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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における富士電機(注)を取り巻く経済環境は、円高の進行がありましたが、中国を中心としたアジア市場の拡大に支えられ、国内市場向け、海外市場向けともに回復傾向で進捗しました。

 このような環境のもと、富士電機は経営方針に基づき、「日本の富士電機から世界の富士電機へ」、「エネルギー・環境事業への注力」、「人材の活性化」の3点に重点的に取り組むと同時に、ディスク媒体事業、自販機事業について、市場規模の変化に対応し経営体質の強化に向けた事業構造改革の取り組みを推し進めました。

 しかし、本年3月11日に発生しました東日本大震災に伴う売上計上予定の案件の延伸等による売上減の影響、部品・部材の調達難や計画停電による工場の操業停止等による特別損失を計上した結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。

 売上高は、6,890億65百万円となり、前連結会計年度に比べ21億58百万円減少しました。部門別には、半導体部門及び器具部門は、中国を中心としたアジア市場の拡大に支えられ前連結会計年度を大幅に上回りましたが、エネルギーソリューション部門、環境ソリューション部門、自販機部門及びディスク媒体部門は、前連結会計年度を下回りました。

 損益面では、半導体部門及び器具部門の売上増加等により営業損益は119億17百万円となり、前連結会計年度に比べ109億93百万円の改善となりました。経常損益は前連結会計年度に比べ77億62百万円改善し72億25百万円となり黒字化しました。また、特別利益で投資有価証券売却益等を計上したことから、当期純損益は151億4百万円となり、前連結会計年度に比べ83億47百万円の改善となりました。

 

(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。 

<セグメント別状況>

■エネルギーソリューション部門

 売上高は前連結会計年度比9.1%減少の729億7百万円となり、営業損益は前連結会計年度比36億11百万円悪化の30億27百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は880億円(富士電機システムズ㈱のエネルギーソリューション部門単独ベース)となっております。

 売上高は前連結会計年度の新設プロジェクトの発注延期や凍結による大幅な受注減の影響により前連結会計年度を下回りました。営業損益は資材コストダウンや経費の削減に努めましたが、売上高の減少影響により前連結会計年度を下回りました。

■環境ソリューション部門

 売上高は前連結会計年度比3.7%減少の2,782億71百万円となり、営業損益は前連結会計年度比37億96百万円悪化の62億92百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は2,223億円(富士電機システムズ㈱の環境ソリューション部門単独ベース)となっております。

 産業ソリューション分野は、市況の回復により受注高は前連結会計年度に比べ増加しましたが、売上高は大口案件の端境期により前連結会計年度を下回りました。営業損益は、コストダウンを推進しましたが、売上高の減少に加え、為替影響等により、前連結会計年度を下回りました。

 社会ソリューション分野は、売上高は、電源事業の買収効果はありましたが、大口案件の減少により前連結会計年度を下回りました。営業損益は、売上減と価格競争激化の影響により前連結会計年度を下回りました。

 輸送ソリューション分野は、インバータを中心とした搬送システムにおいて、国内市場ではポンプや空調市場が堅調に推移し、海外市場では中国を中心としたアジア市場の設備投資等の牽引により売上高、営業損益とも前連結会計年度を上回りました。

■半導体部門

 売上高は前連結会計年度比21.0%増加の856億20百万円となり、営業損益は前連結会計年度比97億2百万円改善の59億53百万円となり黒字化しました。

 なお、当連結会計年度の受注高は807億円(富士電機システムズ㈱の半導体部門単独ベース)となっております。

 半導体分野は、情報電源分野向けでは、中国を中心に夏場以降の減速に加え、為替の影響を受け、前連結会計年度に比べ減少となりました。産業分野向けでは、インバータ市場の回復、中国市場の拡大及び太陽光・風力などの新エネルギーの拡大により前連結会計年度を大幅に上回りました。自動車電装分野向けでは、国内でのエコカー減税終了の影響はあったものの、欧州、アジアで伸長し、前連結会計年度を上回りました。これらの結果、売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。営業損益については、売上増加に伴う増益効果に加え前連結会計年度の事業構造改革の成果により、大幅に改善しました。

 感光体分野は、売上数量は増加しましたが、製品価格の低下や為替影響などにより、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を若干下回りました。

■器具部門

 売上高は前連結会計年度比45.7%増加の654億51百万円となり、営業損益は前連結会計年度比76億12百万円改善の28億64百万円となり黒字化しました。

 なお、当連結会計年度の受注高は521億円(富士電機システムズ㈱の器具部門及び富士電機機器制御㈱単独ベースの合計)となっております。

 国内市場においては中国を中心としたアジア向け工作機械などの機械メーカー向け需要が前連結会計年度に比べ大きく拡大しました。また、海外市場においては高成長を続ける中国を中心とするアジア向け需要が前連結会計年度に比べ大きく拡大しました。これらの結果、売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。営業損益については、売上増加に伴う増益効果に加え前連結会計年度の事業構造改革の効果により、大幅に改善しました。

