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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1) 業績
 当連結会計年度におけるわが国経済は、原油価格や原材料価格の高騰、個人消費の伸び悩み等懸念される要因があったものの、企業収益の改善による設備投資の増加や雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかに回復を続けました。一方海外では、米国経済において個人消費や設備投資が底堅く推移し、中国経済は引き続き好景気を維持しました。
 このような経済状況のもと、当社グループの主要業界の1つである自動車業界におきましては、国内需要はほぼ横這いでありましたが、円安を背景に輸出が好調であったため、国内生産は前年より増加しました。中国市場につきましては、依然として好調に成長を持続いたしました。また、エレクトロニクス産業は、薄型テレビ、携帯電話、新型家庭用ゲーム機等が牽引して好調に推移しました。
 当社グループにおきましては、以前より注力してきましたビルドアップ配線板用めっき薬品が半導体パッケージ基板の好調を背景として、順調に推移しました。また、自動車部品向け樹脂めっき用薬品やめっき装置の市場開拓等の営業活動が、市場の需要、特に中国での需要の増大に相まってその効果を上げ、売上向上に反映させることができました。
 しかし、営業利益及び経常利益につきましては、海外子会社の設立による人員の増加、乾式めっき装置の販売促進費用等により販売費及び一般管理費が増加したことにより減益となりました。
 特別損益につきましては、中央研究所(神奈川県藤沢市)の土地の売却益8億23百万円、建物等の売却損1億8百万円を計上しております。また、台北支店の顧客におきまして、当社のプリント配線板用めっき薬品の使用方法に起因した顧客の製品不良が発生し、当社は当該顧客が被った損害に対する補償等で費用が発生し、56百万円の特別損失を計上いたしました。
 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高96億77百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益10億23百万円(同5.3%減)、経常利益10億8百万円(同2.3%減)、当期純利益9億11百万円(同53.7%増)となりました。
① 事業の種類別セグメント
a.薬品関連資材事業
 自動車産業におきましては、中国市場が好調に推移したことにより、基幹分野向けめっき用薬品の売上が増加しました。また、プリント配線板の業界では、携帯電話及び新型家庭用ゲーム機の出荷が好調で、マザーボードやCPU、グラフィック、チップセット等に対応した半導体パッケージ基板市場の活況により、ビルドアッププリント配線板用めっき薬品が伸長し、また市場開拓においては、台湾、中国、韓国で新規顧客を獲得したことにより、電子分野向けめっき薬品の売上が大きく増加いたしました。
 この結果、売上高77億16百万円(同12.1%増)、営業利益16億88百万円(同9.5%増)となりました。
b.装置事業
 国内及び海外の自動車部品向けやプリント配線板用めっき装置の拡販に注力し、装置と薬品の一括受注という当社の強みも発揮し、新規顧客の獲得もできました。一方、薬品の継続取引、新規顧客の獲得を見込み、戦略的な受注を行った案件もありましたが、とりわけプリント配線板用めっき装置では、海外顧客に新規開発機種を納入するという新たな実績も生まれ、今後の装置販売に新たな広がりが期待できるものとなりました。
 当連結会計年度におきましては、設備投資が比較的堅調に推移したこともあり、売上高は増加しましたが、重要顧客や成長市場に対する戦略的対応を行った結果、原価比率等が上昇し収益性が低下しました。 
 この結果、売上高19億75百万円(同17.8%増)、営業損失は62百万円(前年同期の営業利益は1億2百万円)となりました。
② 所在地別セグメント
a.日本
国内は、新規顧客獲得等により売上高77億23百万円(同1.5%増)と増加しましたが、営業利益は営業費用の増加により、13億43百万円(同7.7%減)となりました。
b.アジア
