有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国経済は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果が徐々に現れ、円高是正や株価上昇によって景況感が改善し、堅調な内需にも支えられて緩やかな回復基調で推移いたしました。

 当業界におきましては、橋梁事業では国土交通省を中心に新設鋼橋の発注量増加が期待されましたが、前事業年度並みにとどまりました。そのため受注環境は厳しい状態が継続し、受注量を確保できる会社とできない会社とで大きな格差が生じる結果となりました。鉄構事業では需要は着実に増加したものの、当社が得意とする超高層ビル等の大型プロジェクト案件の発注は首都圏に限定され、地元である関西圏ではほとんど案件のない状態が続きました。

 このような状況のもとで、当社は今年度最大の目標である「受注および利益目標の達成」を目指し、全社一丸となって取り組んでまいりました。しかしながら、橋梁事業では受注が低調に推移する中で手持ち大型橋梁工事の工場製作時期の遅れが重なり、橋梁工場の操業度は年度を通じて50%に届かず、固定費の吸収が難しい状態が続きました。さらに現場施工においても技能工不足等から原価高となる工事が相次ぎ、橋梁事業の採算は大きく悪化する結果となりました。鉄構事業では、前事業年度より繰り越した採算の厳しい案件の製作が中心となり、利益確保が難しい状況でありましたが、橋梁工場の操業度改善を図るために橋梁工場で鉄骨部材の製作を行いました。結果として加工内容の違いから生産効率は向上せず、通常でも利益確保が難しい鉄構工事の採算を大きく悪化させる事態となりました。

 また、鉄構事業につきましては、ここ数年収益性が低下していることから「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、将来の回収可能性を検討した結果、減損損失125,473千円を計上することといたしました。

 これらの結果、当事業年度の業績につきましては、売上高が11,308,570千円(前年同期比5.9%減)、営業損失2,088,169千円(前年同期は89,268千円の営業損失)、経常損失2,006,959千円(前年同期は27,125千円の経常利益)、当期純損失2,168,512千円(前年同期は38,491千円の当期純利益)と各利益とも前年同期から大きく減少する結果となりました。

 受注状況につきましては、橋梁事業では期初からの不振を年度終盤に盛り返したものの、前期実績にはわずかに届かず、鉄構事業では数年来の赤字受注を回避し、採算重視の受注を徹底したことで大きく受注量を減少させる結果となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

① 橋梁事業

 橋梁事業における当事業年度の売上高は7,680,156千円(前年同期比19.1%減)、セグメント損失は1,231,007千円(前年同期はセグメント利益552,864千円)となりました。また、受注高は8,286,285千円(前年同期比3.3%減)となり、当事業年度末の受注残高は8,689,108千円(前年同期比7.5%増)となりました。

② 鉄構事業

 鉄構事業における当事業年度の売上高は3,628,413千円(前年同期比43.6%増)、セグメント損失は857,161千円(前年同期はセグメント損失642,132千円)となりました。また、受注高は2,332,936千円(前年同期比24.6%減)となり、当事業年度末の受注残高は2,238,223千円(前年同期比36.7%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より180,887千円減少し、2,668,520千円となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は1,186,114千円(前年同期は2,024,888千円の獲得)となりました。これは主に大幅な税引前当期純損失の計上が、プラス要因である支払手形・工事未払金と未成工事受入金の増加を上回ったからであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は83,624千円(前年同期は299,672千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入を、投資有価証券の取得による支出と有形固定資産の取得による支出が上回ったからであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は1,088,851千円(前年同期は1,810,226千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加と配当金の支払いによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

7,400,366

△15.5

鉄構事業(千円)

3,459,722

63.2

合計(千円)

10,860,088

△0.2

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

8,286,285

△3.3

8,689,108

7.5

鉄構事業(千円)

2,332,936

△24.6

2,238,223

△36.7

合計(千円)

10,619,221

△8.9

10,927,331

△5.9

 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

前年同期比(%)

橋梁事業(千円)

7,680,156

△19.1

鉄構事業(千円)

