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第2【事業の状況】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社、以下同じ。)は、消費税及び地方消費税に係る会計処理方法につき税抜方式を採用しているため、以下の記載金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。

1【業績等の概要】

 連結財務諸表規則等の改正(平成21年12月11日 内閣府令第73号)に伴い、IFRSによる連結財務諸表の作成が認められることとなったため、第73期(自 平成22年4月1日 至 平成23年3月31日)よりIFRSに準拠した連結財務諸表を開示しております。

(1)業績及びキャッシュ・フロー(IFRS)

① 業績

 当連結会計年度における世界経済は、日本では、景気回復の兆しがあるものの、為替動向は安定感を欠いた状態が続きました。米国においては、堅調な経済の中、新政権による財政政策への期待が高まりつつありますが、通商政策等による影響が見通しづらい状況となっています。欧州においても、全体的に緩やかな経済成長が継続していますが、英国のEU離脱決定による今後の不確実性が指摘されています。アジアにおいては、中国は高い成長率を維持しているものの、地政学的リスクが高まりつつあります。

 そのような環境のもと、当社グループの情報・通信事業については、半導体用マスクブランクスは先端品における堅調な需要により増収、半導体用フォトマスク及び液晶用フォトマスクは、熊本地震の被災により熊本工場での生産停止を決定したことで生産能力が減少し、減収となりました。ハードディスク用ガラスサブストレートは、現地通貨ベースでは、総需要の改善及び市場シェアの拡大により増収となりましたが、為替の円高影響により減収、映像関連製品はデジタルカメラ向けの需要減少と為替の円高影響により減収となりました。これらにより、情報・通信事業全体では、前連結会計年度に比べ減収となりました。

 ライフケア事業においては、コンタクトレンズ及び眼内レンズは堅調に推移しました。メガネレンズと内視鏡はともに、米州、欧州、アジアのいずれの海外市場においても、現地通貨ベースで売上高が増加しましたが、為替の円高影響を受けて全体では減収となり、ライフケア全体としては、前連結会計年度に比べ減収となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上収益は4,789億27百万円と、前連結会計年度に比べて5.3%の減収となりました。

 利益については、熊本地震の災害関連損失に加えて、前連結会計年度は42億70百万円の固定資産売却益を計上したこともあり、当連結会計年度の税引前当期利益は1,107億95百万円、当期利益は868億52百万円となり、前連結会計年度に比べてそれぞれ7.0%、6.9%の減益となりました。

 売上収益税引前当期利益率は23.1%となり、前連結会計年度の23.6%より0.5ポイント低下しました。

 

 なお、当連結会計年度、前連結会計年度ともに非継続事業はありませんので、表示の数値及び増減率は全て継続事業によるもののみであります。

 

 なお、IFRSに準拠した連結財務諸表は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。

 このような状況下における当社グループの継続事業セグメントごとの業績は次のとおりであります。(各セグメントの売上収益は、外部顧客に対するものであります。)

 (情報・通信事業)

 

<エレクトロニクス関連製品>

 最終製品であるパソコンやタブレット市場の縮小が続く中、スマートフォン市場は成長を継続しています。当社の半導体用マスクブランクスは、先端品における活発な研究開発需要を取り込んだことで、為替の円高によるマイナス影響を吸収し、売上高は前連結会計年度と比べ増加しました。半導体用フォトマスクについては、4月発生の熊本地震により熊本工場での生産停止を決定したことで生産能力が減少し、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。液晶関連製品は、スマートフォン等向けに高精度・高解像度の中小型サイズのマスク需要が好調に推移したほか、4Kや大画面のTV向けの大型マスク需要も堅調で、前連結会計年度に比べて増収となりました。

 液晶用フォトマスクについては、スマートフォンパネル向け中小型マスクの高精度・高解像度化に向けた研究開発需要や、TVパネル向け大型マスクの4Kや大画面化に向けた研究開発需要が一段落していることに加え、熊本工場での生産停止により生産能力が減少した影響が続いたため、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。

 

 ハードディスク用ガラスサブストレートについては、総需要の減少トレンドが一段落していることに加え、当社の市場シェアが拡大したことで、現地通貨ベースで増収となりましたが、為替の円高影響により、売上高は対前連結会計年度と比べ減収となりました。

