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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績 

 当連結会計年度における富士電機(注)を取り巻く市場環境は、海外においては、欧州債務問題に端を発した市場の低迷、特に中国における需要回復の遅れにより、パワエレ機器および半導体分野は総じて厳しい状況で推移しました。国内においては、世界経済の減速の影響を受けて夏場から弱含みとなりましたが、昨年末以降、政府による景気対策への期待感等を背景として、持ち直しの兆しを見せつつ推移しました。
 このような環境のもと、当社は経営方針に掲げる「エネルギー関連事業の拡大」に取り組むとともに、経営基盤の徹底強化に向け「徹底したコストダウンによる収益力の向上、ものつくり力の強化」、「棚卸資産の徹底圧縮によるキャッシュ・フローの改善」、および「海外事業拡大に向けた販売・生産の基盤構築」を推し進めました。
 当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
 売上高は、7,457億81百万円となり、発電プラント分野の大口案件が寄与したことおよび為替の円安進行により、前連結会計年度に比べ422億47百万円増加しました。部門別には「発電・社会インフラ」、「産業インフラ」、「電子デバイス」および「その他」は前連結会計年度を上回りましたが、「パワエレ機器」、「食品流通」は前連結会計年度を下回りました。
 損益面では、営業損益は、価格競争激化による影響があったものの、徹底したコストダウンおよび前連結会計年度に実施した事業構造改革の効果により、前連結会計年度に比べ27億40百万円改善し、219億92百万円となりました。経常損益は、前連結会計年度に比べ71億60百万円改善し257億14百万円となりました。また、当期純損益は繰延税金資産の計上等により、前連結会計年度に比べ145億67百万円改善し、263億68百万円となり、過去最高益となりました。

 

(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。 

<セグメント別状況>

■発電・社会インフラ部門

 売上高は前連結会計年度に比べ27%増の1,988億60百万円となり、営業損益は前連結会計年度に比べ3億88百万円悪化の116億31百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は1,222億円(富士電機㈱の発電・社会インフラ部門単独ベース)となっております。

 

 発電プラント分野は、火力の大口案件が売上に寄与したことにより、売上高は前連結会計年度を上回りましたが、価格競争の激化による影響が大きく、営業損益は前連結会計年度を下回りました。社会インフラ分野は、再生可能エネルギー固定価格買取制度の施行を背景とした太陽光発電システムの需要増など、エネルギー流通分野の牽引により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。 

 

■産業インフラ部門

 売上高は前連結会計年度に比べ5%増の1,156億29百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し6億57百万円改善の50億42百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は892億円(富士電機㈱の産業インフラ部門単独ベース)となっております。 

 

 産業プラント分野の売上高は、国内の更新需要が比較的堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。ファシリティ分野の売上高は、国内の更新需要に加え、海外の大口案件が売上に寄与したことにより、前連結会計年度を上回りました。部門全体の営業損益は、価格競争の激化による影響があったものの、増収効果および原価低減により、前連結会計年度を上回りました。 

 

■パワエレ機器部門 

 売上高は前連結会計年度に比べ6%減の1,416億49百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し11億77百万円悪化の26億1百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は1,120億円(富士電機㈱のパワエレ機器部門及び富士電機機器制御㈱単独ベースの合計)となっております。 

 

 ドライブ分野は、中国を中心とした海外における需要の低迷により、売上高は前連結会計年度を下回りましたが、原価低減および経費圧縮により、営業損益は前連結会計年度を上回りました。パワーサプライ分野は、製造業向け電源設備およびIT機器向け電源の需要が減少し、売上高・営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。器具分野は、国内市場における機械装置メーカー向けの需要が減少し、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。

 

■電子デバイス部門

 売上高は前連結会計年度に比べ1%増の1,135億91百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し12億9百万円悪化の△14億16百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は916億円(富士電機㈱の電子デバイス部門及び富士電機マレーシア社単独ベースの合計)となっております。 

 

 半導体分野は、自動車分野の需要は比較的堅調に推移したものの、産業分野、情報電源分野において需要が減少し、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。ディスク媒体分野は、売上高は為替の円安進行、営業損益は前連結会計年度に実施した事業構造改革の効果により、前連結会計年度を上回りました。

 

■食品流通部門

 売上高は前連結会計年度に比べ3%減の1,120億86百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し41億61百万円改善の64億23百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は710億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。 

 

 自販機分野の売上高は、省エネ型環境対応自販機への置換需要および新たに市場投入したコンビニエンスストア向けコーヒーマシンによる増加があったものの、中身商品(飲料・食品)の販売終息により前連結会計年度を下回りました。店舗流通分野の売上高は、自動釣銭機の置換需要に加え、コンビニエンスストア向けを中心とした冷凍・冷蔵設備および省エネ設備の増加により、前連結会計年度を上回りました。部門全体の営業損益は、前連結会計年度に実施した事業構造改革の効果に加え、原価低減の推進および新製品の投入効果により、前連結会計年度を上回りました。

 