■自販機部門

 売上高は前連結会計年度比6.1%減少の857億76百万円となり、営業損益は前連結会計年度比11億56百万円改善の3億98百万円となり黒字化しました。

 なお、当連結会計年度の受注高は848億円(富士電機リテイルシステムズ㈱単独ベース)となっております。

 自販機分野は、夏場の猛暑により一時的な販売物量の増加はあったものの、依然として消費低迷による飲料・食品メーカーの投資抑制が継続したことなどにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業損益については、コストダウン及び固定費の削減を推進したものの、価格低下と物量減少に震災影響も加わり、前連結会計年度を下回りました。

 通貨機器分野は、流通向け自動釣銭機の小売りチェーンを中心とした店舗への導入が増加したこと、及び固定費削減により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。

■ディスク媒体部門

 売上高は前連結会計年度比9.2%減少の403億59百万円となり、営業損益は前連結会計年度比22億18百万円改善の△52億24百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は412億円(富士電機デバイステクノロジー㈱単独ベース)となっております。

 HDD市場は、当連結会計年度では前連結会計年度を若干上回るレベルとなりました。当部門は、3.5インチアルミ媒体の500GB及び667GB、2.5インチアルミ・ガラス媒体の320GBを主力製品として出荷しましたが、為替影響及び東日本大震災後の計画停電に伴う操業停止影響により、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業損益は総経費の圧縮やコストダウンなど構造改革効果により前連結会計年度に比べ改善しましたが、依然赤字となっております。

■その他部門

 売上高は前連結会計年度比2.9%減少の1,159億55百万円となり、営業損益は前連結会計年度比10億83百万円悪化の20億53百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は1,380億94百万円の資金の増加(前連結会計年度は113億95百万円の増加)となり、前連結会計年度に対し1,266億99百万円の好転となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、538億53百万円(前連結会計年度119億23百万円の増加)となりました。これは、売上債権や前受金の回収促進を行ったことなどが主な要因であります。
 前連結会計年度に対しては、419億30百万円の好転となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の増加は、842億41百万円(同5億28百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却を主因とするものであります。
 前連結会計年度に対しては、847億69百万円の好転となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、934億68百万円(同625億78百万円の減少)となりました。これは主として、借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少によるものであります。

 これらの結果、当連結会計年度における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ445億13百万円(119.4%)増加し、当連結会計年度末には817億96百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。

(2)受注状況

 富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメント別状況に関連付けて示しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

エネルギーソリューション

72,907

     90.9

環境ソリューション

278,271

     96.3

半導体 

85,620

121.0

器具 

65,451

145.7

自販機 

85,776

93.9

ディスク媒体

40,359

     90.8

その他

115,955

     97.1

消去

△55,277

合計

689,065

     99.7

(注)上記の金額には消費税等を含んでおりません。

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

  今後の富士電機を取り巻く経営環境につきましては、アジア向けの輸出等の堅調な外需及び東日本大震災の復興活動の本格化等により、景気は持ち直しに向かうことが期待できますが、直近の部品・部材の調達難、電力供給の制約の長期化などによる下振れ懸念など、予断を許さぬ状況が続くものと思われます。

1)「新・富士電機」の発足

 こうしたなか、当社は「2009-2011年度 中期経営計画」にて掲げた「エネルギー・環境事業への注力」、「グローバル事業の拡大」に向けた体制づくりとして、本年4月1日付でエネルギー・環境事業を担当する100%子会社富士電機システムズ㈱を統合し、「富士電機株式会社」として新たなスタートを切りました。また、当社の目指す姿は次のとおりです。
 目指す姿 「エネルギー・環境」の最先端企業の「世界の富士電機」

 平成24年3月期においては、「プラント」と「コンポーネント」に事業体制を再区分すること、旧「環境ソリューション」を「産業システム」、「社会システム」、「パワエレ機器」として再編成すること、及びスマートグリッド事業を省エネルギーと位置づけ旧「グリッドソリューション」を「社会システム」に再編成すること、を目的として、次のとおり事業セグメントを変更します。 

(従来)                            (平成24年3月期以降)  

セグメント

サブセグメント

 

セグメント

エネルギーソリューション

グリーンソリューション

 

エネルギー

グリッドソリューション

 

産業システム

環境ソリューション

産業ソリューション

 

社会システム

輸送ソリューション

 

パワエレ機器

社会ソリューション

 

電子デバイス

半導体

 

 

器具

器具

 

 

自販機

自販機

 

 

その他

ディスク媒体

 

 

 

その他

 

 

 

 

2)2011年度の重点課題

 「エネルギー・環境」の最先端企業の実現に向け、2011年度は次の重点課題に取り組みます。

①注力分野の明確化、事業ポートフォリオの最適化

 ○パワーエレクトロニクス技術の強みを生かした「エネルギー・環境」の事業領域における注力分野の明確化

   広範で多くの競業がひしめく「エネルギー・環境」の事業領域において、特徴ある事業で最先端をいく企業を目指します。
 「パワーエレクトロニクス技術」=“電気を自在にあやつる技術”の強みを生かした、富士電機独自のエネルギー・環境事業を明確にし、経営資源を集中的に投入することにより、事業ポートフォリオ(事業の組み合わせ)の最適化を図ります。

