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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、中国やアメリカの牽引により、前年を上回る成長となりました。また、日本経済は、景気対策効果や円安を追い風に、前年を大きく上回る成長となりました。自動車業界においては、タイ、インド等アジアの新興国市場に減速感が見られるものの、北米をはじめとする先進国市場や中国市場の拡大により、全体としては緩やかに拡大し、過去最高の販売台数となりました。日本では、前年のエコカー補助金効果による反動減があったものの、経済の回復、魅力ある新型車の投入、増税前の需要拡大により、年間では販売台数は回復しました。当社においても、主に先進国や中国における車両生産の増加に加え、合理化努力や円安効果により、過去最高の業績を達成することができました。

 

このような環境のなかで、当社は達成すべき目標や取り組むべき施策を「デンソーグループ・グローバル中期方針」にまとめ、グループを挙げて取り組んでいます。活動の2年目にあたる当連結会計年度は、世界初製品を生み出すための先進的な技術開発をさらに加速させ、グローバルに事業を拡大することができました。また、クルマで培った技術を活かし、ヘルスケア・農業支援等の新事業分野でも事業化への道を切り開いてきました。

 

当連結会計年度は、環境・安全分野を中心に、次のとおりの成果を出すことができました。

環境分野では、ディーゼル車に対しては、環境性能を大きく左右する燃料噴射システムにおいて、噴射される燃料をより微粒化し、着火性と燃焼性をさらに改善した、世界最高レベルの最大2,500気圧コモンレールシステムを開発しました。従来の2,000気圧システムに比べ、車両燃費を最大3%向上、有害物質であるPMの発生を最大50%削減、NOx(窒素酸化物)を最大8%削減する等、省燃費・環境負荷低減に寄与します。当製品は、燃料の噴射ズレを見つけて正しいタイミングで噴射できるよう自動修正する「i-ART」とともに、欧州で発売されたボルボの新パワートレイン「DRIVE-E」に搭載されています。また、排ガス浄化に用いられるEGR(排気再循環)システムにおいても、主要部品であるEGRバルブユニットを開発しました。これまで別々の部品として車両に搭載されていた二つのバルブを、世界で初めて一体化し、これにより、従来品より体積を半分、コストを20%低減することができました。また、二つのバルブの結合部分の形状のみを変更することで、排気量、出力等の異なる様々なエンジンに対応可能で、大幅な標準化も実現しています。ハイブリッド車には、新たな拡販により、インバータやエンジン制御等を行うECUがマツダ株式会社のアクセラに搭載されました。

 

一方、安全分野では、交通事故を未然に回避する予防安全製品のニーズはさらに高まり、高級車だけでなく小型車へも搭載可能な製品が求められています。このような中で、当社の軽自動車向けレーザレーダがダイハツ工業株式会社の「スマートアシスト」に採用されましたが、ムーヴに続き、当連結会計年度はミライース、タント等、さらに搭載車種を拡大することができました。商用車向けには、ドライバーステータスモニタを開発しました。カメラで撮影したドライバーの目の開き具合や顔の向きをECUが解析し、一定時間、眼を閉じたり、正面を向いていない状態が続くと警報を鳴らして安全運転を促します。当製品は、日野自動車株式会社の大型トラック・日野プロフィアや大型観光バス・日野セレガに搭載されています。また、先進的な技術開発の取り組みも加速させており、その成果を11月に開催された東京モーターショー2013にて発表しました。未来のHMI(Human Machine Interface)技術※を体験できるインタラクティブ・コミュニケーション・コックピットでは、人間の特性やドライバーの状態を理解することで、ドライバーと対話しながら、安全に情報提供をする技術として、大型ヘッドアップディスプレイや電子ミラー、生体計測モニタ等を公開しました。コックピットに搭載されている技術については、早期の商品化実現に向け、更なる開発に取り組んでいきます。

 

※人間の身体、視覚、聴覚、触覚などの特性を理解し、ドライバーの五感を活用することで、注意散漫を誘発しない情報提供や操作を実現する技術

 

