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セクション一覧
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、原油価格の高騰もありましたが総じて堅調に推移しました。米国経済は旺盛な国内需要により好調であり、中国経済は輸出と設備投資が牽引し、高成長となりました。日本においても、景気は緩やかに回復を続けました。
自動車業界においては、堅調な経済を背景に世界の自動車販売は増加しました。主要市場である米国ではガソリン価格が高騰するなか日本車の販売は好調であり、市場全体でも高水準な自動車販売となりました。一方アジアでは、一部原油価格高騰の影響を受けたものの、総じて好調な販売が続きました。国内においては、販売は引き続き低水準で推移しましたが、自動車生産は輸出向けが好調で、4年連続で1,000万台を超えました。
このような状況の中、当社グループは、「DENSO VISION 2015」のなかで目指している “やさしさ”と“うれしさ”を世界の人々へお届けできる商品、サービスの提供に努めてきました。また、「お客様に信頼いただけるモノづくり力の向上」と、「真のグローバル企業に向けた変革の推進」を重点方針として、企業体質の一層の強化に向け、グループの総力をあげ、取り組んできました。
「お客様に信頼いただけるモノづくり力の向上」では、“品質第一”の基本に立ち戻り、当社グループが一体となり、品質向上を支える基盤技術の開発を推進するなど、徹底した品質向上活動を行ってきました。さらに海外生産の急拡大に伴いデンソー流モノづくりのノウハウを海外拠点に移植することが緊急の課題となっており、当社内から広くモノづくりの英知・経験を集め、従来の“カン”や“コツ”に頼っていた技能を、世界レベルで標準化、データベース化し、デンソーモノづくりDNAとして世界の拠点に展開しています。具体的にはタイにおいて、当社グループの従業員を対象にした人材育成施設を設立し、“モノづくりは人づくり”をコンセプトに、技能者養成を推進しています。また、当社がこれまで培ってきた価値観・信念である“デンソースピリット”を世代・国境を超えて共有するために、これを明文化し、日常の活動の中での浸透活動を推進するなど、総智・総力を活かした職場力の向上に努めています。
 
「真のグローバル企業に向けた変革の推進」では、グローバルな開発体制の構築に取り組むとともに、環境・安全・快適・利便の各分野で、時代に先駆けた魅力ある商品創出力の強化に努めてきました。環境面では、ディーゼルエンジン用の燃料噴射システムとして新開発のピエゾインジェクタを採用した1800気圧コモンレールシステム(ディーゼルエンジン用燃料噴射システム)をトヨタ自動車株式会社と共同で、世界で初めて開発しました。また、エンジンの出力向上と、排出ガス中の有害成分である粒子状物質(PM)と、窒素酸化物(NOx)の抑制を同時に実現しました。
安全・利便面では、車両に不正に侵入した人物の写真を撮影し、その画像をユーザーに通報するリモートセキュリティシステムを、トヨタ自動車株式会社と共同で開発しました。このシステムは平成17年8月より発売されたレクサス「GS」に搭載されています。ここで使用されているデータ通信モジュールは不正侵入を情報センターに通報するだけでなく、エアバッグシステムと連動し、エアバッグ作動情報を情報センターに送信して事故を通報するなど、車両と情報センターとの高速インターネット通信を可能にしています。
快適面では、2重管式内部熱交換器を用いたカーエアコンシステムを開発し、冷房能力を最大12%向上させました。
 
こうした当社グループの商品開発力を将来に向けてさらに強化する目的で、平成18年1月に事業グループの再編を行いました。これは平成11年に事業グループ制を導入して以来、初めての再編で、従来の4事業グループから、パワトレイン機器、電気機器、電子機器、熱機器、新設の情報安全の5事業グループとしました。この中で電気機器グループはクルマの電気関連の製品を一括りにし、ハイブリッドを含むパワーエレクトロニクスのシナジー効果を図ります。また情報安全グループは、従来分かれていた情報関連と安全関連の事業部を統合して一つのグループの下におき、運転支援の視点からシステム開発を推進していきます。
つぎに重点市場への取り組みについてご説明します。
 当社グループは、お客様のニーズに対応し、当連結会計年度は国内外で生産工場の新設及び増強を実施し、供給体制の充実を図ってきました。
まず、国内では今後の戦略製品を生産する3拠点での増強を行いました。幸田製作所においては、エレクトロニクス製品の装着率の増加によりICの生産能力を増強するため、ウエハ工場の増設を実施しました。また北九州製作所を分社化し、既存のカーエアコンに加え、ディーゼル車用燃料噴射装置であるコモンレールシステムのインジェクタ部品を追加することとしました。これはクリーンディーゼル化の流れに乗り、欧州市場を中心に大幅な需要増が見込まれるコモンレールシステムの構成品であるインジェクタの重要機能部品を生産し、西尾、善明製作所と並ぶ世界供給基地としていく構想によるものです。さらに大安製作所においては、車両生産台数及び安全・環境関連部品装着率の増加に対応するため、安全システム用センサとセラミック部品の生産工場を増設することとしました。
つぎに海外では、躍進著しい中国において、4つの生産工場を設立しました。
 コンプレッサを生産する豊田工業電装空調圧縮機(昆山)有限公司を株式会社豊田自動織機、豊田通商株式会社と共同で設立したほか、オイルフィルタを生産する佛山豊田紡織汽車零部件有限公司をトヨタ紡織株式会社と共同で設立、またカーナビゲーションシステムを生産する電装(天津)汽車導航系統有限公司、メータを生産する天津豊星電子有限公司を設立しました。