アジアは、好調な経済状況に支えられた上、新規顧客獲得等により売上高22億82百万円(同103.2%増)となり、営業利益は2億82百万円(同30.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が15億45百万円(前年同期比50.1%増)と大きく増加したこと等の要因はあったものの、有形固定資産の取得による支出、法人税等の支払額等により、前連結会計年度末に比べ6億95百万円減少(前年同期は8億40百万円の増加)し、当連結会計年度末には16億48百万円(前年同期比29.7%減)となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は、5億48百万円(前年同期比39.3%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が15億45百万円であったこと、法人税等の支払額6億14百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、9億71百万円(前年同期比326.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出14億30百万円があったこと、有形固定資産の売却による収入8億33百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は、2億79百万円(前年同期は1億51百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済3億円があったこと等によるものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1) 生産実績
 当連結会計年度の生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
薬品関連資材事業
(千円)
6,968,409
115.8
装置事業
(千円)
1,957,105
118.5
合計
(千円)
8,925,515
116.4
 (注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 商品仕入実績
 当連結会計年度の商品仕入実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
薬品関連資材事業
(千円)
973,462
107.2
 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.装置事業においては、商品仕入は行っておりませんので、当該事項はありません。
(3) 受注状況
 当連結会計年度の受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
装置事業
2,467,901
143.7
1,423,288
155.4
 (注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.薬品関連資材事業は、受注から売上計上までの期間が短期であり、受注残高が少額であるため、記載を省略しております。
(4) 販売実績
 当連結会計年度の販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
前年同期比(%)
薬品関連資材事業
(千円)
7,716,978
112.1
装置事業
(千円)
1,960,512
118.1
合計
(千円)
9,677,490
113.2
 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3【対処すべき課題】
 当社グループを取り巻く環境につきましては、経済のグローバル化・技術開発スピードの高速化の中で、同業他社との技術開発競争や価格競争の激化が予想されます。薬品関連資材事業を例に挙げますと、基幹分野向け表面処理薬品の顧客である自動車部品メーカーは、中国を始めBRICs諸国の自動車産業を見据え、グローバルな視点から生産拠点と生産体制の再構築を進めております。また、電子分野向け表面処理薬品の顧客であるプリント配線板・電子部品・半導体市場は、成長性が高く、新しい技術の出現等により、経営環境が急激に変化する市場でもあります。
 このような状況を踏まえ、当社グループでは
1)グローバルネットワークの拡充
2)次世代技術への迅速な対応と市場でのトップブランドの維持
3)中国市場をはじめとするBRICs諸国におけるビジネスの拡充
を経営基本戦略とし、会社の対処すべき課題として以下のとおり取り組んでまいります。
(1) グローバルネットワーク戦略
 当社は設立以来、台湾、韓国やタイをはじめとするアジア地域において代理店網による販売活動を行ってまいりました。しかしながら、自動車関連や電子関連製品の生産拠点が海外に移り、現地企業が日本企業と競合するに至った今日、「自らの力で積極的な営業の推進」を基本戦略として、成長市場、成長分野に焦点を当てた開拓を行わなければなりません。
 このような認識のもと、平成15年、中国経済の発展を背景に自動車業界を中心とする日系企業の中国進出に伴い、中国に連結子会社である「荏原ユージライト(上海)貿易有限公司」を設立いたしました。設立以来、連結子会社は自動車業界をメインターゲットとして活発な営業活動を推進してまいりました。現在は連結子会社における当社製品の売上構成は、装飾・防錆を目的とする基幹分野向け表面処理薬品が大半を占めておりますが、今後は基幹分野向け薬品のみならず、プリント配線板用途を足掛かりとして電子分野向け薬品に関する営業展開を図り、中国におけるシェア拡大を目指しております。
