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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当年度の業績(セグメントの業績を含む)は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。

 

(2)キャッシュ・フロー

 

(営業活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは3,987億円(対前年度差928億円減)となりました。前年度差の主な要因は、当年度に未払費用等が減少したことです。

 

(投資活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の投資活動により減少したキャッシュ・フローは2,743億円(対前年度差1,363億円増)となりました。前年度差の主な要因は、戦略投資としての子会社・関連会社株式の取得や設備投資の増加があったことに加え、前年度に多額の事業、株式および有形固定資産の売却収入があったことです。

 

(財務活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の財務活動により減少したキャッシュ・フローは3,080億円(前年度は2,576億円の増加)となりました。前年度差の主な要因は、当年度に総額2,400億円の普通社債を償還した一方で、前年度は総額4,000億円の普通社債を発行したことです。

 

 これらに為替変動の影響を加味した結果、当年度末の現金及び現金同等物の残高は1兆143億円(対前年度末差2,661億円減)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。

 なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に概ね類似しています。

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

 平成28年度の世界経済は、資源価格の変動や地政学的リスク、新興国経済の減速懸念などの不透明な要因があるものの、米国や欧州経済の回復が続くとみられることや、雇用・所得環境の改善が国内消費の追い風となる見通しであることから、全体としては緩やかな成長が見込まれます。

 一方で、当社が「売上成長」を主軸において掲げた平成30(2018)年度売上高10兆円と、そこに向けた1年ごとの売上目標については、初年度である平成27年度から目標を下回る結果となりました。こうした状況を踏まえて、平成30年度売上高10兆円という目標を見直し、当社の経営理念である「お客様へのお役立ちを創出し続ける」ということを、より明確にする意味で、「利益成長」を主軸においた取り組みを加速することとしました。

 具体的には、これまでの5つの事業領域と3つの地域を掛け合わせた「5×3のマトリックス」を再整理し、「家電」「住宅」「車載」「B2B」の4つの事業領域の枠組みで戦略を描いていきます。なお、デバイスは、今後は向き合う産業に対応する事業領域に含めることとします。

 「家電」「住宅」「車載」は、「最終のお客様」に広く価値を提供することを通じて、新たな売上成長の実現を目指します。「B2B」は、お客様の競争力強化に貢献することを通じて、向き合う業界、強みとなる商材、地域を明確にし、これらを掛け合わせて、高収益のビジネスモデルの構築を目指します。

 成長戦略が軌道に乗りつつある、「家電」「住宅」「車載」で確実に利益を積み重ね、そこに高収益を目指す「B2B」事業を付加していくことにより、全社として、確実に利益成長ができる構造をつくります。

 また、個別の事業をそれぞれの事業環境や競争力などの事業が持つ特性に応じて、収益改善・安定成長・高成長の3つに分類するとともに、各事業がとるべき戦略を明確にし、緩急をつけて実行していきます。

 収益改善事業は売上成長が望みにくい事業を指し、売上を追わず、徹底的に「利益率」の向上を追求します。

 安定成長事業は市場の成長が見込まれる事業を指し、競争力の強化によって、業界平均を上回る成長を実現することで売上・利益の着実な創出を目指します。

 高成長事業は市場の成長が見込まれる事業のなかでも、特に経営資源を積極的に集中し、売上・利益の成長を牽引する事業を指します。高成長事業の代表的な取り組みは以下のとおりです。

 

①家電事業:

 アジアの重点国における、プレミアム商品展開を加速するとともに、将来の成長市場の攻略に向けて、インドでの品揃え強化や、アフリカでの販売基盤強化を図ります。

②住宅事業:

 国内のリフォームおよび介護関連事業の拡大に向けて、拠点を大幅に増強します。また、アジアでは、パナホーム(株)を中心に現地の開発事業者との協業により、街づくり事業を積極的に拡大します。

③車載事業:

 車載用ミラー大手のフィコサ(Ficosa)社との協業などにより、次世代コックピット事業で新たな成長を図ります。そして、平成30年度以降を見据え、さらなる成長に向けて、ADAS(先進運転支援システム)や車載電池において、開発の強化や生産拠点の拡充に経営資源を重点的に投下します。

④B2B事業:

 米国の業務用冷凍・冷蔵ショーケースのメーカーであるハスマン(Hussmann)社の買収によって、食品流通事業が当社の大きな柱となります。今後も、航空産業向けの事業や食品流通事業に続く、新たな柱事業の創造を目指します。


 これらの取り組みにより、平成30年度の全社の経営目標として、営業利益4,500億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益2,500億円以上(国際財務報告基準ベース)を目指します。

 そして平成28年度については、平成30年度の経営目標およびその先に向けた「成長への足場固めの年」と位置づけ、成長事業への仕込みに注力します。また、平成30年度に向けて、積極的な先行投資と合計1兆円規模の戦略投資を実行することで、増収増益の実現および定着を目指します。

 今回、平成30年度売上高10兆円という目標を見直し、「利益成長」を主軸においた取り組みを加速することとしましたが、当社グループが取り組む成長戦略は変わりません。「利益成長」すなわち、「お客様へのお役立ちを創出し続ける」ことに、これまで以上に重きを置いて取り組んでまいります。

 (注)当社は、平成28年度末の連結財務諸表から、米国会計基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを公表しております。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

①基本方針の内容

 当社は創業以来、「事業活動を通じて、世界中の人々のくらしの向上と、社会の発展に貢献する」という経営理念をすべての活動の指針として、事業を進めてまいりました。今後も、お客様一人ひとりに対して「いいくらし」を提案し拡げていくなかで、株主や投資家、お客様、取引先、従業員をはじめとするすべての関係者の皆様にご満足いただけるよう、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 当社は、当社株式の大規模な買付行為がなされた場合にこれを受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。しかしながら、大規模な買付行為のなかには、株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報が十分に提供されない場合や、その目的などからみて、企業価値・株主全体の利益を著しく侵害するおそれがある場合もあり得ます。当社は、そのような場合には、当社株主全体の正当な利益を保護するために相当かつ適切な対応をとることが必要であると考えております。

