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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績の概要

 平成27年度のわが国経済は、政府や日本銀行の経済政策等を背景に、企業収益が緩やかに回復する一方で、中国をはじめとした世界経済の減速感から、先行き不透明な状況で推移しました。

 このような状況のもと、当社グループの業績は、円安による為替の影響や、エレクトロニクスカンパニーの製品の需要増加等により、売上高は6,785億円(前年度比2.6%増)、営業利益は326億円(同30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億円(同7.2%減)となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

エネルギー・情報通信カンパニー

 当セグメントにつきましては、エネルギー事業部門で銅価下落等の影響により減収となったものの、情報通信事業部門が為替の影響により好調であったため、売上高は前年度比0.6%減の3,641億円(当社単独ベースの受注高は前年度比3.4%減の1,941億円)、営業利益は同34.1%増の157億円となりました。

 

エレクトロニクスカンパニー

 当セグメントにつきましては、主にFPC(フレキシブルプリント配線板)が好調であったこと等により、売上高は前年度比14.7%増の1,611億円(当社単独ベースの受注高は前年度比33.8%増の974億円)、営業利益は同74.0%増の120億円となりました。

 

自動車電装カンパニー

 当セグメントにつきましては、中国顧客の減産等の影響により、売上高は前年度比2.4%減の1,358億円(当社単独ベースの受注高は前年度比4.7%減の291億円)、営業利益は同45.1%減の23億円となりました。

 

不動産カンパニー

 当セグメントにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」の賃貸収入等により、売上高は前年度比0.4%増の107億円、営業利益は同5.7%増の53億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益171億円、減価償却費263億円等を源泉とした収入の増加により、482億円の収入(前年度比276億円増)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に372億円の支出(同112億円増)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の純減34億円、自己株式の取得による支出55億円等により、99億円の支出(同55億円増)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は320億円(同12億円減)となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。

 

3【対処すべき課題】

 エネルギー・情報通信カンパニーにおいては、エネルギー事業部門では、国内市場向けで産業用電線事業の構造改革を完了します。またミャンマー、ブラジルなど海外での事業基盤の確立を図ってまいります。情報通信事業部門では、世界各地の光ファイバ網整備やデータセンタ向けの事業の強化を図ってまいります。

 エレクトロニクスカンパニーでは、FPC(フレキシブルプリント配線板)及びコネクタは、スピーディな対応を通じて戦略顧客との関係を深めることで、更なる成長を図ってまいります。

 自動車電装カンパニーでは、欧州、中南米を中心に、新たな複数の車種用製品の量産開始に向けて効率的な生産体制の立ち上げを進めます。また、顧客への対応力を高めて事業強化を図ってまいります。自動車向けの新たな商品や事業開発のための体制整備を進めます。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向

 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。

(2)為替レートの変動

 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(3)材料価格の変動

 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

(4)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。

(5)法的規制等

 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)政治経済情勢

 当社グループは、エネルギー・情報通信カンパニー、エレクトロニクスカンパニー、自動車電装カンパニー等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。

 

(8)金利の変動

 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産

 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害等のリスクについて

 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、従来の環境・エネルギー研究所、光電子技術研究所の2研究所と自動車先端技術開発センターを統合して新設した先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。

 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池、リチウムイオンキャパシタの商品化に向けた開発を進めております。高温超電導線材では、事業化に向けた長尺量産技術の開発に取り組んでおります。液体ヘリウムが不要で強磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどへの応用が期待されます。国家プロジェクトによる高温超電導コイル基盤技術開発も進捗しており、コイル用線材として高い評価を受けております。また、色素増感太陽電池においては、その低照度における高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング型ワイヤレス環境センサシステムを開発しました。リチウムイオンキャパシタは、高出力・小型・軽量かつ大容量なセル及び電源モジュールを開発しました。

 また、光通信ネットワークの100Gb/sを超える高速化、大容量化に向けて、シリコンフォトニクスの研究開発を進めております。この技術は光変調器などの高速光デバイスの小型化・低消費電力化を実現するものであります。

 さらに、車載レーダー、並びに次世代高速無線通信の使用周波数帯として注目されるミリ波帯で使用するパッシブフロントエンド、アンテナ及び実装関連技術を開発しています。

 また、新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めております。このフィルムは高精細配線による高透過率を達成し、その商品化を進めています。

 薄く研磨したICや低背型受動部品をポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板の開発・商品化を進めています。薄型・軽量であることに加え柔軟性を有する素材の特性を生かし、モバイル・ウェアラブル機器に最適なソリューションを提供いたします。

 

 

 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は162億円であります。

 

①エネルギー・情報通信カンパニー

 光ファイバ分野では、低損失長距離伝送用ファイバの開発を進めております。一方、将来の伝送用光ファイバの候補であるマルチコアファイバの開発にも取り組んでいます。2015年度は日欧連携の開発体制の中で、32コアファイバを用いたPDM-16QAM, 1600 km超の伝送を実現しました。また、情報通信研究機構(NICT)殿の委託研究の成果として、114の空間多重(6モードx19コア)を実現した世界最高密度のフューモードマルチコアファイバを実現しました。これらのファイバは、3月に開催された国際学会にて先端論文(post deadline paper)として採択されました。

