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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)を取り巻く経営環境は、下半期に入り、それまで景気回復のけん引役であった米国、中国経済の成長鈍化のほか、デジタル情報家電分野の在庫調整、素材価格の高騰など、一部に弱い動きが見られましたが、期を通じて民間設備投資が緩やかに増加し、総じて底堅く推移しました。
 このようななか、当社グループの連結業績は次のとおりとなりました。
 売上高は、機器・制御、電子デバイス、リテイルシステムの各部門では増収となりましたが、電機システム部門の公共投資や電力投資の圧縮による大口案件の減少影響により、前連結会計年度に比べ若干減少しました。
 これに対し、損益面では、物量増加に加え、事業構造改革やグループ全体にわたる生産革新活動を通じた、コストダウン、経費削減効果を抽出した機器・制御部門、リテイルシステム部門のほか、電機システム部門において、収益が大幅に改善しました。これらの結果、売上高は8,442億円 (前連結会計年度比1.4%減)となり、営業利益は268億18百万円(同53.7%増)、経常利益は222億22百万円(同59.5%増)、当期純利益は77億97百万円(同41.3%増)となりました。
 なお、当連結会計年度より㈱日本AEパワーシステムズを持分法適用会社とし、これにより持分法適用会社数は2社となりました。
 ㈱日本AEパワーシステムズは、平成13年に㈱日立製作所、㈱明電舎との3社合弁により設立した変電機器専門会社で、当社の持分は30%であります。同社の通期の業績が当初計画から大幅に乖離する見通しとなり、富士電機グループ全体への影響が大きいと予想されることから、当上半期より持分法適用会社といたしました。
<セグメント別状況>
①電機システム部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比7.0%減の3,747億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ27億4百万円増加し、32億4百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は2,491億円(富士電機システムズ㈱単独ベース)となっております。
 当部門の事業環境は、需要のけん引役が公共投資、電力投資から民需に移行するなど、構造的変化が一層進展しました。こうしたなか、重点機種、戦略機種に経営資源を集中する事業再編を行うとともに、構造改革による経営の効率化に努めました。
 分野毎の事業運営を一層明確にするため、組織体制を4つの分野区分に整理再編するとともに、共通課題であるモノづくりの基盤と機種毎の競争力強化、営業戦略の共有シナジーによる物量拡大については、横断的な組織を設置するなど、収益力強化に向けた体制整備を行いました。
 分野別には、e−ソリューション分野では、事業運営の効率化を図るため、グループ内の情報関連会社間において担当事業の再編を行うとともに、富士電機総設㈱の情報事業を分割し、富士電機ITソリューション㈱として発足させ、当分野との一体運営を図ることができる体制としました。
 こうしたなか、売上高は、電子行政・自治体情報システムの基盤となる文書管理システムなどで実績を挙げましたが、放射線管理施設向けの大口案件が減少した結果、前連結会計年度をやや下回りました。これに対し、営業損益は、事業再編効果、採算性向上やコストダウン施策の効果により、大幅に改善し、部門全体の損益改善に大きく貢献しました。
 環境システム分野では、水環境事業において、アライアンスを積極的に推進し、月島機械㈱に資本参加するとともに、業務提携を行いました。また、産学の提携を進め、中国・清華大学、北海道大学、広島大学と提携を行いました。
 しかしながら、公共投資の圧縮、市場競争激化による大口案件の減少により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。
 産業・交通システム分野では、電源事業の競争力強化に向け、小容量無停電電源装置を機器・制御部門より移管し、小容量から中大容量までを担当する事業体制としました。
 こうしたなか、売上高、営業損益は、民間設備投資の増加を背景としたクリーンルーム設備、鉄鋼、化学など素材産業向けの電機・計装設備の更新案件のほか、海外向け変圧整流設備の大口案件により、ともに前連結会計年度を上回りました。
 発電プラント分野では、売上高は、国内向け火力発電機設備などで実績を挙げましたが、前連結会計年度に計上した国内および海外向け蒸気タービン発電機設備や原子力関連施設向けの大口案件の減少を補うには至らず、前連結会計年度を下回りました。一方、営業損益は、採算性向上や合理化施策により前連結会計年度に比べ大幅に改善しました。
 工事部門では、売上高は、産業用空調設備工事における案件増加により前連結会計年度を上回りましたが、営業損益は、市場競争の激化と資材調達コストの高騰の影響を受け、前連結会計年度を下回りました。