生産供給体制については、国内では、「株式会社デンソー福島」(旧株式会社デンソー東日本)の工場を拡張し、7月よりカーエアコン等の増産を開始します。海外では、今後の需要拡大に対応するため、メキシコ、インドネシア、インドの工場を拡張し、増産を開始しました。また、カンボジアでは、「デンソー・カンボジア社」を新たに建設し、生産を開始しました。拡大する市場においてグローバルに生産能力を増強することで、今後も顧客対応力の向上に取り組んでまいります。

 

 

さらに、国内生産のコスト競争力強化のため、1ドル70円でも競争力のあるダントツの原価でモノづくりをする「ダントツ工場」を実現するため、「材料」「大きさ」「搬送・動作」「在庫」のムダを排除する活動に取り組んでいます。当連結会計年度は活動の範囲をさらに拡大し、加工方法の革新と、専用機導入による設備小型化により、面積1/15、設備費1/5、加工費30%低減を実現する画期的な塗装設備等を開発しました。当設備は、今後、海外拠点へも展開していく予定です。また、車種をまたいで共用可能な新型カーエアコンユニットを世界で初めて開発しました。新技術による構成部品の20%小型化と車両設計を共通化する構造の革新により、大幅な標準化(18種類→6種類)を実現し、小型車から高級車まで、メーカや販売地域をまたいで共用することができます。また、生産面でも、6種類の製品を1つのラインで生産するという、従来の常識を破る組付け方法の標準化に挑戦し、性能とコスト競争力を両立することができました。当製品は、トヨタ自動車株式会社の新型ハリアーやノア、ヴォクシーに搭載されています。

 

市販事業では、バックカメラに付着した汚れを運転席からのスイッチ操作で簡単に除去できる「バックカメラウォッシャー」や、クルマや家の鍵等の小物類をスマートフォンと連携し、簡単に探し出すことができる「キーファインダー」を開発しました。

 

新事業では、これまで自動車で培った技術を自動車以外で活かす活動を中期方針に掲げ、さまざまな製品を開発しています。レーザセンシング技術を防犯用のレーザセンサに応用し、人や物体の検知とカメラによる自動追尾をする、遠隔見守りシステム「ZONE D」や、工場向け制御システムの開発で培った技術を活用し、ハウス内の植物の生育環境を最適に制御し、農作物の安定生産と収穫量の増加に貢献する、環境制御システム「Profarm−Controller」を開発しました。

 

当社は、先進的な技術開発や高品質なモノづくりを行うと同時に、事業活動を行う地域において、地域社会に貢献し、愛される会社を目指し、「環境との共生」「交通安全」「人づくり」を柱とした社会貢献活動を行っています。また、東日本大震災の復興支援のため、当連結会計年度も継続して活動を実施しています。

 

当連結会計年度の業績は、車両生産台数の増加や、円安効果により、売上高は、4兆959億円(前年度比5,150億円増、14.4%増)と増収になりました。営業利益は、経費・労務費の増加があったものの、合理化努力に加え、売上増加による操業度差益や円安による為替差益等により、3,777億円(前年度比1,153億円増、44.0%増)、経常利益は4,196億円(前年度比1,236億円増、41.7%増)、当期純利益は2,874億円(前年度比1,057億円増、58.2%増)と増益になりました。

 

セグメント別の業績は、日本は、車両生産台数の増加や円安効果により、売上高は、2兆7,176億円(前年度比2,540億円増、10.3%増)と増収になりました。営業利益は、研究開発費をはじめとする経費の増加があったものの、合理化努力に加え、売上増加による操業度差益や円安による為替差益等により、2,833億円(前年度比1,127億円増、66.0%増)と増益になりました。

北米地域は、車両生産台数の増加や、円安効果により、売上高は8,166億円(前年度比1,812億円増、28.5%増)と増収、営業利益は、売上増加による操業度差益等により147億円(前年度比12億円増、9.1%増)と増益になりました。