 北米においては、近年、自動車への装着率が増加しているエレクトロニクス製品を生産するデンソー・マニュファクチュアリング・テネシー社で、生産能力を増強するための工場の増設を実施することとし、米国顧客の需要に迅速に応えられる供給体制を構築していきます。
この結果、当連結会計年度の業績については、円安効果もあり売上高は3兆1,883億円(前年度比   3,884億円増、13.9%増)と増収になりました。経常利益については、素材費の高騰があるものの売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化に取り組んだ結果、2,831億円(前年度比583億円増、25.9%増)、当期純利益についても、英国退職給付会計基準変更時差異の償却に伴う特別損失等があるものの、1,696億円(前年度比370億円増、27.9%増)と過去最高となりました。
所在地別の状況については、日本は、車両生産台数の増加及び海外生産用部品等の輸出増加などにより、売上高は2兆2,890億円(前年度比2,284億円増、11.1%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により、2,077億円(前年度比277億円増、15.4%増)となりました。
北中南米地域は、日系車両生産台数の増加及び拡販などにより、売上高は6,904億円(前年度比1,102億円増、19.0%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益等があるものの、労務費の増加・製品構成の変化等により、219億円(前年度比18億円減、7.5%減)となりました。
欧州地域は、日系車及び欧州車への拡販などにより、売上高は4,230億円(前年度比490億円増、
13.1%増)、営業利益は、チェコ並びにハンガリー工場の本格稼動に伴う売上増加及び合理化努力等により、16億円の黒字(前年度88億円の損失)となりました。
豪亜地域は、IMV本格稼動及び日系車両生産台数の増加などにより、売上高は3,951億円(前年度比  1,042億円増、35.8%増)、営業利益は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により、367億円(前年度比166億円増、82.9%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により3,686億円の増加、投資活動により3,189億円の減少、財務活動により255億円の増加などの結果、当連結会計年度末は前年度末と比べ818億円増加し、3,136億円となりました。
営業活動により得られた資金は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により営業利益が増加(前年度比  527億円増)したことなどにより、前年度に比べ953億円増加し、3,686億円となりました。
投資活動により使用した資金は、有形固定資産の取得による支出の増加(前年度比511億円増)したことなどにより、前年度に比べ502億円増加し、3,189億円となりました。
財務活動により得られた資金は、配当金の支払額が増加(前年度比93億円増)しましたが、短期借入金による資金調達額が増加(前年度比218億円増)したこと及び自己株式の取得による支出が減少(前年度比238億円減)したことなどにより、255億円(前年度は201億円の支出)となりました。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1) 生産実績
 当連結会計年度の生産実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりです。
製品区分の名称
当連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
 
熱機器
1,032,993
110.2
パワトレイン機器
776,064
118.7
電子機器
492,331
114.5
電気機器
366,692
109.8
モータ
230,032
116.9
ITS
152,050
121.9
その他
40,502
93.0
自動車分野計
3,090,664
113.6
 
産業機器・生活関連機器
70,831
116.6
その他
13,778
85.3
新事業分野計
84,609
110.0
合計
3,175,273
113.5
  (注) 1. 金額は販売価格により算出し、消費税等は含まれていません。
    2. 平成18年1月に事業グループの再編を行いましたが、前連結会計年度の事業区分により開示しておりま
      す。
(2) 受注実績
 当社グループはトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期毎に生産計画の提示を受け、当社グ
ループの生産能力を勘案して生産計画を立てるなど、すべて見込生産を行っています。
(3) 販売実績
 当連結会計年度の販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりです。
製品区分の名称
当連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
 
熱機器
1,031,952
110.8
パワトレイン機器
766,912
118.7
電子機器
486,785
114.7
電気機器
364,840
110.1
モータ
224,731