②機器・制御部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比6.1%増の1,782億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ42億74百万円増加し、66億52百万円となりました。
 成長市場である中国・アジア地域を重点戦略地域と位置付け、取り組みを強化するとともに、国内では業種毎の市況格差が大きいことから、自動車、工作機械など、投資意欲が旺盛な業界をターゲットとし、省エネルギー法改正などの規制強化をビジネスチャンスと捉え、提案型営業を一層推進しました。
 また、経営体質の強化に向け、商品品質のほか、業務上の品質、遵法などの社会的品質の向上を目的とした「経営品質向上運動」を展開しました。
 さらに、中国・アジア地域への取り組みとして、現地販社2社を100%子会社化するとともに、現地物流体制の整備などを行いました。
 分野別については、器具分野では、国内は、計測表示機能付きブレーカ・漏電遮断器の発売や、エネルギー監視システムの提案などにより、拡販に努めました。また海外は、グローバル製品のラインアップ拡充、中国市場における営業力強化、フランス・シュネデール エレクトリック インダストリーズ社との低圧遮断器の生産合弁会社設立など、積極的な事業展開を図りました。
 こうしたなか、売上高は、国内主要顧客である機械メーカー向けの物量増加により、電磁開閉器、低圧遮断器などの主力製品を中心に、前連結会計年度を上回りました。また、営業損益は、物量増加に機種統廃合の効果が加わり、前連結会計年度を大幅に上回りました。
 駆動制御分野では、上半期は好調に推移しましたが、下半期は一部の業種に陰りがみられたほか、中国の金利引き上げの影響を受け、減速傾向となりました。
 しかしながら、インバータ、サーボシステムのラインアップ拡充、プログラマブルコントローラの他製品との組み合わせによるシステム販売、主力製品の好況業種への販売強化に努めた結果、売上高及び営業損益は、ともに前連結会計年度を上回りました。
③電子デバイス部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比10.5%増の1,432億円となり、営業利益は同2.9%減の94億98百万円となりました。
 当部門の事業特性は、技術革新のスピードが速く、また好不況の波が大きいことから、成長力と収益力の確保が課題であり、新製品の継続的な創出とスペックイン活動、生産におけるコスト構造の変革に重点的に取り組みました。
 また、今後の事業の持続的成長を図るため、成長市場に対する量産供給体制の構築、グローバルな事業展開の拡大を推進しました。
 半導体分野では、成長が見込まれる自動車電装向けにおいて、車載用MOSFETを中心に顧客に密着した営業活動を展開しました。また、産業分野向けでは、フィールドストップなどの独自技術を適用したIGBTモジュールの系列拡大、情報・電源機器向けでは、デジタル情報家電向けにプラズマディスプレイ用ICなどの拡販に取り組みました。
 こうしたなか、売上高は、下半期のデジタル情報家電の在庫調整の影響を受けたものの、北米自動車市場の伸長を背景として、前連結会計年度を上回りました。一方、営業損益は、市場価格の下落、資本費および研究開発費などの固定費の増加により、前連結会計年度を下回りました。
 ディスク媒体分野では、アルミ媒体の生産能力を増強するとともに、ガラス媒体の量産供給を開始しました。また、新機種のスペックイン活動を進めるとともに、小径ガラス媒体の製品開発や垂直磁気記録媒体の技術開発を加速し、事業基盤の一層の強化に取り組みました。
 こうしたなか、売上高、営業損益ともに、パソコン市場の回復、デジタル情報家電におけるHDD(磁気記録装置)搭載機種の拡大を背景に、前連結会計年度を大幅に上回りました。
 画像デバイス分野では、中国・深圳における新規製造ラインの本格稼動を開始するとともに、同地区の現地日系企業向け納入機種の移管や受注活動に取り組み、中国における事業展開を進めました。
 しかしながら、海外市場の競争激化の影響により、売上高、営業損益はともに前連結会計年度を下回りました。
④リテイルシステム部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比11.5%増の1,681億円となり、営業利益は前連結会計年度に対し53億72百万円増の74億49百万円となりました。
 当部門の事業環境は、主力機種の自動販売機は、国内市場においてトップシェアを有しているものの、市場の成熟化によりマーケット規模は漸減しており、収益力のさらなる強化と新たなマーケット開拓が課題であります。
 こうしたなか、平成14年4月より取り組んできた、三洋電機㈱の自動販売機部門の買収、製販統合の効果を最大限に抽出するための事業構造の合理化や、中国における事業拡大に取り組みました。
 自販機・フード機器・通貨機器分野では、上記の事業構造改革の総仕上げの年と位置付け、在庫圧縮や物流合理化、品質向上などを目的としたプロジェクト活動を展開し、大幅なコスト削減効果が得られました。また、鋼材価格が高騰するなか、自動販売機向け鋼板の安定確保に注力しました。
