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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

(単位:百万円、カッコ内は前期比% △はマイナス)

受注高
売上高
営業利益
繊維機械事業
16,726
(△55.4%)
24,611
(△41.0%)
△1,041
(前期営業利益1,767百万円)
工作用機器事業
8,130
(△4.1%)
8,620
(+2.5%)
557
(△52.6%)
その他の事業
1,382
(+0.3%)
1,388
(+0.6%)
△118
(前期営業利益50百万円)
合 計
26,239
(△44.6%)
34,620
(△32.8%)
△602
(前期営業利益2,993百万円)

当期のわが国経済は、原油や原材料価格の高騰に引き続き金融危機に端を発した世界経済の混乱や急激な円高により、急速に後退した。また、雇用や消費にも深刻な影響が現れ、経済の先行きが見えない状況となっている。

こうした中、当社グループは、中核である繊維機械事業の受注確保と収益性の改善、工作用機器事業の拡大に注力した。

工作用機器事業は、海外市場や建設機械、航空機等の重厚長大産業向け製品を中心に、期間を通しておおむね堅調に推移した。一方、繊維機械事業では、中心市場である中国やインドにおいて、金融引締め政策や為替高、欧米経済の景気後退などの影響から受注・売上ともに大幅な減少を余儀なくされた。

この結果、当期の受注高は26,239百万円(前期比44.6%減)、売上高は34,620百万円(同比32.8%減)となり、ともに大幅な減少となった。損益面では、工作用機器事業では前年度に引き続き利益を確保したものの、繊維機械事業が第3四半期以降、生産・売上の減少に伴い赤字となったため、全体では営業損失602百万円(前期 営業利益2,993百万円)、経常損失619百万円(前期 経常利益3,184百万円)の損失計上となった。特別損益では、投資有価証券売却益を計上したものの株価下落による投資有価証券評価損の発生もあり、当期純損失は715百万円(前期当期純利益2,130百万円)となった。

セグメント別の概況は次のとおりである。

 

① 繊維機械事業

主力市場である中国市場では、当期の初めから金融引締め政策が続き、新規の商談が停滞した。北京オリンピック以降には金融の緩和措置がとられ、その効果が期待されたが、秋以降には金融危機により欧米経済が急激に減速したため、市場環境は一段と悪化した。その結果、中国向けの受注高は8,961百万円(前期比66.1%減)、売上高は15,260百万円(同比46.3%減)と大きく減少した。

中国に次ぐ市場として期待しているインド市場では、一時停止されていた技術改善基金(TUF:政府が行う借入利子補助政策)が再開されたが、通貨ルピーの上昇や原綿高によりインドの繊維製品の輸出競争力が低下したため、大きな盛り上がりには至らなかった。

その他の市場においても、積極的な販売活動に注力しているが、低調に推移した。

こうした市場環境のもと、開発面では、新設計のZW8100型ウォータジェットルームを開発し、平成20年7月に中国上海市で開催された国際繊維機械展(ITMA ASIA+CITME2008)で発表した。また、平成20年5月には、株式会社 豊田自動織機との共同出資によりサイジングマシンなどの準備機械の販売を行う新会社「株式会社T-Tech Japan」を設立し、両社のノウハウを活かした世界トップクラスの製品開発・販売をめざしている。

しかしながら、中国市場の落ち込みの影響は大きく、全体の受注高は16,726百万円(前期比55.4%減)、売上高は24,611百万円(同比41.0%減)と大幅に減少した。損益面では、前年度の契約案件が売上計上された第2四半期までは、販売価格の改善効果が表れて利益を確保したが、第3四半期以降は、生産・売上水準の大幅な落ち込みにより赤字計上を余儀なくされたため、通期では営業損失1,041百万円(前期営業利益1,767百万円)の損失計上となった。 

 

② 工作用機器事業

当期においては、建設機械、航空機等の重厚長大産業向けの特注大型NC円テーブルなどを中心に、おおむね堅調に推移した。また、欧米市場の需要も堅調に推移した。秋口以降には、金融危機の影響により工作機械業界の受注が急速に減少し、当社製品の受注にも影響が出始めているが、当期の業績については大きな影響は出ていない。

こうした状況の中、本社繊維機械工場の一部を工作用機器製品の生産にシフトするなど、生産能力の増強に注力した。また顧客の厳しい短納期要求やサービス対応に応えるため、中国市場で現地人技術者を養成してNC円テーブル(RNシリーズ)の組付・据付作業の現地化体制を整えたほか、欧州市場(ドイツ)にパーツセンターを立ち上げた。また、国内市場では愛知県名古屋市に中部サービスセンターを開設している。

開発面では国内向けに、小型立マシニングセンター用の新型Vis型マシンバイスを市場投入した。また、新製品であるミーリングヘッドの販売を開始し、今後の拡大を図っている。

