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セクション一覧

3 【対処すべき課題】

 テレビ文化の発展とともに成長してきた当社は,地上テレビ放送がアナログからデジタルへ完全移行する変革期をとらえ,さらなる成長に向け,「地上デジタル関連機器の売上拡大」「新分野の実現」を基本戦略とし,「平成22年3月期までに売上高400億円,経常利益20億円の達成」を目指す,中
期経営計画「

」を掲げています。

将来の事業展開を見据え,各部門において積極的な業務改革を行なっていきます。 
 営業・物流部門では,物流網の再構築による人員の最適化を行い,今後,増大していくデジタル改修工事へ積極的に人員を投入し,営業力強化に万全の体制で取組んでいきます。 
 また,開発・製造・品質保証部門においては,製品に関するすべての情報を一元化したデータベースの構築を進め,各部門の連携を強化し,徹底した効率化に取組んでいきます。 
 以上の取組みにより業績の向上を図るとともに,内部統制システムとCSR(企業の社会的責任)経営を推進し,コンプライアンスおよびリスク管理を徹底して,企業価値の最大化を目指していきます。 

 

4 【事業等のリスク】

当社の事業の状況,経理の状況等に関する事項のうち,投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には,以下のようなものがあります。当社は,これらのリスク発生の可能性を認識した上で,発生の回避および発生した場合は,最小限に抑えるべく対応に努めます。なお,文中の将来に関する事項は,当事業年度末現在において当社が判断したものであります。また,事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

[経済情勢について]

当社は,特定の商品や販売ルートに偏りがなく,販売先が全国にわたり分散しているため,経済情勢に左右されにくい体質ではありますが,工事部門につきましては,公共事業の縮小が悪影響をおよぼす可能性があります。

 

[製造物責任について]

当社は,CATV機器やITS機器および衛星アンテナなどの主要品目に対して,ISO9001の認証を受け,その他の機器においても当該認証と同等のシステムで,顧客に信頼される品質管理に努めていますが,当社製品が予期せぬ不具合をおこし,最終消費者に対する賠償や回収,製造物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合,当社および当社製品への信頼性を損なうものであり,当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

[商品市況変動について]

当社製品に使用している原材料は市況の影響を受け,価格が上昇することも想定されますが,昨今の価格競争の激化により,製品価格への転嫁が困難な場合があり,製造コストの上昇分が吸収できずに,収益に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

[海外生産について]

中国,タイ,台湾などの海外生産比率の増大にともない,その国情の変化および社会的事件の発生などにより,業績に影響をおよぼす可能性があります。また,長期的な為替変動が業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

[環境問題について]

環境保全活動の一環として,グリーン調達事務局を設置し,EUのRoHS指令,WEEE指令に対応した特定有害物質の使用削減をすすめていますが,今後,新たに制定される法令等によって多額の対策費用が発生する可能性があります。

 

[法的規制について]

当社は,事業を展開する上で,電波法,建設業法等を中心に,事業の許認可,公正取引,特許,消費者保護,租税等の様々な法的規制を受けています。万一,規制を遵守できなかった場合,当社の活動が制限されたり,規制遵守のための費用が発生し,当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

[個人情報の取扱について]

当社は,個人情報保護の重要性を充分に認識しており,個人情報保護法の制定にともない,個人情報保護方針・規程・要綱の策定および従業員教育を含めた社内体制の強化を推し進めています。しかしながら,個人情報の流出により問題が発生した場合には,社会的信用の失墜および損害賠償責任等により,業績等に影響をおよぼす可能性があります。

 

[災害リスクについて]

地震,火災,水害等の災害を想定して,災害発生時の訓練を定期的に行い,保険に加入するなど,損害を最小限に抑える体制を整えています。特に本社,本社工場,高蔵寺ニュータウン工場は,震災および水害の影響が少ない地域を選定し,耐震性に優れた建物の構造で建設していますが,大地震発生による損害を充分にカバーできる保証はありません。その他の大きな災害についても完全に損害を排除できる保証はありません。

