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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)経営成績に関する分析

① 当連結会計年度の概況

当連結会計年度においては、新興国の経済減速や原油の供給過剰により、原油価格の低迷が続きました。このような状況から産油・産ガス諸国および大手石油会社等が設備投資計画の一部を見直す等、当社グループを取り巻く事業環境は先行き不透明な状況が続いております。一方、新興国における人口増加や経済成長を背景に、今後も世界的にエネルギー需要は増加すると見込まれており、一部の国や地域では石油・ガス案件を中心に内需向けの計画が着実に進展しております。

このような状況のもと、当社は複数の地域において積極的な受注活動に取り組み、東南アジアおよび中東等において石油・ガス関連プロジェクト等を受注いたしましたが、連結受注高は3,206億円に留まりました。今後、当社は事業環境の推移を慎重に見極めながら、引き続き、全社を挙げて付加価値の向上やコスト競争力の強化を推進し、優良案件の獲得に向けて受注活動に取り組んでまいります。また、既受注案件では、LNG(液化天然ガス)分野を中心とする大型案件の確実な遂行に注力いたしました。

以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度の業績等については、以下のとおりとなりました。

 

経営成績

 

当連結会計年度
(百万円)

前年同期増減率

(%)

売上高

879,954

10.1

営業利益

49,661

67.0

経常利益

52,047

16.0

親会社株主に帰属する

当期純利益

42,793

107.4

 

受注高

地域

当連結会計年度
(百万円)

割合

(%)

海外

234,568

73.2

国内

86,057

26.8

合計

320,626

100.0

 

この結果、当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正および契約金額の修正・変更等を加え、1兆2,503億円となりました。

 

② セグメント別状況
総合エンジニアリング事業

EPC(設計・調達・建設)事業では、日本国内をはじめ中東、アフリカ、東南アジア、北米地域およびロシア・CIS等において受注活動に取り組み、平成27年11月にインドネシアにおける製油所の能力増強プロジェクトを当社グループ会社であるPT. JGC INDONESIA等とともに受注したほか、平成28年1月にはバーレーンにおけるガス処理プラント建設プロジェクトを受注いたしました。さらに、同年3月にはPT. JGC INDONESIAがインドネシアにおけるガス処理プラント建設プロジェクトを受注いたしました。また、受注済みプロジェクトの確実な遂行に注力しており、オーストラリアやロシアの大型LNGプロジェクトにおいては、アジア各地で機能単位に分割したプラントを建設し、大型船により最終建設地に輸送してひとつに組み上げるという新たな建設手法(モジュール工法)によるプラントの建設がピークを迎えております。

投資事業では、引き続き複数の地域において各種事業の運営を展開しており、また、企画・マネジメントサービスでは、アジア地域において都市開発やインフラ整備案件を進めております。

 

触媒・ファイン事業

触媒事業では、受託生産案件および輸出案件の好調により水素化処理触媒の出荷が増加したものの、国内需要の停滞等によりケミカル触媒の出荷が減少いたしました。ファイン事業においては、機能性塗料材および光通信関連部品の出荷が増加したものの、スマートフォン向け部材用研磨材および液晶露光装置用セラミックス・金属複合材料の出荷が減少いたしました。この結果、触媒・ファイン事業の業績は、前期比で、売上はわずかに増収となったものの、減益となりました。

 

その他の事業

その他の事業では、引き続き国内における大規模太陽光発電(メガソーラー)事業等を実施しております。

なお、平成28年3月31日に、当社が発行済み株式の100%を保有する日揮情報システム㈱の全株式を富士通株式会社に譲渡いたしました。

 

以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度のセグメント別の業績については、以下のとおりとなりました。

 

 当連結会計年度

 

総合エンジニア

リング事業
(百万円)

前年同期

増減率

(%)

触媒・ファイン

事業

(百万円)

前年同期

増減率

(%)

その他の事業
(百万円)

前年同期

増減率

(%)

売上高

828,414

11.2

37,628

0.4

13,911

△16.1

営業利益

44,063

87.2

3,570

△4.4

1,730

△51.1

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し新規連結を伴う増加を除き51175百万円減少し、2,479億47百万円となりました

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が596億57百万円となりましたが、未成工事受入金の減少などにより、結果として497億64百万円の減少(前連結会計年度は714億16百万円の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、投資有価証券の売却などにより、86億96百万円の増加(前連結会計年度は234億11百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、配当金の支払いなどにより43億74百万円の減少(前連結会計年度は38億36百万円の増加)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

「生産、受注及び販売の状況」に記載している諸数値には消費税等を含めておりません。

 (1)生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

触媒・ファイン事業

36,208

101.6

 報告セグメント計

36,208

101.6

その他の事業

合計

36,208

101.6

(注)金額は販売価格によっている。

 

 (2)受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

307,746

40.9

触媒・ファイン事業

 報告セグメント計

307,746

40.9

その他の事業

12,879

73.4

合計

320,626

41.7

 

 (3)売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

総合エンジニアリング事業

828,414

111.2

触媒・ファイン事業

37,628

100.4

 報告セグメント計

866,042

110.7

その他の事業

13,911

83.9

合計

879,954

110.1

(注)完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

完成工事高

(百万円)