3,628,413

43.6

合計(千円)

11,308,570

△5.9

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国土交通省

3,781,166

31.5

東日本高速道路㈱

2,522,162

22.6

中日本高速道路㈱

1,746,545

14.5

1,803,682

16.0

㈱大林組

1,640,286

14.5

大成建設㈱

1,158,141

10.2

2.前事業年度の東日本高速道路㈱、㈱大林組、大成建設㈱及び当事業年度の国土交通省については、売上高に占める割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 平成23年3月期に終了した「再生中期経営計画」の達成状況の反省を踏まえ、平成26年3月期までを安定的な経営基盤確立の期間と位置付け、売上高200億円・経常利益6億円を目標に経営を行ってまいりましたが、結果は大幅な目標未達となりました。橋梁事業・鉄構事業ともに事業環境が回復している中で、業績が大幅に悪化した原因は受注が低調に推移したことにあると真摯に反省し、引き続き「安定的な受注の確保」を最優先課題と位置付けあらゆる対策を講じて業績の回復に取組んでまいります

 そのために、平成26年4月から新たな運営体制へ移行し営業体制の強化を行うだけではなく、全社員がこれまで以上に利益の確保へのこだわりをもち、生産部門の技術力強化、組織力の充実、各現場におけるコスト低減の徹底等の意識を、改めて推進してまいります

 また、橋梁事業・鉄構事業で永年培われた技術に基づく制震関連製品が実績をあげつつあり中長期的に新しい事業の柱となるように尽力してまいります。

 それらを踏まえ、「新中期経営計画」の初年度となる今年度は「赤字からの脱却」、次年度は「飛躍への助走」、最終年度は「飛躍の年」と位置付け、その目標として平成29年3月期は、売上高200億円、経常利益6億円を目指します

 

 株式会社の支配に関する基本方針について

① 会社の支配に関する基本方針の内容

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者であるべきと考えております。

 そして、当社の企業価値及び株主共同の利益を最大化していくためには、中長期的な観点から、当社の企業価値を生み出す源泉を育て、強化していくことがもっとも重要であって、当社の財務及び事業の方針は、このような認識を基礎として決定される必要があるものと考えております。

② 当社を取り巻く経営環境と今後の取り組み

 当社の主力事業である橋梁事業を取り巻く環境は、国及び地方自治体の厳しい財政状況に加え公共事業費の削減などにより、鋼橋の総発注量が全盛期の3分の1程度まで落ち込んだ状況が続いております。平成25年度の鋼橋需要は、国土交通省を中心に発注量増加が期待されましたが、例年並みの発注量にとどまりました。そのため受注環境は厳しい状態が続き、受注量を確保できる会社とできない会社とで大きな格差が生じる結果となりました。ただ、平成26年度の橋梁事業では被災地復興関連の発注がいよいよ本格化し、新設鋼橋発注量は昨年度の発注量を上回ると期待できる環境にあります。鉄構事業では、需要は着実に増加したものの、当社が得意とする超高層ビル等の大型プロジェクト案件の発注は首都圏に限定され、地元である関西圏ではほとんど案件のない状態が続きました。平成26年度以降は、2020年の東京オリンピック開催決定の影響もあり、首都圏を中心に鉄骨需要はさらに高まる見込みであります。また、関西圏におきましても御堂筋沿いのビルの高さ規制緩和に伴い新たな需要が期待されます

 このような状況のもと、橋梁事業では、総合評価落札方式による入札対応を専門に行う「技術計画室」を中心に、常に客先ニーズを的確に把握し高い技術点評価の獲得を目指すとともに、和歌山工場が保有する大型岸壁や自動化された大型設備の優位性を最大限活用できるよう、「採算を意識した受注の確保」を行ってまいります。一方、鉄構事業では、当社が得意とする超高層ビル案件の発注の増加が見込まれる中、主要受注先である大手建設会社との関係強化をさらに深め、受注量確保と利益率向上を目指します。また、橋梁・鉄構事業で永年培われた技術に基づく制震関連製品が実績を上げつつあり、中長期的に新しい事業の柱となるように尽力してまいります