116.1
ITS
150,866
124.7
その他
40,731
95.4
自動車分野計
3,066,817
114.0
 
産業機器・生活関連機器
70,258
119.2
その他
51,255
102.0
新事業分野計
121,513
111.3
合計
3,188,330
113.9
  (注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
(自 平成16年4月1日
至 平成17年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
トヨタ自動車㈱
883,652
31.6
990,333
31.1
2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
3.平成18年1月に事業グループの再編を行い、前連結会計年度の事業区分により開示しております。 
3【対処すべき課題】
(1) グループ全体としての現状の認識について
今後の経済情勢を展望しますと、引き続き、堅調に推移すると予想されます。
  自動車業界においては、世界の自動車販売は、米国をはじめ主要市場での底堅い販売の中、引き続き中国をはじめとしたアジアなどでの販売増加により、当連結会計年度を上回ると予想されます。
国内においては、販売は景気回復や新型車及びモデルチェンジ車投入効果による増加が期待でき、輸出も北米向けハイブリッド車などにより高水準を維持することから、自動車生産は引き続き1,000万台を超えるものと予想されます。
  堅調な世界経済を前提とした自動車販売を想定してはいますが、原油価格をはじめとした原材料価格の高騰や為替の急激な変動など不安定な要素もあり、今後の動向を注視する必要があると認識しています。
(2) 当面の対処すべき課題の内容及び対処方針
地球環境保全や安全性など自動車に対する社会的ニーズの高まり、競争の熾烈化、事業のグローバル化に伴うリスクの増大など当社グループを取り巻く事業環境はますます厳しさを増してきています。
このような状況の中で、平成18(2006)年度は「DENSO VISION 2015」の実現に向けた活動を本格的にスタートさせる年と位置づけ、より高いレベルへの革新を目指し、次の2つを柱としてグループを挙げて取り組んでいきます。
①先進的なクルマ社会創造への貢献
②真のグローバル企業への進化
①については、お客様の安心と満足を獲得できる品質保証体制の強化、クルマ視点で“デンソー発の業界標準”となるシステム開発及びコンポーネントの開発や、地域・車格に応じた最適製品の開発に取り組んでいきます。カーメーカーと長期的な信頼関係構築につながる提案活動を積極的に行っていきます。
②については、安全かつ強靭な製造体質の実現に取り組むとともに、全世界のグループ会社でデンソー流モノづくりの定着活動を進め、グローバルな生産・調達体制の構築を行っていきます。それにより、地域の自律性と効率性を高めるグループ経営体質確立に取り組むとともに、当社グループ10万人のやる気と能力を引き出す職場づくりに努めていきます。
4【事業等のリスク】
 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成18年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北中南米、欧州、豪亜を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。
当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、当社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪響を及ぼす可能性があります。 
(3)新製品開発力 
当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
・新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
・長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
・当社グループが顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれ
らの製品の販売が成功する保証はありません。
・新たに開発した製品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
・技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。
・現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(4) 価格競争
自動車業界における価格競争はたいへん厳しいものとなっています。特に、完成車メーカーからの価格引き下げ要請は、近年、特に強まってきています。
また、当社グループは、当社グループが属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカーがあり、その一部は当社グループよりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカー等、新しい競合先又は既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
当社グループは、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカーであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 