割合(%)

完成工事高

(百万円)

割合(%)

イクシス エルエヌジー社

195,966

24.5

178,667

20.3

ヤマール エルエヌジー社

121,632

13.8

(注)前連結会計年度のヤマール エルエヌジー社については、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略している。

(参考)連結ベースの受注高、売上高および受注残高                      (単位:百万円)

区分

前連結会計年度末

受注残高

当連結会計年度

受注高

当連結会計年度

売上高

当連結会計年度末

受注残高

国内

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

96

678

586

188

石油精製関係

21,760

15,490

16,406

20,844

LNG関係

26,221

1,575

5,038

22,758

化学関係

5,741

15,744

15,146

6,338

発電・原子力・新エネルギー関係

65,682

27,345

32,008

61,019

生活関連・一般産業設備関係

14,160

7,602

11,237

10,525

環境・社会施設・情報技術関係

18,419

10,427

15,887

12,959

その他

840

7,193

7,439

593

152,922

86,057

103,750

135,229

海外

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

100,509

130,498

66,692

164,315

石油精製関係

342,752

18,454

128,241

232,964

LNG関係

1,044,826

40,006

444,535

640,297

化学関係

128,189

39,280

90,971

76,497

発電・原子力・新エネルギー関係

2,034

292

1,837

489

生活関連・一般産業設備関係

68

188

256

環境・社会施設・情報技術関係

9

354

49

314

その他

724

5,494

5,990

227

1,619,114

234,568

738,575

1,115,107

総合エンジニアリング事業

1,770,494

307,746

828,414

1,249,826

その他の事業

1,542

12,879

13,911

509

1,772,036

320,626

842,326

1,250,336

触媒・ファイン事業

37,628

合計

1,772,036

320,626

879,954

1,250,336

(注)1.総合エンジニアリング事業およびその他の事業の「前連結会計年度末受注残高」は当連結会計年度の為替換算

修正および契約金額の修正・変更等をそれぞれ次のとおり含んでいる。                  (単位:百万円)

区分

為替換算修正

契約金額の

修正・変更等

新規連結による

増加

石油・ガス・資源開発関係

3,114

△7,511

 90

△ 4,306

石油精製関係

13,205

△113

13,091

LNG関係

△ 12,010

△ 7,627

4,098

△ 15,539

化学関係

337

△ 90

2,873

3,120

発電・原子力・新エネルギー関係

5

△38

△ 33

生活関連・一般産業設備関係

△ 150

△ 150

環境・社会施設・情報技術関係

△0

△0

その他

79

△ 110

0

△ 31

4,731

△ 15,643

7,062

△ 3,849

総合エンジニアリング事業

4,719

△ 15,641

7,062

△ 3,858

その他の事業

11

△2

9

2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。

(参考)当社単体の受注高、売上高および受注残高                       (単位:百万円)

 

 

区分

前事業年度末

受注残高

当事業年度

受注高

当事業年度

売上高

当事業年度末

受注残高

国内

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

96

49

109

36

石油精製関係

19,041

6,531

8,239

17,333

LNG関係

25,785

1,436

4,463

22,758

化学関係

3,143

3,141

3,262

3,021

発電・原子力・新エネルギー関係

51,739

20,252

18,139

53,852

生活関連・一般産業設備関係

14,100

7,432

11,053

10,479

環境・社会施設・情報技術関係

15,525

7,631

11,457

11,699

その他

214

191

310

94

129,646

46,666

57,036

119,276

海外

 

 

 

 

石油・ガス・資源開発関係

74,348

86,301

54,752

105,897

石油精製関係

342,832

18,389

128,257

232,964

LNG関係

722,672

40,911

325,440

438,144

化学関係

733

6,108

5,733

1,108

発電・原子力・新エネルギー関係

577

202

779

生活関連・一般産業設備関係

68

182

250

環境・社会施設・情報技術関係

328

14

314

その他

9

71

80

1,141,242

152,497

515,310

778,429

合計

1,270,889

199,163

572,346

897,706

(注)1.「前事業年度末受注残高」は当事業年度の為替換算修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。                                    (単位:百万円)

区分

為替換算修正

契約金額の修正・変更

石油・ガス・資源開発関係

3,035

△305

2,729

石油精製関係

13,205

△113

13,091

LNG関係

12,320

△2,436

9,884

化学関係

発電・原子力・新エネルギー関係

生活関連・一般産業設備関係

△150

△150

環境・社会施設・情報技術関係

その他

28,561

△3,006

25,555

2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。

3.当社の取扱品目である各種プラント・施設等の設計・調達・建設役務の遂行には高度の技術能力を必要とするため、顧客による特命ないし指名入札方式による契約がほとんどである。

 

3【対処すべき課題】

「NEW HORIZON 2015」の総括

日揮グループは、前中期経営計画「NEW HORIZON 2015」において、従来のエンジニアリングコントラクターの枠を超える「Program Management Contractor & Investment Partner」という新たな企業体への変貌という目標を掲げ、また数値目標として、2015年度(2016年3月期)に親会社株主に帰属する当期純利益500億円、ROE10%以上の達成を掲げ、日揮グループの総力を挙げて、その実現に向けて取り組んでまいりました。

