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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における富士電機(注)を取り巻く経済環境は、国内市場は東日本大震災からの復興需要等により緩やかな回復基調で推移しました。海外市場は欧州の金融危機に端を発した世界経済の悪化、タイの洪水及び中国経済成長の鈍化など、不透明感を強め推移しました。

 このような環境のもと、当社は、経営方針である「エネルギー・環境事業への注力」、「日本の富士電機から世界の富士電機へ」に重点的に取り組むとともに、「長期的視点」と「市場変化への迅速対応」のため、マーケット・顧客起点の経営への変革を推し進めました。

 以上の結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。

売上高は、7,035億34百万円となり、前連結会計年度に対し144億69百万円増加しました。部門別には、エネルギー、産業システム、社会システム、パワエレ機器及び器具は増加しましたが、電子デバイス、自販機は減少しました。

損益面では、売上高の増加と事業構造改革による原価低減及び固定費削減効果により、営業利益は192億52百万円となり、前連結会計年度に対し73億35百万円増加しました。経常利益は前連結会計年度に対し113億29百万円増加し185億54百万円となりました。

 また、当期純利益は、年金資産消失損等の影響により118億1百万円となり、前連結会計年度に対し33億3百万円減少しました。

 

(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。 

<セグメント別状況>

■エネルギー部門

 売上高は前連結会計年度に比べ35.6%増の671億37百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し52億79百万円増の108億33百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は638億円(富士電機㈱のエネルギー部門単独ベース)となっております。

 売上高は発電プラント分野は前連結会計年度受注の新設プロジェクトが売上に寄与したことにより、原子力・放射線分野は放射線量計測機器の需要増により、それぞれ前連結会計年度に対し増加しました。営業利益も増収効果、原価低減及び経費圧縮により、前連結会計年度に対し増加しました。  

 

■産業システム部門

 売上高は前連結会計年度に対し微増の820億13百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し17億62百万円増の33億26百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は731億円(富士電機㈱の産業システム部門単独ベース)となっております。

 売上高は産業プラント分野は海外案件の増加や震災復興需要により前連結会計年度に対し増加し、ファシリティ分野は大口案件の減少により前連結会計年度に対し減少しました。営業利益は原価低減及び経費圧縮により、前連結会計年度に対し増加しました。 

 

■社会システム部門 

 売上高は前連結会計年度に比べ4.1%増の1,397億21百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し12億84百万円増の40億45百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は928億円(富士電機㈱の社会システム部門単独ベース)となっております。

 売上高はエネルギー流通分野は前連結会計年度並み、店舗流通分野はコンビニエンスストア向けの新規・改装物件の増加により、前連結会計年度に対し増加しました。営業利益は増収効果、原価低減及び経費圧縮により、前連結会計年度に対し増加しました。 

 

■パワエレ機器部門 

 売上高は前連結会計年度に比べ5.6%増の930億26百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し31億39百万円減少し△9億62百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は766億円(富士電機㈱のパワエレ機器部門単独ベース)となっております。

 ドライブ分野の売上高は、アジア・中国向けの需要増により前連結会計年度に対し増加しました。営業利益は市場価格の低下、為替影響及び海外拡販に向けた販管費増により前連結会計年度に対し減少しました。パワーサプライ分野は、データセンター向け無停電電源装置及び通信インフラ向け電源設備の需要増により、売上高、営業利益ともに前連結会計年度に対し増加しました。 

 

■電子デバイス部門

 売上高は前連結会計年度に比べ11.9%減の1,108億73百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し18億20百万円改善し△2億7百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は979億円(富士電機㈱の電子デバイス部門及び富士電機マレーシア社単独ベースの合計)となっております。

 半導体分野の売上高は、パソコン市場等の低迷による情報電源分野の減少を自動車分野でカバーし、前連結会計年度並みとなりました。営業損益は、為替影響、先行投資に伴う固定費増により、前連結会計年度に対し悪化しました。ディスク媒体分野は、タイの洪水により第3四半期以降のHDD市場が減速し、売上高は前連結会計年度に対し減少しました。営業損益は事業構造改革の効果により前連結会計年度に対し大幅に改善し、黒字化を達成しました。  

 

■器具部門

 売上高は前連結会計年度に比べ6.8%増の699億26百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し5億7百万円増の33億92百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は538億円(富士電機㈱の器具部門及び富士電機機器制御㈱単独ベースの合計)となっております。

 売上高は国内市場では、機械メーカー向け需要の堅調な推移により前連結会計年度に対し増加しました。海外市場では、タイの洪水の復興需要等があったものの、欧米の景気後退懸念による中国、アジアにおける投資鈍化によ微増となりました。この結果、売上高、営業利益ともに前連結会計年度に対し増加しました。

 

■自販機部門

 売上高は前連結会計年度に比べ3.3%減の829億51百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し14億17百万円増の18億15百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は822億円(富士電機リテイルシステムズ㈱単独ベース)となっております。

