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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

(単位:百万円、カッコ内は前期比% △はマイナス)

 
受注高
売上高
営業利益
繊維機械事業
11,821
(△29.3%)
9,189
(△62.7%)
△3,818
(前期営業損失1,041百万円)
工作用機器事業
2,368
(△70.9%)
3,301
(△61.7%)
△1,948
(前期営業利益557百万円)
その他の事業
886
(△35.9%)
893
(△35.7%)
△606
(前期営業損失118百万円)
合 計
15,076
(△42.5%)
13,384
(△61.3%)
△6,373
(前期営業損失602百万円)

当連結会計年度のわが国経済は、金融危機が実体経済に深刻な影響を及ぼす中、輸出の減少と急激な円高、消費の低迷などによって企業収益は著しく悪化し、設備投資が急速に冷え込んだ。また、雇用情勢の悪化にも歯止めがかからず、深刻な景気後退が進んだ。後半には政府の積極的な経済対策により一部で回復の兆しが見られるものの、不安定要素は多く、予断を許さない状況が続いている。こうした中で当社グループは受注の確保と製品開発に注力するとともに、全社の業務効率化とコスト削減を進めた。さらに、近い将来の需要拡大が見込まれる炭素繊維・複合素材に関する事業を行うコンポジット機械部を新設するなど、中長期的な課題にも取り組んだ。しかし、繊維機械事業、工作用機器事業ともに主要市場の大幅かつ急激な冷え込みにより、受注・売上ともに過去に例を見ない低水準となった。また、生産面でも長期間にわたる生産調整を余儀なくされた。
 この結果、当期の受注高は15,076百万円(前期比42.5%減)、売上高は13,384百万円(同比61.3%減)と異常な水準まで落ち込んだ。このため、損益面でも、営業損失6,373百万円(前期営業損失602百万円)、経常損失6,474百万円(前期経常損失619百万円)と大幅な赤字計上を余儀なくされた。特別損益では、減損損失の計上に加え、今後発生することが見込まれるPCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物の処理費用を環境対策引当金として特別損失に計上したこともあり、当期純損失は6,651百万円(前期当期純損失715百万円)となった。
 事業の種類別セグメントごとの概況は次のとおりである。

 

① 繊維機械事業

主力市場である中国市場では、平成20年の年末から平成21年初めにかけ、金融危機の影響により新規の商談がまったく進まない状況に陥った。しかし春以降、中国政府の大規模な景気対策の効果が中国経済全般に浸透するとともに中国国内の内需が活性化し、繊維業界においても設備投資意欲の改善が見られるようになった。また、中国国内向け織物においても、輸出用織物と同様によりよい織物品質を求める意識が強くなっている。こうした市場の意識変化に対し、当社ジェットルームによる織物品質の高さをアピールした。結果、大変厳しい価格競争はあったものの高い織物品質が認められ、従来は中国製織機による製織が中心であった基礎的な織物分野で当社ウォータジェットルームの受注が増加した。しかしながら、当該機種は低価格仕様が中心であったことから中国向けの受注高は7,602百万円(前期比15.2%減)、売上高は5,226百万円(同比65.8%減)にとどまっている。
 その他の市場においては、織布業界の近代化に向けた設備更新の意欲は引き続き高いものの、金融危機の影響が大きく、低調に推移した。こうした環境の中、ウォータジェットルームの生産コストの削減を図る一方、開発面では産業資材用織物への対応を進め、タイヤコード製織用のエアジェットルーム「ZAX9100TC」と炭素繊維用のレピアルーム「CR3300」を新たに開発した。
 この結果、全体では特に期間前半の落ち込みが大きく影響し、繊維機械事業の受注高は11,821百万円(前期比29.3%減)にとどまり、売上高は9,189百万円(同比62.7%減)となった。損益面でも生産低下の影響により営業損失は3,818百万円(前期営業損失1,041百万円)となった。

 

② 工作用機器事業

金融危機の影響で各種製造業の設備投資が冷え込む中、当事業の主要な販売先である工作機械業界の需要は急激かつ大幅に減少したが、夏以降は徐々に回復の兆しが表れ始めている。こうした中、当社は当社の特徴である大型NC円テーブルの開発、販売に注力した。その結果、従来からの航空機・造船業界向けのほか、発電機の大型タービンを加工する大型NC円テーブル・傾斜テーブルなどを受注し、エネルギー関連市場への足がかりを築くことができた。また、5軸加工など加工の効率化を求める顧客から新製品であるミーリングヘッドの受注を受けた。
 しかしながら、業界全体の需要後退の影響を避けることはできず、工作用機器事業の受注高は2,368百万円(前期比70.9%減)、売上高3,301百万円(同比61.7%減)となり、営業損失は1,948百万円(前期営業利益557百万円)となった。

