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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 当連結会計年度のわが国経済は、企業収益の改善や意欲的な民間設備投資に牽引され緩やかながらも回復基調を辿りました。一方、個人消費につきましては個人所得の伸び悩み、株価、社会保険料の負担増など先行き不透明な要素があり、本格回復には至りませんでした。
 OTC薬(一般用医薬品)市場では、同質化競争と価格競争さらに栄養機能食品等による侵食もあり引き続き厳しい環境が続いております。
 このような状況のもとで、当社グループは積極的な販売活動と財務体質の強化を推し進めるべく業務の効率化の一環として当期にセカンドキャリア支援プログラムと富山工場の分割・譲渡を行いました。
 この結果、当期の業績は、連結売上高は513億8百万円(前期比7.7%減)、経常利益は26億8千3百万円(前期比18.8%減)、当期純利益はセカンドキャリア支援プログラムの退職加算金等の計上もあり8億9千4百万円の損失となりました。
 当社グループの売上高は、医薬品の製造・販売を中心とする「医薬品分野」と、不動産賃貸業務、広告代理業務等を行う「その他の分野」の2つに分類されます。
 「医薬品分野」の内、当社の主力でありますコンシューマーへルスケア部門の売上状況につきましては、解熱鎮痛薬「イブ」群は、ラインナップ強化として昨年5月に「イブクイック頭痛薬」を発売しその寄与もあり前年を上回ることが出来ました。同じく昨年10月に新製品として発売しました高コレステロール改善薬「コレステガード」も消費者の健康維持への関心の高まりもあり順調に推移しております。
 また、当社が注力すべき「インナービューティー&ヘルス」カテゴリーでL−システイン製剤「ハイチオールC」群に続く第二の柱として本年3月に発売した、毛穴・肌のキメに着目した「キュティナ」も期待通りの売上を示しております。
 睡眠改善剤「ドリエル」群につきましてもラインナップの充実を図るため本年3月に、「ドリエルEX」を発売しシェアで圧倒的な地位を確保しております。
 一方、滋養強壮剤「エスカップ」群は店頭消化が進み明るさが見えてきたものの最盛期である夏場の天候不順等による不振を回復するまでには至らず減少、「ハイチオールC」群もシェア拡大はしたものの美白市場の減少により売上高が減少しました。
 かぜ薬「エスタック」群、鎮咳去痰剤「ブロン」群は風邪が例年ほど流行せず、持続性鼻炎薬「エスタックニスキャップ12」もスギ花粉の飛散が少なく売上高減少となりました。
 また、当社製品の店頭消化は好調になりつつも小売側による流通在庫の調整や製造受託品(医療用)の減少の影響も売上高を減少させる要因となりました。
 この結果、当社グループの「医薬品分野」の売上高は512億9千6百万円(前期比7.7%減)、「その他の分野」の売上高は1千1百万円(前期比8.6%減)となりました。
 セグメントの状況につきましては、当期の所在地別売上高は、日本444億4千5百万円(前年同期比10.7%減)、ドイツ59億5千7百万円(前年同期比19.7%増)、その他の地域9億5百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
 (注) 「事業の状況」に記載された金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
 営業活動によるキャッシュ・フローは、52億9千8百万円減(前期比91億8千5百万円減)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純損失7億3千4百万円、減価償却費26億8千1百万円、過年度研究費の支払による支出8億8千2百万円、退職加算金等の支払による支出34億7百万円、法人税等の支払による支出45億9千9百万円等であります。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、17億9千9百万円減(前期比141億3千5百万円減)となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出20億8千7百万円、旧本社譲渡による収入59億6千2百万円、投資有価証券の取得による支出84億9千4百万円、富山工場事業譲渡による収入18億8千6百万円、持分法適用関連会社の売却による収入10億1百万円等であります。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、30億7千1百万円減(前期比7億8千3百万円減)となりました。主な内訳は、配当金の支払額30億5千9百万円等であります。
 これらの結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、334億3千3百万円(前期比101億6千6百万円減)となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
区分
金額(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
44,870
△16.7
合計
44,870
△16.7
 (注) 金額は売価換算によっております。
(2)受注生産の状況
区分
