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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績の概要

 平成23年度のわが国経済は、東日本大震災の混乱の中でのスタートとなりましたが、寸断されたサプライチェーンの立て直しが比較的順調に進んだことで企業の生産活動も早期に回復し、景気は緩やかに持ち直しました。海外は、中国など新興国では内需を中心に景気拡大が続いたものの、米国の景気は弱い回復にとどまり、欧州は停滞しました。

 

 このような状況のもと、当社グループの業績は、昨年10月にタイ王国で発生した大規模な洪水により主要生産拠点

の約8割が冠水して主力であるFPC(フレキシブルプリント配線板)を中心に生産能力を喪失したため、電子分野

の売上高が大幅に減少したこと等により、全体の売上高は、5,090億円(前年度比2.4%減)となりました。利益面で

は、タイ王国での洪水の影響に加え、為替や銅価格の影響を受け、営業利益は133億円(前年度比20.8%減)、経常

利益は91億円(前年度比44.2%減)となりました。

 また特別利益として受取保険金154億円、特別損失としてタイ王国の洪水による災害損失など合計280億円を計上した結果、当期純損失は62億円(前年度は当期純利益93億円)となりました。

 

 セグメント別の業績は次の通りであります。

 

情報通信事業

 当セグメントにつきましては、光母材、ケーブルの中国製造拠点が本格稼動したこと、また光部品、融着機等の需

要が好調であった一方、円高の進行及び国内マーケットの競争激化、エンジニアリングにおける国内市場の縮小と北

米での需要の停滞により、全体の売上高は前年度比5.6%減の1,060億円(当社単独ベースの受注高は前年度比8.9%

減の649億円)、営業利益は前年度比45.0%減の67億円となりました。

 

電子電装事業

 当セグメントにつきましては、上期は東日本大震災の影響による顧客サプライチェーンの混乱、下期はタイ王国の

洪水の影響等により、売上高は、前年度比6.7%減の1,821億円(当社単独ベースの受注高は前年度比20.4%減の837

億円)となりました。他方、利益面では、電子分野においてFPC(フレキシブルプリント配線板)を中心にタイ王

国の洪水の影響を受けながらも、コネクタでスマートフォン・産業機器向けが好調であったこと、また自動車電装分

野において、日系顧客の震災からのリカバリー需要、欧州顧客向けの新車種立ち上げにより堅調に推移したこと等に

より、営業利益は9億円(前年度は営業損失1億円)となりました。

 

ケーブル・機器関連事業

 当セグメントにつきましては、米国での事業が好調であったことに加え、建設マーケット向けの需要の増加、また

コスト削減効果もあり、売上高は前年度比3.4%増の2,019億円(当社単独ベースの受注高は前年度比4.4%減の1,252

億円)、営業利益は黒字化し、3億円(前年度は営業損失2億円)となりました。

 

不動産事業

 当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」の賃貸収入などにより、売上高は前年度比4.5%減の109

億円、営業利益は前年度比4.1%増の50億円となりました。

 

その他事業

 当セグメントにつきましては、製造設備の販売、貨物利用運送業等で、売上高は前年度比7.4%増の80億円、営業

利益は前年度比58.2%増の6億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整

前当期純損失33億円を計上しましたが、減価償却費243億円等を源泉とした現金の増加及び保険金154億円の受取りも

あり、370億円の収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に291億円の支出と

なりました。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローが社債の新規発行による収入398億円に対し、社債の償還

による支出100億円、借入金の純減少257億円等により、16億円の収入となった結果、現金及び現金同等物の当連結会

計年度末残高は590億円となりました。 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は

必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額ま

たは、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」に

おける各セグメント業績に関連付けて示しています。

 

3【対処すべき課題】

 情報通信事業では、国内市場の縮小に伴う不採算事業の整理などを進めるとともに、拡大する新興国市場での需要獲得を目指し、中国の光ケーブル製造拠点(南京藤倉烽火光纜科技有限公司)の早期量産化に向けて注力します。また、光ファイバは通信インフラとしての利用が主でしたが、新規事業分野として内視鏡などの光ファイバ応用製品や金属加工やレーザマーカ用のファイバレーザ事業などを引き続き育成します。