この間、日揮グループは、新興国の経済成長を背景とした原油価格の高止まり、シェールガス開発の急速な進展を背景とするLNG計画の増加等、ハイドロカーボンマーケットの想定を超える環境変化を捉えて、受注高および売上高を拡大させ、親会社株主に帰属する当期純利益については、2012年度および2013年度に450億円以上という結果を残し、ROEについては2011年度から2015年度の5か年の平均が11.6%となり、目標を上回ることができました。

また、事業戦略上では新たな事業領域として掲げたNew EPC分野の開拓において、F-LNG分野、非鉄金属分野等への参入という成果を挙げることができました。一方、EPC事業を補完する目的で実施した事業投資からの利益創出を含め、総合的に見れば、日揮グループが目指す「Program Management Contractor & Investment Partner」という新たな企業体への変貌というゴールには、まだ道半ばであると認識しております。

 

新中期経営計画「Beyond the Horizon」について

1)位置づけ

新中期経営計画「Beyond the Horizon」は、「Program Management Contractor & Investment Partner」という日揮グループが目指す企業体への変貌に向けて、10年後、即ち2025年時点の企業グループとしての方向性と事業領域を明らかにし、売上高、親会社株主に帰属する当期純利益等の経営数値を拡大させ、さらなる変革を実現していくための前半5か年の成長戦略であります。

 

策定にあたっての前提

日揮グループの強み、優位性、即ちコアコンピタンスおよびマーケット環境の変化は以下のとおりと認識しております。

日揮グループのコアコンピタンス

・ハイドロカーボン・ダウンストリーム分野のEPCコントラクターとして、困難な状況、複雑かつ高度なプロジェクトにおいても完遂するデリバリー能力を基盤とする世界屈指の実績とパフォーマンス

・技術力とマネジメント力に立脚し、人、物、情報をグローバル規模でインテグレートし、かつEPCの事業領域の拡大と新事業の展開を追求しうる優れた人材群

・10年に及ぶ事業投資の経験を通じて蓄積した事業運営会社としての知見とノウハウ

・強固な財務基盤およびさらなる成長戦略投資を可能にする豊富な資金力

 

②マーケット環境の変化

現在、プラントマーケットは、一昨年からの原油価格の急激な下落とそれを背景とするメジャーオイルや産油国の設備投資の削減から、大変厳しい状況が続いております。

しかしながら、中長期的には、新興国の人口増大や経済発展を背景としたハイドロカーボンエネルギー需要の増大トレンドは不変であり、新中期経営計画の後半以降に、原油やLNG等のエネルギー需給の逼迫を見据えた設備投資計画が本格化する状況が訪れるとともに、以下のとおりプラントマーケットは変化していく可能性が高いと予測しております。

・中央アジア、イラン、イラク等の新たなEPCマーケットが出現

・世界的な環境保全への関心の高まりを背景に再生可能エネルギー利用が着実に進展

・新興国の人口増大や経済発展を背景に、世界で都市化が進展し、インフラ(電力、交通)需要が増大

・中国ならびに東南アジア諸国における医薬・医療ニーズが拡大

・資源開発計画における3D化(Difficult, Deep, Distance)によるプロジェクト遂行技術の高度化ニーズが拡大

・ビッグデータを活用したIoT等、IT技術利用による産業の変革が進展

 

3)目指す方向性と事業領域

以上のような日揮グループのコアコンピタンスおよびマーケット環境の変化を踏まえ、10年後の2025年に日揮グループは、「オイル&ガス分野を中心とし、インフラ分野への事業領域拡大」を目指します。

 

 

4)目標とする経営指標

新中期経営計画では、数値目標として2021年3月期の売上高1兆円以上、親会社株主に帰属する当期純利益600億円を掲げ、ROEについては引き続き10%以上といたします。

 

5)基本方針

コアビジネスであるオイル&ガス分野のEPC事業の拡大を図りつつ、インフラ分野へのEPC事業の拡大および非EPC事業からの安定的な利益創出に注力し、企業価値向上を図ってまいります。その実現のための財務戦略を含め、新中期経営計画の基本方針を以下のとおりといたします。

≪基本方針1≫ EPC事業の拡大(オイル&ガス分野の拡大、インフラ分野への拡大)

≪基本方針2≫ 非EPC事業(事業投資・製造業)の利益拡大

≪基本方針3≫ 基本方針1および2を実現するための財務戦略の策定

 

6)基本方針に基づく戦略

≪基本方針1≫ EPC事業の拡大(オイル&ガス分野の拡大、インフラ分野への拡大)

EPC事業の拡大のため、以下の事業戦略を推し進めます。

戦略1)マーケット拡大

現有マーケットに加え、東アフリカ、中央アジア、イラン、イラク等へのマーケット拡大を図ります。

戦略2)プロジェクト遂行力強化

国内外EPCグループ会社との連携強化、幅広いJVパートナーとの協業促進、世界三極体制確立のための欧州拠点の設置および新興国対応のグループ会社の設置により、プロジェクト遂行力強化を図ります。

