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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)経営成績に関する分析

① 当連結会計年度の概況 

 当連結会計年度における世界経済は一部の地域において景気が下振れするリスクがあるものの、各国の景気刺激策の政策効果等によって景気は全体として回復傾向にあります。わが国経済においては、一部で持ち直しが見られておりましたが、東日本大震災の影響により弱い動きが見られ、先行きは不透明なものとなっております。

 日揮グループの総合エンジニアリング事業に最も関係の深い産油・産ガス諸国では、旺盛なエネルギー需要に加え、原油価格の高止まりおよびプラントコストの下げ止まり感から、引き続き各国において設備投資が計画され、実行に移されております。特に中東においては人口増加および都市化の進展により、天然ガスを燃料とする発電・造水プラントなどの需要が増加しており、天然ガス開発の拡大が進んでおります。また、東南アジア・オセアニアにおいてはLNGを中心とした天然ガス関連プロジェクトが計画され、順次実行に移されております。

 なお、東日本大震災の影響につきましては、日揮グループにおいて、一部で物的被害は生じたものの通常どおり業務を遂行しており、業績への影響はありません。また、中東・北アフリカ地域の一部で大規模な民主化運動が発生している国がありますが、これらの国々で進行中のプロジェクトはなく、現在のところ業績への影響はございません。

 このような状況のもと、日揮グループの当連結会計年度の業績などについては、以下のとおりとなりました。

 

    経営成績                                         

 

当連結会計年度
(百万円)

前年同期増減率(%)

当事業年度(単体)
(百万円)

前年同期増減率(%)

売上高

447,222

8.0

359,560

13.2

営業利益

63,559

51.6

51,918

61.5

経常利益

63,395

55.3

56,266

65.9

当期純利益

25,477

△6.0

22,852

7.4

  

 

    受注高

地域

当連結会計年度
(百万円)

 割合(%)

当事業年度(単体)
(百万円)

 割合(%)

海外

504,157

81.6

490,006

86.1

国内

114,045

18.4

79,121

13.9

合計

618,203

100.0

569,128

100.0

 
 この結果、当連結会計年度末の受注残高は、契約金額の修正・変更および為替変動による修正を加え、連結受注残高1兆1,896億円、単体受注残高1兆1,630億円となりました。 

 

② セグメント別状況
総合エンジニアリング事業

 EPC(設計・調達・建設)ビジネスでは、産油・産ガス諸国において積極的な受注活動に取り組み、シンガポールで軽油深度脱硫プラントの建設工事、カタールで大型ガス処理設備の建設プロジェクトおよびインドネシアでLNG建設プロジェクトをそれぞれ受注したほか、国内では八戸LNGターミナルの建設工事などを受注いたしました。技術開発分野では、天然ガスに含まれる二酸化炭素の効率的な回収・除去に関する新技術の実証試験を成功裏に終了させ、事業化の準備を整えることができました。また、持分法適用関連会社であるM.W.Kellogg Limitedの当社保有株式を米国KBR社の子会社であるM.W.Kellogg Holdings Limitedに売却いたしました。

 事業投資・サービスビジネスでは、フィリピンでの大規模バイオエタノール製造・発電事業に着手したほか、豪州水道事業会社への出資、スペインでの太陽熱発電事業への参入、インドネシアでの低品位炭を原料として石油代替燃料を製造する実証プラントの建設に取り組んでまいりました。また、横浜市と新興国インフラビジネスで連携協定を締結したほか、日本IBM㈱と都市インフラ支援で提携するなど、中期経営計画「シナリオ2010」で掲げた非EPCビジネスの拡大・深化を着実に進めてまいりました。

 なお、当連結会計年度終了後、日揮グループのEPCビジネスの強化を目的として、平成23年4月1日付で連結子会社である日揮プロジェクトサービス㈱と日揮工事㈱を合併いたしました。

触媒・ファイン事業

 触媒・ファイン事業では、日揮触媒化成㈱、日揮ユニバーサル㈱および日本ファインセラミックス㈱において、触媒分野、ナノ粒子技術分野、クリーン・安全分野、電子材料・高性能セラミックス分野および次世代エネルギー分野での生産・販売を行っております。

 触媒事業では、原油の重軽価格差縮小から触媒使用量が減少したほか、中国レアアースの価格および調達リスクが顕在化しましたが、高性能触媒のラインアップ充実、新製品の開発促進、販売価格の適正化、固定費削減などのコストダウンに取り組み、さらに人員の効率的配置等を通じて、収益性の向上に取り組んでまいりました。また、エコカー用二次電池正極材の需要が急拡大し、前期に比べ増収となりました。

 ファイン事業では、中国をはじめとする新興国向けの販売が堅調に推移しており、より一層の販路拡大とともに、増産体制を図ってまいりました。

 なお、日本ファインセラミックス㈱の本社および生産拠点は宮城県および岩手県に位置しており、東日本大震災の発生直後は工場の操業を停止せざるをえない状況となりましたが、人的被害はなく、生産設備にも大きな損傷がなかったことから、早期に操業を再開しております。

 

その他の事業

 その他の事業では、日揮情報システム㈱においてシステム開発、プログラム開発、受託計算をはじめとする各種情報処理サービスならびにソフトウェアのライセンス販売を、日揮ビジネスサービス㈱において不動産の賃貸、建物の保守・管理、保険および図面等のドキュメントサービスを、日本エヌ・ユー・エス㈱においてエネルギーおよび環境汚染の防止・除去に関するコンサルティングを、JGC-ITC ラービグユーティリティ㈱において発電・造水事業を、JGC Energy Development (USA) Inc. において原油・ガスの開発、生産および販売などを行っております。

