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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における富士電機(注)を取り巻く市場環境は、海外においては、中国を中心としたアジア地域の景気の下振れリスク、欧米の政策に関する不確実性等を背景に、経済情勢が不安定な状況となりましたが、欧米の主要先進国が牽引し、景気は総じて緩やかな回復基調となりました。国内においては、海外経済の先行き不透明感の強まりを受け、為替が短期間で急激に変動したものの、全体としては緩やかな回復基調となりました。

 このような環境のもと、当社は2018年度中期経営計画「Renovation2018」において、「富士電機の更なる変革」を基本方針に掲げ、成長戦略として「社会システム」「産業インフラ」「パワエレ機器」事業のオペレーション変革、海外事業の拡大、高付加価値商材の創出を推進するとともに、収益力の更なる強化を推し進めています。

 当連結会計年度の連結業績は、売上高は為替変動が影響したものの、成長戦略の諸施策並びに需要増により伸長し、前連結会計年度に比べ242億15百万円増加の8,377億65百万円となりました。部門別には「発電・社会インフラ」、「産業インフラ」は前連結会計年度を上回りましたが、「パワエレ機器」、「電子デバイス」、「食品流通」、「その他」は前連結会計年度を下回りました。

 損益面においては、原価低減等を推進したものの、パワエレ機器の先行投資、為替変動等の影響により、営業損益は、前連結会計年度に比べ2億97百万円減少の447億9百万円、経常損益は、前連結会計年度に比べ6億82百万円増加の462億96百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益は、投資有価証券の売却等により、前連結会計年度に比べ103億34百万円増加の409億78百万円となり、過去最高益となりました。

 

(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。

<セグメント別状況>

■発電・社会インフラ部門

 売上高は前連結会計年度比11%増加の1,947億95百万円となり、営業損益は前期比21億87百万円増加の119億23百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の受注高は1,011億円(富士電機㈱の発電・社会インフラ部門単独ベース)となっております。

 

 発電プラント分野は、水力発電設備の大口案件増加により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。社会システム分野は、スマートメータの増加により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。社会情報分野は、公共向けの大口案件増加、及び文教向けの案件増加により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。

 

■産業インフラ部門

 売上高は前連結会計年度比5%増加の2,091億17百万円となり、営業損益は前連結会計年度比34億円増加の145億72百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は1,587億円(富士電機㈱の産業インフラ部門単独ベース)となっております。

 

 変電分野は、国内の産業向け大口案件が寄与したことにより、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。産業プラント分野は、国内の省エネ、更新需要が堅調に推移したこと、データセンター向け等の新規ソリューション事業の増加により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。産業計測機器分野は、国内の更新需要が堅調に推移したことにより、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。設備工事分野は、売上高は前連結会計年度と同水準になりましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前連結会計年度を上回りました。

 

■パワエレ機器部門

 売上高は前連結会計年度比1%減少の2,058億55百万円となり、営業損益は前連結会計年度比7億91百万円減少の86億40百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は1,527億円(富士電機㈱のパワエレ機器部門及び富士電機機器制御㈱単独ベースの合計)となっております。

 

 ドライブ分野は、為替影響に加え、鉄道車両用電機品の海外大口案件が減少したものの、インバータ・サーボが堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度を上回りましたが、海外生産拠点をはじめとした先行投資等により、営業損益は前連結会計年度を下回りました。パワーサプライ分野は、メガソーラー向けパワーコンディショナの需要減少及び為替影響により、売上高は前連結会計年度を下回りましたが、原価低減等の推進により、営業損益は前連結会計年度を上回りました。器具分野は、工作機械をはじめとする機械セットメーカ及び受配電盤メーカの需要減少により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。

 

■電子デバイス部門

 売上高は前連結会計年度比1%減少の1,184億62百万円となり、営業損益は前連結会計年度比17億49百万円減少の80億30百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は977億円(富士電機㈱の電子デバイス部門及び富士電機マレーシア社単独ベースの合計)となっております。

 

 半導体分野は、為替が影響したものの、産業分野及び情報電源分野において需要回復が進み、自動車分野も堅調
に推移したことから、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を上回りました。ディスク媒体分野は、市況悪化に伴う需要減少により、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。

 

■食品流通部門

 売上高は前連結会計年度比若干減少の1,095億57百万円となり、営業損益は前連結会計年度比19億98百万円減少の60億29百万円となりました。
 なお、当連結会計年度の受注高は998億円(富士電機㈱の食品流通部門単独ベース)となっております。

 

 自販機分野は、国内市場の業界再編及び国内飲料メーカーの投資抑制に伴う需要減少、中国市場においては、顧客開拓は進むものの、設置計画の見直し等が影響し、売上高、営業損益ともに前連結会計年度を下回りました。店舗流通分野は、コンビニエンスストア向け店舗設備機器及び自動釣銭機等の需要増加により、売上高は前連結会計年度を上回りましたが、機種構成差等により、営業損益は前連結会計年度を下回りました。

 

■その他部門

 売上高は前連結会計年度比6%減少の590億99百万円となり、営業損益は前連結会計年度比2億71百万円減少の20億64百万円となりました。

 