 さらに中国・大連における製造販売合弁会社の生産活動や、自動販売機オペレーションの合弁会社の営業活動を開始し、中国の自動販売機市場をターゲットとした事業拡大を図りました。
 こうしたなか、売上高は、たばこ自動販売機の大口案件の受注、新紙幣発行に伴う通貨機器の大幅伸長と自動販売機自体の更新需要といった要因により、前連結会計年度を大きく上回りました。また、営業損益は、物量増加効果に加え、上記のコストダウン施策により市場価格の下落、鋼材価格の高騰などのマイナス要因を吸収し、大幅に改善しました。
 コールドチェーン機器分野では、冷凍・冷蔵ショーケースのシェア拡大に向け、積極的な拡販施策を展開しました。
 こうしたなか、売上高は、ユニット工法店舗「エコロユニット」、サービス部門の伸長により、前連結会計年度を上回りましたが、営業損益は、コンビニエンスストアの出店・改装の減少や、拡販施策による経費増加により、前連結会計年度を大幅に下回りました。
⑤その他部門
 当連結会計年度におきましては、富士物流㈱が持分法適用会社となった影響により、売上高、営業利益はともに前連結会計年度を大幅に下回り、部門全体の売上高は前連結会計年度比39.6%減の457億円となり、営業利益は同25.5%減の17億34百万円となりました。
 当部門におきましては、富士電機グループ各社向けのほか、グループ外への事業拡大を目指し、次の取り組みを行いました。
 富士ライフ㈱では、地域社会への貢献と共存共栄を目指して介護事業の強化に取り組んでいますが、昨年9月に東京都日野市に保育所と高齢者介護の複合施設を開設し、多くの方にご利用頂いております。
 富士電機フィアス㈱では、持株会社制下においてグループ・ファイナンスの機能を果たすため、円滑な資金調達を行い、グループ各社に供給するとともに、グループ全体の資金効率の向上に努めています。
 富士電機情報サービス㈱では、最適のITソリューションなどの提供に努めたほか、東京都日野市に創設したインキュベーションオフィスにおいて、ベンチャー企業や起業家にモノづくりを中心とした支援を行っています。
 (注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。
2.当連結会計年度より部門の名称を見直し、従来の「電子」部門を「電子デバイス」部門と、「流通機器システム」部門を「リテイルシステム」部門とそれぞれ変更しました。
(2)キャッシュ・フロー
 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は384億79百万円の増加(前連結会計年度は883億92百万円の増加)となり、前連結会計年度に対し499億13百万円の悪化となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、422億74百万円(前連結会計年度664億68百万円の増加)となりました。これは、棚卸資産が平成18年3月期以降の売上に備えて積み上がったものの、減価償却費及び税金等調整前当期純利益等の内部留保に加え、売上債権の回収が促進されたことなどが主な要因であります。
 前連結会計年度に対しては、241億94百万円の悪化となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、37億94百万円(同219億24百万円の増加)となりました。これは、持株会社化を契機として前連結会計年度に行った設備のリース化に伴う有形固定資産の売却という特殊要因が無くなった一方で、電子デバイス部門を中心とする重点的な設備投資を実施したことなどによるものです。
 前連結会計年度に対しては、257億18百万円の悪化となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、497億41百万円(同768億8百万円の減少)となりました。これは主として、短期借入金及びコマーシャルペーパーの減少によるものであります。
 これらの結果、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ110億25百万円(40.5%)減少し、当連結会計年度末には162億15百万円となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
 当社グループ(当社及び連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
(2)受注状況
 当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」における事業の種類別セグメントの状況に関連付けて示しております。
(3)販売実績
 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前連結会計年度比(%)
電機システム
374,794
△7.0
機器・制御
178,293
+6.1
電子デバイス
143,236
+10.5
リテイルシステム
168,112
+11.5
その他
45,756
△39.6
消去
