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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)を取り巻く経営環境は、素材価格の高騰といったマイナス要因がありましたが、中国、アジアを中心とした好調な経済成長並びに国内民間需要に支えられた景気回復を背景として、総じて順調に推移しました。
 このようななか、当社グループの連結業績は次のとおりとなりました。
 売上高は、「電機システム」、「機器・制御」、「電子デバイス」の各部門で前連結会計年度を上回りましたが、リテイルシステム部門は、新紙幣発行に伴う需要の一巡等により自販機及び通貨機器が減少し、前連結会計年度を下回りました。
 利益面では、売上高の増加に加え、グループを挙げての原価低減の取り組みにより、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前連結会計年度に比べ大幅な改善が図られ、特に経常利益は過去最高益を更新することができました。部門別には、「電機システム」、「機器・制御」、「電子デバイス」の各部門で増益となりましたが、リテイルシステム部門は、売上高の減少により減益となりました。
 当連結会計年度の営業成績は次のとおりであります。
  連結売上高      8,972億円(前期比 6.3%増)
 連結営業利益   410億12百万円(前期比 52.9%増)
 連結経常利益   418億31百万円(前期比 88.2%増)
 連結当期純利益  186億3百万円(前期比138.6%増)
   (注)当連結会計年度における連結子会社の異動については、新規連結会社数が7社、
除外会社数が1社であり、平成18年3月31日現在の連結子会社数は67社であります。
<セグメント別状況>
  〔事業の種類別セグメントの状況〕
■電機システム部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比6.2%増の3,981億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ38億20百万円増加し、70億24百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は2,585億円(富士電機システムズ㈱単独ベース)となっております。
(当部門の運営方針)
 当部門では、構造改革及び選択と集中による経営体質の強化に取り組んだ結果、売上高の増加、損益の大幅改善に結びつきました。
 具体的には、全部門にわたるコスト・経費の徹底削減に取り組み、生産部門の不採算機種対策や「ムダ取り」活動の展開など、トータルコストダウンによる競争力の強化に注力しました。また、注力事業として、太陽電池事業への本格参入に向け熊本県で新工場建設に着手しました。さらに、競争力強化のため計測機器及び電源事業の再編を行いました。
 海外戦略につきましては、中国事業の拡大に重点的に取り組みました。具体的には、自動車生産の急拡大等による誘導炉の需要増加に対応するため、製造・販売会社を設立したほか、提携関係にある浙江大学との間で研究開発センターの開設に合意し、中国における「産学研」(企業・大学・研究機関)による技術開発を加速させ、プラント事業の拡大に向けた体制整備を図りました。
(分野別の状況)
 e−ソリューション分野では、売上高は、大口案件の減少影響のほか、収益確保に向け選別受注を行った結果、前連結会計年度を下回りました。一方、営業利益は、売上高の減少にもかかわらず、採算性重視の取り組みにより改善しました。
 環境システム分野では、売上高は、水処理システムの大口案件の増加により前連結会計年度を上回り、営業利益は、原価・販管費の削減により、大幅に改善しました。
 産業・交通システム分野では、売上高は、民間設備投資の増加を背景として一般産業向けが好調に推移し、クリーンルーム設備や素材産業向け電気設備の大口案件の増加により、大幅に伸長しました。営業利益は、一般産業向けは改善したものの、交通向けの不採算案件の発生等により前連結会計年度並となりました。
 発電プラント分野では、中国をはじめとしたアジアのエネルギー需要の拡大を背景に、高操業状態が続きました。売上高は、海外向け火力発電設備の大口案件などの実績により、前連結会計年度を上回りました。一方、営業利益は、資材価格の高騰、製品修理サービス費の増加等により悪化しました。
 工事部門では、売上高は大口案件の減少などにより前連結会計年度を下回りましたが、営業利益は経費削減及びプロジェクト管理の徹底により改善しました。
■機器・制御部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比2.4%増の1,825億円となり、営業利益は前連結会計年度比18.8%増の79億3百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は954億円(富士電機機器制御㈱単独ベース)となっております。
(当部門の運営方針)
 当連結会計年度におきましては、国内市場における民間設備投資の拡大を背景として、当部門の主要顧客層である機械メーカーが引き続き好調を持続するなか、拡販活動の一層の強化に取り組むとともに、省エネルギー・環境分野への展開拡大を図りました。
 また、収益力の向上、経営体質の強化に向けて、モノづくり改革や「ムダ取り」活動によるトータルコストダウン推進に取り組みました。
(分野別の状況)
