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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績の概要
 2009年度の我が国経済は、中国の景気回復に伴う輸出の伸びや、国内景気対策による個人消費の回復がありましたが、世界的には需要が縮小した状態が続き、国内も設備投資の下落傾向があって、景気の二番底が懸念されるなど、全体としては低迷したまま推移しました。
 このような状況のもと、当社グループでは、事業の選択と集中を進め、またものづくり力を強化してまいりました。その結果、連結売上高は、5,035億円(前年度比12.2%減)となりました。利益面では、生産効率の向上と全社一体となった徹底的なコスト削減を図ったことで、営業利益は179億円(前年度比177億円増)、経常利益は165億円(前年度は経常損失35億円)、となりました。前年度大幅な減益要因となった銅差損も大きく改善しました。
  特別損失として、海外製造拠点の統廃合や独占禁止法違反に伴う課徴金の引当として83億円を計上した結果、当期純利益は25億円(前年度は当期純損失190億円)となりました。
 セグメント別の業績は次のとおりです。
   なお、事業区分について当連結会計年度よりその他部門に含めていた不動産事業を不動産部門として区分すること
  としたため、前年同期比較にあたっては前連結会計年度分を変更後の区分に組み替えて行っております。
 
  (事業の種類別セグメント)
〔情報通信部門〕
 売上面では、光ファイバ・ケーブルが、国内FTTH(Fiber To The Home)関連投資と中国市場にけん引されて好調であった他、通信部品においてもNGN(Next Generation Network)関連の需要により堅調に推移いたしました。しかしながら、エンジニアリング及び光関連機器が減少したことにより、この部門全体の売上高は前年度比2.8%減の1,073億円(当社単独ベースの受注高は前年度比9.5%増の666億円)となりました。
 利益面では、生産技術の改善により、大幅な原材料費低減を実現したことに加え、発生費用の削減に努めたことから、営業利益は前年度から40億円増の86億円(前年度比87.6%増)となりました。
 
〔電子電装部門〕
 電子分野の主要製品であるFPC(フレキシブルプリント配線板)は、携帯機器の高機能化による付加価値の高い品種の増加などで、前年度下期の大幅な落ち込みからは脱し、前年度比で微増となりました。しかしながら、需要の低迷が続いたことでコネクタ等の落ち込みが大きく、この分野全体は減収となりました。利益面では、生産体制のスリム化による償却費の減少など、発生費用の大幅削減を進めた結果、この分野全体では大幅な増益を実現しました。
 自動車電装分野では、売上高は、中国市場が好調でしたが欧州の落ち込みをカバーするにはいたらず減収となりました。利益面では、中国市場での増益に加え欧州拠点でのリストラ効果があり、前年度比で大幅に改善しました。
 これらの結果、電子電装部門全体では、売上高は前年度比6.5%減の2,084億円(当社単独ベースの受注高は前年度比1.1%増の1,168億円)、営業利益は黒字転換を果たし、同70億円増の36億円となりました。
 
〔ケーブル・機器関連部門〕
 2009年6月にオランダのDraka社からOPGW(光ファイバ複合架空地線)事業を買収し、手薄だった欧州、中近東市場に向けた製造・販売体制を整えました。架空送電分野の売上は、この買収による増加はあったものの北米市場が大きく落ちこんだため、前年度比マイナスとなりました。また、ケーブル・機器関連部門の過半を占める産業用電線分野は国内建設投資の減少に加えて銅価下落の影響があったことにより、大幅減収となり、この部門全体の売上高は前年度比23.4%減の1,745億円(当社単独ベースの受注高は前年度比9.4%減の1,099億円)となりました。
 利益面では、発生費用削減の効果と前年度大幅な損失の原因となった銅差損が大きく減少したことで、営業利益は前年度44億円の営業損失から一転し16億円の営業利益となりました。銅差損の減少は、相場の安定と調達管理精度の向上によるものです。
 
〔不動産部門〕
 当社の不動産事業は100%出資の子会社であるフジクラ開発株式会社を主体として、約7ヘクタールの当社旧深川工場跡地を対象に、1997年に再開発事業に着手しました。途中、不動産市況の変動などもありましたが、順調にテナントの入居を得ながら段階的に開発を進め、本年3月末のオフィスビル2棟の竣工をもって、計画どおり大型複合施設「深川ギャザリア」として完成しました。なお、この2棟の収益は2010年度から計上されます。
 これらの再開発によるテナント収入を中心としたこの部門の売上高は、前年度並みの71億円(前年度比0.4%増)、営業利益は34億円(同5.7%増)となりました。
 
