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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国経済は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響により一時期停滞いたしましたが、復旧の動きとともに緩やかな回復傾向が見られました。しかしながら、円高の長期化、欧州債務危機の深刻化、タイの大洪水の影響等、海外情勢を巡る要因から、本格的な景気の回復には至らずに推移いたしました。

 橋梁事業におきましては、発注量が全盛期の3分の1程度まで落ち込んだ状況が続く中、受注量の確保に向けて企業間の争いはより熾烈なものになっております。

 鉄構事業におきましては、首都圏での大型再開発工事はあるものの、鉄骨需要は全般に低調で、発注単価の下落が続き、採算か受注量の確保かの難しい選択を迫られる厳しい状況が続きました。

 このような状況のもとで、当社は平成24年3月期からの3年間を「安定的な経営基盤確立の期間」と位置づけ、「採算を意識した受注の確保」を最優先課題として、会社の総力を挙げて取り組んでまいりました。

 橋梁事業では、技術提案力を強化し積極的に受注活動を展開することで、年度前半は一定量の受注を確保することができました。しかしながら、第4四半期の発注量が予想を下回り、受注量も低調に推移したため、当期の受注高はかろうじて前期の数字に届く結果にとどまりました。

 鉄構事業では、少ない発注量の中で、最低でも前期並みの数字を残すべく受注活動を展開しましたが、受注量は前期を大幅に下回る結果になりました。

 これらの結果、当事業年度の業績につきましては、売上高が15,274,093千円(前年同期比7.7%減)と減少し、営業利益517,526千円(前年同期比31.8%減)、経常利益585,414千円(前年同期比31.4%減)、当期純利益619,067千円(前年同期比16.6%減)と各利益とも前年同期比では減少となりました。しかしながら、売上高以外は業績予想を上回る数字を残すことができました。

 受注状況につきましては、当事業年度の受注高は10,307,614千円(前年同期比30.8%減)、当事業年度末の受注残高は11,977,175千円(前年同期比29.3%減)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

① 橋梁事業

 橋梁事業における当事業年度の売上高は10,633,571千円(前年同期比6.1%減)、セグメント利益は938,751千円(前年同期比29.8%増)となりました。また、受注高が8,481,789千円(前年同期比4.6%増)となり、当事業年度末の受注残高は9,009,172千円(前年同期比19.3%減)となりました。

② 鉄構事業

 鉄構事業における当事業年度の売上高は4,640,521千円(前年同期比11.1%減)、セグメント損失は421,225千円(前年同期はセグメント利益35,458千円)となりました。また、受注高は1,825,825千円(前年同期比73.1%減)にとどまったため、当事業年度末の受注残高は2,968,003千円(前年同期比48.7%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

  当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より414,313千円増加し、2,934,419千円となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は467,751千円(前年同期は939,933千円の獲得)となりました。これは主に増加要因としての税引前当期純利益の計上や減価償却費が、減少要因としての受取手形・完成工事未収入金の増加や工事損失引当金の減少を下回ったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得た資金は270,724千円(前年同期は55,161千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入が、投資有価証券の取得による支出と有形固定資産の取得による支出を上回ったからであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得た資金は611,339千円(前年同期は900,067千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加と配当金の支払いによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成23年4月1日

至 平成24年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

10,562,780

△3.1

鉄構事業(千円)

4,768,918

△11.1

合計(千円)

15,331,698

△5.8

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

8,481,789

+4.6

9,009,172

△19.3

鉄構事業(千円)

1,825,825

△73.1

2,968,003

△48.7

合計(千円)

10,307,614

△30.8

11,977,175

△29.3

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成23年4月1日

至 平成24年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

10,633,571

△6.1

鉄構事業(千円)

4,640,521

△11.1

合計(千円)

15,274,093

△7.7

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日)

当事業年度

(自 平成23年4月1日

至 平成24年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

3,684,571

22.3

3,793,855

24.8

㈱大林組

2,074,050

13.6

静岡県

2,031,106

12.3

大成建設㈱

1,738,286

10.5

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は平成23年3月期にて終了した「再生中期経営計画」の達成状況の反省を踏まえ、平成24年3月期より平成26年3月期までを「安定的な経営基盤確立」の期間と位置づけております。平成24年3月期は受注量が目標に届かず、売上高も業績予想を下回りましたが、生産現場での合理化努力を積み重ねた結果、利益面では業績予想を上回る結果を残すことができました。今後も「採算を意識した受注の確保」を最優先課題とし、強化された利益体質により、安定した業績を継続すべく努力いたします。東日本大震災の復興関連工事につきましては、良質な社会資本の提供を経営の基本としている企業として、経営資源の配分を見直し、「災害に強い国土」づくりに貢献できるよう事業を展開してまいります。