(注) 当連結会計年度より、組織構造の変更に伴い、「産業インフラ」、「パワエレ機器」、「電子デバイス」及び「食品流通」の各報告セグメントにおいて、集約する事業を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における連結ベースのフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は、679億円の資金の増加(前期は290億円の増加)となり、前連結会計年度に対して389億円の好転となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金の増加は582億円(前連結会計年度は485億円の増加)となりました。これは、売上債権が増加した一方で、税金等調整前当期純利益の計上並びに仕入債務が増加したことなどによるものです。
 前連結会計年度に対しては、97億円の好転となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の増加は97億円(前連結会計年度は194億円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却を主因するものです。
 前連結会計年度に対しては、292億円の好転となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は561億円(前連結会計年度は316億円の減少)となりました。これは主として、コマーシャル・ペーパーの減少並びにリース債務の返済によるものです。

 これらの結果、当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に対して110億円増加し、419億円となりました

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 富士電機の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額又は数量で示すことはしておりません。

(2)受注状況

 富士電機の生産・販売品目も広範囲かつ多種多様にわたっており、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。このため受注状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメント別状況に関連付けて示しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

発電・社会インフラ

194,795

111.0

産業インフラ

209,117

104.9

パワエレ機器

205,855

98.6

電子デバイス

118,462

98.6

食品流通

109,557

99.6

その他

59,099

94.4

消去

△59,121

合計

837,765

103.0

(注)1.上記の金額には消費税等を含んでおりません。

2.当連結会計年度より、組織構造の変更に伴い、「産業インフラ」、「パワエレ機器」、「電子デバイス」及び「食品流通」の各報告セグメントにおいて、集約する事業を変更しており、各セグメントの前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで算出しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

  [経営理念]

   富士電機は、地球社会の良き企業市民として、

   地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします。

 

   ●豊かさへの貢献

   ●創造への挑戦

   ●自然との調和

 

  [経営方針]

   1.エネルギー・環境技術の革新により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献します。

   2.グローバルで事業を拡大し、成長する企業を目指します。

   3.多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 当社は、平成28年4月に、2018年度中期経営計画「Renovation 2018」を発表し、基本方針である「富士電機の更なる変革」を推し進めています。欧米における政策の不確実性等が存在するものの、引き続き「成長戦略の推進」及び「収益力の強化」に取り組みます。
 

●パワエレシステム事業の強化
 当社は、平成29年4月より、中期経営計画の重点課題に掲げるオペレーション変革として、社会システム、産業インフラ、パワエレ機器事業を統合・再編し、「パワエレシステム事業」を強化します。商品企画力の強化、及び最適なサプライチェーンの構築等により、強いコンポーネントを創出し、強いコンポーネントでシステムを強くし、そのシステムで海外を中心に事業拡大していきます。広く産業分野のお客様に、エネルギーの安定供給・最適化・安定化に貢献する「エネルギーソリューション」、及びパワーエレクトロニクス応用製品に計測機器、IoTを組み合わせ、工場の自動化・見える化により生産性の向上・省エネを実現する「インダストリーソリューション」を提供していきます。
 

●ものつくり力の更なる強化
 当社は、グローバルでの事業拡大を図るため、地産地消の考えのもと、日本のグローバルマザー工場を強化し、アジア・中国をはじめとする海外生産拠点と連携し、国内外の幅広い市場ニーズに応える体制強化を推し進めています。内製化拡大による付加価値・生産性の向上、IoTによる原価低減に取り組むことにより、ものつくり力の更なる強化を推進します。
 

●Pro-7活動の再活性化
 事業活動に伴うあらゆるコストをゼロベースで見直すとともに、ムダ・ロスコスト等の発生の未然防止に向け、業務品質の向上を徹底して行う「Pro-7活動」については、海外拠点における取組みを拡充する等、再活性化させることにより、収益力の強化を推進します。

 

上記事業統合・再編に伴い、平成30年3月期より、以下のとおりセグメントを見直しました。

 

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(3)会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

  富士電機は、上記の経営理念を実践し、企業価値の持続的向上を図る過程で、独自の技術、経験及びノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員等さまざまなステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてまいりました。
 これらは、富士電機の有形・無形の貴重な財産であり、いわば“富士電機のDNA”とも呼ぶべき、富士電機の企業価値の創造を支える源泉であります。
 富士電機は、その経営理念に基づき、環境の変化に適合した経営を実践し、中長期的な視野で企業価値と株主の皆様の共同利益を一層向上させていくことが、富士電機の企業価値を損なう当社株式の買付行為に対する最も有効な対抗手段であると認識しており、その実現に努めてまいります。
 また、当社の株式価値を適正にご理解いただくようIR活動に積極的に取り組むとともに、株主の皆様には四半期毎の業績等に関する報告書の発行、工場見学会の開催等により、富士電機に対するご理解をより一層深めていただくよう努めてまいります。
 当社取締役会は、上場会社として株主の皆様の自由な売買を認める以上、特定の者による当社株式の大規模買付行為がなされる場合、これに応ずるべきか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきと考えます。
 しかしながら、一般にも高値での売り抜け等の不当な目的による企業買収の存在は否定できないところであり、当社取締役会は、このような富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう当社株式の大規模買付行為や提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、適当ではないと考えております。
 現時点において、当社株式の大規模買付に係る具体的な脅威が生じている訳でなく、また当社としても、そのような買付者が現れた場合の具体的な取り組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありません。
 しかし、当社取締役会は、株主の皆様から経営の負託を受けた経営者の責務として、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なうおそれがある株式の大規模買付行為がなされた場合に適切な措置を執り得る社内体制を整備いたします。

