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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績の概要

 平成28年度のわが国経済は、株価や為替の不安定な動き等により、企業収益や個人消費に足踏み状態が続き、11月の米国大統領選挙後は新政権下での財政拡大路線が強まるとの期待感を背景に、米国金利上昇に伴い円安基調に転じたものの、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

 このような状況のもと、当社グループの売上高は6,537億円(前年度比3.6%減)、営業利益は342億円(同4.9%増)、経常利益は325億円(同32.2%増)となりました。また、税金費用で過年度法人税等を計上した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は129億円(同14.0%増)となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

エネルギー・情報通信カンパニー

 当セグメントにつきましては、為替及び銅価下落の影響を受けたものの、情報通信事業部門の好調や品種構成の改善等により、売上高は前年度比4.6%減の3,496億円(当社単独ベースの受注高は前年度比5.0%減の1,869億円)、営業利益は同42.3%増の203億円となりました。

 

エレクトロニクスカンパニー

 当セグメントにつきましては、為替の影響に加え、競争激化の影響を受けたこと等により、売上高は前年度比2.7%減の1,567億円(当社単独ベースの受注高は前年度比20.0%増の1,168億円)、営業利益は同38.4%減の75億円となりました。

 

自動車電装カンパニー

 当セグメントにつきましては、出荷量は増加したものの、為替の影響を受けたことにより、売上高は前年度比2.0%減の1,331億円(当社単独ベースの受注高は前年度比3.1%減の282億円)、また構造改革による固定費削減等により、営業利益は同7.7%増の25億円となりました。

 

不動産カンパニー

 当セグメントにつきましては、当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」の賃貸料更新等により、売上高は前年度比4.9%減の101億円、営業利益は同13.6%減の46億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権及びたな卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益283億円、減価償却費275億円等を源泉とした収入の増加により、436億円の収入(前年度比46億円減)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に606億円の支出(同233億円増)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入れによる収入を中心に164億円の収入(同263億円増)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は306億円(同14億円減)となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「1.業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」企業を目指します。

 当社では、2016年度を初年度、2020年度を最終年度とする2020中期経営計画を策定しており、

 基本方針として下記の3点を掲げております。

 ・収益率を重視し、健全な成長を図る。

 ・顧客価値創造型企業を目指し、新陳代謝を加速して進める。

 ・コーポレートガバナンスを確立し、併せて環境・社会側面での貢献に取り組み、企業価値の増大を図る。

 

(2)経営戦略等

 前述の2020中期経営計画における成長戦略として、下記の4点を推進してまいります。

 ①戦略顧客の深耕…戦略顧客に密着することで、更なる事業の成長を図るとともに、新たな事業機会を捉える。

 ②新規事業創出のスピードアップ…新規事業推進の体制強化を図る。自動車関連・産業用機器・医療機器を重点分野と位置付け注力する。

 ③オープンイノベーション…ポートフォリオ、バリューチェーンのミッシングピースを補い、新たな顧客価値を生む。技術開発、事業開発、事業の成長のスピードアップを図る。

 ④事業改革・事業構造改革…コーポレートガバナンス・コードへの対応を図るとともに、多様化した事業に対する意思決定の質・スピードの向上、経営基盤の強化を図る。

 

(3)目標とする経営指標

 当社は継続的な収益性の向上を経営の優先課題の一つとして位置づけており、2020年度に売上高9,000億円、営業利益率7.0%以上、ROE10.0%以上、D/Eレシオ40:60(0.66倍)を達成することを中期的な経営目標として掲げております。

 

(4)経営環境

 エネルギー・情報通信カンパニー分野においては、国内はインフラの成熟化により、大きな需要の伸びが見込めない状況にある一方、海外においては需要拡大の余地が大きく、特に光関連の需要に関しては、継続的に大きなインフラ投資を行っている中国や、データセンタ投資が拡大している欧米等、旺盛な状況です。

 エレクトロニクスカンパニー分野においては、当社FPC(フレキシブルプリント配線板)、コネクタが多く使用されているスマートフォンの世界的な需要について、近年主要顧客の出荷台数の伸びが鈍化してきている一方、当社が取り扱っている製品の使用数は増加傾向であります。