 

 以上のような取組みのもと、日揮グループの当連結会計年度のセグメント別の業績につきましては、以下のとおりとなりました。

 

 当連結会計年度   

 

総合エンジニア

リング事業
(百万円)

前年同期

増減率

(%)

触媒・ファイン

事業
(百万円)

前年同期

増減率

(%)

その他の事業
(百万円)

前年同期

増減率(注)

(%)

売上高

401,198

10.0

36,031

△4.7

9,992

△13.9

営業利益

57,688

46.8

4,988

93.2

784

 (注) その他の事業の営業利益前年同期増減率は、前連結会計年度において営業損失を計上しており、比率を用

     いた前年同期比較はなじまないため、記載していない。 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し380億85百万円増加し、1,618億94百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益を527億71百万円計上した一方、法人税等の支払などにより、結果として482億14百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動による資金は、新事業分野への投資を行う一方で関連会社株式の売却などにより、結果として1億16百万円の増加となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は、配当金の支払などにより73億17百万円の減少となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

「生産、受注及び販売の状況」に記載している諸数値には消費税等を含めておりません。

 (1)生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日) 

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

触媒・ファイン事業

35,486

 報告セグメント計

35,486

その他の事業

合計

35,486

 (注)1 金額は販売価格によっている。

 2 総合エンジニアリング事業およびその他の事業については、生産実績を定義することが困難であるため、触媒・ファイン事業についてのみ記載している。

 3 改正後の「セグメント情報」の適用初年度であり、上記セグメントの区分による前連結会計年度の金額のデータを入手することが困難であるため、前年同期比は記載していない。

(2)受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日) 

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

608,288

触媒・ファイン事業

 報告セグメント計

608,288

その他の事業

9,914

合計

618,203

 (注)1 触媒・ファイン事業については、受注生産を行っていないため、総合エンジニアリング事業およびその他の事業についてのみ記載している。

 2 改正後の「セグメント情報」の適用初年度であり、上記セグメントの区分による前連結会計年度の金額のデータを入手することが困難であるため、前年同期比は記載していない。

(3)売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日) 

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

401,198

110.0

触媒・ファイン事業

36,031

95.3

 報告セグメント計

437,229

108.6

その他の事業

9,992

86.1

合計

447,222

108.0

 (注) 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

(自 平成21年4月1日

至 平成22年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成22年4月1日

至 平成23年3月31日)

完成工事高

(百万円)

割合(%)

完成工事高

(百万円)

割合(%)

サウジポリマー社

83,792

20.2

57,729

12.9

ガスコ社

51,281

11.5

サウジ アラムコ社

50,797

11.4

 (注) 前連結会計年度のガスコ社およびサウジ アラムコ社については、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略している。

 (参考) 連結ベースの売上高、受注高および受注残高

区分

前連結会計年度末

受注残高

(百万円)

当連結会計年度

受注高

(百万円)

当連結会計年度

売上高

(百万円)

当連結会計年度末

受注残高

(百万円)

国内

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

380

559

792

147

石油精製関係

35,669

15,059

31,581

19,147

LNG関係

7,570

22,828

2,542

27,856

化学関係

13,405

15,550

20,327

8,628

発電・原子力・新エネルギー関係

10,505

15,111

8,247

17,370

生活関連・一般産業設備関係

15,579

29,176

9,316

35,439

環境・社会施設・情報技術関係

33,578

11,185

25,297

19,466

その他

553

4,572

3,913

1,212

117,243

114,045

102,020

129,268

海外

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

501,034

263,483

149,895

614,621

石油精製関係

2,354

52,129

8,711

45,772

LNG関係

225,311

157,267

58,969

323,610

化学関係

93,548

9,288

64,049

38,787

発電・原子力・新エネルギー関係

9,035

8,463

12,621

4,877

生活関連・一般産業設備関係

33,449

79

7,938

25,590

環境・社会施設・情報技術関係

19

94

46

67

その他

596

13,351

6,937

7,010

865,351

504,157

309,170

1,060,337

総合エンジニアリング事業

980,664

608,288

401,198

1,187,754

その他の事業

1,929

9,914

9,992

1,851

計 

982,594

618,203

411,191

1,189,606

触媒・ファイン事業

36,031

合計 

982,594

618,203

447,222

1,189,606

 (注)1 各項目の金額は、消費税等を除いて記載している。

    2 総合エンジニアリング事業およびその他の事業の「前連結会計年度末受注残高」は当連結会計年度の為替換算修正、契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。 

区分

為替換算修正

(百万円)

契約金額の修正・変更

(百万円) 

計(百万円)

石油・ガス・資源開発関係

△19,030

△19,030

石油精製関係

△805

 

△805

LNG関係

△3,192

△11

△3,203

化学関係

△18,763

△789

△19,553

発電・原子力・新エネルギー関係

△2,782

△2,782

生活関連・一般産業設備関係

△424

△359

△784

環境・社会施設・情報技術関係

△0

△0

その他

287

6

294

△44,710

△1,155

△45,866

総合エンジニアリング事業

△44,881

△1,161

△46,043

その他の事業

171

6

177

3 触媒・ファイン事業については受注生産を行っていないため、「前連結会計年度末受注残高」、「当連結会計年度受注高」および「当連結会計年度末受注残高」は記載していない。

4 記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。 

 

(参考) 当社単体の売上高、受注高および受注残高

区分

前事業年度末

受注残高 

 (百万円)

当事業年度 

受注高 

(百万円)

当事業年度

売上高 

(百万円)

当事業年度末

受注残高 

 (百万円)