②マーケット・顧客基点の経営への変革

 ○「マーケティング力」「営業力」「ものつくり力」の徹底強化

 「マーケット・顧客基点の経営への変革」に向け、次のとおりマーケティング力、営業力、ものつくり力を強化します。
 ・マーケティング力

  短期的視点にとらわれず、市場、経済、社会などの将来動向、富士電機が持つ技術、商品、サービスなどの経営資源を照らし合わせ、中長期的な「富士電機のあるべき姿」を見定め、その実現に向けた具体的工程を策定する機能を強化します。

 ・営業力

  マーケット・顧客基点経営の情報発信源として、自らマーケティングを行い、その最新情報を開発・ものつくり・事業戦略などの各機能にフィードバックします。
 また、近年では国内顧客が世界各地に進出するなど「顧客のボーターレス化」が進んでいます。こうしたなか、日本も「世界の1つ」という発想に立ち、「国内営業」と「海外営業」を融合し、「世界の富士電機」にふさわしい体制とします。

 ・ものつくり力

  「確かなものつくり力」は、富士電機の伝統的な強みと考えております。今後「世界の富士電機」の実現に向け、ものつくりの現地化を進めるうえで重要となるのは、主要コンポーネンツに関する「富士電機独自の生産技術」であり、こうした生産技術の再強化を図ります。

③中長期視点かつタイムリーな経営管理手法への改革
 ○10年ビジョンおよびローリング方式の3カ年計画の策定

 これまでは中期的な経営目標として、3年毎に中期経営計画を更新していましたが、今後は長期ビジョンとローリング方式により3カ年計画を毎年更新し、「長期的視点」と「環境変化への迅速対応」の両面から経営管理を行います。

④事業構造改革の完遂
 ○自販機、ディスク媒体事業の収益体質の再構築

・自販機事業

 少子高齢化、景況低迷を受けた投資抑制によるマーケット縮小に対応し、東京の本社機能、埼玉工場の三重工場への移管・集約、販売拠点の統合・再編により、効率的な事業運営体制を構築するとともに、トヨタ生産方式の導入、新生産ラインによる生産合理化等により、三重工場の生産革新を図ります。

・ディスク媒体事業

 昨年11月に国内の生産機能のマレーシア富士電機社への全面移管を発表しておりますが、市場変動に強い収益体質へのさらなる変革に向け、移管時期を本年6月に前倒しするとともに、富士電機デバイステクノロジー㈱の全機能を移管・集約することとし、開発・製造・販売一体のグローバル1拠点体制を実現します。
 なお、移管後の同社の山梨地区については、パワー半導体の生産拠点等として活用を検討してまいります。

 

3)直近の課題〜東日本大震災からの復興に向けて

 東日本大震災の発生に伴い、今後、夏期に向けた電力供給の制約、及び部品・部材の調達難の長期化等による生産活動への支障が懸念されます。
 富士電機としましては、工場の操業時間の変更、サプライチェーンの源流まで視野に入れた調達ルートの分散化により、これらの影響の極小化に努めてまいります。

 

 また、本震災を日本全体の大きな試練ととらえ、企業市民の一員として、被災地の復興支援に全力をあげて取り組んでまいります。
 既に放射線量計・放射線モニタリングポスト、電力量計、自家発電設備等について、多数の要請やお問い合わせをいただいておりますが、こうした要請に最大限お応えできるよう努めるとともに、工場の被災により操業停止を余儀なくされている顧客に対し、生産ラインを支えるプラントシステム、受変電設備など、復旧に向けた支援を継続的に行ってまいります。
 さらに、復興後の社会・経済の構造変化を見据え、長期戦略のなかに織り込み、社会とともに歩む企業経営を行ってまいります。

 

(2) 会社の支配に関する基本方針 

① 基本方針の内容

富士電機は、基本理念を次のとおり定めております。

富士電機は、地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします

●豊かさへの貢献 ●創造への挑戦 ●自然との調和

  この基本理念を実践し、企業価値の持続的向上を図る過程で、富士電機は、独自の技術、経験及びノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員等さまざまなステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてまいりました。
 これらは、富士電機の有形・無形の貴重な財産であり、いわば“富士電機のDNA”とも呼ぶべき、富士電機の企業価値の創造を支える源泉であります。
 富士電機は、その経営理念に基づき、環境の変化に適合した経営を実践し、中長期的な視野で企業価値と株主の皆様の共同利益を一層向上させていくことが、富士電機の企業価値を損なう当社株式の買付行為に対する最も有効な対抗手段であると認識しており、その実現に努めてまいります。
 また、当社の株式価値を適正にご理解いただくようIR活動に積極的に取り組むとともに、株主の皆様には四半期毎の業績等に関する報告書の発行、工場見学会の開催等により、富士電機に対するご理解をより一層深めていただくよう努めてまいります。
 当社取締役会は、上場会社として株主の皆様の自由な売買を認める以上、特定の者による当社株式の大規模買付行為がなされる場合、これに応ずるべきか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきと考えます。
 しかしながら、一般にも高値での売り抜け等の不当な目的による企業買収の存在は否定できないところであり、当社取締役会は、このような富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう当社株式の大規模買付行為や提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、適当ではないと考えております。
 現時点において、当社株式の大規模買付に係る具体的な脅威が生じている訳でなく、また当社としても、そのような買付者が現れた場合の具体的な取り組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありません。
 しかし、当社取締役会は、株主の皆様から経営の負託を受けた経営者の責務として、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なうおそれがある株式の大規模買付行為がなされた場合に適切な措置を執り得る社内体制を整備いたします。 