 平成25年度は、安定的な経営基盤確立の期間と位置づけた第3次中期経営計画の最終年度でありましたが大幅な目標未達となりました。新中期経営計画の初年度となる平成26年度は、年度方針を「危機意識をもって受注と利益の達成」、「顧客に信頼される品質と安全の確保」、「時代の変化を踏まえた教育の推進」及び「新たな鋼構造物関連事業への挑戦」と定め、引き続き「安定的な受注の確保」を最優先課題と位置づけ、あらゆる対策を講じて業績回復に全社一丸となって取り組んでまいります。

③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針が支配されることを防止するための取り組み

 当社は、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、平成26年6月26日開催の第85期定時株主総会において、有効期間を平成27年6月に開催される当社定時株主総会の終結の時までとする平時における「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を承認いただき導入しております。

④ 本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて

 本プランは、基本方針の考え方並びに平成17年5月27日に法務省及び経済産業省から公表された「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」、平成20年6月30日付の企業価値研究会報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所の適時開示規則に沿って設計され、これにより、当社株主及び投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができますので、本プランが当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。

 また、本プランは、不適切な大規模買付行為に対して、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動は本プランの規定に従って行われます。さらに、大規模買付行為に関して当社取締役会が評価、検討、代替案の提示、大規模買付者との交渉または対抗措置の発動を行う際には、外部の専門家等からの助言を得るとともに、当社経営陣から独立した外部の有識者と社外監査役から構成される独立委員会の意見を最大限尊重するものとし、独立委員会は、当社取締役の利益をはかることを目的とした助言・勧告を行ってはならないこととしております。このように本プランには、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。

 以上から、本プランが当社役員の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えております。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)公共事業への依存について

 当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施行を主事業としており、平成26年3月期末の受注残高においては鋼橋が約8割を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が予測と大幅に乖離する可能性は否定できず、その場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)主要原材料の価格変動等について

 当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できません。鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害・事故等による影響について

 当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の製品は非常に大きく重く、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおります。安全を最優先に業務を進めておりますが、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客の信頼を失墜し、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(4)金利変動による影響について

 将来の金利上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)時価変動による影響について

 当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社では、急変する事業環境に対応していくため、橋梁事業につきましては技術研究所の開発スタッフ及び設計部の担当者を中心として研究開発に取り組んでおります。鉄構事業につきましては鉄構本部の担当者を中心に実工事に対応しながら研究開発に取り組んでおります。

当事業年度における各セグメント別の主たる研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであり、研究開発費の総額は43,378千円であります。

 

(1)橋梁事業

① 支圧板方式による鋼ポータルラーメン橋の開発

我が国の道路橋は、公共工事の縮減に伴う初期建設コスト削減のみならず、平成24年度の道路橋示方書にも示されるように、維持管理の確実性と容易さが求められています。既設鋼橋の桁端部には、鋼桁や支承の腐食、疲労亀裂などの問題点があり、これらの桁端部の問題を解消できる構造として、我が国では鋼ポータルラーメン橋の採用が増加しております。鋼ポータルラーメン橋は、鋼桁とコンクリート橋台とを剛結することにより、支承と伸縮装置を省略できることから、建設時の初期コストやライフサイクルコストの削減とともに、維持管理性が容易になることが期待できます。一方で、これまでの鋼ポータルラーメン橋においては、橋台の剛結部基部に損傷が生じた場合、損傷の発見及び復旧が難しいこと、剛結部コンクリートの施工における配筋性の悪さやコンクリートの充填性に起因する品質確保の難しさなど、いくつかの課題が挙げられます。それらの課題を克服し、施工品質向上及び剛結部の合理化を目指すとともに、維持管理の確実性と容易さに配慮して剛結部天端で損傷させる、孔あき鋼板ジベルを配置した支圧板方式による鋼ポータルラーメン橋を、東日本高速道路株式会社、大阪市立大学と共同で研究・開発いたしました。今後は、更なる普及に向けて研究を進めてまいります。