国内

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

3

32

17

18

石油精製関係

30,203

2,452

16,123

16,533

LNG関係

17

22,148

610

21,554

化学関係

3,482

7,891

4,587

6,786

発電・原子力・新エネルギー関係

7,375

12,542

6,289

13,628

生活関連・一般産業設備関係

15,544

26,216

8,744

33,016

環境・社会施設・情報技術関係

32,120

7,254

20,773

18,601

その他

179

582

574

187

88,925

79,121

57,720

110,327

海外

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

501,034

263,483

149,895

614,621

石油精製関係

2,333

51,946

8,574

45,706

LNG関係

225,311

157,077

58,778

323,610

化学関係

93,095

6,415

62,247

37,263

発電・原子力・新エネルギー関係

9,035

8,775

12,934

4,877

生活関連・一般産業設備関係

33,450

87

7,946

25,590

環境・社会施設・情報技術関係

19

85

38

67

その他

304

2,134

1,425

1,013

864,585

490,006

301,840

1,052,751

合計

953,511

569,128

359,560

1,163,078

 (注)1 各項目の金額は、消費税等を除いて記載している。

2 「前事業年度末受注残高」は当事業年度の為替換算修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。

区分

為替換算修正

(百万円)

契約金額の修正・変更

(百万円)

計(百万円)

石油・ガス・資源開発関係

△19,030

△19,030

石油精製関係

△805

△805

LNG関係

△3,192

△11

△3,203

化学関係

△18,781

△789

△19,571

発電・原子力・新エネルギー関係

△2,782

△2,782

生活関連・一般産業設備関係

△424

△359

△783

環境・社会施設・情報技術関係

その他

△45,016

△1,161

△46,177

3 記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。

4 当社の取扱品目である各種プラント・施設等の設計・調達・建設役務の遂行には高度の技術能力を必要とするため、顧客による特命ないし指名入札方式による契約がほとんどである。

5 受注残高のうち主なものは、次のとおりである。

 ラスガス社

 ガス処理設備建設工事

 平成27年3月期第2四半期完成予定

 ガスコ社

 ガス処理設備建設工事

 平成26年3月期第2四半期完成予定

 ドンギ・スノロ エルエヌジー社

 LNG製造設備建設工事

 平成27年3月期第4四半期完成予定

 エッソハイランズ社

 LNG製造設備建設工事

 平成26年3月期第4四半期完成予定

 サウジ アラムコ社

 原油処理設備建設工事

 平成25年3月期第4四半期完成予定

 ソナトラック社

 ガス処理設備建設工事

 平成25年3月期第4四半期完成予定

6 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

 サウジポリマー社

 エチレン装置建設工事

 ガスコ社

 ガス処理設備建設工事

 サウジ アラムコ社

 原油処理設備建設工事

 エッソハイランズ社

 LNG製造設備建設工事

 ソナトラック社

 ガス処理設備建設工事

 シェブロン オーストラリア社

 LNG製造設備建設工事

 

3【対処すべき課題】

「シナリオ2010」の総括 

 日揮グループは、中期経営計画「シナリオ2010」において、プラントの設計・機材調達・建設工事を行うEPCビジネスと、投資ビジネス・製造ビジネスなどで構成される「複合ビジネスモデル」を構築し、「未来のエンジニアリング企業体」を目指していくこと、また、目標経営指標として2010年度(2011年3月期)連結売上高6,000億円、連結当期純利益300億円、ROE11%以上を掲げ、日揮グループの総力を挙げ、取り組んでまいりました。 

 これまで、コアビジネスであるEPCビジネスでは、2006年度以降、中東、北アフリカ、東南アジア、オセアニア地域において石油・ガス資源開発、石油精製、LNG/GTL、石油化学などの大型プロジェクトをはじめ、非鉄製錬、ライフサイエンス分野で数多くのプロジェクトを受注し、卓越したプロジェクトマネジメント力により目標を超える成果を上げております。

 一方、EPC以外のビジネスでは、世界各地で水事業、発電事業、石油・天然ガス開発生産事業、排出権取引事業、新エネルギー(太陽熱、バイオマス、石炭スラリー)事業などへの参画を果たすなど、EPCビジネスに次ぐ柱として投資ビジネスの育成を図り、大きく前進させました。 

 これらの事業活動の結果、目標経営指標である連結売上高6,000億円については、2006年度(2007年3月期)に到達し、また連結当期純利益300億円についても、2007年度(2008年3月期)ならびに2008年度(2009年3月期)に到達いたしました。ROEについては、2006年度(2007年3月期)から2009年度(2010年3月期)において目標の11%を上回る成果を上げております。 

 これらの成果を総合して、ビジネス戦略ならびに目標経営数値の双方とも、「シナリオ2010」の目標を達成することができたと考えております。

 

新中期経営計画「NEW HORIZON 2015」について 

1)位置づけ、ならびに目標経営指標 

 日揮グループは、新中期経営計画「NEW HORIZON 2015」により、新たな領域−NEW HORIZONにおいて幅広い顧客のニーズに応え、顧客とともに新たな価値を創造する「Program Management Contractor & Investment Partner」への変貌を図ります。 

 「NEW HORIZON 2015」では、日揮グループのコアビジネスであるEPCビジネスに加えて、事業投資や企画・マネジメントサービスといった、売上高指標では成果を適切に測れないビジネス領域を拡大していく方針であることから、連結当期純利益500億円を目標経営指標として掲げることといたしました。ROEについては10%の達成を目指してまいります。また、配当性向については、現在の単体当期純利益の25%から連結当期純利益の25%といたしました。

 