■その他部門

 売上高は前連結会計年度に比べ4%増の1,168億90百万円となり、営業損益は前連結会計年度に対し2億42百万円改善の28億80百万円となりました。

 

(注) 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。 

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は310億55百万円の資金の増加(前連結会計年度は148億25百万円の増加)となり、前連結会計年度に対し162億30百万円の好転となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は、553億42百万円(前連結会計年度は283億14百万円の増加)となりました。これは、たな卸資産の減少などによるものであります。
 前連結会計年度に対しては、270億28百万円の好転となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、242億86百万円(前連結会計年度は134億89百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得並びに子会社株式の取得を主因とするものであります。
 前連結会計年度に対しては、107億97百万円の悪化となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、568億27百万円(前連結会計年度は325億92百万円の減少)となりました。これは主として、社債の償還によるものであります。

 これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの資金は、前連結会計年度末に比べ245億73百万円(38.2%)減少し、396億88百万円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。

(2)受注状況

 富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメント別状況に関連付けて示しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

発電・社会インフラ

198,860

127.0

産業インフラ

115,629

104.6

パワエレ機器 

141,649

93.9

電子デバイス 

113,591

101.2

食品流通

112,086

97.1

その他 

116,890

103.8

消去

△52,926

合計

745,781

106.0

(注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。 

 

3【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題

1)2013年度の基本方針 

 富士電機は、「エネルギー技術の革新による、安全・安心で持続可能な社会の実現への貢献」を経営方針に掲げ、エネルギーを効率的に利用する機器やシステムの提供を通じた事業拡大に取り組んでいます。

 なかでも、富士電機の得意領域である産業分野において、一層のエネルギー消費低減を実現する機器・システムを提供すべく、産業インフラ事業、パワエレ機器事業、パワー半導体事業のシナジー最大化に向けた取り組みを加速しています。

 2013年度は、当連結会計年度に引き続き利益重視の経営を推進し、キャッシュ・フローの拡大を図るとともに、創出したキャッシュを産業インフラ事業、パワエレ機器事業、ならびに次世代パワー半導体のSiCデバイス6インチラインに積極的に投資し、将来の事業拡大につなげていきます。

 

2)事業セグメント別重点施策 

●発電・社会インフラ
 海外ではアジアを中心に火力発電および地熱発電の受注拡大に取り組み、国内では引き続き旺盛な需要が見込まれる太陽光発電システムの受注・売上拡大に取り組みます。また、スマートメータ(次世代電力量計)の開発強化、量産準備に取り組むとともに、スマートコミュニティの事業化に向けた取り組みを進めます。

 

●産業インフラ
 国内では、「日本再生」に向けた社会インフラ再整備や省エネ・環境ビジネスに注力するとともに、海外ではアジアを中心に事業拡大を図ります。また、インフラの基盤となる変電機器の価格競争力向上に取り組むとともに、センサ・システムとパワエレ機器を組み合わせ、計測制御システム事業の差別化を図ります。さらに、プラントシステムと設備工事の連携強化を図り、海外や空調・ヒートマネジメントなどの新市場・新分野への適用拡大を図ります。

 

●パワエレ機器
 インバータ、UPS(無停電電源装置)、PCS(パワーコンディショナ)などの主力商品においてグローバル商材の開発、市場投入を積極的に推し進めるとともに、グローバル生産拠点として、タイ新工場の生産規模を拡大し、競争力強化を図ります。また、消費電力の低減や、搭載機器の小型化を実現する次世代パワー半導体(SiCデバイス)を搭載した新製品の開発に注力してまいります。

 

●電子デバイス
 次世代パワー半導体の6インチラインを新設するとともに、8インチウエハープロセスラインの稼働により生産効率を高めます。また、競争力強化に向けてマレーシア、中国、フィリピンなど、海外における生産の拡大を推進します。

 

●食品流通
 自販機分野では、ピークシフト型など、差別化を図った新機種の展開を図るとともに、中国ビジネスの拡大に取り組みます。また、店舗流通分野では、コンビニエンスストア業界向け事業の拡大、海外向け通貨機器の開発、冷熱技術を活用した要冷物流などの新分野拡大に努めます。

 