戦略3)事業領域拡大

アップストリーム分野への領域拡大、発電(化石燃料、原子力、再生可能エネルギー)分野の強化、交通インフラ分野への領域拡大、医薬・医療分野の海外展開の促進およびプラントの事業価値向上に向けたO&Mサービス事業への進出により、事業領域の拡大を志向してまいります。

戦略4)技術優位性追求による受注競争力強化

LNG分野のさらなる技術力向上、モジュール工法等プロジェクト遂行技術高度化のさらなる追求、プラントの事業価値向上に向けたIoT活用の推進および高度先端医療に対応する医薬分野の技術力向上により、受注競争力強化に取り組みます。

 

≪基本方針2≫ 非EPC事業(事業投資、製造業)の利益拡大

事業投資においては、目標IRRは引き続き12%以上とすることを定めたうえで、各事業分野を、以下のとおり分類し事業投資に取り組んでまいります。

<拡大分野> 既存事業のうち、引き続き積極的に取り組む分野

・発電・造水(IWPP)事業

・環境・新エネルギー事業

・メディカル事業

<維持分野> 当面継続するが、マーケット状況を考慮して将来性を検討する分野

・資源開発事業

・上下水道事業

・都市開発事業

<将来分野> 将来のポテンシャルの大きさを考慮し、チャレンジする新規分野

・空港運営事業

・アグリ事業

・中国事業

・ビッグデータソリューション事業

 

また、触媒事業等の製造業においては、世界的な需要増大を捉え、新商品、新製品開発に資する技術開発の促進に加えて、技術獲得のための国内外企業のM&A、アライアンスの検討および海外展開のさらなる促進により、売上高および利益の拡大を目指してまいります。

 

 

≪基本方針3≫ 基本方針1および2を実現するための財務戦略の策定

自己資本比率については50%以上を安定的に維持すること、また資本効率も意識し、自己資本利益率(ROE)については引き続き10%以上とすることを目標として定めたうえで、以下を目途として手元資金の配分を行ってまいります。

 

対象

配分の目途

EPC事業に関する運転資金

30%

成長戦略投資(※)

30%

株主還元

20%

事業投資

10%

設備投資(社屋維持、グループ会社関連)

10%

合計

100%

(※)基本方針に基づく以下の諸施策。欧州拠点の設置、新興国対応のグループ会社の設置、アップストリーム分野や交通インフラ分野への領域拡大、ビッグデータソリューション事業の推進等。

 

4【事業等のリスク】

日揮グループの事業その他に関するリスクで、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、平成28年3月31日現在において日揮グループ全体を視野に入れて判断したものであります。

 

①海外要因のリスク

日揮グループの事業は海外売上高が全体の8割超を占め、相手国における経済リスク、政治・社会リスクなどのいわゆるカントリーリスクにさらされております。具体的には、不安定な政情、戦争、革命、内乱、テロ、経済政策・情勢の急変、対外債務不履行および為替・税金制度の変更などが考えられます。日揮グループは、これらのリスクに起因する事業への影響をできるだけ少なくするために、リスク管理体制の見直し・強化をはじめ、貿易保険の利用、代金の早期回収および企業連合の組成などの方策を講じておりますが、想定を超える事業環境の変化が発生した場合には、プロジェクトの中止、中断および遅延などによって、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②プロジェクト遂行上のリスク

日揮グループのプロジェクト契約形態はその多くがランプサム・フルターンキー契約(一括請負契約)でありますが、一部にはリスクを低減するためのコストプラスフィー契約(実費償還型契約)、コスト開示型見積方式による契約などもあり、プロジェクトに応じて採用しております。日揮グループは過去の経験を十分に活用し、プロジェクト遂行中の各種リスクへの対応を織り込んで契約を行っておりますが、資機材価格・レーバーコストの急激な変動、自然災害および疾病の発生など、想定を超えるプロジェクト遂行上の問題および自己責任によるプラントに係る重大な事故が発生した場合には、プロジェクトの採算が悪化し、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③投資事業リスク

日揮グループでは、石油・ガス・資源開発関連事業、新燃料事業、発電・造水事業および都市開発・インフラ整備事業などへの投資を行っております。新規投資および再投資実行の際にはリスク評価を行うとともに、既存事業については適時モニタリングを行うことで、適切なリスク管理を実施しておりますが、原油・ガスなどのエネルギー資源の急激な価格変動に代表される投資環境の劇的な変化や推定埋蔵量の変化など、想定を超える事態が発生した場合には、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④為替リスク

日揮グループの事業は、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっております。この為替リスク回避策として、マルチカレンシー建てによるプロジェクトの受注契約をはじめ、海外調達、外貨建ての発注および為替予約などの対策を状況に応じて採用しております。しかしながら、急激な為替変動は、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社が技術援助等を受けている契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

ソシエテ・テクニーク・プーレ・エネージイ・アトミク(フランス)

放射性廃棄物を熱硬化性樹脂中に固化する処理技術

昭和61年4月10日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

昭和54年1月

シェル・リサーチ・リミテッド(イギリス)