 自販機分野は、震災後の節電志向による省エネ型の環境対応型自販機への置換え需要により販売台数は増加しましたが、市場価格の低下の影響により売上高は前連結会計年度に対し減少しました。営業損益は、事業構造改革の効果により黒字化を達成しました。通貨機器分野は、流通市場向けの自動釣銭機の需要増及び経費圧縮により、売上高、営業利益ともに前連結会計年度に対し増加しました。

 

■その他部門

 売上高は前連結会計年度に比べ2.9%減の1,125億65百万円となり、営業利益は前連結会計年度に対し5億86百万円増の26億38百万円となりました。

 

(注) 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。 

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は148億25百万円の資金の増加(前連結会計年度は1,380億94百万円の増加)となり、前連結会計年度に対し1,232億69百万円の悪化となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、283億14百万円(前連結会計年度538億53百万円の増加)となりました。これは、前受金の回収促進をしたことなどによるものであります。
 前連結会計年度に対しては、255億39百万円の悪化となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、134億89百万円(同842億41百万円の増加)となりました。これは、有形固定資産の取得を主因とするものであります。
 前連結会計年度に対しては、977億30百万円の悪化となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、325億92百万円(同934億68百万円の減少)となりました。これは主として、社債及び長期借入金の減少によるものであります。

 これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ175億35百万円(21.4%)減少し、642億61百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。

(2)受注状況

 富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメント別状況に関連付けて示しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

エネルギー

67,137

         135.6

産業システム

82,013

         100.5

社会システム 

139,721

     104.1

パワエレ機器 

93,026

     105.6

電子デバイス 

110,873

    88.1

器具

69,926

         106.8

自販機

82,951

         96.7

その他 

112,565

97.1

消去

△54,682

合計

703,534

         102.1

(注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。 

 

3【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題

1)2012年度の経営方針 

 2012年度の経営方針は、次のとおりです。 

●エネルギー関連事業で、安全・安心な資源循環型社会の実現に貢献

●「世界の富士電機」に向けた海外事業の拡大

 2012年度は、電気や熱エネルギーの領域で最先端技術を切り拓き、安全・安心、環境に優しい社会づくりに貢献する企業を目指します。また、引き続き海外事業の拡大に注力します。

 

2)2012年度の経営環境 

 今後の富士電機を取り巻く経営環境は、国内は、震災復興需要及び個人消費の堅調な推移により緩やかに成長するものと見られます。
 一方、海外では、中国は上期は欧米への輸出環境低迷により成長は鈍化するものの、下期は内需拡大、輸出回復により安定成長に転じるとともに、アジアについても上期は一部で欧州債務危機の影響を受けるものの、全般的には成長軌道を辿るものと予想されます。
 また、欧州、米国経済は緩やかな回復が見込まれます。

 

3)2012年度の重点施策 

① 徹底したコストダウンによる収益力の向上、ものつくり力の強化

 グローバル調達、集中購買の拡大によりコストダウンに取り組むとともに、生産技術のグローバル・マザー拠点を設け、生産技術力を強化し、技術・技能の世代継承と人材育成に取り組みます。

② 棚卸資産の徹底圧縮によるキャッシュ・フローの改善 

 棚卸資産の徹底圧縮により、資産・資金の回転率を高め、成長戦略の実行などに向け、キャッシュ創出に努めます。

③ 海外事業拡大に向けた販売・生産の基盤構築

 アジア・中国市場を中心に、現地ニーズに基づき製品開発・設計を行い、現地で生産し、現地で販売する“地産地消”の海外ビジネス確立に向け、M&Aを含めた販売・生産体制の構築を図ります。

④ 研究開発の強化

 パワーエレクトロニクス、半導体、制御など、富士電機のコア技術の強化に取り組むとともに、オープンイノベーションの活用により事業に直結した開発スピードの向上を図ります。また、アジアなどの新興市場での拡大に向け、機種系列拡大とコスト競争力の強化に努めます。

 

