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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 自動車業界における状況は、平成20年後半からの世界経済の急激な冷え込みによって自動車販売台数が大幅に縮小しましたが、未だに自動車需要の回復に自律的な力強さはなく、各国の市場活性化策終了後の需要動向が依然として不透明であるなど、大変厳しい状況が続いています。また、住生活関連業界においては、デフレが国内で本格的な広がりを見せはじめる中、所得や雇用の先行きに対する不安感から個人消費の姿勢がより慎重になるなど、一段と厳しさが増しました。

 こうした状況の中、当企業グループは、この難局を乗り切るため、経費の総見直しや現有設備の使い切りによる設備投資の低減、業務の効率化など、あらゆる角度から当面の収益確保に向けた緊急利益対策を実行し、スリムで強固な企業体質づくりに努めました。さらに、生産量の変動に柔軟に対応していくため、国内外での生産体制の見直し・適正化や、各地域・拠点間の相互補完、設備投資の効率化のほか、共同調達・共同物流などグループ連携活動の強化や業務改革を通じた固定費の総見直しなど、抜本的な構造改革に向けた活動を推進しています。 

  当連結会計年度の売上高については、自動車部品事業では、ハイブリッドトランスミッションやエンジン冷却用電動ポンプなど、環境性能の向上に貢献する商品の開発・拡販に取り組んだものの、多くの主要市場での自動車販売が伸び悩んだ影響を受け、前連結会計年度(2兆1,118億円)に比べ6.7%減の1兆9,699億円となりました。また、住生活関連機器事業では、前連結会計年度(414億円)に比べ17.7%減の340億円、その他事業では、前連結会計年度(612億円)に比べ17.7%減の503億円となり、合計の売上高は、前連結会計年度(2兆2,144億円)に比べ7.2%減の

2兆544億円となりました。

 利益については、販売数量の減少があったものの、原価低減活動の成果や構造改革への取り組みなどにより、営業利益は875億円(前期営業損失34億円)、経常利益は949億円(前期経常損失49億円)となりました。また、余剰生産設備の減損損失372億円を特別損失に計上したことなどにより、当期純利益は166億円(前期純損失251億円)となりました。

 なお、所在地別セグメントの業績は、次のとおりです。 

① 日本

 環境対応車への補助金や減税の効果で、ハイブリッドトランスミッションやエンジン冷却用電動ポンプなど環境性能の高い商品の拡販などにより得意先への製品納入は回復傾向にあるものの、上半期の自動車生産台数の減少が大きく影響し、売上高は前連結会計年度(1兆7,648億円)に比べ2.1%減の1兆7,271億円となりました。営業利益は、売上高の減少はあったものの、原価改善活動の成果や、減価償却費の減少などにより、637億円(前期営業損失363億円)となりました。

② 北米

 景気の減速による自動車販売不振の影響を受けた生産数量の減少や、為替の変動が影響したことなどにより、売上高は前連結会計年度(3,165億円)に比べ26.4%減の2,329億円となりました。利益については、売上高の減少はあったものの、固定費削減努力などにより、28億円の営業損失(前期営業損失73億円)に改善しました。

③ 欧州

 一部の地域において、スクラップインセンティブによる自動車需要の回復はあったものの、製品納入の減少に加え、為替の変動が影響したことなどにより、売上高は前連結会計年度(1,705億円)に比べ17.5%減の1,406億円、営業利益は前連結会計年度(14億円)に比べ6.1%減の13億円となりました

④ アジアその他

 中国での得意先カーメーカーの増産はあったものの、タイ市場での自動車販売台数の減少や為替変動の影響などにより、売上高は前連結会計年度(2,465億円)に比べ18.2%減の2,016億円、営業利益は前連結会計年度(347億円)に比べ22.7%減の268億円となりました

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動により3,037億円の増加、投資活動により3,316億円の減少、財務活動により348億円の増加、現金及び現金同等物に係る換算差額により19億円の増加の結果、当連結会計年度末には1,527億円となり、前連結会計年度末(1,438億円)に比べ89億円(6.2%)の増加となりました