硫黄回収装置から出されるガスより酸性ガスを除去する方法(SCOT法)に関する技術

昭和59年8月31日以降は当事者の一方が3カ月前に通知することにより終結

昭和58年6月

ルルギガスーウント ミネラレール テクニック ゲー・エム・ベー・ハー

(ドイツ)

硫黄回収技術

平成13年12月31日以降は当事者の一方が1年前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成4年1月

スルザー・ブラザース・リミテッド(スイス)およびスルザー・ブラザース・ケムテック・ピィーティーイー・リミテッド

(シンガポール)

塔内充填物および付帯機器類に関する技術

平成9年4月23日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成4年4月

アスペン・テクノロジー・インク(アメリカ)

プロセス、機器設計、コスト推算およびプロセスデータベースソフト等の高度制御用ソフトウェア

平成32年11月30日まで

平成21年9月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

既設リファイナリーの収益性改善のためのコンサルティング手法

平成15年8月31日以降は、当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年9月

マモー・トランスポート・ビー・ヴィ(オランダ)および日本通運株式会社

超重量物の据付に用いる油圧ジャッキ式門型クレーンの国内使用に関する協力

平成15年9月1日以降は当事者の一方が3カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成12年9月

ビーエーエスエフ・エスイー(ドイツ)

天然ガスからの酸性ガス除去プロセスの技術

平成36年4月9日まで

平成26年4月

(2)当社が技術援助等を与えている契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

初期投資の大幅軽減と短納期を実現する新しい製油所設計技術

平成12年7月22日以降は1年毎に更新

平成9年7月

ユー・オー・ピー

(アメリカ)

天然ガスコンデンセート中の水銀とヒ素を除去する技術

平成15年1月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年1月

(3)その他当社が締結している重要な契約

契約先

内容

契約期間

契約年月

アジャンス・ナショナル・プーラ・ゲション・デュ・ディシュ・ラディオアクティス(フランス)

放射性廃棄物処分技術に関する技術情報の交換および同分野におけるテクニカルサービス等の提供のための協力

平成15年9月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新

平成10年9月

シュナイダーエレクトリック株式会社

高度制御用ソフトウェアパッケージ、オンライン最適用ソフトウェアパッケージの販売、導入に関する営業活動およびプロジェクト遂行のための協力

平成14年2月1日まで。ただし、当事者の一方より契約満了日の30日前までに解約通知しなければ1年毎に更新

平成13年2月

(4)関係会社が締結している重要な契約

    該当事項なし。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度は、中期経営計画「NEW HORIZON 2015」の最終年度として“テクノロジービジネスクリエーター”を目指し、差別化技術に基づいたビジネス開発を推進してきました。重点戦略を①開発技術の早期商業化とライセンスビジネスの拡大、②成長分野における新規ビジネスの創出と推進、③オープンイノベーションの活用による社外との連携強化とし、資源、社会インフラ・ライフサイエンス、環境・新エネルギー、ものづくりの各分野に注力してきました。その結果、海外への技術ライセンス供与の実績をあげ、成長分野における新規ビジネスの創出を図るとともに、将来ビジネスの核となる技術獲得のために産官学の連携による開発を推進することができました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、54億83百万円(消費税等は含まない)です。

 

① 総合エンジニアリング事業

設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野

コアビジネスである設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野においては、既存のハイドロカーボン分野、ノンハイドロカーボン分野に加えて、EPCビジネスの領域拡大を目指し、洋上LNG(フローティングLNG)分野、インフラ分野に取り組んできました。また、近年の動向として、オフショアだけでなく、オンショアにおいても大型モジュール工法が採用される事例が増えてきており、これらのプロジェクトに対しても設計製作から輸送まで難度の高い同工法を適用しております。さらには、同工法を極寒地での建設にも利用するなどの適用範囲の拡大や、さらなる工法の開発・工夫による競争力強化に取り組んでまいります。

 

石油資源・精製分野

世界の石油需要が長期的に増大する傾向がある中、豊富な埋蔵量のカナダオイルサンドや南米の超重質油など、非在来型重質油の開発が注目されています。これら重質原油の多くが既発見ながら未開発のままである主たる理由として、粘度が高く消費地までのパイプラン輸送が困難であることが挙げられます。当社は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共同で、超臨界水を利用したSCWC(Supercritical Water Cracking)プロセスを開発し、カナダに設置したパイロット装置で連続運転を終了しました。その結果、パイプラインで輸送できるまでに粘度を低減できること、副生するピッチは北米で需要が拡大している道路用アスファルトの原料として使用できることを確認しました。カナダをはじめベネズエラやコロンビアなどの超重質原油の開発を推進し、我が国の資源獲得に貢献します。

また、天然ガスの需要増加に伴い、その副生物として生産量が増えているコンデンセートは、原油に比べて軽質留分を多く含むため輸送燃料のみならず石油化学原料としても需要が増えています。コンデンセートに含まれる硫黄分を一つの反応器で一括して脱硫処理するシンプルな脱硫技術を確立しました。コンデンセートを各留分に分けた後に脱硫処理する従来法に比べて、設備費と運転費を大幅に削減できることを確認し、産ガス国に対してプロモーションを開始しました。