欧州地域は、低迷した市場が底を打ったことに加え、円安効果により、売上高は4,989億円(前年度比1,267億円増、34.0%増)と増収、営業利益は、売上増加による操業度差益等により124億円(前年度比85億円増、216.1%増)と増益になりました。

豪亜地域は、主に中国での車両生産台数の増加や、円安効果により、売上高9,431億円(前年度比1,491億円増、18.8%増)と増収、営業利益は、労務費や、将来の競争力強化のための工場・テクニカルセンター立ち上げ費用が増加したことにより、712億円(前年度比25億円減、3.3%減)と減益になりました。

その他地域は、売上高は743億円(前年度比104億円増、16.3%増)と増収、営業利益は0億円(前年度比31億円減、99.1%減)と減益になりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により4,628億円の増加、投資活動により3,903億円の減少、財務活動により1,550億円の減少等の結果、当連結会計年度末は前年度末と比べ656億円減少し、6,417億円となりました。

営業活動により得られた資金は、営業利益が3,777億円(前年度比1,153億円増)となったこと等により、前年度に比べ880億円増加し、4,628億円となりました。

投資活動により使用した資金は、有形固定資産の取得による支出の増加(前年度比885億円増)等により、前年度に比べ1,211億円増加し、3,903億円となりました。

財務活動により使用した資金は、長期借入金の返済による支出の増加(前年度比471億円増)等により、前年度に比べ565億円増加し、1,550億円となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成25年4月1日

  至  平成26年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

日本

1,910,851

105.1

北米

804,622

127.4

欧州

482,688

140.3

豪亜

864,330

115.7

 報告セグメント計

4,062,491

114.7

その他

74,442

111.0

合計

4,136,933

114.7

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注実績

当社グループはトヨタ自動車株式会社をはじめとして、各納入先より四半期ごとに生産計画の提示を受け、当社グループの生産能力を勘案して生産計画を立てる等、すべて見込生産を行っています。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成25年4月1日

  至  平成26年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

日本

1,896,447

104.8

北米

799,423

127.9

欧州

470,515

134.9

豪亜

855,448

116.5

 報告セグメント計

4,021,833

114.4

その他

74,092

116.1

合計

4,095,925

114.4

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自  平成24年4月1日

  至  平成25年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成25年4月1日

  至  平成26年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

1,107,256

30.9

1,128,068

27.5

 

3.本表の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は、世界人口増加に伴うエネルギー問題や環境問題、また新興国の交通事故死者数の大幅な増加等が予想されるなかで、今後も社会に貢献し持続的に成長していくため、平成25年4月に「デンソーグループ 2020年長期方針」を策定しました。「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンに、「地球環境の維持と成長の両立」と「一人ひとりが幸せで、安心・安全に暮らせる社会」の実現に向けて、技術開発を進めていきます。次年度は、特に国内において厳しい事業環境となることが想定されますが、長期方針の実現に向けて、常に技術開発やモノづくりの原点を見つめ、着実に取り組んでいきます。

 

なお、平成25年12月、韓国公正取引委員会は、一部の自動車用部品の取引に関して、韓国独占禁止法違反として複数の事業会社に対して是正措置命令等を下すことを決定しましたが、当社及び当社の韓国子会社は減免制度の適用を受け、当該命令等を免除されました。当社は、今後も、これまで徹底してきた独禁法コンプライアンス体制をより一層強化いたします。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めていきます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月20日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経済状況

当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、豪亜を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。

当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、当社製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、通貨ヘッジ取引を行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、中長期的な為替レートの変動により、計画された調達、製造、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料や部品の供給による影響

当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を締結し、安定的な取引を行っていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故等、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、当社グループ製品の製造原価の上昇、さらには生産停止を招く等、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新製品開発力

当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

・新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

・長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品又は新技術の創造へつながる保証はありません。

・当社グループが顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。

・技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。

・現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。

上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 価格競争

自動車業界における価格競争はたいへん厳しいものとなっています。特に、完成車メーカーからの価格引き下げ要請は、近年、特に強まってきています。

また、当社グループは、当社グループが属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競合先には他自動車部品メーカーがあり、その一部は当社グループよりも低コストで製品を提供しています。さらに、自動車のカーエレクトロニクス化の進展に伴い、民生用エレクトロニクス製品メーカー等、新しい競合先又は既存競合先間の提携が台頭し、市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。