② 基本方針を実現するための当社の取り組み

1)企業価値向上の取り組み

 富士電機は、持続的成長に向けた基本戦略として、世界各国で見込まれるエネルギー・環境投資を背景として、長年培ってきた電気を自在に操る「パワーエレクトロニクス技術」をベースとし、グローバル市場で成長を成し遂げることを目指しております。

その実現に向け、迅速に経営リソースを「エネルギー・環境」事業にシフトし、「事業を通じてグローバル社会に貢献する企業」として企業価値の最大化とCSR経営の実現を目指します。

2)基本方針に照らし不適切な者による当社の支配を防止するための取り組み

 当社は、上記①の基本方針に基づき、富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を損なう、又はそのおそれのある当社株式の買付行為に備え、社内体制の整備に努めております。
 具体的には、日常より当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、平時より有事対応の初動マニュアルを整備し、外部専門家との連携体制等を整えておりますが、今後とも迅速かつ適切に具体的対抗措置を決定、実行し得る社内体制の充実に努めてまいります。
 また、いわゆる「買収防衛策」の導入につきましても、法制度や関係当局の判断・見解、社会動向やステークホルダーの意見等を踏まえ、企業価値、株主の皆様の共同利益の確保、向上の観点から、引き続き検討してまいります。

③ 上記の取り組みに対する取締役会の判断及び判断理由

 当社取締役会は、上記②.1)の取り組みが当社の企業価値を中期的に維持・拡大させるものであり、また、同②.2)の取り組みが富士電機の企業価値・株主の皆様の共同利益を毀損するような当社株式の大規模買付行為に対応するための社内体制を整備するものであることから、そのいずれの取り組みも、上記①の基本方針に即したものであり、株主の皆様の共同利益を損なうものではなく、現経営陣の地位の維持を目的とするものでもない旨を確認し決議しました。
 また、監査役についても上記②の取り組みについてその具体的運用が適切に行われることを条件として、全員が同意しております。

 

 (注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 富士電機は、事業等のリスクに関し、組織的・体系的に管理し、適切な対応を図って、影響の極小化に努めております。現在、富士電機の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のものがあります。なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)事業環境の変動等に係るもの

①円安を背景とした原材料・部品価格の上昇に加え、新興国の急激な需要増等の情勢変化によっては素材・原材料の需給逼迫が見込まれます。富士電機では、原材料価格高騰リスクに対して商品スワップ取引を行う等、リスクの軽減に努めておりますが、これらの価格が大幅に上昇した場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

②富士電機は、海外市場への積極的な展開を図っており、特に中国をはじめとしたアジア市場向けの販売拡大に注力しています。また、民間設備投資や公共投資をはじめとする国内景気の動向とも深い関わりがあります。このため、海外及び国内の市場動向による業績影響の極小化に向けて、コストダウンや総経費の圧縮に努めておりますが、中国における景況の悪化あるいは経済政策の変更が発生した場合や、市場における製品需給の急激な変動や競争の激化、及びそれらに伴う価格レベルの大幅な下落があった場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

③富士電機では、為替変動リスクによる業績への影響を最小限に止めることを目的として、一定の基準に従って為替予約を実施しておりますが、完全に為替リスクを回避するものではありません。そのため、米ドルを中心とした対円為替相場の変動により業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④富士電機の当連結会計年度末での金融債務残高は1,512億16百万円となっています。今後、金利が想定以上に上昇した場合には、金利負担の増大を招くことにより、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤金融市場の動向や富士電機の財務指標の悪化が、一部借入金の財務制限条項への抵触による期限前弁済等、富士電機の資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)製品の品質に係るもの

 富士電機では、生産・販売する製品について品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めております。また、製造物賠償責任については必要な保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ事情により大きな品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)投資に係るもの

 富士電機は、成長が見込める事業に対し迅速に経営資源を集中させ、事業の拡大・発展を目指し、設備投資、研究開発投資を行っています。特に、多額の資金を必要とするディスク媒体分野、半導体分野の製品サイクルは短く、また製品需給の変動や競争が激しいことから、投資を回収できない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)技術開発に係るもの

 富士電機では、市場ニーズに応じた技術開発に全力で取り組んでおりますが、急速な技術の進歩により他社に優位性を奪われたり、計画どおりに開発が進まずに適切な時機に市場への製品投入ができない可能性があり、そうした場合には、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)海外活動に係るもの