②基本方針の実現のための具体的な取り組み

(a)基本方針の実現に資する特別な取り組み

お客様のくらしに寄り添う「家電のDNA」を継承しながら、様々なパートナーとともに、お客様の「いいくらし」を追求し、拡げてまいります。具体的には、「家電」「住宅」「車載」「B2B」の4つの事業領域に注力し、経営目標として平成30年度営業利益4,500億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益2,500億円以上(国際財務報告基準ベース)を目指してまいります。

そのために、「家電」「住宅」「車載」については、「最終のお客様」に広く価値を提供することを通じて、新たな売上成長の実現を目指し、また、「B2B」については、向き合う業界、強みとなる商材、地域を明確にし、これらを掛け合わせて、高収益のビジネスモデルの構築を目指します。

また、個別の事業をそれぞれの事業環境や競争力などの事業が持つ特性に応じて、収益改善・安定成長・高成長の3つに分類するとともに、各事業がとるべき戦略を明確にし、緩急をつけて実行していきます。平成30年度に向けて、積極的な先行投資と合計1兆円規模の戦略投資を実行することで、増収増益の実現および定着を目指します。

(b)基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組み

当社は、平成17年4月28日開催の取締役会において、当社株式の大規模な買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」)の設定を内容とする対応方針(以下、「ESVプラン」)を決定しました。その後、毎年(平成27年は4月28日)の取締役会においてESVプランの継続を決定し、さらに、平成28年4月開催の取締役会においてもESVプランの継続を決議しました。

大規模買付ルールの内容は、特定の株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の買付(以下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」)を行おうとする者に対して、買付行為の前に、(ⅰ) 大規模買付者の概要、大規模買付行為の目的および内容、買付対価の算定根拠、買付資金の裏付け、大規模買付行為完了後に意図する当社経営方針および事業計画などの情報提供と、(ⅱ) 当社取締役会による適切な評価期間(60日または90日)の確保を要請するものです。当社取締役会は、提供されたこれらの情報をもとに、株主全体の利益の観点から評価・検討を行い、取締役会としての意見を慎重にとりまとめたうえで開示します。また、当社株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報を提供し、必要に応じて大規模買付者との大規模買付行為に関する条件改善の交渉や、株主の皆様への代替案の提示を行ってまいります。

大規模買付ルールが順守されない場合には、株主全体の利益の保護を目的として、株式の分割、新株予約権の発行(新株予約権無償割当てを含む)など、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。このルールが順守されている場合は、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかでない限り、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為に対抗するための措置をとろうとするものではありません。

対抗措置の発動は、当社取締役会の決定によりますが、その決定に際しては、弁護士、財務アドバイザーなどの外部専門家の意見も参考にし、社外取締役や監査役の意見を十分尊重するものとします。

上記の対抗措置を発動するに際し、当社取締役会が当社株主全体の利益の観点から株主の皆様の意思を確認させていただくことが適切であると判断した場合には、株主総会を開催することといたします。当社取締役会が株主総会を開催することを決定した場合には、その時点で株主総会を開催する旨および開催理由の開示を行います。

具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することになります。当社取締役会が具体的対抗措置として一定の基準日現在の株主に対し株式の分割を行う場合の分割比率は、株式の分割1回につき当社株式1株を最大5株にする範囲で決定することとします。また、具体的対抗措置として株主割当てにより新株予約権を発行する場合は、一定の基準日現在の株主に対し、その所有株式1株につき1個の割合で新株予約権を割り当てます。新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とします。なお、新株予約権を発行する場合には、大規模買付者を含む特定の株主グループに属する者に行使を認めないことを新株予約権の行使条件とするなど、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件や、当社が大規模買付者以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条件を設けることがあります。

対抗措置の発動によって、結果的に、大規模買付ルールを順守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、大規模買付者を除く当社株主の皆様が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定しておりませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令および金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。

当社は、全取締役の任期を1年としており、取締役は、毎年6月の定時株主総会で選任される体制にあります。当社取締役会は、引き続き、法令改正の動向などを踏まえ、当社株主全体の利益の観点から、ESVプランを随時見直してまいります。

 

ESVプランの詳細については、平成28年4月28日付「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針について(買収防衛策)−ESV(Enhancement of Shareholder Value)プランの概要−」として公表しています。このプレスリリースの全文については、当社ホームページ

(http://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/04/jn160428-5/jn160428-5-1.pdf)

をご参照ください。

③具体的な取り組みに対する取締役会の判断及びその理由

当社は、企業価値を持続的に向上させるため、経営目標を定め、その達成に向けた取り組みを行っております。また、ESVプランは、株主全体の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、大規模買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。

したがって、これらの取り組みは、いずれも①の基本方針に沿い、当社株主全体の利益に合致するものであり、当社取締役・監査役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

(参考)

株主割当てにより新株予約権を発行する場合の概要

 

1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件

取締役会で定め公告する基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式(ただし、当社の有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割当てます。なお、株主割当てにより募集新株予約権を発行する方法による場合と、新株予約権無償割当ての方法による場合とがあります。

 

2.新株予約権の目的である株式の種類及び数

新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とします。

 

3.発行する新株予約権の総数

新株予約権の発行総数は、50億個を上限として、取締役会が定める数とします。取締役会は、発行する新株予約権の総数がこの上限を超えない範囲で複数回にわたり新株予約権の発行を行うことがあります。

 

4.募集新株予約権を発行する方法による場合の募集新株予約権の払込金額

金銭の払込みを要しません。

 

5.新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は1円以上で取締役会が定める額とします。

 

6.新株予約権の譲渡制限

譲渡による新株予約権の取得については、取締役会の承認を要することとします。

 

7.新株予約権の行使条件

大規模買付者を含む特定株主グループに属する者(当社の株券等を取得または保有することが当社株主全体の利益に反しないと当社取締役会が認めたものを除く。)等に行使を認めないこと等を新株予約権行使の条件として定めることがあります。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとします。

 