 近年の光ファイバ通信網の拡大に伴い、経済的なFTTH網構築のため地下管路などの既設設備を有効活用したいという要求が高まっております。これに応えるべく、Spider Web Ribbon技術を用いた世界最高レベルの超高密度細径軽量光ケーブルを実用化しました。今後、データセンタ等への用途拡大を含めた製品ラインナップの充実と、さらなる高機能化を求めて開発を進めていきます。

 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、世界でトップシェアを誇る製品であります。新規リリースいたしました許容曲げ半径7.5mmのBISM15-PXシリーズは光通信機器の小型化を進めるお客様に御好評をいただいております。

 光コネクタの分野では、通信データの大容量化の要求に応えるため、光コネクタの多心化・低損失化を図った高性能品を実用化しました。当社で開発した多心防水型光コネクタは、超高精細のテレビジョン信号を伝送するスタジオ機器間インタフェース規格において標準化され、4K8K放送の発展に貢献しております。また迅速な展開が期待される光ファイバ網に対応していくため、取扱い性に優れたレンズ型多心光コネクタの開発にも注力しております。

 光ファイバ融着接続機では、近年需要が高まっている特殊大口径光ファイバ接続装置の商品群を拡充しました。販売を開始した直径1.25mmまで切断可能な特殊光ファイバカッタに加え、光ファイバの把持機構を簡素化した直径0.6mm以下の光ファイバを切断可能な廉価版カッタを間もなくリリースする予定です。また、好評を得ているCO2レーザを用いたレーザ融着機は、様々なガラス加工を行いたいというお客様のご要望に応えるため、ソフトウェア機能を拡張しました。レーザを加熱源として用いることにより、直径2.3mmの光ファイバまで加工可能であり、放電電極による光ファイバへの汚染が皆無となります。

 福島第一原子力発電所をはじめとした廃炉作業において、高放射線環境下における観察技術の確立が求められています。当社では、石英系イメージファイバの耐放射線性能の向上を進めております。2015年度は、要求される高放射線量下(γ線の累積照射線量2MGy)においても可視光での観察が可能なイメージファイバを開発しました。この結果を日本原子力研究開発機構(JAEA)が主催する「廃炉に向けた耐放射線性センサー及び関連研究に関する国際ワークショップ(RTSRT2016) 」にて発表いたしました。

 生産技術の高度化に伴ってレーザ加工分野市場が拡大しております。光通信用部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発を進め、パルスファイバレーザに続いて高出力連続波ファイバレーザの量産を開始しました。2015年度は、高効率な励起レーザダイオードと増幅用Yb添加ファイバの開発により6kW出力の連続波ファイバレーザを製品化いたしました。加工時に反射光を受けた場合でも出力が安定する独自技術を採用し、高出力化と相まって幅広い応用が期待されます。

 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。

 メガソーラ—や風力発電等の再生可能エネルギーには不可欠な電力系統連系機材として、変圧器やリングメインなどの機器に接続する施工性良好な耐塩害端末等を開発し、製品ラインナップの拡充を図りました。また、世界的なエネルギー需要増大による海洋資源開発や今後進められる海洋発電の導入により、海洋構造物市場の成長が見込まれており、洋上浮体構造物用ケーブルシステムの開発を進めております。

 航続距離延長で普及が予測される電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置が拡大しております。日本発のCHAdeMO規格及び欧州発のCOMBO規格の二つの国際標準に対応した操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルを開発いたしました。また、軽量化、省エネに効果的なCA(Copper Clad Aluminum)線を利用したソリューションを多くのお客様に提案させていただきました。非接触給電用コイルをはじめとしたCA線応用製品の開発を進めております。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は106億円であります。

 

②エレクトロニクスカンパニー

 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路(FPC)・タッチキー・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行なっています。スマートフォンやウエアラブル端末等の携帯情報端末機器は、デザイン性を追求しつつ、ますます高速化、多機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、低価格化への要求も強くなってきています。

 FPCでは、高密度化や高速伝送化に対応し、部品内蔵基板・狭ピッチ表面実装・高精細FPCをベースとした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。ますます高精細化するFPCに対応するため、セミアディティブ法の積極的な採用を進めており、デジタル機器分野に上市することで、さらに市場が成長すると考えています。

 プリンテッド・エレクトロニクス分野では、メンブレンの細線印刷技術を進化させ、グラビアオフセット印刷法及びスクリーン印刷法の両技術を用いて、お客様にソリューションを提供しています。パソコン、家電用などのスイッチ、静電センサーなどの幅広い分野への採用拡大につながりつつあります。

 コネクタ分野では、スマホ・タブレット・ウェアラブル用に低背・狭ピッチコネクタを開発しました。また産業及び車載用では、車両の電子制御化・小型化の要求に対応した基板間コネクタを開発しました。今後とも、両用途には、更なる低背型、狭ピッチ型のコネクタを開発していきます。