 富士電機は、中国やアジアを中心に多くの海外市場で事業展開していますが、海外の国々で次のような事象が発生した場合は、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・不利な政治的要因の発生

・社会騒乱、テロ、戦争等による社会的混乱

(6)知的財産権に係るもの

 富士電機では、富士電機の知的財産権を効果的に守り、他社の権利を尊重した製品・技術の開発を進めております。しかしながら、技術革新のスピードが加速していること、また、富士電機の事業活動がグローバルに展開していることから、知的財産権の係争が発生する可能性があり、そうした場合、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)アライアンスに係るもの

 富士電機は、各事業分野における競争力の強化に向け、合弁、提携等により第三者との協業に積極的に取り組んでいきます。これらの施策においては、当該第三者との協力関係が必要不可欠でありますが、制度、文化面などの相違から事業戦略、技術、製品及び人事等の統合が円滑に行われず、十分な成果が得られない場合は、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材に係るもの

 富士電機の事業活動は人材に大きく依存しており、技術・生産・販売・経営管理などの各分野において優秀な人材を確保・育成することは成長に不可欠でありますが、そうした必要な人材を確保・育成できない場合には、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報の漏洩に係るもの

 富士電機は事業活動に関連して、お客様関係、調達先関係、従業員関係など多数の個人情報を扱っており、これらの個人情報の取得、利用、保管等につきましては、関連する各種社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出する可能性が皆無ではなく、その場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)大規模な災害や事故等に係るもの

 富士電機は、世界各地に事業拠点を展開しています。これらの事業所地区において大規模な災害や事故等が発生した場合には、生産設備の破損、操業の中断、製品出荷の遅延等が生じ、富士電機の業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)土壌汚染に係るもの

 富士電機の所有する土地は、環境国際規格に基づいて汚染の予防、測定、監視に努めており、また、土地の売却を計画する際には、売却予定地の土壌調査を実施するなど、関連法規、条例に準拠した適切な手続きで進めております。これらの測定又は調査結果によっては、土壌浄化のための対策費用が発生することがあり、その場合、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)退職給付債務に係るもの

 富士電機は、従業員の退職給付について、退職一時金制度及び企業年金制度を設け、数理計算上合理的と認められている前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。また、当社においては、退職給付信託として上場有価証券を信託しております。そのため、退職給付債務等の計算の前提条件として採用した割引率、年金資産の期待運用収益率と実際の結果とに差異が生じた場合、及び、信託した上場有価証券の株価が変動した場合などに、富士電機の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13)コンプライアンスに係るもの

 富士電機は、さまざまな事業分野で、また世界の各地域において、各国の法令、規則等の適用を受けて事業活動を行っております。富士電機は、適切な内部統制システムを整備して、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っておりますが、法令違反等が発生する可能性が皆無とは言えず、発生した場合には、富士電機の社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)訴訟その他の法的手続に係るもの

 富士電機は、事業を遂行するうえで、訴訟その他の法的手続を受ける可能性があり、予期せぬ多額の賠償を命じられる可能性は皆無ではなく、それらの決定の内容によっては、富士電機の業績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)富士通㈱株式の売却に関する契約

 当社は、保有株式の株価変動に起因する業績変動リスクの低減及びM&A等の戦略資金の確保を目的として、下記のとおり、株式を売却しました。

1)売却先

SMBC日興証券株式会社

 

2)銘柄

富士通株式会社の普通株式

 

3)売却株式数

168,893,000株

〔内訳〕

・みずほ信託銀行株式会社退職給付信託富士電機口再信託受託者資産管理サービス信託銀行株式会社所有分    118,892,332株

・当社所有分 50,000,668株

 

4)売却価格決定日

平成29年2月8日

 

5)受渡日

平成29年2月13日

 

 

6【研究開発活動】

富士電機の研究開発では、最先端のエネルギー技術の追求により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献する製品群を創出しています。また、研究開発の実行において全社のシナジーを発揮するとともにグローバル化と、大学や研究機関、他の企業とのオープンイノベーションを推進しています。

当連結会計年度における富士電機全体の研究開発費は349億10百万円であり、各部門別の研究成果および研究開発費は次のとおりです。

また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は11,480件です。

 

■発電・社会インフラ部門

太陽光発電システム向けの屋外自立型パワーコンディショナ(PCS)の系列にDC600V(555kVA)を加えました。当社のPCSの変換効率は98%と業界最高レベルにあり、空調レス構造により電力損失と設置工事費用を低減します。経済産業省資源エネルギー庁の補助事業である「バーチャルパワープラント構築実証事業」に対して関西電力株式会社を含む14社による申請が採択されました。当社は産業用蓄電池システムグループのリーダとして参画し、大型蓄電池を対象とした大型蓄電池サーバを構築すると共にサーバと蓄電池システムとの接続を行うゲートウェイ装置(GW)を開発しました。組合せ試験および総合試験において基本機能の確認と性能検証を行い良好な結果が得られました。この開発によりエネルギー利用の最適化や再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大に貢献します。

当連結会計年度における当部門の研究開発費は48億85百万円です。

 

