIファーマ社は当社連結子会社である米州統括会社エーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカの100%子会社となりました。
なお、買収契約の概要は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(企業結合等関係)」に、MGIファーマ社の資本金および事業内容は、「第1 企業の概況、4 関係会社の状況」に記載しております。
また、当該契約における買収価額の算定にあたっては、公正性を期すため、当社はJPモルガン証券株式会社を第三者機関として選定いたしました。当社とJPモルガン証券株式会社はDCF法および類似会社比較法を評価方法として算定を行い、これらの分析結果を総合的に勘案して公開買付けにおける1株当たりの入札価格を決定いたしました。
(2) 株式交換契約
平成19年4月26日に当社(エーザイ㈱)と当社の連結子会社である三光純薬㈱は、当社が三光純薬㈱を株式交換(以下、本件株式交換)により完全子会社化することに合意し、平成19年10月1日付で当社の100%子会社となりました。
なお、株式交換契約の概要は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(企業結合等関係)」に記載しております。また、当該契約における株式交換比率の算定根拠等は、次のとおりであります。
① 株式交換比率の算定根拠等
イ.算定の基礎
本件株式交換の株式交換比率については、その算定にあたって公正性を期すため、両社が独立に第三者機関の助言を求めることとし、当社は野村證券株式会社(以下、野村證券という)を、三光純薬㈱はアーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社(以下、アーンストアンドヤングという)を、それぞれ第三者機関として選定いたしました。
 野村證券は、当社については市場株価平均法を採用して算定を行いました。三光純薬㈱については市場株価平均法、DCF法、類似会社比較法の各評価方法を採用して算定を行いました。
 アーンストアンドヤングは、当社については市場株価平均法を採用して算定を行いました。三光純薬㈱については市場株価平均法、DCF法、類似会社比較法の各評価方法を採用して算定を行いました。
ロ.算定の経緯
上記のとおり、当社は野村證券に、三光純薬㈱はアーンストアンドヤングに、本件株式交換の株式交換比率案の算定を依頼し、当該第三者機関による算定結果およびその他事項の分析結果を慎重に検討し、これらを踏まえ交渉を進めてまいりました。その結果、当社の代表執行役は、執行役会での審議の上、本件株式交換の株式交換比率を三光純薬㈱の株式1株に対して、当社の株式0.085株とすることを含む本件株式交換契約を締結することを平成19年4月26日付で決定いたしました。また、三光純薬㈱は平成19年4月26日に開催された三光純薬㈱の取締役会において、同様の本件株式交換契約を締結することを決議し、同日、当社と三光純薬㈱との間で本件株式交換契約を締結いたしました。
なお、この株式交換比率は、野村證券が当社に対して提供した分析、およびアーンストアンドヤングが三光純薬㈱に対して提供した分析である「イ.算定の基礎」の範囲内で決定いたしました。
また、利益相反を回避する措置として、三光純薬㈱の取締役会において、利害関係のある兼務役員は本件株式交換契約締結の決議に加わっておりません。
② 株式交換完全子会社の新株予約権および新株予約権付社債に関する取扱い
三光純薬㈱は新株予約権および新株予約権付社債を発行しておらず、該当事項はありません。
③ 株式交換当事会社の資本金・事業の内容等
商号
エーザイ株式会社
三光純薬株式会社
本店所在地
東京都文京区小石川4丁目6番10号
東京都千代田区岩本町1丁目10番6号 
代表者の役職・氏名
代表執行役社長
内藤 晴夫
代表取締役社長
神保 正男
資本金
44,985百万円
5,262百万円 
事業内容
医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入
臨床検査薬、研究用試薬、医療機器等の製造、販売、輸入
④ 株式交換後の完全親会社となる会社の資本金・事業の内容等
商号
エーザイ株式会社
本店所在地
東京都文京区小石川4丁目6番10号
代表者の役職・氏名
代表執行役社長
内藤 晴夫
資本金
44,985百万円
事業内容
医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入
(3)技術導入等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
武田薬品工業㈱
平成9年
9月12日
製剤特許に関するライセンス
特許の有効期間
一定料率のロイヤルティ
(ドイツ)
アボット社
平成9年
12月19日
肥満症治療剤「シブトラミン」の開発および製造・販売
販売承認より15年間
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