 

[資産の時価下落について]

当社の資産保有方針では,時価変動リスクが高い資産を必要以上に保有することはありませんが,事業活動において必要性があると判断して取得した固定資産や有価証券等には,時価変動の影響を受けるものがあります。これらの資産については,可能な限りリスク回避できるよう,時価変動を注視していますが,経済情勢等によっては,資産価額が一定水準以上に下落することも考えられます。この場合,会計基準に従い保有資産に対して,減損損失や評価損等の損失が発生する可能性があります。

 

[システム障害について]

当社は,コンピューターウィルス等によるシステム障害を防止するため,ウィルスチェックプログラムによる検知を徹底するなど,万全な対策を実施していますが,万一,ウィルス侵入等によるシステム障害が発生した場合には,業務運営に支障が生じ,対策費用が発生する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

研究開発につきましては,地上デジタル放送の本格化にともない,CATV機器のデジタル・光化への進展に即応した新製品の開発に取組むとともに,将来の経営基盤となる基礎研究に積極的に力を入れてきました。 
 当事業年度における研究開発費は,総額17億7百万円を投入しています。平成20年3月31日現在で研究開発人員は126名,保有する特許・実用新案・意匠・商標登録は国内外合わせて1,336件です。 

① アンテナ部門

地上デジタル放送は,多くの地域でUHFの比較的低い帯域を使用して放送されています。当社は,この帯域において,業界最高利得(ch.13〜28において)となる家庭用の超高性能型UHFアンテナ(LS20TMHとLS30TMHや,U14TMHより高利得で20素子のU20TMH),そして屋外・屋内両用でスタイリッシュなUHFアンテナ(SPM2)を発売しました。今後もデジタル放送に最適なUHFアンテナのラインナップを増やし,総務省の推進する地上デジタル放送の普及に貢献していきます。

 

② 電子機器部門

(デジタル放送関連)

平成20年3月末現在,地上デジタル放送受信機器の出荷台数は3,271万台となりましたが,アナログテレビの使用台数は約1億台あり,まだ多くのテレビが地上デジタル放送に対応していないのが現状です。当社は,アナログテレビで地上デジタル放送が見られる「手のひらサイズ」の地上デジタルチューナー(DT610)を発売しました。軽量コンパクト設計で低消費電力,地上デジタル放送の高画質映像をフル画面で楽しめる画面拡大機能も搭載していて,地上デジタルチューナーの中心的存在になっています。

 

(TV受信機器)

家庭用ブースターに,既存のVHF,UHF信号と衛星放送信号を混合するミキサーを内蔵した家庭用ブースター2機種と,縦型電源部と異常お知らせ機能を搭載した家庭用オートブースター4機種を新たに追加し,ラインナップの充実を図りました。

プラグにロック機構を持たせたTV接続ケーブル3シリーズ12機種を発売しました。このロック機構は,プッシュ式のようにF型端子に押し込み,プラグを3回転させるだけで簡単・確実に接続できるものです。

(CATV関連)

全世帯の40%約2000万世帯(平成19年3月末時点)が受信しているケーブルテレビは,デジタル放送に対応したSTBの出荷台数は380万台を超え,急速にデジタル化が進んでいます。当社は,どなたでも使いやすく,必要最小限のインターフェースにしたデジタルSTB DST62シリーズを市場に投入しました。当社従来品の約1/2(体積比)の業界最小サイズを実現,地上デジタル放送の高画質映像をフル画面で楽しめる画面拡大機能も搭載しています。当社は,DST62シリーズを積極的に市場に投入し,ケーブルテレビのデジタル化をトータルでサポートしていきます。

FTTH用光受信機(V-ONU)をリニューアルし,廉価版のOR77T3-Aを発売しました。また,NHK施設向けFTTH機器においても新規に光送信機を4機種開発しました。ラインナップの充実を図り,FTTHの普及に貢献していきます。

 

(自動車関連)