(2)会社の支配に関する基本方針 

① 基本方針の内容

富士電機は、基本理念を次のとおり定めております。

富士電機は、地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします

●豊かさへの貢献 ●創造への挑戦 ●自然との調和

  この基本理念を実践し、企業価値の持続的向上を図る過程で、富士電機は、独自の技術、経験及びノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員等さまざまなステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてまいりました。
 これらは、富士電機の有形・無形の貴重な財産であり、いわば“富士電機のDNA”とも呼ぶべき、富士電機の企業価値の創造を支える源泉であります。
 富士電機は、その経営理念に基づき、環境の変化に適合した経営を実践し、中長期的な視野で企業価値と株主の皆様の共同利益を一層向上させていくことが、富士電機の企業価値を損なう当社株式の買付行為に対する最も有効な対抗手段であると認識しており、その実現に努めてまいります。
 また、当社の株式価値を適正にご理解いただくようIR活動に積極的に取り組むとともに、株主の皆様には四半期毎の業績等に関する報告書の発行、工場見学会の開催等により、富士電機に対するご理解をより一層深めていただくよう努めてまいります。
 当社取締役会は、上場会社として株主の皆様の自由な売買を認める以上、特定の者による当社株式の大規模買付行為がなされる場合、これに応ずるべきか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきと考えます。
 しかしながら、一般にも高値での売り抜け等の不当な目的による企業買収の存在は否定できないところであり、当社取締役会は、このような富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう当社株式の大規模買付行為や提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、適当ではないと考えております。
 現時点において、当社株式の大規模買付に係る具体的な脅威が生じている訳でなく、また当社としても、そのような買付者が現れた場合の具体的な取り組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありません。
 しかし、当社取締役会は、株主の皆様から経営の負託を受けた経営者の責務として、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なうおそれがある株式の大規模買付行為がなされた場合に適切な措置を執り得る社内体制を整備いたします。 

② 基本方針を実現するための当社の取り組み

1)企業価値向上の取り組み

 富士電機は、持続的成長に向けた基本戦略として、世界各国で見込まれるエネルギー・環境投資を背景として、長年培ってきた電気を自在に操る「パワーエレクトロニクス技術」をベースとし、グローバル市場で成長を成し遂げることを目指しております。

その実現に向け、迅速に経営リソースを「エネルギー・環境」事業にシフトし、「事業を通じてグローバル社会に貢献する企業」として企業価値の最大化とCSR経営の実現を目指します。

2)基本方針に照らし不適切な者による当社の支配を防止するための取り組み

 当社は、上記①の基本方針に基づき、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう、又はそのおそれのある当社株式の買付行為に備え、社内体制の整備に努めております。
 具体的には、日常より当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、平時より有事対応の初動マニュアルを整備し、外部専門家との連携体制等を整えておりますが、今後とも迅速かつ適切に具体的対抗措置を決定、実行し得る社内体制の充実に努めてまいります。
 また、いわゆる「買収防衛策」の導入につきましても、法制度や関係当局の判断・見解、社会動向やステークホルダーの意見等を踏まえ、企業価値、株主の皆様の共同利益の確保、向上の観点から、引き続き検討してまいります。

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断及び判断理由

 当社取締役会は、上記②.1)の取り組みが当社の企業価値を中期的に維持・拡大させるものであり、また、同②.2)の取り組みが富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を毀損するような当社株式の大規模買付行為に対応するための社内体制を整備するものであることから、そのいずれの取り組みも、上記①の基本方針に即したものであり、株主の皆様の共同利益を損なうものではなく、現経営陣の地位の維持を目的とするものでもない旨を確認し決議しました。
 また、監査役についても上記②の取り組みについてその具体的運用が適切に行われることを条件として、全員が同意しております。 

 

 (注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 富士電機は、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)事業環境の変動等に係るもの

①円安を背景とした原材料・部品価格の上昇に加え、新興国の急激な需要増等の情勢変化によっては素材・原材料の需給逼迫が見込まれます。富士電機では、原材料価格高騰リスクに対して商品スワップ取引を行う等、リスクの軽減に努めておりますが、これらの価格が大幅に上昇した場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

②富士電機は、海外市場への積極的な展開を図っており、特に中国をはじめとしたアジア市場向けの販売拡大に注力しています。また、民間設備投資や公共投資をはじめとする国内景気の動向とも深い関わりがあります。このため、海外及び国内の市場動向による業績影響の極小化に向けて、コストダウンや総経費の圧縮に努めておりますが、中国における景況の悪化あるいは経済政策の変更が発生した場合や、市場における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

③富士電機では、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④富士電機の当連結会計年度末での金融債務残高は2,267億17百万円となっています。今後、金利が想定以上に上昇した場合には、金利負担の増大を招くことにより、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤金融市場の動向や富士電機の財務指標の悪化が、一部借入金の財務制限条項への抵触による期限前弁済等、富士電機の資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)製品の品質に係るもの

 富士電機では、生産・販売する製品について品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ事情により大きな品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)投資に係るもの

 富士電機は、成長が見込める事業に対し迅速に経営資源を集中させ、事業の拡大・発展を目指し、設備投資、研究開発投資を行っています。特に、多額の資金を必要とするディスク媒体分野、半導体分野の製品サイクルは短く、また製品需給の変動や競争が激しいことから、投資を回収できない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)技術開発に係るもの

 富士電機では、市場ニーズに応じた技術開発に全力で取り組んでおりますが、急速な技術の進歩により他社に優位性を奪われたり、計画どおりに開発が進まずに適切な時機に市場への製品投入ができない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外活動に係るもの

 富士電機は、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開していますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・不利な政治的要因の発生

・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱

(6)知的財産権に係るもの

 富士電機では、富士電機の知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めております。しかしながら、技術革新のスピードが加速していること、また、富士電機の事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生する可能性があり、そうした場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)アライアンスに係るもの