 

<映像関連製品>

 デジタルカメラ市場では、引き続き市場の縮小が継続しております。そのような中、監視カメラや車載カメラなど新しいアプリケーション向け製品の販売拡大に努めておりますが、全体としてはデジタルカメラ向けの減少を補うには至らず、これに円高影響も加わり、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。

 

 この結果、当セグメント(情報・通信事業)の売上収益は、1,606億17百万円と、前連結会計年度に比べて10.1%の減収となりました。また、セグメント利益は、熊本地震に関する災害関連損失の計上に加えて、前連結会計年度に32億74百万円の固定資産売却益を計上したこともあり、545億7百万円と、前連結会計年度に比べて16.8%の減益となりました。

 

(ライフケア事業)

 

<ヘルスケア関連製品>

 メガネレンズについては、日本市場では、小売市場縮小の影響を受けて、当社の売上高も伸び悩んでおります。海外市場においては、米州にて強い成長を継続していることに加え、欧州、アジアにおいても、現地通貨ベースで安定的に伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体では前連結会計年度と比べ減収となりました。

 コンタクトレンズにつきましては、専門小売店「アイシティ」の新規出店及び既存店におけるプロモーション強化に継続して取り組んでおり、前連結会計年度と比べ増収となりました。

 

<メディカル関連製品>

 医療用内視鏡は、米州において売上高が改善し、現地通貨ベースで増収に転じました。欧州、アジアにおいても、新製品の貢献と販売力の強化により、現地通貨ベースで売上高が伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体として前連結会計年度と比べ減収となりました。

 白内障用眼内レンズは、日本市場において昨年度に発売した新製品の販売が、引き続き好調に推移しております。また、海外においても、直販及び代理店向けの販売がともに堅調に伸長しており、前連結会計年度と比べ大きく増収となりました。

 

 この結果、当セグメント(ライフケア事業)の売上収益は3,144億42百万円と、前連結会計年度に比べて2.6%の減収となりました。また、セグメント利益は547億18百万円と、前連結会計年度に比べ5.2%の減益となりました。

 

(その他)

 その他事業は主に、情報システムサービスを提供する事業及び新規事業等であります。

 当セグメント(その他)の売上収益は38億66百万円と前連結会計年度に比べて9.9%の減収となりました。セグメント利益は9億2百万円と、前連結会計年度に比べて6.5%の減益となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、為替変動による影響額△53億7百万円を含め、前連結会計年度末に比べ105億59百万円増加し、2,968億51百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は1,076億62百万円(前連結会計年度比242億27百万円収入減)となりました。これは、税引前当期利益1,107億95百万円(前連結会計年度比83億4百万円収入減)、減価償却費及び償却費297億77百万円(前連結会計年度比37億47百万円収入減)、売上債権及びその他の債権の増加額55億28百万円(前連結会計年度比82億69百万円収入減)、仕入債務及びその他の債務の減少額8億59百万円(前連結会計年度比12億15百万円支出増)、支払法人所得税266億14百万円(前連結会計年度比34億8百万円支出増)などで資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、275億7百万円(前連結会計年度比123億46百万円支出増)となりました。これは、投資の売却による収入58億18百万円(前連結会計年度比56億89百万円収入増)で資金が増加した一方、有形固定資産の取得による支出215億28百万円(前連結会計年度比33億44百万円支出増)、子会社の取得による支出63億60百万円(前連結会計年度比45億68百万円支出増)、事業譲受による支出61億93百万円(前連結会計年度比60億82百万円支出増)などで資金が減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は、642億89百万円(前連結会計年度比972億30百万円支出減)となりました。これは、支払配当金294億47百万円(前連結会計年度比20億48百万円支出減)、自己株式の取得による支出350億7百万円(前連結会計年度比951億45百万円支出減)などによるものであります。

 

(2)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異

 

 当連結会計年度(自  平成28年4月1日  至  平成29年3月31日)

 

 差異の主な内容及び概算額は以下のとおりであります。

(のれんの償却)

 日本基準においては、のれんを償却しますが、IFRSにおいては、のれんを償却しないため、日本基準に比べ償却費が11億48百万円減少しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループは、消費税及び地方消費税に係る会計処理方法につき税抜方式を採用しているため、以下の記載金額に消費税及び地方消費税は含みません。