当社グループは、技術的に進化した高品質で高付加価値の自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカーであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

(6) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産及び販売活動において、北米や欧州、並びに豪亜の発展途上市場や新興市場等の日本国外に占める割合は、年々、高まる傾向にあります。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しない法律又は規制の変更

・不利な政治的又は経済的要因の発生

・人材の採用と確保の難しさ

・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響

・潜在的に不利な税影響

・テロ、戦争、疾病、その他の要因による社会的又は経済的混乱

 

(7) 知的財産権

当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に第三者の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。

 

(8) OEM(注)顧客企業の業績への依存

当社グループの事業の大部分を占めるOEM事業は、世界中の自動車メーカーを対象としており、提供する製品は、空調関連製品、エンジン関連製品、安全走行関連製品、情報通信関連製品等多岐にわたります。これらの分野における顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、顧客の価格引き下げ要請は、当社グループの利益率を低下させる可能性があります。顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、OEM顧客の調達方針の変化、大口顧客の要求に応じるための値下げは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの売上の約半分を、トヨタグループ向け売上が占めています。これらの特定の顧客グループへの売上は、その顧客企業の業績により大きな影響を受ける可能性があります。

(注)Original  Equipment  Manufacturingの略称。自動車メーカー向けの部品

   供給。

 

(9) 製品の欠陥

当社グループは世界中の工場で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(10) 災害や停電等による影響

当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、当社グループの生産施設及び当社グループの顧客企業、仕入先企業で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの事業所の多くは東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震が発生した場合、生産・納入活動が停止する可能性があります。

 

(11) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

(12) 法的手続

当社グループはビジネス活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めています。それにも関わらず、様々な訴訟及び規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、昨年度発表した「デンソーグループ2020年長期方針」で「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンとして、「地球環境の維持」「安心・安全」にこだわり会社の使命として取り組んでいくことを宣言しました。この長期方針実現に向け、環境、安心・安全分野を中心に研究開発活動を強化し、社会に貢献する新しい製品、新しい価値を世界中のお客様にお届けすることを目指しています。

当連結会計年度の成果として、環境分野では、ディーゼル車に対して、世界最高の2,500気圧の燃料噴射圧力を実現できる電子制御燃料噴射システム「コモンレールシステム」や、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に寄与するEGR(排気再循環)システムの主要部品である「EGRバルブユニット」を開発しました。新しいコモンレールシステムは、従来システムと比べ、構成部品の構造の改良と燃料噴射圧力の高圧化等により、車両の燃費向上とともに排ガス中の有害物質であるPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の発生を削減することができます。EGRバルブユニットは、世界で初めて吸気絞りバルブとEGRバルブを一体化することにより、大幅な小型化とコスト低減を実現しました。さらに標準化とともに小型・軽量化、高性能化を実現した新型カーエアコンユニットを開発しました。従来ユニットは車種ごとにサイズや構造が異なっていましたが、今回開発した製品は、小型車から高級車まで共通して搭載できる世界初のカーエアコンユニットです。

平成22年4月から開始した「次世代エネルギー・社会システム実証事業」では、平成25年10月から名古屋大学と共同で開発した車載電池を活用したモデル予測型エネルギー管理システムの実証実験を開始しました。このシステムは、電気自動車やプラグインハイブリッド車に内蔵される電池をエネルギー管理システム(EMS)に組み込むことにより、家庭と車全体で消費する電気代の削減に寄与します。また、平成26年2月には車両に対する非接触充電システムの実証実験も開始しました。