(2)会社の支配に関する基本方針 

① 基本方針の内容

富士電機は、基本理念を次のとおり定めております。

富士電機は、地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします

●豊かさへの貢献 ●創造への挑戦 ●自然との調和

  この基本理念を実践し、企業価値の持続的向上を図る過程で、富士電機は、独自の技術、経験及びノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員等さまざまなステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてまいりました。
 これらは、富士電機の有形・無形の貴重な財産であり、いわば“富士電機のDNA”とも呼ぶべき、富士電機の企業価値の創造を支える源泉であります。
 富士電機は、その経営理念に基づき、環境の変化に適合した経営を実践し、中長期的な視野で企業価値と株主の皆様の共同利益を一層向上させていくことが、富士電機の企業価値を損なう当社株式の買付行為に対する最も有効な対抗手段であると認識しており、その実現に努めてまいります。
 また、当社の株式価値を適正にご理解いただくようIR活動に積極的に取り組むとともに、株主の皆様には四半期毎の業績等に関する報告書の発行、工場見学会の開催等により、富士電機に対するご理解をより一層深めていただくよう努めてまいります。
 当社取締役会は、上場会社として株主の皆様の自由な売買を認める以上、特定の者による当社株式の大規模買付行為がなされる場合、これに応ずるべきか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきと考えます。
 しかしながら、一般にも高値での売り抜け等の不当な目的による企業買収の存在は否定できないところであり、当社取締役会は、このような富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう当社株式の大規模買付行為や提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、適当ではないと考えております。
 現時点において、当社株式の大規模買付に係る具体的な脅威が生じている訳でなく、また当社としても、そのような買付者が現れた場合の具体的な取り組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありません。
 しかし、当社取締役会は、株主の皆様から経営の負託を受けた経営者の責務として、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なうおそれがある株式の大規模買付行為がなされた場合に適切な措置を執り得る社内体制を整備いたします。 

② 基本方針を実現するための当社の取り組み

1)企業価値向上の取り組み

 富士電機は、持続的成長に向けた基本戦略として、世界各国で見込まれるエネルギー・環境投資を背景として、長年培ってきた電気を自在に操る「パワーエレクトロニクス技術」をベースとし、グローバル市場で成長を成し遂げることを目指しております。

その実現に向け、迅速に経営リソースを「エネルギー・環境」事業にシフトし、「事業を通じてグローバル社会に貢献する企業」として企業価値の最大化とCSR経営の実現を目指します。

2)基本方針に照らし不適切な者による当社の支配を防止するための取り組み

 当社は、上記①の基本方針に基づき、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう、又はそのおそれのある当社株式の買付行為に備え、社内体制の整備に努めております。
 具体的には、日常より当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、平時より有事対応の初動マニュアルを整備し、外部専門家との連携体制等を整えておりますが、今後とも迅速かつ適切に具体的対抗措置を決定、実行し得る社内体制の充実に努めてまいります。
 また、いわゆる「買収防衛策」の導入につきましても、法制度や関係当局の判断・見解、社会動向やステークホルダーの意見等を踏まえ、企業価値、株主の皆様の共同利益の確保、向上の観点から、引き続き検討してまいります。

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断及び判断理由

 当社取締役会は、上記②.1)の取り組みが当社の企業価値を中期的に維持・拡大させるものであり、また、同②.2)の取り組みが富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を毀損するような当社株式の大規模買付行為に対応するための社内体制を整備するものであることから、そのいずれの取り組みも、上記①の基本方針に即したものであり、株主の皆様の共同利益を損なうものではなく、現経営陣の地位の維持を目的とするものでもない旨を確認し決議しました。
 また、監査役についても上記②の取り組みについてその具体的運用が適切に行われることを条件として、全員が同意しております。 

 

 (注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 富士電機は、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)事業環境の変動等に係るもの

①中国を中心としたアジア市場の拡大に伴う旺盛な素材・原材料需要による需給逼迫や中近東の不安定な情勢の長期継続等により、国際商品市況が高騰していることに加え、世界的な非鉄金属価格の上昇により、原材料・部品の価格が上昇しております。富士電機では、原材料価格高騰リスクに対して商品スワップ取引を行う等、リスクの軽減に努めておりますが、これらの価格が大幅に上昇した場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

②富士電機は、海外市場への積極的な展開を図っており、特に中国をはじめとしたアジア市場向けの販売拡大に注力しています。また、民間設備投資や公共投資をはじめとする国内景気の動向とも深い関わりがあります。このため、海外及び国内の市場動向による業績影響の極小化に向けて、コストダウンや総経費の圧縮に努めておりますが、中国における景況の悪化あるいは経済政策の変更が発生した場合や、市場における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

③富士電機では、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④富士電機の当連結会計年度末での金融債務残高は2,558億65百万円となっています。今後、金利が想定以上に上昇した場合には、金利負担の増大を招くことにより、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤金融市場の動向や富士電機の財務指標の悪化が、一部借入金の財務制限条項への抵触による期限前弁済等、富士電機の資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)製品の品質に係るもの

 富士電機では、生産・販売する製品について品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ事情により大きな品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)投資に係るもの

 富士電機は、成長が見込める事業に対し迅速に経営資源を集中させ、事業の拡大・発展を目指し、設備投資、研究開発投資を行っています。特に、多額の資金を必要とするディスク媒体分野、半導体分野の製品サイクルは短く、また製品需給の変動や競争が激しいことから、投資を回収できない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)技術開発に係るもの

 富士電機では、市場ニーズに応じた技術開発に全力で取り組んでおりますが、急速な技術の進歩により他社に優位性を奪われたり、計画どおりに開発が進まずに適切な時機に市場への製品投入ができない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外活動に係るもの

