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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が着実に改善するとともに、民間設備投資も増勢を強めるなど、景気は堅調に回復してまいりました。しかしながら、秋以降は輸出の減速や個人消費の伸びの鈍化などにより、本格的な景気回復には至らないまま推移いたしました。
 当業界におきましては、橋梁需要は前期に引き続き低水準で推移し、需要が供給能力の半分以下の供給過剰構造にあります。そのため、各社とも生き残りをかけて構造改革に取組み、さまざまな施策を模索しております。一方、鉄骨は首都圏を中心とした大型プロジェクトやIT関連設備投資の増加によって需要量は昨年実績を上回ると見込まれます。しかしながら価格面では、高騰する鋼材価格への対応はあるものの、加工費や付随する諸経費に未だ十分及んでいない状況にあります。
 このような情勢のなか、当社グル−プは、生産性の向上や原価低減に注力する一方で受注量の確保に懸命に取り組んでまいりました。しかしながら、当連結会計年度の業績につきましては売上高が14,789,228千円(前年同期比40.3%減)と大幅に減少し、橋梁発注単価の下落によって採算が悪化するとともに、大型不採算工事が売上に計上されたため、営業損失707,232千円(前年同期は営業利益88,600千円)、経常損失520,667千円(前年同期は経常利益480,103千円)となりました。さらに複数の大型不採算工事に対する工事損失引当金繰入額528,387千円を特別損失に計上したことに加え、繰延税金資産を820,187千円取崩し法人税等調整額に計上したため、当期純損失は1,864,229千円(前年同期は当期純利益286,917千円)となりました。
 事業部門別の売上及び受注の状況は以下のとおりであります。
 橋梁部門におきましては、当連結会計年度の受注高は11,525,828千円(前年同期比 8.9%減)、売上高は10,351,058千円(前年同期比18.4%減)、受注残高は13,604,508千円(前年同期比 9.5%増)となりました。
 鉄構部門におきましては、当連結会計年度の受注高は6,296,175千円(前年同期比96.4%増)、売上高は3,884,055千円(前年同期比67.1%減)、受注残高は4,721,620千円(前年同期比104.4%増)となりました。
 水門部門におきましては、当連結会計年度の受注高は322,613千円(前年同期比29.0%減)、売上高は554,115千円(前年同期比74.4%増)、受注残高は528,889千円(前年同期比30.4%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
 当連結会計年度末における連結ベ−スの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ3,137,956千円減少し、3,920,186千円となりました。 
 当連結会計年度における各キャッシュ・フロ−の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロ−)
 営業活動の結果使用した資金は668,874千円(前連結会計年度は1,431,709千円の受入)となりました。これは、主に大幅な税金等調整前当期純損失を計上したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ−)
 投資活動の結果使用した資金は2,195,401千円(前連結会計年度は59,312千円の受入)となりました。これは主に有価証券及び投資有価証券の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ−)
 財務活動の結果使用した資金は273,660千円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。これは、主に配当金の支払によるものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
 当連結会計年度の生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
橋梁(千円)
9,873,796
△8.2
鉄構(千円)
3,996,055
△47.5
水門(千円)
370,784
△46.9
合計(千円)
14,240,636
△25.3
 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
 当連結会計年度の受注状況を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
受注高
前年同期比(%)
受注残高
前年同期比(%)
橋梁(千円)
11,525,828
△8.9
13,604,508
9.5
鉄構(千円)
6,296,175
96.4
4,721,620
104.4
水門(千円)
322,613
△29.0
528,889
△30.4
合計(千円)
18,144,616
11.2
18,855,017
21.6
 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
 当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
橋梁(千円)
10,351,058
△18.4
鉄構(千円)
3,884,055
△67.1
水門(千円)
554,115
74.4
合計(千円)
14,789,228
△40.3