 電子ワイヤでは、ウェアラブル機器や医療機器用に、柔軟な高速伝送インターフェイスケーブルやアクティブケーブルの開発品を横展開し市場に投入しました。より高速伝送が可能なUSB3.1 typeCの商品化に向けて生産体制の構築を進めています。車輌分野のエレクトロニクス化や将来の自動運転用途に対応するため、車輌用高速伝送電子ワイヤ製品を開発中です。

 センサ製品では、防水性能を必要とする民生機器用に、直径4mmの防水小型絶対圧センサを開発しました。圧力と併せて環境温度情報をデジタル出力でき、消費電流が極めて小さい点が特長です。また、精度と信頼性を高めた医療機器向けデジタル出力微圧センサ、より一層の高感度化を図った流量/微差圧センサ、ウェアラブルアプリケーション向け超小型圧力センサなども開発中です。

 サーマル製品では、細径化、薄型化を達成しかつ熱性能を向上させたヒートパイプを開発し、スマートフォン等の小型携帯機器への搭載を実現しました。また、次期スーパーコンピュータ(エクサ級)の水冷式クーリングユニット技術の開発を進めています。また、急速な電子化が進む車載製品に対応して、車載用ヒートパイプの開発も進めています。

なお、当セグメントに係る研究開発費は41億円であります。

 

③自動車電装カンパニー

 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培ったメンブレン技術等を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。

 2015年度のEDS分野では、CHAdeMO規格に準拠したEV/PHEV用急速充電車両側コネクタの量産化や、従来よりも可とう性を向上したHEV/EV用アルミ太物電線をカーメーカー様の試作車向けに提供するなどの開発成果が上がっています。

 機能モジュールの分野では、「次世代型シートベルト警告用乗員検知センサ(SBRセンサ)」の量産準備を進めています。

 次世代型SBRセンサは従来品よりも小型でシートの形状影響による仕様変更の必要性が少なく、汎用性に優れたセンサです。法規制の改正で装着が拡大するであろう後席用センサとしても流用が可能な製品となります。

 車載用FPCでは、これまでのLEDランプ用、インパネ用FPCに加えて、電子化に対応する新機能FPCの開発を進めています。

 オール・フジクラの技術を結集して、「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する2015年度からの活動を、2016年度は更に強化してまいります。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は14億円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の業績は、円安による為替の影響やエレクトロニクスカンパニーの製品の需要増加等により、売上高は全体で前年度比170億円増の6,785億円、営業利益は前年度比75億円増の326億円、経常利益は前年度比35億円増の246億円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、事業構造改善費用等の計上により、前年度比8億円減の113億円となりました。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業環境につきましては、エネルギー・情報通信カンパニーでは、銅価下落の影響があるものの、円安の影響もあり売上高は横ばいとなりましたが、利益面では円安の影響や情報通信を中心に国内外マーケットの需要が好調であったことにより、増益となりました。エレクトロニクスカンパニーでは、主にFPC(フレキシブルプリント配線板)を中心に大幅な増収増益となりました。自動車電装カンパニーでは、中国顧客の減産の影響により減収となりました。利益面では中国顧客減産の影響や欧州拠点での製造コスト増加により、減益となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益171億円、減価償却費263億円等を源泉とした収入の増加により、482億円の収入(前連結会計年度と比べ276億円の収入の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に372億円の支出(前連結会計年度と比べ112億円の支出の増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の純減34億円、自己株式の取得による支出55億円等により、99億円の支出(前連結会計年度と比べ55億円の支出の増加)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は320億円(前連結会計年度と比べ12億円の減少)となりました。

 

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社は、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」企業を目指します。

 当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、基本方針として下記の3点を掲げております。

 ・収益率を重視し、健全な成長を図る。

 ・顧客価値創造型企業を目指し、新陳代謝を加速して進める。

 ・コーポレートガバナンスを確立し、併せて環境・社会側面での貢献に取り組み、企業価値の増大を図る。

 

 当社は継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけており、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を達成することを中期的な経営目標として掲げております。

 

 前述の2020中期経営計画における成長戦略として、下記の4点を推進してまいります。

①戦略顧客の深耕…戦略顧客に密着することで、更なる事業の成長を図るとともに、新たな事業機会を捉える。

②新規事業創出のスピードアップ…新規事業推進の体制強化を図る。自動車関連・産業用機器・医療機器を重点分野と位置付け注力する。

③オープンイノベーション…ポートフォリオ、バリューチェーンのミッシングピースを補い、新たな顧客価値を生む。技術開発、事業開発、事業の成長のスピードアップを図る。

④事業改革・事業構造改革…コーポレートガバナンス・コードへの対応を図るとともに、多様化した事業に対する意思決定の質・スピードの向上、経営基盤の強化を図る。

 





出典: 株式会社フジクラ、2016-03-31 期 有価証券報告書