 富士電機は、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開していますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・不利な政治的要因の発生

・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱

(6)知的財産権に係るもの

 富士電機では、富士電機の知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めております。しかしながら、技術革新のスピードが加速していること、また、富士電機の事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生する可能性があり、そうした場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)アライアンスに係るもの

 富士電機は、各事業分野における競争力の強化に向け、合弁、提携等により第三者との協業に積極的に取り組んでいきます。これらの施策においては、当該第三者との協力関係が必要不可欠でありますが、制度、文化面などの相違から事業戦略、技術、製品及び人事等の統合が円滑に行われず、十分な成果が得られない場合は、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材に係るもの

 富士電機の事業活動は人材に大きく依存しており、技術・生産・販売・経営管理などの各分野において優秀な人材を確保・育成することは成長に不可欠でありますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合には、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報の漏洩に係るもの

 富士電機は事業活動に関連して、お客様関係、調達先関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っており、これらの個人情報の取得、利用、保管等につきましては、関連する各種社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)大規模な災害や事故等に係るもの

 富士電機は、世界各地に事業拠点を展開しています。これらの事業所地区において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、富士電機の業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)土壌汚染に係るもの

 富士電機の所有する土地は、環境国際規格に基づいて汚染の予防、測定、監視に努めており、また、土地の売却を計画する際には、売却予定地の土壌調査を実施するなど、関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。これらの測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)退職給付債務に係るもの

 富士電機は、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)コンプライアンスに係るもの

 富士電機は、さまざまな事業分野で、また世界の各地域において、各国の法令、規則等の適用を受けて事業活動を行っております。富士電機は、適切な内部統制システムを整備して、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っておりますが、法令違反等が発生する可能性が皆無とは言えず、発生した場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)訴訟その他の法的手続に係るもの

 富士電機は、事業を遂行するうえで、訴訟その他の法的手続を受ける可能性があり、予期せぬ多額の賠償を命じられる可能性は皆無ではなく、それらの決定の内容によっては、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社と富士電機デバイステクノロジー㈱との合併契約   

 当社は、平成23年4月27日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士電機デバイステクノロジー㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

なお、合併の概要につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

  

(2)㈱日本AEパワーシステムズの合弁解消の実行等に関する最終契約書、及び当社と富士電機T&Dサクセション㈱

 との合併契約  

 当社は、平成23年12月26日開催の取締役会において、変電・配電事業の分野における㈱日立製作所、㈱明電舎及び当社の合弁会社である㈱日本AEパワーシステムズの合弁解消に関する最終合意に関する決議を行い、同日、㈱日立製作所、㈱明電舎及び㈱日本AEパワーシステムズとその旨の最終契約書を締結しました。当該契約書は、㈱日本AEパワーシステムズより当社が承継する事業(同社の千葉事業所所掌事業の全部及び国分事業所所掌事業の一部)を、吸収分割により当社の子会社(富士電機T&Dサクセション㈱)が承継し、その後、吸収分割と同日に富士電機T&Dサクセション㈱を当社に吸収合併する方法により承継する旨を定めております。これに伴い、当社は、最終契約書の締結と同日に富士電機T&Dサクセション㈱と合併契約を締結しました。

 なお、吸収合併の概要につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(3)ルネサスエレクトロニクス㈱及び㈱ルネサス北日本セミコンダクタとの株式譲渡契約

1)株式取得の理由

当社は、経営方針として、エネルギー・環境事業を中心に拡大発展を図る旨を掲げております。

 電力変換の効率化を実現するパワー半導体は、エネルギー・環境事業を支えるコア製品であり、今後も産業機器・自動車・新エネルギー分野を中心に市場拡大が見込まれます。

 こうしたなか、当社はルネサスエレクトロニクス㈱及び㈱ルネサス北日本セミコンダクタとの間で半導体の前工程拠点の津軽工場の買収について合意に至り、当該買収を目的とした株式譲渡契約を締結しました。その狙いは次のとおりです。

・パワー半導体事業の拡大

・津軽工場の自動車電装向け製品の取り込みによる事業ポートフォリオの拡大

・大規模災害時等のバックアップ拠点の確保

 本買収に向け、㈱ルネサス北日本セミコンダクタは本年7月1日に吸収分割の方法により津軽工場を譲受対象会社に承継させるとともに、同日付で当社はその全発行済株式を取得する予定です。

 また、同工場で生産しているルネサスエレクトロニクス㈱及び㈱ルネサス北日本セミコンダクタの製品につきましては、本買収後も譲受対象会社が両社からの生産受託により供給を継続してまいります。

2)異動する子会社の概要

(1)

商号

ルネサス津軽セミコンダクタ株式会社

(2)

本店所在地

青森県五所川原市大字漆川字鍋懸156番地

(3)

代表者の役職・氏名

代表取締役 桃井 透

(4)