 

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績を報告セグメント(継続事業)ごとに示すと、次のとおりであります。

報告セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

情報・通信

160,396

86.8

ライフケア

200,357

83.0

合計

360,753

84.7

  (注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

(2)受注状況

 当社グループは、主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を報告セグメント(継続事業)ごとに示すと、次のとおりであります。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。

報告セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

情報・通信

160,617

89.9

ライフケア

314,442

97.4

その他

3,869

90.1

合計

478,927

94.7

  (注)「その他」3,869百万円には「その他」事業による売上収益が3,866百万円、報告セグメントに属さない研究開発部門による売上収益が3百万円含まれております。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、持続的成長と企業価値の最大化に向けて、「情報・通信」と「ライフケア」の複数の事業において、グローバルに経営を推し進めております。多岐にわたる事業を運営する中、経営資源の最適な配分により、競争力を最大化することで、業績向上に取り組んでまいります。

(1)目標とする経営指標

当社グループは、資本に対するコストを上回る利益を生んだとき、企業価値が増大し、全てのステークホルダーにご満足いただけるものと考えております。その実現のための経営指標としてSVA(Shareholders Value Added)を導入し、効率的な経営に努めております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

① 市場の変化への柔軟な対応と効率的な経営資源の活用

 当社グループの事業領域は多岐にわたっておりますが、それぞれの市場の動向にすばやく柔軟に対応していくために、顧客のニーズを的確に把握し、競合に先んじた戦略を立案してまいります。当社グループの経営資源を適切に配分し、設備投資、事業提携、M&A、事業の撤退・縮小といった判断をタイムリーに行ってまいります。

 

② 新たな事業、技術の創出

 企業収益を確保し、成長し続けるためには、既存事業の伸長はもとより、従来とは異なる成長分野において、当社独自の技術を開発し、新たな事業を創出していくことが重要な課題と認識しております。

 世界に通用する技術や競争優位性の高い製品の開発、新規事業の開拓・創造、そして次代を担う人材の獲得・育成にさらに力を注いでまいります。そのためには、社内リソースの活用だけでなく、外部リソースを積極的に取り込むことが重要と考えており、事業提携やM&A等のあらゆる可能性を追求してまいります。

 

③ ライフケア事業の事業拡大

 医療の現場では医師・患者双方の要求として負担軽減・治療の短時間化が望まれるようになり、低侵襲医療が加速度的に普及してきております。当社グループは、光学の知識・経験を応用したライフケア事業を戦略的成長分野と位置づけ、経営資源を積極的に投入し、先進国におけるシェアの拡大と新興国への展開によるグローバルでの事業拡大を図ってまいります。

 

④ 情報・通信事業の安定的な収益の確保

 顧客との連携強化による技術開発、高付加価値製品の拡大、新たな製品用途の開拓により、収益性の維持、向上に努めてまいります。同時に、生産拠点の効率化、生産技術の革新によるコスト削減にも力を注いでまいります。

 

⑤ 省エネルギー対策及びリスク分散、危機管理対応

 当社グループは、全社を挙げて省エネをはじめとする環境保全に取り組んでおります。また、リスクマネジメントの観点からも海外移転を含む製造拠点の分散化を進めてきました。社会の一員として、また供給責任という観点からも、引き続き省エネルギー対策、リスク分散、危機管理対応に積極的に取り組んでまいります。

 

⑥ ダイバーシティの推進

 当社グループ全体においては多くの女性管理職が活躍しておりますが、日本に限定した場合、この割合は大幅に低くなっております。日本においても価値観や働き方の多様性を確保することで、優秀な人材を確保し、より効率的かつ多面的な観点から企業価値向上に資するように努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)執行役への依存

 当社グループは、経営の効率化、意思決定の迅速化を図るため、少人数の執行役で、グループ全体の経営方針や経営戦略・事業戦略の策定・決定をはじめ、事業化及び事業推進に至るまで、当社グループの事業活動上重要な役割を果たしております。このため、当社グループでは過度に執行役に依存しないよう、経営体制を整備し、経営リスクの軽減を図ることに努めるとともに、各事業分野での人材育成強化を行っておりますが、執行役に対する依存度が高いため、執行役が何らかの理由により突然当社グループの経営者としての業務を遂行できなくなった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(2)為替レートの変動