 

③ その他の事業

鋳鉄鋳物部門は、繊維機械部品の生産が減少する中、外販製品の取り込みに注力した。その結果、自動車関連業界から鋳物部品の生産を委託されるなど成果が出始めた。連結子会社である共和電機工業㈱については、設備投資減少の影響を受け、低調に推移した。
 この結果、その他の事業の受注高は886百万円(前期比35.9%減)、売上高893百万円(同比35.7%減)となり、営業損失は606百万円(前期営業損失118百万円)となった。  

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,096百万円減少し14,972百万円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失6,997百万円の計上等により、マイナス4,697百万円(前期 3,081百万円)となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、マイナス1,359百万円(前期 マイナス1,237百万円)となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期及び長期借入による収入があったことにより、4,960百万円(前期 マイナス277百万円)となった。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
繊維機械事業
8,602
42.3
工作用機器事業
3,446
39.2
その他の事業
806
63.6
合計
12,856
42.3

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていない。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
受注高
(百万円)
前期比(%)
受注残高
(百万円)
前期比(%)
繊維機械事業
11,821
70.7
3,796
326.2
工作用機器事業
2,368
29.1
796
46.0
その他の事業
886
64.1
107
94.0
合計
15,076
57.5
4,700
156.3

(注) 金額には消費税等は含まれていない。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと次の通りである。

 

事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
繊維機械事業
9,189
37.3
工作用機器事業
3,301
38.3
その他の事業
893
64.3
合計
13,384
38.7

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりである。

 

相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
丸紅テクマテックス㈱
15,533
44.9
5,250
39.2

2 本表の金額には消費税等は含まれていない。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループの活動分野は主として繊維機械ならびに工作機械産業である。ともに専門性が高い分野であり、最高の技術と品質を強みとして、全世界を市場とした営業を展開している。反面、これらの業界は好不況の波が激しい業界である。特に近年では、中国やインドなど新興諸国が主力事業の繊維機械事業の中心市場になっており、各国政府の金融・経済政策の変更に伴う影響を大きく受けている。また、世界的な金融危機に伴う経済混乱と為替の変動の影響から、輸出比率が高い当社グループにおいては繊維機械事業、工作用機器事業ともに需要の停滞が著しくなっており、有効な経営指標の策定・維持が難しい環境にある。こうした環境の中ではあるが、製造業の基本に立ち返り、適正な財務体質を維持しつつ、既存製品の性能向上や生産効率の向上を図っていく。また、新規事業分野や新技術、新製品の開発に注力し、経営の安定化を図っていく。

 

 ① 繊維機械事業の安定化と非繊維機械事業の拡大

繊維機械事業については、当面、中国ならびにインド市場などが中心となっていくと想定している。いずれの市場においても、織布工程の近代化が課題となっており、最新設備に対する設備投資意欲は衰えていない。開発・調達・生産・販売などあらゆる業務において選択と集中の作業を進め、事業全体の効率化と固定費の圧縮を図ることで、業況の変動に耐え得る、利益が確保できる体質への転換を図っていく。非繊維機械事業の中核である工作用機器事業については、世界的な経済混乱の影響から設備投資が急激に冷え込んでいるが、生産効率の向上と生産能力の拡大を図っていく。また、欧州やアジア地域など海外市場の開拓を進めるとともに、ミーリングヘッドなど新たな製品分野の開発を強化し、事業の拡大と安定的な利益確保をめざす。また、鋳造事業の外部販売強化や新規事業の立ち上げを通して非繊維機械事業の拡大を図っていく。

 

 ② 世界トップブランドの構築

生産機械メーカーとして、高い基本性能と品質の製品を顧客に提供するとともに、専門性を活かした技術サポートとノウハウを効率的に提供しながら、市場における一定のシェアの確保を図っていく事がブランド力向上の重要課題である。そのため、ISO9001品質マネジメントシステムなどの品質管理体制強化や、主要市場である中国をはじめ、インド、パキスタンなど、各国で現地サービスエンジニアを養成してサービス体制の充実をめざしていく。

 

③ 新規事業分野の開拓

新規事業分野に関しては、平成21年9月に設置したコンポジット機械部(新規事業部改組)において、航空機部品をはじめ今後の用途拡大が見込まれる炭素繊維、複合素材の加工機械等の開発と販売活動を進めている。繊維機械事業、工作用機器事業における他の産業分野にない独自性の高いコア技術を活かし、新分野の製品開発を進めるとともに、他の新たな分野でも事業開拓を進めていく。

 

