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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1) 業績
 当連結会計年度における当社グループを取りまく経済環境は、設備投資の増加や雇用情勢の改善により、年度前半までは、緩やかに回復基調で推移しておりましたが、年度後半以降、サブプライム問題、原材料高、円高等の影響から、景気の停滞色が急速に強まりました。
 こうした中で、当社グループの素形材分野の指標である全国鋳鋼品生産実績は、船舶、建設機械等が増加を維持し、前年度比4.1%増の29万5千トン、また全国鋳鉄品生産実績のうち、当社グループに関連する産業機械向けは前年度比3.5%増の68万9千トンとなりました。
 一方、エンジニアリング分野では、公共投資が低位に推移し、引き続き縮減の方針が打ち出されるなど厳しい状況が継続しました。
 このような事業環境のもと、素形材分野では、好調な需要を受け順調に推移したものの、当社の主力分野である半導体業界が景気の端境期にあるため、受注高、売上高ともに前年度並みにとどまりました。
 エンジニアリング分野に関しましては、低迷が続く市場環境の中、営業努力により受注は60億2千万円を確保し、売上高につきましても海外の大型物件も加えて増収となりました。
 その結果、当連結会計年度における連結売上高は213億8千6百万円と、前年同期比6.7%の増収となりました。
 収益面では、原料・加工費の高騰の中で各種合理化を推進し、コスト削減に努めた結果、経常利益では、21億1千8百万円と前年同期比4.1%の増益となりました。
 一方、特別利益として固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上したものの、特別損失として固定資産廃売却損及び貸倒引当金繰入額を計上した結果、当期純利益は前年を4.9%下まわる11億1千9百万円となりました。
 (2) キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益19億1千5百万円、減価償却実施額4億6百万円に対し、営業債権及びたな卸資産の増加により、通常の営業活動にかかるキャッシュ ・フローは12億1千1百万円となりましたが、法人税等の支払負担が大きく、全体としては5千5百万円の支出になりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に加え、JFE商事ホールディングス㈱の株式購入による4億9千9百万円の支出があり、7億1千4百万円の支出となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額3億8千3百万円及び長期借入金の返済として15億8千8百万円の支出に対して、新たな長期借入金29億円により8億8千8百万円の収入となりました。
 この結果、現金及び現金同等物の連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ1億1千万円増加し5億4百万円となりました。
 
2【生産、受注及び販売の状況】
(1) 品種別製品生産実績
品種別
当連結会計年度
生産高(百万円)
前年同期比(%)
製品
 
 
素形材
9,724
△2.5
エンジニアリング
4,392
△5.6
その他
4,063
73.6
合計
18,180
7.1
 (注)1 金額は製造原価によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
(2) 品種別製品受注実績
品種別
当連結会計年度
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
製品
 
 
 
 
素形材
12,349
△0.5
3,177
18.6
エンジニアリング
6,020
1.6
2,283
18.6
その他
3,904
57.8
103
43.7
合計
22,274
7.1
5,564
19.0
 (注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
(3) 品種別販売実績
品種別
当連結会計年度
販売高(百万円)
前年同期比(%)
製品
 
