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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、各種経済対策や中国を中心とする新興国向けの輸出に支えられ、年度前半は緩やかな回復局面となりました。しかし、本年3月に発生した東日本大震災により、一転して先行き不透明な状況となり、年度を通しての景気回復とはなりませんでした。

 当社グループが属する建設業界におきましては、景気の回復局面であるにも拘らず、民間建設投資は総じて慎重な状況が続く一方、公共投資の引き続きの減少もあって、依然として少ない需要を巡っての競争が一段と激化し、量的な面とともに価格面でも厳しい状況が続きました。

 このような経営状況を受けて、当社グループは前年度には青森工場、滋賀第二工場を閉鎖するとともに、当社の主力工場であります茨城工場の生産規模を縮小するなど、各生産拠点において生産効率化に積極的に取組み、収益改善を図ってまいりました。しかしながら昨今の建設需要の厳しい冷え込みに伴い、コンクリート杭のマーケットは予想以上に低迷し、価格競争が一段と厳しさを増している状況を踏まえ、更なる効率的な最適生産体制の構築が不可欠と判断し、兵庫工場、岡山工場、熊本工場を閉鎖し生産規模を縮小するとともに、生産拠点ごとに生産する杭の種類を集約化し生産効率を高めることにより、固定費の大幅な削減を実現いたしました。また、当社グループが標榜いたします総合基礎建設業の根幹であります施工部門におきましては、工事管理者の育成に努めるべく教育体制を構築し施工品質の向上を図り、工事原価の徹底的なコスト削減に注力いたしました。営業部門におきましては、顧客本位の営業体制を実現させニーズをいち早く把握し、当社グループが有する設計提案力・設計技術力を武器に顧客満足度を向上させるべく、ワンストップ営業の浸透を強力に推進いたしました。

 一方、昨年7月にはベトナム最大のコンクリートパイル製造・施工会社であるPhan Vu Investment Corporation社と資本提携し、9月には業務提携を締結いたしました。この提携に基づき、11月には役員を含め3名をベトナムに派遣し、現地での事業化の検討をスタートさせました。ベトナムにおけるビジネスの成否は現時点では不透明でありますが、今後の日本経済のアジア化の動向に歩調を合わせ、どのようなビジネスモデルが最適か当社グループのビジネスの新たな展開の可能性を試してまいります。

 こうしたなか、前年度に引き続き経費面では上記の製造経費の削減に加え、役員報酬の減額、役職員の賞与支給を見送るなど販売費及び一般管理費の一層の削減を行い、現状の事業規模に対応すべく企業体質の強化に努めてまいりました。しかしながら依然として当社グループを取り巻く状況は厳しく、当年度の当社のコンクリートパイルの完工量は前年度対比5%以上の増加となりましたが、業界全体の出荷量が増加せず、30%以上減少した前年度とほぼ横這いで推移したため、少ない需要を巡っての競争が一段と激化し、販売価格が5%弱低下する結果となりました。その他の部門につきましては、鋼管杭部門の売上高は、大幅な公共設備投資減少の影響を大きく受け、前年同期比27.3%減少となりました。場所打ち杭部門の売上高は、大型工事の受注もあり、前年同期比45.5%と大幅に増加いたしましたが、利益面では工事トラブルによる採算性の悪化等により適正な工事粗利益の確保には至りませんでした。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は場所打ち杭部門の大幅な増加も寄与し、451億98百万円(前年同期比3.1%増)となりました。一方、利益面につきしては、人件費や経費削減等コスト合理化に努めたものの、最適生産体制構築の過程で一時的な混乱により生産効率が大きく低下しコストアップとなったこと、受注競争激化や工事トラブルによる追加コスト増による粗利益率低下等の影響から営業損失は1億98百万円(前年同期は3億24百万円の営業損失)、経常利益は45百万円(前年同期比15.5%増)となりました。また、当期純損失につきましては、特別損失として最適生産体制構築に係る閉鎖工場等の固定資産除却損及び希望退職者に対する割増退職金等を事業構造改善費用21億23百万円として計上したことや、子会社に係る「のれん」2億16百万円を減損したこともあり、22億1百万円の損失計上(前年同期は4億98百万円の当期純損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は22億38百万円となりましたが、減価償却費、減損損失及び固定資産除却損などの非資金項目が大きく影響し、営業キャッシュ・フローは前年同期比7億99百万円減少したものの、5億58百万円の収入となりました。