富山化学工業㈱
平成10年
9月30日
リウマチ治療剤「T−614」の共同開発・販売提携
販売開始より10年間または特許満了日のいずれか遅い方まで
契約一時金他
(ドイツ)
アボット社
平成11年
6月16日
ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体注射剤の開発および販売
販売承認より15年間
契約一時金他
(イタリア)
ユーランド社
平成15年
5月2日
「硝酸イソソルビド」の輸入およびその製剤の製造・販売
契約締結より10年間
以後2年毎の更新
──
(スイス)
ノバルティス社
平成16年
2月6日
全世界における抗てんかん剤「ルフィナマイド」の開発および製造・販売に関するライセンス
各国毎に特許満了日または販売開始日から10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
大日本住友製薬㈱
平成17年
9月29日
糖尿病合併症治療剤「AS−3201」の日本を除く全世界における開発および製造・販売に関するライセンス
各国毎に特許満了日、本製剤の先発権保護期間満了日または販売開始日から10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(米国)
セプラコール社
平成19年
7月26日
睡眠導入剤「エスゾピクロン」(米国製品名:「ルネスタ」)の日本における独占的な開発および販売に関するライセンス
契約締結より販売承認後または薬価収載後15年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(スウェーデン)
バイオアークティック・ニューロサイエンス社
平成19年
12月3日
新規ヒト化モノクローナル抗体「BAN2401」に関する全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約
各国毎に上市後15年間
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
㈱ミノファーゲン製薬
平成19年
12月18日
肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー」および「グリチロン錠」に関する日本およびユーロアジア地域の未発売国における独占的な開発・販売権ならびに中国を含むユーロアジア地域の既販売国における独占的な販売権にかかる優先交渉権取得のライセンス契約
契約締結より日本での販売開始後15年間
契約一時金他
㈱エムズサイエンス
平成20年
3月12日
シグマ受容体作動薬「SA4503」に関するオプション契約
契約締結より優先交渉権を行使した日から90日間
契約一時金
(4)技術導出等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
(米国)
ファイザー社
平成6年
10月5日
「E2020」(アルツハイマー型認知症治療剤)に関する包括的提携
特許の有効期間または市販後10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(ベルギー)
ヤンセン社
平成9年
4月10日
「E3810」(プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤)に関する包括的提携
特許の有効期間または市販後10年間のいずれか遅い方まで
契約一時金他
一定料率のロイヤルティ
(5)合弁契約・その他
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
対価
当社
(英国)
ロンドン大学
平成2年
9月11日
研究所の建設・運営に関する提携
契約後50年間
研究所建物の建設他
(イタリア)
ブラッコ社
平成2年
11月30日
「イオメプロール」他造影剤の日本国内における製造・販売に関する合弁事業
契約後19年間
──
(アイルランド)
エラン社
平成16年
3月30日
北米および欧州における抗てんかん剤「ゾネグラン」の戦略的製品買収(「ゾネグラン」に関する大日本住友製薬㈱とエラン社とのライセンス契約の承継を含む)
──
契約一時金他
(アイルランド)
エラン社
平成18年
2月8日
重度慢性疼痛治療剤「プリアルト」の欧州地域における戦略的製品買収に関する契約
──
契約一時金他
日東電工㈱
平成18年
5月10日
アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」の経皮吸収型テープ製剤に関する共同開発契約
平成21年9月30日まで
——
(米国)
ライガンド社
平成18年
9月7日
CD25陽性皮膚浸潤性T細胞リンパ腫治療剤「オンタック」等、抗がん剤4品目の製品買収に関する契約
──
契約一時金他
(注) トーリーパインズ・セラピューティクス社と平成17年2月28日に締結したアルツハイマー病に関する探索研究に係る契約は、平成20年2月27日に終了いたしました。