自動車の電子制御システムは,安全性を確保する意味で,外来電波に対し耐える力「イミュニティ」能力が高くなければなりません。そこで昨今,自動車メーカーは,イミュニティ能力の向上を商品開発の最重要課題のひとつとして捉えるようになっています。

当社は,自動車用電子部品などに向けて600V/mという強い電波を発射し,イミュニティ能力を試験できるEMC(Electro-Magnetic Compatibility)試験システムの開発を行なっています。当期は,EMC強電界アンテナEMC600P1,EMC600P3の2機種を発売しました。このアンテナは,300Wクラスのアンプで600V/mの電界を実現させることができます。米国のフォード社に性能が認められており,世界市場への販売を目指しています。今後も,高周波技術と無線通信アンテナ技術を応用し,EMC試験システム機器の実用化に向け,開発を進めていきます。

 

(セキュリティー関連)

近年,家庭や店舗・事務所などのセキュリティー対策のニーズが高まっています。当社は,テレビのためのホーム共同受信を利用した映像監視システムや,無線LANを利用した無線遠隔監視システムのラインナップを揃え,セキュリティー機器の普及に努めてきました。今後も高周波技術を利用したセキュリティー機器の拡充を図ります。

 

(放送機器関連)

当社は放送機器として,放送局の送信所間で地上デジタル放送の番組中継を行う回線(TTL:Transmitter to Transmitter Link)システムの開発や,地上デジタル放送を山間部などの一般家庭に再送信する小規模中継局の開発を行なっています。テレビ塔からの地上デジタル放送波が届かない電波不感地域での,地上デジタル放送の普及に貢献していきます。

 

(研究関連)

文部科学省が注力する平成19年度「安全・安心科学技術プロジェクト」として,当社が進める「ミリ波パッシブ撮像装置」が採択されました。当社は,国立大学法人東北大学,中央電子株式会社と共同で平成19年度より開発を始めています。本装置は,空港などで使われている金属探知器やX線検査装置に次ぐ,新たなセキュリティー機器として3年後の製品化を目指します。

また無線通信分野において,今後需要拡大が予測される広帯域・高速通信を実現するため,ミリ波を使用した無線通信機器の基礎研究を行なっています。ハイビジョン放送の多チャンネルでの無線伝送や,1Gbps以上の超高速無線通信が実現できます。

さらに,視聴者向けの受信障害対策中継放送では,ギャップフィラーといわれる極微小電力で送信する中継局に対し,大幅な規制緩和が行われています。当社でも,ヘッドエンド,送信機,送・受信アンテナとシステム全ての開発を行い地上デジタル放送の普及に貢献していきます。

 

7 【財政状態および経営成績の分析】

当社における財政状態および経営成績の分析は,以下のとおりです。

なお,文中の将来に関する事項は,当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 重要な会計方針および見積り

当社の財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この財務諸表の作成に当っては,一定の会計基準の範囲内で見積りが行なわれ,資産・負債や収益・費用の数値に反映されている部分があります。

 

(2) 財政状態の分析

当事業年度末の資産総額は,368億39百万円で,前事業年度末に比べ49億61百万円減少しました。その内訳としては,流動資産残高が,213億75百万円(前期比32億50百万円減),固定資産残高が,154億64百万円(前期比17億11百万円減)となりました。

流動資産では,製品が17億40百万円増加し,現金及び預金が20億81百万円,有価証券が19億円減少しました。

固定資産では,資金運用による有価証券の売却および評価額の減少により,17億11百万円減少しました。

一方,負債総額は,仕入債務の減少等から,95億71百万円(前期比29億34百万円減)となりました。

純資産の部では,公開買付けにより自己株式が14億42百万円増加し,保有有価証券の時価評価益であるその他有価証券評価差額金が前事業年度末に比べ7億94百万円減少したことから,純資産残高は272億68百万円(前期比20億27百万円減)となりました。

