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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当企業グループは、企業競争が厳しさを増すなか、社会環境の変化やお客様のニーズを先取りした新商品の開発、ならびにグローバル市場での事業拡大に、全力をあげて取り組んできた。

その結果、当連結会計年度の売上高については、自動車部品事業では、主要得意先の自動車生産台数の増加に加え、オートマチックトランスミッションやマニュアルトランスミッション、カーナビゲーションシステム、パワースライドドアシステムの拡販など積極的な営業活動の展開により、前連結会計年度(1兆5,326億円)に比べ13.9%増の1兆7,459億円となった。また、住生活関連機器事業では、前連結会計年度(483億円)に比べ0.7%増の486億円となった。なお、建設土木事業、石油販売事業等その他事業では、前連結会計年度(242億円)に比べ41.7%増の343億円となった。この結果、合計の売上高は、前連結会計年度(1兆6,052億円に比べ13.9%増の1兆8,290億円となった。

利益については、原材料価格の上昇、減価償却費や新製品立ち上げ費用の増加などがあったが、売上高の増加に加え、原価低減など経営全般にわたる合理化・効率化活動に取り組んだ結果、営業利益は前連結会計年度(867億円)に比べ9.6%増の951億円、経常利益は前連結会計年度(846億円)に比べ16.3%増の984億円となった。また、当期純利益は、前連結会計年度(347億円)に比べ34.6%増の467億円となった。

なお、所在地別セグメントの業績は、次のとおりである。

①日本

得意先カーメーカーの生産台数増や装着商品の増、㈱アドヴィックスによるブレーキ関連商品の売上増により、売上高は前連結会計年度(1兆4,497億円)に比べ9.3%増の1兆5,851億円となり、営業利益は原材料価格の上昇の影響を受けたが、売上増と合理化が貢献したことにより前連結会計年度(808億円)に比べ4.6%増の845億円となった。

②北米

得意先カーメーカーの増産および当企業グループの拡販などにより、売上高は前連結会計年度(1,951億円)に比べ41.6%増の2,763億円、営業利益は前連結会計年度に引き続きエィ・ダブリュ・ノースカロライナ㈱のオートマチックトランスミッション生産準備費用の発生、減価償却費の増加などがあったが、売上増などにより、前連結会計年度の2億円から29億円へと増加した。

③欧州

得意先カーメーカーへのオートマチックトランスミッションおよびカーナビゲーションシステムを中心とする売上増などにより、売上高は前連結会計年度(814億円)に比べ76.9%増の1,440億円、営業利益は売上増に加え、アイシン・ヨーロッパ・マニュファクチャリング・チェコ㈲の生産立ち上げ費用が減少したことなどにより、前連結会計年度が0.7億円の営業損失であったが、当連結会計年度は12億円の営業利益となった。

④その他

タイをはじめとするアセアンにおけるトヨタの世界戦略車IMVプロジェクトのスタートによる増産および当企業グループの拡販などにより、売上高は前連結会計年度(488億円)に比べ39.8%増の683億円、営業利益は前連結会計年度(65億円)に比べ10.7%増の72億円となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高(以下「資金」)は、営業活動により1,426億円の増加、投資活動により1,748億円の減少、財務活動により223億円の増加の結果、当連結会計年度末には1,164億円と前連結会計年度末(1,262億円)に比べ98億円(7.8%)の減少となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(1,328億円)に比べ97億円(7.4%)増加し、1,426億円となった。これは、前連結会計年度に比べ、たな卸資産の増減により資金が177億円減少したが、税金等調整前当期純利益が153億円増加、減価償却費が84億円増加したことなどによる。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(1,607億円)に比べ140億円(8.7%)増加し、1,748億円となった。これは、有形固定資産の取得による支出が、前連結会計年度(1,475億円)に比べ147億円増加したことなどによる。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は、前連結会計年度(442億円)に比べ219億円(49.6%)減少し、223億円となった。これは、自己株式の処分による収入が14億円増加したが、前連結会計年度に比べ長期借入れによる収入が293億円減少したことなどによる。

 

(注) 本報告書の売上高、受注高等は、消費税等抜きで表示している。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