△65,993
合計
844,200
△1.4
(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
3【対処すべき課題】
 今後の事業環境につきましては、デジタル情報家電分野の在庫調整の進展、民需主導による堅調な設備投資需要に支えられ、国内景気は、調整局面から再び回復基調に転ずることが期待されますが、その一方で、素材価格の高騰、米国や中国経済の動向など予断を許さない状況が続くものと思われます。
 こうしたなか、当社グループの課題は、民間需要に対応した事業構造への変革を加速推進させるとともに、各事業部門がそれぞれの環境下において勝ち抜いていく取り組みを確実かつスピーディーに実行することであり、平成17年度におきましては、以下の重点施策に取り組んでまいります。
(1)事業の集中と選択を一層推し進め、当社グループが強みを持つ分野に経営資源を集中させ、特徴ある新事業、新製品の創出に取り組みます。
(2)中国ビジネスへの取り組みについては、同国は資源節約型社会、循環型経済への転換を進めており、当社グループが得意とする技術やノウハウが活かせるビジネスチャンスとして、さらなる事業拡大に注力します。
(3)平成16年度において、生産部門を中心に棚卸資産の圧縮、省スペースなどの成果を挙げた「ムダ取り」活動を、グループ全体の取り組みとして拡大展開し、収益力の一層の強化を図ります。
(4)中期経営計画の経営目標として掲げる金融債務残高の削減に向け、売上債権の圧縮及び固定資産の見直しなどの資産効率向上に向けた施策をさらに推し進めます。
(5)人材戦略については、少子高齢化など人材を取り巻く環境変化に対応して、優秀な人材の確保・育成や、モノづくりに関わる企業グループとして、次世代への技能伝承に重点的に取り組みます。
(6)当社グループとしての社会的責任を果たすため、グループ全体の内部統制システムの構築、コンプライアンスの強化を図り、社会に信頼される企業グループを目指します。
 また、平成15年度より取り組みを開始しました中期経営計画につきましては、平成17年度末において「売上高営業利益率5%以上」、「金融債務残高3,000億円以下」をグループ経営目標と定め、取り組んでおります。
 金融債務残高につきましては、平成14年度末に比べ1,204億円削減し、当連結会計年度末現在で3,184億円と、計画どおり削減を図ることができており、平成17年度末において目標値を達成できる見通しであります。
 売上高営業利益率につきましては、平成14年度に比べ1.6ポイント上昇し、当連結会計年度では3.2%と着実に改善しておりますが、デジタル情報家電分野の在庫調整、素材価格の高騰、円高など、当初想定し得なかった要因により、5%の達成時期は計画に対し若干乖離している状況にあります。しかし、この目標達成は当社グループの発展に必要不可欠と認識し、引き続き早期達成に向け、グループの総力を挙げて取り組んでまいります。
4【事業等のリスク】
 当社グループは、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしております。現在、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に影響を及ぼす可能性がある事項と考えております。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変動等に係るもの
①中国経済の拡大に伴う旺盛な素材・原材料需要による需給逼迫やイラクの不安定な情勢の長期継続等により、国際商品市況が高騰し、原材料・部品の価格が上昇してきております。これに対し当社グループは、需給動向と設備投資動向を考慮し、早急な対応による有利購買の実施、逼迫想定品目の備蓄、逼迫品目の代替品評価、コストダウン活動(リバースオークション、共同購入、物流合理化など)等の取り組みを強化し対応してきております。しかしながら、価格が一段と上昇した場合には、対応が追いつかず、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
②当社グループは、発電・送電、産業システム、制御システムなど電機システム事業、低圧開閉器具、駆動制御装置など機器・制御事業、半導体、磁気記録媒体など電子デバイス事業、自動販売機、コールドチェーン機器などリテイルシステム事業と幅広い事業分野で、国内外の官公庁、電力会社、加工組立産業、装置産業、運輸業、流通業、サービス産業などの一般事業会社のお客様を中心に、いわゆるB to Bを主とする事業を展開しております。
 官公庁の公共投資や電力会社の設備投資の減少傾向が続き、受注競争の激化により価格が下落する一方、需要のけん引役が民需へ移行するという事業環境に対応し、当社グループでは、一段の事業構造の転換、及び生産、販売両面にわたる強力な業績改善の施策を推進しておりますが、今後の景気動向、価格下落状況により、業績に影響が及ぶ可能性があります。