 当社グループでは、事業をグローバルに展開しておりますが、主要生産国の為替レートの上昇は、連結ベースでコストの上昇をもたらす可能性があります。主要販売国の為替レートの下落は、売上高の減少を起こす可能性があります。

(3)国際情勢の影響

 今後、ある地域でヒト・モノ・カネの動きが異常に抑制された場合、また、当社グループが事業を行っている国々で、政治・経済又は法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、天災地変、事故等の予期せぬ事象が起きた場合には、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

(4)生産材のビジネスである点

 当社グループの情報・通信の製品群は、その全てが中間生産材・部材であり、当社製品を使用して製造される製品、さらにそれらを使用して製造されるデジタル家電製品等最終消費財の景況によって売上に影響が出る可能性があります。

(5)消費材分野におけるディスカウンターの出現と価格低下

 近年、従来になかった安売り店が出現し、価格低下を引き起こしております。これら安売り店の影響が、当社グループが進めているコストダウンと高付加価値戦略で吸収しきれないほど進むと、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)新製品開発力

 当社グループでは、絶えず最先端の技術を開発するよう努めておりますが、業界と市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズにあった新製品をタイムリーに開発できない場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)競合

 当社グループは、多くの製品で業界トップシェアを有しておりますが、絶えず厳しい競争に晒されております。当社グループが、将来においてもその圧倒的なシェアを保持し続け、有効に競争できるという保証はなく、価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8)生産能力

 当社グループでは、各製品について、顧客の受注に応える十分な生産能力の確保に努めておりますが、なんらかの要因により、生産上の問題が発生したり新規設備の立ち上げが遅れるようなことがあれば、当社グループの業績への影響のみならず、得意先の生産・販売計画に影響を与え、競合他社のシェア拡大等の恐れがあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9)新規事業

 将来の成長のために新規事業は重要ですが、有望な新規事業の目途がつかない場合は当社グループの成長が計画どおり進まないおそれがあります。また、事業戦略の一環として企業買収等を行うことがありますが、買収後に予期せぬ障害が出てきて予定外の時間と費用がかかり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10)情報漏洩に関するリスク

 当社グループでは、事業の遂行において多くの個人情報や機密情報を保有しており、情報の管理については様々な対策を講じております。しかしながら、万一、情報の流出が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下と損害賠償責任が発生する可能性があります。

(11)知的財産に関するリスク

 当社グループでは、新製品開発や生産、販売活動を行う上で、他社の知的財産権を侵害することがないよう事前調査を徹底しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者より知的財産権侵害を主張される可能性は否定できません。そのような場合、訴訟費用が発生するだけでなく、訴訟の結果によっては、当該技術を利用できない可能性や損害賠償責任が発生する可能性があります。

(12)製品の品質に関するリスク

 当社グループでは、厳しい品質基準に基づき多様な製品を製造しております。しかしながら、万一、品質問題が発生し、リコールや製造物責任が問われる場合には、回収費用が発生するだけでなく、顧客の信頼を著しく損ない、製品によっては、損害賠償責任が発生する可能性があります。

 なお、当社の米国子会社であるPENTAX of America,Inc.(以下、PENTAX)は、平成27年4月に、PENTAX及びその関連会社が製造・販売する十二指腸内視鏡に関する情報の提供を求める召喚状を米国司法省から受領しております。PENTAXは、米国司法省に協力し召喚状への回答手続きを進めております。そしてPENTAXは、十二指腸内視鏡及びその他の内視鏡に関する事項について、米国FDAを含む米国政府機関と適宜協議し、対応しております。その動向によっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)人材確保・育成に関するリスク

 当社グループの継続的な成長は、あらゆる分野における優秀な人材の確保・育成に大きく依存しております。しかしながら、雇用環境の多様化が急速に進む中で、有能な人材の流出防止や新たな人材の獲得・育成ができない場合には、当社グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)資材等の調達に関するリスク