深川ギャザリア
◆オフィスビル
「タワーN棟」(地上21階・地下1階建て 延床面積約43,080㎡)
株式会社野村総合研究所様(証券システム関連部門等)ほか
「タワーS棟」(地上21階・地下2階建て 延床面積約40,093㎡)
株式会社野村総合研究所様(証券システム関連部門等)ほか
「ウエスト1棟」(地上9階建て 延床面積約17,951㎡)
日興コーディアル証券株式会社様(バックオフィス関連組織等)ほか
「ウエスト2棟」(地上10階・地下1階建て 延床面積約37,505㎡)
株式会社りそなホールディングス様及び株式会社りそな銀行様(東京本社)
「ウエスト3棟」(地上10階建て 延床面積約21,695㎡)
一般財団法人 工業所有権協力センター様
◆商業施設
「商業棟」(地上5階・地下1階建て 延床面積約77,218㎡)
 イトーヨーカドー木場店、シネマコンプレックス・109シネマズ木場
「プラザ棟」(地上4階・地下1階建て 延床面積約11,262㎡)
 飲食店街(ロータスパーク)、フィットネスクラブ・ティップネス、
 フジクラゴルフクラブ相談室
 
〔その他部門〕
 倉庫運送及びサービス等事業につきましては、売上高60億円(前年度比16.0%増)、営業利益は6億円(同89.8%増)となりました。
 
(所在地別セグメント)
 売上高は、日本では、前年度比16.0%減の2,956億円、アジアは、前年度比0.1%減の1,365億円、その他は、前年度比16.1%減の713億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益83億円及び減価償却費263億円等を源泉とした現金の増加により、438億円の現金収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に254億円の支出となりました。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローが有利子負債の削減を中心に253億円の支出となった結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は536億円となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各事業の種類セグメント業績に関連付けて示しています。
3【対処すべき課題】
 経済情勢には明るい兆しが現れ、最悪期は脱したといわれています。しかしながら、世界的に需要はリーマンショック前の7〜8割程度が続くといわれ、今後も厳しい事業環境が見込まれます。
 当社では、事業の展開にあたり、規模の拡大のみに捉われず、投下資本に対する収益率をより重視することとしています。
 ①「選択と集中」(Focus & Deep) をキーワードに、不採算事業の見極めを進めるとともに、活況が予想される新
  興国のインフラ整備などビジネスチャンスを確実に取り込む
 ②「“ものづくり力”の強化」として、G−FPS活動(グループとしての生産性改善運動)の強化や、現地法人 
  スタッフの人材育成
 ③常に企業体質の活性化(「新陳代謝」)を図っていくための源となる継続的な新技術・新製品の創出
  これらを重点施策とし、具体的には、情報通信部門では、中国を始めとする新興国市場における通信網整備向け投資及びFTTH関連市場における堅調な設備投資に支えられ、需要は底堅く推移すると考えております。しかしながら円高の懸念、価格競争の激化が見込まれており、生産性の改善、海外生産へのシフト等コスト競争力向上及び円高耐性向上が重要な経営課題となっております。中国での光ファイバ母材製造拠点立ち上げ、東南アジア、米国等における海外事業の拡大、体制強化を進めるとともに非通信事業拡大・強化も合わせて推進してまいります。
 電子電装部門では、電子事業の中心である在タイ王国子会社7社の再編、統合を進め、本年4月1日付で設立した Fujikura Electronics (Thailand) Ltd. の運営を早期に軌道に乗せ、収益率重視の方針の下、ものづくり力強化、品質の向上、間接部門効率化を一層推進し体質強化を図る所存です。また、スピード感を持った新製品のマーケットへの投入が重要であり、高難度化するお客様の要望に応えるべく技術力向上と、新商品・新技術の開発にも注力してまいります。自動車電装事業においては、長年の経営課題であるスペインFAE社の再建を果たすべく、これまで実行してきたリストラ効果の刈り取りを本年おこないます。中国、東南アジアにおいては生産拠点の拡充、コスト競争力の向上により、事業基盤の強化を引き続き進めてまいります。           
  ケーブル・機器関連部門につきましては、国内経済規模が縮小する中、大きな成長は期待できない状態ではありますが、生産効率の更なる向上及び海外事業の強化・拡大を図ると共に、新エネルギー関連、スマートグリッド関連等の新商品・新市場の開発強化を積極的に展開してゆきます。一方銅価の急激な乱高下による採算への悪影響を最小限に抑えるべく細心の注意を払うとともに収益性の向上に努めます。
 新技術・新製品の創出では、光ファイバの技術を利用した非通信分野への拡大の取組みとして、ファイバレーザの商品化を進めます。また、低炭素社会へ向けた取り組みとして社会的にも期待される超電導線材の開発を積極的に進めていきます。
 