なお,財務指標の面で見ますと,当社は,平成13年3月期から現在に至るまで,無借金経営を継続しており,自己資本比率は,74.0%(前期比4.0ポイント増)と健全な財務体質を維持しています。

 

(3) 経営成績の分析

売上高につきましては,前述の「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載したとおり315億88百万円と前事業年度に比べ10億22百万円減少いたしました。

 

利益につきましては,主力製品であるUHFアンテナやブースターなどの売上が順調に推移したことに加え,海外生産によるコスト削減や工事原価の改善に努めた結果,営業利益は,8億98百万円(前期比5.0%増),経常利益は,10億8百万円(前期比6.4%増)と前年を上回ることができました。また,当期純利益は,繰延税金資産の減少にともなう法人税等調整額の増加により,5億24百万円(前期比7.6%減)となりました。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

① 経営戦略の現状
 テレビ文化の発展とともに成長してきた当社は,地上テレビ放送がアナログからデジタルへ完全移行する変革期をとらえ,さらなる成長に向け,「地上デジタル関連機器の売上拡大」 「新分野の実現」を基本戦略とし,「平成22年3月期までに売上高400億円,経常利益20億円の達成」
を目指す,中期経営計画「

」を掲げています。

(地上デジタル関連機器の売上拡大について) 
 平成19年11月総務省地上デジタル推進全国会議から,「2011年に地上デジタルテレビ放送への完全移行を確実に実施する決意の表明」が示されました。これを受けて,平成20年度から,老朽化したビル・マンションや電波障害対策共同受信施設に対するデジタル改修工事の需要促進の本格化,辺地共同受信施設,山間部等における電波不感地帯のデジタル化へのインフラ整備に拍車がかかります。また,平成20年8月の北京オリンピックをステップとして,さらなる市場拡大も期待されます。 
 当社は,長年培った高周波技術・アンテナ技術を最大限に生かし,競争力のあるアンテナ,デジタルチューナー,STBなどの新製品開発を強化し,市場の期待に応えるとともに,デジタル放送の普及に貢献していきます。 

(新分野の実現について) 
 主な案件として,セキュリティー機器,放送中継機器,ITS関連機器など各分野の研究開発を積極的に進め,新たな事業展開を目指していきます。 
 セキュリティー機器分野では,文部科学省が注力する平成19年度「安全・安心・科学技術プロジェクト」で採択された「ミリ波パッシブ撮像装置(東北大学,中央電子株式会社との共同開発)」を発表しました。これは,人や物から放出されるミリ波帯の信号を画像化する装置で,空港などで使われている金属探知機やX線検査装置に次ぐ,新たなセキュリティー機器として,3年後の製品化を目指しています。 

放送中継機器分野では,放送局の送信所間で地上デジタル放送の番組中継を行う回線(TTL)に用いる送受信機器を製品化し,平成19年10月より,NHKの甲府放送局,水戸放送局,佐賀放送局など,現在5ルートの納入が完了して,当社は新たに放送機器市場へ進出しました。

ITS関連機器分野では,自動車に搭載される電子制御システムの電磁適合性(EMC)試験用として,高周波技術と無線通信技術を応用したEMC強電界アンテナを製品化しました。それとともに,低出力のアンプで高レベルの電界強度を作り出す技術をすでに確立しており,今後は,EMC試験システムの実用化に向け,国内のみならず海外市場にも積極的に取組んでいきます。

これらの新技術・新分野への研究開発を強化するとともに,他社との技術提携を促進し,戦略的業務提携をも視野に入れた積極的な事業展開を図ります。

 

② 次期の見通し

次期の見通しにつきましては,平成23年7月アナログ放送終了を前に,地上デジタル放送関連機器の需要増加が本格化するとともに,北京オリンピックのイベント効果も期待できる良好な市場環境下にあります。こうした環境のなか,当社は地上デジタル放送関連の新製品を積極的に市場投入するとともに,デジタル化に向けた共同受信施設等の工事受注獲得に努め,収益拡大に取組みます。

 





出典: マスプロ電工株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書