(6)販売契約等
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
当社
ノボ ノルディスク ファーマ㈱
平成11年
4月26日
消化管検査前処置・低血糖治療剤「グルカゴンG・ノボ」の販売提携
平成21年12月31日まで
杏林製薬㈱
平成15年
7月30日
日本における片頭痛治療剤「マクサルト」の販売
平成29年1月31日まで
サノフィ・アベンティス㈱
味の素㈱
平成17年
9月12日
骨粗鬆症治療剤「アクトネル」の販売
平成29年6月11日まで
(米国)
ソルスティス・ニューロサイエンス社
平成19年
5月14日
欧州におけるB型ボツリヌス毒素製剤「ニューロブロック」の独占販売提携
契約締結より上市後15年間または最後の効能追加を受けてから10年間の遅い方
エーザイ
・インク
(米国)
ファイザー社
平成17年
9月27日
米国における血液凝固防止剤「フラグミン」の販売
契約締結より7年間、またはジェネリック上市直前の四半期と比べて市場シェアが25%以上減少した四半期翌月より3年間
(7) 貸借契約
会社名
契約締結先
締結年月日
契約内容
契約期間
当社
㈱みずほコーポレート銀行
㈱三菱東京UFJ銀行
JPモルガン・チェース銀行東京支店
平成20年
1月17日
MGIファーマ社の買収資金に関するタームローン契約
平成21年1月15日まで
 
日本生命保険相互会社
 
平成20年
3月28日
金銭消費貸借契約
平成30年3月28日まで
(注) 平成20年4月23日、エーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカ(米国)は三菱東京UFJ銀行ニューヨーク支店と5年間のタームローン契約を締結いたしました。
(8)その他
平成20年6月19日、当社は当社所有の㈱クリニカル・サプライ(医療機器の研究開発および製造販売を主な事業とする当社の連結子会社)の全株式をテルモ㈱に譲渡する旨の株式売買契約を締結いたしました。なお、株式の譲渡は平成20年6月30日を予定しております。
6【研究開発活動】
当社グループは、未だ十分な治療法が確立されていない疾病分野において、有用性の高い新薬等をいち早く患者様にお届けするために、最重点開発4テーマをコーポレートプログラムとして選定いたしました。テーマごとにチームを編成し、最優先の資源投入を行うなど、総力を挙げて取り組んでまいります。また、企業価値向上のための重要テーマの推進を強化するためにCEOオフィスを組織し、コーポレートプログラムなどの重要課題に関しては、CEOオフィスへ直接報告することで迅速な意思決定につなげるなど、新製品をいち早く提供するために的確な対応を推進してまいります。
 
[開発品の状況]
 AMPA受容体拮抗剤「E2007」は、神経因性疼痛、てんかんの2つの適応における開発に集中展開しております。欧米において、てんかんを対象としたフェーズⅢ試験を開始いたしました。また、神経因性疼痛を対象としたフェーズⅡ試験が進行中であります。片頭痛予防に関してはフェーズⅡ試験結果を踏まえて再試験計画の検討を進めており、多発性硬化症を対象としたフェーズⅡ試験が進行中であります。なお、パーキンソン病を対象とした開発は中止いたしました。
 抗がん剤「E7389」(微小管伸長阻害剤)は、乳がんを対象としたフェーズⅢ試験を欧米で実施しており、日本でもフェーズⅡ試験が進行中であります。また、非小細胞肺がん(米国)、前立腺がん(欧米)、肉腫(欧州)を対象としたフェーズⅡ試験が進行中であります。このたび終了した乳がん3rdラインでのフェーズⅡ試験において、優れた抗腫瘍効果と好ましい安全性プロファイルを確認いたしました。しかしながら、米国において平成19年10月、他社の薬剤が乳がん3rdライン適応で承認されたことから、FDA(米国食品医薬品局)との相談の結果、当初予定していた乳がん3rdラインの適応でのサブパートH申請が困難となり、現在実施中のフェーズⅢ試験のデータと併せFDAに申請することといたしました。(サブパートH申請:重症または生命に危険を与える病気に対する新薬のうち一定の要件を備えたものに対してFDAが加速承認する申請制度)
 エンドトキシン拮抗剤「E5564」は、日本、米国、欧州で重症敗血症を対象としたフェーズⅢ試験が進行中であります。本試験は、国際共同治験として取り組んでおります。
 トロンビン受容体拮抗剤「E5555」は、欧米で急性冠症候群、アテローム血栓症を対象としたフェーズⅡ試験を進めております。日本でもフェーズⅡ試験が開始され進行中であります。
 平成19年12月、米国で鎮静剤「アクアバン」について簡便な診断・治療の際の鎮静(大腸内視鏡検査、気管支内視鏡検査など)の効能・効果による承認申請がFDAに受理されました。
 抗がん剤「MORAb−003」(モノクローナル抗体)は、米国で卵巣がんを対象としたフェーズⅡ試験が進行中であります。
 抗がん剤「MORAb−009」(モノクローナル抗体)は、膵臓がんを対象としたフェーズⅡ試験が開始され進行中であります。
