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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国経済が堅調な内需により好調であったことや、中国経済が高成長を維持したことなどにより、高い伸びとなりました。日本経済においても、輸出の増加や企業の設備投資の拡大に支えられ、3年連続のプラス成長となりました。
自動車業界においては、主要市場である米国の自動車販売はインセンティブによる下支えもあり堅調に推移し、低迷していた西欧での販売も回復に向かいました。一方アジアでは、中国をはじめインド、アセアンなどでの販売が好調でした。国内においては、排ガス規制特需の反動により、販売は伸び悩んだものの、生産は輸出向けが増加し、3年連続で1,000万台を超えました。このように、好調な経済を背景に世界の自動車販売は総じて増加しました。
こうした状況の中で、当社グループは、常にお客様の視点で最高の“うれしさ”と“やさしさ”を創出すべく、商品、サービスを提供するよう努めてきました。さらに高い目標を達成するために企業体質の一層の強化を目指し、「お客様から信頼いただける魅力あるモノづくりの強化」、「安定的成長を実現するグローバルな事業展開」、そして「グループ総合力を発揮するマネジメントの推進」に積極的に取り組んできました。
「お客様から信頼いただける魅力あるモノづくりの強化」については、環境・安全・快適・利便を重点分野とした革新的な次世代商品の開発、納入先・仕入先との連携を一層深めた品質保証体制の強化、そして高精度加工技術の開発や技能の伝承による強固な生産基盤構築を進めてきました。
環境分野では、地球環境保全に向けて今後普及が期待されるハイブリッド車において、様々な新技術・新製品を開発してきました。当連結会計年度は、これらハイブリッド構成部品のうち、電動コンプレッサ、DC−DCコンバータ、電池監視ユニット、そしてハイブリッドコントロールコンピュータを開発し、ハイブリッド車の性能向上に貢献しました。また、環境負荷物質である水銀を使用しないディスチャージヘッドランプを世界で初めて開発しました。
安全分野では、車線からの逸脱を予防するレーンキーピングアシストシステムにおいて、前方の対象物や道路上の白線を検出する画像センサを開発するなど、安全技術を追求してきました。
快適・利便分野では、車室内の快適空間作りを目指したカーエアコンの開発や、車外との情報通信端末として利便性の飛躍的向上を狙ったカーナビゲーションの開発に取り組んできました。
また、より高い品質の確保を目指して、お客様第一の製品品質を追求するとともに、基本に立ち返り仕事の質を向上すべく、グループをあげて、品質保証マニュアルの遵守状況の点検と改善を図りました。さらに品質を支えるのは「人」という考えのもと、全社的な職場討議を実施し、品質管理者からの「品質へのこだわり」の伝承や、社員各自が自発的に品質向上に向けた行動を宣言し実践するといった活動を通じ、品質意識の高揚と風土の醸成に努めています。
さらに、技能の向上を目的に「モノづくり」の競技会である技能五輪全国大会に当社から24名が参加し、フライス盤、機械組立、精密機器組立などの種目において、金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル3個、敢闘賞3個を獲得し、当社の技能・技術の高さを実証しました。
「安定的成長を実現するグローバルな事業展開」については、お客様のニーズ、期待に的確に応えるべく、グローバル供給体制の確立と積極的な拡販活動を推進してきました。
高水準の成長を続ける中国においては、カーメーカーの増産に的確に対応するため、中国全域での供給体制を整えてきました。まず、天津に、フィルタを生産する天津豊田紡汽車部件有限公司をトヨタ紡織株式会社との共同で設立したほか、カーエアコン用熱交換器とラジエータを生産する電装(天津)空調部件有限公司を設立しました。続いて広州に、ガソリン車用の燃料噴射装置を生産する電装(広州南沙)有限公司を設立し、無錫では、中国初の自動車用点火コイルの生産拠点となる無錫電装阪神汽車部件有限公司を阪神エレクトリック株式会社と共同で設立しました。また、平成16年6月に開催された北京国際モーターショーに初出展し、中国でのプレゼンス向上と拡販強化に取り組むとともに、平成17年1月には、これら中国における新規拠点を確実に立ち上げるべく、社内の中国関係プロジェクトを組織化した「中国事業推進室」を新設しました。
北米においては、カーエアコン用コンプレッサの拡販に対応するため、株式会社豊田自動織機と共同で米国にティーディー・オートモーティブ・コンプレッサー・ジョージア社を設立しました。
ディーゼル車の需要拡大が見込まれる欧州においては、ディーゼル車用エンジン部品の性能評価が現地でも行えるようアーヘンエンジニアリングセンターをデンソー・オートモーティブ・ドイツ社に新設しました。また、車両輸出拠点として成長の期待される南アフリカ共和国でのビジネス基盤を強化するため、現地最大のカーエアコンメーカーであるスミス社に資本参加することで合意しました。
市販・新事業分野では、フロントガラス貼付アンテナの採用によりドライバーの視界を遮らないアンテナ分離型のETC車載器を発売しました。高い信頼性・安全性、小型化、コストダウンなど市場のニーズに対応した新商品を投入してきた結果、平成17年1月には他社に先駆け国内累計出荷台数200万台を達成しました。また、環境にやさしいCO冷媒を用いた家庭用ヒートポンプ式給湯機では、より広い床暖房面積への対応、省スペース化、より高いエネルギー消費効率を実現する3種の新型開発に積極的に取り組み、販売も順調に拡大しています。