2)マーケット環境 

 「NEW HORIZON 2015」の対象期間である2011年度から2015年度の5ヵ年のマーケット環境については、日揮グループが対象とする分野、地域の両面において以下のとおり変化していくものと予測しております。 

 石油・天然ガス・石油化学など、ハイドロカーボンプラントのEPCビジネスのマーケットは、引き続き活発に設備投資が実施されていくものと思われますが、エンジニアリングコントラクター間の受注競争は、一段と激化するものと予測しております。非鉄、医薬・医療などの分野も着実にマーケットが拡大していくものと予測しております。また、主に事業投資のマーケットである水、発電などの社会インフラ分野は、新興国の人口増加、産業多角化、都市化ほかを背景に、今後さらに巨大マーケットへ変貌していくと予測しております。

 上記の海外ハイドロカーボンプラント分野では、中東、北アフリカ、東南アジア、オセアニア地域に加え、南米、CIS地域を今後の有望マーケットとして位置づけており、社会インフラ分野では新興国がマーケットの中心になると捉えております。国内化学メーカーの海外展開も日揮グループのマーケットのひとつと考えております。 

 

3)ビジネス戦略 

 こうしたマーケット予測を踏まえて、日揮グループは新中期経営計画「NEW HORIZON 2015」において、「Program Management Contractor & Investment Partner」への変貌を目指し、現在のコアビジネスであるEPCビジネスの競争力強化を図りつつ、幅広い顧客のニーズに応え、新たな価値を創造するため、事業投資・サービスビジネスの一層の拡大を図ってまいります。

 

4)EPCビジネス強化策 

 日揮グループのコアビジネスであるEPCビジネスは、特に海外ハイドロカーボンプロジェクトにおいて競争環境の一段の激化が予測されるため、以下の四本柱の戦略を強力に推進し、競争力の強化を図ってまいります。 

① ハイドロカーボン分野における競争力強化・向上

 抜本的なコスト競争力向上に取り組むほか、営業力強化、有望マーケットへの参入、プロジェクト遂行力のさらなる強化を図ってまいります。国内マーケットに対しては、国内EPC子会社と一体で遂行してまいります。 

 

② ノンハイドロカーボン分野の拡大

 ノンハイドロカーボン分野の主力分野である非鉄分野のさらなる拡大を図ると共に、医薬・医療分野の海外展開を推進してまいります。

 

③ 海外EPC子会社の強化

 産油・産ガス諸国で強まっているローカリゼーション(現地化)の動きに呼応し、海外EPC子会社による中小規模プロジェクトの受注拡大を推進してまいります。 

 同時に、海外EPC子会社間の連携を強め、協力してプロジェクトの受注拡大を目指してまいります。

 

④ EPC新分野の開拓

 既存の分野に加えて、EPCビジネスの領域拡大を目指し、フローティングLNG分野、海外原子力発電分野、インフラ分野に積極的に取り組んでまいります。また、今後増加が見込まれるモジュール工法を採用するプロジェクトへの対応も図ってまいります。 

 

5)事業投資・サービスビジネス拡大策 

 事業投資、企画・マネジメントサービス、製造業などのビジネス分野において、自らが事業者として事業に投資、運営し、あるいはより事業者に近いサービスを提供できる企業グループへの変貌を図ってまいります。 

① 事業投資

 地球環境保全に対する意識の高まりを背景に、世界的に再生可能エネルギーへのシフトが加速し、同時に新興国の著しい成長により、エネルギー需要や社会インフラニーズの拡大が予測されることから、以下の分野において積極的に事業投資を推進してまいります。  

 ◇電力・新エネルギー分野

 ◇環境・水分野

 ◇資源開発分野

 ◇都市インフラ開発、新産業開発などの新分野 

 

② 企画・マネジメントサービス

 資源開発計画、社会インフラ開発計画全体の企画・立案といったプログラムマネジメント、FEED(Front-End Engineering Design:基本設計)、PMC(Project Management Consulting)など、事業者の視点に立った「企画・マネジメントサービス」を提供してまいります。企画・マネジメントサービスは、日揮グループが「Program Management Contractor & Investment Partner」として、顧客とともに新たな価値を創造していくにあたって中心的な役割を果たすビジネス分野であり、これまでに日揮グループが培ってきたEPCビジネスでの知見・経験を活用して、顧客のニーズを具現化し、新興国の産業化や地球環境保全の諸問題を高い付加価値ともに解決してまいります。

 

③ 製造ビジネスなど

 製造ビジネスのうち、触媒・ファイン事業ではファイン事業のさらなる拡大に取り組んでまいります。同時に触媒・ファイン事業も含め、IT事業、コンサルテーション事業など国内の子会社・関連会社で遂行している事業においては、海外展開の推進、日揮グループ会社間における連携強化などを推進し、強化を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

  日揮グループの事業その他に関するリスクで、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、平成2331日現在において日揮グループ全体を視野に入れて判断したものであります。

 

① 海外要因のリスク

日揮グループの事業は海外売上高が全体の約70%を占め、相手国における経済リスク、政治・社会リスクなどのいわゆるカントリーリスクにさらされております。具体的には、不安定な政情、戦争、革命、内乱、経済政策・情勢の急変、対外債務不履行および為替・税金制度の変更などが考えられます。日揮グループは、これらのリスクに起因する事業への影響をできるだけ少なくするために、リスク管理体制の見直し・強化をはじめ、貿易保険の利用、代金の早期回収および企業連合の組成などの方策を講じておりますが、想定を超える事業環境の変化が発生した場合には、プロジェクトの中止、中断および遅延などによって、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② プロジェクト遂行上のリスク