 自動車電装カンパニー分野においては、継続的な成長を続ける中国と、堅調な北米を中心として、世界の自動車生産台数は今後も成長する見通しであります。

 

(5)対処すべき課題

①エネルギー・情報通信カンパニー

 エネルギー事業部門では、国内の送配電事業及び産業用電線事業は、事業継続に必要な収益を確保できる体制とするため事業のコスト構造に踏み込んだ改革を進めます。またミャンマー、ブラジルなど海外での事業基盤の確立を図ってまいります。情報通信事業部門では、世界各地の光ファイバ網整備やデータセンタ向けの事業の旺盛な需要に応えるため供給能力の強化を図ります。

②エレクトロニクスカンパニー

 FPC(フレキシブルプリント配線板)及びコネクタは、スピーディな対応を通じて戦略顧客との関係の深化を図りつつ、効果的に設備投資を実行してまいります。

③自動車電装カンパニー

 欧州、南米及び中国における、低コスト・高効率な生産体制の立ち上げを進め、人件費の上昇や必要人員の確保といった課題の解決を図ります。また、顧客への対応力を高めて事業を強化します。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向

 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品などであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や顧客の購買政策の変化等によって影響を受けます。

(2)為替レートの変動

 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業には、アジアを中心とする海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(3)材料価格の変動

 当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

(4)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に品質クレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額すべてをカバーできるという保証はありません。重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、売上が減少するなどの悪影響につながる可能性があります。

(5)法的規制等

 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)政治経済情勢

 当社グループは、エネルギー・情報通信カンパニー、エレクトロニクスカンパニー、自動車電装カンパニー等、国内外にて事業展開しているため、当社グループの経営成績は各国の政治情勢などの影響を受けることがあります。

 

(8)金利の変動

 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9)知的財産

 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害等のリスクについて

 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、財政状態、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。

 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池、リチウムイオンキャパシタ、及び磁気冷凍など商品化に向けた開発を進めています。

 高温超電導線材では、更なる特性向上とともに事業化に向けた量産技術の開発に取り組んでいます。高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIに対して、世界的に供給不足となるヘリウム冷媒を使用しないこと、システムのコンパクト化、高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、世界的に供給不足となるヘリウム冷媒を使用しないこと、システムのコンパクト化、高磁場実現による高解像度化などが期待されています。国家プロジェクトで高い評価を頂くとともに、超電導線材の基礎研究では「21世紀発明賞」を受賞しました。

 色素増感太陽電池においては、低照度下での高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング用薄型モジュールを開発しました。また、この色素増感太陽電池をセンサ機器電源として、無線部に「高精度な同期によるマルチホップ機能」を実装することで、多段中継を極低消費電力で実現したセンサシステムを開発しました。

 リチウムイオンキャパシタは、高出力・小型・軽量かつ大容量なセル及び電源モジュールを開発し、急速充放電特性及びサイクル寿命を生かした用途に展開を進めています。

 磁気冷凍では、地球温暖化係数の高い代替フロンを利用した冷凍機に替わる次世代冷凍技術の開発に取り組んでいます。利用する磁気作業物質(MCM)の線状化に成功し、その大きな冷却性能を確認しました。この成果は国際学会ThermagⅦにおいても注目されています。

 また、光通信ネットワークの高速化、大容量化に向けて、シリコンフォトニクスの研究基幹光通信網、データセンタを初めとして、AOC(Active Optical Cable)への適用により、インフラ、自動車、医療など幅広い用途で利用される産業用AOCへの展開を目指しています。

 また、次世代高速無線通信に利用されるミリ波帯に適したパッシブデバイス及び関連技術の開発を進めています。移動体通信フロント・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。

 新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めています。このフィルムは、線幅が数マイクロメートルの高精細配線を用いることで高透過率、低抵抗を実現します。現在その商品化を進めています。

 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板の開発を進めています。複数の部品を内蔵した高精細・高多層の高密度配線板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。

 

 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は156億円であります。

 