 富士電機は、各事業分野における競争力の強化に向け、合弁、提携等により第三者との協業に積極的に取り組んでいきます。これらの施策においては、当該第三者との協力関係が必要不可欠でありますが、制度、文化面などの相違から事業戦略、技術、製品及び人事等の統合が円滑に行われず、十分な成果が得られない場合は、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材に係るもの

 富士電機の事業活動は人材に大きく依存しており、技術・生産・販売・経営管理などの各分野において優秀な人材を確保・育成することは成長に不可欠でありますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合には、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報の漏洩に係るもの

 富士電機は事業活動に関連して、お客様関係、調達先関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っており、これらの個人情報の取得、利用、保管等につきましては、関連する各種社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)大規模な災害や事故等に係るもの

 富士電機は、世界各地に事業拠点を展開しています。これらの事業所地区において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、富士電機の業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)土壌汚染に係るもの

 富士電機の所有する土地は、環境国際規格に基づいて汚染の予防、測定、監視に努めており、また、土地の売却を計画する際には、売却予定地の土壌調査を実施するなど、関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。これらの測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)退職給付債務に係るもの

 富士電機は、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)コンプライアンスに係るもの

 富士電機は、さまざまな事業分野で、また世界の各地域において、各国の法令、規則等の適用を受けて事業活動を行っております。富士電機は、適切な内部統制システムを整備して、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っておりますが、法令違反等が発生する可能性が皆無とは言えず、発生した場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)訴訟その他の法的手続に係るもの

 富士電機は、事業を遂行するうえで、訴訟その他の法的手続を受ける可能性があり、予期せぬ多額の賠償を命じられる可能性は皆無ではなく、それらの決定の内容によっては、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社と富士電機リテイルシステムズ㈱との合併契約   

 当社は、平成24年7月26日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士電機リテイルシステムズ㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

 なお、合併の概要につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(2)当社と富士電機サーモシステムズ㈱との合併契約

 当社は、平成25年1月31日開催の取締役会において、当社の100%子会社である富士電機サーモシステムズ㈱の権利義務の全てを合併により承継する決議を行い、同日に、同社と合併契約を締結しました。

 合併の概要は以下のとおりです。

1)合併の目的

 富士電機サーモシステムズ㈱は、主力の国内鋳造業向け溶解炉市場の伸び悩みを受け、国内既納品サービスを主体とした事業運営を行うことを目的に平成14年に設立された専業会社であります。

 近年、国内外のエネルギー施策の見直しにより、ヒートマネジメント市場(熱・省エネ市場)の拡大が予測され、工業電熱事業の技術等を核に、大きな事業伸長が見込まれます。

 こうしたなか、当社が有するパワエレ機器等の電源応用技術、開発力、マーケティング力と、富士電機サーモシステムズ㈱が有する加熱応用技術等の要素技術を組み合わせ、工業電熱事業の拡大、さらには、ヒートマネジメント市場への本格的な事業参入を図ることを目的に、富士電機サーモシステムズ㈱を合併することといたしました。

2)合併の方法

 当社を存続会社、富士電機サーモシステムズ㈱を消滅会社とする吸収合併。

3)合併に際して発行する株式及び割当

 存続会社である当社は、消滅会社である富士電機サーモシステムズ㈱の発行済株式全部を所有しているため、合併に際しては株式の発行および金銭等の交付は行いません。

4)合併の期日

 平成25年4月1日

5)合併後の存続会社の資本金・事業の内容等

(1)商号

富士電機㈱

(2)事業内容

エネルギー、産業、輸送その他社会インフラに関する各種機器、システムおよび半導体デバイス、感光体、自動販売機の開発、製造、販売、サービスならびにこれらに関するソリューションの提供

(3)本店所在地

川崎市川崎区田辺新田1番1号

(4)代表者の役職・氏名

代表取締役社長 北澤 通宏

(5)資本金

本合併により資本金は増加いたしません。

 

 

6【研究開発活動】

富士電機の研究開発は、最先端のエネルギー技術の追求により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献する製品群を創出しています。また、研究開発のグローバル化を推進しています。さらに、大学や研究機関、他の企業とのオープンイノベーションを強化しています。

当連結会計年度における富士電機全体の研究開発費は31160百万円であり、各部門別の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は9,514件です。

  

■発電・社会インフラ部門

火力・地熱分野では、タービン発電機の設備全体を再生させる現地でのリハビリテーション(改修)をこれまで国内を中心に展開していました。回転子保修技術や固定子コイル入れの省力化技術の開発を行い、海外での現地リハビリテーションを可能にしました。

風力発電分野では、電力系統に異常が発生しても安定した系統連系を実現するFRT(系統擾乱時における運転継続性能)を持ち、高効率(97%以上)な風力発電機用コンバータと、非常時にも電力供給が行える自立運転機能とFRTを備えた高効率(97.5%以上)な電力安定化装置用PCS(パワーコンディショナ)および自立系統の統合制御アルゴリズムと電力安定化装置用PCSの制御アルゴリズムを開発しました。