「グループ総合力を発揮するマネジメントの推進」については、まず平成16年6月に、意思決定とオペレーションのスピードアップを目的として、取締役会のスリム化・常務役員の新設を柱とした新役員制度を導入しました。平成17年1月には、社会貢献、環境保全など企業の社会的責任をグループ全体で、より高いレベルで果たしていくために「CSR推進室」を設置しました。また、「モノづくりDNA推進準備室」を設置し、デンソー流モノづくりの標準化とそのグローバルな展開と浸透に取り組んでいます。さらに、今後のグローバル化に備え、グループ経営を牽引できる海外人材を育成することを目的とした「海外リーダー人材育成プログラム」を推進しています。
この結果、当連結会計年度の業績については、売上高は2兆7,999億円(前年度比2,375億円増、   9.3%増)と増収になりました。経常利益については、売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化に取り組んだ結果、2,247億円(前年度比285億円増、14.5%増)、当期純利益についても、1,326億円(前年度比226億円増、20.5%増)と過去最高となりました。
所在地別の状況については、日本は、車両生産台数の増加及び海外生産用部品等の輸出増加などにより、売上高は2兆606億円(前年度比1,748億円増、9.3%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により、1,800億円(前年度比265億円増、17.3%増)となりました。
北中南米地域は、円高の影響があるものの、日系車両生産台数の増加及び拡販などにより、売上高は5,802億円(前年度比225億円増、4.0%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益等があるものの、円高の影響、新工場の立上げ・製品切替に伴う費用増等により、236億円(前年度比12億円減、4.8%減)となりました。
欧州地域は、日系車及び欧州車への拡販などにより、売上高は3,741億円(前年度比358億円増、    10.6%増)、営業利益は、合理化努力等があるものの、チェコ工場での立上げ費用増並びに一部欧州車販売不振による操業度低下、ハンガリー工場での増産投資に伴う費用増等により、88億円の損失(前年度43億円の損失)となりました。
豪亜地域は、IMV本格稼動及び日系車両生産台数の増加などにより、売上高は2,909億円(前年度比  673億円増、30.1%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益、合理化努力により、201億円(前年度比52億円増、34.7%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により2,733億円の増加、投資活動により2,688億円の減少、財務活動により201億円の減少などの結果、当連結会計年度末は前年度末と比べ127億円減少し、2,318億円となりました。
営業活動により得られた資金は、売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化等による営業利益の増加(前年度比252億円増)などにより、前年度に比べ415億円増加し、    2,733億円となりました。
投資活動により使用した資金は、有形固定資産の取得による支出の増加(前年度比298億円増)、その他有価証券の売却等による収入の減少(前年度比467億円減)などにより、前年度に比べ741億円増加し、   2,688億円となりました。
財務活動により使用した資金は、自己株式の取得による支出が増加(前年度比45億円増)、配当金の支払額が増加(前年度比40億円増)したものの、社債の償還による支出の減少(前年度比400億円減)などにより、前年度に比べ289億円減少し、201億円となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1) 生産実績
 当連結会計年度の生産実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりです。
製品区分の名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
 
熱機器
936,987
104.0
パワトレイン機器
654,065
111.0
電子機器
429,939
113.3
電気機器
333,941
113.4
モータ
196,695
106.2
ITS
124,778
131.9
その他
43,555
121.1
自動車分野計
2,719,960
109.7
 
産業機器・生活関連機器
60,729
111.3
その他
16,155
83.8
新事業分野計
76,884
104.1
合計
2,796,844
109.5
  (注) 金額は販売価格により算出し、消費税等は含まれていません。
(2) 受注実績
 当社グループはトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期毎に生産計画の提示を受け、当社グ
ループの生産能力を勘案して生産計画を立てるなど、すべて見込生産を行っています。
(3) 販売実績
 当連結会計年度の販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりです。
製品区分の名称
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
前年同期比(%)
 
熱機器
931,568
104.3
パワトレイン機器
646,166
111.2
電子機器
424,377
112.0
電気機器
331,426
113.0
モータ
193,646
106.6
ITS
120,938
130.7
その他
42,677
120.4
自動車分野計
2,690,798
109.6
 
産業機器・生活関連機器
58,920
109.7
その他
50,231
95.6
新事業分野計
109,151
102.7
合計
2,799,949
109.3
  (注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
