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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、米国及び欧州では緩やかな回復が見られ、また新興国及び資源国において一部景気の持ち直しが見られるものの、英国のEU離脱問題や米国の新政権移行に伴う不確実性もあり、先行き不透明な状況が続きました。

我が国の経済においても、企業収益、雇用・所得環境の改善や設備投資の持ち直しが見られたものの、依然として個人消費は低調となりました。

このような状況下、当社グループ(当社及び連結子会社)では、コストダウン、製品の拡販及び品質向上等、経営体質の強化に取組んでまいりました。

しかしながら、当連結会計年度においては、国内外の炭素製品市場では需給不均衡の状態が継続したため、前連結会計年度に比べ販売数量は減少しました。また価格競争の激化や円高により販売単価も下落しました。その結果、売上高は127億2千7百万円となり、前連結会計年度に比べて35.3%の減収となりました。

損益面に関しましては、全社一丸となってコストダウンを進めたものの、売上高減少の影響が大きく、棚卸資産評価損を売上原価に計上したことから、営業損失は23億7千万円(前連結会計年度は4億2千5百万円の営業損失)となりました。円高に伴う為替差損1億2千7百万円を営業外費用に計上したことから、経常損失は26億2千1百万円(前連結会計年度は6億1千3百万円の経常損失)となり、繰延税金資産の取り崩し5億7千9百万円を法人税等調整額に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は32億3千4百万円(前連結会計年度は5億5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

なお、当社グループは炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントでありますが、当連結会計年度における製品別の売上高については、次の通りであります。

 

・アルミニウム製錬用カソードブロック

LMEアルミニウム価格に持ち直しの動きが見られるものの、未だアルミニウム製錬メーカーの設備投資を促す水準には至っておらず、更新需要の低迷、工場新増設の先送りにより販売数量が減少しました。また厳しい価格競争や円高により販売単価が下落したため、売上高は42億1百万円となり、前連結会計年度に比べて37.2%の減収となりました。

・人造黒鉛電極

中国の景気減速に伴う中国製鋼材の大量流出により、国内外において需給不均衡の状態が継続し鋼材市況は低迷しました。それに伴い人造黒鉛電極の需要は減少し、特に輸出においては価格競争がさらに激化し、採算の合わない販売を抑制したため、販売数量が減少しました。そのため、売上高は52億4千9百万円となり、前連結会計年度に比べて39.9%の減収となりました。

・特殊炭素製品

非鉄金属関連の需要家における在庫調整により販売数量が減少したため、売上高は20億2千4百万円となり、前連結会計年度に比べて24.3%の減収となりました。

・ファインパウダー及びその他炭素製品

リチウムイオン二次電池関係の販売数量が減少したため、売上高は12億5千2百万円となり、前連結会計年度に比べて20.6%の減収となりました。

 

なお、上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは18億9千万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローは6億4千4百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは4億9千2百万円の支出超過となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億3千3百万円増加(17.6%増)し、48億9千3百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失26億3千6百万円に、減価償却費18億6千万円、売上債権の減少額17億6百万円、たな卸資産の減少額11億1千3百万円等を加算し、仕入債務の減少額8千1百万円等を減算した結果、18億9千万円の資金の増加(対前連結会計年度比43.8%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得に6億2千8百万円を支出したこと等により、6億4千4百万円の資金の減少(対前連結会計年度比31.6%増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金に4億1千万円を支出したこと等により、4億9千2百万円の資金の減少(対前連結会計年度比75.0%減)となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、単一セグメントの下で以下の製品を生産しております。

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

アルミニウム製錬用カソードブロック

4,315

△36.9

人造黒鉛電極

5,222

△42.1

特殊炭素製品

1,634

△18.1

ファインパウダー及びその他炭素製品

1,049

△22.1

合計

12,222

△36.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社製品は国内、輸出とも一部受注生産をする場合がありますが、製造期間が長いため、基本的にはユーザーの生産動向をベースにした見込生産であります。

 

(3) 販売実績

当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を販売しております。

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

アルミニウム製錬用カソードブロック

4,201

△37.2

人造黒鉛電極

5,249

△39.9

特殊炭素製品

2,024

△24.3

ファインパウダー及びその他炭素製品

1,252

△20.6

合計

12,727

△35.3

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友商事株式会社

7,812

39.7

3,852

30.2

三菱商事株式会社

2,079

10.6

1,316

10.3

 

2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

(経営理念)