 
素形材
11,851
△2.1
エンジニアリング
5,661
4.5
その他
3,873
53.9
合計
21,386
6.7
 (注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
JFEスチール㈱
2,083
10.4
3,433
16.1
2 上記金額には消費税等は含んでおりません。
3【対処すべき課題】
(1) 経営の基本方針
 当社グループは、「株主に信頼され、顧客第一主義に徹し、社員の希望に満ちた生活を守るため、技術に立脚し、高収益を目指す」ことを経営理念としております。
 この理念のもとに当社グループは、素形材分野(鋳鋼・鋳鉄品)とエンジニアリング分野(橋梁用機材等)を主な分野として事業展開を行っております。
 素形材分野では、高機能財としての低熱膨張材(LEX)がIT産業等の先端産業を支え、構造材としての極厚肉用球状黒鉛鋳鉄(スーパーダクタイル)が機械プラントメーカーの競争力向上に寄与しております。
 エンジニアリング分野では、ゴム支承・伸縮装置(マウラージョイント)が優れた耐震部材として橋梁建設を支え、建築接合金物がデザイン性を求められる建築物の構造に寄与しております。
 また、当社グループは、グループの経営理念と社会的使命の実現を図るため、時代が当社グループに求めるものをすばやく感知し、最大限のスピードで自らを変革し、さらに挑戦して参ります。
(2)目標とする経営指標
 主たる経営指標としては、ROS5%を安定確保できる収益体制作りを目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。
(3)中長期的な経営戦略と会社の対処すべき課題
 当社グループが対処すべき課題の最大のものは、不透明な経済環境が続くなかにおいても、強固な収益力に立脚した配当基盤の整備を図ることであります。
 そのためには、次の施策を着実に実現して行くことが必要であると認識しております。
① 素形材分野
ⅰ)当社グループが保有する経営資源を最大限に活用したOnly1、No.1商品の拡充・拡販
ⅱ)生産技術や生産管理の改善による製造の効率化とコスト合理化
② エンジニアリング分野
ⅰ)既存商品の高機能化及び新たなニーズに基づく新商品開発による競争力の向上
ⅱ)厳しい市場環境を前提とした営業施策及び社内体制を構築し、より一層の合理化による収益基盤の確立
③ 共通分野
ⅰ)調達部による公平・公正で健全な取引活動を通じての廉価購買の徹底
4【事業等のリスク】
 当社グループが展開しております事業は、様々な要因により収益性等が左右されます。こうした要因になる可能性のある主なリスクは次のとおりです。
(1) 事業環境
① 経済状況と販売市場環境
 当社グループの事業は、鉄鋼・プラント・産業機械・建設機械・橋梁・建築・自動車等の各需要分野の環境に依存しており、各商品市場や地域において競合他社との競争の中で販売展開を行っております。
民間設備投資や公共関連事業の動向により販売量及び販売価額に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料等の需給環境
 当社グループは、各商品の原材料として、銑鉄・鋼屑・非鉄金属・合金鉄及び鋼材・ゴム等を調達しております。
 これらの原材料は、世界的、地域的需給や投機的動向により価額が変動し、販売市場価額に転嫁できない可能性があります。
 また国内の需給状況がコストに影響を及ぼします。
③ その他の収益変動要因には、次の様な要因が含まれます。
・新商品等の開発状況
・設備投資等の効果発揮状況
・自然災害や事故災害による顧客への商品供給影響
・取引先での当社が予期できない状況
(2)その他の外的要因として、次の様な要因が収益又は資産価値に影響を及ぼす可能性があります。
① 為替レートの変動
② 金利の変動
③ 公的規制
④ 保有固定資産及び保有株式等の資産価値の変動
⑤ 退職給付債務計算の前提条件の変動
5【経営上の重要な契約等】
(当社が技術援助を受けている契約)
技術導入先
国籍
内容
対価
契約期間
フリードリッヒ
マウラーゼーネ
ドイツ
橋梁用伸縮装置の製造技術
売上高に対する
ランニングロイヤルティ
昭和60年3月1日より
平成21年12月31日まで
6【研究開発活動】
 連結財務諸表提出会社の研究開発は、経営戦略に基づいた生産性向上と商品開発及び基礎技術開発を目的として商品開発に必要な各種設備の整備も行い、また、JFEスチール株式会社との共同研究等の連携も行いながら推進しております。
 当連結会計年度の主な研究開発の内容は次のとおりであり、研究開発費の総額は43百万円であります。
(1)素形材関連開発
 競争力のある新商品の開発・改良と、品質向上・工期短縮を狙いとした生産技術改善に関する各種取り組みを実施し、以下のような成果を得ています。
 ① 高機能鋳鋼商品
(Ⅰ)先に開発した高強度強靭性鋳鋼の靭性に及ぼす熱履歴の影響を詳細に調べた結果、品質をより安定化できる熱処理条件を見出し、現在、その標準化のための試験を進めています。
今後、各分野への商品化を目指します。
(Ⅱ)清掃工場焼却炉火格子材の耐用度向上を図る目的で、従来の鋳鉄系耐熱耐磨耗材と耐熱鋳鋼材の特徴を併せ持つ材料の検討を行い、実機にて評価試験を進めています。 
② 高機能鋳鉄商品
(Ⅰ)大強度陽子加速器(J-PARK)向け鉄遮蔽体は複雑な内部水冷構造をしているため、製作に先立ち、種々解析の上、当社固有の鋳包み技術を組み合わせて設計し、試作を行いました。
(Ⅱ)風力発電装置用の構造材料としてダクタイル鋳鉄が用いられますが、寒冷地向けの材料には高い低温靭性が求められます。スーパーダクタイルの低温靭性を測定したところ、一般のダクタイル鋳鉄に比べ優れた値を示し、今後の寒冷地向け受注活動に対して有利な基礎データを取得できました。
③ 生産技術の開発・改良
 TPSを当社向けにモディファイした生産方式であるNPSの定着により、川崎工場の工期短縮、生産性向上が図られつつあることから、他工場への展開活動に着手しました。
(2)エンジニアリング関連開発