(自 平成15年4月1日
至 平成16年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
トヨタ自動車㈱
816,295
31.9
883,652
31.6
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
3【対処すべき課題】
(1) グループ全体としての現状の認識について
今後の経済情勢を展望いたしますと、金利上昇などの影響から米国や中国での経済成長が減速し、当連結会計年度よりやや伸びが弱まるものの、世界経済は堅調に推移すると予想されます。しかしながら、原油価格をはじめとした原材料価格の高騰や為替の急激な変動など不安定な要素があり、企業業績への影響が懸念されます。
自動車業界においては、米国をはじめ主要市場での底堅い販売に加え、中国をはじめとしたアジアでは当連結会計年度を上回る販売台数が見込まれるなど、総じて好調に推移すると予想されます。国内においては、カーメーカー各社の新型車投入により販売台数増加が見込まれるとともに、北米向けハイブリッド車の増加などにより高水準な輸出を維持することから、自動車生産は引き続き1,000万台を超えるものと予想されます。
(2) 当面の対処すべき課題の内容及び対処方針
地球環境保全や安全性など自動車に対する社会的責任の高まり、開発競争の熾烈化、そして事業のグローバル化に伴うリスクの増大など当社グループを取り巻く事業環境はますます厳しさを増してきています。
このような状況の中で、2005年度は「DENSO VISION 2005」の最終年度として足元の課題に的確に対処するとともに、新たに策定した「DENSO VISION 2015」の実現に向け、将来への布石を打っていくため、当社は、次の2つを柱として取り組んでいきます。
①お客様に信頼いただけるモノづくり力の向上
②真のグローバル企業に向けた変革の推進
①については、“品質第一”の基本に立ち戻り、1つの不良にもこだわり、たゆまぬ改善を続けるデンソー流モノづくりを世界の拠点に引き続き徹底していきます。そのために、工場マネジメントや技能の核となる人材の育成にも努めていきます。また、チームワークの醸成や業務改善の促進を図ることにより、総智・総力を活かす職場力の向上に取り組んでいきます。
②については、真のグローバル企業を目指し、グローバルな開発体制の構築に取り組むとともに、環境・安全・快適・利便の各分野で時代に先駆けた魅力ある商品創出力の強化に努めていきます。また、グループ総合力の強化に向けて、グループ各社の強みを活かせるよう担当製品・機能を見直すとともに、地域の特性を考慮した先進的なラインづくりに努めるなど、効率的な経営体制の構築に努めていきます。
4【事業等のリスク】
 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成17年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北中南米、欧州、豪亜を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。
当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、当社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪響を及ぼす可能性があります。 
(3)新製品開発力 
当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
・新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
・長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。
・当社グループが顧客からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれ
らの製品の販売が成功する保証はありません。
・新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
・技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。
・現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(4) 価格競争
自動車業界における価格競争はたいへん厳しいものとなっています。特に、完成車メーカーからの価格引き下げ要請は、近年、特に強まってきています。
また、当社グループは、当社グループが属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカーがあり、その一部は当社グループよりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカー等、新しい競合先または既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
当社グループは、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカーであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(5) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産及び販売活動において、北中南米や欧州、ならびに豪亜の発展途上市場や新興市場等の日本国外に占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・予期しない法律または規制の変更
・不利な政治または経済要因
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品や
サービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
・潜在的に不利な税影響
・テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
例えば、当社グループは、中国における生産及び部品調達の規模拡大を続けています。しかし、中国における政治または法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、経済状況の変化など、予期せぬ事象により生産設備の管理やその他の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
(6) OEM(注)顧客企業の業績への依存
当社グループの事業の大部分を占めるOEM事業は、世界中の自動車メーカーを対象としており、提供する製品は、空調関連製品、エンジン関連製品、安全走行関連製品、情報通信関連製品等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客の価格引き下げ要請は、当社グループの利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、OEM顧客の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上の約半分を、トヨタグループ向け売上が占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。
 (注)Original Equipment Manufacturingの略称。自動車メーカー向けの部品供給。 
(7) 製品の欠陥
当社グループは世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(8) 災害や停電等による影響
当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。
(9) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。 
5【経営上の重要な契約等】
 経営上の重要な契約として次の技術導入契約があります。
契約会社名
相手方の名称
契約品目
契約内容
契約期間
対価の支払
㈱デンソー
(当社)
ドイツ
ロバートボッシュ社
アンチロックブレーキ/トラクション
コントロールシステム
特許実施権の許与
技術情報の提供
自 平成4年11月10日
至 平成17年5月7日
売上高の一定割合
米国テキサス・インスツルメンツ社
半導体装置
特許実施権の許与
自 平成8年1月1日
至 平成17年12月31日
米国モディーン社
パラレルフローコンデンサ
自 平成4年8月24日
至 平成20年3月12日
契約製品1台につき一定金額
6【研究開発活動】
当社グループは、“新しい価値の創造を通じて、人々の幸福に貢献する。”ことを使命とし、様々な研究開発活動に取り組んでいます。当社グループの研究開発は、自動車分野における環境、安全、快適、利便などの機能を高める技術開発にとどまらず、自動車の新しい社会基盤として期待されるITS(高度道路交通システム)の実現やさらに自動車分野で培った技術とノウハウをベースに産業機器及び生活関連機器分野にも展開しています。
自動車分野では平成16年度にITS世界会議、東京モーターショー(商用車)に出展し、当社の技術、製品が先の4つの各機能にどのように関わり、貢献するかを紹介しました。また、グローバルな開発体制を構築するため欧州・アジアの開発体制を強化しています。欧州では現地開発力を一層強化するため、デンソー・オートモーティブ・ドイツ社でカーエアコン実験施設及び材料評価機能を拡張・強化しました。さらに同社内にアーヘンエンジニアリングセンターを新設し、ディーゼル車用エンジン部品の適合・性能評価といったアプリケーション設計を行っていきます。アジアでは、日本向けの部品設計、シミュレーションなどを行うデザインセンター事業をデンソー・マニュファクチュアリング・ベトナム社で進めており、今後も体制を強化していきます。 
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は238,241百万円です。
当連結会計年度の成果として、自動車分野では、株式会社小糸製作所とトヨタ自動車株式会社との共同で、環境負荷物質である水銀を使用しないディスチャージヘッドランプを世界で初めて開発し、新型車に採用されました。従来のディスチャージヘッドランプの心臓部には、ごく微量の水銀が含まれており、環境面からその使用廃止が求められていますが、この代替技術の開発は容易ではなく、平成15年に施行された環境負荷物質の使用を禁止した欧州ELV(End of Life Vehicle)指令においても、技術的困難さから除外対象とされています。今回、「環境の時代」にディスチャージヘッドランプの水銀フリー化は避けて通れないとの共通認識のもと、共同で研究開発を進め、製品化しました。
また、豊田紡織株式会社(現 トヨタ紡織株式会社)との共同で、軽量・コンパクトで低コストな吸気システムを開発しました。この吸気システムは樹脂製シリンダヘッドカバー一体エアクリーナと樹脂製インテークマニホールドで構成しており、従来品に比べて重さで30%、体積で20%低減し、あわせて大幅なコスト低減も実現しています。さらには六価クロムなどの環境負荷物質を使用していないため、欧州ELV指令にも適合しています。
このほかにもバス車両用に可変容量コンプレッサを搭載したクーラシステムを開発しました。この可変容量コンプレッサを搭載したクーラシステムは、必要な冷房能力に応じてコンプレッサの容量を最適になるよう連続的に変化させるため、コンプレッサの動力を最小限に抑え、従来のシステムに比べてバスクーラで使用する燃料消費量を約30 %削減することができ、車の燃費向上に貢献します。あわせて連続的にコンプレッサが稼働するので、単にON−OFFする従来の固定容量式に比べてエンジン回転への急激な影響を与えないため、なめらかな走行ができるとともに、冷風の吹き出し温度の変化が少なくなり、より快適な空調が実現できます。