■産業インフラ部門

変電システム分野では、アジア・中近東向けに、IEC規格 M2クラスに準拠した145kVガス絶縁開閉装置(GIS)「SDH714」を開発し発売しました。当社の従来製品と比較して据付面積を30%、質量を35%それぞれ減らし、業界最小で最軽量となっています。

駆動制御システム分野では、産業プラント用ドライブ装置向けに新しい制御プラットフォームを開発し、中大容量ドライブ装置「FRENIC4800」や「FRENIC4400」に適用を開始しました。さまざまなプラントで実績を積み重ねてきた各種制御機能を搭載しています。さらに、新しいユーザインタフェースとしてタッチパネルやPCローダなどを採用し、操作性や保守性が向上しました。

産業計測機器分野では、液体用スプール形超音波流量計「FST」を開発し発売しました。本製品は配管内に3測線のセンサを配置するマルチパス方式のスプール(配管挟み込み)形を採用し、独自のデジタル信号処理や演算処理アルゴリズムを駆使することで、流速を±0.2%の高精度で計測します。また、電磁流量計では測定が困難な油類や純水等の導電性が低い液体も高精度に測定します。

中国におけるプラスチック成型機器向けにデジタル温度調節計 マイクロコントローラX「PXE5」を開発し発売しました。本製品は中国で生産と販売を行う“地産地消”型事業により、中国市場でのシェア拡大を目指します。

監視・制御システム分野では、中小規模監視制御システム「MICREX−VieW XX」において多言語対応、オンライン障害解析機能、リモート監視機能、FA分野の通信規格に対応したOPC−UAサーバ機能を開発し、適用可能な分野を拡大しました。設備監視システム「MICREX−VieW PARTNER」を開発し発売しました。本製品は、MICREX−VieW XXが持つ操作性、堅牢性、継続性、柔軟性を継承したシステムで、フィールドにある設備・機器の小規模な監視から、エネルギー管理システムのサブシステムまで幅広く対応できます。

情報・プロセス制御システム「MICREX−NX/V8.2」を開発し発売しました。本製品は従来機能に加え、IoTに対応するため、プラントシミュレーション機能およびモバイル監視機能を強化しました。これにより、エンジニアリング効率、オペレータトレーニング機能および保守・メンテナンス性が大幅に改善します。

設備保全分野では、無線式回転機振動センサの防爆対応品を開発し発売しました。国内のTIISとEUのATEX指令の防爆認証を受けているので、国内外の化学系プラントの防爆エリアに設置できます。また、ウェアラブル型遠隔作業支援パッケージのバージョン1.1を開発し発売しました。ウェアラブル端末1台と本部にある3台までのPCとの同時通話、多言語対応、セキュリティなどの機能を強化・拡充しました。

独自のアルゴリズムにより冷凍機の稼働を最適化する冷凍冷蔵倉庫向け省エネルギーシステムを開発し発売しました。このシステムにより、年間の電力消費量を12%以上削減できます。

また、データセンター向け超高効率・外気利用空調「F−COOL NEO」56kW機を開発し発売しました。従来機とほぼ同じ設置面積のままで冷房能力を40%向上し、省エネルギーと敷地の有効利用が可能です。またスマートメータにおいて、電力会社ごとに異なるデータ収集方式や遠隔操作方式に対応する遠隔検針システムを開発しました。商業施設・オフィス・マンションなどが一体となった複合開発施設や高圧一括受電事業者が管理するビル・マンションにおいて電気やガスの検針データの収集やクラウド管理をすることで業務の効率化や異常時の迅速な対応に貢献します。

当連結会計年度における当部門の研究開発費は55億29百万円です。

 

■パワエレ機器部門

ドライブ分野では、高性能ベクトル制御型インバータの「FRENIC−VGスタックタイプシリーズ(690V)」のオプション品として、高力率電源回生PWMコンバータ「RHC−Dシリーズ(690V)」9機種、および専用のフィルタスタック「RHF−Dシリーズ(690V)」5機種を系列に加え発売しました。355〜450kWの容量帯においてSiCハイブリッドモジュールを採用したことで、発生損失が34%低減し、Si素子のスタックに比べ容量が43%拡大しました。

従来機種に比べ低コストでコンパクトな電源回生コンバータ「FRENIC−eRHRシリーズ」18機種を開発し発売しました。このコンバータをインバータに組み合わせると電源回生が可能になり、省エネルギーと制動能力が大幅に向上します。また、制動抵抗器や制動ユニットからこの製品に置き換えると約50%の省スペース化と約90%の発生損失の低減となります。連続的な回生制動が求められるエレベータや立体駐車場などにおいて、さらなる省エネルギーに貢献します。

パワーサプライ分野では、北米向けにモジュール型バックアップ電源「F−DC POWER」を開発し発売しました。SiCデバイスと新回路方式を採用することで、総合効率は従来に比べ8ポイント向上し92%となります。ピークアシスト機能により配電系統を強化することなくサーバを追加することができ、データセンターの停電対策と省エネルギーに貢献します。また、北米市場向けにSiC半導体を用いた無停電電源装置「UPS7300WXT3Uシリーズ」を開発し発売しました。従来機より装置効率を0.5ポイント向上させ、重要設備の省エネルギーに貢献します。また、重量部である変換ユニットの質量を約50%低減するとともに装置の下部に配置したため保守性が向上しています。