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
5,332
△26.4
838
△9.4
合計
5,332
△26.4
838
△9.4
 
(3)販売実績
区分
金額(百万円)
前期比(%)
医薬品分野
51,296
△7.7
その他の分野
11
△8.6
合計
51,308
△7.7
 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載については、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに当該割合が100分の10未満につき記載を省略しております。
3【対処すべき課題】
 当社グループは「全ての人々の健康を願い、限りない探求と挑戦を続け、信頼され、親しまれるヘルスケアの担い手を目指す」ことを経営理念とし、OTC薬を中心とするコンシューマーヘルスケア関連事業(一般用医薬品、医薬部外品等のヘルスケア関連商品分野)に経営資源を集中投下し、生活者目線からの優れた製品の開発と供給を通じて顧客満足度を高め、企業価値の最大化を目指してまいります。
 当社グループは一般生活者様及びお取引先様に対して、期待以上のアウトプットを提供することを目標に揚げ、その到達点を「OTCのチャンピオン」と称し、これを目指して経営改革を進めております。
 今後のOTC薬事業環境の変化の可能性を見据え、柔軟性のある効率の良い組織への改革及びビジネスドメインに「インナービューティー&ヘルス」のコンセプトを新たに加えております。次のステップとして、社員の意識変革を促すために、四つのコアバリューのプロアクティブ(Proactive),イノベイティブ(Innovative),コミットメント(Commitment),チームワーク(Teamwork)を行動基準と定めました。
 また新しいビジネスドメインに対応する当社独自のブランドの伸張や構築およびセールススキルの確立を目指してまいります。
 また、環境問題をはじめとする社会的責任への取り組みは企業の重要な使命と考え、社会的信頼を得ることが出来るよう積極的に活動してまいります。それらに関する様々な課題への取り組み結果を昨年に引き続き「CSR報告書2007」にまとめ開示いたします。
 依然として停滞感のあるOTC薬市場において、メーカー及び小売企業間でのシェア競争や開発競争は更に激しさを増しており、それに伴い資本の流動化による企業の大同合併や提携が頻繁化してきました。それに加えて、平成18年6月に成立した薬事法の改正がOTC薬の事業環境を大きく変化させると言われております。
 しかしながら、高齢化社会の進展とセルフメディケーションという言葉に集約される生活者の健康への関心の高まり、更に新しい機能を有したOTC薬の疾病予防や健康維持などへの貢献の可能性を勘案すれば、ヘルスケア関連市場は今後の拡大が期待できます。
 このような市場動向に対応すべく、当社としてはコンシューマーへルスケア事業への選択と集中、子会社や遊休不動産等の清算・売却、営業生産性の向上など、財務体質の強化を進めてきたところです。
 今後はこれらの経営資源を独自のブランド確立や伸張、新製品開発及び人資源の開発に効率的に再投資してまいります。
 そのために、いくつかのキープロジェクトを立上げ、今後の変革に対応できるブランド戦略や新製品開発や営業手法を検討しております。
 特に新製品開発においては、積極的に親会社のパイプラインを活用した競争優位性のあるOTC薬の開発(スイッチOTC薬など)を進めております。ここ数年のOTC薬のあり方の変化を想起すると、その機能拡大がメーカーにとっても流通チャネルにとっても、何よりも生活者にとって重要であると考えます。
 その為に、当社では従来からある“治療薬・保健薬”のカテゴリーに加え、“予防薬・生活改善薬”“ビューティフルエイジング”“インナービューティー”のカテゴリーを新たに設け、各カテゴリーに相応した開発を進めてまいります。
 量的拡大やシェア拡大による収益性の向上といった従来型の図式は大きく再検討を余儀なくされ、量から質への経営転換が求められております。この様な状況のなか当社は、将来に向けての成長性を確保することを目的として、いくつかのキープロジェクトを立上げ、今後の変革に対応できるブランド戦略や新製品開発や営業手法を検討しております。
 一方、規制緩和の流れや国民の利便性の観点から、平成21年6月施行を目処に薬事法の大幅な改正が行われます。本改正により、全てのOTC薬は安全性の観点から第一類〜第三類に分類され、スイッチOTC薬などの第一類薬は従来通り薬剤師管理の下薬局で販売されますが、殆どのかぜ薬や胃腸薬などを含む第二類薬やビタミン含有保健剤などの第三類薬は登録販売者という新たな有資格者の常駐など一定の許可要件を満たせば店舗販売業(一般小売店など)でも販売が可能となります。
 このことから改正施行後は流通面での変化も想定されるため、当社としても今後の動向を注意深く見守り、環境変化への対応を検討してゆくことも必要であると考えております。
 加えて、金融商品取引法の下、上場会社に義務付けられた平成21年3月期よりの「財務報告に係る内部統制の評価及び報告」が滞りなく的確に遂行することを目的とし、社内プロジェクトを立ち上げ平成20年3月期までに統制活動の整備、文書化及び有効性評価に基づく改善を完了するよう、内部統制システムの構築に取り組んでおります。