 また、橋梁事業・鉄構事業で永年培われた技術を、耐震・防災対策関連事業に展開すべく研究を続けてまいります。平成24年3月期には和歌山県・初湯川大橋補修工事において、アーチ橋の耐震補強に当社のシェイプアップブレースBrが採用されるなど、耐震・制震デバイスの需要は徐々に高まっております。東日本大震災以降は安全安心を最優先する考えが鮮明となっており、今後当社の新しい柱となるよう育ててまいります。

 当社は平成24年3月に無事創立80周年を迎えることができました。今後も橋梁事業・鉄構事業を経営の柱に、保全事業への本格的な取り組みも含め、新しい柱の開拓を推し進め、「災害に強い鋼構造物」を提供できる企業として創立100周年に向けて事業を展開してまいります。

 

 株式会社の支配に関する基本方針について

① 会社の支配に関する基本方針の内容

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者であるべきと考えております。

 そして、当社の企業価値及び株主共同の利益を最大化していくためには、中長期的な観点から、当社の企業価値を生み出す源泉を育て、強化していくことがもっとも重要であって、当社の財務及び事業の方針は、このような認識を基礎として決定される必要があるものと考えております。

② 当社を取り巻く経営環境と今後の取り組み

 当社の主力事業である橋梁事業を取り巻く環境は、国及び地方自治体の厳しい財政状況に加え公共事業費の削減などにより、鋼橋の総発注量が全盛期の3分の1程度まで落ち込んだ状況が続き、受注量の確保に向けて企業間の争いはより熾烈なものとなる中、新設の鋼橋発注を巡る受注環境の不透明感が増しております。しかし一方、東日本大震災の教訓に基づき「災害に強い国土」づくりに向け、補修・耐震等の保全事業への需要が高まるとともに、安全確保の観点から新しい道路網の整備が期待されております。一方、鉄構事業を取り巻く環境は、首都圏での大型再開発工事はあるものの、鉄骨需要は全般に低調で、発注単価の下落が続き、採算か受注量の確保かの選択を迫られる厳しい状況になっております。リーマンショック以来の長引く低迷と厳しい価格競争から、大手ファブリケータが建築鉄構事業からの撤退を表明するなど、Sグレードファブリケータには非常に厳しい環境が続くと予想されます。しかしながら、首都圏ではHグレードファブリケータの仕事量は回復の兆しが見え、また不動産会社が数千億円規模の再開発事業を発表するなど首都圏での活性化が期待されております。

 このような状況のもと、橋梁事業では、総合評価落札方式による入札対応を専門に行う「技術提案室」を中心に、常に客先ニーズを的確に把握し高い技術点評価の獲得を目指すとともに、和歌山工場が保有する大型岸壁や自動化された大型設備の優位性を最大限活用できるよう、選別受注を行ってまいります。また、橋梁の補修・耐震等の保全事業への本格的な取組みも含め、今後の成長に繋がる新規の鋼構造物関連事業を推し進めてまいります。一方、鉄構事業では、受注量確保に向けて主要受注先である大手建設会社との関係強化をさらに深めるとともに、積極的に適切なVE提案を行うことで、受注量確保と利益率向上を目指します。

 平成24年度は、平成26年3月期までを「安定的な経営基盤確立」の期間と位置づけている第3次中期経営計画の2年目であり、年度方針を「総合力による受注と利益の確保」、「安全の向上と品質の確保」、「教育・訓練による人材の育成」及び「鋼構造物関連事業の推進」と定め、強化された利益体質を充分に活かし、安定的な業績を継続するために、受注量の確保に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。

③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針が支配されることを防止するための取り組み

 当社は、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、平成24年6月27日開催の第83期定時株主総会において、有効期間を平成25年に開催される当社定時株主総会の終結の時までとする平時における「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を承認いただき導入しております。

④ 本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて

 本プランは、基本方針の考え方並びに平成17年5月27日に法務省及び経済産業省から公表された「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」、平成20年6月30日付の企業価値研究会報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所の適時開示規則に沿って設計され、これにより、当社株主及び投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができますので、本プランが当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。