 器具分野では、国内において、主要顧客層に対する販売強化と新規顧客の開拓のほか、戦略機種・新商品の切換促進と拡販を図りました。海外では、グローバル製品のラインアップの充実や中国における販売体制の強化に努めるなど、積極的な事業展開を行いました。
 これらの結果、電磁開閉器、低圧遮断器などの主力製品の売上高が伸長しましたが、電源事業を電機システム部門に移管した影響等により、当分野の売上高は前連結会計年度並となりました。一方、営業利益は、経費等を含めたトータルコストダウンに注力した結果、前連結会計年度を上回りました。
 駆動制御分野では、インバータ、サーボシステムの新製品を発売しラインアップの拡充を図り、また、プログラマブルコントローラについては、新製品の発売とともにサーボシステム等との組み合わせによるシステム商談の推進に取り組みました。国内においては、好調が持続する自動車・工作機械業界を中心に、新製品の拡販活動に取り組んだ結果、インバータ、プログラマブル操作表示器が伸長しました。
 海外では、欧米、東南アジア向けが好調に推移しましたが中国向けの減少により前連結会計年度を下回りました。
 これらの結果、当分野の売上高、営業利益はともに前連結会計年度を上回りました。
■電子デバイス部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比21.1%増の1,734億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ86億97百万円増加し、181億95百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は1,266億円(富士電機デバイステクノロジー㈱単独ベース)となっております。
(当部門の運営方針)
 当部門の事業特性は、技術革新のスピードが速く、好不況の波が大きいことから、成長力と収益力の確保が課題であります。
 当連結会計年度におきましては、継続的な技術開発による新製品比率の向上とともに、生産技術の強化による製造原価率の継続的な低減、ワールドワイドな事業展開とその規模の拡大に取り組みました。
(分野別の状況)
 半導体分野では、自動車電装向けは、高機能MOSFETや圧力センサを中心に順調に推移しました。また、産業分野向けは、昨年末まで続いた在庫調整の影響を受けたものの、新型のIGBTモジュール「U4シリーズ」の世界展開により、本年に入り受注回復を図ることができました。情報機器電源向けでは、プラズマディスプレイ用高耐圧ICの供給能力増強や、薄型テレビ電源用マルチチップデバイス「M−Power」の市場投入により、売上高の伸長を図ることができました。
 これらの結果、当分野の売上高は、前連結会計年度を上回りましたが、営業利益は、市場価格の下落や資本費の増加等により、前連結会計年度を下回りました。
 ディスク媒体分野では、HDD(磁気記録装置)の需要が好調に推移するなか、市場全体の伸びを上回る事業拡大を目指し、国内拠点におけるガラス媒体、マレーシア拠点におけるアルミ媒体の生産能力の増強に積極的に取り組みました。また、3.5インチアルミ媒体では主力の1枚当たり80ギガバイト製品に加え、120ギガバイト製品の市場投入を開始するとともに、収益力向上に注力しました。
 これらの結果、当分野の売上高、営業利益はともに前連結会計年度を大きく上回りました。
 画像デバイス分野では、コスト競争力強化に向け、中国・深圳への生産拠点の集約と量産体制の構築を進めました。さらに、ユニット関連商品の拡大を図るとともに、プリンタ用OPC(有機感光体)の大口案件の受注獲得により、当分野の売上高、営業利益はともに前連結会計年度を上回りました。
 なお、平成18年4月1日付で、事業運営の一体化を図るため、富士電機ストレージデバイス㈱及び富士電機画像デバイス㈱を吸収合併の方法により富士電機デバイステクノロジー㈱に統合しました。
■リテイルシステム部門
 当連結会計年度の部門全体の売上高は、前連結会計年度比3.5%減の1,621億円となり、営業利益は前連結会計年度比21.2%減の58億73百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は1,610億円(富士電機リテイルシステムズ㈱単独ベース)となっております。
(当部門の運営方針)
 当部門の事業環境は、新紙幣発行関連の需要や、たばこ自販機の大口案件といった特需が収束し、厳しい状況で推移しました。
 こうしたなか、当部門は、需要が急増している非接触ICカード機器の拡販や、コールドチェーン機器分野において、流通業界の大手チェーン再編、異業種参入など激しい市場環境の変化に的確に対応し売上拡大を図ることを重点課題として取り組みました。
 また、部門全体にわたる合理化プロジェクトの推進、生産部門のモノづくり改革運動などによる収益力強化にも注力しました。
(分野別の状況)
 自販機・フード機器・通貨機器分野では、主力の缶自販機は、市場の回復基調に加え、省エネルギー、防盗、操作性などの機能を向上させた「New Fシリーズ」の市場投入により、売上高は前連結会計年度を上回りました。
 たばこ自販機は、大口案件の売上が下半期に入り収束したこと、成人識別機能付たばこ自販機の導入前の買い控え影響により、前連結会計年度を大きく下回りました。
 通貨機器は、非接触ICカード機器が大幅に伸長しましたが、新紙幣発行関連の需要が上半期で一巡したことから、紙幣識別装置、釣銭機、レジャー機器が大幅に減少しました。
 これらの結果、当分野の売上高、営業利益はともに前連結会計年度を下回りました。