 一方、工作機械を中心とした機械メーカー、自動車関連メーカー等からは、中国向けを中心に好調な輸出や国内市場の活況に伴う好業績を背景に、これまで開閉器具、駆動制御装置、半導体等で継続的に引き合いがあり、当社グループでは積極的な物量取り込みと、増産対応を進めてきております。しかしながら、現在、中国政府が市場の過熱から引き締め政策を打ち出し、中国市場の市況悪化が懸念されています。それが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③当社グループでは、グループ為替管理基準を設け、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、制度的に為替予約を実施しております。なお、本管理基準の為替予約方針は完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④当社グループは、中期経営計画で平成17年度末での金融債務残高3,000億円以下とする目標を掲げ、その実現を視野に諸施策を推進しております。しかしながら、今後、金利が上昇基調になった場合には、金利負担の増大を招くことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループは事業運営上、複数の会社の株式等に投資しております。従って、出資先の財政状態の悪化や株式市場の変動により、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)製品の品質に係るもの
「当社グループで生産・販売する製品は、全て顧客満足の得られる業界最高の品質水準を確保しなければならない。」という基本方針を品質管理規程に定め、市場調査・商品企画から販売・サービスに至る全ての段階で本規程に則り品質保証を行う体制を敷いております。さらに、製品安全規程を策定し一段の高品質保証を目指して参ります。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保し、備えております。しかしながら、万が一当社グループ製品に欠陥があり、顕在化した場合には、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外活動に係るもの
 当社グループは、中期経営計画において、収益力強化の施策として中国市場への取り組み強化による海外事業の拡大を掲げ、電機システム事業、機器・制御事業、電子デバイス事業及びリテイルシステム事業の各事業で、中国やアジアを中心に事業展開を進めております。こうした国々では次のようなリスクがあり、そのため、これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・不利な政治的要因の発生
・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱
(4)知的財産権に係るもの
 当社グループは、グループ知的財産管理規程で、当社グループの知的財産の権利化、活用などの知的財産管理方針を定め、また研究開発及び設計に当たっては他社関連特許の調査をシステム的に実施しております。さらに、従業員への特許研修により当社の特許制度及び他社の知的財産権の尊重の会得を図っております。こうした取り組みで、当社グループの知的財産権を効果的に守り、他社の権利に抵触しない製品開発を効率的かつ効果的に進めております。
 しかしながら、当社グループの技術・製品が幅広い分野にわたること、技術革新のスピードが加速していること、また、当社グループの事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争に発展する可能性があり、そうした場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の漏洩に係るもの
 当社グループは事業活動に関連して、お客様関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っております。これらの個人情報につきましては、取得、利用、保管管理等の取り扱いにつきまして、本年4月に完全施行された「個人情報保護法」等関連法規、ガイドライン等を適切に遵守するために、「富士電機グループ個人情報保護規程」を定めてグループ全体に展開し、個人情報の管理に万全を期す体制を整備・実施しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、当社グループの社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)大規模自然災害に係るもの
 当社グループは、当連結会計年度に、大地震など大規模な自然災害に備えて、万が一災害が発生した場合には、グループの経営トップの指揮のもとに人命尊重を第一にグループ全体で迅速・適切な初動対応を行うことを定めた「富士電機グループ大規模災害対策ガイドライン」を策定し、緊急事態への対応体制を構築・実施しました。また、工場等の建屋・設備につきまして耐震補強も進めております。しかしながら、大規模な地震が発生した場合には、生産拠点での操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)土壌汚染に係るもの
