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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における当社グループを取りまく経済環境は、企業収益の回復や資本ストック調整の進展等を受けて民間設備投資が増加する等、民需は堅調に推移しました。

一方、公共事業関連分野は、国・地方の財政状況を反映して公共投資が総じて低調に推移する、明暗相分かれる状況となりました。

当社グループに関連する分野では、素形材事業に関する全国鋳鋼品の当期推定生産高が船舶・土木機械・発電用機器向けで増加したことにより前年比7.5%増の26万トンに回復する見込みとなりました。

一方、当社グループのエンジニアリング事業の主力商品が依存する全国鋼橋道路発注量は、年度後半の発注増により前年度並みの見込みとなりました。

また、旺盛な鉄鋼需要を反映した銑鉄・副原料および鋼材の高騰による原材料調達価額の上昇もあり、事業環境は前年までとは違った厳しさとなりました。

こうした事業環境の中、素形材事業は受注量の拡大と原材料調達価額を反映した販売価額の実現に努め、前年比24.5%増の99億4千3百万円の受注高および同30.7%増の96億9千1百万円の売上高を確保しました。一方、エンジニアリング事業では、前年比微増の53億9千8百万円の受注高を確保しましたが、売上高は同15.9%減の48億5千8百万円となりました。

この結果、当グループ全体では素形材事業の受注増・売上増が大きく寄与し、受注高は前年比15.9%増の178億9千1百万円、売上高は同10.8%増の170億1千9百万円となりました。

損益面では、前述の原材料の調達コストアップを販売価格値上げ・合理化及び増産効果で吸収し経常利益4億6千1百万円と大幅な増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の、現金及び現金同等物残高は前年同期に比べ5億1百万円(43.1%)減少し、6億6千1百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2億6千1百万円、減価償却実施額3億8千9百万円に加えて、債権・債務の増減額などにより、10億5千6百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資などにより3億6千4百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済額11億9千万円などにより11億9千2百万円の支出となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 品種別製品生産実績

 

品種別

当連結会計年度

生産高(千円)

前年同期比(%)

製品

 

 

 素形材

8,467,190

23.9

 鋼構造品・景観

4,092,314

△9.5

 その他

2,356,231

25.7

合計

14,915,736

12.8

(注) 1 金額は製造原価によっております。

2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

(2) 品種別製品受注実績

 

品種別

当連結会計年度

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

製品

 

 

 

 

 素形材

9,943,533

24.5

2,330,065

12.1

 鋼構造品・景観

5,398,964

0.9

1,264,819

74.6

 その他

2,549,283

21.1

144,618

124.6

合計

17,891,780

15.9

3,739,503

30.4

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

(3) 品種別販売実績

 

品種別

当連結会計年度

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

 

 

 素形材

9,691,802

30.7

 鋼構造品・景観

4,858,503

△15.9

 その他

2,469,061

13.5

合計

17,019,367

10.8

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

JFEスチール㈱

2,659,726

17.2

3,037,814

17.8

2 上記金額には消費税等は含んでおりません。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループが対処すべき課題の最大のものは、不透明な経済環境が続くなかにおいても、強固な収益力に立脚した配当基盤の整備を図ることであります。具体的には安定的に5%以上のROSを確保し、未処理損失の早期解消を図ることと考えております。

そのためには、次の施策を着実に実現して行くことが必要であると認識しております。

(1) 素形材分野

① 当社グループが保有する経営資源を最大限に活用したOnly1、No.1商品の拡充・拡販

② 生産技術や生産管理の改善による製造の効率化とコスト合理化

(2) エンジニアリング分野

① 既存商品の高機能化及び新たなニーズに基づく新商品開発による競争力の向上

② 厳しい市場環境を前提とした営業施策及び社内体制を構築し、より一層の合理化による強固な収益力の確立

(3) 共通分野

① 新設した調達部による公平・公正で健全な取引活動を通じての廉価購買の徹底

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは、鋳鋼品、鋳鉄品等鋳造品全般の製造販売、橋梁用支承類・伸縮装置・景観デザイン製品・各種機械及びプラント類の設計製作ならびに各種鋼材の加工組立販売、資源リサイクルに関する事業を主力としております。当社グループの事業の収益性は多様な要因により左右され、これらには、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある次のようなリスクも含まれております。

(1) 当社グループの事業

① 経済状況と販売市場環境

当社グループの販売は鉄鋼・プラント・橋梁・建築・自動車・産業機械など各需要分野に広がっており、販売形態も多岐に亘っております。

国内の経済状況を背景とした需要動向、公共事業の動向が、当社グループの販売量及び価格に影響を及ぼします。

また、当社グループは各製品市場と地域市場において、競合他社との競争に直面しております。

② 原材料の需給状況

当社グループは各製品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄、及び鋼材・ゴム等を調達しております。従いまして、これらの世界的及び国内の需給状況が業績に影響を及ぼします。