 平成17年には韓国の駐在事務所を支店に昇格させ、自動車業界や成長著しい電子分野での業績を向上させるため、営業体制の強化を図っております。
 他のアジア諸国につきましても、東南アジアの戦略拠点として平成18年11月に現地子会社をタイ王国に設立し、翌19年3月に同じく現地子会社をベトナムに登記をし、当社製品の販売・サービス・生産の活動を開始もしくは準備をしております。 また、台湾におきましても平成19年3月に連結子会社の登記を行い、エレクトロニクス市場における台湾企業の中国への進出に対応する体制を整えております。
 一方、米国産業を支えるメキシコ地域において、平成19年2月に合弁会社を設立し、近い将来大きく発展すると期待されているブラジルへの対応の布石としております。
 装置事業では、海外における設備需要に対応するため、生産コストが安価な中国での装置製造を推進し、顧客の要望に応えます。今後は韓国市場や東南アジア地域における積極的営業を推進し、日本と同様、薬品と装置技術を有する「表面処理総合メーカー」として発展し、世界でのシェアアップを目指します。
(2) 顧客満足度の向上
 当社グループの主要な顧客業界としては、薬品関連資材事業、装置事業共に、自動車・建材・水栓金具業界からエレクトロニクス業界に至るまで、多岐にわたっております。また、上述のように国内企業から海外メーカーまで幅広い顧客層を有しております。当社グループは同業他社との差別化を行うため、あらゆる客層のニーズを汲み取り、新製品の開発と迅速な市場投入を図り、顧客に対する提案力を強化する、即ち「総合的な顧客満足度を向上する」必要があります。
 これに対応するため、技術開発力及び営業体制の強化に取り組んでおります。具体的には、優秀な新卒者及び即戦力となる開発スタッフを積極的に採用し、継続的に研究開発体制を拡充しております。また、技術的に豊富な経験と知識を持つ人材を総合研究所から営業本部へ配置転換することで、若手営業員の教育・育成に取り組み、顧客に対する提案型営業を推奨しております。
(3) 研究開発の課題
 表面処理薬品の主要市場の一つであるプリント配線板業界は、技術革新のテンポが非常に速く、市場の動向を先取りするために、常に顧客の次世代技術の動向に注視し、市場の要求に応えた製品が提供できるよう開発に取り組んでまいります。また、もう一方の主要市場である自動車部品や水栓金具等の業界におきましても、各業界のトップメーカーとの協力関係を構築し、顧客のニーズをいち早く把握して、スピードと効率の良い開発に取り組んでまいります。
(4) 中国における営業及び技術サービス体制
 近年、中国において、自動車部品等樹脂上のめっき市場やプリント配線板市場における需要が増大し、同市場の顧客からの当社薬品関連資材の引き合いが増加しております。それに伴い、新規顧客への技術対応及びアフターサービス体制等、現地からの技術支援の要望が高くなっております。
 今後もますます顧客が増加しサービス地域も拡大することが確実であり、現地主義を徹底するためにも営業体制及び現地の社員教育の強化等が必要となっております。
(5)中国以外の海外地域における営業体制の拡充
 中国自動車産業の驚異的な成長に続き、今後はインド、ブラジル等についても大きな成長が期待されておりますが、当面の部品供給基地として東南アジア、特にタイ及びベトナムの発展が顕著になっております。現地子会社の設立の後、中国と同様に営業体制及び現地の社員教育の強化等が重要な課題となります。
(6)乾式(ドライ)めっき技術による装置の販売
 当社は、創業以来湿式(ウェット)技術を中心とした製品の開発及び販売を行ってまいりました。しかし、近年では顧客の要求が多様化し、湿式技術だけでは対応できず、異分野の技術との融合により顧客ニーズを満足させる必要がでてまいりました。そこで当社は、乾式めっき技術であるプラズマ技術を応用したプリント配線板の洗浄装置や、スパッタリング技術を応用した着色(カラーリング)装置等を導入し、販売に着手しました。今後は、装置販売の営業体制の強化と、乾式技術の習得が重要な課題となります。
(7) 生産体制の充実
 当社は平成12年4月に、表面処理薬品の生産拠点を神奈川県藤沢市から新潟県上越市に移転いたしました。新潟工場では最新鋭の生産設備を導入することにより生産効率を改善し、原価低減を図っております。
 海外におきましても製造コスト低減の必要性から、中国の無錫と広州の現地企業と業務提携し、生産委託による現地生産を行っております。コスト競争力を高めるためにも、今後も品質管理体制を維持しながら現地生産を拡大してまいります。
4【事業等のリスク】