(5) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産及び販売活動において、北中南米や欧州、並びに豪亜の発展途上市場や新興市場等の日本国外に占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・予期しない法律又は規制の変更
・不利な政治又は経済要因
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、又は当社グループの製品や
サービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
・潜在的に不利な税影響
・テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
例えば、当社グループは、中国における生産及び部品調達の規模拡大を続けています。しかし、中国における政治又は法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、経済状況の変化など、予期せぬ事象により生産設備の管理やその他の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
(6) OEM(注)顧客企業の業績への依存
当社グループの事業の大部分を占めるOEM事業は、世界中の自動車メーカーを対象としており、提供する製品は、空調関連製品、エンジン関連製品、安全走行関連製品、情報通信関連製品等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客の価格引き下げ要請は、当社グループの利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、OEM顧客の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上の約半分を、トヨタグループ向け売上が占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。
 (注)Original Equipment Manufacturingの略称。自動車メーカー向けの部品供給。 
(7) 製品の欠陥
当社グループは世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(8) 災害や停電等による影響
当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。
(9) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。 
5【経営上の重要な契約等】
 経営上の重要な契約として次の技術導入契約があります。
 
契約会社名
相手方の名称
契約品目
契約内容
契約期間
対価の支払
㈱デンソー
(当社)
ドイツ
ロバートボッシュ社
アンチロックブレーキ/トラクション
コントロールシステム/ビークルスタビリティコントロール/パワーアシストブレーキ
特許実施権の許与
 
自 平成17年5月8日
至 平成32年3月15日
売上高の一定割合
(注)1.米国テキサス・インスツルメンツ社との半導体装置に関わる技術導入契約につきましては、平成17年12月31日付にて契約期間が満了となりました。
   2.米国モディーン社とのパラレルフローコンデンサに関わる技術導入契約につきましては、経営上の重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より記載を省略しています。
6【研究開発活動】
当社グループ(当社及び連結子会社)は、クルマ社会全体の視点及びエンドユーザーの視点から生まれるコンセプトに基づき、お客様に喜ばれる革新的な商品の創出に努めてまいりました。特に現在は、環境負荷や交通事故のないクルマ社会と快適なドライブやクルマの利便性、すなわち当社グループが目指している“やさしさ”と“うれしさ”を実現させるため、「環境・安全・快適・利便」分野を主眼とした技術開発を推進しています。
また昨年開催されました第39回東京モーターショーでは、当社の主要製品約70点を搭載した自動車模型を展示し、エンジン関連部品から電子・電気機器、空調、ITS・安全まで当社が幅広く技術開発に取り組んでいることをわかりやすく紹介しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,563億円です。
当連結会計年度の成果として、自動車分野では、ハイブリッド車用部品として「ハリアーハイブリッド」及び「クルーガーハイブリッド」に続き、レクサス「GS450h」用として、DC-DCコンバータ、電池監視ユニット、システムメインリレーを開発しました。ハイブリッド車は、エンジンと電動モータを組み合わせることにより、低燃費、動力性能の向上を実現している反面、ガソリン車と比べ部品点数が多いため、各部品の性能向上、小型軽量化が求められています。これらのニーズに応えるため、当社グループはこれまでの経験を生かし、新技術・新製品の開発を今後も続けていきます。
また、2重管式内部熱交換器を用いたカーエアコンシステムを開発しました。このカーエアコンは従来別々の2本の冷媒配管で構成されていたものを内管と外管から構成される1本の2重管にし、冷凍サイクル中の冷媒の温度差を利用して内部熱交換する事により冷房能力の向上を図るものです。同じ動力で駆動した場合に比べて、冷房能力を5〜12%向上する事ができます。