 日揮グループのプロジェクト契約形態はその多くがランプサム・フルターンキー契約(一括請負契約)でありますが、一部にはリスクを低減するためのコストプラスフィー契約(実費償還型契約)、コスト開示型見積方式による契約などがあり、プロジェクトに応じて採用しております。日揮グループは過去の経験を十分に活用し、プロジェクト遂行中の各種リスクへの対応を織り込んで契約を行っておりますが、資機材価格・レーバーコストの急激な変動、自然災害および疾病の発生など、想定を超えるプロジェクト遂行上の問題および自己責任によるプラントに係る重大な事故が発生した場合には、プロジェクトの採算が悪化し、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 投資事業リスク

 日揮グループでは、石油・ガス・資源開発関連事業、新燃料事業、水・発電事業および排出権ビジネスなどへの投資を行っております。その際、新規投資および再投資の実行、既存事業のモニタリングおよび撤退の判断に関する各種基準を設け、適切なリスク管理を行っております。しかしながら、原油・ガスなどのエネルギー資源の急激な価格変動に代表される投資環境の劇的な変化や推定埋蔵量の変化など、想定を超える事態が発生した場合には、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 為替リスク

 日揮グループの事業は、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっております。この為替リスク回避策として、マルチカレンシー建てによるプロジェクト受注契約をはじめ、海外調達、外貨建ての発注および為替予約などの対策を状況に応じて採用しております。しかしながら、急激な為替変動は、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。 

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社が技術援助等を受けている契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

コーク・グリッジ・インク(アメリカ)

蒸留棚段・蒸留塔用充填物の製造に関する技術

平成23年10月25日まで

平成元年6月

エクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリング・カンパニー(アメリカ)

加熱炉に関する設計・建設技術

昭和57年6月2日以降は当事者の一方が60日前に通知することにより終結

昭和56年8月

ソシエテ・テクニーク・プーレ・エネージイ・アトミク(フランス)

放射性廃棄物を熱硬化性樹脂中に固化する処理技術

昭和61年4月10日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

昭和54年1月

シェル・リサーチ・リミテッド(イギリス)

ガスおよび液体より酸性ガスを除去する方法(ADIP法)に関する技術

昭和59年8月31日以降は当事者の一方が3カ月前に通知することにより終結

昭和58年1月

天然ガス・合成ガス等より酸性ガスを除去する方法(SULFINOL法)に関する技術

昭和59年8月31日以降は当事者の一方が3カ月前に通知することにより終結

昭和58年6月

硫黄回収装置から出されるガスより酸性ガスを除去する方法(SCOT法)に関する技術

昭和59年8月31日以降は当事者の一方が3カ月前に通知することにより終結

昭和58年6月

コーク・ヒート・トランスファー・カンパニー

(アメリカ)

熱交換器・製造に関する技術

平成2年1月16日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

昭和60年1月

ルルギガスーウント ミネラレール テクニック ゲー・エム・ベー・ハー

(ドイツ)

硫黄回収技術

平成13年12月31日以降は当事者の一方が1年前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成4年1月

スルザー・ブラザース・リミテッド(スイス)およびスルザー・ブラザース・ケムテック・ピィーティーイー・リミテッド

(シンガポール)

塔内充填物および付帯機器類に関する技術

平成9年4月23日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成4年4月

アスペン・テクノロジー・インク(アメリカ)

プロセス、機器設計、コスト推算およびプロセスデータベースソフト等の高度制御用ソフトウェア

平成27年3月31日まで

平成13年3月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

既設リファイナリーの収益性改善のためのコンサルティング手法

平成15年8月31日以降は、当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年9月

マモー・トランスポート・ビー・ヴィ(オランダ)および日本通運㈱

超重量物の据付に用いる油圧ジャッキ式門型クレーンの国内使用に関する協力

平成15年9月1日以降は当事者の一方が3カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成12年9月

なお下記契約は当社が保有するエム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッド(M.W.Kellogg Limited)の株式をすべて売却したことに伴い終了している。

契約先

内容

契約期間

契約年月

エム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッド(イギリス)

当社が遂行するプロジェクトに係る設計、建設技術

当社がエム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッドの株式を保有する期間

平成4年12月

(2)当社が技術援助等を与えている契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

初期投資の大幅軽減と短納期を実現する新しい製油所設計技術

平成12年7月22日以降は1年毎に更新

平成9年7月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

天然ガスコンデンセート中の水銀とヒ素を除去する技術

平成15年1月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年1月

なお下記契約は当社が保有するエム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッド(M.W.Kellogg Limited)の株式をすべて売却したことに伴い終了している

契約先

内容

契約期間

契約年月

エム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッド(イギリス)

相手方が遂行するプロジェクトに係る設計、建設技術

当社がエム・ダブリュー・ケロッグ・リミテッドの株式を保有する期間

平成4年8月

(3)その他当社が締結している重要な契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

アジャンス・ナショナル・プーラ・ゲション・デュ・ディシュ・ラディオアクティス(フランス)

放射性廃棄物処分技術に関する技術情報の交換および同分野におけるテクニカルサービス等の提供のための協力

平成15年9月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年9月

インベンシスシステムエンジニアリング㈱

高度制御用ソフトウェアパッケージ、オンライン最適用ソフトウェアパッケージの販売、導入に関する営業活動およびプロジェクト遂行のための協力

平成14年2月1日まで。ただし、当事者の一方より契約満了日の30日前までに解約通知しなければ1年毎に更新

平成13年2月

(4)関係会社が締結している重要な契約

 日揮プロジェクトサービス㈱(当社の連結子会社)と日揮工事㈱(当社の連結子会社)との合併

  当社の連結子会社である日揮プロジェクトサービス㈱と日揮工事㈱は、下記3点の強化を目的として平成22年12月8日開催の取締役会において、両社の合併を決議しました。また、同日に両社は合併契約を締結し、平成22年12月16日に開催された合併承認臨時株主総会にてそれぞれ承認されました。