エネルギーマネジメント分野では、北九州市とけいはんな学研都市の次世代エネルギー・社会システム実証プロジェクトや、その他の国内外の実証事業に参加しています。北九州市では、昨年度までに開発した地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)やスマートメータを用いたダイナミックプライシング(電力ピーク時には、電力料金を上げて、電力使用量が少ないときは料金を下げて消費者の電力利用の変化を促す方策)の実証を我が国初の試みとして本格的に開始しました。夏季にダイナミックプライシングを発動したところ、電力使用量を16%以上削減することができました(北九州市の発表による)。また、CEMSと連携した工場・施設エネルギーマネジメントシステム(FEMS)の現地への設置を完了し、CEMSと連携した冬季のデマンドレスポンス実証を実施しました。

けいはんな学研都市においては、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)などの実証システムの設置を終え、デマンドレスポンスによる冬季の電力需要をピークシフトさせる実証とインセンティブ型デマンドレスポンスの実証試験を開始しました。

その他の国内外の実証事業では、三重大学構内において太陽光発電の電力を直流のまま、コンビニエンスストアや蓄電池に給電する直流配電による効率向上を狙いとした実証を開始しました。

2010年度から3年間、経済産業省の「次世代送配電系統最適制御技術実証事業」に参画し、太陽光発電が配電系統に大量導入された場合の電圧上昇などの課題に対して、系統の計測情報を元に的確に電圧を制御する集中型電圧制御方式を開発しました。2030年に太陽光発電の導入量が53GWになるシナリオに対して、開発したこのアルゴリズムの適用が有効であることを検証しました。

燃料電池分野では、欧州の安全規格に対応した製品を開発しました。CEマークを取得し、欧州自動車メーカのディーラー向けのコジェネ設備として1号機を出荷しました。平成24年8月に商用運転を開始し、順調に稼動しています。

当連結会計年度における当部門の研究開発費は6780百万円です。

 

■産業インフラ部門

 ファシリティ分野では、鉄鋼業の連続圧延設備等向けの産業用インバータ「FRENIC4400シリーズ」を開発し、発売しました。3レベルPWM制御により出力電流の高調波を大幅に低減し、最新のIGBTを採用することにより高速制御応答、低損失、インバータ制御回路のシンプル化を進めました。また、新設計のスタックの採用、初期充電回路とスナバ回路の最適化による小型化(寸法40%減、質量35%減)と素子短絡保護機能等の搭載による高信頼化を行いました。

 主力コントローラである「MICREX−SXシリーズ」に高速同期制御用途やオープンネットワーク対応などの機種を加えラインアップを拡充しました。

 サーバ・UPS・受配電設備をブロックごとに収納するビルト・イン・ブロック方式の「モジュール型データセンター」を開発し、発売しました。インターネットプロバイダーやデータセンター事業者などの投資負担を軽減しデータセンターの構築期間を短縮するとともに、高効率機器を使用することにより省エネを実現します。さらに、ITベンダーと共同でフィールドテストを重ね、“データセンターの見える化”をはじめとする運用性を向上させました。

 計測分野では、建物や橋梁などの構造物の劣化や災害時の安全性などを迅速に診断する構造ヘルスモニタリングへの適用を目指して「振動計測センサ」を開発し、発売しました。建設会社や鉄道会社、警備会社、各社研究機関などから具体的な建物診断の案件等の商談が活発化しています。また、環境排ガス分析用に新型ガス分析装置「ZSJ」を開発し発売しました。この装置では、NO、SO、CO、COガスを測定するために搭載している赤外線ガス分析計においてサンプルスイッチング方式を採用し、ゼロ点の安定性能を従来の±2%FS以下/週から±1%FS以下/週に向上させました。これにより、ガスタービン発電の排ガスなどの低濃度の測定が可能になりました。更に、「レーザ方式直接挿入形ガス分析計ZSS」では、パージガスとして従来の窒素ガスに替って安価な計装エアーが使用できる製品を開発し、発売しました。

 当連結会計年度における当部門の研究開発費は4135百万円です。

 

■パワエレ機器部門

 パワーサプライ分野では、全量買取制度の施行に伴い増加する大型太陽光発電設備用のパワーコンディショナ「PVIシリーズ」を開発し、直流入力電圧1,000Vに対応した1MW、750Vに対応した750kW及び500kWの容量の機種を発売しました。ラインアップが充実し、太陽光発電設備の構成計画を立てる際の選択肢が増えました。また、エネルギーロスを最小限にするため、当社独自技術である新3レベル変換回路を適用しています。スイッチギア、変圧器など周辺機器と一体化して、基本となる機能ごとにパッケージ化することで現地据付工事・組立作業を短縮し、工事・建設費用を削減します。

 また、ミニUPS「EX100シリーズ」の2.4kVAモデルを開発しました。1kVAから3kVAまでの範囲において4機種から5機種に増え、ラインアップが充実しました。これにより、お客さまの選択肢が増えました。