 当社グループの生産活動において、原材料・部品等の一部に、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の代替が困難なものがあり、調達先の災害や事故、仕入価格の高騰等で、部品の安定的調達が確保できない可能性があります。その場合は、製品の出荷遅延による機会損失等が発生し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(15)敵対的買収に伴い企業価値が損なわれるリスク

 当社グループでは、経営者の責務は企業買収者から会社を防衛する策を講じることにあるのではなく、株主の付託を受けた者として、今後の企業成長を目指し、業績向上と財務体質の強化に努め企業価値を高めていくことが重要と考えております。それでも実際に敵対的買収が行われた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(16)税務に関するリスク

 当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 

 当社は、平成28年10月12日付で、メガネレンズ製造・販売会社である米国のPerformance Optics, LLC.並びにその子会社である米国のVISION EASE及び韓国の大明(テミョン)光学を買収することを決定し、最終契約を締結いたしました。なお、本件は現在、韓国の競争法にかかる当局の審査中です。

 

6【研究開発活動】

 

 当社グループは、将来にわたる持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期的な視点に立った事業戦略の立案と技術開発に取り組んでおります。これまでの情報・通信分野を中心とした研究開発から、今後成長が期待されるライフケア分野へ、研究開発資源投入を強化しております。

 当社グループでは、既存事業の延長線上にある次世代技術及び長期的な視点に立った次々世代の研究開発を各事業部門が手がけております。

 また、新しい分野・領域の新規事業開発については、本社新事業開発部門が担当しております。

 

 当連結会計年度のグループ全体の研究開発費の総額(継続事業)は、218億26百万円であり、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。

 

(情報・通信)

 エレクトロニクス関連製品においては、半導体の一層の微細化、高集積化のニーズに対応した位相シフトマスクブランクスを開発しております。また、EUVは次世代フォトリソグラフィーの第一候補として挙げられている技術で、既存のDUV光(ArF)よりもさらに短い波長のEUV光を用いるため、より微細なパターンの露光が可能となります。高品質EUVブランクスを供給できるよう、開発を行っております。

 さらに、Flat Panel Display(FPD)の表示解像度が4K8K用へと切り替わる方向で、FPDの高解像度化・高精細化の進行に応じた技術開発を行っております。

 

 映像関連製品においては、主に高屈折率ガラス及び高透過率ガラス等の高性能光学ガラス、環境負荷物質を含まないガラス等の組成開発に加え、優れた品質のガラス製品を提供するための技術開発を行なっております。

 当連結会計年度は、需要が拡大しているCCTV、車載カメラなどに適合する低コスト品の開発を行いました。また、モールドレンズ形状範囲を広げる素材の開発を行いました。

 

 当報告セグメントの当連結会計年度における研究開発費は、上記を含めて93億57百万円であります。

 

(ライフケア)

 眼内レンズにおいては、低侵襲の小切開手術、より簡便で合併症の低減が期待できるディスポーザブルプリロードインジェクターが主流となっております。また、光学的機能も、単焦点球面レンズから、非球面設計、トーリック(乱視矯正)、多焦点(遠視維持間の近見視力を向上)へと進歩しております。引き続き、ディスポーザブル化、光学的機能の多様化にあわせた眼内レンズ、インジェクターシステム、眼科用手術用機器の開発に努めてまいります。

 

 内視鏡製品においては、日、米、欧の開発拠点の連携を強化し、各市場のニーズに適応した製品ラインナップの充実に取り組んでおります。一方、要素技術として、小型・高解像度の撮像デバイスの開発や微小病変部を見逃すことなく観察できる画像処理技術、容易に内視鏡を消化管内に挿入する技術、病変を確実に切除する治療用デバイスの開発を進めております。

 当連結会計年度は、欧州市場で内視鏡用プロセッサEPK-i7010、EPK-3000、呼吸器用内視鏡EB15-J10、EB19-J10、耳鼻科用内視鏡VNL8-J10、VNL11-J10、VNL15-J10を販売いたしました。米国市場でLaryngostroboscopeVLS-1070STK、VLS-1190STK、VLS-1590STiを販売いたしました。国内市場で内視鏡用バイポーラ止血鉗子HS-Dシリーズを販売いたしました。

 

 当報告セグメントの当連結会計年度における研究開発費は、上記を含めて106億17百万円であります。

 

(本社新事業開発部門)