  ◇コスト競争力の強化

  ◇事業領域の深化と拡大

  ◇海外展開の推進

  なお、合併の概要は次のとおりです。

 ① 合併の方法

  日揮プロジェクトサービス㈱を吸収合併存続株式会社、日揮工事㈱を吸収合併消滅株式会社とし、日揮工事㈱は解散する。なお、合併後の商号は日揮プラントソリューション㈱である。

 

 ② 合併に際して発行する株式および割当

  日揮プロジェクトサービス㈱は、合併に際して普通株式2,500株を発行し、合併期日の前日における日揮工事㈱の株主名簿に記載された株主に対して、日揮工事㈱の株式84株につき、日揮プロジェクトサービス㈱の株式1株を割当交付する。

 

 ③ 合併比率の算定根拠

  両社の1株当たり純資産の額を基礎に合併比率を算定し、その算定結果を参考として、合併当事者間において協議の上、上記比率を決定した。

 

 ④ 合併の期日

  平成23年4月1日

 

 ⑤ 引継資産・負債の状況

  日揮プロジェクトサービス㈱は、平成22年3月31日現在の日揮工事㈱の貸借対照表その他同日現在の計算を基礎とし、これに合併期日までの資産および負債の変動を反映させた一切の資産、負債および権利義務を合併期日において引き継ぐ。

 

 ⑥ 吸収合併存続会社となる会社の資本金・事業の内容(当該吸収合併後)

  資本金:695百万円

  事業の内容:総合エンジニアリング事業 

6【研究開発活動】

当連結会計年度は、コアビジネスであるプラント設計・調達・建設(EPC)ビジネスの市場拡大と新規事業創出を核とした中期経営計画「シナリオ2010」にのっとり、その最終年度としての達成と次の「NEW HORIZON 2015」への飛躍に繋がる技術開発を進めました。また、日揮グループのシナジー効果を十分に発揮できるように関係会社と連携して開発を進めるとともに、広く国内外の外部技術の導入を推進してきました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、49億97百万円(消費税等は含まない)であります。

 

① 総合エンジニアリング事業 

コアビジネスであるEPCビジネスの強化を図るために、クリーンエネルギー需要増加や地球温暖化に対応して低炭素社会を目指した技術開発を進めるとともに、コスト競争力を高める差別化技術の開発に努めました。また、将来の新規事業創出を目指して、外部からの技術導入も含めて非在来型資源有効利用、水、太陽エネルギー、スマートシティ向けエネルギーマネジメントシステム等の技術開発にもスピード感をもって取り組みました。

 

石油資源・精製分野

 埋蔵量が豊富なオイルサンド油等の超重質原油や重質原油は、軽質原油の代替として、年々生産量が増加しています。井戸元からの原油の輸送や消費地での精製を容易にするために、重質原油の新しいアップグレーディング技術として超臨界水を利用した改質技術の開発を国内外の研究機関と共同で継続して取り組んでいます。超臨界水分解によりオイルサンドやオリノコタールのような超重質原油をパイプラインで輸送できる程度に粘度を改質できることを確認し、次の大型化試験に向けた検討を開始しました。

 

天然ガス分野

 中長期にはエネルギー供給は逼迫すると予想されており、これまでコスト面で開発が難しいとされてきた海洋ガス田、シェールガス、中小ガス田や高濃度二酸化炭素(CO2)含有ガス田が注目され始めています。天然ガスに含まれるCO2を効率的(低コスト、省エネルギー)に分離・回収するHiPACT技術については、本年度井戸元での実証試験を成功裏に終了させ、商業化段階にあります。また、海洋ガス田向けには洋上LNG生産設備(フローティングLNG)、中小ガス田向けの陸上小型LNG生産設備の開発に継続して取り組んでいます。LNG生産設備の開発では、安定したLNG生産量を保つための冷却装置最適配置方法の確立や最新のHSE(Health, Safety, Environment)評価手法の採用等により、経済性と安全性の両立を図っています。

 天然ガスは合成ガスの中間体を経由して液体燃料製造や高付加価値の化学品製造の原料としても期待されています。製造コストに大きな割合を占める合成ガス製造設備のコンパクト化を図るために、天然ガスを触媒存在下で酸素を用いて改質して合成ガスに転換するAATG®プロセスは、GTLやメタノールのような大規模装置や洋上プラント向けの開発を継続するとともに、化学原料向けの中小規模装置の導入を計画している化学会社に対して具体的な提案を行っています。

 天然ガス原料出発のメタノールやジメチルエーテルと未有効利用オレフィン類の混合原料から選択的にプロピレンを製造するDTP®プロセスは、化学会社と共同で本年度実証装置の運転を開始し、ベンチ装置と同等以上の性能を確認しました。本技術は、未有効利用オレフィン留分を活用できることに加え、従来のナフサクラッカーと比べCO2排出量を削減することができます。産ガス国で天然ガスのみを出発原料とするDTP®プロセスについては、商業化に向け基本設計に着手しました。

 

ケミカル・非鉄金属分野

 石油化学向けに開発した高性能向流多段液々抽出装置WINTRAY®については、種々のケミカル分野や非鉄分野でもコスト削減と省エネルギー化に貢献することが認められており、既に商業化されている分野に加え、適応分野のさらなる拡大を目指して改良・開発を継続しています。

 