 ドライブ分野では、EV(電気自動車)急速充電器[AC208V、出力25kW、CHAdeMO(チャデモ)規格]を米国向けに開発し、発売しました。米国安全規格であるUL認証に適合し、チャージポイントネットワーク(米国Coulomb Technologies社のEV充電器ネットワーク)に参加しています。

 高性能ベクトル制御形インバータ「FRENIC−VGシリーズ」のスタックタイプを開発し、発売しました。本インバータは業界最高峰のFRENIC−VGシリーズの基本性能を踏襲し、インバータ機能とコンバータ機能を分離した製品であり、最大3,000kWまでの対応や、回生エネルギー利用による省エネを実現し、設置や交換作業を容易にしました。コンパクト型インバータ「FRENIC−Mini」をフルモデルチェンジしました。主にファン・ポンプや工場の生産設備等の制御に用いられてきましたが、今回上位機種と同等の高度な制御性能を実現することで、製品の適用可能な範囲を拡大しました。本製品はグローバル機種として世界各国に展開しています。

 また、高性能・スタンダード形インバータ「FRENIC−Ace」シリーズを開発し、発売しました。適用する用途に対して最適なユニットを選択することができ、カスタマイズロジック機能を搭載することによって、従来専用機でしか対応できなかった機能も汎用機で対応ができるようになりました。また、誘導機だけでなく、同期モータの駆動も標準対応しており、さらなる省エネが可能です。

 器具分野では、本体幅寸法を従来の75mmから54mmに縮小し、高遮断性能化、世界の主要規格対応を実現した32-63AFクラスの「G−TWIN Λ(ラムダ)シリーズ」MCCB(配線用遮断器)とELCB(漏電遮断器)を開発し発売しました。

 電動機回路や半導体回路などに適した瞬時引はずしが可能で、かつその引はずしの特性が調整可能な125AFと250AFのMCCB(配線用遮断器)をグローバル低圧遮断器「G−TWINシリーズ」のラインアップに追加しました。

 さらに、太陽光発電などの直流高電圧回路に最適な汎用形MCCBとELCB「コンパクトNSX」にDC1,000V品を追加し発売しました。通信システムを構築しなくても、SDカードに電力監視データを直接保存することのできる「エネルギー監視ユニットSDカード形」を開発し、「F−MPC04Eシリーズ」のラインアップに追加しました。

 太陽光発電などの分散電源を系統連携するための地絡過電圧継電器(OVGR)や、逆潮流を保護する逆電力継電器(RPR)を開発し、「QHAシリーズ」のラインアップに追加しました。配線用遮断器では、太陽光発電などの直流高電圧化に対応した「コンパクトNSX」DC1,000V対応品を発売しました。

 当連結会計年度における当部門の研究開発費は677百万円です。

 

■電子デバイス部門

 パワー半導体分野では、モジュール製品として、業界トップレベルの低損失を誇る3.3kV耐圧1.0kAと1.5kA定格のIGBTモジュールを開発し、従来の電流定格0.8kA、1.2kAと合わせ、製品系列を充実させました。中・高圧インバータの高効率化に貢献します。また、最新の第6世代IGBT技術を適用した1.7kV耐圧の2in1モジュールと6in1モジュールの量産を開始しました。一般産業用途向けだけでなく、風力分野や静止型無効電源補償装置などへの適用も見込まれます。また、1,200V耐圧101525及び35A定格の小容量パワー集積モジュール(PIM:Power Integrated Module)を開発しました。第6世代IGBT技術を適用することによる業界トップレベルの低損失の実現と、軽量・小型パッケージの採用により、顧客システムの高効率化及び小型化に貢献します。

 次世代半導体であるSiC−SBD(SiCのショットキーバリアダイオード)とSi−IGBTとを組み合わせたハイブリッド型のパワー集積モジュール(PIM)を開発しました。製品系列として600V耐圧では50A、75A、100A定格と、1,200V耐圧では35A、50A定格を揃えました。SiC−SBDを適用することで逆回復損失が大幅に下がり、装置の電力変換効率の大幅な向上に貢献します。

 近年の高効率変換技術へのニーズに応えるため、当社独自技術である逆阻止IGBT(RB−IGBT)を中間スイッチ部に適用したTタイプ3レベル用モジュール(AT−NPC:Advanced T−type NPC)の系列を拡大し、1,200V耐圧50A、75A及び100A定格の製品を開発しました。本製品は3相分のインバータ回路を同一パッケージ内に収めた12in1構成となっており、業界トップの高効率化と使いやすさが特徴です。

 また、IC技術と最新の第6世代IGBT技術を適用したインテリジェントパワーモジュール(IPM:Intelligent Power Module)「V−IPM」の600V耐圧で300-400A定格と、1,200V耐圧で150-200A定格の製品の量産を開始しました。V−IPMは従来製品と比べ損失を15%以上低減します。さらに、デッドタイムの大幅な短縮によって出力波形の歪を低減しています。アラーム要因を識別することができ、ロボットや工作機械への使用に適しています。