 また、本プランは、不適切な大規模買付行為に対して、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動は本プランの規定に従って行われます。さらに、大規模買付行為に関して当社取締役会が評価、検討、代替案の提示、大規模買付者との交渉または対抗措置の発動を行う際には、外部の専門家等からの助言を得るとともに、当社経営陣から独立した外部の有識者と社外監査役から構成される独立委員会の意見を最大限尊重するものとし、独立委員会は、当社取締役の利益をはかることを目的とした助言・勧告を行ってはならないこととしております。このように本プランには、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。

 以上から、本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えております。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存について

 当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施行を主事業としており、平成24年3月期末の受注残高においては鋼橋が約8割を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が予測と大幅に乖離する可能性は否定できず、その場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)主要原材料の価格変動等について

 当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できません。鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害・事故等による影響について

 当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の製品は非常に大きく重く、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおります。安全を最優先に業務を進めておりますが、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(4)金利変動による影響について

 将来の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)時価変動による影響について

 当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 

 

5【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。

当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであり、研究開発費の総額は46,223千円であります。

 

(1)橋梁事業

① 耐震に関する技術開発

東日本大震災により、あらためて耐震補強の必要性が高まりました。当社ではすでに以下の耐震に関する技術開発に取り組んでおりますが、今後さらに研究を進めてまいります。

イ.シェイプアップブレースBr

アーチ橋やトラス橋の制震ダンパー(製品名:シェイプアップブレースBr)の販売を昨年より開始し、実工事で適用されました。シェイプアップブレースは大成建設株式会社が開発した座屈拘束ブレースで、耐震・制震用ダンパーとして建築構造物では数多くの販売実績があり、市場から高い評価を受けている製品です。大成建設株式会社と当社はこれまでの経験をもとに、鋼橋用として屋外での長期防錆能力を高めた制震ダンパー(製品名:シェイプアップブレースBr)を開発しました。今後は、効率的な製作方法などを研究してまいります。

ロ.せん断パネル型制震ストッパー

橋梁の耐震技術として、従来の反力分散構造や免震構造における問題を解消し、かつ経済的な制震ダンパー(製品名:制震ストッパー)を販売しております。既に、桁橋だけでなくアーチ橋、方杖ラーメン橋、PC橋への適用も含め140基以上が実工事で採用され、その他多くの引き合いをいただいております。

ハ.すべリッチ

既設支承の中には、大地震時の耐力は満足しないものの、常時の機能には全く問題ない支承が数多く存在しています。当社では既設支承を取替えず、固定支承を地震時のみ可動支承に改造することが可能な、支承可動化工法を開発いたしました。昨年より支承改造用の製品(製品名:すべリッチ)の販売を開始し、実工事で適用されました。今後はPC橋への適用などを研究してまいります。

ニ.ノックオフボルト

設計耐力で確実に破断するボルトを開発しました。建築・土木等の耐力コントロール用として適用可能です。橋梁では、レベル1地震動まで固定、レベル2地震動で破断するボルトとして、ノックオフ構造に適用します。今後は、更なる適用範囲の拡大に向けて研究してまいります。

 

② 鋼橋の製作技術及び品質検査技術の開発

イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指し、有効な技術・技能伝承及び教育に関する資料を動画等を駆使しながら共有化しております。また、大学機関と連携を行い、溶接工程、加熱を伴う鋼板への変形加工等、製作ノウハウについて数値解析を行っています。これにより、勘と経験に依存していたノウハウが技術的に明確となり、品質向上に寄与するものであると考えております。今後も有効に技術・技能伝承を行い、高い技術・技能を有する会社として発展していくよう努力いたします。

ロ.効率的かつ高い品質水準を保持した鋼橋製作を目指し、工場溶接継手に対して、最先端のデジタル制御溶接装置を適用し、溶接の高速度化・溶け込みの安定化に関する技術を確立しました。今後も溶接制御技術の進化を取り込み、当社の溶接技術向上を図ってまいります。

ハ.製品の品質保証として、デジタル計測機器による溶接部形状の詳細測定、鋼床版Uリブ溶接溶け込み量の測定を実工事で実施することを計画しております。これらは既に計測精度等を確認し、実適用可能であることを検証しております。業界において、秀逸な独自検査技術として適用すべく、準備を進めております。

ニ.橋梁のRC床版、PC床版に対して、そのコンクリートの品質を最新の非破壊試験法にて検証する取り組みを行っております。調査・実験研究の結果、有効かつ相応な欠陥検出精度を有する非破壊検査方法を見出すことができました。本非破壊検査方法を使用して現場架設時におけるコンクリート構造物の品質保証を行うことを目指しております。

 