 抗がん剤「E7820」(α2インテグリン発現抑制剤)は、米国で大腸がんを対象としたフェーズⅡ試験が開始され進行中であります。
 マルチキナーゼ阻害剤「E6201」(外用剤)は、米国で乾癬を対象としたフェーズⅡ試験が開始され進行中であります。
 ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は、日本で平成20年4月に関節リウマチの効能・効果で製造販売承認を取得いたしました。また、平成19年9月には尋常性乾癬および関節症性乾癬に関する効能・効果の追加承認申請を行っております。なお、強直性脊椎炎および若年性関節リウマチを対象としたフェーズⅢ試験も開始いたしました。
 平成19年11月、脳内セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤「KES524」は、日本で肥満症の効能・効果で承認申請いたしました。
 平成19年5月、タイ、マレーシアで消化管運動機能改善剤「ガスモチン」について機能性胃腸症の効能・効果で承認申請をいたしました。続いて、インドネシア、フィリピンでも承認申請をいたしました。なお、アセアン諸国等6カ国では承認申請準備中であります。
 平成19年5月、マレーシアでDNAポリメラーゼ阻害剤「クレブジン」について慢性B型肝炎の効能・効果で承認申請をいたしました。続いて、タイ、インドネシア、フィリピン、インドでも承認申請をいたしました。アセアン諸国等3カ国では承認申請準備中であり、中国ではフェーズⅢ試験準備中であります。
 平成20年3月、マレーシアで速効型インスリン分泌促進剤「グルファスト」について糖尿病の効能・効果で承認申請をいたしました。アセアン諸国等9カ国では承認申請準備中であります。
 アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は、日本で平成19年8月に高度アルツハイマー型認知症に係る効能・効果および用法・用量、10mg錠の剤形の追加承認を取得するとともに、平成20年3月にはゼリー製剤に関する剤形追加の承認申請をいたしました。また、同剤に関して、欧米では徐放製剤のフェーズⅢ試験、日本ではレビー小体型認知症を対象としたフェーズⅡ試験、米国で小児適応に対するフェーズⅡ試験をそれぞれ開始いたしました。なお、欧州でフェーズⅢ試験段階にありましたパーキンソン病に伴う認知症および欧米でフェーズⅡ試験段階にありました片頭痛予防の効能追加に関する開発は中止いたしました。
  プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤「パリエット/アシフェックス」は、日本で平成19年8月にアモキシシリン(一般名)およびメトロニダゾール(一般名)との併用による胃・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの二次除菌療法に係る用法・用量の追加承認を取得いたしました。米国では、平成20年2月に本剤における青年期(12〜16歳)逆流性食道炎の短期治療(上限8週間)に関する追加承認申請がFDAに受理されるとともに、FDAのBest Pharmaceuticals for Children Actに基づき、審査期間が180日間となる優先審査に指定されました。また、米国で長時間作用型製剤のフェーズⅢ試験を開始いたしました。なお、日本において効能・効果追加申請中の非びらん性胃食道逆流症に関して申請データを補完する追加試験の実施を決定し、平成20年2月に申請をいったん取り下げました。今後、再申請に向けて速やかに試験を進めてまいります。
 制吐剤「アロキシ」は、米国で平成20年1月にがん化学療法による悪心・嘔吐の適応における経口剤の剤形追加に関する承認申請がFDAに受理されました。また、注射剤に関しては平成20年2月に術後の悪心・嘔吐予防の効能・効果の追加承認を取得いたしました。
 てんかん治療剤「ゾネグラン」は、欧州でてんかん単剤療法およびてんかんの小児適応に関するフェーズⅢ試験を開始し進行中であります。
 平成19年6月、日本で頻脈性不整脈治療剤「タンボコール錠」の発作性心房細動・粗動の効能・効果および用法・用量の追加承認を取得いたしました。
 平成20年2月、日本で虚血性心疾患治療剤「ワソラン錠」の頻脈性不整脈における心房細動・粗動、発作性上室性頻拍の効能・効果の追加承認を取得いたしました。
 平成20年5月、日本で非イオン性造影剤「イオメロン350」「イオメロン350シリンジ」の肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影における造影に関する用法・用量および「イオメロン350シリンジ」の135mL製剤の追加承認を取得いたしました。