安心・安全分野では「ドライバーステータスモニタ」を開発しました。この製品は、近赤外線カメラで撮影したドライバーの画像をもとにコンピュータが顔の向きや目の開き具合等を解析し、眼を閉じたり、正面を向いていない状態が続くとドライバーに警報を鳴らして安全運転を促します。当社は、このような事故を防止するための運転支援技術の開発を強化するとともに、日米欧で取り組みが活発化している自動運転を含む高度運転支援技術の開発にも取り組んでいます。その一環として、愛知県が交通事故防止技術の活用・製品化や普及推進を目的として設置した、産官学連携の「自動車安全技術プロジェクトチーム」に参画し、知多半島道路で公道走行試験を実施する計画です。

交通事故のない社会を実現するためには、車だけでなく社会全体のシステムを進化させていくことが不可欠です。そこで、世界各地域でこのような産官学が連携したプロジェクトに積極的に参画しています。例えば、従来から世界中で多くの実証実験に参画している車車間、路車間通信技術により事故を防止するインフラ協調システム分野では、今年度は米国ミシガン州で実施された大規模実証実験に参加しました。この実証実験では、車車間通信により事故を防止するためのいくつかのアプリケーション検証が行われました。また、欧州では平成27年から法制化が予定されている緊急通報サービス「eCall」の実証実験「HeERO2(Harmonised eCall European Pilot)」に参加しました。

また、当社はこれまで自動車分野で培ってきた技術をベースに人々の生活に密接し、必要なサービスを必要な時に必要なだけ享受できる社会作りを目指し、上記マイクログリッド分野に加えて、農業、セキュリティ、健康・医療、ロボット等の新規事業に取り組んでいます。例えば、農業分野では農業用ハウス内の温度、湿度、CO2濃度を最適状態に自動制御し、光合成を促進することで農作物の安定生産と収穫量の増加に貢献する「農業生産支援システム」を開発しました。また、インターネット回線とタブレット端末を利用して、自治体などが各種情報配信や生活支援等のサービスを住民に提供することができる地域コミュニケーション・システム「ライフビジョン」を開発し、2014年3月から香川県直島町で先行導入を開始しました。

当社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。そのため、開発体制としては日本のほかに、米国、欧州、豪亜、中国、インド、ブラジルの海外6地域でテクニカルセンターを中心として技術開発体制を強化しています。当連結会計年度では、中国市場の拡大に対応するため、上海市にあるテクニカルセンターの移転・拡充を完了し、新しいセンターでの稼動を開始しました。欧州では、現地顧客向け設計を強化するとともに先行技術開発力を強化するため、ドイツのテクニカルセンターの拡張を発表しました。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は368,732百万円、その内、日本セグメント315,064百万円、北米セグメント18,804百万円、欧州セグメント11,621百万円、豪亜セグメント21,703百万円、その他1,540百万円となっています。現在、研究開発費において海外セグメントが占める比率は約15%ですが、開発体制の整備により、今後、この比率を増やしていく予定です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 

①  製品保証引当金

当社グループは、収益を認識する時点で、製品のアフターサービス費用の見積額を過去の実績に基づいて計上しています。お客様に満足して頂ける製品を提供するため、開発、設計、生産の各ステップで徹底した品質確認を行い信頼性の高い製品作りに努めていますが、当社グループの製品保証債務は、製品不良率及び製品不良を修理する際に発生する修理コストに影響されます。従って、実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。

 

②  退職給付に係る資産及び負債

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、将来予測に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率等が含まれます。親会社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を加重平均した期間に相当する優良社債の利回りを加味して算出しています。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

③  繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  概要

当連結会計年度の世界経済は、中国やアメリカの牽引により、前年を上回る成長となりました。自動車業界においては、タイ、インド等アジアの新興国市場に減速感が見られるものの、北米をはじめとする先進国市場や中国市場の拡大により、全体としては緩やかに拡大し、過去最高の販売台数となりました。

為替レートについては、米ドル、ユーロに対する平均円レートは、それぞれ100円、134円と、前年に比べてそれぞれ17円の円安、27円の円安となりました。

このような環境のもと、当連結会計年度の業績は、車両生産の増加や、円安効果により、売上高は4兆959億円(前年度比5,150億円増、14.4%増)と増収になりました。営業利益は、経費・労務費の増加があったものの、合理化努力に加え、売上増加による操業度差益や円安による為替差益等により、3,777億円(前年度比1,153億円増、44.0%増)、経常利益は4,196億円(前年度比1,236億円増、41.7%増)、当期純利益は2,874億円(前年度比1,057億円増、58.2%増)と増益になりました。