 利用者サイドに立った提案を念頭におき、既存商品の高機能化、高付加価値化を主体とした研究開発を推進しました。 
① 機能分離型支承による免震設計
 当社を含む民間8社と独立行政法人土木研究所との共同研究の成果品である『すべり系支承を用いた地震力遮断機構を有する橋梁の免震設計法マニュアル(案)』が発刊されたため、機能分離型支承の受注が増加しました。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、当社の機能分離型支承の拡販を図ります。
② 超高減衰ゴム支承(商品名:HDR-S)
 価格優位性、高機能性を武器として、比較設計によりHDR-S支承の提案に努め、堅実な受注成果をあげました。更なる適用拡大の研究やコストダウンの研究を実施し、HDR-S支承の提案を推進しました。
③ 橋梁用車両防護柵(商品名:Rhizo) 
 2006年度グッドデザイン賞受賞・2006年度デザイン学会作品集採択を背景に、拡販を図るべく、コストダウンの研究を実施しました。
④ 建築接合金物のNo.1技術力の保持
 国内の建築構造に鋳鋼品接合金物が初めて採用された代々木体育館以来、各種の設計製造を重ねてまいりました。平成17年の「空間構造用鋳鋼品 NCノード NCN490」(国住指第698号 認定番号MSTL-0163:秋田製造所)に引き続き、川崎製造所において、「空間構造用鋳鋼品 NCノード NCN490、NCN520(川崎製造所)」(国住指第3587号 認定番号MSTL-0211)の国土交通大臣の材料認定を平成20年3月に取得しました。これにより、鋳鋼品は20トンまでの大型物件対応と、TMCP355級の建築構造用鋼材との接合が可能となり、さらなる用途拡大を提案してまいります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
(1) 重要な会計方針
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5(経理の状況)の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
 素形材分野では、好調な需要を受けて順調に推移したものの、主力需要分野である半導体業界が景気の端境期にあるため、118億5千1百万円(前年同期比2.1%減)、エンジニアリング分野は、海外の大型物件も加えて56億6千1百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
 この結果、請負等を合わせた全社売上高は、213億8千6百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
② 売上原価
 売上原価は、原料・加工費の高騰の中で各種合理化を推進し、コスト削減に努め、179億1千7百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
 販売費及び一般管理費は、受注高・売上高の増加するなか、業務の効率化に努め、12億7千6百万円(前年同期比5.0%減)に抑えることができました。
④ 営業利益
 この結果、営業利益は、21億9千3百万円(前年同期比2.0%増)を計上することができました。
⑤ 営業外損益
 営業外損益は、7千4百万円(前年同期比35.3%増)の損失となりました。
⑥ 経常利益
 経常利益は、営業利益の増加に営業外損益の好転が加わり、21億1千8百万円(前年同期比4.1%増)となり、過去最高益を更新することができました。
⑦ 特別損益
 特別利益として、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、特別損失として固定資産廃売却損及び貸倒引当金繰入額を計上しております。
⑧ 当期純利益
 以上の結果、税金等調整前当期純利益は19億1千5百万円となり、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額控除後の当期純利益は11億1千9百万円(前年同期比4.9%減)となりました。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
 当連結会計年度末の総資産額は、売上債権の増加及びJFE商事ホールディングス(株)株式購入に伴う投資有価証券の増加により、前連結会計年度末に比べ18億7百万円増加し、242億9千7百万円となりました。
 
② 負債の部
 当連結会計年度末の負債合計は、運転資本の増加に伴う借入金の増加により、164億4百万円、また純資産は利益剰余金の増加により78億9千2百万円となり、自己資本比率は32.5%となりました。
 
③ 純資産の部
 当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末比9億9千4百万円増の78億9千2百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
 株主資本額につきましては、当期純利益の計上により38億8千9百万円となり、繰越利益剰余金も17億8千8百万円となりました。
 
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 4[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
 キャッシュ・フローの概況については「第2 事業の状況 1[業績等の概況] (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針
 当社グループの当連結会計年度におけるROSは9.9%となり、目標としていた5%をクリアいたしましたが、安定的に5%以上を確保するため、「第2 事業の状況 3[対処すべき課題]」に記載しております諸施策を継続的に実行してまいります。




出典: 日本鋳造株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書