わが社は流動する変化に挑み、無限の可能性を探求し、業界の最高峰をめざす

・わが社は需要家の要望に応える製品を創造する

・わが社は社員および株主の幸福を増進する

・わが社は社会の福祉発展に寄与する

(経営の基本方針)

当社の経営理念のもと、世界から信頼され成長し続けるカーボンメーカーとして地球環境を大切にし社会の発展に貢献するべく、企業活動を展開してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

次期を最終年度とする三ヶ年中期経営計画「Jump Up 2017『未来への飛躍』」においては、①世界で戦える収益体質の確立、②モノづくりの基盤強化、③誇りをもって活き活きと働ける組織づくりを経営の重点目標に設定し、売上高および売上高営業利益率の向上を目指して経営を進めてまいります。

 

(3) 会社の対処すべき課題

当社グループを取巻く経営環境は、世界経済においては米国を中心とした先進国において緩やかな回復が見込まれ、新興国の一部において景気の持ち直しが期待できるものの、米国新政権の経済政策の不確実性や中国経済の景気減速の継続、欧州の地政学的リスク等、先行き不透明な状況が継続する見込みです。販売面では、一部製品においては需要の持ち直し、価格是正が期待されますが、未だ充分な水準でなく前期同様に需給バランスの悪化による激しい競争は継続することが予想されます。

このような厳しい経営環境の中、当社グループは、コストダウンの取組み継続と定着、ビジネス戦略に基づく行動計画の着実な推進、安全の取組み継続と定着、設備保全の取組み継続と定着、品質管理レベルの向上、人材の育成・多能工化による職場の活性化を次期の経営重点目標として、その達成を目指し全社一丸となって取り組んでまいります。そして、当社グループは企業の社会的責任を認識した上で、法令遵守を徹底し、また環境負荷の低減、コーポレートガバナンスの充実にも積極的に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する記載は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 製品需要による売上変動リスクについて

当社グループが主力製品として位置づけているアルミニウム製錬用カソードブロックは、中長期的な需要の増大が見込まれますが、短期的にはアルミニウム製錬業の新増設や更新需要の動向に左右されるため需要の変動が大きくなる傾向があります。また人造黒鉛電極は、ほぼ全量電炉鋼業界向けに販売しているため電炉鋼業界の景気変動による影響を大きく受けることになります。当社グループはアルミニウム製錬用カソードブロックと人造黒鉛電極を同じラインで製造することで製造品目をフレキシブルに置き換え、需要変動に機動的に対応し工場全体の生産量の安定化を図っておりますが、予期せぬ需要の変動が生じた場合などには当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 大型設備投資によるリスク

当社グループが、アルミニウム製錬用カソードブロックにおけるトップシェアの維持を狙い、総額150億円で京都工場に建設したラインは、平成23年秋から稼働しております。本件大型設備の稼働状況と当初数年間の減価償却費負担のバランス次第で損益面で影響が出る可能性があります。

 

(3) 為替変動リスクについて

当社グループの主力製品であるアルミニウム製錬用カソードブロックがアルミニウム業界の特性から100%輸出製品ということもあり、人造黒鉛電極、一部特殊炭素製品と合わせ近年の当社グループの輸出比率は総売上の5割を超える結果となっており、為替変動の影響を強く受ける体質となっております。為替変動リスクにつきましては、米ドル/日本円の為替エクスポージャーを小さくすべく、円建での輸出や米ドル以外の通貨での輸出を増やす努力をするとともに、為替予約などによるリスクヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全にヘッジできるものではありません。

 

(4) 原材料価格の上昇

当社グループの使用する原材料は、石油石炭などの素材価格の上昇や需給バランスの影響を大きく受けるものが中心となっております。当社グループはコスト競争力の強化、製品価格への転嫁、より安い原材料調達と新規サプライヤーの開拓などにより業績への影響を極力抑制する努力を行っておりますが、市況に予期せぬ変動が生じた場合などには当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 特定大口販売先について

当社グループの契約先別売上上位2社のシェアは50%程度になっておりますが、2社はいずれも商社であり、取引の大部分は輸出取引で最終需要家は海外を中心に分散しております。当社グループは輸出取引の円滑化と最終需要家に対する信用リスクの軽減のためもありこれら商社を活用しております。

当社グループの国内取引につきましては、1社で10%を超える販売シェアを有する取引先はなく、特定大口販売先のリスクは限定的であります。

 

(6) 技術革新について

当社グループの製品群は製造期間が長く、短期間に新製品が誕生し、市場が一挙に変化するというような状況にはありません。当社グループは取引先と永年にわたる信頼関係を構築しており、その信頼に応えるべく取引先の要望に沿った製品の改良、開発に努めておりますが、取引先の環境の変化や技術革新に対応できない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 重要な訴訟について