 電子電装事業における電子事業では、タイ王国の洪水からの早期復旧と事業の立ち上げに尽力していきます。また、FPC製造拠点の冠水リスク分散のため、タイ王国の高海抜地域(カビンブリ地区)やベトナムで新拠点の立ち上げを進めます。自動車電装事業では、今後もグローバルで顧客の新車種立ち上げが続きます。これらの旺盛な需要に応えるため、新たな製造拠点としてモロッコのケニトラ、南米のパラグアイに工場を建設し、顧客の全世界的な展開に迅速に対応できる体制を整えていきます。

 ケーブル・機器関連事業では、海外ビジネス拡大のための拠点整備を進め、また、事業構造改革として販売体制の見直しや国内物流拠点の統廃合などを行い、収益率向上に努めます。  

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成24年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向

 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。

(2)為替レートの変動

 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(3)材料価格の変動

 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

(4)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。

(5)法的規制等

 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)政治経済情勢

 当社グループは、情報通信事業、ケーブル・機器関連事業、電子電装事業等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。

 

(8)金利の変動

 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産

 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害等のリスクについて

 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、①情報通信部門、②電子電装部門、③ケーブル・機器関連部門の商品開発ならびに新技術の開発を積極的に行っています。当グループの研究開発活動は、環境・エネルギー研究所、光電子技術研究所および電子デバイス研究所の3研究所と電子部品開発センター、光ケーブルシステム開発センター、光電子回路開発センター、およびケーブル・機器開発センターが部門別開発活動を進めています。当連結会計年度においては、環境対応型開発の一環として、高温超電導線材および色素増感太陽電池の商品化に向けて開発を進めています。高温超電導線材は事業化を推進し、世界最高の臨界電流容量を持つ線材幅5mmで年産200kmと世界トップレベルの量産体制を確立しました。色素増感太陽電池においては、エネルギーハーベスティング市場を目指して低照度用太陽電池の実用化開発を進めています。

 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は145億円であります。

 

①情報通信事業

スマートフォンの普及と動画配信の拡大に伴うトラフィック量の爆発的増大に対応するため、光ファイバを中心とした光通信ネットワーク関連の開発を進めています。大容量通信の次世代光ファイバ候補であるマルチコアファイバ等の開発をしています。光ケーブルに関しては、世界的な開発の流れである細径高密度化に重点をおいた革新的な光ケーブルを開発しています。また、FTTH向けには、多様な配線ニーズに対応できるよう、窓やドアの隙間から配線できる隙間配線インドア光ケーブルを実用化しました。さらにFTTHの需要が増加している海外市場向けにカスタマイズした光ケーブルや新型光コネクタ等の開発を行いました。光システム機器・モジュールに関しては、インターネットVPN装置、産業用ネットワーク機器の開発を進めています。また、通信用以外の光ファイバ応用として、ファイバレーザの開発を進めています。商用化したパルスファイバレーザに続き、大容量の連続波ファイバレーザの開発を進めています。この事業の研究開発費は56億円であります。

 

②電子電装事業

 コンシューマ・エレクトロニクスおよび電子機器産業向けに、FPC(フレキシブルプリント配線板)、メンブレンスイッチ・キーボード、タッチパッド・タッチパネル、極細同軸ケーブルアセンブリ等の電子ワイヤ製品、アンテナ、HDDキャリッジ、コネクタ、センサ製品およびヒートパイプ等のサーマル製品の開発を行っています。また、自動車産業向けには、ワイヤハーネスをはじめとする電装品を開発しています。

 スマートフォンやタブレットに代表されるモバイル電子情報端末機器は、クラウドコンピューティングの進展に伴ってクラウドへのアクセス端末としてその重要性が益々増してきており、高機能化、小型化そして低価格化の流れが一段と加速しています。こうした要求に応えるため、FPCにおいては高速化、回路高精細化、多層積層化、小型薄型化や部品内蔵基板等の開発を進めています。また、新しい銀インク印刷方式を用いた高精細パターン形成技術の開発を進めており、入力デバイス、センサなどのメンブレン応用製品の高機能化、高付加価値化に取り組んでいます。電子ワイヤ関連では、USB3.0等の高速伝送ケーブルや各種フィルム型小型アンテナの開発を行っています。サーマル製品については、スーパーコンピュータ用コールドプレートや各種ヒートパイプなど電子機器冷却用製品の高性能化の開発を、また、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)も実用化に向けた開発を進めています。自動車電装品では、統合ECU内蔵ジョイントボックスや乗員検知センサ、シートベルトリマインダ、車載用小型アンテナ等の開発を行っています。また、電気自動車、ハイブリッド自動車に向けた各種電装品の開発も進めています。この事業の研究開発費は71億円であります。