 投資活動において使用した資金は、基幹システムを中心とした無形固定資産の取得、投資有価証券の取得などによって、前年同期比10億38百万円減少し、5億65百万円の支出となりました。

 財務活動において使用した資金は、社債やリース債務などの有利子負債の返済6億6百万円、配当金の支払い、自己株式の取得などによって、前年同期比6億15百万円増加し、9億21百万円の支出となりました。

 上記の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億27百万円減少し、56億30百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループは基礎工事関連事業の単一セグメントであるため、品目区分ごとの生産、受注及び販売の状況を記載しております。

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

区分

生産高(百万円)

前年同期比(%)

基礎工事関連事業

 

 

コンクリート杭

12,134

99.5

その他

44

143.0

合計

12,179

99.6

 (注)1.金額は、製造原価によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

区分

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

基礎工事関連事業

 

 

 

 

コンクリート杭

35,432

118.7

9,054

122.1

鋼管杭

2,975

74.6

695

58.8

場所打杭

7,308

111.5

1,965

77.9

その他

359

205.4

324

779.3

合計

46,076

113.6

12,040

107.9

 (注)1.受注金額には、工事代金が含まれております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

基礎工事関連事業

 

 

コンクリート杭

33,795

100.8

鋼管杭

3,461

72.7

場所打杭

7,864

145.5

その他

76

53.7

合計

45,198

103.1

 (注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。

3【対処すべき課題】

 当社グループの製造部門においては、この2期間で工場の閉鎖・生産する杭の集約化などを実施し、生産の効率化を推進させ大幅なコスト削減を実現いたしました。その成果を踏まえ、より営業第一線との連携を強化するため、子会社であるジャパンパイル製造㈱を平成23年4月1日付で当社に吸収合併いたしました。今後は営業第一線からの情報をより緊密に共有し、生産能力を絞った自社工場の稼働効率向上にグループ全体で邁進することが重要課題と考えております。このため、お客様の求めている最適な基礎を提案する設計提案力の向上に努め、安定的な施工を実現するべく杭基礎総合施工管理者の育成や施工マニュアルのシステム化に最大限注力し、建物基礎として最適な基礎形態を優れた設計でご提案し、高品質な当社グループ製造杭を使用し、強力な建設部隊で基礎を築造するというビジネスモデルの更なる浸透を図り、総合基礎建設業としての基盤を確固たるものといたします。引き続き、厳しい経営環境に対応すべく継続的にコスト削減に取り組み、収益が確保できる体制を構築し、企業価値の向上を図ってまいります。また、当社グループは社会インフラの整備という重要な役割の一端を担っている企業であります。今後、本年3月に発生した東日本大震災の地域復興には、総力を挙げて貢献していく所存であります。

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも適切に対処するよう努める方針であります。なお、以下の記載の文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであり、当社グループの投資に関連するリスクを全て網羅するものではありません。

(1)当社グループの再編等について

 当社グループは、平成22年2月に㈱ホッコンと北海道地区における大径コンクリートパイルの需要に対応するためにホッコンJP㈱を設立、平成22年7月にはベトナム最大のコンクリートパイル製造・施工会社「Phan Vu Investment Corporation」と資本提携、同年9月には業務提携を締結するなど、当社グループの競争力を強化するため、同業他社との提携や同業他社への資本参加等を積極的に推進しております。当社は、今後も引き続き、こうしたグループ拡大策を検討・取組んでいく方針ですが、当社が期待する効果が実現する保証はありません。