現在、当社グループは、財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす訴訟は抱えておりませんが、今後そのような訴訟等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 環境に関するリスク

当社グループは、法令遵守を基本として事業を遂行しておりますが、今後国内外でより一層厳しい規制が実施された場合、事業活動への制約拡大やコスト増加で当社グループの業績に影響が出る可能性があります。

 

(9) 大規模災害等

当社グループは、組織の簡素化、生産の効率化、人的資源の有効活用のため主要生産設備を京都工場に集約しております。同工場の所在する福知山地区で大地震や大規模風水害などの災害が発生した場合、生産活動に大きな影響の出る可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は当社の開発部が中心となり、関連部署及び外部機関との連携のもと新技術、新製品開発を積極的に進めております。

当社グループは、炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントであります。

研究開発活動は主に電解用電極、高温工業炉用部材、電池用等の特殊ファインパウダー及び炭素薄膜に関する基礎研究であります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は77百万円であります。

 

(1) アルミニウム製錬用カソードブロック及びその他の電解用電極

世界トップシェアの黒鉛化カソードブロックの実績をベースに、大電流・大型電解炉に対して耐摩耗性に優れた新グレード品の開発に取り組み本格使用の段階へと進んでおります。その他、各種高機能品製造に用いられる電解用電極の研究と新グレードの開発を進めております。

 

(2) 高温工業炉用部材

高温かつ特殊ガス雰囲気にて用いられる各種黒鉛部材の長寿命化を目指し研究開発を進めております。

 

(3) 特殊ファインパウダー

永年にわたって培ってきた高度黒鉛化処理技術とファインパウダー技術を駆使し、リチウムイオン二次電池用や燃料電池部材用のさらなる高性能化に対応すべく、コスト・パフォーマンスに優れた製品の研究開発を進めております。

 

(4) 炭素薄膜に関する基礎研究

炭素めっき膜の形成と応用について研究しております。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

総資産は、前連結会計年度末と比較して26億4千2百万円減少して、354億8千2百万円となりました。主な増加は、所有株式時価の上昇による投資有価証券の増加10億6千9百万円および現金及び預金の増加7億5千3百万円であり、主な減少は、受取手形及び売掛金の減少17億6百万円、仕掛品の減少13億9千8百万円および機械装置及び運搬具(純額)の減少12億4千4百万円です。

負債は、前連結会計年度末と比較して2億8千5百万円増加して、53億8百万円となりました。主な増加は、投資有価証券の時価上昇等による繰延税金負債の増加7億7千4百万円であり、主な減少は、未払費用の減少等による流動負債その他の減少1億8千8百万円および退職給付に係る負債の減少1億4千2百万円です。

非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末と比較して29億2千7百万円減少して、301億7千3百万円となりました。主な増加は、その他有価証券評価差額金の増加7億3千5百万円であり、主な減少は、利益剰余金の減少36億4千5百万円です。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の86.8%から85.0%となりました。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、炭素製品市場における需給不均衡の継続、価格競争の激化及び円高の影響により前連結会計年度に比べ大きく落ち込みました。製品の拡販及び品質向上等に取り組んだものの、アルミニウム市況の低迷によるアルミニウム製錬用カソードブロックへの設備投資抑制、中国製鋼材の大量流出による人造黒鉛電極の需要減少、非鉄金属関連の需要家における特殊炭素製品の在庫調整やリチウムイオン二次電池向けファインパウダーの販売数量減少等により全品種において前連結会計年度を下回る結果となりました。損益面に関しましては、全社一丸となりコストダウンに努めてまいりましたが、販売が落ち込んだ影響に加えて棚卸資産評価損、為替差損の計上及び繰延税金資産の取り崩し等が発生した結果、前連結会計年度を大きく下回りました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

「第2[事業の状況]-1[業績等の概要]-(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

(4) 収益力向上の課題

当社グループの収益力向上の課題としては、鋼材及びアルミニウム市況の低迷を背景とした国内外の販売競争の激化による販売単価の下落及び販売数量の減少の阻止並びに電力料単価の高騰等によるコストアップ対応が挙げられます。

当社グループは新三ヶ年中期経営計画の基本方針のひとつに、「世界で戦える収益体質の確立」を掲げて、売上高及び売上高営業利益率の向上を目指して経営を進めてまいります。世界で戦える収益力を備えるために、コスト削減を一層徹底するとともに、各製品分野での拡販策等を積極的に進めてまいります。

 





出典: SECカーボン株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書