当事業分野における研究開発費は232,430百万円です。
新事業分野では、東京電力株式会社との共同で、従来の家庭用自然冷媒(CO)給湯機「エコキュート」に対し、省スペース給湯機(業界最薄400mm)、従来より大幅に広い床暖房面積に対応できる多機能型給湯機及びエネルギー効率の高いソーラーハイブリッドシステム給湯機の3種類の新型エコキュートを開発しました。これにより設置自由度の向上、使い勝手の向上、一層の省エネの実現といった様々なご要望にお応えできると考えています。
また、製造現場で柔軟かつ手軽に導入できるよう小型化・省エネ化を一段と進めた垂直多関節ロボット「VP−Fタイプ」を開発しました。「VP−Fタイプ」は、ますます小型化・高密度化が進む製造分野でのロボット化ニーズに的確に対応するために開発したロボットです。 
当事業分野における研究開発費は5,811百万円です。
このように、当社グループは自動車に対する時代のニーズに応え,独自技術で支えられた競争力ある新製品を開発し続けるとともに、自動車で培った技術を応用して自動車以外の分野にも挑戦し続けるために、幅広い技術分野について基礎研究から製品開発まで積極的に活動を進めています。
7【財政状態及び経営成績の分析】
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 製品保証引当金
当社グループは、収益を認識する時点で、製品のアフターサービス費用の見積額を過去の実績に基づいて計上しています。お客様に満足して頂ける製品を提供するため、開発、設計、生産の各ステップで徹底した品質確認を行い信頼性の高い製品作りに努めていますが、当社グループの製品保証債務は、製品不良率及び製品不良を修理する際に発生する修理コストに影響されます。従って、実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
②  退職給付引当金
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。親会社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は在籍従業員の残存勤務期間に相当する日本の国債の発行利回りを加味して算出しています。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの年金費用に対して悪影響を及ぼします。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、純繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要 
当連結会計年度の世界経済は、米国経済が堅調な内需により好調であったことや、中国経済が高成長を維持したことなどにより、高い伸びとなりました。日本経済においても、輸出の増加や企業の設備投資の拡大に支えられ、3年連続のプラス成長となりました。
自動車業界においては、主要市場である米国の自動車販売はインセンティブによる下支えもあり堅調に推移し、低迷していた西欧での販売も回復に向かいました。一方アジアでは、中国をはじめインド、アセアンなどでの販売が好調でした。国内においては、排ガス規制特需の反動により、販売は伸び悩んだものの、生産は輸出向けが増加し、3年連続で1,000万台を超えました。このように、好調な経済を背景に世界の自動車販売は総じて増加しました。
また為替レートについては、米ドル、ユーロに対する平均円レートは、それぞれ107円、134円と、前年度に比べそれぞれ4.5%の円高、2.3%の円安となりました。  
このような環境のもと、当連結会計年度の売上高は、堅調な国内車両生産及び北中南米・豪亜における日系車両生産台数の増加及び積極的な営業活動により、前年度と比べて2,375億円(9.3%)増収の     2兆7,999億円となりました。経常利益については、売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化に取り組んだ結果、前年度と比べて285億円(14.5%)増益の   2,247億円となりました。当期純利益は、遊休資産となった土地の減損及び投資有価証券の評価損などの特別損失13億円を計上したものの、前年度と比べて226億円(20.5%)増益の1,326億円となりました。
② 売上高
売上高は、前年度と比べて2,375億円(9.3%)増収の2兆7,999億円となりました。
所在地別については、日本は、車両生産台数の増加及び海外生産用部品等の輸出増加などにより、前年度比1,748億円(9.3%)増収の2兆606億円となりました。
北中南米地域は、円高の影響があるものの、日系車両生産台数の増加及び拡販などにより、前年度比225億円(4.0%)増収の5,802億円となりました。
欧州地域は、日系車及び欧州車への拡販などにより、前年度比358億円(10.6%)増収の3,741億円となりました。
豪亜地域は、IMV本格稼動及び日系車両生産台数の増加などにより、前年度比673億円(30.1%)増収の2,909億円となりました。
製品別については、熱機器は、日本での車両生産の増加、北米での拡販、豪亜でのIMV拡販・日系車両好調により、前年度と比べて4.3%増収の9,315億円となりました。 
パワトレイン機器は、欧州・豪亜に日系車向けディーゼル関係製品、吸気モジュール、駆動系製品、VCTといった機能品が好調で、前年度比11.2%増収の6,461億円となりました。
電子機器は、キーレスエントリーシステム、タイヤプレッシャモニタリングシステムなどのボデーエレクトロニクス製品、各種センサなど、自動車の高機能化に対応した新製品の拡販により、前年度比12.0%増収の4,243億円となりました。