 コールドチェーン機器分野では、スーパーマーケット向けは、第3四半期後半より市場が回復基調に転じたものの、価格競争激化の影響を受け、売上高は前連結会計年度を若干下回りました。一方、コンビニエンスストア向けは、大手チェーンの堅調な新規出店、異業種からの新業態店舗への参入増加により、市場全体は前連結会計年度比微増で推移するなか、新業態店舗の一括受注や、商社との連携による受注獲得に努めた結果、売上高は前連結会計年度を上回りました。
 また、建装関連は、ユニット工法店舗に加え、新規顧客からの大口案件の受注獲得により、売上高は前連結会計年度を大きく上回りました。
 これらの結果、当分野の売上高は前連結会計年度を上回りましたが、営業損益は、今後に向けた拡販施策に伴う経費増加等により前連結会計年度を下回りました。
■その他部門
 当連結会計年度の売上高は、人事・総務、人材派遣の共通サービス会社が連結子会社となった影響等により前連結会計年度比14.1%増の522億円、営業利益は前連結会計年度比23.2%増の21億36百万円となりました。
(主要グループ会社の取り組み状況)
 富士ライフ㈱では、遊休土地や利用効率の低い独身寮・社宅等の売却処分を推し進め、金融債務残高の削減と、保有資産の健全化を図りました。
 富士電機フィアス㈱では、グループの金融中核会社として、前中期経営計画の経営目標である「金融債務残高 平成17年度末 3,000億円以下」の達成に向け、グループ全体の資金効率向上に努め、目標達成に寄与しました。
 富士電機情報サービス㈱では、グループ内においてホスト中心のシステムからオープン系システムへの移行が進むなか、グループ各社の新基幹システムの開発に着手し、ITインフラの再構築に注力しました。
 富士ブレイントラスト㈱では、グループ内外にわたり多様な人材ニーズに対応した人材派遣・人材紹介を推進し、紹介予定派遣制度(正社員採用を前提にスタッフを派遣し、派遣期間終了後、派遣先企業と派遣スタッフ間の合意により直接雇用契約を締結する制度)による採用活動を積極的に推進しました。また、給与計算代行事業において委託会社の拡大に努めました。
 なお、平成18年4月1日付で、管理部門の人材の育成と効率的な運営を図るため、富士電機フィアス㈱の財務部門と㈱富士電機能力開発センターの機能を富士ブレイントラスト㈱に統合しました。
〔所在地別セグメントの状況〕
■日本
 当連結会計年度の売上高は8,795億円、営業利益は361億7百万円となりました。
■北米
 当連結会計年度の売上高は94億円、営業利益は2億39百万円となりました。
■ヨーロッパ
 当連結会計年度の売上高は147億円、営業利益は2億59百万円となりました。
■アジア(除く中国)
 当連結会計年度の売上高は351億円、営業利益は21億76百万円となりました。
■中国
 当連結会計年度の売上高は434億円、営業利益は17億35百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は536億3百万円の増加(前連結会計年度は384億79百万円の増加)となり、前連結会計年度に対し151億24百万円の好転となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、602億円(前連結会計年度422億74百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の好転などが主な要因であります。
 前連結会計年度に対しては、179億26百万円の好転となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、65億97百万円(同37億94百万円の減少)となりました。これは、電子デバイス部門を中心とする重点的な設備投資を実施したことなどによるものです。
 前連結会計年度に対しては、28億3百万円の悪化となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、494億70百万円(同497億41百万円の減少)となりました。これは主として、コマーシャルペーパー、長期借入金及び短期借入金の減少によるものであります。
 これらの結果、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ51億98百万円(32.1%)増加し、当連結会計年度末には214億13百万円となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。
(2)受注状況
 当社グループの生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」における事業の種類別セグメントの状況に関連付けて示しております。
(3)販売実績
 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業の種類別セグメントの名称
金額(百万円)
前連結会計年度比(%)
電機システム
398,197
106
機器・制御
182,511
102
電子デバイス
173,402
121
リテイルシステム
162,195
96
その他
52,200
114
消去
△71,231
合計
897,277
106
(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。
3【対処すべき課題】
 当社グループは、平成15年度から平成17年度までを対象とした中期経営計画において、デフレ下における経営体質の改善のために、「売上高営業利益率5%以上」、「金融債務残高3,000億円以下」を目標に掲げ取り組んでまいりました。
