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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績の概要

 2010年度のわが国経済は、中国などアジア地域で景気の拡大や欧米において景気回復の動きが続いていることによって持ち直しの動きが見られましたが、円高の進行や原油価格の上昇など懸念材料もあり、回復感に乏しい中で推移しました。

このような状況のもと、当社グループの売上高は、前年度比3.6%増の5,218億円となりました。利益面では、電子電装事業及びケーブル・機器関連事業での減少を情報通信事業及び不動産事業で補いましたが、為替の影響を大きく受け、営業利益は前年度比5.8%減の168億円、経常利益は前年度比0.8%減の163億円、当期純利益は特別損失が減少したこと等から、265.5%増の93億円となりました。

  

  セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

情報通信事業

当セグメントにつきましては、売上面では、通信インフラ整備としての地域情報化、データセンタの設備投資等により、光部品や光融着接続機を中心に増加し、全体の売上高は前年度比4.7%増の1,123億円(当社単独ベースの受注高は前年度比7.0%増の713億円)となりました。

利益面では、円高による下押し圧力がありましたが、全体の営業利益は前年度比43.1%増の123億円となりました。

 

電子電装事業

 当セグメントにつきましては、売上面では、自動車電装分野において中国市場向けが引き続き好調となったことと欧州市場の回復がみられ、また電子分野においてもコネクタは産業機械市場の回復と携帯端末の需要拡大により大幅に増収となりました。一方、FPC(フレキシブルプリント配線板)は品種構成の変化や急激な需要増への生産体制が追いつかない等大幅に減少し、また為替の影響も大きく受けたことから、全体の売上高は前年度比6.4%減の1,951億円(当社単独ベースの受注高は前年度比10.0%減の1,051億円)、営業損失は1億円(前年同期は営業利益36億円)となりました。

 

ケーブル・機器関連事業

当セグメントにつきましては、国内建設投資の回復が進まず厳しい環境が続く中で、原材料である銅の価格が上昇したことにより前年度に比べ売上高は増加しましたが、採算は悪化しました。全体の売上高は前年度比12.0%増の1,954億円(当社単独ベースの受注高は前年度比19.3%増の1,310億円)、営業損失は2億円(前年同期は営業利益16億円)となりました。

 

不動産事業

 当セグメントにつきましては、売上高は前年度比59.7%増の114億円、営業利益は同41.6%増の48億円となりました。旧深川工場跡地の再開発事業である「深川ギャザリア」は、2010年4月新たに2棟が営業を開始し、増収増益となりました。

 

その他事業

当セグメントにつきましては、製造設備の販売、貨物利用運送業等で、売上高75億円(前年度比23.4%増)、営業利益は4億円(同32.0%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整 前当期純利益144億円及び減価償却費258億円等を源泉とした現金の増加により、172億円の現金収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に317億円の支出となりました。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローが借入れによる収入を中心に118億円の収入となった結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は492億円となりました。 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。

 

3【対処すべき課題】

 情報通信事業では、光ファイバ・ケーブル事業については、中国での需要地一貫生産体制の整備に注力します。立ち上げを進めている光ファイバ母材製造拠点(藤倉烽火光電材料科技有限公司)と光ケーブル製造拠点(南京藤倉烽火光纜科技有限公司)は平成23年度の早い時期に量産を開始し、平成23年1月に子会社化した通信ネットワーク接続部品製造拠点(上海藤倉光維通信器材有限公司)とあわせ、拡大する中国市場の需要獲得を目指します。光ファイバは、長距離の通信インフラとしての利用が主でしたが、新規分野としてコンピュータ内の配線などに利用するための光インタコネクション技術の応用を進めます。また、内視鏡など医療向けの光ファイバ応用製品の強化や、金属加工やレーザマーカ用のファイバレーザ事業などを育成します。

 電子電装事業における電子事業では、めまぐるしく需要が変化し極めて短いサイクルで新機種の立ち上げを求められる市場に、迅速かつ柔軟に対応できる体制が不可欠です。需要動向を確実に捉えつつ設備投資、生産負荷調整、材料調達などを総合的に管理できる体制を構築します。また、取扱い製品の選択と集中を進めます。自動車電装事業では、平成23年度は、新たな製造拠点の設置と新製品の量産立ち上げが集中する予定です。限られた経営資源を無駄なく最大限に活用して顧客の要求に応えていきます。

 ケーブル・機器関連事業では、震災復興に積極的に貢献するため増産及び顧客対応を強化します。産業電線分野では、コスト構造の大幅な改善に向けて、製造・販売・物流の改革に取り組みます。また、大きな需要拡大の見込める中国、東南アジア、南米などで事業基盤の拡大を進めます。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成23年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向

 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。

(2)為替レートの変動

 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(3)材料価格の変動

 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

(4)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。

(5)法的規制等

 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)政治経済情勢

 当社グループは、情報通信事業、ケーブル・機器関連事業、電子電装事業等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。

 

(8)金利の変動

 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産

 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害等のリスクについて

 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、①情報通信事業、②電子電装事業、③ケーブル・機器関連事業の商品開発ならびに新技術の開発を積極的に行っています。当グループの研究開発活動は、環境・エネルギー研究所、光電子技術研究所および電子デバイス研究所の3研究所と電子電装開発センター、光ケーブルシステム開発センター、光電子回路開発センター、およびケーブル・機器開発センターが事業別開発活動を進めています。当連結会計年度においては、環境対応型開発の一環として、高温超電導線材および色素増感太陽電池の商品化に向けて開発を進めています。高温超電導線材は臨界電流値Icを300Aから600Aへ2倍引き上げ、Ic・L値(臨界電流と線材長の積)の世界記録を大幅に更新しました。また、色素増感太陽電池においては、その特徴を引き出し10luxという低照度で発電させることに成功し、実用化に向けた開発を進めています。

セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は139億円であります。

 

①情報通信事業

FTTH(Fiber To The Home)、NGN(Next Generation Network)に代表されるブロードバンドネットワークの拡大が進む中で、今後の中核技術となるクラウドコンピューティング技術をはじめとした様々な技術開発、商品開発を進めています。

 光ケーブルに関しては、世界的な開発の流れである、細径高密度化に重点をおいた革新的な光ケーブルの開発に目処がつき、2012年度から実用化されます。また、FTTH向けには、FTTHの需要が増加している海外市場向けの光ケーブル(新型Cスロットケーブル等)及び新型光コネクタ等の開発を行い量産化しています。また、高速伝送ニーズに応える光インタコネクションの開発として、光路変換形多心光コネクタを開発し、海外市場を中心に拡販しています。光システム機器・モジュールに関しては、40Gbit/sの伝送速度を有する多値位相変調形の光トランシーバを開発し、サンプル提供を開始しました。また従来品より8倍も高速化した新VPN装置(Flebo Next)をリリースしました。光ファイバ融着接続に関しては、工場用の特殊光ファイバ融着接続機および全自動光ファイバ前処理機等を計7機種開発し、特殊光ファイバの接続分野でさらなる高機能化を目指しています。この事業の研究開発費は55億円であります。

 

②電子電装事業

 デジタル家電および電子機器産業向けには、FPC(フレキシブルプリント配線板)、メンブレン製品、電子ワイヤ、アンテナ、HDDキャリッジ、コネクタ、センサ製品、および、ヒートパイプ等のサーマル製品の開発を行っています。また、自動車産業向けには、ワイヤハーネスをはじめとする電装品を開発しています。

 デジタル家電を中心とするモバイル電子機器では、クラウドコンピューティングの進展に伴い、高機能化、小型化そして低価格化の流れが一段と加速しています。こうした要求に応えるため、FPCにおいては高速化技術、高精細回路形成技術、多層積層技術やICチップ内蔵基板等の開発を進めています。また、印刷技術を利用した製品においては、新方式の印刷技術を用いたファインパターン形成技術の開発を進め、入力デバイス、センサなどのメンブレン応用製品や、照光用ライトガイドシート等の機能部品の高機能化、高付加価値化に取り組んでいます。電子ワイヤ関連では、USB3.0、HDMI1.4a等の高速伝送ケーブルや各種小型アンテナの開発を行っています。サーマル製品については超薄型等ヒートパイプの高性能化の開発を、また、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)も実用化に向けた開発を進めています。自動車電装品では、電源マネージメントシステムや次世代乗員検知センサ等の開発をおこなっています。また、電気自動車、ハイブリッド自動車に向けた各種電装品の開発も進めています。この事業の研究開発費は68億円であります。

 

③ケーブル・機器関連事業

地球環境保護のため、二酸化炭素の削減、環境負荷の低減、資源の有効活用に繋がる環境配慮設計に基づいたケーブル・機器の製品開発を積極的に行っています。自然エネルギーの利用推進に向け、風力発電用環境対応型ケーブルの開発を行っています。環境対応を目指す電気自動車に対しては、充電インフラに対応する急速充電器用ケーブルの開発を進めています。また、CA(Copper Clad Aluminum)高周波用導体を利用して、ケーブルおよび各種コイルへの応用開発を行い軽量化、省エネ化に貢献しています。さらに、ユビキタス時代に向けて、無線LANに対応した漏洩同軸ケーブルおよびRFIDなどの近接無線通信用細径漏洩同軸ケーブルの開発を進めています。この事業の研究開発費は15億円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成23年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、情報通信事業及びケーブル・機器関連事業を中心に増加し、全体で前年度比183億円増の5,218億円となりました。

 利益面では、電子電装事業及びケーブル・機器関連事業での減少を情報通信事業及び不動産事業で補いましたが、為替の影響を大きく受け、営業利益は前年度比10億円減の168億円、経常利益は前年度比1億円減の163億円、当期純利益は93億円となりました。

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業環境につきましては、情報通信事業では光部品や光融着接続機を中心に好調でした。電子電装事業では、自動車電装分野は中国・北米市場で好調及び欧州市場では回復しましたが、電子分野においては為替の影響を大きく受け、採算は悪化しました。また、ケーブル・機器関連事業では、銅価格の上昇により前期比で売上高は増加しましたが、国内建設投資の回復が未だ回復していないこともあり採算は悪化しました。

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益144億円及び減価償却費258億円等を源泉とした現金の増加により、172億円の現金収入(前連結会計年度と比べ266億円収入の減少)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に317億円の支出(前連結会計年度と比べ63億円の支出の増加)となりました。さらに財務活動によるキャッシュ・フローが借入れによる収入を中心に118億円の収入(前連結会計年度と比べ371億円の収入の増加)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は492億円(前連結会計年度と比べ44億円の減少)となりました。

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

 成長戦略としては、①切り拓く未来・新市場開拓として、成長が期待される環境・エネルギー分野、クラウド・コミュニケーション分野及び医療・介護・ヘルスケア分野で新技術・新商品を絶えず創出し、早期事業化を図ることにより、企業の存続及び成長の源である新陳代謝を加速させる。②グローバル展開の加速として、成長著しい海外市場での事業拡大を目指すとともに、それを実現するための事業推進体制を確立し収益アップを図る。③事業構造改革として、広がる海外市場、縮小する国内市場等の事業環境の変化に応じた経営資源投入の選択と集中を推進してまいります。

 





出典: 株式会社フジクラ、2011-03-31 期 有価証券報告書