 

 

②  売上高

売上高は、前年度と比べて5,150億円(14.4%)増収の4兆959億円となりました。

セグメント別の業績については、日本は、車両生産台数の増加や円安効果により、前年度比2,540億円(10.3%)増収の2兆7,176億円になりました。北米地域は、車両生産台数の増加や、円安効果により、前年度比1,812億円(28.5%)増収の8,166億円となりました。欧州地域は、低迷した市場が底を打ったことに加え、円安効果により、前年度比1,267億円(34.0%)増収の4,989億円となりました。豪亜地域は、主に中国での車両生産台数の増加や、円安効果により、前年度比1,491億円(18.8%)増収の9,431億円となりました。その他地域は、前年度比104億円(16.3%)増収の743億円となりました。

 

③  営業利益

営業利益は、前年度と比べて1,153億円(44.0%)増益の3,777億円となりました。

セグメント別の業績については、日本は、研究開発費をはじめとする経費の増加があったものの、合理化努力に加え、売上増加による操業度差益や円安による為替差益等により、前年度比1,127億円(66.0%)増益の2,833億円となりました。北米地域は、売上増加による操業度差益等により、前年度比12億円(9.1%)増益の147億円となりました。欧州地域は、売上増加による操業度差益等により、前年度比85億円(216.1%)増益の124億円となりました。豪亜地域は、労務費や、将来の競争力強化のための工場・テクニカルセンター立ち上げ費用が増加したことにより、前年度比25億円(3.3%)減益の712億円となりました。その他地域は、前年度比31億円(99.1%)減益の0億円となりました。

 

④  営業外損益(営業外収益・費用)

営業外収支は、前年度に比べて82億円(24.5%)増加し419億円となりました。主な要因は、受取配当金の増加等によるものです。

 

⑤  経常利益

経常利益は、前述の要因により、前年度に比べて1,236億円(41.7%)増益の4,196億円となりました。

 

⑥  特別損益(特別利益・損失)

特別損益は、減損損失等により、9億円の損失となりました。

 

⑦  税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前述の要因により、前年度に比べて1,367億円(48.5%)増加し、4,186億円となりました。

 

⑧  法人税等合計

法人税等及び法人税等調整額は、1,130億円となりました。税金等調整前当期純利益に対する比率(実効税率)は、前年度の29.8%から27.0%に減少しました。主な要因は、試験研究費控除が増加したこと等によるものです。

 

⑨  少数株主利益

少数株主利益は、主として一部の国内子会社及びアジアの子会社における少数株主に帰属する利益からなり、前年度に比べて21億円(13.0%)増加し、182億円となりました。

 

⑩  当期純利益

当期純利益は、1,057億円(58.2%)増加し、2,874億円となり、自己資本利益率は前年度の8.4%から11.5%に増加しました。1株当たり当期純利益は前年度の226.59円に対し360.85円となりました。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  キャッシュ・フロー

当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」)の期末残高は、前年度に比べ656億円減少し6,417億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて880億円多い4,628億円の資金を得ました。これは主に営業利益が3,777億円(前年度比1,153億円増)となったこと等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて1,211億円多い3,903億円の資金を使用しました。これは主に有形固定資産の取得による支出の増加(前年度比885億円増)、有価証券及び投資有価証券の取得による支出の増加(前年度比1,474億円増)、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入の増加(前年度比1,034億円増)等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、前年度に比べて565億円多い1,550億円の資金を使用しました。これは主に長期借入金の返済による支出の増加(前年度比471億円増)等によるものです。

 

②  財務政策

当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じて借入または社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。

当連結会計年度は、当社グループの設備投資資金について、主として内部資金、銀行借入により充当しました。  

当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。

 





出典: 株式会社デンソー、2014-03-31 期 有価証券報告書