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項の中で、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成19年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 需要先業界の動向(自動車業界、エレクトロニクス業界)
 当社製品である表面処理用薬品関連資材及び装置は、主に自動車業界とエレクトロニクス業界(特にプリント配線板業界)で使用されており、その市場動向に大きく影響を受けます。
 自動車業界において当社の薬品関連資材は、自動車前面部のラジエータグリル(樹脂製化粧部品)やドアハンドル(樹脂製)へのめっき工程等で使用されます。従って、自動車生産量の推移が重要な影響を及ぼします。また、当社の装置は、自動車業界の設備投資の動向により業績に大きな影響を受けます。
 プリント配線板業界において、当社の薬品関連資材は回路形成用の銅めっき工程等で使用され、プリント配線板の需要先は主に電子機器業界であります。なかでも携帯電話、ゲーム機、パソコン、デジタル家電市場の生産量の推移が、業績に大きな影響を及ぼします。また、プリント配線板業界における当社の装置は、自動車業界と同様、設備投資の動向により業績に大きな影響を受けます。
(2) 材料価格の変動
 原油価格の上昇や中国の経済成長等が要因となって、総じて原材料価格は値上がり傾向にあります。
 当社の主力製品の主原料が高騰、もしくは長期間高価格で推移し、なおかつ高騰分を販売価格に転嫁できない可能性があります。その場合、当社製品の収益性に影響を及ぼします。
(3) 為替レートの変動
 当社グループは国内のみならず、海外においても幅広く事業を展開しております。
 当社グループは外貨建決済を行う場合、必要に応じて為替予約等により短期的な影響を最小限にする努力をしておりますが、予想を超える大幅な為替変動があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、連結子会社の設立により、各地域において現地通貨にて作成される財務諸表は、連結財務諸表の作成のため円換算されており、換算時の為替レートの変動により影響を受けることになります。
 なお、当社グループの連結売上高に占める外貨建売上高とその比率は次のとおりであります。
平成19年3月期  外貨建売上高 20億2百万円  全売上高比率 20.7%
(4) 社名・ロゴマークの使用について
 当社の社名につきましては、MBOによる独立から平成25年10月1日までの10年間、「荏原」の名称に関する使用許諾を株式会社荏原製作所より得ております。また、「Udylite」の名称に関しても10年間の使用許諾をエンソン・インコーポレーテッドより得ておりましたが、さらに平成35年10月1日までの使用延長許諾契約を平成18年4月21日に締結いたしました。ロゴマークにつきましては、株式会社荏原製作所の出資比率が20%未満になった時点より3年を経過する平成20年12月21日までの継続使用許諾を得ております。
 当社は、社名及びロゴマークの変更につきましては、充分に検討し慎重に準備を行った上で実施することを考えております。なお、これらの変更に際しましては、株式会社荏原製作所及びエンソン・インコーポレーテッドに対して使用許諾契約時に支払った、それぞれ90百万円、合計1億80百万円の許諾料(当社では長期前払費用として資産計上し、契約期間で均等償却しております。(平成19年3月期末残高1億22百万円))を一括して償却する可能性があり、社名及びロゴマークの変更を周知させるために必要な費用とともに、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 中国での事業
 当社グループは、成長を成功させる要因として中国での事業拡大を第一に掲げており、今後も販売網の拡充、現地生産拠点の充実に注力する所存であります。
 さて、中国はここまで驚異的な経済成長率をもって発展を続けておりますが、成長の歪みと言われる沿岸部と内陸部の所得格差の問題、エネルギー不足への対策、知的所有権に関する問題等の大きな課題を抱えております。
 中国政府がこうした課題に対処する上で混乱や影響等が発生した場合、当社グループの中国事業や業績に波及する可能性があります。
(6) 薬品関連資材事業の売上依存度が高いことについて
 当社グループの薬品関連資材事業の売上高が全体の売上高に占める割合は、平成19年3月期において約80%と高く、当面このような高い割合が継続することが予想されます。同事業の対象市場としましては、自動車部品、建材、水栓金具、電子部品等があり、複数市場への売上分散を図ってまいりました。そのため、当該市場により当社グループの業績が大きな影響を受けるリスクは低いものと予想されますが、皆無であるとは言い切れません。
