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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 自動車業界における状況は、世界市場全体で見れば、新車販売台数がリーマン・ショック以前の水準に達するなど、各地域で需要が回復しつつある一方で、国内においては、販売を下支えしていたエコカー補助金終了による反動減や震災に伴う消費への慎重な姿勢など、先々の市場動向を見通しにくい不透明な状況が続いています。また、住生活関連業界においては、所得や雇用の先行きに対する不安感から、個人消費の足踏み状態が依然として続くなど、厳しさは一段と増しています。
 こうした状況において、アイシンに働く一人ひとりが、「減産下でも確実に生き残れる企業体質への転換」に向け、製品1個当たりにまで遡った生産性の向上や固定費の削減に全力で取り組んでまいりました。また、中長期的な視点に立てば、新興国の世界市場における存在感の高まりや、持続可能な社会の実現に向けた社会ニーズの変化など、企業経営は大きな変革点に差し掛かっており、将来にわたって安定的で持続的な成長をはかるため、社会環境の変化やお客様のニーズを先取りした新商品の開発と拡販、ならびにグローバル市場での事業基盤の強化に取り組みました。

  当連結会計年度の売上高については、年度末に一部の工場において、震災に伴う得意先の稼働状況に応じた生産調整がありましたが、トランスミッション関連製品や、エンジン冷却用電動ポンプをはじめとするハイブリッド車向け製品などが好調に推移したことに加え、アジアを中心に海外市場での販売が伸長したことにより、連結会計年度(2兆544億円)に比べ9.9%増の2兆2,574億円となりました。

 利益については、生産調整のほか、原材料価格の変動や為替による影響があったものの、売上高の増加に加え、経営全般にわたる収益体質の強化活動に取り組んだ結果、営業利益は前連結会計年度(875億円)に比べ56.8%増の1,372億円、経常利益は前連結会計年度(949億円)に比べ55.8%増の1,478億円、当期純利益は前連結会計年度(166億円)に比べ大幅に増加し696億円となりました。 

 なお、セグメントの業績は、次のとおりです。 

 

① アイシン精機グループ 

 国内の得意先カーメーカーの生産台数減少などにより、売上高は1兆736億円となりました。営業利益は原材料価格の変動や為替による影響があったものの企業体質改善活動の成果減価償却費の減少などにより、537億円となりました。

② アイシン高丘グループ

 アジアをはじめとした国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は2,105億円となりました。営業利益は売上高の増加に加え、企業体質改善活動の成果などにより、141億円となりました。

③ アイシン・エィ・ダブリュグループ

 国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は8,545億円となりました。営業利益は将来の成長に向けた研究開発費などの費用増加があったものの、売上高の増加に加え、企業体質改善活動の成果などにより、613億円となりました。

④ アドヴィックスグループ

 国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は3,832億円となりました。営業利益は売上高の増加はあったものの、減価償却費の増加などにより37億円となりました。

⑤ その他

 得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は1,656億円、営業利益は57億円となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動により2,736億円の増加、投資活動により148億円の増加、財務活動により639億円の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額により50億円の減少の結果、前連結会計年度末(1,527億円)に比べ大幅に増加し、3,721億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(3,037億円)に比べ301億円(9.9%)減少し、2,736億円となりました。これは、減損損失が372億円、減価償却費が248億円減少したうえで、税金等調整前当期純利益が902億円増加したものの、法人税等の支払額又は還付額が682億円減少したことなどによります。 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は、前連結会計年度(3,316億円の資金の減少)に比べ3,464億円増加し、148億円となりました。これは、定期預金及び有価証券の増減額が3,719億円減少したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、前連結会計年度(348億円の資金の増加)に比べ987億円減少し、639億円となりました。これは、長期借入れによる収入が597億円減少したこと、社債の発行と償還による収支が300億円減少したこと、ならびに配当金の支払額が140億円増加したことなどによります。

 

 (注) 本報告書の売上高、受注高等は、消費税等抜きで表示しています。

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比増減率(%)

アイシン精機グループ

1,068,334

アイシン高丘グループ

211,853

アイシン・エィ・ダブリュグループ

860,154

アドヴィックスグループ

383,604

その他

166,004

合計

2,689,951

  (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部売上高消去前の数値によっています。

     2 上記金額には、外部仕入先等からの仕入高が含まれています。

     3 改正後の「セグメント情報」の適用初年度であり、上記セグメントの区分による前連結会計年度の金額のデータを入手することが困難であるため、前期比増減率は記載していません。

(2) 受注状況

  主要な事業である自動車部品製造・販売について、当企業グループの全てのセグメントは、トヨタ自動車㈱をはじめとした大手自動車メーカーより、約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、生産能力を勘案し生産計画を立て、生産を行っています。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比増減率(%)