8.新株予約権の行使期間等

新株予約権の行使期間、取得条件その他必要な事項については、取締役会にて別途定めるものとします。なお、上記7.の行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき1株を交付することができる旨の条項を定めることがあります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。

事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成28年6月27日)現在において判断したものです。

 

(1) 経済環境に関するリスク

経済状況の変動

当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成28年度の世界経済については、米国や欧州経済の回復が続くとみられることや、国内では雇用・所得環境の改善が消費の追い風となる見通しであることなどから、全体としては緩やかな成長が見込まれます。その一方で、資源価格の変動や地政学的リスク、米国や日本の金融政策動向、中国経済の減速懸念などの不透明な要因もあり、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用の増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

為替相場の変動

外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。当社グループでは、一部の事業で生産拠点の海外シフトを進めてきたこともあり、為替相場が当社グループ全体の業績に与える影響は減少していますが、過度な相場変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

金利の変動

金利の変動により営業費用、支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

資金調達環境の変化

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

株式価値の下落

当社グループは、投資有価証券の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株式価値の下落により保有株式の評価損の計上が必要となる可能性があります。また、上場株式の場合、株価下落が、有価証券未実現損益を悪化させることにより、当社株主資本の減少を引き起こす可能性があります。

 

(2) 当社グループの事業活動に関するリスク

競合他社との競争

当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。

 

製品価格の下落

当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

国際的な事業活動における障害

当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税制または税率の変更等といったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。

 

技術革新・業界標準における競争

当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。

 

有能な人材確保における競争

当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

他社との提携・企業買収等の成否

当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。

また、当社グループは、多くの子会社(上場子会社含む)および関連会社を有しており、グループ事業体制を再編することがありますが、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。

原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰

当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品により特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。

 

顧客の資金状況・財政状態

当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 将来の見通し等の未達リスク

当社グループは、グループ経営目標として、利益に関する目標値を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの目標値は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、目標値の達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。

 

(4) 法的規制・訴訟に関するリスク

製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生

製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

知的財産権に関連した損害

当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

 

会計制度・税制の変更等

当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。なお、当社は、平成28年度末の連結財務諸表から、米国会計基準に替えてIFRSを任意適用することを公表しております。

 

環境に関する規制や問題の発生

当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

その他の法的規制等による不利益および法的責任

当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。

 

(5) 災害・事故等に関するリスク

当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) その他のリスク

年金債務

当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社の確定給付年金制度を、移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により退職給付債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により年金資産の目減りをもたらす可能性があり、その結果、年金数理上の損失が増加し、将来、年金制度の期間退職給付費用が増加する可能性があります。

 

 

長期性資産の減損

当社グループは、有形固定資産、のれんなど多くの長期性資産を保有しています。当社グループは、長期性資産の連結貸借対照表計上額について、当該資産の公正価値が、資産の帳簿価額を上回っているかどうかを定期的に検討しています。当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合は減損を認識しなければならない可能性があります。

 

繰延税金資産および法人税等の不確実性の認識

当社グループは、将来の課税所得の予測等に基づく繰延税金資産および不確実な税務ポジションの評価に基づく認識済の税務ベネフィットの一部または全部が実現しない可能性がより確からしいかを検討し、繰延税金資産の回収可能性および法人税等の不確実性を評価しています。今後、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、一時差異および繰越欠損金が将来減算される期間における課税所得により回収できない、あるいは認識済の税務ベネフィットが実現されないと判断された場合には、繰延税金資産に対し評価引当金を認識することおよび未認識税務ベネフィットに対する債務を認識することにより、法人税等が増加する可能性があります。

 

持分法適用関連会社の業績・財政状態

当社は、複数の持分法適用関連会社の株式を保有しています。各関連会社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針に一定の影響を及ぼすことはできますが、通常、方針そのものの決定は行いません。当社の関連会社には、損失を計上している会社もあり、こうした関連会社の業績・財政状態により当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術受入契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

MPEG LA LLC.

アメリカ

MPEG−2に関する特許実施の許諾

自 平成23年1月

至 特許満了日

QUALCOMM INC.

 アメリカ

3G携帯電話及び基地局に関する特許実施の許諾

自 平成13年3月

至 特許満了日

 

(2)技術援助契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

MPEG LA LLC.

アメリカ

MPEG−2に関する特許実施の許諾

自 平成9年7月

至 特許満了日

MPEG−4Visualに関する特許実施の許諾

自 平成12年1月

至 特許満了日

 

(3)クロスライセンス契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

Texas Instruments Inc.

アメリカ

半導体・その他製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成18年4月

至 平成28年3月

Eastman Kodak Company

アメリカ

デジタルカメラ等に関する特許実施の相互許諾

自 平成19年12月

至 平成29年12月

Koninklijke Philips Electronics N.V.

オランダ

携帯電話・AV製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成19年3月

至 特許満了日

SAMSUNG Electronics Co., Ltd.

韓国

半導体特許に関する特許実施の相互許諾

自 平成20年1月

至 特許満了日

パイオニア㈱

日本

主要AV製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成18年4月

至 平成30年3月

 

(4) 鉛蓄電池事業の譲渡に関する基本合意書の締結

当社は、平成27年10月29日開催の取締役会において、連結子会社であるパナソニック ストレージバッテリー㈱(以下、「PSB」)グループで行っている鉛蓄電池事業を、㈱GSユアサ(以下、「GSユアサ」)グループに譲渡することを決議し、同日付でGSユアサと基本合意書を締結しました。

基本合意の要旨は、次のとおりです。

 

①当社は、PSBの全株式の85.1%をGSユアサに譲渡する。

②当社は、PSBの残る株式14.9%を2年間保有し、事業の円滑な引継ぎに協力する。

③当社は、鉛蓄電池事業を担当している海外拠点の当該事業もGSユアサグループに譲渡する。

 

上記に従い、当社は、平成28年4月15日にGSユアサと最終合意に至り、同日付で株式譲渡契約書等を締結しました。

 

 