② 基本方針を実現するための当社の取り組み

1)企業価値向上の取り組み

 富士電機は、持続的成長に向けた基本戦略として、2011年度までを対象とする中期経営計画において、世界各国で見込まれるエネルギー・環境投資を背景として、長年培ってきた電気を自在に操る「パワーエレクトロニクス技術」をベースとし、グローバル市場で成長を成し遂げることを目指しております。

その実現に向け、迅速に経営リソースを「エネルギー・環境」事業にシフトし、「事業を通じてグローバル社会に貢献する企業」として企業価値の最大化とCSR経営の実現を目指します。

2)基本方針に照らし不適切な者による当社の支配を防止するための取り組み

 当社は、上記①の基本方針に基づき、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう、又はそのおそれのある当社株式の買付行為に備え、社内体制の整備に努めております。
 具体的には、日常より当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、平時より有事対応の初動マニュアルを整備し、外部専門家との連携体制等を整えておりますが、今後とも迅速かつ適切に具体的対抗措置を決定、実行し得る社内体制の充実に努めてまいります。
 また、いわゆる「買収防衛策」の導入につきましても、法制度や関係当局の判断・見解、社会動向やステークホルダーの意見等を踏まえ、企業価値、株主の皆様の共同利益の確保、向上の観点から、引き続き検討してまいります。

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断及び判断理由

 当社取締役会は、上記②.1)の取り組みが当社の企業価値を中期的に維持・拡大させるものであり、また、同②.2)の取り組みが富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を毀損するような当社株式の大規模買付行為に対応するための社内体制を整備するものであることから、そのいずれの取り組みも、上記①の基本方針に即したものであり、株主の皆様の共同利益を損なうものではなく、現経営陣の地位の維持を目的とするものでもない旨を確認し決議しました。
 また、監査役についても上記②の取り組みについてその具体的運用が適切に行われることを条件として、全員が同意しております。 

 

 (注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 富士電機は、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)事業環境の変動等に係るもの

①中国を中心としたアジア市場の拡大に伴う旺盛な素材・原材料需要による需給逼迫や中近東の不安定な情勢の長期継続等により、国際商品市況が高騰していることに加え、世界的な非鉄金属価格の上昇により、原材料・部品の価格が上昇しております。富士電機では、原材料価格高騰リスクに対して商品スワップ取引を行う等、リスクの軽減に努めておりますが、これらの価格が大幅に上昇した場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

②富士電機は、海外市場への積極的な展開を図っており、特に中国をはじめとしたアジア市場向けの販売拡大に注力しています。また、民間設備投資や公共投資をはじめとする国内景気の動向とも深い関わりがあります。このため、海外及び国内の市場動向による業績影響の極小化に向けて、コストダウンや総経費の圧縮に努めておりますが、中国における景況の悪化あるいは経済政策の変更が発生した場合や、市場における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

③富士電機では、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④富士電機の当連結会計年度末での金融債務残高は2,740億19百万円となっています。今後、金利が想定以上に上昇した場合には、金利負担の増大を招くことにより、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤金融市場の動向や富士電機の財務指標の悪化が、一部借入金の財務制限条項への抵触による期限前弁済等、富士電機の資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)製品の品質に係るもの

 富士電機では、生産・販売する製品について品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ事情により大きな品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)投資に係るもの

 富士電機は、成長が見込める事業に対し迅速に経営資源を集中させ、事業の拡大・発展を目指し、設備投資、研究開発投資を行っています。特に、多額の資金を必要とするディスク媒体部門、半導体部門の製品サイクルは短く、また製品需給の変動や競争が激しいことから、投資を回収できない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)技術開発に係るもの

 富士電機では、市場ニーズに応じた技術開発に全力で取り組んでおりますが、急速な技術の進歩により他社に優位性を奪われたり、計画どおりに開発が進まずに適切な時機に市場への製品投入ができない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外活動に係るもの

 富士電機は、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開していますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・不利な政治的要因の発生

・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱

(6)知的財産権に係るもの

 富士電機では、富士電機の知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めております。しかしながら、技術革新のスピードが加速していること、また、富士電機の事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生する可能性があり、そうした場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)アライアンスに係るもの

 富士電機は、各事業分野における競争力の強化に向け、合弁、提携等により第三者との協業に積極的に取り組んでいきます。これらの施策においては、当該第三者との協力関係が必要不可欠でありますが、制度、文化面などの相違から事業戦略、技術、製品及び人事等の統合が円滑に行われず、十分な成果が得られない場合は、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材に係るもの

 富士電機の事業活動は人材に大きく依存しており、技術・生産・販売・経営管理などの各分野において優秀な人材を確保・育成することは成長に不可欠でありますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合には、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報の漏洩に係るもの