この結果、受注高は8,130百万円(前期比4.1%減)と減少したものの、売上高は8,620百万円(同比2.5%増)と増加した。一方、損益面では、特注大型NC円テーブルの増加に伴う生産効率の低下、人員投入に伴う営業費用の増加などにより、営業利益は557百万円(同比52.6%減)にとどまった。

 

③ その他の事業

鋳鉄鋳物部門は繊維機械用部品の生産に注力する一方、外販受注活動を積極的に展開した。また、連結子会社である共和電機工業株式会社においても、繊維機械用部品の生産に注力するとともに外部販売の強化に努めている。この結果、受注高は1,382百万円(前期比0.3%増)、売上高は1,388百万円(同比0.6%増)となったものの、採算面は厳しく営業損失118百万円(前期営業利益50百万円)となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,566百万円増加し16,069百万円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失708百万円の計上、仕入債務の減少や法人税等の支払等があったが、売上債権の大幅な減少や減価償却費の増加等により、3,081百万円(前年同期 9,108百万円)となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等があったものの、有形固定資産の取得による支出等により、マイナス1,237百万円(前年同期 マイナス1,139百万円)となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入があったものの、短期借入金の返済による支出及び配当金の支払等により、マイナス277百万円(前年同期 マイナス460百万円)となった。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
繊維機械事業
20,319
59.7
工作用機器事業
8,788
103.5
その他の事業
1,268
100.4
合計
30,376
69.3

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていない。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
受注高
(百万円)
前年同期比(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
繊維機械事業
16,726
44.6
1,253
13.7
工作用機器事業
8,130
95.9
1,729
77.9
その他の事業
1,382
100.3
24
81.6
合計
26,239
55.4
3,007
26.4

(注) 金額には消費税等は含まれていない。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
繊維機械事業
24,611
59.0
工作用機器事業
8,620
102.5
その他の事業
1,388
100.6
合計
34,620
67.2

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりである。

 

相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
丸紅テクマテックス㈱
28,244
54.9
15,533
44.9

2 本表の金額には消費税等は含まれていない。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループの活動分野は主として繊維機械ならびに工作機械産業である。ともに専門性が高い分野であり、最高の技術と品質を強みとして、全世界を市場とした営業を展開している。反面、これらの業界は好不況の波が激しい業界である。特に近年では、中国やインドなど新興諸国が主力事業の繊維機械事業の中心市場になっており、政府の経済・金融政策の変更に伴う影響を大きく受けている。 また、世界的な金融危機に伴う経済混乱と為替の変動の影響から、輸出比率が高い当社グループにおいては繊維機械事業、工作用機器事業ともに需要の停滞が著しくなっており、有効な経営指標の策定・維持が難しい環境にある。

こうした環境の中ではあるが、製造業の基本に立ち返り、適正な財務体質を維持しつつ、既存製品の性能向上や生産効率の向上を図っていく。また、新規技術や新製品の開発に注力し、製品ブランドを強化して、来るべき景気回復に備える。さらに業績の安定化を図るため、繊維機械事業のスリム化と工作用機器事業の拡大を図っていく。

 

① 繊維機械事業のスリム化と工作用機器事業の拡大

繊維機械事業については、当面、中国ならびにインド市場などが中心となっていくと想定している。いずれの市場においても、織布工程の近代化が課題となっており、最新設備に対する設備投資意欲は衰えていない。当事業としては、事業規模の拡大を指向せずに、高性能繊維機械の開発、品質管理体制と生産体制の整備を進めることで事業部門をよりスリム化して、利益を確保できる体質への転換を図っていく。

工作用機器事業については、世界的な経済混乱の影響から設備投資が急激に冷え込んでいるが、生産効率の向上と生産能力の拡大を図っていく。また、欧州やアジア地域など海外市場の開拓を進めるとともに、ミーリングヘッドなど新たな製品分野の開発を強化し、事業の拡大と安定的な利益確保をめざす。

 

② ブランド力の向上

生産機械メーカーとして、高い基本性能と品質の製品を顧客に提供するとともに、専門性を活かした技術サポートとノウハウを効率的に提供していくことがブランド力構築の重要課題である。そのため、ISO9001品質マネジメントシステムなどの品質管理体制強化や、主要市場である中国をはじめ、インド、パキスタンなど、各国で現地サービスエンジニアを養成して現地語でのサービス体制の構築をめざしていく。

 

③ 新規事業分野の開拓

新規事業分野に関しては、繊維機械事業、工作用機器事業におけるコア技術の応用から新製品の開発を進めるとともに、社会的な要求が高い分野での貢献をめざして事業の具体化を図っていく。

 

④ 人材の育成

メーカーとして開発・製造・品質の強化を実現するためには、個々の従業員の成長と技術・技能レベルの向上が欠かせない。平成20年度からスタートしている技能教育プログラムを充実するとともに、大学などの外部研究機関との交流を活性化するなど、教育制度・教育機会の充実を図っていく。

 