中国・アジア市場向けにUPS「UPS7000HX−T4シリーズ」を開発し発売しました。低負荷時(30%)の効率を従来機より約0.5ポイント改善しました。データセンターのUPSは多重化システムで運用するため、1台当りの負荷率が低く、低負荷時の効率向上は省エネルギーにつながります。

FA部門では、高機能モデルのモニタッチV9シリーズと同等のヒューマンインターフェイスを持ちコストパフォーマンスに優れたプログラマブル表示器「TS2060」を開発し発売しました。

モーション分野では、サーボ「FALDIC Smartシリーズ」の系列に5軸一体型アンプを追加し中国市場向けに発売しました。損失を従来に比べ12%低減するとともに、最大5つのアンプの電源を共通化することで入力配線作業が省力化できます。また、200W、400W、750Wの容量を自由に組み合わせることで複数軸を使用するロボットや半導体製造装置などの用途が広がります。

業界最高レベルの高速・高精度な制御を実現する新サーボシステム「ALPHA7シリーズ」を開発し発売しました。速度周波数応答を従来の1.5kHzから3.2kHz、エンコーダ分解能も従来の20bitから24bitに高めました。さらに、機能安全規格に対応した安全トルク遮断機能を標準搭載し、他の安全機能もオプションで選べます。このサーボシステムを搭載することで、精密加工機などの位置決めが高速、高精度になるとともに、安全性が向上します。

200kHz、4軸のパルス出力機能を持つ小規模な機械の制御に適した小型コントローラ「MICREX—SX SPF」を開発し発売しました。当社のサーボシステム「SMART PLUS」と組み合わせると位置決めシステムが経済的に構築できます。大中規模向けコントローラ「MICREX—SX SPH」と共通のプログラミング環境を持ち従来機種と互換性のあるラダー言語とIEC(国際電気標準化会議)規格に準拠したプログラミング言語の2種類が利用できます。

コントローラ「MICREX−SXシリーズ」に従来のSPH3000よりも約2倍の速度(多軸制御性能:32軸/2ms)で実行できる「SPH3000D」を開発し発売しました。本製品はモーション命令群を内蔵することで処理を高速化しています。また、モーション制御とシーケンス制御を1台で実行でき、モーションシステムを最小の構成で構築できます。

回転機分野では、中国の効率規制に対応したGB2級(効率クラスIE3)の高効率モータとアメリカの効率規制EISA(IE3)の認証を取得した高効率モータを開発し発売しました。一部対象機種は中国の安全規格CCCと米国のULも同時に取得しています。また、定常運転時などの低回転速度でも効率が高いインバータ一体型の空調用ファンモータを開発し発売しました。

電機盤分野では、IEC規格に準拠した7.2kVスイッチギアに続き、24kVスイッチギアを開発し発売しました。なお、国内向け変電設備として、環境に配慮した標準高圧盤(RFC2.1)のJEM1425—2011年に準拠しています。

開閉時の動作音を大幅に低減した静音形電磁接触器「SLシリーズ」をアジア・中国市場向けに開発し発売しました。エレベータや病院設備等に最適です。制御機器のコマンドスイッチでは、「AY22・DY22シリーズ」をアジア・中国市場向けに開発し発売しました。

鉄道車両分野では、先期に東海道新幹線次期N700S系試験車両向けに東海旅客鉄道株式会社と共同開発した弊社SiCパワーモジュールを採用した主変換装置を車両に搭載し、量産に向けた耐久走行試験を継続しています。
 

器具分野の低圧受配電機器では、施工の省力化と省配線化を実現する母線プラグインブレーカ「BV、EVシリーズ70mmピッチ」を開発し発売しました。ブランクカバーの取り付けにはドライバーなどの工具が不要なプッシュクリップ構造を採用し、安全性と作業性を向上させています。高圧受配電機器では、RoHS指令へ対応した「マルチVCB引出形」を開発し発売しました。パネルカットは簡素化するとともに取り付け後のメンテが容易な形状としています。さらに、絶縁性能の向上とグリスアップ期間の延長などによってライフサイクルコストを低減しました。制御機器では、バッテリーレスで駆動するワイヤレスリミットスイッチ「XCKWシリーズ」を開発し発売しました。生産ラインや設備、機械装置等の配線の煩わしさから解放するだけでなく保守やメンテナンスも省力化します。エネルギー監視システムでは、波形計測、サグ/スウェル(瞬低/電圧上昇)探知判定、データログなどの機能がある電力品質監視システム「デジタルパワーメータPM8000シリーズ」を開発し発売しました。カラーディスプレイにより作業時の視認性が向上しました。

当連結会計年度における当部門の研究開発費は94億25百万円です。

 