 

天然ガス分野

地球温暖化ガスであるCO2の排出量削減の観点から、CO2の回収や有効利用が強く求められています。当社は、合成ガスや天然ガスに含まれるCO2を吸収分離し、高圧で回収する高圧再生型CO2回収(HiPACT®)プロセスを保有しています。この技術を用いることによりCO2を低コストで地中に注入することができ、地中貯留(CCS/Carbon Capture and Storage)あるいは石油増進回収(CCS-EOR /Enhanced Oil Recovery)のために新たに必要となるエネルギーを大幅に削減することができます。一方、今後、資源開発が見込まれる高濃度・中濃度CO2含有天然ガス田に含まれるCO2を特殊なセラミック膜で効率的に分離・回収する技術の開発を進めております。

また、海洋ガス田向けの洋上LNGプラントや中小ガス田向けの陸上小型LNGプラントの開発に継続して取り組んできた結果、東南アジアの洋上LNGプラントにおけるEPCビジネスに結びつきました。現在、複数のプロジェクトを遂行しています。さらに複数のFEED業務(Front End Engineering and Design)も遂行中です。また、陸上LNGプラントのEPCと連携したO&M(Operation and Maintenance)手法の基本スキームを開発しており、O&Mサービスの販売活動を展開しております。空気冷却式の陸上LNGプラントでは、操業場所の気象条件も考慮したプラント周辺の熱風のシミュレーションによる生産性の高いプラントを設計する解析技術(AIRLIZE LNG®)を確立し、幅広い顧客のニーズに対して、多彩なソリューションを提案しております。

シェールガスをはじめとする天然ガスは、液体燃料製造や高付加価値の化学品製造の原料としても期待されています。天然ガスなどから合成されるメタノールを原料とするプロピレン製造プロセス(DTP®)は、現在産ガス国や化学会社などに対して営業活動を展開しております。また、次世代の高性能触媒も継続して開発中です。

 

炭酸ガスマネジメント分野

気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択された「パリ協定」の中で、すべての国においてCO2排出抑制目標が設定されることになり、また、イノベーションの重要性が位置づけられました。この社会課題に対して、当社では先に述べたCO2分離技術と資源増産を組み合わせたCCS-EORの可能性に関して、産油国との共同スタディを進めています。また今後は炭素循環を一つの目標とすべく、関連技術の調査を開始しています。

 

CO2フリーエネルギーキャリア分野

経済産業省は2015年を「水素元年」と位置付けている中、近年、大手自動車会社が相次いで燃料電池自動車を発売しました。日本政府は2020年夏に東京で開催するオリンピック・パラリンピックまでに、水素エネルギーの導入を促進し、世界最先端の水素社会をアピールする方針です。このような国の水素戦略に基づいて、当社は、内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキャリアプロジェクトに参画し、最近CO2フリーエネルギーとして注目されはじめているアンモニアを再生可能エネルギーから製造するシステムを開発しています。本開発では、太陽光や風力の不安定な出力を平準化するために、蓄電池や水電気分解などを組み合わせた全体システムとして最適化も検討しております。

 

ケミカル・非鉄金属分野

硫化水素は、エンジニアリングプラスチックPPS、医薬品やメチオニンなどの硫黄を含む化合物を製造するための中間原料として使用されております。当社が開発した高純度の硫化水素および硫化水素ナトリウムを製造するプロセスは、国内に5基のプラントの技術ライセンスおよび建設の実績がありますが、当連結会計年度は、新たに海外でもプラントが稼働し、初の海外ライセンス実績となりました。さらに海外からも新規案件の引き合いがあり、新たなニーズにも対応できるようにプロセスのさらなる差別化を図っています。

 

一般産業分野

インフラ分野では、顕在化する社会インフラの老朽化問題の解決に取り組んでおります。具体的には、道路橋RC床板の疲労損傷および異常気象による河川の洪水による鉄道橋梁の洗掘を対象として、光ファイバーセンサを用いたモニタリング評価方法の技術開発と実証試験を行っています。

ライフサイエンス分野では、バイオ医薬品製造技術としてマイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加したバイオリアクターやシングルユース機器のハンドリング技術の開発を行なっています。また、視覚・触覚のフィードバックを伴うマスター・スレーブ方式の遠隔操作による無人(塵)化対応、粉体コンテナのドライ洗浄、高薬理活性物質の飛散性測定、原薬および製剤の連続製造など、多角的な技術開発を行っています。

再生医療分野では再生医療関連施設の多くの実績を踏まえ、細胞・組織培養環境基準の構築や再生医療関連要素技術の高度化を進めています。病院建設では、病院総合運営パートナー事業にも踏み込んだ展開を国内外で進めた結果、カンボジアで病院建設、運営を行うに至っています。

 

原子力分野

東日本大震災により発生した放射能を含んだ瓦礫、廃棄物、あるいは汚染土壌の一部は焼却処理や熱処理により除染することが検討されていますが、このような除染により除去され濃縮された放射能を処分するための処理方法はいまだ決定されていません。そこで、当社では、これらの放射能の高い汚染物に対して、新たな固化体を用いた封じ込め性の高い固化処理技術の開発に着手しました。