(2)製品・工法開発について

 当社グループは、他社との差別化を図り付加価値を高めるため、永年にわたり技術やノウハウを蓄積してまいりました。また、業界の大手企業として基礎工事に関する技術力で社会に貢献するという経営理念から優秀な技術者の育成や杭材及び杭施工法の開発に力を注いでまいりました。これらの製品や施工法の開発及び公的な評定取得や国土交通省の認定取得には多くの時間とコストが必要とされますが、これらの投資が常に迅速に回収される保証はありません。
 また、当社グループは製品・工法開発にあたり知的財産(商標権、特許権、意匠権等)の調査を行い、他者の権利に抵触する製品・工法開発を避ける努力をしております。しかしながら他者が知的財産の申請を行ってから公表されるまでに一定の時間を要することや、権利が確定するまでに時間がかかることがあり、当社グループが開発し製造・販売した製品や工法が他者の知的財産に抵触する可能性を排除することができません。その場合、他者から営業権や知的財産権の侵害と損害賠償請求されることも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)業界の寡占状況について

 当社グループが属するコンクリートパイル業界において、他社との差別化を図るためには、上記で述べたように優秀な技術者の育成のみならず、製品及び施工法の開発や認定工法を取得することが重要性を増しているものと認識しております。このため、これら多額の開発費負担を抑えるため、認定工法の供与やコンクリート杭の相互供給などがより一層積極的に行われるものと考えられると同時に、これらの費用負担が可能な大手企業による再編と寡占化が進みつつあります。当社グループは、業界大手企業として、業界再編と寡占化の状況に対して必要な施策をとり主導的な役割を果たしていく方針でありますが、当該方針が実現する保証はありません。また、寡占化の進展に伴い、当社グループが想定する以上の価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)原材料等の市況変動の影響について

 当社グループは、遠心力高強度プレストレストコンクリートパイルの製造・施工を主力業務としております。その原材料にはセメント、PC鋼棒等を使用しており、仕入先からの価格引き上げ要請により変動し、コストが上昇することもあります。当社グループといたしましては、随時市況価格を注視しながら価格交渉を行い仕入価格を抑制しつつ、原価上昇分を販売先へ転嫁する努力を行っておりますが、価格動向によっては製造原価及び工事原価高により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)市場環境について

 当社グループが扱うコンクリートパイルの製造・施工業務は、建築物の基礎工事に関連する事業であり、当然ながら建設投資の多寡が受注に影響します。当社グループは、同業他社と比較して相対的に公共投資関連事業への依存度は低いものと認識しておりますが、民間投資も含めた住宅投資や設備投資等の動向によっては受注が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)法的規制について

 当社グループの一部の事業は建設業に属しており、建設業法第3条第1項及び第2項により法的規制を受け、「建築基準法」に準拠するように求められております。当社グループは建設基礎杭の販売・施工にあたり、以下のとおり許認可及び登録をしております。

 当社グループは、これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合には、当社グループの運営に支障をきたし、財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、平成19年6月に実施された建築確認制度の変更のように、これらの規制の改廃や新たな法的制度が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

有効期限

取消事由等

建設業許可

(特定建設業許可)

土木工事業

(大臣許可第21607号)

平成28年3月

建設業法第29条・第29条の2・第29条の4、第28条3項及び5項

 

とび・土木工事業

(大臣許可第21607号)

平成28年3月

(7)施工物件の瑕疵について

 当社グループは、日本全国に及んで基礎工事を行っており、工事の際には十分な地盤調査、基礎設計、施工方法等の事前検討を行っておりますが、地盤は様々な土質で構成され、また予期せぬ障害物が現われることもあり、予見できない瑕疵によって施工品質の悪化や施工期間の延長が生じる可能性があります。瑕疵に伴う損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)労災事故災害について