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(1,146億円)に比べ大幅に増加し、3,037億円となりました。これは、減損損失が272億円増加したうえで、税金等調整前当期純損益が726億円改善したことや、法人税等の支払額又は還付額が867億円増加したことなどによります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 資活動により使用した資金は、前連結会計年度(2,237億円)に比べ1,078億円(48.2%)増加し、3,316億円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が1,254億円減少したものの、定期預金及び有価証券の増減額が2,000億円増加したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は、前連結会計年度(757億円)に比べ409億円(54.0%)減少し、348億円となりました。これは、配当金の支払額が187億円減少したものの、借入れ・社債による資金調達額が590億円減少したことなどによります

 

 (注) 本報告書の売上高、受注高等は、消費税等抜きで表示しています。

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

自動車部品

1,982,280

△5.5

住生活関連機器

31,256

△10.5

合計

2,013,536

△5.6

 (注) 金額は、販売価格によっています。

(2) 受注状況

 当企業グループの自動車部品事業はトヨタ自動車㈱をはじめとして、大手自動車メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造・販売を行っています。大手自動車メーカーより約3ヶ月前後の予約的発注指示を受けますが、その発注量の確定指示は平均して1ヶ月分です。従って、下記に示す受注状況の受注残高はその1ヶ月分です。
 また、住生活関連機器の輸出については、主として得意先からの注文に基づき生産しており、受注高は下記に示すとおりです。一方、国内の住生活関連機器については、最近の販売実績および販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っています。
 その他の事業について受注形態をとっているのは、建設土木事業です。

 当連結会計年度における受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別
セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比

(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比

(%)

自動車部品

2,030,493

+0.6

180,102

+50.6

住生活関連機器

3,552

△24.7

300

+34.7

その他

5,070

△71.4

1,926

△67.2

合計

2,039,116

△0.1

182,330

+45.0

 (注) 金額は、販売価格によっています。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比

(%)

自動車部品

1,969,995

      △6.7

住生活関連機器

34,084

△17.7

その他

50,394

△17.7

合計

2,054,474

△7.2

 (注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

876,878

39.6

893,144

43.5

3 【対処すべき課題】

 今後の見通しについては、依然として自動車市場の先行きが不透明であることに加え、世界的な環境規制の強化や低コスト化へのニーズの高まりなど、開発競争が激化しており、事業を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。

 このような中で、当企業グループは、足元の厳しい局面を乗り切り、次の時代を切り拓いていくために、お客様の信頼と期待に応える確かな品質の商品を提供し続けることを基本に、新たな時代を見据えた新たな成長力の確保をめざしています。そのために、お客様目線での新商品の開発や新たな市場の開拓、確かなものづくりの力に裏打ちされたコスト革新の実現に、グループの総力をあげて取り組んでいきます。

 また、中国やブラジル、インドといった新興国市場における自動車需要の伸びはめざましく、今後の世界の自動車需要拡大の新たな牽引役になると期待されています。こうした市場において事業を伸ばしていくには、各地域でお客様が求める製品を適正な性能・品質で提供していくことが欠かせません。そのため、現地ユーザーニーズや使用環境の把握に努めるとともに、現地生産・開発能力の充実、材料・部品の現地調達を積極的に推進し、新興国市場での事業拡大をはかっていきます。

 このように、今後、事業環境がこれまで以上に激しく変わっていくと予想される中、社員一人ひとりが世の中にある変化の兆しを敏感に察知し、新たなテーマにチャレンジしていくため、グローバルアイシンを支える人材の育成に一層力を入れていきます。

 さらに、社会から信頼される人・企業として、「第4次環境取り組みプラン」に基づく環境保全5ヵ年計画の着実な推進により、環境トップランナーをめざすとともに、地域発展や自然保護、青少年の育成に重点を置いた企業市民活動、公正で透明性の高い責任ある行動を絶えず心掛け、社会との調和ある成長と社業の発展に努めていきます

 

4 【事業等のリスク】

 当企業グループの経営成績および財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成22年6月24日)現在において当企業グループが判断したものです。