(5) 米国 業務用冷凍・冷蔵ショーケースメーカーの株式取得(子会社化)を目的とした合併契約書の締結

当社は、平成27年11月27日開催の取締役会において、米国の業務用冷凍・冷蔵ショーケース市場の主力企業である Hussmann Corporation(以下、「ハスマン社」)の全株式を保有する Hussmann Parent Inc.(以下、「Hussmann Parent社」)の全株式を取得し、子会社化するための交渉の実施及び最終契約締結の可否決定に関する権限を担当の代表取締役及び常務取締役に委任することを決議しました。

この取締役会の授権に基づく決定により、平成27年12月21日付で、当社の連結子会社であるパナソニック ノースアメリカ㈱(以下、「PNA」)は、PNA組成の合併準備会社であるCC USA Corporation(以下、「SPC」)、Hussmann Parent社及び同社の株主代表であるClayton, Dubilier & Rice LLCとの間で、Hussmann Parent社を存続会社とし、SPCを消滅会社とする合併契約書を締結しました。

Hussmann Parent社(存続会社)の概要は、次のとおりです。

 

正式名称    Hussmann Parent Inc.

所在地     アメリカ合衆国デラウェア州

事業内容    ハスマン社及びハスマン社傘下のグループ会社株式を100%保有

        業務用冷凍・冷蔵ショーケースの製造・開発・販売・サービス

資本金     354.6 千USドル(平成28年3月末)

連結総資産   734.9 百万USドル(平成27年12月期)

連結売上高   1,144.4 百万USドル(平成27年12月期)

 

なお、Hussmann Parent社の株式取得は、米国デラウェア州会社法の規定に従い、Hussmann Parent社とSPCを合併させる手法で行います。この手続きを通じてHussmann Parent社の株主が保有しているHussmann Parent社の既存株式は現金対価請求権に転換されます。一方、PNAが所有する全てのSPC株式は、存続会社Hussmann Parent社の普通株式に転換されます。これにより、PNAは、合併後の存続会社Hussmann Parent社の発行済株式を100%取得し、Hussmann Parent社は当社及びPNAの完全子会社となります。

 

上記に従い、当社は、平成28年4月1日に、Hussmann Parent社の発行済株式の100%を取得しました。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、それぞれのセグメントにおいて、成長を目指し、急速に発展するIoT、ロボティクス技術や環境課題への貢献に向けた技術の開発に注力しました。

 

 カンパニーや事業部などの組織を横断した主な取り組みと成果は、以下のとおりです。

・画像処理に人工知能技術を活用した人物検出技術を開発

 ディープラーニング(深層学習)を用いて、傘をさした状態や様々な姿勢を取っている複数の人物を同時にリアルタイム検出できる技術と、従来に比べ最大10分の1程度の計算量で人物らしさの識別処理をする新たなアルゴリズムを開発しました。

 この方式により、小型・省エネ化が必須の自動運転車への搭載に大きく前進しました。

・有機CMOSイメージセンサー向け広ダイナミックレンジ化技術を開発

 1画素内に感度の異なる2種類のセルとノイズキャンセル機能を備えた独自構造の明暗同時撮像センサーを開発し、チップサイズはそのままで、従来比100倍のダイナミックレンジを実現しました。

 これにより逆光やライト照射下に被写体があるような明暗差の大きいシーンの撮像においても、画像の飛びやつぶれのない豊かな色階調が再現できるようになりました。

・非接触で心拍間隔を計測する生体情報センシング技術を開発

 呼吸や心臓の鼓動によるわずかな体表面の変位を非接触かつ高感度に検出できる独自のミリ波レーダー技術を開発しました。この技術と特徴点抽出による心拍推定アルゴリズムを組合せることにより、検出した変位信号から呼吸信号と心拍信号とを分離し、心電計相当の精度で心拍間隔をリアルタイムに計測することに成功しました。これにより、家庭やオフィスでの人の健康状態やストレス状態などのモニタリングをすることで、新しい応用サービスやシステム・ソリューションへの展開が期待できます。

 

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,498億円となりました。主な内訳は、「アプライアンス」882億円、「エコソリューションズ」533億円、「AVCネットワークス」1,013億円、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」1,895億円です。各セグメントの主な成果は以下のとおりです。

 

(1) アプライアンス

 主に当社の研究開発部門を中心として白物家電や情報家電、空調機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・自動制御運転で状況に応じたきめ細かい掃除を実現するロボット掃除機RULOを開発

 多彩なセンサーでゴミの量や床面の材質を検出し、走行経路や吸引力、ブラシ回転数を掃除機自らが判断する新たな技術を開発しました。加えて、機械工学に基づいた当社独自の三角形状(ルーローの三角形)の採用と、家庭用掃除機で培った技術を応用することで、ゴミの溜まりやすい部屋の隅々まできめ細かい掃除を可能にしました。

 今後も、センサー技術や人工知能技術によってロボティクス家電を進化させ、日々の家事の負担軽減に貢献します。

・水素から直接発電する純水素燃料電池のプロトタイプを開発

 将来の水素社会に向けて、発電時にCO2を発生しない純水素燃料電池のプロトタイプを開発し、地方自治体の施設にて実証実験を推進しています。

 加えて、水素の製造、貯蔵、利用のバリューチェーン全体の技術開発も進め、地産地消により効率よくエネルギーを使う分散型エネルギー社会の実現に貢献します。

・マイクロ波をらせん状に放射させ加熱する技術「サイクロンウェーブ加熱」を業界初で実現

 独自開発した新形状の3Dアンテナにより、マイクロ波をらせん状に放射させる「サイクロンウェーブ加熱」を業界で初めて実現し、オーブンレンジに搭載しました。従来のマイクロ波では食品の周囲から解凍されやすくムラが大きくなる傾向でしたが、「サイクロンウェーブ加熱」では、らせん状のマイクロ波が食品の中央付近にも放射され、食品中央から周囲へと広範囲に浸透するため、解凍のムラを抑えた「芯までほぐせる解凍」を可能にしました。