 米国のバイオファーマ MGIファーマ社の完全子会社化により、米国の開発品に、申請中の鎮静剤「アクアバン」(簡便な診断・治療の際の鎮静)および制吐剤「アロキシ」のがん化学療法による悪心・嘔吐の適応における経口剤の剤形追加をはじめとして、フェーズⅢ試験段階に口腔粘膜炎治療剤「サフォリス」、DNAメチル化阻害剤「ダコジェン」の骨髄異形成症候群延命効果および急性骨髄性白血病の効能・効果追加、フェーズⅡ/Ⅲ試験段階に治療用DNAワクチン「アモリモジン」(子宮頸部異形成)、フェーズⅡ試験段階に血小板減少症治療剤「AKR−501」(特発性血小板減少性紫斑病)、抗がん剤「イロフルベン」が加わりました。
当連結会計年度における研究開発費総額は、2,254億27百万円、売上高比率30.7%であり、そのほとんどが医薬品分野で発生しております。なお、前連結会計年度より1,171億31百万円増加しておりますが、うち880億48百万円は買収に伴うインプロセス研究開発費であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
 文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断、予想したものであります。なお、文中に記載した金額は、四捨五入で表示しております。
(1)重要な会計方針および見積り
 当社グループの連結財務諸表は、各国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成しておりますが、連結財務諸表の作成に当たっては見積りや仮定によることが必要となります。使用する見積りや仮定は、これまでの経験、業界標準、経済状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられるものを継続的に採用しております。ただし、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があり、また、これらの見積りは異なった仮定の下では違う結果となることがあります。
 なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は、次のとおりであります。
① 退職給付会計
 退職給付債務および年金資産は、年金数理計算に用いられる仮定に左右されます。仮定となる割引率、将来の給与水準、年金資産の期待運用収益率、退職率および死亡率については、現在の統計データ、年金資産に対する実際の長期収益率その他の要因に基づき設定しております。これらの仮定に基づく見積りと実績との差異は毎年償却を行っており、将来における営業費用等に影響を与えます。
② 繰延税金資産
 繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を見積り、評価しております。また、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。課税所得を見積る際の利益計画は、事業リスク等を十分に考慮し保守的に作成しておりますが、その見積り額が増減した場合は繰延税金資産が増減いたします。
③ のれんおよび販売権
のれんおよび販売権については、原則年1回、減損の判定を行っております。公正価値の見積もりは、主に割引キャッシュ・フローを用いますが、将来キャッシュ・フロー、割引率等の多くの見積りや前提条件を使用しております。将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、公正価額が下落し、減損損失が発生する可能性があります。 
(2)経営成績の分析
① 売上高、売上原価および売上総利益(返品調整引当金戻入額を含む)
 当連結会計年度の連結売上高は7,343億円であり、前連結会計年度より602億円、8.9%増加いたしました。「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の合計売上高は連結売上高の63.6%を占めており、このうち米国の構成比は全体の66.7%であります。翌連結会計年度はグローバルで進展する医療費抑制策や競争の激化に加え、円高など厳しい環境にありますが、世界各国での「アリセプト」のさらなる伸長と、買収したMGIファーマ社製品の寄与等により増収を見込んでおります。
 当連結会計年度の売上原価は1,188億円であり、前連結会計年度より95億円の増加、売上原価率で横ばいとなりました。その結果、当連結会計年度の売上総利益は6,155億円となり、前連結会計年度より507億円、9.0%増加いたしました。
② 販売費及び一般管理費
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費(研究開発費除く)は3,723億円であり、前連結会計年度より211億円、6.0%増加いたしました。その主な要因は、「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の米国を中心としたプロモーション費用によるものであります。
 当連結会計年度の研究開発費は2,254億円であり、前連結会計年度より1,171億円、108.2%増加いたしました。その主な要因は、積極的な研究開発活動への資源投入に加え、買収に伴うインプロセス研究開発費880億円の計上などによるものであります。