(2)鉄構事業

① 建築鉄骨の製作に関する技術開発

イ.「鉄骨梁端溶接接合部の脆性的破断防止ガイドライン」に呼応した溶接技術の開発

地震時に大規模な被害を防ぐ為には、鋼構造物の接合部(溶接部)が十分な変形能力を有していなければなりません。その為に制定された上述のガイドラインに記された高水準の目標値に挑む事は、当社の技術水準維持に有用であると考えます。昨年に引き続き、溶接組立箱型断面(通称:ビルトボックス)柱における角溶接及びエレクトロスラグ溶接に関し、溶接部の靭性向上及び作業効率化を目指し、開先角度・形状を含めた新たな溶接技術の開発に取り組んでまいります。

ロ.多機能・高性能溶接技術ロボットの導入

昨年より取り組んでおりました大口径厚肉鋼管への溶接ロボットの導入は一定の結果が出、その技術レベルの定着を図っております。また、近年は、深刻な溶接技能者不足、特に技能を継承すべき若年技能者の不足が顕著であり、それに対処すべく、発展の著しい溶接ロボットの中から、多機能かつ高性能なものを選定、将来的には工場内溶接作業の主力とすべくその導入に向けた検討作業に着手いたします。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり使用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2)当事業年度の経営成績の分析

 当事業年度の売上高は15,274,093千円(前年同期比7.7%減)と減少し、営業利益517,526千円(前年同期比31.8%減)、経常利益585,414千円(前年同期比31.4%減)、当期純利益619,067千円(前年同期比16.6%減)と各利益とも前年同期比では減少となりました。しかしながら、売上高以外は業績予想を上回る数字を残すことができました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 橋梁事業におきましては、鋼橋の総発注量が低水準で推移する中、新名神2区間着工決定・阪和道4車線化等の動きはあるものの、鋼橋発注を巡る環境は不透明感を増しております。しかし一方では「災害に強い国土」づくりに向け、補修・耐震等の保全事業への需要は高まっております。また東日本大震災の教訓に基づき、安全確保の観点から新しい道路網の整備が期待されます。

 鉄構事業におきましては、リーマンショック以来の長引く低迷と厳しい価格競争により、大手ファブリケータが建築鉄構事業からの撤退を表明するなど、Sグレードファブリケータには非常に厳しい環境が続くと予想されます。しかしながら、首都圏ではHグレードファブリケータの仕事量は回復の兆しが見え、また不動産会社が数千億円規模の再開発をプレス発表するなど首都圏不動産の活性化が期待されます。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社は平成23年3月期にて終了した「再生中期経営計画」の達成状況の反省を踏まえ、平成24年3月期より平成26年3月期までを「安定的な経営基盤確立」の期間と位置づけております。平成24年3月期は受注量が目標に届かず、売上高も業績予想を下回りましたが、生産現場での合理化努力を積み重ねた結果、利益面では業績予想を上回る結果を残すことができました。今後も「採算を意識した受注の確保」を最優先課題とし、強化された利益体質により、安定した業績を継続すべく努力いたします。東日本大震災の復興関連工事につきましては、良質な社会資本の提供を経営の基本としている企業として、経営資源の配分を見直し、「災害に強い国土」づくりに貢献できるよう事業を展開してまいります。

 また、橋梁事業・鉄構事業で永年培われた技術を、耐震・防災対策関連事業に展開すべく研究を続けてまいります。平成24年3月期には和歌山県・初湯川大橋補修工事において、アーチ橋の耐震補強に当社のシェイプアップブレースBrが採用されるなど、耐震・制震デバイスの需要は徐々に高まっております。東日本大震災以降は安全安心を最優先する考えが鮮明となっており、今後当社の新しい柱となるよう育ててまいります。

 当社は平成24年3月に無事創立80周年を迎えることができました。今後も橋梁事業・鉄構事業を経営の柱に、保全事業への本格的な取り組みも含め、新しい柱の開拓を推し進め、「災害に強い鋼構造物」を提供できる企業として創立100周年に向けて事業を展開してまいります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フロ−では467,751千円の使用(前年同期は939,933千円の獲得)となりました。これは主に増加要因としての税引前当期純利益の計上や減価償却費が、減少要因としての受取手形・完成工事未収入金の増加や工事損失引当金の減少を下回ったためであります。投資活動によるキャッシュ・フロ−では270,724千円の獲得(前年同期は55,161千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入が、投資有価証券の取得による支出と有形固定資産の取得による支出を上回ったからであります。財務活動によるキャッシュ・フロ−では611,339千円の獲得(前年同期は900,067千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加と配当金の支払いによるものであります。

 





出典: 高田機工株式会社、2012-03-31 期 有価証券報告書