(1) 経済状況

 当企業グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当企業グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当企業グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当企業グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当企業グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当企業グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当企業グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・部品の供給

 当企業グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当企業グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定の得意先への販売依存度

 当企業グループは、自動車部品および住生活関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱およびトヨタグループへの販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 1兆3,912億円、総販売実績に対する割合は、67.7%となっています。従って、同社および同グループの販売数量の変動は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、平成22年3月31日現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合23.3%、間接所有割合0.1%です。この情報は、第5「経理の状況」の「関連当事者情報」1 関連当事者との取引 に記載しています。

(4) 為替レート変動の影響

 当企業グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度においては36.6%となっています。これらの情報は、第5「経理の状況」の「海外売上高」に記載しています。
 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当企業グループの売上の重要部分を占める米ドルおよびユーロに対する円高)は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当企業グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当企業グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当企業グループは、為替ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロおよび円を含む主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 海外市場への事業進出

 当企業グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

③不利な政治的または経済的要因の発生

④人材の採用と確保の難しさ

⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

(6) 新製品開発

 当企業グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新製品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新製品を開発できると考えていますが、最先端の新製品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。

③当企業グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。

④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当企業グループの製品が時代遅れになる可能性があります。

⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。

 上記のリスクをはじめとして、当企業グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製品の品質不具合

 当企業グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 災害や停電等による影響

 当企業グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当企業グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当企業グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

5 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われていません。

6 【研究開発活動】

 当企業グループは、グローバルなR&D拠点、評価施設を活用する中で、現有製品から先端技術に至る幅広い分野での研究開発活動を展開しています。
 研究開発にあたっては、現有製品分野での専門技術・固有ノウハウを有する各社の技術開発部門と、広範囲な先端技術領域での研究開発に専念する国内外の研究法人との、相互の技術交流の中から、次世代を担う新技術・新製品を開発する体制となっています。
 主な新製品開発の状況は、自動車部品事業においては、消費者の生活スタイルや価値観が多様化し、クルマに求められるニーズが様変わりしている中で、環境・安全・快適をキーワードに、「信頼と感動」を世界中のお客様にお届けできるよう新技術・新工法・新商品の開発に取り組んでいます。最近の主な成果としては、ハイブリッドトランスミッションや、
エンジン冷却用電動ウォーターポンプ、小型・軽量ESC(横滑り防止装置)、プリクラッシュシートバックなど、クルマの環境・安全性能を大幅に向上させるシステム商品を開発し、国内外の得意先への積極的な販売活動を進めています。
 また、自動車部品事業以外の分野においては、自動車部品事業に次ぐ新たな柱となる製品・サービスの育成を狙い、これまで培ってきた技術をベースに、社会ニーズを踏まえた新技術・新製品の具現化に取り組んでいます。将来の代替エネルギーとして社会的な期待感の高まっている家庭用燃料電池や、加工分野での応用が期待されるフェムト秒ファイバーレーザーなど、グループをあげた重点的な取り組みをはかっています。
 当連結会計年度の研究開発費は、総額1,011億円であり、事業別には自動車部品事業が983億円、自動車部品事業以外が27億円となっています。
 
 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当企業グループの当連結会計年度の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成22年6月24日)現在において当企業グループが判断したものです。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当企業グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

① 製品保証引当金

 当企業グループは製品の品質保証期間内に発生する製品保証費に対して、製品の売上を認識する際に主として残存保証期間のクレーム発生見積額を過去の実績に基づいて計上しています。従って、本質的に不確実性を内包しているため実際の製品保証費は見積りと異なることがあり、将来の業績に影響を与える可能性があります。

② 貸倒引当金

 当企業グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、得意先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

③ 繰延税金資産

 当企業グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

④ 有価証券の減損処理

 当企業グループは長期的な取引関係の維持のために、得意先および金融機関の株式を保有しています。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っています。減損処理に係る合理的な基準は、第5「経理の状況」の有価証券関係の注記に記載しています。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。