 自動車用途では、プラグインハイブリッド車向けに2個のインバータを搭載したインテリジェントパワーモジュール(IGBT‐IPM)を開発し、量産出荷を開始しました。最大出力400kVAと大出力を達成し、自動車の高性能・省燃費化に貢献します。

 IC製品として、民生機器や産業機器の電源用途向けに、第6世代PWM電源制御ICを開発しました。新規に開発した0.35μm微細プロセス技術を適用し、従来の外付け部品で構成していた回路機能をチップ内に取り込み高機能化したほか、ICの消費電流を1.4mAから0.4mAに削減しました。さらにIC内部の回路構成の変更により電源全体の待機電力を80mWから30mWまで低減することで、省エネに貢献可能な製品となっています。また、家庭用インバータエアコン用に、3相ブリッジ回路と制御回路を内蔵した小容量IPMを開発しました。エアコン用に最適化した低損失デバイスと高放熱アルミ絶縁基板を採用することにより、省エネルギーに優れた製品となっています。制御回路はマイコンで直接駆動することができ、各種保護機能も内蔵しています。さらに車載用途では、燃料タンク圧検出用圧力センサを開発しました。本製品は、年々厳しくなる環境規制に対し、ガソリン蒸気の大気中への排出を防止するシステムのキーデバイスであり、大気圧導入口に水の侵入を防止するGORE−TEX(W.L.Gore&Associatesの商標)フィルタを採用して、相対圧の計測を可能にしています。

 光半導体分野の感光体では、高耐久かつ連続印字において電子安定性に優れた電荷輸送層を開発しました。さらにこれを適用したデジタル複写機用感光体を開発しました。さらに耐久性に優れ、高温高湿環境においても動作安定性に優れた電荷輸送層を開発し、新製品となるデジタル複合機用感光体の量産を開始しました。また、従来に比べ1.7倍の高感度、1.3倍の高解像度が得られるカラープリンタ用の次世代型感光体を開発し、量産を開始しました。

 また、新興国市場向けに汎用性の高い有機材料を適用することにより、性能の維持と低価格を両立させたモノクロプリンタ用感光体を開発し、量産を開始しました。

 太陽電池では、民生応用製品として携帯電話専用充電器向けに小型・軽量の太陽電池を開発しました。

 ディスク媒体分野では、1枚当たりの記憶容量が1TBの3.5インチアルミニウムディスク媒体、及び375GBと500GBの2.5インチガラスディスク媒体の生産を開始しました。500GBの2.5インチガラスディスク媒体においては、新液体潤滑剤及び多層記録層の材料最適化技術を適用した特性改善品の製品認定を取得し、少量生産を開始しました。

 さらに、1枚当たりの記録容量が640GBの次世代2.5インチガラスディスク媒体の開発を継続するとともに、1TBの2.5インチガラスディスク媒体に適用される予定の熱アシスト記録技術を用いた媒体の開発も進めています。

 当連結会計年度における当部門の研究開発費は9625百万円です。

 

■食品流通部門

 自販機分野では、ヒートポンプ技術を高度化し大幅な省エネルギーを実現するハイブリッドヒートポンプ飲料自販機を開発し、発売しました。2011年度の当社自販機に比べ定格消費電力を40%削減しました。 

 さらなる電力のピークカットをするために、従来のピークカット機能を高度化するとともに、新たな蓄熱技術及び断熱技術を適用した自販機を開発しました。この自販機は、日中に最長16時間にわたり冷却用の電力を使わずに所定の飲料温度を確保することができます。埼玉県熊谷市及び岐阜県多治見市にて平成24年7月から行ったフィールドテストの性能評価結果をこの自販機の製品開発に反映し、平成25年1月に発売いたしました。飲料メーカと共に開いた11月の記者会見以降、各方面から大きな反響をいただいています。

 省エネ型のカップ自販機を開発し、発売しました。この製品は小型・高断熱の湯及び冷却水タンク、ヒータ制御を最適化し、ディスプレイのデザインを工夫して照明が不要になるようにしています。当社の従来機と比べ、通常運転時の消費電力量を50%以上削減しました。

 自販機のコーヒー調理技術を応用したコンビニエンスストア店頭向けのコーヒーマシンを開発し、発売しました。この製品はコーヒーのおいしさだけでなく、コンパクト性、メンテナンス操作性や清掃性も追求したもので、消費者と顧客の双方から好評を得ています。

 物品自販機の販売機構を基本部とモジュール部に分け、モジュール部を販売商品に合わせて取替え可能な構造の技術開発を行い、発売しました。モジュール構造とすることにより商品の多様化に対応することができます。

 通貨機器分野では、グローバル展開を目指した新しい検銭技術、紙幣のハンドリング技術の開発を行いました。

 店舗流通分野では、コンビニエンスストア向けとして、LED照明の採用やデザイン変更のほか、新型マイコンを搭載し店舗制御システムとの連携を強化した小型店舗向けショーケースを開発し、発売しました。