4【事業等のリスク】
 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成22年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)需要動向
 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。
(2)為替レートの変動
 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
(3)材料価格の変動
 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(4)製品の欠陥
 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。
(5)法的規制等
 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
   (6)訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等
    当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有して
   おります。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局
   による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局に
   よる措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 
  (7)政治経済情勢
    当社グループは、情報通信事業、ケーブル・機器関連事業、電子電装事業等、国内外にて事業展開しているた
   め、当社グループの経営成績は各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。
 
  (8)金利の変動
    当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金
   利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 
  (9)知的財産
    当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権
   に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等
   により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置を
   とらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の
   相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があ
   ります。
 
  (10)情報の流出
    当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。これらの情報の秘密保持に
   ついては、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありま
   せん。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループ
   の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 
  (11)災害等のリスクについて
    当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害な
   どの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増
   など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
 
5【経営上の重要な契約等】
 当社は、平成21年6月26日開催の取締役会において、タイ王国における当社出資の現地法人7社(Fujikura(Thailand)Ltd.、PCTT Ltd.、LTEC Ltd.、Fujikura Engineering(Thailand)Ltd.、FIMT Ltd.、FMOT Ltd.、Fujikura Shoji (Thailand) Co., Ltd.)を統合することを決議し、平成22年4月1日付でFujikura Electronics (Thailand) Ltd.の設立が完了しました。
(1)統合の目的 
  当社は、グローバル競争の激化する電子・電装用部品の分野において、技術力、コスト競争力の強化を図る必要
 があることから、これを実現する対策の一環として、当社における同分野の主要製造拠点であるタイ王国内の現地
 法人7社を統合いたします。 
(2)統合の方法 
  タイ王国における法律に則り新設合併の形式で子会社を設立し、当該子会社に現地法人6社の全資産・負債を承
 継させ、FIMT Ltd.の資産、負債の一部を当該子会社に譲渡する方法で行います。 
(3)設立年月日 
  平成22年4月1日 
(4)新設合併設立会社となる会社の概要 
  商号     Fujikura Electronics (Thailand) Ltd. 
  資本金    5,552百万バーツ 
  事業内容   電子電装部品の製造及び販売 
 
6【研究開発活動】
 当社グループは、①情報通信部門、②電子電装部門、③ケーブル・機器関連部門の商品開発ならびに新技術の開発を積極的に行っています。当グループの研究開発活動は、環境・エネルギー研究所、光電子技術研究所および電子デバイス研究所の3研究所と電子電装開発センター、光ケーブルシステム開発センター、光電子回路開発センター、およびケーブル・機器開発センターが部門別開発活動を進めています。当連結会計年度において開発を進めていたファイバレーザの商用化を実現し新規事業へ向けた活動をスタートしました。また、ファイバレーザの重要部品である「半導体レーザダイオード」技術を有するオプトエナジー社を平成22年3月に買収し、今後は大出力ファイバレーザの開発を目指す予定です。環境対応型開発の一環として、高温超電導線材および色素増感太陽電池の開発も順調に進捗しています。特に高温超電導線材は性能の向上とともに次年度は長尺化の開発を新規に推進する計画です。
 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は134億円であります。
①情報通信部門
 IT(Information Technology)化、ICT(Information and Communication(s) Technology)化のさらなる進展、FTTH (Fiber To The Home)、NGN(Next Generation Network)に代表されるブロードバンド・ユビキタス社会の拡大など世界的な潮流を捉え、当社では様々な技術開発、商品開発を進めています。
 当連結会計年度は、強いニーズがあった耐クマゼミ対策光ケーブルの開発が終了し量産を開始しました。FTTH向けには、新型Cスロット光ケーブル、低コスト™曲げつよ光ケーブル等の開発とともにFTTHの需要が増加している海外市場向けの光ケーブル、光コネクタ等の開発を行い量産化しています。ネットワーク関連では、光信号の多重化に必要なROADM(Reconfiguratable Optical Add/Drop Multiplexing)システムのキー部品である「波長選択スイッチ(商品名:FullFledge)」をリリースしました。
また、高速伝送ニーズに応える光インタコネクションの開発を進め実用化を目指しています。 
この事業の研究開発費は55億円であります。
 
②電子電装部門
 デジタル家電および電子機器産業向けにFPC(フレキシブルプリント配線板)、メンブレン製品、電子ワイヤ、HDDキャリッジ、センサ製品を開発しています。自動車産業向けにはワイヤハーネスをはじめとする電装品を開発しています。また、ヒートパイプ等のサーマル製品の開発も行っています。
 デジタル家電を中心とするモバイル電子機器では、高機能化、小型化および低コスト化の流れが加速しています。フジクラグループはこうした要求に応えるため、FPCにおいてはファイパターン技術、多層積層技術、高屈曲基板、およびICチップ内蔵基板等の開発を進めています。また、印刷技術を利用した製品においても、新方式の印刷技術の開発によりファインパターン技術の開発を進め、センサ、スイッチモジュールなどのメンブレン応用製品や、照光用ライトガイドシート等の機能部品の高機能化、高付加価値化に取り組んでいます。サーマル製品については超薄型等ヒートパイプの高性能化また自動車電装品では静電容量技術を応用したセンサ等の新規商品の開発を進めています。ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)も実用化に向けた開発を進めています。
この事業の研究開発費は67億円であります。
 