 その達成状況につきましては、売上高営業利益率は、平成14年度1.6%に対し平成17年度は4.6%と、目標の5%に若干未達であるものの着実な改善を遂げてまいりました。金融債務残高は、平成14年度末4,388億円に対し平成17年度末において2,750億円と、目標値以上に削減を図ることができました。
今後の見通しにつきましては、国内経済は、デフレからの脱却が進み、金利の上昇、米国経済の減速、円高の進展などが懸念されるものの、内需主導の緩やかな成長が続くものと思われます。
 世界経済につきましても、当社グループの注力市場である中国は、一部に不透明要因が見られるものの引き続き高成長が予測されるなど、総じて成長局面が続くものと見込まれます。
 
 こうしたなか、当社グループの課題は、需要構造の変化に迅速に対応し、新たな事業環境の下で生み出されるビジネスチャンスを確実に捉え、新たな成長につなげることにあります。
 同時に、地球社会の一員として当社グループの社会的な役割や責任を自覚し、取り巻く人々や社会からの信頼を高めるとともに、社会に有用な製品、サービスを提供し続ける社会的存在価値の高い企業グループを目指してまいります。
 
 当社グループは、このあるべき姿の実現に向けた具体的な目標と戦略として、平成18年度から3ヶ年にわたる中期経営計画を策定しました。
 
平成20年度計画
平成17年度実績
   売 上 高
1兆円以上
8,972億円 
   売上高営業利益率
7%以上 
4.6% 
   D/Eレシオ(※)
1.0倍以下 
1.0倍 
※D/Eレシオ:株主資本に対する金融債務の倍率を求めたもので、株主資本が金融債務より多い水準である(D/Eレシオが1.0倍以下である)ことが望ましいとされています。
 この計画の初年度として、平成18年度は「売上高営業利益率5%以上」をグループの発展に向け早急に達成すべきマイルストーンと位置付け、次の重点施策に取り組んでまいります。     
 ・研究開発を強化し、業界No.1のコア技術をベースとする「高シェア・高成長・高収益」製品の創出と拡大に努めます。
 ・生産現場を中心に成果を挙げてきた「ムダ取り」活動を営業・管理部門に拡大するとともに、モノと情報の「見える化」、「流れ化」を基本とした新たな業務革新活動(Profit7活動)を展開し、コスト競争力の一層の強化を図ります。
 ・今後とも高成長が見込めるアジア、特に中国において当社グループが有する得意技術・製品をベースとした事業展開を積極的に進めます。
 ・少子高齢化、労働力人口の減少、グローバル化などの環境変化への柔軟な対応を基本として、2007年問題に的確に対応するとともに、海外要員の増強、多様な人材の登用・活用を進めていきます。
 ・健全かつ透明性の高い企業体質を目指し、コンプライアンスの徹底、リスク管理の体系的取り組みを進めるとともに、これらの統合による内部統制システムの強化を図ります。
以上の取り組みにより、新たな中期経営計画の初年度として、その達成に向けた着実な一歩を踏み出したいと考えております。
なお、昨年12月、平成15年度の新東京国際空港公団発注の電気設備工事の入札に関して、富士電機システムズ㈱従業員1名が、競売入札妨害の罪で、東京簡易裁判所より略式命令を受けるとともに、同社は、建設業法の規定に基づき、30日間の営業停止処分を受けました。
 当社グループといたしましては、かかる事態を厳粛に受け止め、責任者の処分を実施するとともに、「富士電機グループ・コンプライアンス・プログラム」により、グループ内のさらなる遵法徹底を図るとともに、遵法教育の再徹底、営業活動プロセスの再点検、営業部門の定期的なローテーション、内部統制システムの強化などの具体的再発防止策を講じてまいります。
4【事業等のリスク】
 当社グループは、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変動等に係るもの
①中国を中心としたBRICs経済の拡大に伴う旺盛な素材・原材料需要による需給逼迫や中近東の不安定な情勢の長期継続等により、国際商品市況が高騰し、原材料・部品の価格が上昇してきております。これらの価格が一段と上昇した場合には、対応が追いつかず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②当社グループの売上は、公共投資や民間設備投資をはじめとする国内景気の動向と関連しています。特に電子デバイス部門はエレクトロニクス業界における市場動向と深い関わりがあり、このため、同業界における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③当社グループは、海外市場にも積極的に展開しており、特に中国市場向けには開閉器具、駆動制御装置、半導体等の販売拡大に注力しています。このため、中国における景況の悪化あるいは経済政策の変更が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④当社グループでは、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループの平成17年度末での金融債務残高は2,750億円となっております。今後、金利が想定以上に上昇した場合には、金利負担の増大を招くことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥当社グループは戦略的提携などを目的として、多数の会社に出資しております。このため、出資先の財政状態の悪化や株式市場の変動により、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)製品の品質に係るもの