 当社グループの所有する土地は、環境国際規格ISO14001環境マネジメントシステムに従って、汚染の予防、測定、監視に努めております。また、土地の売却を計画する際には、予め予定地の土壌調査を実施するなど、「土壌汚染対策法」等関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。しかしながら、測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)退職給付債務に係るもの
 当社グループは、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
(1)技術導入契約
契約会社名
相手方の名称
契約製品
契約内容
契約期間
富士電機ホールディングス㈱(当社) 
シーメンス・アー・ゲー(ドイツ)
 電気機器
 特許実施権の導入
 自平成7年1月1日
 至平成16年12月31日
(注)上記契約に基づく報酬料として、当該品目の売上高の一定率を支払っております。
なお、上記契約は平成16年12月31日をもって終了しました。
(2)業務提携契約
契約会社名
相手方の名称
契約内容
契約期間
富士電機システムズ㈱(連結子会社) 
 月島機械㈱
水処理及び環境分野を中心とした研究開発、調達、製品供給等の協業
 自平成16年9月21日
 至平成21年9月20日
(3)その他の契約
契約会社名
相手方の名称
契約内容
契約締結日(譲受日)
富士電機ホールディングス㈱(当社)
東洋エステート㈱
相手方の保有する月島機械㈱の株式の譲受
平成16年9月21日
(注)本譲受は、当社の連結子会社である富士電機システムズ㈱と月島機械㈱の関係をより強化する目的で行われました。譲受の対象となった株式は東洋エステート㈱が保有する月島機械㈱の株式の全数(5,597,000株)で、これは月島機械㈱の発行済株式総数の12.27%に当たります。
6【研究開発活動】
 当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発は、グループが得意とするコア技術を強化し、差別化された新商品の市場投入を加速させるべく、重点的に投資を行いました。
 研究開発は、グループの研究開発会社である富士電機アドバンストテクノロジー㈱と各事業会社の工場を含む各事業部門で行っており、グループの企業価値最大化に貢献すべく、両者の連携を強化して取り組んでおります。
 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は272億24百万円であります。
 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
 なお、セグメントに属さない新技術等の当連結会計年度における研究開発費は17億31百万円であります。
 また、当連結会計年度末におけるグループの産業財産権の総数は5,836件であります。
(1)電機システム
 富士電機システムズ㈱が中心となって、官公需、産業、電力分野の各種プラント設備におけるパワーエレクトロニクス機器、変電機器、発電機器等の機器開発から、これらのプラント運用技術を含む保護・監視・制御装置、システムまでの研究開発を行っており、近年は水環境、情報・計測、パワーエレクトロニクス分野に注力しております。当連結会計年度の主な成果として、経営レベルからフィールドレベルまでの情報統合と製造プロセスの上流から下流までの制御・管理を統合する垂直水平統合をコンセプトとした「MICREX−NX」(基本システム)、浄水用富士膜ろ過システムにおいて長時間の装置停止を伴う薬品洗浄を不要にできる独自の洗浄方式及び膜の健全性を確保する膜破断検知システム、新回路方式を採用した高効率で高性能な大容量「8000シリーズ」UPS及び小容量「GXシリーズ」UPS、プラスチックフィルム基板を採用して「軽い」・「曲がる」などの特長を備えたアモルファス太陽電池、トップランナーの基準値に適合した新型高圧モールド変圧器FM−KT形(500kVA以下)とFM−CT形(750kVA以上、2000kVA以下)などを開発しました。
 当事業に係る研究開発費は91億91百万円であります。
(2)機器・制御
 富士電機機器制御㈱が中心となって、FAシステムを構成するプログラマブルコントローラ、受配電機器などのコンポーネンツ及びパワーエレクトロニクス機器などの研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、設計からデバッグ、保守作業までを効率化できる新しいPLCプログラミング支援ツール、グローバル市場へ向けたIEC規格対応の250AF配線用遮断器、IEC舶用スイッチギヤ規格対応の真空遮断器、圧着端子対応形のマニュアルモータスタータ、高輝度7色バリエーションの新角形表示灯、電力監視機能付きブレーカ「FePSU」、新型の複合形都市ガス警報器、搬送用途の高機能・性能を備えたコンパクトインバータ「FRENIC−Multi」、エレベータ専用インバータ「FRENIC−Lift」、グローバル対応のEMCフィルタ、DCリアクトル内蔵インバータ、パソコンベースのサーボシステム等を開発しました。