(7) 技術ノウハウの流出及び漏洩について
 当社の技術情報には、表面処理薬品の開発経緯、薬品の成分・組成、装置の開発経緯、仕入商品情報、当社と顧客間の技術データ等があります。これらの技術情報は、外部への持ち出し、複写等を禁じ、外部漏洩に備えております。しかしながら、万一、これらの情報が外部へ漏洩した場合には、類似品の製造及び顧客に対するサービス提供が可能になると考えられ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、退職者が出た場合、退職後の守秘義務契約にも関わらず、一部の技術・情報等が流出し、当社の業績に影響を及ぼす可能性は否定できません。
(8)知的財産権の侵害等について
 当社は技術情報の流出等を避ける目的で、当社が開発した新規技術に関する特許出願を実施しないケースもありました。そのため、第三者が当該技術と類似する情報に関する特許権等を取得するケースが発生いたしました。今後もかかるケースが発生した場合、当社製品が当該特許権を侵害したと看做され、当該製品の販売差止めや損害賠償を請求され、当社業績に影響を及ぼす可能性があるため、今後は特許性の高い新規技術を開発した場合には、特許権を取得するために出願を行うよう努めます。しかしながら、現時点で米国以外の主要国では特許権に関して先願主義を採用しているため、第三者が同様技術を当社に先駆けて出願した場合には、前記リスクにより当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社は製品開発を行う際、既存の特許技術に抵触することの無いよう、事前調査を徹底したうえで新製品の開発方針を立案・実行しております。しかしながら、これらの調査にも関わらず当社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合、当該製品の販売差止めや損害賠償を請求され、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保・育成について
 当社が製品を提供する業界(特にエレクトロニクス業界)は、技術水準や顧客ニーズが急激に変化する業界であり、それらに見合った新技術の開発とその製品化、既存製品の改良は、当社にとって必要不可欠なものであります。知名度の向上、採用活動の強化、教育・研修の拡充等の施策にも関わらず、優秀な技術者や研究開発要員の確保・育成ができない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、今後も海外展開の拡大やIR活動の充実等、諸業務の拡大が予想されますので、優秀な人材の確保に一層努めてまいりますが、当社が求める人材を十分に確保・育成できない場合には、今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法的規制について
 当社は、表面処理薬品の原材料として「毒物及び劇物取締法」及び「麻薬及び向精神薬取締法」の対象となる薬品を使用しているため、その販売、製造、輸入等に関して同法の規制を受けております。当社は前記法令の対象となる薬品に関する販売業登録、輸出入業登録等の法的措置を講じると共に、社内管理体制を確立し、法令遵守に努めております。しかしながら、今後の法改正により規制が強化され、当社の表面処理薬品の原材料となる薬品の一部について、使用禁止や使用制限等の措置が講じられた場合には、代替製品を開発するまでの間、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 廃棄物等の管理について
 当社の新潟工場及び総合研究所では、製造又は実験過程において、環境への影響を考慮した適切な処理を必要とする廃液及び大気中への排出物が生じます。当社は、廃液についてはその内容等により、排水処理施設での処理又は外部委託処理を行っております。また、排気管理については、製造工程及び実験室における局所排気を通じ、排気ガス処理装置で処理しております。
 これらの取り組みの結果、現在まで行政からの指導を受けた事はありませんが、将来において当社の廃棄物の管理に何らかの問題が生じた場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害、事故等のリスクについて
 当社の生産工場は、薬品関連資材事業の製品とそれに使用する中間原料を製造する新潟工場(新潟県上越市)1ヶ所のみであります。従って、災害等の影響により新潟工場における生産活動に支障が起きた場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
(1) ライセンス契約
相手先
契約期間
契約の内容
エンソン・インコーポレーテッド(米国)
(注)1
自 平成15年10月2日
至 平成31年9月30日