アイシン精機グループ

1,073,677

△1.5

アイシン高丘グループ

210,567

17.5

アイシン・エィ・ダブリュグループ

854,543

15.8

アドヴィックスグループ

383,200

16.8

その他

165,685

13.7

合計

2,687,673

8.4

  (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部売上高消去前の数値によっています。

     2 主な相手先の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

       なお、割合はセグメント間の内部売上高消去後の総販売実績に対して記載しています。 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

893,144

43.5

890,953

39.5

 

3 【対処すべき課題】

 今後の見通しについては、依然として自動車市場の先行きが不透明であることに加え、世界的な環境規制の強化や低コスト化へのニーズの高まりなど、開発競争が激化しており、事業を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。さらに、この度の未曾有の大震災により、こうした環境変化が、これまで以上のスピードと激しさで進展していくと予想されます。

 このような中で、当企業グループは、足元の厳しい局面を乗り切り、次の時代を切り拓いていくために、「変化を読み、先手を打ち、全速力でやり抜く」ことを基本姿勢として掲げ、新たな時代を見据えた新たな成長力の確保をめざしています。

 そのために、刻々と変化する経営環境を再認識した上で、長期的なめざす姿とその実現に向けた方策を明確にし、揺るぎない成長に向けたグループの道筋を描いていきます。

 併せて、その描いた道筋をより確実なものとするため、新興国での事業基盤の構築、商品競争力の確保、グローバルな視点でのマネジメントや人材育成の強化など、早急に対処すべき最優先の課題に、グループの総力を挙げて取り組んでいきます。

 

4 【事業等のリスク】

 当企業グループの経営成績および財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成23年6月22日)現在において当企業グループが判断したものです。

(1) 経済状況

 当企業グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当企業グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当企業グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当企業グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当企業グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当企業グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当企業グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・部品の供給

 当企業グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当企業グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定の得意先への販売依存度

 当企業グループは、自動車部品および住生活関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱およびトヨタグループへの販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 1兆4,603億円、総販売実績に対する割合は、64.7%となっています。従って、同社および同グループの販売数量の変動は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、平成23年3月31日現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合23.3%、間接所有割合0.1%です。この情報は、第5「経理の状況」の「関連当事者情報」1 関連当事者との取引 に記載しています。

(4) 為替レート変動の影響

 当企業グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度においては41.0%となっています。
 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当企業グループの売上の重要部分を占める米ドルおよびユーロに対する円高)は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当企業グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当企業グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当企業グループは、為替ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロおよび円を含む主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 海外市場への事業進出

 当企業グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

③不利な政治的または経済的要因の発生

④人材の採用と確保の難しさ

⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

(6) 新製品開発

 当企業グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新製品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新製品を開発できると考えていますが、最先端の新製品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。

③当企業グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。

④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当企業グループの製品が時代遅れになる可能性があります。

⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。

 上記のリスクをはじめとして、当企業グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製品の品質不具合

 当企業グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 災害や停電等による影響

 当企業グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当企業グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当企業グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

5 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われていません。

6 【研究開発活動】

 当企業グループは、グローバルなR&D拠点、評価施設を活用する中で、現有製品から先端技術に至る幅広い分野での研究開発活動を展開しています。

 研究開発にあたっては、現有製品分野での専門技術・固有ノウハウを有する各社の技術開発部門と、広範囲な先端技術領域での研究開発に専念する国内外の研究法人との、相互の技術交流の中から、次世代を担う新技術・新製品を開発する体制となっています。

 当連結会計年度の研究開発費は総額1,114億円であり、セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。

 

(1) アイシン精機グループ

 システム化、モジュール化からITS関連商品の開発など、最先端の自動車部品技術を基盤に、住環境と生体の科学的研究、燃料電池やレーザーをはじめとする先端技術研究など、さまざまな分野へ開発の領域を広げています。最近の主な成果としては、エンジン冷却用電動ウォーターポンプや家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステムなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。
 グループ全体における研究開発費は444億円です。

 

(2) アイシン高丘グループ

 軽量化や高強度化など、ユーザーからの多彩なニーズに対応するため、自動車鋳造部品技術についての研究開発を実施しています。最近の主な成果としては、ダイクエンチ工法軽量ルーフリーンフォースメントなどが挙げられます。
 グループ全体における研究開発費は14億円です。

 

(3) アイシン・エィ・ダブリュグループ

 ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次代に先駆けた商品開発を目指しています。最近の主な成果としては、ハイブリッドトランスミッションやナビ協調一時停止情報提供システムなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。

  グループ全体における研究開発費は463億円です。

 