 富士電機は事業活動に関連して、お客様関係、調達先関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っており、これらの個人情報の取得、利用、保管等につきましては、関連する各種社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)大規模な災害や事故等に係るもの

 富士電機は、世界各地に事業拠点を展開しています。これらの事業所地区において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、富士電機の業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

  また、当社は、本年3月11日の東日本大震災の発生を受け、代表取締役社長を本部長とする緊急対策本部を設置し、取引先並びに富士電機各社の被災状況等の把握と復旧活動に努めました。
 富士電機の被災状況は、富士電機機器制御㈱吹上工場(埼玉県)及び大田原工場(栃木県)等の生産設備の一部に損傷が発生しましたが、本年3月24日までに全生産拠点において操業を再開しました。

 部品・部材の調達難や計画停電による操業への影響につきましては、工場の操業時間の変更、サプライチェーンの源流まで視野に入れた調達ルートの分散化により、これらの影響の極小化に努めております。しかしながら、今後、夏期に向けた電力需給のさらなる逼迫、及び部品・部材の調達難の長期化等が生じた場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 

(11)土壌汚染に係るもの

 富士電機の所有する土地は、環境国際規格に基づいて汚染の予防、測定、監視に努めており、また、土地の売却を計画する際には、売却予定地の土壌調査を実施するなど、関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。これらの測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)退職給付債務に係るもの

 富士電機は、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)コンプライアンスに係るもの

 富士電機は、さまざまな事業分野で、また世界の各地域において、各国の法令、規則等の適用を受けて事業活動を行っております。富士電機は、適切な内部統制システムを整備して、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っておりますが、法令違反等が発生する可能性が皆無とは言えず、発生した場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)訴訟その他の法的手続に係るもの

 富士電機は、事業を遂行するうえで、訴訟その他の法的手続を受ける可能性があり、予期せぬ多額の賠償を命じられる可能性は皆無ではなく、それらの決定の内容によっては、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)合併契約   

  1)当社と富士電機システムズ㈱の合併契約書

当社は、平成22年12月24日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士電機システムズ㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

なお、合併の概要につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項
(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 2)当社と富士テクノサーベイ㈱の合併契約書

当社は、平成23年2月25日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士テクノサーベイ㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

 合併の概要は以下の通りであります。

1.合併の目的

 当社が、エネルギー・環境事業を中核とした『世界の富士電機』を目指すにあたり、事業のグローバル化に伴い、国・地域の特性に合わせた知財戦略が求められるとともに、徹底したブラックボックス化を図り、その部分の生産は日本で行うなど「事業・研究開発・ものつくり」を含めた総合的な知財戦略が必要となることから、特許出願機能を担う富士テクノサーベイ㈱を当社に統合し、同社の「知財戦略機能」と当社の「事業戦略・研究開発戦略機能」を一体化させるとともに、同社の知財専門人材を富士電機全体の戦力として有効活用を図り、グローバル知財機能に相応しい体制とすることにいたしました。

2.合併の方法

 当社を存続会社、富士テクノサーベイ㈱を消滅会社とする吸収合併。

3.合併に際して発行する株式及び割当

 存続会社である当社は、消滅会社である富士テクノサーベイ㈱の発行済株式全部を所有しているため、合併に際しては株式の発行および金銭等の交付は行いません。

4.合併の期日

 平成23年4月1日

5.合併後の存続会社の資本金・事業の内容等

 (1) 商号

富士電機株式会社

 (2) 事業内容

1.産業、公共、エネルギー、交通などの社会インフラに関する各種機器、システム及び半導体デバイス並びに感光体の開発、製造、販売、サービス

2.富士電機グループ各社の株式または持分を所有することによる事業活動の支配・管理 他

 (3) 本店所在地

川崎市川崎区田辺新田1番1号

 (4) 代表者の役職・

      氏名

代表取締役社長 北澤 通宏

 (5) 資本金

本合併により資本金は増加いたしません。

 

  3)当社と富士電機デバイステクノロジー㈱の合併契約書

当社は、平成23年4月27日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士電機デバイステクノロジー㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

なお、合併の概要につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項
(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(2)その他   

1)メーター事業の合弁会社設立に関する契約書

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日

富士電機ホールディングス㈱(当社)、 

富士電機システムズ㈱

(連結子会社 *1)、

㈱安曇富士(連結子会社 *2)

General Electric Company(米国)、

GE Energy Japan, Ltd. 

・国内の電力分野、その他の顧客向けメーターを設計・製造・販売する合弁会社(GE富士電機メーター㈱)を平成22年10月1日付で設立する。

・合弁会社の設立方法は、次の方法により行う。

①富士電機システムズ㈱及び㈱安曇富士が共同新設分割によりメーター事業の新会社を設立する。

②共同新設分割後、㈱安曇富士と富士電機システムズ㈱は、富士電機システムズ㈱を存続会社とする吸収合併を行う。

③新会社の株式の49.99%を富士電機システムズ㈱がGE Energy Japan, Ltd.に譲渡する。

・富士電機ホールディングス㈱は富士電機システムズ㈱及び㈱安曇富士の親会社として、General Electric CompanyはGE Energy Japan, Ltd.の親会社として、本契約を各々の子会社に履行させる。