製品に関するロイヤルティ相互契約
ロイヤルティ料率:製品の純販売価格の5%又は8%
株式会社荏原製作所
自 平成15年10月2日
至 平成25年10月1日
「荏原」の商標の使用に関する事項
株式会社荏原製作所
(注)2
自 平成15年10月2日
至 平成25年10月1日
「荏原」のロゴの使用に関する事項
エンソン・インコーポレーテッド(米国)
(注)3
自 平成15年10月2日
至 平成35年10月1日
「Udylite」の商標の使用に関する事項
(注)1.平成13年3月にてエンソン・インコーポレーテッドとの技術援助契約が終結いたしましたが、平成15年10月2日、相互の一部製品に限定したロイヤルティ相互契約を締結いたしました。
2.契約期間に関わらず、株式会社荏原製作所の当社の株式保有比率が20%未満となった場合、ロゴの使用はその日から3年間に限られます。平成17年12月22日に当該株式保有比率が20%未満となりましたので、使用期限は平成20年12月21日となりました。
3.平成18年4月21日、「Udylite」の商標に係る使用延長許諾契約を締結いたしました。その結果、契約期間が10年間延長し、契約満了日が平成25年10月1日から平成35年10月1日となりました。
(2) 事業用借地権設定契約
相手先
契約年月日
契約内容
 契約期間
 賃料(年額)
川崎市
平成18年2月8日
当社総合研究所の借地権の設定
20年間
自 平成18年3月1日
至 平成38年2月28日
 18,338千円
(注)本契約は、当社中央研究所の移転に伴うものであります。なお、この移転に伴う設備投資の概要につきましては、「第3 設備の状況」のとおりであります。
(3) 業務・資本提携契約
相手先
契約年月日
契約内容
株式の取得価額
JESAGI HANKOOK CO.,LTD.
平成18年9月1日
相手方株式の取得及びプリント配線板洗浄装置の販売権取得
 100,000千円
 
6【研究開発活動】
 当社グループは、薬品関連資材及び装置事業の研究開発及び技術部署を中心として、「独創的かつスピーディーな研究開発をスローガンに、世界の顧客に信頼されるオリジナル製品を提供する」ことを理念とした研究開発活動を推進しております。新製品及び新技術の開発はもちろんのこと、従来技術の改良等も随時行うことで、顧客満足度の向上を図っております。自動車・建材からエレクトロニクス・半導体に至る幅広い業界の最先端技術に対応すべく、顧客との共同研究も視野に入れております。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は4億6百万円であります。
(1)薬品関連資材事業
 薬品関連資材事業における研究開発活動は、
  ・環境にやさしい製品の開発
  ・エレクトロニクス業界での高密度、微細配線技術
  ・自動車関連業界での高外観、高耐食性技術
を課題として、「自動車部品や水栓金具等に使用される各種エンジニアリングプラスチック材料に表面処理を行う技術」や「鉛を使用しない各種めっき液の開発」、「六価クロムを使用しないめっき技術」、「ウィスカー(スズめっき皮膜から発生するヒゲ状の突起)の出ない鉛フリーはんだめっき液」、高密度ビルドアップ配線板用途の「ビアフィリング用硫酸銅めっき」、「微細配線用エッチング液」等において、顧客の多様な要求に応えるべく、たゆまぬ開発努力を続けてまいりました。そして、より高度化する技術の要求に対応するため、改良も継続しております。
 平成19年3月期に完成した製品は以下のとおりであります。
①セパレートタイプコネクタ用すずめっき薬品(性能アップ製品)
②ロールtoロールフレキシブルプリント配線板用硫酸銅めっき薬品(性能アップ薬品)
③純すずめっき全工程薬品(ウィスカーフリータイプ)
④スルーホールフィリング用硫酸銅めっき薬品
(2)装置事業
 装置事業における研究開発は、従来のプリント配線板向けめっき装置に加え、高精度品質の銅めっき装置の製品化、自動車部品用めっき装置等、顧客の多様な要求に応えるべく、たゆまぬ努力を続けております。また、新たな薬品の分析・管理プロセスに対応できる自動分析管理装置を開発し、顧客の生産管理、工程管理に必要な機器を提供しております。
 一方、近年エレクトロニクス業界では、プリント配線板への実装の高密度化や回路の微細化が急速に進んでおり、従来の技術のみでは対応が困難になると考えられます。当社では、このような課題に対し新たに乾式(ドライ)技術を融合させることにより、市場の要求に応え得る新しい技術を創生することに取り組んでおります。
 いずれも、顧客の要望に応える形での研究開発及び改良で、最新のニーズを盛り込み、同業他社に勝る装置の供給に取り組んでおります。
 平成19年3月期に完成した製品は以下のとおりであります。
①自動分析管理装置(プリント配線板金めっき薬品用)
②全自動垂直タイプ連続めっき装置(高密度プリント配線板銅めっき用)