事業の種類別セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

自動車部品

1,753,421

+14.0

住生活関連機器

44,552

+1.0

合計

1,797,974

+13.7

(注) 金額は、販売価格による。

 

(2) 受注状況

当企業グループの自動車部品事業はトヨタ自動車㈱をはじめとして、大手自動車メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造・販売を行っている。大手自動車メーカーより約3ヶ月前後の予約的発注指示を受けるが、その発注量の確定指示は平均して1ヶ月分である。従って、下記に示す受注状況の受注残高はその1ヶ月分である。

また、住生活関連機器の輸出については主として得意先からの注文に基づき生産しており、受注高は下記に示すとおりである。一方、国内の住生活関連機器については、最近の販売実績および販売見込等の資料を基礎として見込み生産を行っている。

その他の事業について受注形態をとっているのは、建設土木事業である。

当連結会計年度における受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

事業の種類別

セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比(%)

自動車部品

1,763,841

+13.5

153,828

+13.1

住生活関連機器

9,543

+31.6

704

+20.0

その他

11,402

+112.0

6,443

+174.3

合計

1,784,787

+13.9

160,976

+15.9

(注) 金額は、販売価格による。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

事業の種類別セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

自動車部品

1,745,979

+13.9

住生活関連機器

48,690

+0.7

その他

34,395

+41.7

合計

1,829,064

+13.9

(注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりである。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

848,208

52.8

875,045

47.8

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しについては、昨年来続いている鋼材供給不安や原油の高騰、さらには不安定な為替動向や価格競争の激化など、足もとの経営環境は不透明さを増している。

このようななかで、当企業グループは総力を結集し、世界のメジャープレーヤーとして成長をめざしていく。そのため、環境や安全、快適等の分野での技術開発を積極的に行い、魅力ある商品の市場投入を加速していく。また、北米、中国、欧州などでの生産体制のさらなる拡充によりグローバルな供給ネットワークを確立し、売上拡大および新たな得意先の開拓をはかるとともに、グローバルに活躍できる人材の計画的な育成を着実に推進していく。また、住生活関連機器事業においては、ガスヒートポンプエアコンのノウハウを活用したガスコージェネレーションシステムのさらなる拡販をはかるとともに、これをベースに将来の燃料電池利用システムへと発展させ、一層の事業拡大を推進していく。

さらに、社会から信頼される企業として、環境取り組みプランに基づく環境保全活動の計画的な推進や、地域に密着した企業市民活動、公正で透明性の高い企業行動を絶えず心掛け、社会との調和ある成長、発展をはかっていく。

 

4 【事業等のリスク】

当企業グループの経営成績および財務状況等(株価などを含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成17年6月24日)現在において当企業グループが判断したものである。

 

(1)経済状況

 当企業グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当企業グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当企業グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 また、当企業グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合がある。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当企業グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当企業グループの売上が悪影響を受ける可能性がある。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当企業グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性がある。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(2)原材料・部品の供給

 当企業グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達している。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としているが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はなく、この場合、当企業グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

(3)特定の得意先への販売依存度

 当企業グループは、自動車部品および住生活関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主に国内外の主要自動車メーカーを得意先としている。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱およびトヨタグループへの販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高1兆2,192億円、総販売実績に対する割合は、66.7%となっている。従って、同社および同グループの販売数量の変動は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。なお、平成17年3月31日現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合23.2%、間接所有割合0.1%である。この情報は、第5「経理の状況」の「関連当事者との取引」(1)親会社及び法人主要株主等 欄に記載している。

 

(4)為替レート変動の影響

当企業グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度においては30.6%となっている。これらの情報は、第5「経理の状況」の「海外売上高」に記載している。

海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性がある。他の通貨に対する円高(特に当企業グループの売上の重要部分を占める米ドルおよびユーロに対する円高)は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 また、当企業グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当企業グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。当企業グループは、為替ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロおよび円を含む主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしているが、為替レートの変動は当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(5)海外市場への事業進出

当企業グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有しているが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

③不利な政治的または経済的要因の発生

④人材の採用と確保の難しさ

⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(6)新製品開発

 当企業グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新製品開発に努めている。今後も、継続して独創的な魅力ある新製品を開発できると考えているが、最先端の新製品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれる。