 当社グループは、全国で年間数千件もの基礎工事を行っており、その作業現場は重機に囲まれた屋外作業が中心となっているため、他の産業に比べ重大な労災事故が発生する危険性が高いものと認識しております。当社グループとしては、現場の安全教育の徹底や定期的なパトロールの実施等により事故の発生防止に全力を挙げております。また、事故が発生した場合の金銭的な損失に備え、各種損害保険に加入しておりますが、仮に死亡事故等の重大災害が発生した場合は、人的損失はもちろんのこと、それに伴う社会的信用の失墜、補償等を含む災害対策費用、工期の遅れによる収益の悪化等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)財務制限条項について

 当社は設備資金の迅速かつ効率的な調達を行うため、取引銀行6行とシンジケートローン契約を締結しておりますが、当該契約に基づく借入金に対して財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、期限の利益を喪失するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度において当社単体で多額の関係会社株式評価損を計上したことにより純資産が減少した結果、財務制限条項のうち、当社単体の純資産維持条項に抵触いたしましたが、当該事項に関しては全ての金融機関より期限の利益喪失請求権を放棄する旨の承諾を得ております。

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成23年2月25日開催の取締役会において、平成23年4月1日を効力発生日として、当社の100%出資の連結子会社であるジャパンパイル製造㈱を吸収合併することを決議し、同日付で吸収合併を実施いたしました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、技術本部技術開発部が中心となって、施工本部員及び基礎設計部員などから構成されるプロジェクトチームによって行われています。当連結会計年度には下記のテーマを中心に活動を行いました。

(1)杭製品技術分野

 (財)日本建築センターの杭材に関する評定として、最適生産体制に伴う配合の見直しによる評定を取得(5工場)しました。また、高強度鋼管材料を用いた「JP−57SC105パイル」の工場追加評定を取得(2工場)しました。JIS認証については、JISⅠ類の更新(6工場)を行い、新規に山梨工場の認証を取得しました。さらに、「JP−SC80パイル」「JP−SC105パイル」のJISⅡ類の認証を追加取得(2工場)しました。

(2)施工技術分野

 回転貫入鋼管杭工法である「つばさ杭(開端タイプ)」について土木研究センターの建設技術審査証明を取得しました。さらに、(財)日本建築総合試験所での性能評価を申請し、翌連結会計年度には性能評価の取得と国土交通省大臣認定を取得する予定です。拡底場所打ち杭工法「new ACE工法」については拡底径を追加した評定を取得し、耐震場所打ち杭工法「KCTB場所打ち鋼管コンクリート杭」もコンクリート強度アップの追加評定を取得することで競争力を高めました。

(3)基礎的研究分野

 基礎杭に関する基本的な現象を解明するため、高強度コンクリートの基本的な性質、杭と構造物の接合部の挙動、静的水平載荷、引き抜き抵抗の検討などの研究に取り組みました。また、拡大根固め工法の支持力機構の基礎研究として、模型実験や室内配合試験、現場確認試験などを積極的に実施しました。その成果は多くの論文にまとめ、(社)地盤工学会、(社)日本建築学会などで発表しました。それらの学会の委員会活動にも積極的に参加しました。

(4)設計技術・品質管理技術分野

 (社)建築研究振興協会「建築基礎設計士試験運営委員会」に委託した建築基礎設計士制度は、当社グループ以外の受験者にも門戸を広げ、当連結会計年度は25名が建築基礎設計士試験を、26名が同士補試験を受験しました。その結果、5名が「建築基礎設計士補」に認定されました。当社グループ外の受験者は12名で、建築基礎設計士補に1名認定されました。

 また、低固定度杭頭接合工法(SRパイルアンカー工法、F.T.Pile構法)、高支持力杭対応杭頭接合工法(拡頭リング工法)の普及や、杭頭接合部の設計ソフト、構造物の沈下量の解析ソフト、地盤の液状化判定を計算するソフトなどの作成・改良に取り組み、多数の実プロジェクトの設計に活用しました。