■電子デバイス部門

パワー半導体分野では、汎用インバータや工作機械等の小型化や省エネルギー、トータルコスト削減に貢献する第7世代IGBTモジュールの1,200V耐圧において25Aから150Aまでのものを系列に加えました。最新のIGBTおよびFWD(Free Wheeling Diode)チップ技術と高温動作環境下においても優れた動作寿命を持つ最新パッケージ技術を適用し、連続動作時の保証温度を従来の150℃から175℃に拡大しました。UPS(無停電電源装置)や新エネルギー向けにTタイプの3レベル変換回路を持つAT−NPC(Advanced Type Neutral Point Clamped)IGBTモジュールの系列を追加しました。DC(bus)電圧850V対応の1,200V/450,650,900Aの製品は、変換回路の中間ACスイッチ部に独自開発の900V耐圧RB−IGBTを採用、また、DC(bus)電圧1,200V対応の1,700V/450,600Aの製品は中間ACスイッチ部に1,200V耐圧のRB−IGBTを採用しました。また、DC(bus)電圧1,800−2,000Vクラスのアプリケーション向けに、標準の1,700V耐圧2in1モジュールとの組合せによりI−Type NPC回路が構成可能となるチョッパーモジュールを系列に追加しました。いずれの製品も低オン抵抗化を図り高い電力変換効率を実現します。

電鉄向けに最新の第7世代IGBTおよびFWDチップを搭載した大容量モジュールHPnC(High Power Next Core)を開発し、電圧電流定格1,700V/1,000Aの2in1回路構成のモジュールのサンプル展開を開始しました。小型で低インダクタンスを特長とした新型パッケージを採用しています。

また、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車で使用される車載用直接水冷型パワーモジュールのサンプル出荷を開始しました。車載用パワーモジュールでは初めて採用した逆導通IGBT(RC−IGBT)により、チップが大幅に小型化し、EVやHEVシステム全体の小型軽量化に貢献します。ディスクリート製品として、民生・通信・産業用途のスイッチング電源向けに高周波動作可能な連続モードPFC(力率改善)−ICを開発し発売しました。このICによりトランスが小型化し、力率改善機能を持つ電源の小型化に貢献します。また第2世代スーパージャンクションMOSFETの系列に、「Super J−MOS S2FDシリーズ」と「Super J−MOS S2Aシリーズ」を加えました。サーバや通信機器、UPS等の比較的大容量の電源向けの低損失で低ノイズの内蔵ダイオードの逆回復時間を50%低減したSuper J−MOS S2FDシリーズは、内蔵ダイオードの高速化により、より広い用途をカバーでき、各種搭載機器の高効率化、小型化を強力にサポートします。さらに、表面実装(SMD)TO−252パッケージ系列を追加しました。搭載機器の小型、薄型化と基板実装効率の向上に貢献します。車載DC−DCコンバータや充電器向けのSuper J−MOS S2Aシリーズは、低損失化、高信頼性で、HEV、P−HEV、EVの小型軽量化に貢献します。

感光体分野では、プロダクションプリンタ向けの高精度大径(直径140mm)有機感光体を開発し発売しました。アルミ基体とフランジの高精度化により回転ムラを抑えるとともに、電位安定性に優れた機能材料の採用によって高品位な画像品質を達成しています。

ディスク媒体分野では、モバイル用ハードディスクドライブで業界最高容量となる2TB機種用媒体(2.5インチ 1TB/枚・2枚搭載)を開発し量産を開始しました。磁性およびHDI(ヘッド・ディスクインタフェース)に新技術を採用することで、高記録密度を達成しています。また、データセンター等で広く活用されているニアラインサーバ用ハードディスクドライブ 8TB機種用媒体(3.5インチ 1.33TB/枚・6枚搭載)を開発し量産を開始しました。高記録密度化と表面欠陥の更なる低減により、高い信頼性を確保しています。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は104億81百万円です。

 

 

■食品流通部門

自販機分野では、デジタルサイネージ自販機を開発し発売しました。購買者のタッチ操作の検知に汎用の光学式センサを使った機構を採用しました。ディスプレイ上にタッチセンサがないので映像がクリアになり、直射日光の当る屋外への設置も可能で販売促進に貢献します。平成28年5月に三重県で開催されたG7伊勢志摩サミット2016のプレスセンターに設置し各国のメディア関係者に当社の技術力を紹介しました。

小型シースルーカップ自動販売機を開発し発売いたしました。多岐にわたる嗜好に対応した飲料を提供します。シースルー部からコーヒーの抽出工程が直接見えて香りも楽しめるため、お客様に美味しさと安心だけでなく、カフェの雰囲気も提供します。

通貨機器分野では、紙幣鑑別装置と硬貨識別装置を中国市場向けに開発し発売しました。他の国向けも順次開発し、グローバルに展開します。また、新しい検銭・鑑別技術やセキュリティ技術、搬送技術の製品化に向けた開発を行っています。また、これらの技術を活用した新型釣銭機の開発を開始し、2017年3月に開催されたリテールテックJAPANにデザインモデルを出品し好評をいただきました。