(4) アドヴィックスグループ

 車両運動性能を追求し、ユーザーが安心してクルマを楽しむことができる商品の開発に取り組んでいます。最近の主な成果としては、エレクトロニックスタビリティーコントロール(ESC)や回生協調ブレーキシステムなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。
 グループ全体における研究開発費は145億円です。

 

(5) その他

 その他の主な研究開発成果としては、6速シーケンシャルマニュアルトランスミッションや塗布型制振材などがあげられ、得意先への積極的な販売活動を進めており、研究開発費は46億円です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当企業グループの当連結会計年度の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成23年6月22日)現在において当企業グループが判断したものです。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当企業グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

① 製品保証引当金

 当企業グループは製品の品質保証期間内に発生する製品保証費に対して、製品の売上を認識する際に主として残存保証期間のクレーム発生見積額を過去の実績に基づいて計上しています。従って、本質的に不確実性を内包しているため実際の製品保証費は見積りと異なることがあり、将来の業績に影響を与える可能性があります。

② 貸倒引当金

 当企業グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、得意先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

③ 繰延税金資産

 当企業グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

④ 有価証券の減損処理

 当企業グループは長期的な取引関係の維持のために、得意先および金融機関の株式を保有しています。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っています。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。

⑤ 退職給付引当金

 退職給付費用および債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率や年金資産の期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、法改正や採用する退職給付制度の変更がある場合、過年度における数理差異の累計は将来期間において償却されるため、将来の退職給付費用および債務に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ9.9%増の2兆2,574億円、経常利益は55.8%増の1,478億円、当期純利益は前連結会計年度(166億円)に比べ大幅に増加し、696億円となりました。

 以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は2兆2,574億円ですが、これを事業の種類ごとに見ると、自動車部品事業では生産数量の増加などにより前連結会計年度に比べ10.5%増の2兆1,760億円となりました。その商品分野ごとの内訳としては、エンジン関連では8.4%増の2,221億円、ドライブトレイン関連では15.5%増の9,735億円、ブレーキ及びシャシー関連では9.4%増の4,535億円、ボディ関連では2.1%増の3,947億円、情報関連他では9.0%増の1,320億円となりました。また、住生活関連事業では前連結会計年度に比べ3.5%増の352億円、その他事業では8.5%減の461億円なりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費 

 売上原価は前連結会計年度1兆7,917億円)に比べ8.2%増の1兆9,380億円となりましたが、固定費削減など原価低減活動の成果や減価償却費が減少したことなどにより、売上高に対する割合は87.2%から85.9%に低下しました。一方、販売費及び一般管理費は、売上高の増加に伴う運賃及び荷造費の増加などにより、前連結会計年度(1,751億円)に比べ4.0%増の1,821億円となりましたが、売上高に対する割合は前連結会計年度の8.5%から8.1%に低下しました。

③ 営業外損益

 当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度(73億円)に比べ43.7%増加し106億円の利益となりました。これは、持分法による投資利益が32億円増加したことなどによります。

④ 法人税等、法人税等調整額

 当連結会計年度の法人税等および法人税等調整額は、前連結会計年度(194億円)に比べ大幅に増加し、466億円となりました。

⑤ 少数株主利益

 当連結会計年度の少数株主利益は、主要連結子会社の業績が改善したことなどにより、前連結会計年度(216億円)に比べ46.0%増加し、315億円となりました。

⑥ 当期純利益

 当連結会計年度の当期純利益は、前連結会計年度(166億円)に比べ大幅に増加し696億円となり、1株当たり当期純利益も59円00銭から247円46銭に改善しました。 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の現金及び現金同等物については、昨年度からの一層の収益改善に伴い、引き続き高水準で営業キャッシュ・フローを得られたことなどにより、期末残高は前連結会計年度に比べ2,194億円増の3,721億円となりました。

② 資金需要

 当企業グループの資金需要の主なものは、車両のモデルチェンジに対応した新製品・改良製品への投資です。さらなるグローバル化の進展、次世代を担う新技術・新製品の開発等による資金需要が見込まれるため、将来はさらに長期資金の調達を実行する可能性があります。

③ 財務政策

 当企業グループの資本政策については、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとりながら、企業価値の向上をめざすことを基本方針としています。
 「財務の安全性」については、格付機関による評価をひとつの目安とし、長期借入債務に対しての高い信用格付けを維持することにより、低コストでの外部資金調達が可能になるよう努めています。
 一方、「資本の効率性」については、上記格付けが維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。
 上記の方針に基づき、負債と資本のバランスに配慮しながら、適切で柔軟な資金調達を行うよう努めています。
 なお、当企業グループは、保有する換金性の高い流動性資産、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れなどの財務活動によるキャッシュ・フローにより、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。





出典: アイシン精機株式会社、2011-03-31 期 有価証券報告書