(5)その他

 各種の技術資料の作成、営業部門の支援活動などの業務を行いました。また、特許担当は、特許の出願や調査など特許関係全般の業務のほか、既存特許の管理や特許関係諸規定の整備に取り組みました。当連結会計年度の特許出願数は7件となっています。「TPJ(トリプルプレートジョイント)」と「PJ(ペアリングジョイント)」の2種類がある無溶接継手の研究会活動においては、杭体の引張耐力に対する性能を追加した評定作業に参加し、評定を取得しました。さらに、(社)日本建築構造技術者協会や(社)コンクリートパイル建設技術協会、(社)日本基礎建設協会など、職能団体や業界団体の委員会活動にも積極的に参加しました。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、1億80百万円であります。

 なお、当社グループは基礎工事関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりま
す。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、重要な会計方針の選択・適用、資産及び収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積り承認に関しては定期的に開催する取締役会において、通常のものは権限規定に基づき稟議手続きによって随時行っております。

 会社は、これらの見積りについて、過去の実績等を踏まえて合理的に判断をしておりますが、実際の結果については、見積り特有の不確実性が生じるため、これらの見積りと異なる場合があります。

(2)連結貸借対照表

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べ14億97百万円増加し、244億50百万円となりました。主な要因は、売上高の回復に伴う受取手形及び売掛金の増加21億90百万円などによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は前連結会計年度末に比べ22億69百万円減少し、138億45百万円となりました。

 有形固定資産は前連結会計年度末に比べ20億63百万円減少し、106億58百万円となりました。主な要因は、減価償却費の計上12億84百万円、兵庫工場、岡山工場及び熊本工場の閉鎖、北海道工場の事業譲渡によって生産規模を縮小したことに伴う固定資産除却損5億57百万円、兵庫工場土地の減損7億41百万円などによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ20億11百万円増加し、277億58百万円となりました。主な要因は、売上高増加に伴う支払手形及び買掛金の増加15億32百万円、ファクタリング未払金の増加15億21百万円などによるものであります。

 

(純資産)

 純資産においては、当期純損失の計上22億1百万円、配当金の支払い2億8百万円、取締役会決議に基づく市場買付けなどによる自己株式の増加1億6百万円、八洲コンクリート工業㈱の株式買取などによる少数株主持分の減少1億17百万円などの結果、純資産は前連結会計年度に比べ27億86百万円減少し105億44百万円となりました。

 

(3)連結キャッシュ・フロー計算書

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は56億30百万円となり、前連結会計年度末より9億27百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動において得られた資金は、前年同期比7億99百万円減少し5億58百万円となりました。この要因は、税金等調整前当期純損失の計上22億38百万円などによって減少したものの、減価償却費の計上13億34百万円、最適生産体制構築に伴う土地の減損損失の計上7億41百万円、固定資産除却損5億84百万円などによって増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動において使用した資金は、前年同期比10億38百万円減少し5億65百万円となりました。この要因は、基幹システムの再構築を中心に要した無形固定資産の取得による支出1億91百万円、ベトナム最大のコンクリートパイル製造・施工会社であるPhan Vu Investment Corporation社の株式を取得したことなどによる投資有価証券の取得による支出1億50百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動において使用した資金は、前年同期比6億15百万円増加し9億21百万円となりました。この要因は、社債の償還による支出3億円、リース債務の返済による支出2億91百万円、配当金の支払い2億8百万円、取締役会決議に基づく市場買付けなどによる自己株式の増加1億6百万円などによるものであります。

(4)重要事象等について

 当社は、「4 事業等のリスク」に記載のとおり、シンジケートローン契約の財務制限条項に抵触いたしましたが、全ての金融機関より期限の利益喪失請求権を放棄する旨の承諾を得ております。

(5)連結損益計算書

(営業損益)