③ 営業利益
 買収に伴う企業結合会計特有の処理により研究開発費が増加したことから、当連結会計年度の営業利益は177億円であり、前連結会計年度より875億円、83.1%減少いたしました。
④ 営業外損益および特別損益
 当連結会計年度の営業外損益は11億円の収益であり、前連結会計年度より41億円減少いたしました。主な減少要因は円高による為替差損であります。また、特別利益は23億円であり、投資有価証券売却益等によるものであります。特別損失は35億円であり、前連結会計年度より15億円増加いたしました。主な増加要因は、投資有価証券評価損によるものであります。
⑤ 当期純利益
 買収に伴う企業結合会計特有の処理により研究開発費が増加したことから、170億円の当期純損失(前連結会計年度は706億円の利益)となりました。
 これにより、当連結会計年度における1株当たり当期純損失は59円80銭となりました。当連結会計年度は、MGIファーマ社買収に伴う米国会計基準の企業結合会計(SFAS141号)に基づくパーチェス法の会計処理の連結損益に与える影響により170億円の当期純損失となりましたが、本買収に伴う企業結合会計特有の処理(非キャッシュ項目)を除き算出した「実業ベース」での当期純利益は707億円(前連結会計年度比0.2%増)を確保しており、また、キャッシュ・インカム(キャッシュ創出力)は1,055億円(同8.1%増)となりました。
 翌連結会計年度においては、MGIファーマ社買収に伴うのれんおよび販売権の償却費の増加ならびに日本での薬価改定による原価率の上昇が見込まれますが、研究開発活動などへの積極的な投資を行ってまいります。また、買収に伴う企業結合会計処理によるインプロセス研究開発費880億円などを当連結会計年度に計上していること、売上原価の低減努力および販売管理費の効率化につとめることにより、翌連結会計年度の当期純利益は大幅な増額を見込んでおります。
 翌連結会計年度の配当については、「実業ベース」での増益ならびに1株当たりのキャッシュ・インカムの成長が予想されることから、1株当たり年間配当金140円(当連結会計年度より10円増)とし、中間配当金70円、期末配当金70円を見込んでおります。
(3)資金の流動性および資本の財源についての情報
① 資金の流動性
当連結会計年度の営業活動から得たキャッシュ・フローは、732億円(前連結会計年度より79億円減)となりました。税金等調整前当期純利益は177億円、減価償却費は346億円、買収に伴うインプロセス研究開発費が880億円、法人税等の支払額は493億円であります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、4,764億円の支出(前連結会計年度より4,212億円増)となりました。そのうち、MGIファーマ社およびモルフォテック社の買収に4,355億円、有形固定資産の取得に392億円、無形固定資産の取得に145億円を支出いたしました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、買収による借入の発生等により3,754億円の収入(前連結会計年度は406億円の支出)となりました。配当金の支払いには369億円を支出(前連結会計年度より70億円増)いたしました。
  以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,200億円(前連結会計年度末より511億円減)となりました。
当社グループでは、キャッシュ・インカムを成長投資、事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額であり、「キャッシュ創出力」を表すものと考えております。当連結会計年度のキャッシュ・インカムは前連結会計年度比8.1%増の1,055億円となり、1株当たりキャッシュ・インカムは前連結会計年度より28円19銭増の370円82銭となりました。
 当社グループでは、積極的な事業活動の推進と有利子負債の返済に十分な資金を確保した上で、株主の皆様への安定的および継続的な配当を実施していく方針であります。
② 資本の財源 
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の10.7%を占める1,200億円であります。MGIファーマ社の買収資金として、平成20年1月に4,028億円の短期借入を行いました。3月には短期借入金の一部500億円を長期借入にシフトいたしました。その結果、短期借入金3,628億円(前連結会計年度末より3,626億円増)、長期借入金500億円(同500億円増)となりました。
 なお、短期借入金返済資金として平成20年4月に米国において700百万ドルの長期借入を行い、平成20年6月に1,200億円の社債を発行いたしました。




出典: エーザイ株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書