③ また、収益の変動要因には、下記のような要因が含まれます。

・新製品・研究開発の状況

・設備投資効果の発揮状況

・コスト削減の状況

・製造設備の安定操業状況

・需要家への製品供給に関する状況(品質を含む)

・その他災害や取引先での当社が予期できない状況等

 

(2) 為替レートの変動

当社グループは為替レートの変動の影響を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 金利の変動

当社グループは金利変動の影響を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 公的規制

当社グループは様々な法規制の適用をうけております。これらの関連法規が強化された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 保有株式等の価値変動

当社グループが保有している株式等の価値が変動した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 固定資産の価値下落

当社グループが保有している固定資産(リース資産を含む)について、時価下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(当社が技術援助を受けている契約)

 

技術導入先

国籍

内容

対価

契約期間

フリードリッヒ

マウラーゼーネ

ドイツ

橋梁用伸縮装置の製造技術

売上高に対する

ランニングロイヤルティ

昭和60年3月1日より

平成17年12月31日まで

 

6 【研究開発活動】

連結財務諸表提出会社の研究開発は、事業戦略に沿った技術開発と商品開発及び基礎技術開発の3つの目的をもって推進しております。当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は34百万円であります。

1 素形材関連開発

① 新研究設備導入

低熱膨張鋳鋼「LEX」、制振鋳鋼「ETA」に続く新たな高機能鋳鋼材の開発や、工場で稼動している真空脱ガス・雰囲気鋳造設備の操業条件最適化試験などに活用することを目的に、技術研究所内に高周波真空誘導溶解・鋳造設備を導入いたしました。

② 快削性低熱膨張合金の開発

本材料は半導体製造装置向け真空ポンプのローターに用いるもので、ケーシングとの隙間を極力小さくするために厳密に制御された熱膨張係数、高速回転に耐えるヤング率、自動加工のための被削性といった多岐にわたる特性が求められております。種々検討の結果、従来材に比べ特性を大幅に改善することに成功し、現在、取引先で実機評価中であります。

③ 耐塩害性鋳鋼材料の開発

本材料は、JFEスチール株式会社スチール研究所と共同開発したもので、海岸線近くや融雪剤散布地域等、塩害の発生する環境に適した耐食鋳鋼材料であります。沖縄地区での曝露試験でJFEスチール株式会社が開発したNi系高耐食性鋼材と同等の耐食性をもつことが実証されております。今後、橋梁部品等への適用を図ることを目的に、実環境曝露や加速腐食試験データを取得する予定であります。

④ 高機能鋳鉄商品の開発

スーパーダクタイルの優れた材料特性に加えて、稼動中に摩耗を受ける部分のみ硬化させる技術を組み合わせたUOEプレスダイス用ライナーを開発し、実機試験によりその耐摩耗性改善効果を確認いたしました。引き続き、より高耐用度を目指した技術開発を進めてまいります。

2 エンジニアリング関連開発

① 機能分離型支承のNETIS登録

鉛直支承と水平ゴム支承に機能を分離した機能分離型支承が、NETIS(新技術活用促進を目的とし、国土交通省が運用している新技術情報提供システム)に登録されました。これにより、更なる拡販を図ってまいります。

② 機能分離型支承による免震設計

機能分離型支承のすべり支承となる鉛直支承のすべり摩擦を考慮した免震設計を推進するため、先に導入した高速2軸試験機により、各種すべり特性試験を実施し、データを蓄積いたしました。このデータを用いて、土木研究所共同研究『すべり支承を用いた地震力遮断機構を有する橋梁の免震設計法の開発』に参加しております。

③ 超高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)の開発

高速2軸試験機を活用して、JH新管理要領に基づくHDR-S支承の各種試験データを採取し、性能確認を行いました。これにより、先行する鉛プラグ入りゴム支承(LRB)と同等の免震性能が証明され、拡販が期待されております。

④ 橋梁用車両防護柵(商品名:Rhizo)のNETIS登録

T断面支柱とワイヤー構造採用による透過性を特徴とする斬新なデザインの橋梁用車両防護柵(Rhizo)に関して、橋軸方向の強度を実証いたしました。また、ワイヤー構造に関する変形性能を確認し、NETIS登録されました。これにより、更なる拡販を図ってまいります。