①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はない。

②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はない。

③当企業グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はない。

④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はない。

⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当企業グループの製品が時代遅れになる可能性がある。

⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性がある。

 上記のリスクをはじめとして、当企業グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(7)製品の品質不具合

当企業グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいる。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はない。また、製造物責任賠償については保険に加入しているが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はない。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

(8)災害や停電等による影響

 当企業グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はない。例えば、当企業グループの国内工場の多くは、中部地区に所在している。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当企業グループの生産能力が著しく低下する可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われていない。

 

6 【研究開発活動】

当企業グループは、グローバルなR&D拠点、評価施設を活用する中で、現有製品から先端技術に至る幅広い分野での研究開発活動を展開している。

研究開発にあたっては、現有製品分野での専門技術・固有ノウハウを有する各社の技術開発部門と、広範囲な先端技術領域での研究開発に専念する国内外の研究法人との、相互の技術交流の中から、次世代を担う新技術・新製品を開発する体制となっている。

主な新製品開発の状況は、自動車部品事業においては、エネルギーや環境、安全などの社会的課題を背景に、技術の高度化に対するニーズは高まっており、こうした要請に対応した新製品・システムの開発を重点に取り組んでいる。最近の主な成果としては、小型商用車用6速オートマチックトランスミッション、乗用車用6速オートマチックトランスミッション、リアエンジン・リアドライブ用6速マニュアルトランスミッション、助手席側大開口スライドドアシステム、パノラミックルーフなどの独創的な新製品を開発し、国内外の得意先への積極的な販売活動を進めている。


 

また、自動車部品事業以外の分野においては、自動車部品事業に次ぐ新たな柱となる製品・サービスの育成を狙い、これまで培ってきた技術をベースに、スーパーフレックスフィット・マットレスなど、社会ニーズを踏まえた新技術・商品の具現化に取り組んでいる。特に、将来の代替エネルギーとして社会的な期待感の高まっている燃料電池においては、グループをあげた重点的な取り組みをはかっている。

当連結会計年度の研究開発費は、総額955億円であり、事業別には自動車部品事業が910億円、自動車部品事業以外が45億円となっている。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

当企業グループの当連結会計年度の財政状態および経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容である。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成17年6月24日)現在において当企業グループが判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当企業グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成している。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。

 

①製品保証引当金

当企業グループは製品の品質保証期間内に発生する製品保証費に対して、製品の売上を認識する際に主として残存保証期間のクレーム発生見積額を過去の実績に基づいて計上している。従って、本質的に不確実性を内包しているため実際の製品保証費は見積りと異なることがあり、将来の業績に影響を与える可能性がある。

 

②貸倒引当金

当企業グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上している。将来、得意先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性がある。

 

③繰延税金資産

当企業グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っている。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。

 

④有価証券の減損処理

当企業グループは長期的な取引関係の維持のために、得意先および金融機関の株式を保有している。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っている。減損処理に係る合理的な基準は、第5「経理の状況」の有価証券関係の注記に記載している。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性がある。

 

⑤退職給付引当金

退職給付費用および債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されている。これらの前提条件には、割引率や年金資産の期待運用収益率等の多くの見積りが存在する。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、法改正や採用する退職給付制度の変更がある場合、過年度における数理差異の累計は将来期間において償却されるため、将来の退職給付費用および債務に大きな影響を与える可能性がある。

 

(2)経営成績の分析

当企業グループの経営成績は、当連結会計年度の売上高が前連結会計年度に比べ13.9%増加の1兆8,290億円、経常利益が16.3%増加の984億円となり、それぞれ過去最高となった。一方、前連結会計年度における特別損失(厚生年金基金代行部分返上認可日から返還日までの確定損失一括認識)と当連結会計年度における特別損失(減損損失および米国連結子会社における減損損失)により、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ19.9%増加の927億円、当期純利益は34.6%増加の467億円となった。

以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析する。

 

①売上高

当連結会計年度の売上高は1兆8,290億円であるが、これを事業の種類別セグメントごとに見ると、自動車部品事業は前連結会計年度(1兆5,326億円)に比べ13.9%増加の1兆7,459億円となった。住生活関連事業ではガスヒートポンプエアコンやシャワートイレの拡販などにより0.7%増加の486億円、建設土木事業、石油販売事業等のその他事業では受注活動などにより41.7%増加の343億円となった。