平成22年7月30日

  *1 平成23年4月1日付で当社に吸収合併いたしました。

  *2 平成23年2月1日付で富士電機システムズ㈱に吸収合併いたしました。

 

2)メーター事業の合弁会社設立に関する株主間契約書 

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日

富士電機システムズ㈱

(連結子会社 *)、

富士電機ホールディングス㈱(当社)  

GE Energy Japan, Ltd.、

General Electric Company(米国)

・メーター事業の合弁会社の運営に関する株主(富士電機システムズ㈱及びGE Energy Japan, Ltd.)間の合意事項を定める。

・富士電機ホールディングス㈱は富士電機システムズ㈱の親会社として、General Electric CompanyはGE Energy Japan, Ltd.の親会社として、本契約を各々の子会社に履行させる。 

平成22年7月30日

    * 平成23年4月1日付で当社に吸収合併いたしました。

 

3)メーター事業の合弁会社設立時期の決定に関する覚書 

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約締結日

富士電機ホールディングス㈱(当社)

富士電機システムズ㈱(連結子会社 *1)

㈱安曇富士
(連結子会社 *2)

 

General Electric Company(米国)、

GE Energy Japan, Ltd.、

GE Infrastructure Technology International, LLC(米国)

 

・国内の電力分野、その他の顧客向けメーターを設計・製造・販売する合弁会社(GE富士電機メーター㈱)の設立日を平成23年2月1日とする。

平成22年12月24日

  *1 平成23年4月1日付で当社に吸収合併いたしました。

  *2 平成23年2月1日付で富士電機システムズ㈱に吸収合併いたしました。

 

6【研究開発活動】

富士電機の研究開発は、「エネルギー・環境」「スマートコミュニティ」をキーワードに持続可能な社会づくりに貢献するコンポーネントとソリューションの開発に注力しました。また、研究開発のグローバル化を推進し、中国、米国、欧州における研究開発を進めました。さらに、大学や研究機関、他の企業とのオープンイノベーションを強化しています。

当連結会計年度における富士電機全体の研究開発費は325億68百万円であり、各部門別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は8,420件です。 

 

■エネルギーソリューション部門

当部門は、グリーンエネルギーソリューション分野とグリッドソリューション分野からなっています。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

グリーンエネルギーソリューション分野では、地熱発電、火力発電などの発電設備の研究開発を行っています。従来利用が困難であった150℃以下の低温の地熱資源が活用でき、国産では最大出力となる2,000kWバイナリー地熱発電設備を開発しました。国内トップシェアである放射線被ばく管理システムを韓国水力・原子力発電㈱の霊光原子力発電所の3号炉発電サイト及び4号炉発電サイトに納入し、運用を開始しました。これは、富士電機では、海外納入で初となるシステムであり、今後、海外向けにも注力していきます。

グリッドソリューション分野では、系統・配電システム、計測システム、電力量計、太陽光発電システムなどの研究開発を行っています。軽量・コンパクトで持ち運び可能な太陽光発電システム「モバイルソーラーユニット」を㈱オーエスと共同開発し、発売しました。

また、注目されているスマートグリッドに関しては、北九州市、鹿児島県、沖縄県、米国・ニューメキシコ州など、国内外のスマートグリッド、スマートコミュニティの実証実験への参加と取り組みを積極的に行っています。

当部門の研究開発費は47億75百万円であります。

 

■環境ソリューション部門

当部門は、産業ソリューション分野、社会ソリューション分野と輸送ソリューション分野からなっています。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

産業ソリューション分野では、各種設備やシステム装置で用いられる、パワーエレクトロニクス機器、計測・制御機器、変電機器等の電気機器の研究開発や、これらの技術を応用して工場の省エネルギーを実現するための研究開発を行っています。プログラマブルコントローラ「MICREX−SX」において、二重化アナログ出力モジュール、及びコントローラとフィールド装置間の高速データ伝送を可能とするPROFIBUS−DPインターフェースモジュールを開発し、発売しました。これにより、各種プラント設備の安定な稼動が実現できます。また、同コントローラ「MICREX−SX」の機能を拡充する、C言語機能を追加搭載したCPUモジュール、GPS・標準電波JJY等のタイムソースから得た正確な時刻データを利用できるIRIG−B通信手順モジュール、AC200V16点デジタル入力モジュールを開発、発売し、ユーザの利便性を大幅に向上させました。

産業加熱においては、燃焼式に比べ、CO2発生量を約50%抑制するIH式アルミ溶解保持炉を中部電力㈱と共同で開発しました。燃焼式よりも温度制御性に優れ、±1℃の制御が可能です。