 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 平成15年4月1日
至 平成16年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
国土交通省
4,388,324
17.7
4,733,126
32.0
タイメック㈱
2,987,536
12.1
2.本表の金額には消費税等は含まれておりません。
3【対処すべき課題】
 当業界では、橋梁需要は平成10年度をピ−クに発注量の減少が続き、価格面でも政府によるコスト構造改革や入札契約制度の見直しによって年々単価の下落が続いております。一方、鉄骨需要は回復基調にある企業の設備投資に支えられて増加しておりますが、価格面では鋼材価格の急騰で鉄骨市況も上伸気配を強めているものの、加工費にまで十分反映されていない状況であります。このような経営環境のなか当社の業績が大きく悪化しており、当社の収益力を回復させるため、受注体制の強化と効率的な生産体制の構築が不可欠となっております。
 このような状況のもと、当社はこれまでは雇用の維持を前提に、収益構造や企業体質の改善を目指した施策に取り組んでまいりました。しかし、当社を取り巻く経営環境は非常に厳しく、今後さらに縮小が予想される市場規模においても、収益が確保できる企業体質を作るため希望退職者の募集を含む「構造改革」を実施することといたしました。
 また、株式会社横河ブリッジとの業務提携におきましては、技術開発や技術交流などを積極的に進めておりますが、さらに両社の有する経営資源の相互有効活用を推進することで、総合的な技術提案力とコスト競争力を強化し、企業基盤の充実を図ってまいります。
 なお、当社は平成17年5月23日に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いにより、公正取引委員会から刑事告発され、平成17年6月15日には東京高等検察庁により起訴されました。
 このような事態に立ち至りましたことにつきまして、株主、お客さまならびに関係各位には、大変ご心配・ご迷惑をおかけし、深くお詫び申しあげます。
 当社といたしましては、今般の事態を極めて重く受け止め、社内における法令遵守の徹底や内部管理体制の強化を図り、早期の信頼回復に努めてまいります。
4【事業等のリスク】
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グル−プが判断したものであります。

(1)公共事業への依存
 当社グル−プは、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、なかでも鋼橋が約8割を占め、その大部分は公共事業であります。ここ数年、公共事業は発注量の減少が続き、発注単価も下落が続いております。これらの状況をふまえて、翌連結会計年度の業績予想を作成しておりますが、正確な予想は困難であり、発注量が予想と大幅乖離した場合は当社グル−プの業績に大きな影響を与える可能性があります。

(2)原材料等の価格変動のリスク
 当社グル−プの主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料でありますが、昨年来、中国での需要拡大等から鋼材価格は上昇を続け、品不足状態も解消されておりません。この状態は当分続くものと予想され、鋼材価格の上昇分が受注価格に転嫁されない場合は業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3)自然災害・事故等のリスク
 当社グル−プは、生産設備を和歌山工場に集中し業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、資本業務提携先の株式会社横河ブリッジの支援を受けることはできますが、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社の製品は非常に大きく重く、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおります。安全を最優先に業務を進めておりますが、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(4)刑事告発によるリスク
 当社は平成17年5月23日に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いにより、公正取引委員会から刑事告発され、平成17年6月15日には東京高等検察庁により起訴されました。また、平成17年5月26日付で国土交通省からは行政処分(指名停止措置)を受けております。よって平成18年3月期は受注機会が大幅に縮小され、平成19年3月期の業績に大きな影響を与える可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
 特に記載すべき事項はありません。
6【研究開発活動】
 当社グループでは、急変する事業環境に対応してゆくため、以下の各項目を中心として研究開発に取り組んでおります。
1.技術提案型入札への新技術の開発
2.既設橋梁・新設橋梁の疲労破壊対応技術および耐震性向上技術の開発
3.コスト縮減技術の開発  
 当社グループにおける研究開発は、技術研究所の開発スタッフ7人を中心として実施しております。当連結会計年度における主たる研究の目的、主要課題、研究成果は以下のとおりであり、研究開発費の総額は116,634千円であります。
1.新技術開発