事業内容

半導体の製造(前工程)

(5)

資本金

1百万円

(6)

設立年月日

平成24年4月23日

(7)

株主

株式会社ルネサス北日本セミコンダクタ(持株比率100%)

3)株式取得の相手先の概要

(1)

商号

株式会社ルネサス北日本セミコンダクタ

(2)

本店所在地

北海道亀田郡七飯町字中島145番地

(3)

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 田中 光助

(4)

事業内容

半導体の製造(前工程、後工程)及び受託生産

(5)

資本金

2,550百万円

(6)

設立年月日

1970年5月30日

(7)

純資産

(2011年3月31日現在)

9,826百万円

(8)

総資産

(2011年3月31日現在)

30,420百万円

(9)

株主名

ルネサスエレクトロニクス株式会社(持株比率100%)

(10)

当事会社間の関係等

資本関係

該当事項はありません。

人的関係

該当事項はありません。

取引関係

当社と当該会社との間においてパワー半導体事業に係わる製品・部品の売買等の取引を行っています。

関連当事者への

該当状況

該当事項はありません。

4)取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況

(1)

異動前の所有株式数

0株

(発行済株式数に対する割合:0%)

(2)

取得株式数

譲受対象会社の発行済株式の全て(株式数未定)

(取得価額:3,820百万円)

(3)

異動後の所有株式数

譲受対象会社の発行済株式の全て(株式数未定)

5)日 程

(1)

株式取得期日

2012年7月1日(予定)

 

 

6【研究開発活動】

富士電機の研究開発は、「エネルギー・環境」をキーワードに持続可能な社会づくりに貢献するコンポーネントとソリューションの開発に注力しました。また、研究開発のグローバル化を推進しました。さらに、大学や研究機関、他の企業とのオープンイノベーションを強化しています。

当連結会計年度における富士電機全体の研究開発費は322億47百万円であり、各部門別の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は8,420件です。

  

■エネルギー部門

地熱発電プラントの経済性は、熱水還元井の使用可能期間に大きく依存します。そこで、模擬地層試験装置を現地に設置し、スケール生成とその速度の測定・評価を行うとともに、アルカリ注入によるスケール抑制効果を確認しました。

風力向けダイレクトドライブ永久磁石発電機(出力約3,000kW、回転数約15rpm、直径4.3m、全長2.5m)の試作機を製作し、コンバータと組合せた検証試験を行い、目標仕様を満足することを確認しました。メンテナンス性に優れ、永久磁石を使用することにより回転子で発生する損失を抑え、構造もシンプルにすることができます。量産化技術の開発を進めて、2012年度に製品化を予定しています。

震災によって生じた福島原子力発電所の事故の影響から市民生活を守り、さらに風評被害を防ぐために、高機能積算線量計「DOSEe」と「食品放射能測定システム」を開発し、発売しました。一般の人々が安心して日常生活が営めるようにするため、DOSEeは線量だけでなく線量率も測定することができる低価格な製品としました。発売に併せ、線量計の校正・サービスの迅速化を図るため福島県郡山市に校正・試験拠点を開設しました。食品放射能測定システムでは、梱包状態のまま連続的にかつ簡単に食品のスクリーニング測定が行えます。

当部門の研究開発費は29億27百万円です。

 

■産業システム部門

鉄鋼、アルミ等の圧延設備の駆動に使う水冷式高圧インバータ「FRENIC4800VM5」を開発し、発売を開始しました。水冷方式を採用したことにより、当社の従来機に比べ、単機容量で2.4倍の大容量化と40%の小型化を同時に実現しました。

超高速E−SXバスを搭載し、従来に比べ伝送速度が4倍、通信容量が8倍の「SPH3000MM」を開発し、業界最高レベルの駆動制御能力を実現しました。併せて、お客さまに使用いただいていた当社製のソフトウエア資産を設備の更新後の新しい環境で引き続いて使用できるようにする、モニター画面・アプリケーションソフトウエアの継承(マイグレーション)技術を開発しました。2012年度にはこの技術を適用した商品を順次発売していきます。

小容量のIH過熱蒸気発生装置「IHSS−05」を開発しました。本装置は、食品分野では店舗や流通過程及び工場における殺菌用として、産業分野では処理プロセスの研究施設などの洗浄・過熱処理用途を考えており、外食産業やスーパーマーケットの店舗など、狭小スペースに設置が可能です。

当部門の研究開発費は35億33百万円です。

 