⑤ 退職給付引当金

 退職給付費用および債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率や年金資産の期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、法改正や採用する退職給付制度の変更がある場合、過年度における数理差異の累計は将来期間において償却されるため、将来の退職給付費用および債務に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ7.2%減の2兆544億円、利益については、経常利益949億円(前期経常損失49億円)、当期純利益166億円(前期純損失251億円)となりました。

 以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は2兆544億円ですが、これを事業の種類別セグメントごとに見ると、自動車部品事業では生産数量の減少などにより前連結会計年度に比べ6.7%減の1兆9,699億円となりました。その商品分野ごとの内訳としては、エンジン関連では7.4%減の2,049億円、ドライブトレイン関連では7.1%減の8,426億円、ブレーキ及びシャシー関連では8.9%減の4,145億円、ボディ関連では2.9%減の3,867億円、情報関連他では6.9%減の1,211億円となりました。また、住生活関連事業ではガスヒートポンプエアコンの販売数量減などにより前連結会計年度に比べ17.7%減の340億円、その他事業では17.7%減の503億円なりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は前連結会計年度(2兆231億円)に比べ11.4%減の1兆7,917億円となり、売上高に対する割合は91.4%から87.2%に低下しました。これは、売上高の減少に加え、固定費削減など原価低減活動の成果や減価償却費が減少したことなどによります。一方、販売費及び一般管理費は、売上高の減少に伴う運賃及び荷造費など販売比例費の減少や経費の総見直しなどにより、前連結会計年度(1,948億円)に比べ10.1%減の1,751億円となり、売上高に対する割合は前連結会計年度の8.8%から8.5%に低下しました。

③ 営業外損益

 当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度(14億円の損失)に比べ88億円改善し、73億円の利益となりました。これは、受取配当金が32億円減少したものの、持分法による投資利益が28億円増加したことや、為替差損益などその他の営業外収支が102億円改善したことなどによります。

④ 特別損益

 当連結会計年度の特別損益は、余剰生産設備の減損により372億円の特別損失(前期特別損失100億円)を計上しました。

⑤ 法人税等、法人税等調整額

 当連結会計年度の法人税等および法人税等調整額は、前連結会計年度(164億円)に比べ18.4%増の194億円となりました。

⑥ 少数株主損益

 当連結会計年度の少数株主損益は、主要連結子会社の業績が改善したことなどにより、前連結会計年度(少数株主損失62億円)に比べ278億円増加し、少数株主利益216億円となりました。

⑦ 当期純損益

 当連結会計年度の当期純損益は、前連結会計年度(当期純損失251億円)に比べ417億円改善し、当期純利益166億円となり、1株当たり当期純利益も59円00銭(前期1株当たり当期純損失89円36銭)に改善しました。 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の現金及び現金同等物については、収益改善に伴う営業キャッシュ・フローの増加や設備投資の削減により大幅な資金増となりましたが、年度後半から金融市場および業績が急速に回復したことを受け、一時的な余剰資金を定期預金にシフトした結果、期末残高は前連結会計年度に比べ89億円増の1,527億円となりました。

② 資金需要

 当企業グループの資金需要の主なものは、車両のモデルチェンジに対応した新製品・改良製品への投資です。さらなるグローバル化の進展、次世代を担う新技術・新製品の開発等による資金需要が見込まれるため、将来はさらに長期資金の調達を実行する可能性があります。

③ 財務政策

 当企業グループの資本政策については、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとりながら、企業価値の向上をめざすことを基本方針としています。
 「財務の安全性」については、格付機関による評価をひとつの目安とし、長期借入債務に対しての高い信用格付けを維持することにより、低コストでの外部資金調達が可能になるよう努めています。
 一方、「資本の効率性」については、上記格付けが維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。
 上記の方針に基づき、負債と資本のバランスに配慮しながら、適切で柔軟な資金調達を行うよう努めています。
 なお、当企業グループは、保有する換金性の高い流動性資産、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れなどの財務活動によるキャッシュ・フローにより、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。





出典: アイシン精機株式会社、2010-03-31 期 有価証券報告書