③ケーブル・機器関連部門
 地球環境保護対策に関連して二酸化炭素の削減、環境負荷の低減、資源の有効活用に繋がるケーブル・機器の製品開発を積極的に行っています。環境配慮設計に基づいたケーブル材料の開発、自然エネルギーを利用した発電システムに対応したケーブルや接続材料の開発、材料のリサイクルシステムの開発を進めています。また、電気特性ならびに機械特性に優れた携帯電話基地局向け同軸ケーブルやユビキタス時代に向けた各種漏洩同軸ケーブルの小型・細径化の開発も進めています。
 当連結会計年度は、従来の風力発電あるいは原子力発電向けの環境対応型ケーブル開発に加え低炭素社会インフラ事業に対応したケーブル開発を進めています。また、アルミの表面に銅皮膜を付けたCA(Cupper Clad Aluminum)の高周波用導体を開発してケーブルの軽量化に寄与しています。
ユビキタス時代に向けてはRFIDのような近接無線通信用に超細径漏洩同軸ケーブルをリリースしました。この事業の研究開発費は12億円であります。
 
7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成22年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
 当社グループの当連結会計年度の売上高は、電子電装部門とケーブル・機器関連部門を中心に減少し、全体で前年度比701億円減の5,035億円となりました。
 利益面では、売上高の減少に対し、生産効率の向上と全社一体となった徹底的なコスト削減を図ったことで、営業利益は前年度比177億円増の179億円、経常利益は165億円、当期純利益は25億円となり減収増益となりました。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因について
 当社グループの事業環境につきましては、情報通信部門では国内FTTH関連投資と中国市場が好調でした。一方、ケーブル・機器部門では、産業用電線の分野で国内建設投資の減少に加え、銅価下落により厳しい状況となりました。電子電装部門では、中国市場が好調でしたが欧州の落ち込みをカバーするにはいたりませんでした。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益83億円及び減価償却費263億円等を源泉とした現金の増加により、438億円の現金収入(前連結会計年度と比べ77億円収入の減少)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に254億円の支出(前連結会計年度と比べ149億円の支出の減少)となりました。さらに財務活動によるキャッシュ・フローが有利子負債の削減を中心に253億円の支出(前連結会計年度と比べ464億円の支出の増加)となりました。
 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は536億円(前連結会計年度と比べ65億円の減少)となりました。
(4)経営者の問題認識と今後の方針について
 情報通信部門では、中国を始めとする新興国市場における通信網整備向け投資及びFTTH関連市場における堅調な設備投資に支えられ、需要は底堅く推移すると考えております。しかしながら円高の懸念、価格競争の激化が見込まれており、生産性の改善、海外生産へのシフト等コスト競争力向上及び円高耐性向上が重要な経営課題となっております。中国での光ファイバ母材製造拠点立ち上げ、東南アジア、米国等における海外事業の拡大、体制強化を進めるとともに非通信事業拡大・強化も合わせて推進してまいります。
 電子電装部門では、電子事業の中心である在タイ王国子会社7社の再編、統合を進め、本年4月1日付で設立した Fujikura Electronics (Thailand) Ltd. の運営を早期に軌道に乗せ、収益率重視の方針の下、ものづくり力強化、品質の向上、間接部門効率化を一層推進し体質強化を図る所存です。また、スピード感を持った新製品のマーケットへの投入が重要であり、高難度化するお客様の要望に応えるべく技術力向上と、新商品・新技術の開発にも注力してまいります。自動車電装事業においては、長年の経営課題であるスペインFAE社の再建を果たすべく、これまで実行してきたリストラ効果の刈り取りを本年おこないます。中国、東南アジアにおいては生産拠点の拡充、コスト競争力の向上により、事業基盤の強化を引き続き進めてまいります。           
  ケーブル・機器関連部門につきましては、国内経済規模が縮小する中、大きな成長は期待できない状態ではありますが、生産効率の更なる向上及び海外事業の強化・拡大を図ると共に、新エネルギー関連、スマートグリッド関連等の新商品・新市場の開発強化を積極的に展開してゆきます。一方銅価の急激な乱高下による採算への悪影響を最小限に抑えるべく細心の注意を払うとともに収益性の向上に努めます。
 




出典: 株式会社フジクラ、2010-03-31 期 有価証券報告書