(2) エコソリューションズ

 主に当社の研究開発部門を中心として、エネルギーマネジメントをはじめ、住宅設備や建材、環境空質機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・高い除菌・脱臭効果を発揮する次亜塩素酸 空間清浄機ジアイーノを開発

 電解水技術で生成した次亜塩素酸を含浸させた除菌フィルターに汚れた空気を通過させる気液接触方式の除菌・脱臭技術を開発しました。

 この結果、病院や幼稚園など多くの人が集まる空間での感染対策や介護施設等でのにおいの除去が可能となり、より安心で快適な空気環境を提供できるようになりました。

・高効率・高光束な大規模スポーツ施設向けのLED投光器を開発

 従来のマルチハロゲン灯を用いた投光器と同等の明るさを保ちながら、100 lm/W(ルーメン・パー・ワット)を超える高効率で、消費電力を削減するLED投光器を開発しました。LEDの特長である瞬時点灯の特徴に加え、前面パネルには耐衝撃性に優れ破損時にも飛散しにくいポリカーボネイトを採用しました。ビーム角の異なる投光器モジュールを組み合わせ、用途に応じた明るさと配光を実現できるため、スポーツ施設での視環境の改善とともに省エネルギーにも貢献していきます。

・光熱費(電気料金)削減をサポートする「スマートHEMSサービスアプリ」を開発

 当社の「スマートHEMS®」で計測した家庭の電力データを、利用者自らが身近なものとして利活用できるスマートフォン向けアプリ「スマートHEMSサービスアプリ」を開発しました。

 アプリには、業界で初めて電気の使い過ぎ情報をプッシュ配信する機能や、電気の利用状況や節電ポイントを色で識別し分かりやすく示す機能を搭載しました。これにより電気料金削減をサポートし、節電に対する意識を自然に高めることでHEMS利用度を大幅(約3.5倍)に向上させ、HEMSのさらなる需要の拡大と普及に貢献していきます。

 

(3) AVCネットワークス

 主に当社の研究開発部門を中心として、AVとICTとを融合し、企業・法人向けの機器やソリューションの研究開発を行っています。主な成果としては、

・言葉の壁を感じることなくコミュニケーションできる多言語音声翻訳技術を開発

 3次元に配置した4つのマイクで話者の位置を特定する指向性収音技術で聞き取り精度を高め、クラウド上の音声認識・翻訳・合成エンジンによりスムーズな翻訳を行う多言語音声翻訳システムを開発しました。

 この結果、人ごみなど騒音環境下でのハンズフリー翻訳が可能となりました。今後も引き続き実証実験を通じて性能向上を図り、実用化を目指していきます。

・IoT/M2M向けサイバーセキュリティ対策基盤を開発

 CPUやROM・RAMなどのリソースに使用制約があるIoT/M2Mデバイスを「ハッキング」や「なりすまし」などの「サイバー攻撃」から守るため、従来は実装が困難とされてきたパソコン並のセキュリティを実現できる暗号・認証モジュールを開発しました。このモジュールには当社独自の暗号実装技術を組み入れており、IoT/M2Mデバイスでも軽量で高速な動作が可能になります。併せて各種セキュリティ対策のサービス基盤を構築し、製品への実装コンサルティングから保守・運用までトータルで提供することが可能となります。

・光ディスクを使ったデータセンター用データアーカイブシステム「freeze-ray」を開発

 データセンターでの、アクセス頻度が低い、あるいはアクセスされることがないものの、長期間保存が必要なデータの保存とアクセスにおいて、高効率で持続可能な光ディスクを使ったデータアーカイブシステム「freeze-ray」を開発しました。当社は主に高密度光学技術、主要装置(光ディスク、ドライブ、関連ロボット)、そしてデータセンターでのシステム制御を容易にするライブラリーソフトの開発に貢献しました。

 これにより、データセンター運営の経費やエネルギー消費量を削減させることができます。

 

(4) オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

 主に当社の研究開発部門を中心として、車載向けなどのインフォテインメント関連機器、二次電池をはじめとした電子部品、電子材料等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・伸縮自在なストレッチャブル樹脂フィルムを開発

 熱可塑性樹脂に、この樹脂の特徴である3次元架橋構造を生かした独自の樹脂設計技術を採用することで、伸縮自在で繰り返し使用が可能なフィルム状の絶縁材料を開発しました。併せて、この材料を用いたストレッチャブル樹脂をベースに、繰返しの伸縮によっても導電性が維持できる透明電極材料や配線用導電ペーストも開発しました。

 これにより、衣服や体に付けるなど、あらゆる形に追従できる柔らかく、しなやかなエレクトロニクスデバイスが実現でき、ウエアラブル、センサ、ディスプレイ、ロボットなど幅広い分野への適用が期待されます。

・電磁ノイズ抑制・熱拡散一体シートを開発

 電磁ノイズを抑制する効果のある均質な金属磁性粒子を樹脂中へ高密度に配向分散できる分散・圧縮プロセス技術を独自開発し、これまで困難であった高い電磁ノイズ抑制能力とシートの薄型化の両立を実現しました。また、電磁ノイズ抑制効果を有する機能性接合層を開発し、電磁ノイズ抑制シートに付与する一体貼りあわせ技術を採用することで、熱拡散特性とノイズ抑制特性を向上しています。

 これにより、業界で初めて1枚の薄型シートで熱とノイズの対策を同時に行うことができ、機器設計の簡素化と効率化を実現し、モバイル端末や車載機器、産業機器など幅広い分野に貢献します。

・次世代高速無線LAN向けのミリ波アクセスポイント技術を開発

 既存の無線LANの10倍以上の高速通信を実現する、マルチユーザ向けの次世代高速無線WiGig®対応のミリ波アクセスポイント技術を開発しました。本技術を搭載した無線モジュールは約120度の送受信指向角を持つため、3つのユニットの組合せでアクセスポイント周囲360度をカバーするとともに、複数ユーザの同時接続時において1ユーザあたり1Gbps以上の実効速度を実現します。これは120分の動画を約10秒でダウンロードできる速度に相当します。