 

新規事業創出分野

低品位炭を原料とする石油代替燃料(JGC Coal Fuel: JCF®)への変換技術は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成により、インドネシアで年産1万トン規模のJCF製造およびその燃料を用いた発電実証を行っています。このプロセスは低品位炭を高圧熱水により改質させた後、水と混合してスラリー燃料に加工する当社の独自技術で、インドネシアのエネルギー自給への貢献が期待されています。

CO2の排出量削減に向けて、バイオマス由来の航空機燃料の開発が世界的に進められています。当社は、NEDOから微細藻類由来のオイル生産技術の開発事業を委託され、電源開発株式会社と国立大学法人東京農工大学とともに取り組んでいます。また、福島県再生可能エネルギー次世代技術開発事業向けに一般社団法人藻類産業創成コンソーシアムから委託された技術支援により土着藻類によるベンチスケールでのバイオ原油の生成に成功に導きました。引き続き商業化に向けた技術開発を支援しています。

非食物系バイオマスを原料にした酵素法エタノール製造プロセスは、NEDOからの委託事業として産学官連携により、技術の早期実用化にむけてパイロット装置を用いた開発を実施しています。

 

なお、当事業での研究開発費は24億87百万円(消費税等は含まない)です。

 

② 触媒・ファイン事業

石油精製分野

石油精製分野では、油価の大幅な下落やイラン制裁解除など、世界的な環境変化が起こっています。この環境変化に対応すべく、国内外で業界再編の動きが加速するとともに、アジアを中心に石精-石化のインテグレーションが進行しています。この市場変化へ迅速に対応すべく、流動接触分解(FCC)用触媒として、プロピレン増産用触媒の高性能化や補助触媒(FCC Additive)の開発に取り組みました。その成果の一部として、効率的に重質油を分解する新FCC触媒およびプロピレン増産用のFCC Additiveの新製品を日揮触媒化成(株)が2015年秋に開催した技術発表会にて紹介しました。触媒開発とともに、反応解析・シミュレーション技術の深耕に努め、顧客ニーズに的確かつ迅速に応えるテクニカルサービス体制を整えています。

一方、環境負荷低減として、先進国と同様に新興国でも燃料油の硫黄規制が強化されており、水素化処理触媒の需要は今後も堅調に伸びていくと予想されています。技術発表会では、高活性と高安定性を両立させた革新的な軽油サルファーフリー触媒およびFCC装置の前処理触媒として残圧原油(VGO)水素化処理の新触媒も合わせて紹介しました。これらの高性能水素化触媒の導入によって製油所の収益向上に貢献すべく、顧客への展開を開始しています。残油水素化処理装置用の新脱メタル触媒は、国内製油所で着実に実績を積み重ねて、海外製油所にも採用され、その有効性が実証されています。また、石油精製分野の触媒は、国内石油精製会社と共同で開発・実証化を進めてきた結果、軽油サルファーフリー触媒や水素化分解触媒が製油所に採用され収益向上に貢献しています。

 

石油化学分野

海外の大型エタン/ナフサクラッカーおよび関連装置の立ち上がりや国内ナフサクラッカーの統廃合の影響などにより、顧客の市場環境が変わりつつあります。このような状況の中で、顧客のニーズ変化に対応したニッケル触媒をはじめ各種石油化学向け触媒の高性能化を図るために、活性金属の担持・成型・還元技術などの開発・工業化の検討を進めています。また、ケミカルプロセスの原料中に含まれる不純物を除去する吸着剤として、例えば硫化カルボニル除去などの吸着剤の開発・工業化に取り組むとともに顧客価値創造を目指してテクニカルサービスを強化しています。

 

環境保全分野

環境保全分野では、CO2排出量削減の観点から木屑など木質バイオマスを混焼させる石炭火力発電所が増えている中、バイオマス由来の触媒毒成分による触媒劣化を抑制した脱硝触媒を国内企業と共同開発しています。また、「水銀に関する水俣条約」による水銀規制に対応すべく、水銀除去性能などを付与した脱硝触媒の開発を加速させています。さらに中国や欧州向けにディーゼル車排ガス浄化触媒の開発を行っております。

中国では石炭火力発電所向け排煙脱硝触媒の導入がピークを越えた一方、セメントキルン、鉄鋼コークス炉、およびガラス溶融炉などの排ガス浄化触媒のニーズが高まりつつあり、高性能な低温脱硝触媒の開発・商品化を引き続き進めております。

 

クリーンエネルギー分野

国の水素戦略や電力の自由化に伴って、定置型燃料電池の市場は拡大するものと予想されます。このような環境の中、当社は次世代の燃料電池用機能材料について大学と共同開発を行っており、燃料電池関連材料の製品ラインナップの充実に努めております。

 