 当社グループでは、生産・販売する製品について品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ事情により大きな品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、その場合には、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外活動に係るもの
 当社グループは、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開しておりますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・不利な政治的要因の発生
・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱
(4)知的財産権に係るもの
 当社グループでは、当社グループの知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めております。しかしながら、技術革新のスピードが加速していること、また、当社グループの事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生する可能性があり、そうした場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の漏洩に係るもの
 当社グループは事業活動に関連して、お客様関係、調達先関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っており、これらの個人情報の取得、利用、保管等につきましては、関連する各種社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、当社グループの社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)大規模な災害や事故等に係るもの
 当社グループは、世界各地に事業拠点を展開しております。これらの事業所地区において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)土壌汚染に係るもの
 当社グループの所有する土地は、環境国際規格に基づいて汚染の予防、測定、監視に努めており、また、土地の売却を計画する際には、売却予定地の土壌調査を実施するなど、関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。これらの測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)退職給付債務に係るもの
 当社グループは、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5【経営上の重要な契約等】
当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約はありません。
6【研究開発活動】
 当社グループの研究開発は、グループが得意とするコア技術の強化へ向け、技術開発、基礎研究の充実を図るとともに、差別化された新商品の市場投入を加速させるべく、重点機種に対して戦略的な投資を行いました。
 研究開発は、グループの研究開発会社である富士電機アドバンストテクノロジー㈱と各事業会社の工場を含む各事業部門で行っており、グループの企業価値の最大化に貢献すべく、両者の連携を強化して取り組んでおります。
 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は290億21百万円であり、各セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。
 なお、セグメントに属さない新技術等の当連結会計年度における研究開発費は8億92百万円であります。
 当連結会計年度末においてグループが保有する国内外の産業財産権の総数は8,077件であります。
■電機システム部門
 富士電機システムズ㈱が中心になって、官公需、産業、電力分野の各種プラント設備におけるパワーエレクトロニクス機器、変電機器、発電機器などの機器開発から、これらのプラント運用技術を含む保護・監視・制御装置、システムまでの研究開発を行っており、近年は水環境、情報・計測、パワーエレクトロニクス分野に注力しております。当連結会計年度の主な成果として、ハードウェアの世代変化に依存しない「GENESEED(ジェネシード)水処理情報制御システム」、次世代新幹線N700系主回路システムとして大容量IGBTを使った主変換装置とその制御装置、独自の制御方式により無瞬断と97%の高効率を実現した中容量無停電電源装置「UPS8100シリーズ」、プラントの最適運営をライフサイクルにわたり実現するトータル・ソリューションを提供することを基本コンセプトとした「MICREX−NX V6.1」、新技術のパルス・ドップラー法と従来技術の伝播時間差法を組合せて測定流体の状態の状況に応じて両方式の切換が可能な高精度ハイブリッド超音波流量計、温度制御全般に対応可能な新型ディジタル温度調節計「PXG」、平成18年4月からの揮発性有機化合物排出規制に適応した赤外線式VOCガス測定器「ZSX」などを開発しました。
 当部門の研究開発費は93億38百万円であります。
■機器・制御部門