社会ソリューション分野では、電源システムやクリーンルーム設備の研究開発、インターネットデータセンター・ビル・店舗等の省エネルギーを実現するための研究開発を行っています。中容量UPSとして、新3レベル変換技術と逆阻止IGBTを適用した高効率・低ノイズ無停電電源装置「UPS7100Dシリーズ」を開発し、発売しました。大容量機では、超高効率(98.5%)の「UPS8000ND」をデータセンター向けに開発し、発売しました。同じくデータセンター向けにサーバルームの熱だまりを直接冷却し、従来に比べ25%の省エネを達成する「F−COOLSPOT」局所空調システムを開発しました。IT機器向けの電源効率の規格である80PLUSにおいて、最高位の効率基準であるPlatinumランクをクリアし、従来製品比1.3倍の電力密度の高効率スイッチング電源「FH02500UAD」を開発し、発売しました。また、照明にLEDを標準採用するなどにより環境対応を強化した、新型コンビニエンスストア向け冷蔵多段オープンショーケースを開発し、発売しました。さらに、コンビニエンスストアの店舗を、工場生産したパネルキットを組立てて建設することにより工期を短縮した「エコロパネル」を開発し、発売しました。非常用発電装置「EMP/EEMS/EMCシリーズ」においては、保守運転中の排ガス、騒音発生を抑えたモデルチェンジ機種を開発し、発売しました。

輸送ソリューション分野では、環境対応自動車や鉄道向けの電気機器などの研究開発を行っています。安全かつ簡単な操作で、電気自動車のバッテリを30分で80%の充電が行える直流急速充電器「FRCシリーズ」を開発し、発売しました。また、位置・速度・トルク制御を行うユーザ向けに、簡単な調整と操作性を向上させたサーボシステム「ALPHA5 Smartシリーズ」を開発し、発売を開始しました。モータ効率がプレミアム効率(IE3)または最も高いスーパープレミアム効率(IE4)となる同期モータと、専用インバータを組み合わせて、高効率運転を実現する次世代同期ドライブシステムを開発し、発売しました。各種プラント設備、大型クレーン、搬送分野、プレス機械等のニーズに応え、制御応答やトルク制御精度、速度制御精度などが業界最高水準の高性能ベクトル制御インバータ「FRENIC−VG」シリーズを開発し、発売しました。

当部門の研究開発費は104億45百万円であります。

 

■半導体部門

当部門では、半導体、感光体などの電子デバイス関連の研究開発を行なっております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

半導体分野では、産業用途向けに、最新の第6世代IGBTモジュールの製品系列を拡大し、はんだレスで実装できるプレスフィット端子を装備するパワー集積モジュールを開発しました。さらに、より高度な制御性能を実現するために、第6世代IGBTチップと最適化した制御ICを組み合わせたVシリーズIPMの系列化を行いました。VシリーズIPMは電流容量を拡大しながら薄型かつ小型のパッケージに一新し、放射ノイズの低減、デッドタイムの短縮、要因毎のアラーム出力識別をできるようにしました。「エネルギー・環境」分野向けに、UPSや風力発電、太陽光発電などで用いるパワーコンディショナの大幅な低損失化を実現する上で、不可欠な新3レベルインバータ回路用IGBTモジュールを量産化しました。このモジュールでは、回路の素子数を減らして導通損失を大幅に低減しています。自動車電装向けでは、エンジン燃焼の高効率化(低燃費化)や排ガスクリーン化に貢献する第6世代圧力センサを開発しました。このセンサは、小型・高精度で耐ノイズ性を向上させ、より使いやすく、システムの低コスト化にも貢献し、今後需要の増加が見込まれる新興国向け自動車への適用も狙っています。電源システム向けでは、サーバやUPSなどの省エネ化・小型化・高信頼性化に貢献することを目的とし、負荷−電源間(ハイサイド)のパワー素子を駆動する回路と、負荷−グランド間(ローサイド)のパワー素子を駆動する回路をワンチップに搭載したハイサイド・ローサイドドライバICを開発しました。また液晶テレビなどのAV機器の低待機電力化に貢献する第4世代擬似共振ICを開発しました。ワイドバンドギャップ半導体であるSiC(炭化けい素)及びGaN(窒化ガリウム)を使った次世代パワー半導体素子について、それぞれ独立行政法人産業技術総合研究所及び古河電気工業㈱と共同研究を行っています。SiCにおいては、平成23年度の製品化に向けたショットキーバリアダイオードの開発を行いました。

感光体分野では、カラー複写機向けに、長時間の待機状態の直後でも高画質を維持する新たな感光体を完成させました。A0サイズ大判プリンタ用に、耐久性及び電位安定性を改善した感光体を開発し、発売しました。競争が著しい小型プリンタ市場向けに、電荷輸送材料の高度化を図り高画質カラー用感光体を開発すると共に、環境に優しい高耐久正帯電型感光体も完成させました。

当部門の研究開発費は70億8百万円であります。

 

■器具部門

器具部門では、ビルディング・施設の電気設備や工場生産ラインの制御システムにおいて、電気を効率的かつ安全に利用するための受配電機器、及び生産設備や生産機械の自動化・最適化を図る制御機器の研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

この分野では、グローバル低圧遮断器/漏電遮断器「G−TWINシリーズ」に電灯分電盤用32〜100AF(アンペアフレーム)の追加などを行いグローバル対応シリーズの拡充を行いました。この遮断器は、従来形式(EA,EG−FCシリーズ)と取付け互換性があります。

当部門の研究開発費は24億56百万円であります。

 

■自販機部門

当部門では、自販機、フード機器、カード・通貨機器などの研究開発を行なっております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