 これにより、アクセスポイントを設置した空港などの施設で大容量コンテンツをストレスなくダウンロードし、旅先で楽しむなどさまざまなサービスに適用が期待されます。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は米国会計基準に基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、収益認識、貸倒引当金、棚卸資産の評価、長期性資産の減損、のれんの減損、環境負債、繰延税金資産の評価、不確実な税務ポジション、退職給付債務、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の評価及び開示に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。

 

① 長期性資産の減損

当社は、長期性資産の減損または処分に関する会計処理について、会計基準編纂書360「有形固定資産」の規定を適用しています。同規定に基づき、有形固定資産や償却対象となる無形固定資産を含む長期性資産について、当該資産または資産グループの帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を行っています。会社が保有及び使用している資産の回収可能性は、帳簿価額と資産から生じる割引前の将来の見積りキャッシュ・フローとを比較することによって判定されます。資産の帳簿価額が将来のキャッシュ・フローを上回った場合、資産の帳簿価額が公正価値を上回った金額について減損が認識されます。

平成27年度に計上した長期性資産の減損損失は367億円であり、主として「エコソリューションズ」セグメントに関連するものです。

 

② のれんの減損

取得した事業に対する投資額がその事業の純資産の公正価値を超える部分が、のれんとして認識されます。当社は、会計基準編纂書350「無形資産—のれん及びその他の無形資産」の規定を適用しています。のれんについては、償却を行わずに少なくとも年1回の無形固定資産の公正価値の評価に基づく減損テストを実施しています。のれんが配分されたレポーティングユニットの減損テストの基準日は1月1日です。

のれんの減損テストは2段階で行っています。第1段階では、レポーティングユニットごとの公正価値を、のれんを含む帳簿価額と比較します。当該公正価値が当該帳簿価額を下回る場合は、のれんの減損兆候があると判断し、第2段階の減損金額の測定を行うこととなり、上回る場合は第2段階の減損金額の測定は不要となります。第2段階において、のれんの減損金額は、帳簿価額が公正価値を超過する分として認識されます。のれんの公正価値は、企業結合における買収価値の配賦に準じた方法でレポーティングユニットの公正価値を配賦し、決定されます。当該配賦後の余剰公正価値は、レポーティングユニットののれんの公正価値となります。

レポーティングユニットの公正価値は、類似取引法、類似上場会社比較法及び将来の割引キャッシュ・フロー分析などにより決定されます。

平成27年度に計上したのれんの減損損失は120億円であり、「AVCネットワークス」セグメントに関連するものです。平成27年度末現在、当社はのれんを4,620億円計上していますが、現在の事実及び仮定の変更に応じて、将来の期間において減損を認識する可能性があります。

 

③ 繰延税金資産の評価

法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、連結財務諸表上での資産及び負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との差異、並びに繰越欠損金及び税額控除の繰延べに関連する将来の見積り税効果について、繰延税金資産及び負債が認識されます。

繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異が解消すると見込まれる年度の課税所得に対して適用される法定税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む期間の損益として認識されます。

予測される将来の課税所得に基づく繰延税金資産の実現可能性の評価において、当社は繰延税金資産の一部または全部が実現しない可能性が50%超であるか否かを考慮しています。繰延税金資産の最終的な実現については、一時差異が解消するまでの期間における将来の課税所得の評価に依存します。繰延税金資産の評価に際しては、繰延税金負債の解消スケジュール、将来課税所得、タックス・プランニングを考慮しています。

平成27年度において、パナソニック㈱の繰延税金資産に対して132,822百万円の評価引当金の減少を認識しました。これは、足下の収益状況の改善に加え、国内連結納税導入の決定により利益の安定性が向上したことで、繰延税金資産が実現する可能性がより確からしいと認められたためです。今後、繰延税金資産に影響を及ぼす事象を認識した場合、評価引当金の修正を適時行います。もし将来予測課税所得が現時点の見積りより大幅に悪化した場合は、繰延税金資産を減額し、見積りより良化した場合については、評価引当金を減少します。

平成27年度末現在の繰延税金資産・負債(純額)は3,948億円(借方)です。

 

④ 退職給付債務

年金制度及び一時金制度について、当社は、会計基準編纂書715「報酬—退職給付」の規定を適用しています。同規定に基づき、年金制度の財政状況(すなわち、年金資産と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、「その他の包括利益(損失)累積額」に計上しています。

年金数理上の純損益については、回廊(退職給付債務と年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%)を超える部分について、従業員の平均残存勤務年数で、定額償却しています。ただし、移行日以降の積立分(将来分)を確定拠出年金制度へ移行した当社及び一部の国内子会社については、従来の確定給付年金制度(過去分)に基づく年金数理上の純損益のうち、回廊を超える部分を、従業員及び退職者の平均余命年数で、定額償却しています。

当社は安全な固定利付債券の利回りを元に割引率を決定し、また、年金資産の運用先ごとの過去及び将来の収益率だけでなく、現在及び予想される資産配分を考慮して、期待収益率を決定しています。割引率の減少は給付債務の増加をもたらし、その結果、数理計算上の差異の償却を通じて償却費の増加につながります。0.5%の割引率の減少は約7%の退職給付債務の増加につながります。市場の株式価値の下落は、一般的に、期待収益率の低下をもたらし、その結果、将来の退職給付費用の増加につながります。

平成27年度末現在の年金資産を上回る退職給付債務(予測給付債務)は4,600億円です。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 平成27年度の世界経済は、中国や資源国などで景気が減速した一方、米国や欧州では内需が支えとなり、概ね緩やかな景気回復が続きました。日本では、消費回復に鈍さもみられましたが、雇用状況の改善は進みました。各国金融政策の変化や資源価格の下落、地政学的な不安要因などの経済環境の変化はありましたが、全体としては緩やかな回復基調となりました。