 当事業に係る研究開発費は37億30百万円であります。
(3)電子デバイス
 富士電機デバイステクノロジー㈱が中心となって、IC、パワー半導体、磁気記録媒体、感光体などの電子デバイス関連の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、第5世代IGBTモジュール「Uシリーズ」の系列拡大(3300V・1200A)、加熱検出機能を搭載し高信頼性のエンジンシステムを可能にするガソリンエンジン点火用IGBT型ワンチップイグナイタ、電源ICとインダクタを一体化させ、小型・薄型化の要求の高い携帯電話、デジタルスチールカメラ、VTRカメラ等に適したマイクロ電源、PDP向けに192bitアドレスドライバ、大電流・低オン抵抗スキャンドライバ、低容量スイッチング電源向けの二次側整流用高耐圧ショットキーダイオードの系列拡大、2.5インチ当たり40ギガバイトのガラス基板磁気記録媒体、カラープリンタ、カラー複写機に適した環境特性を有する感光体などを開発しました。
 当事業に係る研究開発費は87億49百万円であります。
(4)リテイルシステム
 富士電機リテイルシステムズ㈱が中心となって、自動販売機・フード機器・コールドチェーン機器システム・カード通貨機器等の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、省エネトップランナー目標値をクリアする缶自動販売機・卓上型のアイスコーヒーマシン・2種類のスープを販売できるコンパクトなスープディスペンサ、ポイントサービス等にも対応できる電子マネー決済端末等を開発しました。
 当事業に係る研究開発費は37億63百万円であります。
(5)その他
 当事業に係る研究開発費は60百万円であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
(1)財政状態の分析
 当連結会計年度末の総資産額は8,824億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ256億48百万円減少しました。
 流動資産は4,376億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ140億33百万円減少しました。これは、主に売上債権の回収促進に伴い、受取手形及び売掛金が前連結会計年度末に比べ113億95百万円減少したことによるものであります。
 固定資産は4,446億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億62百万円減少しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,587億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億40百万円減少しました。これは、当連結会計年度における資本的支出を158億14百万円と、減価償却費165億45百万円の範囲内にとどめたことなどによるものであります。また、投資その他の資産は2,859億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ90億22百万円減少しました。これは、繰延税金資産が前連結会計年度末に比べ51億77百万円減少したことが主な要因であります。
 当連結会計年度末の負債合計は6,785億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ292億9百万円減少しました。
 流動負債は4,680億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ196億90百万円減少しました。これは、未払費用が増加するなどしたものの、短期借入金とコマーシャルペーパーが、それぞれ、前連結会計年度末に比べ166億45百万円、173億円減少したことが主な要因であります。
 固定負債は2,105億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億18百万円減少しました。これは、主として、長期借入金が前連結会計年度末に比べ106億32百万円減少したことによるものであります。
 なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は3,184億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ445億78百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は36.1%となり、前連結会計年度末に比べ3.8ポイント低下しました。
 当連結会計年度末の少数株主持分は80億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億5百万円減少しました。これは、主に少数株主損失2億42百万円を計上したことによるものであります。