■社会システム部門

エネルギー流通分野では、当社は「北九州市スマートコミュニティ創造事業」と「けいはんなエコシティ次世代エネルギー・社会システム実証事業」に参画しています。北九州の創造事業では、地域社会が参加するエネルギーコミュニティを実現し,COを50%削減して豊かな社会の創造を目指しています。コミュニティのエネルギー管理の中心となる、地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)、コミュニティ設置型蓄電システム、店舗エネルギー管理システム(REMS)及びスマートメータの据付工事をほぼ完了し、2012年度スタートの実証準備が整いました。さらに、工場エネルギー管理システム(FEMS)などの実証も計画しており、それらのシステムの設計製作を進めています。けいはんなでは、ビル内の電気、熱エネルギーの最適運用を行うビル・エネルギー管理システム(BEMS)を開発しており、現在社内でのシステム試験を進めています。

小売店舗における設備機器を集中管理し、省エネ制御・エネルギー監視を行なう総合端末「エコマックス・コントローラ」や冷凍食品の保冷に使うリーチインショーケースの開発を完了し、2012年度に発売します。前者は、冷凍機等の省エネルギーに貢献すると共にタッチパネル方式の採用によって機器設定の操作簡易化の市場要求に対応しました。後者は、ショーケースの庫内照明のLED化、冷気流れの適正化による防露ヒータ容量の削減により、当社の従来機に比べて、22%の省エネを実現しました。

当部門の研究開発費は45億26百万円です。

 

■パワエレ機器部門

ドライブ分野では、汎用インバータ・モータなどの駆動機器、車両用や自動車関連のパワエレ機器などの研究開発を行っています。モータ効率がスーパープレミアム効率(IE4)であり、かつ汎用モータとの取り付け互換性を持つ同期モータGNP1シリーズを開発し、発売しました。ファン・ポンプ駆動用インバータとして防水対応で専用機能を内蔵した海外向けで、空調用の「FRENIC−HVAC」と水処理システム用の「FRENIC−AQUA」を開発し、発売しました。中国市場にターゲットを絞った汎用インバータ「FVR−Micro」を開発し、発売しました。さらに、「FRENIC−MEGAシリーズ」の中国仕様版である新しいインバータ「MEGA−Lite」の開発と量産化を行いました。主要部材に中国現地部材を搭載する事により従来機に比べ大幅なコストダウンを実現し、当社製品の中国インバータ市場での競争力の強化を図りました。

電気自動車用急速充電器「FRCシリーズ」では、店舗やコインパーキングなどの小規模施設向けに設置しやすく、使いやすさを向上した小容量かつ薄型、ユニバーサルデザインを採用した「FRCM25C」を製品化し、ラインアップを拡充しました。

中国のエレベータ及びエスカレータ市場における電源回生機能を付加したシステムの要求に応えるため、PWMコンバータとフィルタ回路を搭載した交流モータ駆動用インバータを開発し、フィールドで実試験運転を行っています。

パワーサプライ分野では、データセンター等の省エネルギーに貢献する高効率無停電電源装置「UPSHXシリーズ」を開発し、発売しました。本装置は、新3レベル変換技術と当社独自の逆阻止IGBTを適用した大容量UPS(無停電電源装置)であり、損失を従来の約60%に減らして97%以上の高効率を達成しました。データセンターのサーバラック内蔵用として35℃の高温下で長寿命を実現したニッケル水素電池搭載UPSを開発し、発売しました。また、回生エネルギーを利用した「アシスト機能付エレベータ専用UPS」(出力容量1.25kⅤA)を開発し、発売しました。この装置は、エレベータの回生運転時に発生する回生エネルギーを蓄電池に蓄電し、蓄電した電力を、力行運転時に再利用するアシスト機能を搭載しています。さらに、エレベータの駆動モータを制御するインバータと組み合わせることで、突然の停電においても安全にエレベータを最寄りの階まで動作させるシステムの電源となります。1台当たり年間約1,000kWhの省エネ(CO換算555kgに相当)の効果があります。

当部門の研究開発費は53億48百万円です。

 

■電子デバイス部門

パワー半導体分野では、モジュール製品として、産業用途向けに、最新の第6世代IGBT技術及びIC技術を適用したインテリジェントパワーモジュールV−IPMを開発し、600V/20−200A、1,200V/10−100A定格製品の量産を開始しました。さらに600V/300−400A、1,200V/150−200A定格製品の開発を完了し、2012年度第1四半期に量産を開始します。V−IPMは従来製品に対して15%以上の損失低減を実現し、デッドタイムの大幅な短縮による出力波形の歪の低減とアラーム要因の識別を可能とし、ロボット、工作機械への適用拡大が見込まれます。

エネルギー・環境分野向けに、風力・太陽光発電などの大容量化・高変換効率要求に対応するPrimePACKTMを開発し、1,200V耐圧と1,700V耐圧の2in1IGBTモジュールとチョッパー回路を内蔵したIGBTモジュールの量産を開始しました(PrimePACKはInfineon Technologies社の登録商標)。これらを組み合わせることにより、高効率な3レベル回路が容易に構成できます。なお、これらには第6世代VシリーズIGBTが搭載されています。1,700V耐圧の第6世代VシリーズIGBTを搭載したHPM(High Power Module)の量産を開始しました。最新世代IGBTを搭載した製品を新たにHPMとして系列化することにより、使いやすさ・低損失化の市場要求に対応して、顧客装置のエネルギー変換効率の向上に貢献します。