①エネルギー・情報通信カンパニー

 長距離高速伝送システムに向けて、低損失光ファイバの開発を進めています。本光ファイバは国際電気通信連合の陸上長距離システム向け勧告(ITU-T G.654.E)に準拠しており、近日中に商品化する予定です。

 将来の伝送用光ファイバの候補であるマルチコアファイバの開発を並行して進めています。2014年より開始した日欧連携開発プロジェクト(SAFARI)において、弊社の30コアファイバを用いて、複雑な電気的処理を用いることなく、1 Pbit/s以上の伝送が可能であることを示しました。その成果に対して、欧州連合(EU)欧州委員会の「Horizon Prize」を共同受賞(フジクラ、デンマーク工科大学、サウサンプトン大学)いたしました。また、情報通信研究機構(NICT)殿の委託研究(i-Free2)の成果として、汎用光ファイバに近い製造方法で200kmを超えるマルチコアファイバを製造し、国内外の学会にて発表を行いました。こうした最先端の研究と共に実用化に向けた検討も進めております。

 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、世界でトップシェアを誇る製品です。シリコン変調器と低損失な結合を可能とする新製品の開発を進めています。シリコン変調器に合わせた小さなコア径を有しながら、汎用の光ファイバとの低損失な結合も可能な特長を備えています。

 近年の光通信網の急速な拡大に伴い、光ファイバケーブル網を経済的に構築する要求が高まっております。これに応えるべく、光ファイバを高密度でケーブルに実装する技術であるSWR&WTC(Spider Web RibbonTM and Wrapping Tube CableTM)を開発し、世界最高となる超多心・超細径高密度光ケーブルを製品化しました。本ケーブルは公衆通信用途のみならずデータセンタ等への導入も進んでおり、さらに製品ラインナップの充実と高機能化に注力していきます。

 通信データの大容量化要求を背景に、光コネクタの高機能化に注力しております。超多心かつ低接続損失を実現する技術に一層の磨きをかけるとともに、伝送装置で使用されるバックパネル光コネクタ、屋外で使用される多心防水型光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタ等製品ラインナップを充実させました。また光デバイス内で使用される高実装密度型光コネクタの開発にも注力しております。

 光ファイバを2本〜12本並べてテープ状に接着した光ファイバテープ心線の融着接続において、テープ心線用被覆除去器は重要な工具です。このたび、大幅に改良を施した新製品を発売しました。操作性を重視したデザインの採用と、被覆除去力の低減により、作業性を向上させました。また、600回の被覆除去が可能な大容量のバッテリ、加熱条件をスマートフォンで設定する無線通信など、新機能を搭載しています。さらに、被覆径200mmあるいは250mmの光ファイバを並べ間欠的に接着したSWRの被覆除去にも対応しました。

 製造分野で使用されるレーザ加工の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高いファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発を推進しています。2016年度はパルスファイバレーザ、空冷中出力ファイバレーザ、高出力連続波ファイバレーザ等の製品群の拡充を進めました。新型の励起レーザダイオードとレーザ共振器の開発により実現した光出力8kwの連続波ファイバレーザは、さらに幅広い応用が期待される新製品です。

 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。メガソーラーや風力発電等の再生可能エネルギーに不可欠な電力機材として、変圧器などの機器への接続施工性に配慮した端末等を開発し、製品ラインナップの拡充を図りました。また、世界的なエネルギー需要増大による海洋資源開発や今後進められる海洋発電の導入により、海洋構造物市場の成長が見込まれており、洋上浮体構造物用ケーブルシステムの開発を進めております。

 航続距離延長で普及が予測される電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が拡大しております。大容量急速充電に対応するためケーブル冷却機能を付加し、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力しております。

 また、ケーブル設備の経年化が進む中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠な常時監視型劣化診断システムを開発していきます。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は94億円であります。

 

②エレクトロニクスカンパニー

 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路基板(FPC)・タッチキー・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表される携帯情報端末機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、電気自動車普及の加速に伴い、車載向けの電子部品の需要も増えており、これらの開発にも力を入れています。自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。