生活関連・化粧品分野

眼鏡レンズのハードコート塗料用の高屈折率酸化物ゾルは、従来よりも耐候性を高める開発が進み、眼鏡レンズ用の販売を強化するとともに光学フィルム材等の他分野へ展開を図っています。また、サングラス用ラッカー材は顧客の採用が内定し、2016年度に立上る予定です。今後は、着色機能などの性能アップを図り、眼鏡分野でのシェア拡大に繋げます。

化粧品材料は市場ニーズを取り込んだ新商品開発による販売拡大に注力しております。スクラブ洗顔料などに使用されているプラスチック製マイクロビーズは環境負荷が高いため、この代替材料としてシリカビーズを開発し、数社に採用が決定しました。また、化粧品材のトイレタリー分野への応用についても継続して開発を行っており、新たにヘヤケヤ用の材料が注目され評価が開始されました。さらに、数年来開発を進めてきた紫外線遮蔽効果を増幅する光学材についても商品化に向けて工業化検討を開始しました。

 

電子材料分野

記録メディア市場はクラウドの大型需要により堅調に推移しています。このような高記憶容量化に伴い、高面精度、高研磨速度シリカ研磨砥粒の分野では業界トップシェアを維持しています。また、半導体の高容量化などの市場ニーズに対応し、平坦性や低ディフェクトと研磨速度を高い次元で両立させた無機ハイブリッド型研磨材の開発にも目途がたち、複数の顧客評価も順調に進んでいます。

光学フィルム用機能性光学材料は、採用されているスマートフォン、タブレットに加え新たな用途開発に取り組んできた結果、高画質の4Kテレビの視認性向上を目的とした反射防止フィルム用に低屈折率粒子の高性能タイプが採用され、需要が拡大しています。

半導体材料は半導体実装材料分野で使用されるシリカ粒子の商品化に取り組んでいましたが、ドライ研磨用の多孔質粒子が採用、商品化されました。

 

ファインセラミックス分野

ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LED照明などの高電力用のパワーデバイスを支える放熱用基板として使用される「高熱伝導率窒化珪素基板」の性能を高める開発を行っています。また、SIPの革新的設計生産技術の中で3Dプリンティングによる構造化機能材料・デバイスの迅速開発に再委託先として参画しております。

その他、材料による差別化を図るため、非酸化物系セラミックスの材料開発ならびにシリーズ化、セラミックス金属複合材(MMC)の開発に注力しております。

 

なお、当事業での研究開発費は29億10百万円(消費税等は含まない)です。

 

また、総合エンジニアリング事業および触媒・ファイン事業に加え、その他の事業において85百万円(消費税等は含まない)の研究開発費を計上しております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績

日揮グループの当連結会計年度の業績は、売上高8,799億54百万円(前期比10.1%増)、営業利益496億61百万円(前期比67.0%増)、経常利益520億47百万円(前期比16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益427億93百万円(前期比107.4%増)となりました。

① 売上高

売上高は手持ち工事の順調な進捗等の結果、前連結会計年度に比べて808億78百万円増加し、8,799億54百万円となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べて607億54百万円増加し、8,069億95百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて2億3百万円増加し、232億97百万円となりました。

③ 営業利益

営業利益は完成工事総利益の増加等に伴い、前連結会計年度に比べて199億20百万円増加し、496億61百万円となりました。

④ 営業外損益

営業外損益は、為替差損の発生等により、前連結会計年度の151億26百万円の利益(純額)から、23億86百万円の利益(純額)と127億40百万円の減少となりました。

⑤ 税金等調整前当期純利益

特別損益は、76億9百万円の利益(純額)となりました。投資有価証券評価損等が発生したものの、貸倒引当金戻入額等を計上したことが主な原因であります。結果として当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて295億97百万円増益の596億57百万円となりました。

⑥ 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べて66億68百万円減少し、90億78百万円となりました。加えて、法人税等調整額が76億10百万円となり、税金費用負担額(純額)は166億88百万円となりました。

⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より44百万円減少の1億74百万円となりました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて221億64百万円増益の427億93百万円となりました。

 

2.財政状態およびキャッシュ・フロー

当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し新規連結を伴う増加を除き511億75百万円減少し、2,479億47百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります

営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が596億57百万円となりましたが、未成工事受入金の減少などにより、結果として497億64百万円の減少となりました。投資活動による資金は、投資有価証券の売却などにより、86億96百万円の増加となりました。財務活動による資金は、配当金の支払いなどにより43億74百万円の減少となりました。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりとなりました

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率(%)

50.2

53.8

60.7

時価ベースの自己資本比率(%)

121.5

83.7

61.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

319.5

(注)自己資本比率            :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率      :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ  :キャッシュ・フロー/利払い

*各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。

*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。

*キャッシュ・フローがマイナスの期におけるキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「−」で表示している。

 当連結会計年度の連結財政状態は、総資産が6,897億82百万円となり、前連結会計年度比で299億72百万円減少しました。純資産は4,196億73百万円となり前連結会計年度比311億76百万円の増加となりました。

 

 また、連結貸借対照表に係る指標は以下のとおりとなりました。

 

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

流動比率

173%

186%

232%

固定比率

45%

48%

40%

(注)流動比率:流動資産/流動負債

固定比率:固定資産/純資産合計

各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。

 





出典: 日揮株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書