 新規事業開発は当社グループにとって中・長期的な重要課題の一つで、新規事業を立ち上げるには事業領域の選定から始まり、研究開発からマーケティング、事業化に至るまで長年の年月を要します。

 世界の技術革新を視野に入れて、メガネレンズやコンタクトレンズなどの既存製品を超えた眼科領域での事業拡大、次世代の医療へ積極的に貢献するための低侵襲治療領域での事業拡大等、将来有望な成長領域を柔軟な発想で選定し、新しいベンチャー企業への出資や事業提携なども含め、企画・推進しております。

 当連結会計年度は、ロボットによる低侵襲手術支援システムの開発等に資金投入しております。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

  なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針の要約」に記載しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上収益

 当連結会計年度における世界経済は、日本では、景気回復の兆しがあるものの、為替動向は安定感を欠いた状態が続きました。米国においては、堅調な経済の中、新政権による財政政策への期待が高まりつつありますが、通商政策等による影響が見通しづらい状況となっています。欧州においても、全体的に緩やかな経済成長が継続していますが、英国のEU離脱決定による今後の不確実性が指摘されています。アジアにおいては、中国は高い成長率を維持しているものの、地政学的リスクが高まりつつあります。

 そのような環境のもと、当社グループの情報・通信事業については、半導体用マスクブランクスは先端品における堅調な需要により増収、半導体用フォトマスク及び液晶用フォトマスクは、熊本地震の被災により熊本工場での生産停止を決定したことで生産能力が減少し、減収となりました。ハードディスク用ガラスサブストレートは、現地通貨ベースでは、総需要の改善及び市場シェアの拡大により増収となりましたが、為替の円高影響により減収、映像関連製品はデジタルカメラ向けの需要減少と為替の円高影響により減収となりました。これらにより、情報・通信事業全体では、前連結会計年度に比べ減収となりました。

 ライフケア事業においては、コンタクトレンズ及び眼内レンズは堅調に推移しました。メガネレンズと内視鏡はともに、米州、欧州、アジアのいずれの海外市場においても、現地通貨ベースで売上高が増加しましたが、為替の円高影響を受けて全体では減収となり、ライフケア全体としては、前連結会計年度に比べ減収となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上収益は4,789億27百万円と、前連結会計年度に比べて5.3%の減収となりました。

② 税引前当期利益

 税引前当期利益は1,107億95百万円、前連結会計年度に比べて7.0%の減益となりました。

 売上収益税引前当期利益率は23.1%となり、前連結会計年度の23.6%より0.5ポイント低下しました。

③ 当期利益

 当期利益は868億52百万円となり、前連結会計年度に比べて6.9%の減益となりました。

 また、基本的1株当たり利益は221.93円となり、前連結会計年度に比べて3.52円減少いたしました。

 資産合計親会社所有者帰属持分当期利益率(ROA)は13.4%と前連結会計年度に比べて0.2ポイント下がり、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は17.3%と前連結会計年度に比べて0.1ポイント上がりました。

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末では、総資産は前連結会計年度末に比べて205億76百万円増加し、6,595億83百万円となりました。

 非流動資産は、8億23百万円減少し、1,642億63百万円となりました。これは主として、のれんが50億88百万円、無形資産が100億95百万円増加した一方、有形固定資産−純額が50億22百万円、長期金融資産が84億63百万円、繰延税金資産が18億31百万円減少したことによるものであります。なお、長期金融資産の減少は主に流動資産への振替によるものであります。

 流動資産は、213億99百万円増加し、4,953億21百万円となりました。これは主として、売上債権及びその他の債権が54億28百万円、その他の短期金融資産が68億4百万円、現金及び現金同等物が105億59百万円増加したことによるものであります。なお、その他の短期金融資産の増加は主に非流動資産からの振替によるものであります。

 資本合計は、172億31百万円増加し、5,154億5百万円となりました。これは主として、資本の控除項目である自己株式が278億17百万円減少したことによるものであります。

 親会社の所有者に帰属する持分合計は176億22百万円増加し、5,108億87百万円となりました。

 負債は、33億45百万円増加し、1,441億78百万円となりました。

 当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は77.5%となり、前連結会計年度末の77.2%から0.3ポイント上昇しました。

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。





出典: HOYA株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書