 従来の鋼連続橋梁より耐震性・耐久性に優れ、コスト面でも優位な多径間連続コンクリート充填細幅箱桁を東海大学と共同で開発中であります。上部工に関してはすでに実験を終了しており、現在は、上部工と下部工との剛結を計り、隅角部の耐荷力・変形性能の確認を行い、実工事に採用されるよう提案しております。
2.既設橋梁・新設橋梁の疲労破壊対応技術の開発
 近年、交通量の予想以上の増大などにより、既設橋梁の疲労損傷が目立ってきております。また、一方では、従来想定されていた50年の橋梁耐久年数が最近では100年を志向する傾向が見られます。このような状況に鑑み、当技術研究所では以下のような溶接継手や鋼材を中心とした疲労強度向上技術の実験的研究や、疲労損傷部の補修・補強技術の開発を鋭意実施しております。
① 大阪大学の指導により、製鉄会社との共同研究で、橋脚隅角部などの疲労強度向上のための技術開発を実施し、疲労強度が問題となっている橋脚隅角部などに適用できる耐疲労特性に優れた鋼材を開発いたしました。現在は桁橋梁に耐疲労鋼を採用していただくべく、客先に提案しております。
② 疲労強度が問題となっているUリブ(板厚6mm)すみ肉溶接部の深溶込み技術を開発し、このUリブ深溶込み溶接部の品質保証のために、超音波探傷技術による検討を行いました。実工事に試験的に適用し十分に部分溶込みの保証が得られることを確認いたしました。また、板厚8mmのUリブすみ肉溶接部の深溶込み技術を完成し実工事に適用しております。
③ 現在疲労強度が問題となっているUリブで補剛された鋼床版橋梁自体の疲労強度向上を目的に、従来より疲労強度の優れた新形式の鋼床版橋梁を大学の指導により開発すべく引き続き検討中であります。
3.コスト縮減技術の開発
① 橋梁の適用板厚が従来の50mmから100mmに拡大し、また、阪神大震災以後、溶接部のT継手・角継手が部分溶込み溶接から完全溶込みになるなど、客先の要求が高度化しつつあります。この状況に対応するために、まず板厚25mm以下の継手に限り、従来の不経済で作業環境を悪化させる裏はつりによる完全溶込み溶接ではなく、裏はつり不要で高能率な溶接技術を開発いたしました。今後は社内技量訓練を実施し、実工事に適用してまいります。
② 近年増大している現場溶接のコスト縮減を志向する技術「自動狭開先裏波現場溶接技術」の開発を完了いたしました。今後は実工事に適用してまいります。
③ 和歌山工場建設以来10年以上を経た橋梁生産設備の更新に備えて、最新のロボット技術などを駆使した、コスト縮減が見込まれる生産設備の開発・導入を検討しております。
7【財政状態及び経営成績の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル−プが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り
 当社グル−プの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり使用した重要な会計方針は「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析
 当社グル−プの当連結会計年度の経営成績は、売上高が 14,789,228千円(前年同期比40.3%減)と大幅に減少し、橋梁発注単価の下落によって採算が悪化するとともに、大型不採算工事が売上に計上されたため、営業損失707,232千円(前年同期は営業利益88,600千円)、経常損失520,667千円(前年同期は経常利益480,103千円)となりました。さらに複数の大型不採算工事に対する工事損失引当金繰入額528,387千円を特別損失に計上したことに加え、繰延税金資産を820,187千円取崩し法人税等調整額に計上したため、当期純損失は1,864,229千円(前年同期は当期純利益286,917千円)となりました。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
 当社グル−プを取り巻く事業環境は非常に厳しく、橋梁需要は平成10年度をピ−クに発注量の減少が続き、価格面でも政府によるコスト構造改革や入札契約制度の見直しによって年々単価の下落が続いております。一方、鉄骨需要は回復基調にある企業の設備投資に支えられて増加しておりますが、価格面では鋼材価格の急騰分の単価上乗せはあるものの、加工費にまでは十分反映されていない状況であります。

(4)経営戦略の現状と見通し
 当社グル−プといたしましては、これらの状況を踏まえて、これまでは雇用の維持を前提に、収益構造や企業体質の改善を目指した施策に取り組んでまいりましたが、今後さらに縮小が予想される市場規模においても収益が確保できる企業体質を作るため、希望退職者の募集を含む「構造改革」を実施することといたしました。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
 当社グル−プの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フロ−では、668,874千円の使用となりました。これは主に大幅な税金等調整前当期純損失を計上したことに加え、未成工事受入金の減少による支出が、受取手形・完成工事未収入金の減少による収入を上回ったためであります。投資活動によるキャッシュ・フロ−では、2,195,401千円の使用となりました。これは主に有価証券及び投資有価証券の取得によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フロ−では、273,660千円の使用となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。




出典: 高田機工株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書