 富士電機機器制御㈱が中心になって、FAシステムを構成するプログラマブルコントローラ、受配電機器などのコンポーネンツ及びパワーエレクトロニクス機器などの研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、プログラマブルコントローラ「MICREX−SXシリーズ」のデータ処理機能融合型CPU「SPH2000 SXXERO(エスエックスゼロ)」及び大容量245kステップCPU「SPH300」、15インチ大型TFT液晶搭載のプログラマブル操作表示器「POD UG630シリーズ」、単相3線式中性線欠相保護機能付の電気工事用漏電遮断器及び二種耐熱性能を装備した配線用遮断器の「α−TWINシリーズ」、φ22コマンドスイッチ「AR22シリーズ」のSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格対応ガードリング、短胴形角形表示灯「DP36、DP40シリーズ」、直接交流電力変換が可能なマトリックスコンバータ「FRENIC−Mx」、高性能・コンパクト形インバータ「FRENIC−Multiシリーズ」のパルス発生器インタフェース及びRS485通信内蔵形シリーズ、サーボシステム「FALDIC−Wシリーズ」の中慣性1500r/min、1.8kW及び2.9kW品などを開発しました。
 当部門の研究開発費は37億74百万円であります。
■電子デバイス部門
 富士電機デバイステクノロジー㈱が中心になって、IC、パワー半導体、磁気記録媒体、感光体などの電子デバイス関連の研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、ICでは、プラズマテレビ向けとして、コストダウン対応と大画面・高精細対応のために256ビットアドレスドライバIC、80ビットスキャンICを開発しました。ディスクリートでは、サステイン回路の低損失化に対応する100〜200VのトレンチMOSFETを開発しました。また液晶テレビ向けを中心に使用され、好評を得ている「M−Power2」の低オン抵抗化により42インチ画面まで適用可能な系列製品を開発しました。パワー半導体では、第5世代IGBT「U4シリーズ」を開発、系列拡大し、フル鉛フリーモジュールを開発しました。磁気記録媒体では、160ギガバイト3.5インチアルミ媒体や、60ギガバイト2.5インチガラス媒体を製品化しました。感光体では、新規有機感光体材料を開発し、高画質プリンタ用有機感光体、高解像度低消費型有機感光体を、また、カラープロセスにマッチしたカラープリンタ用感光体などを開発しました。
 当部門の研究開発費は112億54百万円であります。
■リテイルシステム部門
 富士電機リテイルシステムズ㈱が中心になって、自動販売機、フード機器、コールドチェーン機器システム、カード通貨機器などの研究開発を行っております。当連結会計年度の主な成果として、地球温暖化防止に貢献するノンフロンのCO2冷媒缶飲料自動販売機、新断熱方式を採用した省エネルギー型の自動給茶機、高鮮度商品管理と省エネを実現したショーケースの新シリーズ「ECOMAX(エコマックス) R」、空調を含む店舗の総合的省エネルギーシステムであるエコマックスNetⅡ及びエコマックスFit、非接触ICカード決済の拡大に対応してPOS連動タイプを始めとする電子マネー決済端末機などを開発しました。
 当部門の研究開発費は37億10百万円であります。
■その他部門
 当部門の研究開発費は53百万円であります。
7【財政状態及び経営成績の分析】
(1)財政状態の分析
 当連結会計年度末の総資産額は9,900億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,076億42百万円増加しました。
 流動資産は4,420億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億円増加しました。これは、主に現金及び預金が前連結会計年度末に比べ51億89百万円増加したことによるものであります。
 固定資産は5,480億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,033億14百万円増加しました。このうち、投資その他の資産は3,893億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,033億19百万円増加しました。これは、株式市場の回復を背景として、投資有価証券の時価評価差額相当分が前連結会計年度末に比べ大幅に増加したことが主な要因であります。
 当連結会計年度末の負債合計は7,051億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ265億80百万円増加しました。
 流動負債は4,902億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ222億85百万円増加しました。これは、短期借入金とコマーシャルペーパーが、それぞれ、前連結会計年度末に比べ96億98百万円、293億円減少したものの、前連結会計年度末において固定負債であった社債のうち、当連結会計年度末に1年以内償還予定となった400億円が流動負債に振り替わったことなどによるものであります。
 固定負債は2,148億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億95百万円増加しました。これは、上記のとおり、1年以内償還予定となった社債400億円が流動負債に振り替わった一方で、主として投資有価証券の時価評価差額相当分の増加に伴って繰延税金負債が前連結会計年度末に比べ469億98百万円増加したことが主な要因であります。