自販機分野では、ハイブリッドヒートポンプ方式と新型電子膨張弁を採用し、季節に応じて運転設定を変えて大幅な省エネを実現する、極省エネ機の開発を完了しました。また、自販機の前のお客さまをモニタリングし、お客さまに合った飲料をお勧めするデジタルサイネージ機能を持った新世代自販機を市場に投入しました。

通貨機器分野では、釣銭機の新しいシリーズの開発を進め、簡素な構造の自動釣銭機を開発しました。

当部門の研究開発費は33億41百万円であります。

 

■ディスク媒体部門

当部門では、HDDに使用されるディスク媒体の研究開発を行っています。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

ディスク媒体分野では、1枚あたりの記録容量が667ギガバイトの3.5インチアルミディスク媒体を製品化しました。また、書き込み性能と隣接トラック間干渉性能の両立を実現する第4世代ECC(Exchange Coupled Composite)媒体技術を開発し、3.5インチサイズで1テラバイト/枚、2.5インチサイズで500ギガバイト/枚の容量を達成するアルミ及びガラスディスク媒体の基礎技術を確立しました。

 当部門の研究開発費は45億41百万円であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産額は8,057億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,031億41百万円減少しました。

 流動資産は4,430億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ273億51百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ売上債権が257億57百万円減少した一方で、社債の償還等に備え、手元流動性を確保することを主な目的として現金及び預金が445億39百万円増加したほか、たな卸資産が160億円増加したことなどによるものであります。

 固定資産は3,626億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,303億86百万円減少しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,760億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ107億18百万円減少しました。また、投資その他の資産は1,865億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,196億67百万円減少しました。これは、投資有価証券の売却を主因とするものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は6,308億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ819億43百万円減少しました。

 流動負債は4,048億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ239億14百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べコマーシャル・ペーパーが180億円減少した一方で、前連結会計年度末に100億円であった1年内償還予定の社債が400億円に増加したほか、前受金が105億32百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は2,259億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,058億57百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ長期借入金が515億22百万円、社債が400億円、それぞれ減少したことに加え、投資有価証券の売却等に伴う投資有価証券の時価評価差額相当分の減少を主因として繰延税金負債が217億86百万円減少したことなどによるものであります。

 なお、当連結会計年度末の金融債務残高は2,740億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ857億71百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は34.0%となり、前連結会計年度末に比べ5.6ポイント減少しました。

 当連結会計年度末の純資産合計は1,749億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ211億98百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が123億68百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が330億90百万円減少したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は19.3%となり、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント減少しました。

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ0.3%減収の6,890億65百万円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ0.5%減収の5,108億43百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ0.3%増収の1,782億21百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ4.5%減少し5,435億57百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ3.4ポイント減少して78.9%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ10.1%増加し1,335億90百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ1.8ポイント増加し19.4%となりました。

 営業損益は、円高による為替悪化の影響を受けましたが、半導体部門及び器具部門の売上増加に加え、前連結会計年度の事業構造改革の成果等により119億17百万円となり、前連結会計年度に比べ109億93百万円の大幅な改善となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の14億63百万円の費用(純額)から、46億91百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度に比べ32億28百万円の費用(純額)の増加となりました。これは、支払利息が前連結会計年度に比べ14億8百万円減少した一方、前連結会計年度において差益であった為替差損益が当連結会計年度は43億90百万円の差損に転じたことなどによるものであります。

 これらの結果、経常損益は72億25百万円となり、前連結会計年度に比べ77億62百万円の改善となりました。

 特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益及び子会社株式売却益を計上し、315億31百万円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が大幅に増加したことにより前連結会計年度に比べ212億90百万円増加しております。

 特別損失は、固定資産処分損、投資有価証券評価損、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額、生産拠点等統合費用、減損損失などを計上し、123億10百万円となりました。なお、前連結会計年度に事業構造改革費用を計上していたことなどにより前連結会計年度に比べ58億20百万円の減少となりました。

 以上により、税金等調整前当期純損益は264億47百万円となり、前連結会計年度に比べ348億74百万円の大幅な改善となりました。当期純損益は、繰延税金資産の取り崩しを主因とする税金費用102億2百万円及び少数株主利益11億41百万円を税金等調整前当期純損益より控除した結果、151億4百万円となり、税金費用の戻入133億78百万円及び少数株主損失18億6百万円を税金等調整前当期純損益に加算した前連結会計年度に比べ83億47百万円の改善となりました。

(3)流動性及び資金の源泉に関する分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は817億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ445億13百万円(119.4%)増加しました。

 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー538億53百万円及び投資活動によるキャッシュ・フロー842億41百万円であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、減価償却費279億45百万円、税金等調整前当期純利益264億47百万円、売上債権の減少によるもの241億22百万円、前受金の増加によるもの105億25百万円、仕入債務の増加によるもの53億84百万円、投資有価証券売却益△307億60百万円、たな卸資産の増加によるもの△161億79百万円などとなっております。

 投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、投資有価証券の売却による収入941億53百万円、有形固定資産の取得による支出△123億21百万円などとなっております。

 以上によりフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は1,380億94百万円となりました。また、借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは△934億68百万円となりました。





出典: 富士電機株式会社、2011-03-31 期 有価証券報告書