 

③ケーブル・機器関連事業

地球環境保護意識の高まりを背景として、二酸化炭素の削減、環境負荷の低減、資源の有効活用に繋がる環境配慮設計に基づいたケーブル・機器の製品開発を積極的に進めています。

 再生可能エネルギーの活用に向けて、風力発電用ケーブルシステムの開発を行っています。さらに、洋上風力など超大型風力発電に向けたケーブルシステムの開発を進めます。環境対応を目指す電気自動車については充電インフラの整備が進んでおり、車載バッテリーを災害時における電源として活用する目的から給電用リードケーブル(V2H)の開発も進めています。また、CA(Copper Clad Aluminum)導体を使用した軽量化、省エネ対応のケーブルや高周波コイルの開発を進め、軽量化に着目した非接触コイルの開発も進めています。環境負荷低減については、各種ケーブルのエコ化を進めています。近年、無線LANの普及が拡大しており、情報セキュリティを確保する為に狭いエリアでの限定通信を目的とした近距離無線通信用細径漏洩同軸ケーブルの開発を進め、5Dサイズの超細径LCXを開発しました。この事業の研究開発費は18億円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成24年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

  当社グループの当連結会計年度の売上高は、情報通信事業及び電子電装事業を中心に減少し、全体で前年度比

 127億円減の5,090億円となりました。

 利益面では、昨年10月に発生したタイ王国の洪水の影響に加え、為替や銅価格の影響を受け、営業利益は前年

  度比35億円減の133億円、経常利益は前年度比72億円減の91億円、当期純損失は62億円となりました。

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

  当社グループの事業環境につきましては、情報通信事業では光部品や光融着接続機を中心に好調でしたが、円

 高の進行及び国内マーケットの競争激化により厳しい状況となりました。電子電装事業では、自動車電装分野は

 東日本大震災の影響を受けながらも、震災からのリカバリー需要や欧州顧客向けの新車種立ち上げにより回復し

 ましたが、電子分野においてはタイ王国の洪水の影響を大きく受け、全体として大幅な減収となりました。ケー

 ブル・機器関連事業では、米国での事業が好調であったことや、コスト削減効果もあり採算は改善しました。

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

   当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純損失33億円を計上

  しましたが、減価償却費243億円等を源泉とした現金の増加及び保険金154億円の受取りもあり、370億円の収入

  (前連結会計年度と比べ197億円の収入の増加)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは設

  備投資を中心に291億円の支出(前連結会計年度と比べ26億円の支出の減少)となりました。さらに、財務活動

  によるキャッシュ・フローが社債の新規発行による収入398億円に対し、社債の償還による支出100億円、借入金

  の純減少257億円等により、16億円の収入(前連結会計年度と比べ101億円の減少)となりました。

  以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は590億円(前連結会計年度と比べ98億円の増加)となりました。

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

  成長戦略としては、①切り拓く未来・新市場開拓として、成長が期待される環境・エネルギー分野、クラウ

 ド・コミュニケーション分野及び医療・介護・ヘルスケア分野で新技術・新商品を絶えず創出し、早期事業化を

 図ることにより、企業の存続及び成長の源である新陳代謝を加速させる。②グローバル展開の加速として、成長

 著しい海外市場での事業拡大を目指すとともに、それを実現するための事業推進体制を確立し収益アップを図

 る。③事業構造改革として、広がる海外市場、縮小する国内市場等の事業環境の変化に応じた経営資源投入の選

 択と集中を推進してまいります。

 





出典: 株式会社フジクラ、2012-03-31 期 有価証券報告書