当社が提案している、簡素な回路で電流の通過素子数が少なく低損失化のメリットを持つ新3レベル変換回路に用いるIGBTモジュールの系列を拡大しました。当社独自のRB−IGBT(Reverse−Blocking IGBT)を回路の中間点クランプに採用し、新3レベル変換回路3相分を1つのパッケージにまとめて搭載することで設置場所の省スペース化や装置設計のしやすさをユーザにもたらすとともに高効率化も両立しています。既に量産している1,200V/300A定格 4in1モジュール(1相分のモジュール製品)に加え、新たに600V/400A定格 4in1と1,200V/100A定格の12in1モジュール(3相分のオールインワン製品)の開発を完了しました。今後更に適用範囲の拡大が見込まれるため、系列拡大を図っていきます。

ディスクリート製品として、UPS(無停電電源装置)や太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)、溶接機等のエネルギー関連用途及び産業用途向けに、省エネルギー、高効率、省スペースに貢献する最新の第6世代IGBT技術を活用したディスクリートIGBTと、当社従来比でオン抵抗を70%低減し,さらに低スイッチング損失のスーパージャンクションMOSFET「SuperJ−MOS」を開発しました。自動車電装分野向けとしては、二輪車の燃費向上・排ガスクリーン化に寄与し、小型パッケージ(D−Pack)採用により燃料点火システムの小型軽量化に貢献するイグナイタIGBTを開発しました。

IC製品として、産業機器や民生機器で比較的大電力が要求される電源用途向けに、スタンバイ電源機能とPFC(力率改善)機能を内蔵してユーザの外付部品点数を削減可能とした電流共振ICを開発しました。自動車電装分野向けに、自動車の燃費向上、排ガスクリーン化に寄与し、排気圧を直接計測可能な排気系圧力検出用センサを新たに開発しました。

光半導体分野では、今後の伸長が見込まれる中国・アジア地域向けの低価格プリンタ用の高画質な感光体の量産を開始しました。長寿命化の顧客要求に対し、新規の高移動度電荷輸送材料と高耐久樹脂の創出により、従来製品の1.5倍の寿命を持つ負帯電感光体を、開発しました。さらに、低価格アルミニウム素管が使用できる高機能電荷発生層を開発しました。正帯電感光体では、低価格電荷輸送層と低価格・高耐刷感光層の開発により従来比1.7倍の寿命を持つ感光体を実現しました。

フィルム基板太陽電池の長期高信頼性化の開発を進めました。さらに、フィルム基板太陽電池モジュールに加えて、モジュールの構成要素である太陽電池セルの形態での販売を本格化しました。

ディスク媒体分野では、1枚あたりの記憶容量が1TBの3.5インチアルミニウムディスク媒体、及び500ギガバイトの2.5インチガラスディスク媒体の生産準備を完了し、2012年度に順次生産を開始します。これらの製品はクラウドコンピューティングに欠かせない大容量ストレージやノートパソコンの分野そして外付けHDDの分野で今後とも伸長が期待されます。磁気ヘッドの浮上安定化を実現する新しい液体潤滑剤技術、並びに多層記録層の材料最適化による更なる大容量化技術を開発しました。

当部門の研究開発費は109億89百万円です。

 

■器具部門

 世界の主要規格を取得した世界最小の電磁接触器およびサーマルリレー「SKシリーズ」を開発しました。中国国内専売品の低価格な電磁接触器及びサーマルリレー「FJシリーズ」を開発し、発売しました。大規模太陽光発電システムのパワーコンディショナの高電圧直流回路に用いられるDC750V(3極品)及び1,000V(4極品)、定格電流400−800Aクラスの「BWシリーズMCCB」を開発し、発売しました。

エネルギー監視システムとしては、従来よりも設定・操作を簡易化し、大幅な小型化とシステム導入時のコスト低減に貢献する1回路電力監視ユニット「F−MPC04E」を開発しました。また、限時特性の種類を増やして保護協調をとりやすくし、デジタル化フルモデルチェンジした高圧受配電用過電流継電器「QHシリーズ」を開発しました。

当部門の研究開発費は29億76百万円です。

 

■自販機部門

自販機部門では低消費電力を実現するハイブリッドヒートポンプ自動販売機を開発し、発売しました。当社独自の冷却システムを採用し、庫内と大気の熱利用を切り換える方式と冷媒の流量を細かく制御するもので、当社従来製品(2011年度機)比、約40%の消費電力を削減しました。昼間のピーク消費電力を長時間抑制するため、従来は3時間であった保冷時間を7時間まで可能にする高度化したピークカット機能を開発しました。この機能を搭載した製品(商品名「冷え蔵」)をいち早く市場展開し、震災後の電力不足への迅速な対応も図りました。