④ 人材の育成

メーカーとして開発・製造・品質の強化を実現するためには、個々の従業員の成長と技術・技能レベルの向上が欠かせない。平成20年度からスタートしている技能教育プログラムを充実するとともに、大学などの外部研究機関との交流を活性化するなど、教育制度・教育機会の充実を図っていく。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは輸出比率が高く、為替変動をはじめ国際経済の変動の影響を強く受ける可能性がある。また、中国やインドなど新興国市場が主力市場となる中、各国の金融・経済政策の影響を受けやすくなっている。このような状況から、主に次の要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があると考えている。なお、当該事項は当連結会計年度末(平成21年11月30日)現在において判断したものである。
① 為替変動リスク
② 中国・インドの金融・経済変動リスク
③ 欧米の景気後退リスク
④ 直接貿易取引上のリスク
⑤ 原料・素材価格の高騰リスク

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はない。

 

6 【研究開発活動】

研究開発については、世界市場での優位性を確保するため、引き続き多様性、高度化するマーケットニーズに応え戦略製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,342百万円である。

当連結会計年度における主な事業の研究開発活動は次のとおりである。

 

(1) 繊維機械事業

当社が中心となり、主力機種であるエアジェットルーム「ZAX9100」において、成長が期待される産業資材分野のタイヤコード製織用の織機母体と周辺機器を含む製織システムの研究・開発に取り組み、従来機種の2倍近い生産性と、10%以上の省エネルギーを実現した。ウォータジェットルームでは、高生産性と省エネルギーの両立を特徴とする新機種「ZW8100」を市場投入し、仕様の拡大に取り組んだ。レピアルームでは航空機などに採用が拡大している炭素繊維の製織システムとして、クリールスタンドから別巻取装置までをパッケージとした「CR3300」を開発した。準備機では、世界のトップブランドを目指す「新型スパンサイザ」の開発を強化し、㈱T-Tech Japanの新ブランド確立に注力した。
 また、織機と準備機の両方を持つ弊社の強みを生かし、ウールやスポーツ向け細繊度糸使いの高密度織物など高付加価値織物分野の製織技術の確立に注力した。繊維機械全般の研究テーマに「省エネルギー」を掲げ、省電気・省エア・省水などそれぞれの機種に於いて研究・開発を進めている。

当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は789百万円である。

 

(2) 工作用機器事業

当社が中心となり、NCロータリテーブル、バイスに続く第3の主力製品としてミーリングヘッド「MHFDシリーズ」「MZFシリーズ」の開発、市場投入に注力した。また、コンパクトを要求されるミーリングヘッド用スピンドルに関しては内製化に向けてのノウハウ蓄積を目指した研究に取組んだ。NCロータリテーブルにおいては、インフラ・発電業界での大型部品の姿勢制御用途に応えるべく、φ2500mm径の立置きテーブルの開発に注力するとともに、標準大型テーブルの市場競争力の更なる強化のための開発に着手した。また、旋回軸に対する市場要求の高度化に応えるべく、従来から採用しているウォームギヤの更なる性能追及をはじめとする駆動機構の開発・改良にも注力している。

当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は429百万円である。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、当連結会計年度末(平成21年11月30日)現在の連結財務諸表等に基づいて分析した内容である。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

 

(1)当連結会計年度末の財政状態の分析

①資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ4,295百万円減少し37,321百万円となった。主として、受注・売上高の減少に伴う売上債権及びたな卸資産の減少によるものである。

負債は、前連結会計年度末に比べ2,830百万円増加し18,994百万円となった。短期及び長期の借入金の増加によるものである。

純資産では、当期純損失6,651百万円を計上したこと等から、前連結会計年度末に比べ7,126百万円減少し18,326百万円となり、自己資本比率は46.43%となった。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの経営成績は売上高13,384百万円、営業損失6,373百万円、経常損失6,474百万円、当期純損失6,651百万円となった。
 「第2事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載したとおり、繊維機械事業・工作用機器事業ともに主要市場の大幅かつ急激な冷え込みにより、受注・売上ともに低水準となり、生産調整を余儀なくされている。この結果、全体の売上高は前期比61.3%減少の13,384百万円、売上原価率は前期比34.5%上昇の124.1%となった。販売費及び一般管理費においては売上減少に伴う荷造運搬費等の減少により前連結会計年度に比べ1,058百万円減少の3,145百万円となった。営業外収益は消費税・法人税等の還付加算金が発生したものの、受取利息の減少等による影響から前連結会計年度に比べ18百万円減少の87百万円となった。一方、営業外費用は借入金の増加に伴う支払利息の増加等により前連結会計年度に比べ65百万円増加し、187百万円となった。

特別利益は貸倒引当金戻入額の計上により4百万円となった。特別損失は環境対策引当金繰入額157百万円、減損損失353百万円の計上等により、527百万円となった。

 





出典: 津田駒工業株式会社、2009-11-30 期 有価証券報告書