電気機器は、トラクションコントロール、VSC、ブレーキアシスト機能付きABS、サイドエアバッグシステム等安全関連高機能製品の装着率増加により、前年度比13.0%増収の3,314億円となりました。
モータは、ワイパシステム、パワーシート用モータ、スライドドアクローザー用モータの増加により前年度比6.6%増収の1,936億円となりました。
ITSは、カーナビゲーションシステムの販売好調、日本市場でのETC普及率の上昇により、前年度比  30.7%増収の1,209億円となりました。
自動車分野の前年度比増収分2,346億円は、主に上記の6製品グループの増収分です。         
③ 営業利益
営業利益は、前年度と比べて252億円(13.4%)増益の2,138億円となりました。
所在地別については、日本は、期間従業員の増加による労務費増、米ドルに対し円高による為替差損等があるものの、売上増による操業度差益、合理化努力等により、前年度比265億円(17.3%)増益の1,800億円となりました。
北中南米地域は、売上増による操業度差益等があるものの、円高の影響、新工場の立上げ及び製品切り替えに伴う費用増加等により、前年度比12億円(4.8%)減益の236億円となりました。
欧州地域については、売上増による操業度差益及び合理化努力があるものの、チェコ工場の立上げ費用増及びハンガリー工場でのコモンレール式ディーゼル噴射システムの生産能力増強費用等により、88億円(前年度は 43億円の営業損失)の損失となりました。
豪亜地域は、IMV本格稼動及び日系車両生産台数の増加に伴う売上増による操業度差益及び合理化努力等により、前年度比52億円(34.7%)増益の201億円となりました。  
④ 営業外損益(営業外収益・費用)
営業外損益は、前年度に比べ33億円(42.4%)増加し109億円となりました。主な要因は、円安に伴う為替差益等によるものです。 
⑤ 経常利益
経常利益は、前述の要因により、前年度に比べて285億円(14.5%)増益の2,247億円となりました。 
⑥ 特別損益(特別利益・損失)
特別損益は、当連結会計年度は、遊休資産となった土地の減損及び投資有価証券の評価損により13億円の損失となりました。前年度は、主に提出会社における厚生年金代行部分返上に伴う利差損の一括処理などにより 104億円の損失でした。 
⑦ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前述の要因により、前年度に比べ376億円(20.2%)増加し2,234億円となりました。 
⑧ 法人税等及び法人税等調整額
法人税等及び法人税等調整額は、前年度に比べ149億円(21.7%)増加し、833億円となりました。税金等調整前当期純利益に対する比率は、前年度の36.8%から37.3%に増加しました。  
⑨ 少数株主利益
少数株主利益は、主として一部の国内子会社及びアジアの子会社における少数株主に帰属する利益からなり、前年度に比べ1億円(1.2%)増加し75億円となりました。
⑩ 当期純利益 
当期純利益は、226億円(20.5%)増加し、1,326億円となり、ROEは前年度の7.6%から8.4%に上昇しました。1株当たり当期純利益は前年度の130.02円に対し159.02円となりました。  
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて415億円(17.9%)多い2,733億円の現金及び現金同等物(純額)を得ました。これは主に売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化等により営業利益が増加(前年度比252億円増)したことによるものです。 
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前年度と比べて741億円(38.1%)多い2,688億円の現金及び現金同等物(純額)を使用しました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加(前年度比298億円増)し、その他有価証券の売却等による収入が減少 (前年度比467億円減)したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前年度と比べて289億円(59.0%)少ない201億円の現金及び現金同等物(純額)を使用しました。これは主に、自己株式の取得による支出が増加(前年度比45億円増)、配当金の支払額が増加(前年度比40億円増)したものの、社債の償還による支出が減少(前年度比  400億円減)したことによるものです。 
この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物(純額)の期末残高は、前年度に比べ127億円     (5.2%)減少し2,318億円となりました。
② 財務政策
当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じて借入による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、当社グループの設備投資資金について、主として内部資金により充当しました。 
平成16年6月に開催された定時株主総会の決議に基づき、当社グループは、当連結会計年度に910万株の自己株式を238億円で市場より購入しました。また、平成17年6月22日に開催された定時株主総会において平成18年6月に開催される定時株主総会までの間に、上限1,000万株あるいは上限270億円の自己株式の取得枠が決議されています。なお、実際の自己株式の取得規模は、当社グループの財政状態や株価によります。
当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。




出典: 株式会社デンソー、2005-03-31 期 有価証券報告書