今後、更なる省エネ機能の開発とシリーズ展開を加速させていきます。

当部門の研究開発費は19億19百万円です。

 

■新技術・基盤技術部門

新技術・基盤技術部門では、次世代パワー半導体素子について、独立行政法人産業技術総合研究所及び古河電気工業㈱とそれぞれ共同研究を行っています。SiCにおいては、1,200Ⅴ耐圧のMOSFETの一次開発を完了しました。オールSiCモジュールを搭載した20kWのパワーコンディショナを開発しました。従来品に比べ8倍のパワー密度と主回路部変換効率99%を実現しました。また,SiCショットキーバリアダイオードを適用したハイブリッドモジュールと,これを搭載した産業用インバータ「FRENIC−MEGA GX−SiCシリーズ」を開発し、2012年度に量産開始を予定しています。

EMC(Electro−Magnetic Compatibility、電気・磁気的な妨害を及ぼさない/及ぼされないこと)を設計段階で精度よく評価できるシミュレーション手法を開発し、パワエレ機器の信頼性の向上と開発期間の短縮を実現しました。さらに、腐食・防食技術のプラットフォームを再構築して、水冷方式を採用したパワエレ機器の信頼性を向上させました。

引き続き主要な基盤技術の強化を図ってまいります。

 

■その他部門

当部門の研究開発費は25百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産額は7,928億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ129億49百万円減少しました。

 流動資産は4,531億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ101億73百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が175億60百万円減少した一方で、たな卸資産が238億62百万円、売上債権が23億27百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

 固定資産は3,395億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ231億30百万円減少しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,696億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ64億57百万円減少しました。また、投資その他の資産は1,699億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ166億73百万円減少しました。これは、主に前払年金費用が119億85百万円減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は6,096億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ212億31百万円減少しました。

 流動負債は4,658億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ609億16百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ短期借入金が202億12百万円、コマーシャル・ペーパーが100億円、1年内償還予定の社債が200億円、それぞれ増加したほか、前受金が90億36百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は1,438億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ821億47百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ社債が400億円、長期借入金が283億66百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 なお、当連結会計年度末の金融債務残高は2,558億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ181億54百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は32.3%となり、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント減少しました。

 当連結会計年度末の純資産合計は1,832億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億82百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が90億60百万円増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は20.6%となり、前連結会計年度末に比べ1.3ポイント増加しました。

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.1%増収の7,035億34百万円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ2.8%増収の5,250億96百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ0.1%増収の1,784億37百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ0.6%増加し5,466億88百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ1.2ポイント減少して77.7%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3.0%増加し1,375億92百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.2ポイント増加し19.6%となりました。

 営業利益は、売上高の増加と事業構造改革による原価低減及び固定費削減効果により192億52百万円となり、前連結会計年度に比べ73億35百万円の増加となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の46億91百万円の費用(純額)から、6億98百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度に比べ39億93百万円の費用(純額)の減少となりました。これは、為替差損が前連結会計年度に比べ33億64百万円減少したほか、支払利息が6億48百万円減少したことなどによるものであります。

 これらの結果、経常利益は185億54百万円となり、前連結会計年度に比べ113億29百万円の増加となりました。

 特別利益は、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を計上し、23億71百万円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が減少したことにより前連結会計年度に比べ291億60百万円減少しております。

 特別損失は、固定資産処分損、投資有価証券評価損、年金資産消失損、生産拠点等統合費用、災害による損失などを計上し、155億78百万円となりました。なお、主に年金資産消失損の計上により前連結会計年度に比べ32億68百万円の増加となりました。

 以上により、税金等調整前当期純利益は53億48百万円となり、前連結会計年度に比べ210億99百万円の減少となりました。当期純利益は、繰延税金資産の計上を主因とする税金費用の戻入78億97百万円を税金等調整前当期純利益に加算し、少数株主利益14億43百万円を控除した結果、118億1百万円となり、繰延税金資産の取り崩しを主因とする税金費用102億2百万円及び少数株主利益11億41百万円を税金等調整前当期純利益より控除した前連結会計年度に比べ33億3百万円の減少となりました。

(3)流動性及び資金の源泉に関する分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は642億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億35百万円(21.4%)減少しました。

 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー283億14百万円であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、減価償却費297億55百万円、前受金の増加によるもの90億30百万円、年金資産消失損69億87百万円、税金等調整前当期純利益53億48百万円、たな卸資産の増加によるもの△234億76百万円などとなっております。

 なお、投資活動によるキャッシュ・フローは△134億89百万円となっており、その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出△150億14百万円、有形固定資産の売却による収入44億18百万円などであります。

 以上によりフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は148億25百万円となりました。また、社債及び長期借入金の減少などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは△325億92百万円となりました。





出典: 富士電機株式会社、2012-03-31 期 有価証券報告書