7【財政状態及び経営成績の分析】
 当社グループの財政状態及び経営成績の分析を以下のとおり記載しております。
 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成19年6月29日)現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載したとおりであります。
 当社グループは、退職給付引当金、賞与引当金、貸倒引当金、税効果会計、投資その他の資産の評価等に関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と思われる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
 当連結会計年度における売上高は96億77百万円(前年同期比13.2%増)となりました。薬品関連資材事業におきましては、自動車産業が中国において好調に推移したことや、携帯電話及び新型家庭用ゲーム機の出荷が好調で、マザーボードやパッケージ基板市場の活況により、売上高は77億16百万円(前年同期比12.1%増)となりました。また、装置事業におきましても自動車部品メーカー向けやプリント配線板メーカーの設備投資が比較的堅調に推移したことにより、19億60百万円(同18.1%増)となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高は25億61百万円(同17.2%増)となりました。今後、中国を中心としたアジア地域での事業展開を当社グループの成長の柱として育成してまいります。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
 当連結会計年度における売上原価は、6億64百万円増加し51億81百万円(前年同期比14.7%増)となりました。これは、主に連結会計年度に引き続き販売活動の好調さが持続したため製造量が増加し、材料費、外注加工費等の変動費が増加したためであります。
 販売費及び一般管理費は、5億23百万円増加し34億72百万円(前年同期比17.7%増)となりました。これは、主に海外子会社の設立等に伴う人員増による給与手当の増加(前年同期比19.7%増)及び乾式めっきテスト装置の導入等によるものであります。
 以上の結果、営業利益は10億23百万円(前年同期比5.3%減)となり、前連結会計年度に比べて56百万円減少しました。
③ 営業外収益、営業外費用
 営業外損益は、為替差益等の24百万円の営業外収益を計上したものの、株式上場関連費用等の39百万円の営業外費用を計上した結果、経常利益は10億8百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
 当社グループの主力製品である表面処理薬品は、主に自動車業界とエレクトロニクス業界で使用されております。自動車業界は年毎の変動が比較的小さく、経営成績に急激な影響を与える可能性は少ないと考えておりますが、エレクトロニクス業界におきましては、電子機器事業、とりわけ携帯電話・パソコン市場等の好不調の影響を大きく受けます。また、エレクトロニクス業界の技術革新のスピードが非常に速く、製品寿命が短いため、新製品の開発能力が重要なポイントとなります。
 従って、当社グループは販売対象業界を分けることでリスクを分散し、現在では自動車業界とエレクトロニクス業界への売上高はほぼ二分されております。また、エレクトロニクス業界の技術革新のスピードに対応するため、研究開発部門の充実を図るべく、優秀な人員の計画的な補充、測定機器や分析機器の充実、大学への研究委託、大手メーカーとの共同研究等、様々な対応を実施しております。
(4) 経営戦略の現状と見通し
 当社グループは、これらの状況を踏まえて、薬品関連資材事業と装置事業を保有するという、当社グループの強みを最も発揮できる自動車産業に対し、国内市場、中国をはじめとしたBRICs市場やアジア市場において営業活動を強化してまいります。また、エレクトロニクス業界に対しては、顧客ニーズを把握し、研究開発活動を通じ新製品を市場に提供することで、シェアの拡大、収益力の向上を図ります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性の分析
① キャッシュ・フロー
 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が15億45百万円(前年同期比50.1%増)と大きく増加したこと等の要因があったものの、総合研究所建設等に伴う有形固定資産の取得による支出、法人税等の支払等により、前連結会計年度末に比べ6億95百万円減少しました。その結果、当連結会計年度末には16億48百万円(前年同期比29.7%減)となりました。 