 スーパーマーケット向けに、エアカーテンの性能向上やLED照明の標準搭載等により、一店舗あたりの消費電力を30%削減できる「エコマックスSシリーズショーケース」を開発し、発売しました。

 小売店舗全般向けに、従来のシステムに対し、ショーケース・空調・照明などの主要機器のエネルギー管理や省エネ制御を統合的に行える「エコマックスコントローラ」を開発し、発売しました。

 当連結会計年度における当部門の研究開発費は3833百万円です。

 

■新技術・基盤技術部門

 SiCデバイスの開発においてオープンイノベーションを活用し、産業技術総合研究所との共同開発を行っています。SiCのショットキーバリアダイオード(SiC‐SBD)とSi‐IGBTとを組み合わせたハイブリッドモジュールを搭載した産業用インバータを国内で初めて製品化し,発売しました。

 引き続き主要な基盤技術の強化を図ってまいります。

 

■その他部門

当連結会計年度における当部門の研究開発費は78百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産額は7,655億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ272億85百万円減少しました。

 流動資産は4,247億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ284億91百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ売上債権が171億75百万円増加した一方で、現金及び預金が245億73百万円、たな卸資産が255億92百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 固定資産は3,407億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億89百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,811億48百万円となり、富士電機T&Dサクセション㈱の吸収合併等に伴い、前連結会計年度末に比べ115億28百万円増加しました。また、投資その他の資産は1,595億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億39百万円減少しました。これは、主に投資有価証券が61億28百万円減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は5,498億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ597億40百万円減少しました。

 流動負債は3,804億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ853億48百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べコマーシャル・ペーパーが180億円増加した一方で、短期借入金が454億68百万円、1年内償還予定の社債が500億円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 固定負債は1,694億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ256億8百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ繰延税金負債が191億88百万円減少した一方で、長期借入金が388億31百万円増加したことなどによるものであります。

 なお、当連結会計年度末の金融債務残高は2,267億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ291億48百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は29.6%となり、前連結会計年度末に比べ2.7ポイント減少しました。

 当連結会計年度末の純資産合計は2,156億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ324億55百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が241億81百万円増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は25.4%となり、前連結会計年度末に比べ4.8ポイント増加しました。

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ6.0%増収の7,457億81百万円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ8.0%増収の5,673億14百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度とほぼ同額の1,784億66百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ7.5%増加し5,874億57百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ1.1ポイント増加して78.8%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ0.9%減少し1,363億30百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント減少し18.3%となりました。

 営業利益は、価格競争激化による影響があったものの、徹底したコストダウン及び前連結会計年度に実施した事業構造改革の効果により219億92百万円となり、前連結会計年度に比べ27億40百万円の増加となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の6億98百万円の費用(純額)から、37億21百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ44億19百万円の好転となりました。これは、前連結会計年度において10億26百万円であった為替差損が当連結会計年度は14億46百万円の差益に転じたこと及び支払利息が前連結会計年度に比べ12億8百万円減少したことなどによるものであります。

 これらの結果、経常利益は257億14百万円となり、前連結会計年度に比べ71億60百万円の増加となりました。

 特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益及び受取保険金を計上し、10億45百万円となりました。なお、主に固定資産売却益の計上額が減少したことにより前連結会計年度に比べ13億26百万円減少しております。

 特別損失は、固定資産処分損、投資有価証券評価損、減損損失、子会社清算損、和解金などを計上し、101億41百万円となりました。なお、前連結会計年度に年金資産消失損を計上していたことなどにより前連結会計年度に比べ54億37百万円の減少となりました。

 以上により、税金等調整前当期純利益は166億17百万円となり、前連結会計年度に比べ112億69百万円の増加となりました。当期純利益は、繰延税金資産の計上を主因とする税金費用の戻入114億26百万円を税金等調整前当期純利益に加算し、少数株主利益16億76百万円を控除した結果、263億68百万円となり、税金費用の戻入及び少数株主利益がそれぞれ78億97百万円及び14億43百万円であった前連結会計年度に比べ145億67百万円の増加となりました。

(3)流動性及び資金の源泉に関する分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は396億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ245億73百万円(38.2%)減少しました。

 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー553億42百万円であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、たな卸資産の減少によるもの368億73百万円、減価償却費310億54百万円、税金等調整前当期純利益166億17百万円、売上債権の増加によるもの△110億34百万円、仕入債務の減少によるもの△106億43百万円、前受金の減少によるもの△95億53百万円などとなっております。

 なお、投資活動によるキャッシュ・フローは△242億86百万円となっており、その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出△179億12百万円、投資有価証券の取得による支出△76億88百万円、貸付けによる支出△45億35百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△38億23百万円、投資有価証券の売却による収入86億28百万円、貸付金の回収による収入42億94百万円などであります。

 以上によりフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は310億55百万円となりました。また、社債の償還などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは△568億27百万円となりました。





出典: 富士電機株式会社、2013-03-31 期 有価証券報告書