 なお、当連結会計年度末の金融債務残高は2,750億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ433億87百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は27.8%となり、前連結会計年度末に比べ8.3ポイント低下しました。
 当連結会計年度末の少数株主持分は98億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億31百万円増加しました。  
 当連結会計年度末の資本合計は2,750億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ793億31百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べ利益剰余金が136億円、その他有価証券評価差額金が630億72百万円、それぞれ増加したことを主因とするものであります。この結果、自己資本比率は27.8%となり、前連結会計年度末に比べ5.6ポイント上昇しました。
(2)経営成績の分析
 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ6.3%増収の8,972億円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ1.2%減収の6,931億29百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ43.2%増収の2,041億48百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。
 売上原価は、主に売上高の増加により、前連結会計年度に比べ5.4%増加し7,020億6百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、コストダウン効果の抽出等により、前連結会計年度に比べ0.7ポイント低下して78.2%となりました。
 販売費及び一般管理費は、研究開発費の増加等により、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1,542億58百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.7ポイント低下して17.2%となりました。
 営業利益は、売上高の増加に加え、「ムダ取り」活動を始めとするグループを挙げての原価低減の取り組みなどにより、前連結会計年度に比べ52.9%増益の410億12百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。
 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の45億96百万円の費用(純額)から、8億18百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ54億14百万円好転しました。これは、持分法投資損失が前連結会計年度に比べ20億43百万円減少したことなどによるものであります。
 これらの結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ88.2%増益の418億31百万円となりました。
 特別利益は、固定資産売却益と投資有価証券売却益を計上し、43億80百万円となりました。なお、前連結会計年度には退職給付数理計算上の差異一時処理額などがあったため、前連結会計年度に比べ59億51百万円減少しております。
 特別損失は、固定資産売廃却損、投資有価証券等評価減、特別棚卸資産償却費などを計上し、120億48百万円となりました。なお、前連結会計年度に比べ特別棚卸資産償却費が減少したことなどにより42億51百万円減少しております。
 以上により、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ110.2%増益の341億63百万円となり、法人税等152億51百万円と少数株主利益3億8百万円を差し引いた結果、当期純利益は、前連結会計年度に比べ138.6%増益の186億3百万円となりました。
(3)流動性及び資金の源泉に関する分析
 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は214億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億98百万円(32.1%)増加しました。
 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー602億円であります。
 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益341億63百万円、減価償却費157億21百万円などとなっております。
 なお、投資活動によるキャッシュ・フローは△65億97百万円となっており、その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出△193億80百万円、有形固定資産の売却による収入112億25百万円などであります。
 以上により創出されたフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)536億3百万円を、財務体質強化のために積極的に金融債務残高の削減に充当し、コマーシャルペーパー、長期借入金及び短期借入金の減少を中心として、財務活動によるキャッシュ・フローは△494億70百万円となりました。




出典: 富士電機株式会社、2006-03-31 期 有価証券報告書