 FPCでは、高密度化や高速伝送化に対応し、部品内蔵基板・狭ピッチ表面実装・高精細FPCをベースとした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCには従来のサブトラクティブ法だけでなく、セミアディティブ法の積極的な採用を進めています。高信頼性確保のため、製造工程の更なる行程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。

 プリンテッド・エレクトロニクス分野では、メンブレンの細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ウェアラブルタグといった新しい市場を開拓していきます。

 コネクタ分野では、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに開発を推進しています。車載・産業機器用に開発した基板間コネクタの拡充を進めています。省スペース、位置ズレを吸収できるフローティング機構、2点接触での高信頼性がその特長です。携帯機器用では、業界トップクラスの超小型FPC用コネクタを開発しました。放送機器用では、4K対応の同軸コネクタを開発しました。

 電子ワイヤでは、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答え、高精細カメラやウェアラブル機器に適した高速インターフェースケーブルや、情報端末機器の内部に使用される、更なる小径化、高速化に対応した内部配線ケーブルを開発中です。また、車載分野のエレクトロニクス化や将来の自動運転用途に対応するため、車載向け高速伝送電子ワイヤ製品の開発を進めております。

 センサ製品では、防水性能を必要とする民生機器向けに小型絶対圧センサの量産出荷を開始しました。またASIC圧力センサ(Application Specific Integrated Circuit)の製品ラインナップを拡充すべく、製品開発を進めています。そのほか、精度、信頼性、感度をより一層高めた微圧センサ、流量センサなども開発中です。

 サーマル製品では、スマートフォン等の小型携帯機器向けに、ヒートパイプの更なる薄型化を進めており、熱性能を維持しながら0.3mmの厚さを実現しました。次期スーパーコンピュータ(エクサ級)等の大容量冷却向けには、水冷式クーリングユニットの高性能化と低コスト化を行っています。また、今後EV化が加速し採用が期待される車載製品に対応したヒートパイプも量産化に向け開発を進めています。

なお、当セグメントに係る研究開発費は49億円であります。

③自動車電装カンパニー

 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。

 2016年度の主な研究開発の成果として、EDS分野ではワイヤハーネスの軽量化を目的とした細物アルミハーネスや、従来よりも可とう性を向上させたHEV/EV用高電圧アルミハーネスの開発を完了しました。また、CHAdeMO規格Ver.1.1に準拠したEV/PHEV用急速充電インレットを昨年度より量産を開始しましたが、新たに大電流充電に対応可能なCHAdeMO規格Ver.1.2準拠品の開発に着手しました。

 機能モジュールの分野では、「次世代型シートベルト警告用乗員検知センサ(SBRセンサ)」の量産を開始しました。次世代型SBRセンサは従来品よりも小型でシートの形状影響による仕様変更の必要性が少なく、汎用性に優れたセンサで後席用センサとしても流用が可能な製品です。

 2017年度も、オール・フジクラの技術を結集して、「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する活動を継続してまいります。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は12億円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は全体で前年度比247億円減の6,537億円、営業利益は前年度比15億円増の342億円、経常利益は前年度比79億円増の325億円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比15億円増の129億円となりました。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業環境につきましては、エネルギー・情報通信カンパニーでは、為替及び銅価下落の影響により減収となりましたが、利益面では情報通信事業部門の好調や品種構成の改善等により、増益となりました。エレクトロニクスカンパニーでは、為替の影響及び競争激化の影響を受けたこと等により、減収減益となりました。自動車電装カンパニーでは、出荷量は増加したものの、為替の影響により減収となりました。利益面では、構造改革による固定費削減等により、増益となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、売上債権及びたな卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益283億円、減価償却費275億円等を源泉とした収入の増加により、436億円の収入(前連結会計年度と比べ46億円の収入の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に606億円の支出(前連結会計年度と比べ233億円の支出の増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入れによる収入を中心に164億円の収入(前連結会計年度は99億円の支出)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は306億円(前連結会計年度と比べ14億円の減少)となりました。

 





出典: 株式会社フジクラ、2017-03-31 期 有価証券報告書