 当社グループは、平成27年度までの3ヵ年の中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(略称 CV2015)」については、営業利益3,500億円以上、営業利益率5%以上、フリーキャッシュ・フロー累計6,000億円以上の経営目標を、平成26年度に1年前倒しで達成しており、平成27年度を、「売上成長による利益創出」へ舵を切り「持続的な成長」に移行する年と位置づけました。特に、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、 インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの「大規模6事業部」を中心に、売上高・営業利益の改善と、戦略投資の仕込み・実行に取り組んでまいりました。

 しかし、中国市況の減速など、当社グループを取り巻く事業環境の変化とその対応の遅れなども影響し、結果として「大規模6事業部」は増収の牽引役とはなれず、当初目論んだ増収による増益の構図を作るには至りませんでした。

 

① 売上高

当年度の連結売上高は、前年度の7兆7,150億円に比べて減少し、7兆5,537億円となりました。国内売上は、白物家電は堅調でしたが、住宅用太陽光発電システムの販売減などにより、全体では減収となりました。海外売上も、BtoBソリューション事業は伸長しましたが、収益改善に向けて販売を絞り込んだテレビ事業などの影響もあり、全体では減収となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、連結売上高は、前年度比で4%の減少となりました。

地域別売上高については、国内は、白物家電の販売は好調でしたが、住宅用太陽光発電システムやICT関連デバイスの落ち込みもあり、前年度の3兆6,920億円に比べて2%減少し、3兆6,018億円となりました。海外は、前年度の4兆230億円に比べて2%減少し、3兆9,519億円となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、前年度比で5%の減少となりました。米州は、1兆2,414億円と前年度から2%増加しましたが、実質ベースでは4%の減少となりました。欧州は、7,019億円と前年度から4%減少しましたが、実質ベースでは1%の増加となりました。アジア・中国は、2兆86億円と前年度から3%減少し、実質ベースでも7%の減少となりました。

 

② 営業利益

売上原価は、前年度の5兆5,272億円に比べて減少し、5兆3,400億円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前年度の1兆8,059億円に比べて減少し、1兆7,980億円となりました。

これらの結果、営業利益は、前年度の3,819億円に比べて増加し、4,157億円となりました。売上が伸びないなかで、構造改革などによる固定費の削減や、材料合理化の取り組みおよび事業構成の良化などにより、増益を確保しました。営業利益率も、前年度の5.0%から良化し、5.5%となりました。

 

③ 税引前利益

営業外収益については、受取利息は、前年度の150億円から増加し、189億円となりました。受取配当金は、前年度の15億円に比べて増加し、16億円となりました。

営業外費用については、支払利息は、前年度の176億円から減少し、170億円となりました。また、事業構造改革費用658億円に加え、二次電池、ブラウン管等に関する訴訟関連費用として、691億円を計上しました。

これらの結果、営業外損益は、前年度の1,995億円の損失に対し、1,987億円の損失となり、税引前利益は、前年度の1,825億円に対し、2,170億円となりました。

 

④ 当社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、前年度の20億円の益に対し、145億円の損となりました。当年度の法人税等には、足下の収益状況の改善および国内連結納税導入の決定による利益の安定性の向上により、連結決算におけるパナソニック㈱の繰延税金資産を1,328億円再計上(法人税等の減少)した影響が含まれています。なお、前年度にも同規模の繰延税金資産を再計上しています。

持分法による投資利益は、前年度の119億円から増加し、126億円となりました。非支配持分に帰属する当期純利益は前年度の169億円に対し、218億円となりました。

これらの結果、当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,795億円に対し、1,933億円となりました。また、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の77円65銭に対し、83円40銭となりました。

 

⑤ セグメントの業績

当社グループのセグメントは、「アプライアンス」、「エコソリューションズ」、「AVCネットワークス」、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」、「その他」の5セグメントで構成されています。セグメントごとの業績は以下のとおりです。なお、平成27年4月1日に、一部の事業をセグメント間で移管しており、以下の分析では、当年度の形態に合わせた前年度数値と比較しています。

 

a アプライアンス

当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、2兆2,694億円となりました。

当年度は、国内において白物家電の販売が堅調に推移しましたが、テレビ事業における販売絞込みおよび大幅な戦略変更により、全体では減収となりました。

主な事業部の状況では、エアコンカンパニーは、中国市況の悪化が影響したものの、国内での家庭用空調および大型空調の好調に加え、アジア・オセアニア市場を中心に販売が伸長し、前年度と同水準となりました。

ランドリー・クリーナー事業部では、洗濯機、掃除機の販売が国内市場およびアジア市場で好調に推移し、増収となりました。

テレビ事業部では、中国での自社生産中止、三洋電機㈱のテレビ事業の中国メーカーへの事業譲渡など、事業戦略を大幅に変更したことや、中南米の景気悪化などにより、減収となりました。

キッチンアプライアンス事業部では、国内市場で炊飯器や電子レンジなどの高付加価値商品が、海外市場で業務用機器や日本製商品の販売が、それぞれ堅調に推移し、前年度と同水準となりました。

当セグメントの営業利益は、722億円となりました。円安などの為替影響による悪化があった一方で、テレビ事業の収益改善、白物家電の増販益などにより、前年度から224億円増加しました。

 

b エコソリューションズ

当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、1兆6,108億円となりました。

当年度は、国内の住宅用太陽光発電システムの販売減少が影響し、全体では減収となりました。

主な事業部の状況では、ライティング事業部は、国内は非住宅向けを中心としたLED照明器具の販売が伸長し、海外はアジア市場でのLED照明器具・ランプの販売が伸長した結果、増収となりました。

エナジーシステム事業部では、国内の住宅用太陽光発電システムの販売減少を、配線器具などの国内基盤事業や海外販売の伸長では補えず、減収となりました。

ハウジングシステム事業部では、国内の住宅市場が緩やかに回復するなかで、タンクレストイレを含むサニタリー商品など、中高級商品の販売が好調であった一方で、普及価格帯商品や内装建材の販売が減少し、減収となりました。

パナソニック エコシステムズ㈱では、国内および中国で空気清浄機の販売が減少し、また、エンジニアリング事業における新規事業の立上げ遅れや納入遅れの影響があったものの、北米での換気設備の販売が伸長したことにより、前年度並みの販売となりました。