一般産業分野

 低炭素社会に向けたスマートコミュニティで必要となるエネルギーマネジメントシステムの開発と実証試験に向けて、日揮グループの開発体制を整え、開発に着手しました。また、インドなど海外向けのスマートコミュニティの計画立案にも取り組んでいます。中東や東南アジアでの交通インフラの受注を目指して、鉄道敷設のための効率的なEPC遂行手法の開発に継続して取り組んでいます。     

ライフサイエンス分野は、製薬プロセスに適応可能な酵素固定化技術および動物細胞培養に適応可能なマイクロバブル発生技術を開発し、その成果を学会で発表し、高い評価を受けました。酵素固定化は担体を製造する関係会社と連携して、化学会社や製薬会社に固定化技術を供与し、商業化を目指しています。

 

新規事業創出分野

 世界的な人口増加とともに深刻化する水不足に対して、造水や水浄化による再利用等の水事業やインフラ事業の市場は拡大しています。これに対応するために、国内外のメーカー、関係会社と連携して、新規の造水技術や水浄化技術を探索するとともに、それらの技術をベースにして海外開発プロジェクトの差別化を検討しています。

 スペインで参入した太陽熱発電事業を通して、太陽熱発電の事業ノウハウと技術知見を深め、新規事業を推進します。また、新たな太陽熱発電技術や太陽熱を利用した海水淡水化技術を異業種、大学と連携して開発しています。中東地域での高効率な太陽光発電技術の実証と商業化を目指して、製造メーカーや大学と連携してその可能性を検討しています。

 低品位炭を原料とする石油代替燃料(JGC Coal Fuel: JCF®)については、年産1万トン規模の実証プラント建設に着手しました。このプロセスは低品位炭を高圧熱水により改質させた後、水と混合してスラリー燃料に加工する当社の独自技術です。

 非食物系バイオマスを原料にしたエタノール製造については次世代技術として酵素法の開発を継続しており、酵素反応を促進する新技術を見出すことができました。

 

 なお、当事業での研究開発費は23億2百万円(消費税等は含まない)であります。

 

② 触媒・ファイン事業 

石油精製分野

原油の重質化や製品の白油化、石化原料へのシフトなどの石油精製を取り巻く動きに対して、国内の製油所は設備の改造や触媒の変更等で対応しています。一方、触媒市場は、中国に偏在するタングステン、アンチモンといったレアメタルの高騰が相次いでいる中で、特に流動接触分解(FCC)触媒の主要原料であるレアアースについては、輸出規制が行われ、20倍もの高騰と市場が混乱しています。このような状況の中で、原油の重質化と石化原料へのシフトに対応できるFCC触媒に関しては、レアアースの低含有量触媒の開発を最優先に進め、その一部は実用化段階にあります。また、ボトム分解・低コークFCC触媒を開発し、一部は実機に採用されました。ボトム分解、メタルトラップ、プロピレン増産、脱硫等の各種アディテブについても継続して開発し、品揃えを充実させることができました。 

脱硫触媒に使われているコバルト、モリブデン等のメタル回収については台湾企業と協業を図るとともに、触媒再生についてはほぼ技術を完成し、実用化に向けたデータを採取しています。触媒開発に関しては、残油、減圧軽油、軽油留分の脱硫や分解に対応した新触媒を顧客と共同で開発し、一部については実機に納入を果たしました。次世代触媒の開発にも積極的に取り組み、高性能な直脱用脱メタル触媒および脱硫触媒の開発に目処が立ちました。

また、グローバルに展開するために海外の同業者との協業についても積極的に推進しています。 

 

環境保全分野

 脱硝触媒ではタングステンの高騰に対応すべく、低含有量触媒の開発に成功し、既に中国での生産委託を開始し、原料販売実績をあげています。新たな用途として、船舶脱硝触媒を国内企業と共同開発し、実船試験に向けての実エンジンによる実証試験を開始しました。

 

クリーンエネルギー分野

 リチウムイオン2次電池用正極材は、実際の使用実績が評価されるとともに、国内外の電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、プラッグインハイブリッド車(PHEV)向けに高い評価を受けました。量産化対応と同時に品質の安定化に向けた開発を継続しています。また、次世代向けに正極材のサイクル特性の改良および次々世代向けには高エネルギー密度(高容量)の正極材の開発を行い、顧客で評価を受ける段階にあります。 

 色素増感型太陽電池材の次世代チタニアベースの開発については、国内外の顧客から高い評価を受け、量産性と低コストに対応した開発を終えて、量産化技術を検討している段階です。

 

生活関連・化粧品分野

 プラスチック眼鏡市場向け各種オプト粒子の開発を行い、オプト用途の全領域に対応できる商品の品揃えを果たしました。これらをラッカー化して中国市場への展開を図った結果、商品とラッカーの塗工技術等とを組み合わせることにより2社で採用されました。

 化粧品材料は欧米を中心に市場が急速に回復しつつあり、これに向けて、際立った新感触系材料、皺ぼかしの光学効果と感触効果の両面を有する新材料を開発し、顧客から高い評価を受けています。また、ナノリスクに対応した化粧品材への需要が高まっており、これに向けた透明性の高いナノリスク対応UV遮蔽化粧材の開発を進めた結果、商品化に目処をつけ、販売を開始しています。

 

電子材料分野

 IT関連市場は、今年に入って携帯スマートフォンの伸張に引っ張られて急速に回復しています。携帯スマートフォンの低反射防止フィルム向けに低反射材料を顧客と共同開発し、大型液晶TVや大手タブレット型端末に採用されました。ディスプレイ向けに底固い需要があるハードコート膜については、新規用途向けとして開発に注力しています。 