自動車部品事業を商品分野ごとに分析すると、エンジン関連ではタイミングチェーンカバーやシリンダーヘッドカバー等の拡販により13.0%増加の1,736億円、ドライブトレイン関連では6速オートマチックトランスミッションやマニュアルトランスミッション等の拡販などにより14.1%増加の7,686億円、ブレーキ及びシャシー関連では8.5%増加の3,720億円、ボディ関連では体重検知システム、パワースライドドア、パワーバックドア等の拡販などにより11.1%増加の3,179億円、情報関連他ではカーナビゲーションシステムやインテリジェントパーキングアシストシステム等の拡販などにより49.7%増加の1,136億円となった。

 

②売上原価、販売費及び一般管理費

原価低減など経営全般にわたる合理化・効率化に取り組んだが、鉄鋼をはじめとする原材料の価格の上昇や減価償却費の増加、研究開発費を含む新製品開発・立ち上げ費用の増加などにより、売上原価は前連結会計年度(1兆3,771億円)に比べ14.7%増加の1兆5,794億円となり、売上高に対する割合も85.8%から86.4%に上昇した。一方、販売費及び一般管理費は、荷造費及び運賃等の販売比例費や製品修理費などの増加により、前連結会計年度(1,413億円)に比べ9.3%増加の1,544億円となったが、売上高に対する割合は前連結会計年度の8.8%から8.4%に低下した。

 

 

③営業外損益

当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度(△21億円)に比べ改善され33億円の利益となった。これは、固定資産除売却損が前連結会計年度(34億円)に比べ46億円へと増加したこと、内規改訂に伴う過年度分役員退職慰労引当金繰入が当連結会計年度に11億円発生したことなどがあったが、為替差損益が前連結会計年度の12億円の差損から6億円の差益となったことや、持分法による投資利益が前連結会計年度(26億円)に比べ大幅に増加し55億円となったことなどによる。

 

④法人税等、法人税等調整額

当連結会計年度の法人税等および法人税等調整額は、前連結会計年度(293億円)に比べ7.3%増加の314億円となった。一方、税金等調整前当期純利益に対する比率は、前連結会計年度の37.9%から33.9%に低下した。これは、研究開発促進税制による税額控除などによるものである。

 

⑤少数株主利益

当連結会計年度の少数株主利益は、国内の主要連結子会社の利益が向上したことなどにより、前連結会計年度(132億円)に比べ9.4%増加の145億円となった。

 

⑥当期純利益

当連結会計年度の当期純利益は、前連結会計年度(347億円)に比べ34.6%増加の467億円となり、売上高に対する割合も2.2%から2.6%に改善した。また、ROEは7.4%から8.8%へ、1株当たり当期純利益も126円11銭から159円94銭へそれぞれ改善した。

 

(3)資本の財源および資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は1,164億円となっており、前連結会計年度と比較して98億円減少している。これは事業拡大等に伴い、高水準の設備投資を行ったことに加え、新規の借入や社債発行による資金調達が減少したことなどによる。

 

②資金需要

当連結会計年度における設備投資は、車両のモデルチェンジに対応した新製品・改良製品への投資、国内外における生産能力増強投資、生産設備の合理化投資、新技術・新製品の研究開発投資等を実施した結果、1,652億円を支出した。さらなるグローバル化、得意先の生産拡大、新製品の拡販が見込まれるため、将来はさらに長期資金の調達を実行する可能性がある。

 

③財務政策

当企業グループの資本政策については、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとりながら、企業価値の向上をめざすことを大前提としている。

「財務の安全性」については、格付機関による評価をひとつの目安とし、長期借入債務に対しての高い信用格付けを維持することにより、低コストでの外部資金調達が可能になるよう努めている。

一方、「資本の効率性」については、上記格付けが維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減を図っている。

上記の方針に基づき、負債と資本のバランスに配慮しながら、適切で柔軟な資金調達を行うべく努めている。

なお、当企業グループは、保有する換金性の高い流動性資産、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入などの財務活動によるキャッシュ・フローにより、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えている。

 





出典: アイシン精機株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書