このほか、ディーゼルエンジン用燃料噴射システムとして、新開発のピエゾインジェクタを採用した1800気圧コモンレールシステムを、トヨタ自動車株式会社と共同で世界で初めて開発しました。現在、1800気圧コモンレールシステムは、世界最高の燃料噴射圧で、1回の燃焼で最大5回の噴射を行う高精度複数回噴射が可能で、これによりエンジン出力の向上、排出ガス中の有害成分である粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)の発生抑制を同時に達成することができました。
当事業分野における研究開発費は2,492億円です。
新事業分野では、当社のFA(ファクトリーオートメーション)等の産業機器事業分社である、株式会社デンソーウェ−ブで、ロボット動作の頭脳であるコントローラを一新して、産業用ロボットの主力シリーズである「デンソーロボット Gタイプ」を一斉にモデルチェンジしました。この「デンソーロボット Gタイプ」に採用した新型コントローラは、新CPUの採用によって、プログラム処理速度を当社従来比の約5倍に向上させ、生産設備として必要となるロボット周辺機器制御の高速化を実現したものです。 
当事業分野における研究開発費は71億円です。
このように、当社グループは先進性に富み、高い機能性、品質を備えた製品を生み出し、人々の幸福に貢献することを目指しています。
7【財政状態及び経営成績の分析】
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
① 製品保証引当金
当社グループは、収益を認識する時点で、製品のアフターサービス費用の見積額を過去の実績に基づいて計上しております。お客様に満足して頂ける製品を提供するため、開発、設計、生産の各ステップで徹底した品質確認を行い信頼性の高い製品作りに努めておりますが、当社グループの製品保証債務は、製品不良率及び製品不良を修理する際に発生する修理コストに影響されます。従って、実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
②  退職給付引当金
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれます。親会社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は在籍従業員の残存勤務期間に相当する日本の国債の発行利回りを加味して算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。
③ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、純繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要 
当連結会計年度の世界経済は、原油価格の高騰もありましたが総じて堅調に推移しました。米国経済は旺盛な国内需要により好調であり、中国経済は輸出と設備投資が牽引し、高成長となりました。日本においても、景気は緩やかに回復を続けました。
自動車業界においては、堅調な経済を背景に世界の自動車販売は増加しました。主要市場である米国ではガソリン価格が高騰するなか日本車の販売は好調であり、市場全体でも高水準な自動車販売となりました。一方アジアでは、一部原油価格高騰の影響を受けたものの、総じて好調な販売が続きました。国内においては、販売は引き続き低水準で推移しましたが、自動車生産は輸出向けが好調で、4年連続で1,000万台を超えました。
また為替レートについては、米ドル、ユーロに対する平均円レートは、それぞれ113円、137円と、前年度に比べそれぞれ5.6%の円安、2.2%の円安となりました。  
このような環境のもと、当連結会計年度の売上高は、堅調な国内車両生産及び北中南米・豪亜における日系車両生産台数の増加及び積極的な営業活動により、前年度と比べて3,884億円(13.9%)増収の      3兆1,883億円となりました。経常利益については、売上増加による操業度差益に加え、コスト低減努力など経営全般にわたる合理化・効率化に取り組んだ結果、前年度と比べて583億円(25.9%)増益の  2,831億円となりました。当期純利益は、英国退職給付会計基準変更時差異償却額、子会社における工場移転費用、遊休資産となった土地の減損損失及び投資有価証券評価損による特別損失122億円を計上したものの、前年度と比べて370億円(27.9%)増益の1,696億円となりました。
② 売上高
売上高は、前年度と比べて3,884億円(13.9%)増収の3兆1,883億円となりました。
所在地別については、日本は、車両生産台数の増加及び海外生産用部品等の輸出増加などにより、2,284億円(11.1%)増収の2兆2,890億円となりました。
北中南米地域は、日系車両生産台数の増加及び拡販などにより、前年度比1,102億円(19.0%)増収の6,904億円となりました。
欧州地域は、日系車及び欧州車への拡販などにより、前年度比490億円(13.1%)増収の4,230億円となりました。
豪亜地域は、IMV本格稼動及び日系車両生産台数の増加などにより、前年度比1,042億円      (35.8%)増収の3,951億円となりました。
製品別については、熱機器は、輸出増、北米での拡販、豪亜での日系車両好調に加え、欧州顧客の生産増もあり、前年度と比べて10.8%増収の1兆320億円となりました。
パワトレイン機器は、欧州・豪亜でのディーゼルコモンレールシステム、ハイブリッド関連製品が好調で、前年度比18.7%増収の7,669億円となりました。