 当社グループが属する建設業界は、民間の需要は極めて低水準で推移する一方、公共投資は依然として縮減傾向にあるなか、当連結会計年度の売上高は451億98百万円(前年同期比3.1%増)、売上原価は395億98百万円(同4.4%増)、売上総利益は55億99百万円(同5.2%減)となり、売上総利益率は1.1ポイント低下しました。主力のコンクリート杭は、当連結会計年度の当社の完工量は前年度対比5%以上の増加となりましたが、業界全体の出荷量が増加せず、30%以上減少した前年度とほぼ横這いで推移したため、少ない需要を巡っての競争が一段と激化して販売価格が5%弱低下し、売上高は337億95百万円(同0.8%増)にとどまりました。鋼管杭の売上高は大幅な公共設備投資減少の影響を大きく受け、前連結会計年度に比べ12億96百万円減少し34億61百万円(同27.3%減)となりました。場所打ち杭は、大型工事の受注もあって前連結会計年度に比べ24億60百万円増加し78億64百万円(同45.5%増)と大幅に増加いたしましたが、利益面では工事トラブルによる採算性の悪化等により適正な工事粗利益の確保には至りませんでした。

 厳しい経営環境を踏まえ、販売費及び一般管理費は諸経費の効率的使用の徹底や一層の削減に取り組み、前連結会計年度に比べ4億34百万円減少し57億98百万円(前年同期比7.0%減)となりました。役員従業員給与は、前連結会計年度に引き続き役員報酬の減額や役職員の賞与支給の見送ったうえ、希望退職者の募集を行った結果、前連結会計年度に比べ1億51百万円減少し30億49百万円となりました。また、研究開発費は優先度の高い研究開発テーマに絞り、前連結会計年度に比べ1億1百万円減少し1億80百万円となりました。

 これらにより、営業損失は前連結会計年度に比べ1億25百万円減少し、1億98百万円となりました。

(経常損益)

 営業外収益は、前連結会計年度においては最適生産体制構築の一環でスクラップ売却益を93百万円計上、また、需要減少の影響を受けて一部の工場で生産調整を行い、雇用安定助成金を助成金収入として90百万円計上しましたが、当連結会計年度におけるスクラップ売却益は15百万円、助成金収入は22百万円となりました。これらの結果、営業外収益は前連結会計年度に比べ1億43百万円減少し、4億74百万円となりました。

 営業外費用は、借入金、社債及びリース債務に係る支払利息1億78百万円を中心として、前連結会計年度に比べ24百万円減少し、2億29百万円となりました。

 これらにより、経常利益は前連結会計年度に比べ6百万円増加し、45百万円となりました。

(特別損益)

 特別利益は、子会社の八洲コンクリート工業㈱の株式買取による負ののれん発生益1億24百万円を計上したものの、前連結会計年度に比べ2億5百万円減少し1億55百万円となりました。

 特別損失においては、当社グループの効率的最適生産体制への実現へ向けて、平成22年9月付でジャパンパイル製造㈱の北海道工場をホッコンJP㈱へ事業譲渡を行い、また、平成22年10月末付で兵庫工場、岡山工場及び熊本工場をそれぞれ閉鎖し、同工場におけるコンクリートパイルの生産を終了し、これらに要した固定資産除却損、割増退職金、ジャパンパイル製造㈱兵庫工場の土地の減損損失などを事業構造改善費用として21億23百万円を計上しました。また、のれんについては、当社の連結子会社の収益性及び企業価値を再評価した結果、株式取得時に想定していた超過収益力が見込めなくなったため、減損損失として2億16百万円を計上しました。これらの結果、特別損失は前連結会計年度に比べ15億50百万円増加し、24億39百万円となりました。

 以上の結果、当期純損失は17億3百万円増加し、22億1百万円となりました。 

(6)次期の見通し

 次期の見通しにつきましては、中国を中心とする新興国では景気拡大が持続するものと見込まれ、わが国の経済も新興国の成長に牽引されなだらかな景気回復が予想されますが、一方では資源価格の高騰、欧州の金融不安、米国景気の動向等が懸念され、先行きの不透明感が払拭できない状況が続くものと思われます。

 当社グループが属する建設業界につきましても引き続き、需要の減退の下、厳しい経営環境が続くものと考えております。このような環境下、当社グループは更なる効率化の徹底と他社との差別化を一層明確にし、事業競争力の強化・収益力の向上を図り業績回復に努めてまいります。

 





出典: アジアパイルホールディングス株式会社、2011-03-31 期 有価証券報告書