 研磨用シリカ粒子については、その用途拡大を図ってきましたが、シリコンウエハー1次研磨分野の用途として、顧客と共同開発した中純度シリカ粒子の採用が内定しました。また、硝子用研磨材は2種類の酸化セリウムの代替材料を開発中です。

 液晶材料関連としては、セルギャップ制御粒子が3D用液晶に採用されました。また、タッチパネル用材料には配線絶縁膜形成塗布液が採用されました。大型液晶パネルの省エネルギー化が一層進み、低誘電率膜の需要が高まってきているなかで、新規機種に向けた開発に着手しました。

 

ファインセラミックス分野

 ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LED照明等高電力用のパワーデバイスを支える放熱用基板として、「高熱伝導率窒化珪素基板」の実用化に向けた開発を進めるとともに、顧客にサンプルを提供しながら用途開発を行っています。また、材料による差別化を図るため、非酸化物系セラミックスの材料開発ならびにシリーズ化、セラミックス金属複合材(AMC)の開発に注力しています。

 

 なお、当事業での研究開発費は26億38百万円(消費税等は含まない)であります。

 

 また、総合エンジニアリング事業および触媒・ファイン事業に加え、その他の事業において56百万円(消費税等は含まない)の研究開発費を計上しております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績

 日揮グループの当連結会計年度の業績は、売上高4,472億22百万円(前期比8.0%増)、営業利益635億59百万円(前期比51.6%増)、経常利益633億95百万円(前期比55.3%増)、当期純利益254億77百万円(前期比6.0%減)となりました。

① 売上高

 売上高は工事進行基準案件での順調な進捗の結果、前連結会計年度に比べて329億64百万円増加し、4,472億22百万円となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べて119億17百万円増加し、3,658億23百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて5億92百万円減少し、178億39百万円となりました。

③ 営業利益

 営業利益では売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べて216億40百万円増加し、635億59百万円となりました。

④ 営業外損益

 営業外収益(費用)は前連結会計年度の10億89百万円の損失(純額)から、1億64百万円の損失(純額)と9億25百万円の増加となりました。これは為替差損が増加したものの、受取配当金が増加したことおよび貸倒引当金繰入額が減少したことが主な原因であります。

⑤ 税金等調整前当期純利益

 特別損益は、前連結会計年度の29億79百万円の損失(純額)から、106億23百万円の損失(純額)となりました。これは投資有価証券売却益が増加したものの、和解費用が発生したことが主な原因であります。結果として当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて149億20百万円増益の527億71百万円となりました。

⑥ 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

 法人税、住民税及び事業税は、税金等調整前当期純利益が増益となったことおよび税務計算上の税金費用が減少したことにより前連結会計年度に比べて110億61百万円増加し、234億92百万円となりました。一方、法人税等調整額が35億20百万円となり、税金費用負担額(純額)は270億13百万円となりました。

⑦ 少数株主損益

 少数株主損益は、主にJGC-ITC ラービグユーティリティ㈱の少数株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度より3憶97百万円増加の2億80百万円となりました。

⑧ 当期純利益

 結果として、当期純利益は前連結会計年度に比べて16億34百万円減益の254億77百万円となりました。

 

2.財政状態およびキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し380億85百万円増加し、1,618億94百万円となりました。
 営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益を527億71百万円計上した一方、法人税等の支払などにより、結果として482億14百万円の増加となりました。投資活動による資金は、新事業分野への投資を行う一方で関連会社株式の売却などにより、結果として1億16百万円の増加となりました。財務活動による資金は、配当金の支払などにより73億17百万円の減少となりました。なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりとなりました。 

 

平成21年3月期

平成22年3月期

平成23年3月期

自己資本比率(%)

46.6

57.1

56.3

時価ベースの自己資本比率(%)

58.7

98.0

104.9

債務償還年数(年)

0.7

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

47.1

86.2

 (注) 自己資本比率          :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率    :株式時価総額/総資産

債務償還年数          :有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

*各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。

*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。

*営業キャッシュ・フローがマイナスの期における債務償還年数およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「−」で表示している。

 当連結会計年度の連結財政状態は、総資産が4,685億2百万円となり、前連結会計年度比で383億26百万円増加しました。純資産は2,644億83百万円となり前連結会計年度比183億42百万円の増加となりました。

 

 また、連結貸借対照表に係る指標は以下のとおりとなりました。

 

平成21年3月

平成22年3月

平成23年3月

流動比率

161%

206

183

固定比率

65%

60%

    56%

 (注) 流動比率   : 流動資産/流動負債

固定比率   : 固定資産/純資産合計

各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。

 

8【その他】

 ナイジェリアLNGプロジェクトに関する件 

 平成7年より受注した本プロジェクトに係るTSKJコンソーシアムメンバーに対する調査につきまして、当社は米国司法省と解決に向けた協議を続けてまいりましたが、平成23年4月7日にお知らせいたしましたとおり、当社は、平成23年4月6日付けをもって、同省との間で、当社に対する調査について和解が成立し、当社は同省に2億1,880万米ドルを支払いました。また、平成23年1月31日にお知らせいたしましたとおり、本プロジェクトに関しましては、平成23年1月7日にナイジェリア政府とも和解が成立し、当社は2,850万米ドルを支払いました。これら2件の和解に要した費用は、当会計年度において一括して特別損失に計上いたしました。 

 当社は、平成14年にコンプライアンス専門部署を設置しコンプライアンスに注力してまいりましたが、今後コンプライアンス・プログラムの見直しとさらなる改善を行ってまいります。 

 





出典: 日揮株式会社、2011-03-31 期 有価証券報告書