 

② 耐震に関する技術開発

東日本大震災により、あらためて耐震補強の必要性が高まりました。当社ではすでに以下の耐震に関する技術開発に取り組んでおりますが、今後さらに研究を進めてまいります。

イ.シェイプアップブレースBr

アーチ橋やトラス橋の座屈拘束ブレース(製品名:シェイプアップブレースBr)を販売しており、実工事で適用されています。シェイプアップブレースは大成建設株式会社が開発した座屈拘束ブレースで、耐震・制震用ダンパーとして建築構造物では数多くの実績があり、市場から高い評価を受けている製品です。シェイプアップブレースBrは、大成建設株式会社と当社がこれまでの経験をもとに、屋外での長期防錆能力を高めた鋼橋用製品として開発したものです。

ロ.SBBR最大変位計

座屈拘束ブレースを用いたアーチ橋やトラス橋等では、座屈拘束ブレースの変位量を確認することで、大規模地震後の橋梁の安全性を推定することが出来ます。SBBR最大変位計は、無電源のシンプルな動作原理により、座屈拘束ブレースの最大変位量を記録、保持します。また、視認性に優れているため遠方より目視で座屈拘束ブレースの変位量が許容範囲であるかを判定することが出来ます。すでに実橋でも採用されており、今後は、シェイプアップブレースBrと合わせて、更なる適用範囲の拡大に向けて研究を進めてまいります。

ハ.せん断パネル型制震ストッパー

橋梁の耐震技術として、従来の反力分散構造や免震構造における問題を解消し、かつ経済的な制震ダンパー(製品名:制震ストッパー)を販売しております。既に、桁橋だけでなくアーチ橋、方杖ラーメン橋、PC橋への適用も含め250基以上が実工事で採用され、その他多くの引き合いをいただいております。今後は、更なる適用範囲の拡大に向けて研究を進めてまいります。

ニ.すべリッチ

既設支承の中には、大地震時の耐力は満足しないものの、常時の機能には全く問題ない支承が数多く存在しています。当社では既設支承を取替えず、固定支承を地震時のみ可動支承に改造することが可能な、支承可動化工法を開発いたしました。支承改造用の製品(製品名:すべリッチ)として既に販売を開始しており、実工事でも適用されています。今後は、更なる適用範囲の拡大に向けて研究してまいります。

ホ.ノックオフボルト

設計耐力で確実に破断するボルトを開発しました。建築・土木等の耐力コントロール用として適用可能です。橋梁では、レベル1地震動まで固定、レベル2地震動で破断するボルトとして、ノックオフ構造に適用します。今後は、更なる適用範囲の拡大に向けて研究を進めてまいります。

 

③ 鋼橋の製作技術及び品質検査技術の開発

イ.効率的かつ一定の品質水準を保持した鋼橋製作を目指し、有効な技術・技能伝承及び教育に関する資料を作成し、積極的に社内で共有化しております。また、大学機関と共同研究を行い、従来、経験データで対処していた溶接工程及び加熱を伴う鋼板の変形抑止、制御について数値解析を行っています。これにより、勘と経験に依存していたノウハウから、解析に裏付けされた手順・加工方法へ統合化することにより、更に一定の品質水準を保つ製品の生産が可能であると考えております。

ロ.製品の品質保証として、デジタル計測機器による最新の溶接部非破壊検査を今後適用していきます。業界において、秀逸な検査技術を率先して適用すべく、準備を進めております。

ハ.橋梁のRC床版、PC床版に対して、そのコンクリートの品質を最新の非破壊試験法にて検証する取り組みを行っております。調査・実験研究の結果、有効かつ相応な欠陥検出精度を有する非破壊検査方法を見出すことができ、研究論文とし発表しております。一方、鋼板部材とコンクリート部材を有する合成床版に対する完成後品質検査として、非破壊検査法開発を進めており、前者と併せて、現場架設時における種々のコンクリート構造物の品質保証を行うことを目指しております。