⑤ 建築接合金物のNo.1技術力の保持

建築構造に鋳鋼品接合金物が初めて採用された代々木体育館以来、顧客からこの分野での技術力を評価され、各種の設計製造を重ねてまいりました。これらの実績に対して業界で初めて「空間構造用鋳鋼品 NCノード NCN490」の審査に至り、日本建築センターの性能評価を得ております。今後、国交省の材料認定(設計用F値325N/)を取得いたします。これにより、鋳鋼品は鋼管・鋼材と同等強度扱いとなり設計者の便宜が図られ、用途拡大が期待されております。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は170億1千9百万円(前年同期比10.1%増)となりました。利益面におきましては、全社を挙げて積極的なコストダウンを実施し、経常利益は4億6千1百万円(前年同期比141.6%増)、当期純利益2億4千8百万円となりました。

これらの要因は、以下のとおりであります。

① 売上高

売上高は、素形材事業では企業収益の回復や資本ストック調整の進展等を受けて民間設備投資が増加する等、民需が堅調に推移したことに伴い96億9千1百万円(前年同期比30.7%増)を計上いたしました。一方、エンジニアリング事業では、国・地方の財政状況を反映して公共投資が総じて低調に推移したことにより、主力製品であります橋梁用機材類の売上が伸びなかったことで、48億5千8百万円(前年同期比15.9%減)となりました。また、その他売上は24億6千9百万円(前年同期比13.5%増)であります。

② 売上原価

売上原価は、旺盛な鉄鋼需要を反映した銑鉄・副資材および鋼材の高騰が原材料調達価額を上昇させ、当社グループの製造コストに大きな影響を与えました。

③ 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、要員の圧縮、諸経費の削減等、業務の効率化・合理化に努めた結果、前連結会計年度比1億5百万円減少の15億7千万円となりました。

④ 営業利益

営業利益は、先述のコストアップはありましたが、販売価格の値上げ・生産性向上等の諸合理化により前連結会計年度比2億7千2百万円増益の6億4千2百万円となりました。

⑤ 営業外損益

支払利息は借入金の圧縮に伴い1千3百万円改善され1億6千8百万円の負担となりましたが、営業外損益は前連結会計年度並とほぼ同額の1億8千1百万円の損失となりました。

⑥ 経常利益

経常利益は、営業利益での増益がそのまま反映され、前年同期比2億7千万円増益の4億6千1百万円となりました。

⑦ 特別損益

棚卸資産評価損計上額の減少・固定資産廃売却損の減少等により、特別損失は前年同期比4億6千1百万円減少し、また、特別利益も前年同期比8千3百万円増加したことにより、特別損益は前年同期比5億4千5百万円損失額が減少いたしました。

⑧ 当期純利益

大幅な経常利益の増加、特別損失の縮小により前連結会計年度の3億5千4百万円の当期純損失から2億4千8百万円の当期純利益となりました。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

当連結会計年度末の総資産額は、前連結会計年度末に比べ7億円減少(前年同期比3.3%減)して206億8千9百万円となりました。この内訳といたしましては、流動資産は、現金及び預金の圧縮等により、5億4千5百万円減少(前年同期比6.3%減)して、81億6千4百万円となりました。固定資産は設備投資が、大口設備案件がなく減価償却費実施額の範囲内に止まったことなどにより1億5千4百万円減少して125億2千5百万円となりました。

② 負債の部

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ9億7千5百万円減少(前年同期比5.9%減)して、156億5千6百万円となりました。この内訳といたしまして、流動負債は、売上高の増加に伴い支払手形及び買掛金が5億3千1百万円増加しましたが、短期借入金の長期借入金への転換等により10億6千4百万円減少(前年同期比10.3%減)して、92億6千1百万円となりました。固定負債は、短期借入金より長期借入金の転換影響等により8千8百万円増加(前年同期比1.4%増)して63億9千5百万円となりました。

③ 少数株主持分

当連結会計年度末の少数株主持分は、前連結会計年度末に比べ3百万円減(前年同期比5.2%減)して5千8百万円となりました。

④ 資本の部

当連結会計年度末の純資産額は、当期純利益2億4千8百万円を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ2億7千8百万円増加(前年同期比5.9%増)して49億7千4百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の21.9%から24.0%に上昇いたしました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 4[事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの概況については「第2 事業の状況 1[事業等の概況](2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針

当社グループの経営陣は、ROSが前連結会計年度の1.2%に比べ当連結会計年度は2.7%と大幅に改善致しましたが目標とする安定的に5%以上を確保するに到っていないことを踏まえ、引き続き要員の削減、徹底した無駄の排除等による更なる合理化を推し進め先述「対処すべき課題」に記載したコスト競争力の強化、及びOnly1、No.1商品の開発・拡販等の諸施策を実行していきたいと考えております。

 

 





出典: 日本鋳造株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書