電子機器は、国内及び海外日系車生産増、クルマのエレクトロニクス化の進展に伴い、メータ、エンジンECU、ボデーECU、センサなどが好調で、前年度比14.7%増収の4,868億円となりました。
電気機器は、オルタネータ等電装品及び電動パワーステアリングECU、VSC等安全関連製品の拡販により、前年度比10.1%増収の3,648億円となりました。
モータは、ワイパシステム、パワーシート用モータ、スライドドアクローザー用モータ等の拡販により前年度比16.1%増収の2,247億円となりました。
ITSは、北米・欧州でのカーナビゲーションの拡販で、前年度比24.7%増収の1,509億円となりました。
自動車分野の前年度比増収分3,760億円は、主に上記の6製品グループの増収分です。         
③ 営業利益
営業利益は、前年度と比べて527億円(24.6%)増益の2,666億円となりました。
所在地別については、日本は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により、前年度比277億円  (15.4%)増益の2,077億円となりました。
北中南米地域は、売上増加による操業度差益等があるものの、労務費の増加・製品構成の変化等により、前年度比18億円(7.5%)減益の219億円となりました。
欧州地域については、チェコ並びにハンガリー工場の本格稼動に伴う売上増加及び合理化努力等により、16億円の黒字(前年度88億円の損失)となりました。
豪亜地域は、売上増加による操業度差益、合理化努力等により、前年度比166億円(82.9%)増益の 367億円となりました。
④ 営業外損益(営業外収益・費用)
営業外収支は、前年度に比べ56億円(51.8%)増加し165億円となりました。主な要因は、円安に伴う為替差益等によるものです。 
⑤ 経常利益
経常利益は、前述の要因により、前年度に比べて583億円(25.9%)増益の2,831億円となりました。 
⑥ 特別損益(特別利益・損失)
特別損益は、当連結会計年度は、日本の当社グループ会社の厚生年金基金代行返上益があるものの、英国退職給付会計基準変更時差異償却額、子会社における工場移転費用、遊休資産となった土地の減損損失及び投資有価証券の評価損により112億円の損失となりました。
⑦ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前述の要因により、前年度に比べ484億円(21.7%)増加し2,719億円となりました。 
⑧ 法人税等及び法人税等調整額
法人税等及び法人税等調整額は、前年度に比べ75億円(9.0%)増加し、908億円となりました。税金等調整前当期純利益に対する比率(実効税率)は、前年度の37.3%から33.4%に減少しました。主な要因は、海外子会社の税率差及び外国税額控除等により比率が低下したことによるものです。  
⑨ 少数株主利益
少数株主利益は、主として一部の国内子会社及びアジアの子会社における少数株主に帰属する利益からなり、前年度に比べ39億円(51.6%)増加し114億円となりました。
⑩ 当期純利益 
当期純利益は、前年度に比べ370億円(27.9%)増加し、1,696億円となり、ROEは前年度の8.4%から9.4%に上昇しました。1株当り当期純利益は前年度の159.02円に対し204.80円となりました。  
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて953億円多い3,686億円の現金及び現金同等物(純額)を得ました。これは主に売上増加による操業度差益、合理化努力等により営業利益が増加(前年度比527億円増)したことなどによるものです。 
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて502億円多い3,189億円の現金及び現金同等物(純額)を使用しました。これは主に有形固定資産の取得による支出の増加(前年度比511億円増)したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、255億円の現金及び現金同等物(純額)を得ました。(前年度は201億円を使用しました。)これは主に配当金の支払額が増加(前年度比93億円増)しましたが、短期借入金による資金調達額が増加(前年度比218億円増)したこと及び自己株式の取得による支出が減少(前年度比 238億円減)したことなどによるものです。 
この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物(純額)の期末残高は、前年度に比べ818億円増加し、3,136億円となりました。
② 財務政策
当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じて借入による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、当社グループの設備投資資金について、主として内部資金により充当しました。 
平成17年6月に開催された定時株主総会の決議に基づき、当社グループは、510万株の自己株式を201億円で市場より購入しました。また、平成18年6月27日に開催された定時株主総会において平成19年6月に開催される定時株主総会までの間に、上限750万株あるいは上限375億円の自己株式の取得枠が決議されています。なお、実際の自己株式の取得規模は、当社グループの財政状態や株価によります。
当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。




出典: 株式会社デンソー、2006-03-31 期 有価証券報告書