 当連結会計年度末の資本合計は1,957億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億67百万円増加しました。これは、利益剰余金が34億3百万円増加したことを主因とするものであります。この結果、自己資本比率は22.2%となり、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント上昇しました。
(2)経営成績の分析
 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1.4%減収の8,442億円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ3.5%減収の7,016億60百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ10.3%増収の1,425億40百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載の通りであります。
 売上原価は、売上高の減少及びコストダウン効果の抽出等により、前連結会計年度に比べ3.6%減少し6,657億73百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ1.8%ポイント低下して78.9%となりました。
 販売費及び一般管理費は、研究開発費の増加等により、前連結会計年度に比べ2.6%増加し1,516億8百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント増加して17.9%となりました。
 営業利益は、事業構造改革やグループ全体にわたる生産革新活動を通じたコストダウンなどにより、前連結会計年度に比べ53.7%増益の268億18百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載の通りであります。
 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の35億18百万円の費用(純額)から、45億96百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度に比べ10億78百万円悪化しました。これは、為替差損の減少という好転要因があった一方で、持分法投資損失を計上したことなどによるものであります。
 この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ59.5%増益の222億22百万円となりました。
 特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益、退職給付数理計算上の差異一時処理額などを計上し、103億31百万円となりました。なお、前連結会計年度には退職給付信託設定益などがあったため、前連結会計年度に比べ131億17百万円減少しております。
 特別損失は、固定資産売廃却損、特別退職金、投資有価証券等評価減、特別棚卸資産償却費などを計上し、162億99百万円となりました。なお、前連結会計年度には退職給付数理計算上の差異償却などがあったため、前連結会計年度に比べ81億91百万円減少しております。
 以上により、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ26.1%増益の162億54百万円となり、法人税等86億98百万円を差し引き、少数株主損失2億42百万円を計上した結果、当期純利益は、前連結会計年度に比べ41.3%増益の77億97百万円となりました。
(3)流動性及び資金の源泉に関する分析
 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は162億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ110億25百万円(40.5%)減少しました。
 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー422億74百万円であります。
 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益162億54百万円、減価償却費165億45百万円、売上債権の減少によるもの117億62百万円などとなっております。
 なお、投資活動によるキャッシュ・フローは△37億94百万円となっており、その主な内訳は、投資有価証券の売却による収入133億5百万円、有形固定資産の取得による支出△129億59百万円などであります。
 以上により創出されたフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)384億79百万円を、財務体質強化のために積極的に有利子負債の削減に充当し、短期借入金及びコマーシャルペーパーの減少を中心として、財務活動によるキャッシュ・フローは△497億41百万円となりました。




出典: 富士電機株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書