冷凍冷蔵ショーケース分野では、外気を遮断するためのエアカーテン、並びに、棚下気流の改善・最適化を行い、更なる冷却性能の向上と省エネルギー化の開発を進めています。また、冷凍機を内蔵して設置工事が不要とした壁面ケースの開発や、オペレーションを改善する陳列方式、ディスプレイを使った訴求性の高いPOP広告機能等の新規提案を具現化したプロトタイプ機を2017年2月のスーパーマーケット・トレードショーに出品し好評をいただきました。また、店舗向け総合設備管理サービスにおいて、電力測定システムや稼働管理システムに加え、QRコードを用いて設備や設置場所の登録・変更が容易に行える店舗向けの設備管理システムを開発しました。店舗向け総合設備管理サービスにおける「見える化」により、「食の安全・安心」、「省人化」、「省エネルギー」に関する課題を解決します。

当連結会計年度における当部門の研究開発費は45億88百万円です。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産額は8,866億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ412億85百万円増加しました。

 流動資産は5,124億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ185億38百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べたな卸資産が27億26百万円減少した一方で、売上債権が112億98百万円、現金及び預金が110億45百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。

 固定資産は3,740億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ227億33百万円増加しました。このうち、有形固定資産と無形固定資産の合計は1,940億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億円減少しました。また、投資その他の資産は1,800億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ255億33百万円増加しました。これは、主に退職給付に係る資産が208億29百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は5,628億円となり、前連結会計年度末に比べ215億97百万円減少しました。

 流動負債は4,124億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億15百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ未払法人税等が246億61百万円、短期借入金が82億13百万円、それぞれ増加した一方で、コマーシャル・ペーパーが220億円、1年内償還予定の社債が155億円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 固定負債は1,503億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ161億82百万円減少しました。これは、前連結会計年度末に比べ社債が100億円増加した一方で、長期借入金が142億41百万円、退職給付に係る負債が98億46百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

 なお、当連結会計年度末の金融債務残高は1,512億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ335億28百万円減少しました。また、同残高の総資産に対する比率は17.1%となり、前連結会計年度末に比べ4.8ポイント減少しました。

 当連結会計年度末の純資産合計は3,238億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ628億82百万円増加しました。これは、前連結会計年度末に比べ利益剰余金が341億77百万円、退職給付に係る調整累計額が185億91百万円、その他有価証券評価差額金が124億96百万円、それぞれ増加したことを主因とするものであります。これらの結果、自己資本比率は32.8%となり、前連結会計年度末に比べ5.5ポイント増加しました。

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.0%増収の8,377億65百万円となりました。国内売上高は、前連結会計年度に比べ5.8%増収の6,327億23百万円となりました。また、海外売上高は、前連結会計年度に比べ5.0%減収の2,050億42百万円となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ3.5%増加し6,243億71百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度に比べ0.4ポイント増加して74.5%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.0%増加し1,686億84百万円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ0.2ポイント減少して20.1%となりました。

 営業利益は、原価低減等を推進したものの、パワエレ機器の先行投資、為替変動等の影響により447億9百万円となり、前連結会計年度に比べ2億97百万円の減少となりました。なお、セグメント別の内容は、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。

 営業外収益(費用)は、前連結会計年度の6億7百万円の収益(純額)から、15億86百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比べ9億79百万円の収益(純額)の増加となりました。これは、受取配当金が前連結会計年度に比べ3億78百万円減少した一方で、為替差損が前連結会計年度に比べ5億41百万円減少したほか、受取利息が1億63百万円増加したことなどによるものであります。

 これらの結果、経常利益は462億96百万円となり、前連結会計年度に比べ6億82百万円の増加となりました。

 特別利益は、固定資産売却益、投資有価証券売却益及び保険差益を計上し、198億17百万円となりました。なお、主に投資有価証券売却益の計上額が増加したことにより前連結会計年度に比べ164億77百万円増加しております。

 特別損失は、固定資産処分損、投資有価証券評価損及び減損損失を計上し、21億70百万円となりました。なお、前連結会計年度に和解金及び子会社整理損を計上していたことなどにより前連結会計年度に比べ2億17百万円の減少となりました。

 以上により、税金等調整前当期純利益は639億43百万円となり、前連結会計年度に比べ173億77百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税等の税金費用189億23百万円を税金等調整前当期純利益から控除し、更に、非支配株主に帰属する当期純利益40億40百万円を控除した結果、409億78百万円となり、前連結会計年度に比べ103億34百万円の増加となりました。

(3)流動性及び資金の源泉に関する分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は418億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ110億48百万円 (35.8%)増加しました。

 当連結会計年度の主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー581億85百万円であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益639億43百万円、減価償却費294億45百万円、仕入債務の増加によるもの71億69百万円、投資有価証券売却益△188億49百万円、売上債権の増加によるもの△141億7百万円、法人税等の支払額△104億96百万円、などとなっております。

 なお、投資活動によるキャッシュ・フローは97億48百万円となっており、その主な内訳は、投資有価証券の売却による収入332億51百万円、有形固定資産の取得による支出△180億85百万円、などであります。

 以上によりフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は679億34百万円となりました。また、コマーシャル・ペーパーの減少並びにリース債務の返済などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは△560億83百万円となりました。





出典: 富士電機株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書