 また、選択と集中の一環として平成19年4月17日開催の取締役会において子会社2社の吸収合併と清算を決議いたしました。
 
4【事業等のリスク】
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
売上高等について
 小売企業間の過当競争による店頭価格の下落に起因したメーカーに対する納入価格引下げ圧力の増加や、メーカー間の同質的商品の競争激化による納入価格の下落の進展、マーケティングコストの増加が、収益性に影響を与える恐れがあります。
 また、当社の市場開拓型かつ差別優位性を持った商品に対する他社からの類似商品の上市が、売上・収益に影響を与えることが考えられます。
研究開発部門について
 現在開発中あるいは計画中の新製品の開発については、何らかの理由での計画の変更、または断念せざるを得ない場合のリスクが考えられます。
生産部門について
 当社は、原材料を調達し各工場で剤形別に製造、外部製造所へ委託または製品を購入し販売しております。そのため、いずれかの製造所における重大事故の発生や天災が、供給または生産に支障をもたらした場合、製品が製造できず、代替品の調達、他工場での代替生産もしくは委託製造開始までに、該当製品の販売機会を失う可能性が考えられます。
他社との提携について
 経営資源の有効活用と外部資源の相乗効果を期待し、共同開発研究や販売提携等他社との提携を行なっております。しかし、今後何らかの事情によりこれらの提携関係等を解消することで予定していた効果を得られなくなる可能性が考えられます。
その他
 予測不可能な副作用、仕入れ原材料の品質不備による回収、廃棄、情報システムの事故等により個人情報等の保有する情報が流出した場合の信用力の低下等が収益に悪影響を及ぼすことが考えられます。
 なお、上記以外にもさまざまなリスクが考えられ、ここに記載したものが全てのリスクではありません。
5【経営上の重要な契約等】
   当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
契約会社名
相手先
国名
契約内容
譲渡価額
(百万円)
締結年月
エスエス製薬㈱
ワイビー浜町開発
特定目的会社
日本
旧本社土地
・建物の売却
6,000
平成18年5月
エスエス製薬㈱
シミック㈱
日本
富山工場の
分割・譲渡
2,200
平成18年5月
   なお、当社は平成19年4月に当社の連結子会社であるアーバンエステート㈱と合併契約を締結しており、詳細は第5経理の状況 重要な後発事象に記載のとおりであります。
6【研究開発活動】
 当社グループにおいて、研究開発活動は、当社が主として行っております。当社の研究開発活動については、以下のとおりであります。
 より健康でありたい、より心身共に快適でありたい、いつまでも美しくありたいという生活者ニーズは、高齢化社会を迎えますます強まるものと思われます。
 このたび当社中央研究所を、人々の生活を科学し、イノベイティブな新製品開発体制のコアセンターとするべく、名称を「ライフ サイエンス インスティチュート(LSI)」と改めました。これは単なる名称の変更にとどまらず、研究機能の一新となる更なる活性化を目的としています。
 より研究開発力を向上するための体制として、取り組む分野を、従来の一般用医薬品である「治療薬・保健薬」と、その機能を拡大した「予防薬・生活改善薬」の両分野に加え、主に女性にフォーカスした新たな取り組みとして加齢症状に関する「ビューティフルエイジング」、及び、美容的医薬品(美薬品)として「インナービューティー」の4つのカテゴリーに分類し、市場創造型の新製品・リニューアル品の開発と、スイッチOTC薬、新効能、新剤型薬等の開発に積極的に取り組んでまいります。
 なお、当期の研究開発費は20億9千万円となっております。
7【財政状態及び経営成績の分析】
(1)財政状態の分析
 当期の財政状態は、旧本社土地・建物の譲渡、富山工場事業の分割・譲渡、セカンドキャリア支援プログラムの実施などにより総資産が917億6千9百万円(前期比110億3千1百万円減)、総負債が289億1千7百万円(前期比70億3千1百万円減)となりました。また、純資産の部におきましては利益剰余金が40億1千万円減少し純資産が628億5千1百万円(前期比39億9千9百万円減)となり、自己資本比率が68.5%(前期比3.5%増)となりました。
(2)経営成績の分析
 当期の経営成績は、連結売上高につきましては同質化競争と価格競争さらに栄養機能食品等による侵食もあり513億8百万円(前期比7.7%減)となりました。
 営業利益につきましては、売上原価は売上減少等により180億2千1百万円(前期比6.7%減)、販売費及び一般管理費は人件費の減少等により308億2百万円(前期比6.0%減)となった結果、25億3千4百万円(前期比24.3%減)となりました。
 経常利益につきましては、営業外収益は為替差益が増加したこともあり4億9千7百万円(前期比37.0%増)、営業外費用は3億4千8百万円(前期比14.2%減)となったため、26億8千3百万円(前期比18.8%減)となりました。
 当期純利益につきましては、特別利益は旧本社譲渡益の計上等により14億3千7百万円(前期比81.1%減)、特別損失は退職加算金等の計上等により48億5千6百万円(前期比518.3%増)となったため、8億9千4百万円の当期純損失となりました。




出典: エスエス製薬株式会社、2007-03-31 期 有価証券報告書