⑤ その他の事業の強化

鋳物鋳造事業の外部販売強化をはじめ、連結子会社で行なっている各事業の強化・拡大を図っていく。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは輸出比率が高く、現在の異常な円高環境においては、繊維機械事業、工作用機器事業ともに、海外競合メーカーとの価格競争力低下の原因となる。また、繊維機械事業においては中国向けが大きな比率となっており、中国の金融引締めなど金融・経済政策の影響を受けやすくなっている。このような状況から、主に次の要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があると考えている。なお、当該事項は当連結会計年度末(平成20年11月30日)現在において判断したものである。

① 為替変動リスク

② 中国・インドの金融・経済変動リスク

③ 欧米の景気後退リスク

④ 直接貿易取引上のリスク

⑤ 原料・素材価格の高騰リスク

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はない。

 

6 【研究開発活動】

研究開発については、世界市場での優位性を確保するため、引き続き多様性、高度化するマーケットニーズに応え戦略製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,427百万円である。

当連結会計年度における各事業の主な研究開発活動は次のとおりである。

 

(1) 繊維機械事業

当社が中心となり、主力機種であるエアジェットルーム「ZAX9100」において、レピアルーム分野進出の一環として、カーシートやウールなど高付加価値織物分野での製織技術確立に注力した。また、産業資材分野であるタイヤコード製織用の織機母体と周辺機器を含む製織システムの開発に取り組んだ。ウォータジェットルームでは、高生産性と省エネの両立を特徴とする新機種「ZW8100」をITMA ASIA+CITME2008に出展した。また、スポーツ向け細繊度糸使いの高密度織物に対応する製織技術の確立に取り組んだ。準備機械では、㈱T-Tech Japan設立に伴い、ワーパ、サイザ、ビーマの新ブランドのラインナップを整備し、生産を開始した。また、世界のトップブランドを目指すべく「新型スパンサイザ」の開発を強化している。
 一方で、繊維機械で培った張力制御技術をベースに、先端素材として用途の拡大が見込まれている先端複合素材の自動積層機を開発し、周辺設備も含め航空機関連メーカに納入した。また、先端高機能素材の製織工程を担う専用織機を併せて開発しており、素材から最終製品に至る各工程での研究開発を進めている。

当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は997百万円である。

 

(2) 工作用機器事業

当社が中心となり、主力製品である傾斜NCロータリテーブル「TNシリーズ」において更なる高剛性を実現すべく改良設計を推進し、IMTS2008に「TN-161,201」を出展している。さらに、JIMTOF2008には、航空機や金型業界などにおける高能率、高品位加工実現のための工作機械の多軸化要求に応えるべく研究開発を進め、2軸DD(ダイレクトドライブ)ミーリングヘッド「MHシリーズ」や電極加工や医療分野を視野に入れた小型2軸DDテーブルを出展した。
 また、当社ならではの重厚長大産業向けの大型テーブルの機種充実に加え、長年培ったワークホールド技術を活かすことが出来る新製品として、大型長大ワークのクランパとしての需要が見込める4つ爪インデペンデントチャックの開発を行い、市場投入した。

当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は430百万円である。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、当連結会計年度末(平成20年11月30日)現在の連結財務諸表等に基づいて分析した内容である。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

 

(1)当連結会計年度末の財政状態の分析

①資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9,911百万円減少し41,617百万円となった。主として、売上高の減少に伴う売上債権の減少によるものである。

負債は、前連結会計年度末に比べ8,452百万円減少し16,164百万円となった。生産の減少による仕入債務の減少によるものである。

純資産では、当期純損失715百万円を計上したこと等から、前連結会計年度末に比べ1,458百万円減少し25,453百万円となり、自己資本比率は57.9%となった。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの経営成績は売上高34,620百万円、営業損失602百万円、経常損失619百万円、当期純損失715百万円となった。
 「第2事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載したとおり、工作用機器事業は期間を通して堅調に推移した。一方、繊維機械事業は中心市場である中国で金融引き締め政策が続き、新規商談が停滞し、また秋以降の金融危機による欧米経済の景気後退の影響から売上は大きく減少した。この結果、全体の売上高は前期比32.8%減少の34,620百万円となった。
 繊維機械事業の生産減少による生産効率の悪化等により売上原価率は前連結会計年度に比べ4.5%上昇し89.6%となった。売上の減少に伴い荷造運送費等の発生が減少したことから販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ481百万円減少の4,204百万円となった。

営業外収益は前連結会計年度に発生した有価証券売却益の計上がなくなったことから、前連結会計年度に比べ175百万円減少し、105百万円となった。営業外費用は為替差損の発生等により前連結会計年度に比べ31百万円増加し、122百万円となった。
 特別利益は投資有価証券売却益を192百万円計上したこと等により206百万円となった。特別損失は株価下落による投資有価証券評価損230百万円の計上等により、295百万円となった。

 

 





出典: 津田駒工業株式会社、2008-11-30 期 有価証券報告書