当セグメントの営業利益は、784億円となりました。材料などの合理化や事業構造改革などによる体質強化を推進してきましたが、住宅用太陽光発電システムの販売減少が影響し、前年度から169億円減少しました。

 

c AVCネットワークス

当セグメントの売上高は、前年度比で1%増加し、1兆1,698億円となりました。

当年度は、前年度の事業構造改革に伴う販売減少を、バーティカルソリューション事業や映像・イメージング事業の販売伸長と円安効果によりカバーし、全体では増収となりました。

主な事業の状況では、アビオニクス事業部などのバーティカルソリューション事業は、堅調な航空機需要に支えられた航空機内AVシステムの販売伸長などに円安効果も加わり、増収となりました。

映像・イメージング事業では、デジタルカメラにおいて、コンパクト機などの普及価格帯商品が市場縮小の影響を受け販売減少したものの、ミラーレス機などの高付加価値商品の販売伸長に加え、高輝度プロジェクターの好調な推移や、統合セキュリティ事業の国内と北米での市場成長以上の販売伸長により、増収となりました。

モビリティ事業では、主力市場の北米地域における堅牢パソコンの販売台数が減少したことによる影響が大きく、減収となりました。

コミュニケーション事業では、固定電話の世界的な市場縮小に伴う販売減少、従来型アナログPBX(構内交換機)市場縮小および新興国における為替悪化の影響によるPBXの販売減少などで、減収となりました。

当セグメントの営業利益は、747億円となりました。バーティカルソリューション事業の増販益に加え、前年度までの事業構造改革の効果が寄与し、前年度から229億円増加しました。

 

d オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

当セグメントの売上高は、前年度比で3%減少し、2兆7,086億円となりました。

当年度は、車載および産業分野への転換を進めるなか、北米において好調な車両販売が、自動車メーカーや自動車部品メーカー向けの販売を牽引した一方で、ICT(情報通信技術)向け需要の落ち込みが影響して、全体では減収となりました。

主な事業の状況では、オートモーティブ事業は、国内の車両販売低迷の影響はあったものの、好調な北米市場に支えられ、ネットワーク接続型ディスプレイオーディオや車載カメラモジュール、スイッチなどの販売伸長により、増収となりました。

エナジー事業では、乾電池やマイクロ電池などの販売が堅調に伸長し、リチウムイオン電池が車載分野および蓄電向けなどの産業分野へシフトを進めたものの、ノートパソコンなどICT向け需要の減少が大きく影響し、減収となりました。

インダストリアル事業では、車載リレーなど車載用デバイスの販売は堅調に伸長したものの、前年度に回路基板事業などから撤退したことに加え、光ディスクドライブ事業の縮小やICT向けの需要減少により、減収となりました。

ファクトリーソリューション事業では、自動車部品メーカー向け実装機や産業用モーターの販売が伸長したものの、中国の景気減速の影響により前年度並みの販売となりました。

当セグメントの営業利益は、1,027億円となりました。当年度は車載、蓄電など将来の成長に向けた先行開発投資を積極的に行ったことに加え、エナジー事業、インダストリアル事業における販売減少の影響などから、前年度から137億円減少しました。

 

e その他

当セグメントの売上高は、前年度比で13%減少し、6,614億円となりました。

当年度は、パナホーム㈱では、従来商品のエコ性能を超える「ゼロエコ」商品などの高付加価値商品や、多層階住宅などの都市部型住宅、集合住宅の販売が伸長したことに加え、既築の「パナホーム」や在来木造住宅およびマンションのリフォーム事業を推進したことにより増収となりましたが、全体では事業譲渡の影響を受け、減収となりました。

当セグメントの営業利益は、161億円となりました。部材原価や工事原価の合理化によってパナホーム㈱の収益性が改善したことなどにより、前年度から15億円増加しました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

「4 事業等のリスク」に記載しています。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

「3 対処すべき課題」に記載しています。

 

(5)財政状態及び流動性

① 流動性と資金の源泉

 当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としております。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。

 

(資金)

      当年度末の現金及び現金同等物残高は、前年度末の1兆2,804億円から減少し、1兆143億円となりました。

 

(有利子負債)

      有利子負債は、社債償還等により、前年度末の9,729億円から当年度末には7,259億円へ減少しました。

 

(格付け)

 当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)、およびムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。

R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)

S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)

ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ)

 

② キャッシュ・フロー

当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。

当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは3,987億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは2,743億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、 1,244億円(対前年度差2,291億円減)となりました。前年度差の主な要因は、戦略投資としての子会社・関連会社株式の取得や設備投資の増加があったことに加え、前年度に多額の事業、株式および有形固定資産の売却収入があったことです。

なお、キャッシュ・フローの分析の詳細については、「1 業績等の概要」に記載しています。

 

③ 設備投資額と減価償却費

当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の2,267億円から10%増加し、2,488億円となりました。主要な設備投資は、車載用の小型二次電池の生産設備(米国)です。

減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,421億円から3%減少し、2,350億円となりました。

 

④ 資産、負債及び資本

当社グループの当年度の連結総資産は、前年度末から3,600億円減少し、5兆5,970億円となりました。これは、繰延税金資産の再計上がありましたが、円高の影響に加え、普通社債の償還などに伴う現金及び現金同等物の減少や売上債権の減少などによるものです。

負債は、割引率低下に伴う退職給付引当金の増加がありましたが、普通社債の償還などにより前年度末に比べ2,217億円減少し、3兆7,427億円となりました。

当社株主資本は、前年度末に比べ1,182億円減少し、1兆7,051億円となりました。これは、当社株主に帰属する当期純利益を計上した一方で、円高に伴う為替換算調整額の悪化および割引率低下に伴う年金債務調整額の悪化により、その他の包括利益(損失)累積額が大きく減少したことによるものです。この結果、当社株主資本比率は前年度末の30.6%から減少し、30.5%となりました。また、当社株主資本に非支配持分を加味した資本合計は1兆8,543億円となりました。

 





出典: パナソニック株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書