ニ.技術研究所内の載荷実験装置として、業界でも有数であるサーボ制御方式1000kNアクチュエータを保有しております。前述の耐震装置に対する実証実験時に、本アクチュエータによる有効なデータを取得しております。今後も、稼働ノウハウを駆使することにより、各種載荷実験に適用し、迅速な開発データが得られるよう活用していきます。

 

(2)鉄構事業

① 建築鉄骨の高性能化に対応した溶接技術の開発

近年の大型都市再開発プロジェクトにおける建築鉄骨は、耐震を目指した単なる高強度化だけではなく、制震・免震といった言葉に代表される様に、高品質化・高性能化への高い要求があります。

鋼材においても、JIS規格品及び大臣認定品に加えて、各鋼材メーカーによる独自の新規鋼材の開発も続いており、それに追随する形で溶接材料メーカーによる新溶接材料の開発も進んでおります。

そういった状況下、首都圏の著名再開発案件に参画し続ける中で、鋼材と溶接材料の各種組合せにより実施した施工試験結果を分析し、更には鋼材メーカー・溶接材料メーカーから提供された技術情報と当社からの技術提案等の意見交換を重ねることで、高性能化に対応出来る溶接技術の開発に努めております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり使用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2)当事業年度の経営成績の分析

 当事業年度の売上高は11,308,570千円(前年同期比5.9%減)と減少し、営業損失2,088,169千円(前年同期は89,268千円の営業損失)、経常損失2,006,959千円(前年同期は27,125千円の経常利益)、当期純損失2,168,512千円(前年同期は38,491千円の当期純利益)と各利益とも前年同期から大きく減少する結果となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 橋梁事業では被災地復興関連の発注がいよいよ本格化し、新年度の新設鋼橋の発注量は平成25年度の発注量を上回ると予想されます。

 鉄構事業では2020年の東京オリンピック開催決定に伴い首都圏を中心に鉄骨需要はさらに高まる見込みであります。また関西圏におきましても、御堂筋沿いのビルの高さ規制緩和に伴い新たな需要が期待されます。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 平成23年3月期に終了した「再生中期経営計画」の達成状況の反省を踏まえ、平成26年3月期までを安定的な経営基盤確立の期間と位置付け、売上高200億円・経常利益6億円を目標に経営を行ってまいりましたが、結果は大幅な目標未達となりました。橋梁事業・鉄構事業ともに事業環境が回復している中で、業績が大幅に悪化した原因は受注が低調に推移したことにあると真摯に反省し、引き続き「安定的な受注の確保」を最優先課題と位置付けあらゆる対策を講じて業績の回復に取組んでまいります

 そのために、平成26年4月から新たな運営体制へ移行し営業体制の強化を行うだけではなく、全社員がこれまで以上に利益の確保へのこだわりをもち、生産部門の技術力強化、組織力の充実、各現場におけるコスト低減の徹底等の意識を、改めて推進してまいります

 また、橋梁事業・鉄構事業で永年培われた技術に基づく制震関連製品が実績をあげつつあり中長期的に新しい事業の柱となるように尽力してまいります。

 それらを踏まえ、「新中期経営計画」の初年度となる今年度は「赤字からの脱却」、次年度は「飛躍への助走」、最終年度は「飛躍の年」と位置付け、その目標として平成29年3月期は、売上高200億円、経常利益6億円を目指します

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フロ−では1,186,114千円の使用(前年同期は2,024,888千円の獲得)となりました。大幅な税引前当期純損失の計上が、プラス要因である支払手形・工事未払金と未成工事受入金の増加を上回ったからであります。投資活動によるキャッシュ・フロ−では83,624千円の使用(前年同期は299,672千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入を、投資有価証券の取得による支出と有形固定資産の取得による支出が上回ったからであります。財務活動によるキャッシュ・フロ−では1,088,851千円の獲得(前年同期は1,810,226千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加と配当金の支払いによるものであります。

 





出典: 高田機工株式会社、2014-03-31 期 有価証券報告書