 営業活動の結果得られた資金は、5億48百万円(前年同期比39.3%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が15億45百万円であったこと、法人税等の支払額6億14百万円があったこと等によるものであります。
 投資活動で使用した資金は、9億71百万円(前年同期比326.9%増)となりました。これは、主に総合研究所の建設及び研究開発用の分析・試験機器類等の有形固定資産の取得による支出14億30百万円があったこと、有形固定資産の売却による収入8億33百万円があったこと等によるものであります。
 財務活動の結果使用した資金は、2億79百万円(前連結会計年度は1億51百万円の獲得)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出3億円があったこと等によるものであります。
② 資金需要
 当社グループでは、今後アジアを中心としたグローバルな市場へ製品を販売していくため、国際競争力と顧客満足度の向上を図るべく、主に研究開発投資並びに設備投資を中心に資金を充当してまいります。
③ 資金の源泉
 主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金及び新株式の発行により、必要とする資金を調達しております。なお、当社におきましては、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として借越限度額20億円の当座借越契約を締結しております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、最近の原材料価格の高騰や環境に対する規制の強化、また、技術革新の速さ等当社グループを取り巻く事業環境は、さらに厳しさを増すことが予想されます。
 経営陣としましては、こうした事業環境に対し、生産効率の向上による製品の原価低減、常に環境問題を意識した研究開発、そしてマーケティング部門の強化によるロードマップの先取りと迅速な製品開発を行うことにより、持続的な成長を目指しております。
(7) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産
 当連結会計年度末の総資産は、95億18百万円となり、前連結会計年度末に比べて4億61百万円増加(前年同期比5.1%増)しました。
 流動資産は59億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億83百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が6億95百万円(前年同期比29.7%減)減少したこと、売上債権が2億57百万円(前年同期比9.4%増)増加したこと、たな卸資産が1億95百万円(前年同期比16.9%減)減少したこと等によるものであります。
 固定資産は36億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億44百万円の増加となりました。有形固定資産は、主に神奈川県藤沢市の中央研究所の売却に伴い3億28百万円減少しましたが、神奈川県川崎市への総合研究所建設により10億54百万円増加し、28億55百万円となりました。投資その他の資産は、資本提携等に伴い投資有価証券が2億65百万円増加しましたが、総合研究所の建設による圧縮積立金の計上に伴い、繰延税金資産が1億91百万円減少したこと等により、7億26百万円となりました。
② 負債
 当連結会計年度末の負債は、42億42百万円となり、前連結会計年度末に比べて3億95百万円の減少(前年同期比8.5%減)となりました。
 流動負債は34億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億84百万円減少(前年同期比5.1%減)しました。これは、主に藤沢市中央研究所土地売却及び装置売上にかかる前受金が3億48百万円、法人税等が1億47百万円減少した一方で、流動負債その他が2億47百万円増加したこと等によります。
 固定負債は、8億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億10百万円の減少となりました。これは、主に長期借入金が返済により3億円減少したこと等によります。
③ 純資産
 当連結会計年度末の純資産は、52億75百万円となり、前連結会計年度末に比べて8億56百万円増加しました。これは主に、当期純利益9億11百万円によるものであります。
 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の48.8%に対して当連結会計年度末は54.9%に上昇しております。




出典: 株式会社JCU、2007-03-31 期 有価証券報告書