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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境は、原油価格の下落等による新興国経済の減速や不安定な為替相場など、不透明な要素が多く見受けられましたが、全体的には緩やかな改善基調となりました。海外では、中国の経済成長に減速感が出たものの、米国経済は着実な回復を示し、欧州経済も金融緩和政策等により持ち直しの動きが見られました。日本は、消費税増税の影響により個人消費に弱さが残りましたが、景気回復の足取りは確かなものとなっております。

 このような状況の中、当社グループは、新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ テクノロジー)」(以下「SKYACTIV技術」という。)を梃子にした構造改革を推進し、マツダらしい魅力ある商品とサービスの提供を通じたブランド価値の向上に取り組んでまいりました。

 

 グローバル販売台数は、好調な販売が続く「マツダ CX-5」や「マツダ アクセラ(海外名:Mazda3)」に加え、新型「マツダ デミオ(海外名:Mazda2)」の導入効果などにより、前期比5.0%増の1,397千台となりました。また、新型「デミオ」は、「2014-15 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、「SKYACTIV技術」搭載車は高い評価をいただいており、グローバルでの台数成長に貢献しております。

 市場別の販売台数は、日本は、消費税影響などにより前期比7.8%減の225千台となりましたが、新型「デミオ」の好調な販売や本年2月に販売を開始した新型「マツダ CX-3」の導入効果もあり、足元の販売は回復基調となっております。北米は、米国での販売が、「CX-5」、「Mazda6(日本名:マツダ アテンザ)」、「Mazda3」など、主要車種の販売好調により増加したほか、メキシコにおいても、過去最高の販売を記録するなど、前期比8.9%増の425千台となりました。欧州は、販売好調な「Mazda3」の寄与により、前期比10.8%増の229千台となりました。主要国であるドイツや英国では市場の伸びを上回る販売を達成しております。中国は、現地生産の「CX-5」と「Mazda3」が販売を牽引し、前期比9.2%増の215千台となりました。その他の市場は、需要が低迷するタイなど、一部の市場で販売環境に厳しさが見られたものの、「CX-5」、「Mazda3」の販売が好調であったことから、前期比3.4%増の303千台となりました。

 

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、3兆339億円(前期比3,417億円増、12.7%増)となりました。営業利益は2,029億円(前期比208億円増、11.4%増)、経常利益は2,126億円(前期比719億円増、51.1%増)、当期純利益は1,588億円(前期比231億円増、17.0%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

① 日本

 当セグメントにおきましては、売上高は2兆5,281億円(前期比2,649億円増、11.7%増)となり、セグメント別営業利益(以下、利益)は1,424億円(前期比311億円減、17.9%減)となりました。これは主に、台数・車種構成の悪化に加え、開発費の強化等があったことによるものです。

② 北米

 当セグメントにおきましては、売上高は1兆2,561億円(前期比4,125億円増、48.9%増)となり、利益は379億円(前期比366億円増)となりました。これは主に、メキシコ新工場の本格稼働による黒字化に加え、台数・車種構成の改善によるものです。

③ 欧州

 当セグメントにおきましては、売上高は6,229億円(前期比824億円増、15.2%増)となり、利益は149億円(前期比65億円増、76.3%増)となりました。これは主に、台数・車種構成の改善によるものです。

④ その他の地域

 当セグメントにおきましては、売上高は4,834億円(前期比692億円増、16.7%増)となり、利益は135億円(前期比77億円増、132.5%増)となりました。これは主に、台数・車種構成の改善によるものです。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より494億円増加し、5,291億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,093億円及び減価償却費689億円に対し、たな卸資産の増加による運転資金の減少や法人税等の支払等があったことなどにより、2,045億円の増加(前期は1,364億円の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,234億円等により、955億円の減少(前期は1,201億円の減少)となりました。これらの結果、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、1,089億円の増加(前期は163億円の増加)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により、628億円の減少(前期は105億円の増加)となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における車両生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

前期比(%)

日本

919,405

△5.5

北米

140,089

1,299.9

合計

1,059,494

7.8

 

(2)受注状況

 当社グループは、主として販売会社の販売実績及び受注状況等を考慮して生産計画をたて、見込生産を行っております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

942,414

1.8

北米

1,019,269

22.5

欧州

606,647

14.7

その他の地域

465,569

14.8

合計

3,033,899

12.7

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

「構造改革プラン」

 当社グループは、平成24年2月、厳しい外部環境への対応と将来への成長を確実にするために、「中長期施策の枠組み」を強化する「構造改革プラン」を発表いたしました。

 発表以来、SKYACTIVを梃子にした構造改革を強力に推進し、将来に向けた成長投資を継続しつつ、安定的な収益構造の実現に取り組んでまいりました。

 平成28年3月期の経営指標につきましては、足元の販売環境や新興国通貨の変動などの外部環境の変化を踏まえ、以下のとおり見直しております。

 

平成28年3月期 経営指標の見通し

・グローバル販売台数

149万台

・連結営業利益

2,100億円

・ROS(連結売上高営業利益率)

6.5%

(前提為替レート:1米ドル120円、1ユーロ130円)

 

 「構造改革プラン」の主要施策及び進捗状況は、以下のとおりです。

 

(1)SKYACTIVによるビジネス革新

 当社は、自動車の基本性能である「ベース技術」を徹底的に向上させた新世代技術「SKYACTIV技術」を搭載した商品を順次導入してきました。「CX-5」、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」、「CX-3」といった「SKYACTIV技術」を搭載した商品群は、市場への導入以来、各方面からの大きな反響と高い評価を獲得しており、ブランド価値の向上にも寄与してきました。販売面でも、グローバルで販売台数を伸ばしており、また、高い商品力に基づいた正価販売によるインセンティブ抑制で、収益面でも大きな貢献をしています。

 

(2)「モノ造り革新」による更なるコスト改善の加速

 当社グループは、車種・車格やセグメントを超えて一括企画することで、共通の開発方法や生産プロセスを実現し、より効率的に多品種の商品を開発・生産する「モノ造り革新」に取り組んでまいりました。この「モノ造り革新」を全面的に取り入れた「CX-5」を始めとした新世代商品群は、走行性能と燃費性能だけでなく、コスト競争力の面でも期待どおりの成果をあげています。

 

(3)新興国事業強化とグローバル生産体制の再構築

 新興国での販売拡大を目指し、生産拠点の拡充や販売力強化など新興国事業強化に取り組み、着実な成果をあげるとともに、グローバル生産体制の再構築を進めています。メキシコ新工場は昨年1月に稼働を開始し、その後順調に生産台数を拡大させています。タイでも、本年1月に新トランスミッション工場の稼働を開始し、エンジン工場の建設も発表いたしました。また、ロシア、マレーシア、ベトナムにおける生産体制も構築し、新興国事業の強化を進めています。国内の生産規模を維持しつつ、グローバルでバランスのとれた生産・供給体制の構築を確実に推進してまいります。

 

(4)グローバルアライアンスの推進

 マツダブランドを強化するため、商品、技術、地域ごとに最適な相互補完を行う提携戦略を推進しています。本年夏には、メキシコ工場でトヨタ自動車株式会社向けの小型車生産・供給を開始します。また、本社工場でのフィアット・クライスラー社向けオープン2シータースポーツカーの生産開始を本年度中に予定しています。

 

 

「構造改革ステージ2」(平成29年3月期〜平成31年3月期)

 当社グループは、「構造改革プラン」策定時から大きく変化した事業環境に対応し、将来の更なる成長に向けた「質的成長」を図るため、「構造改革ステージ2」を策定いたしました。

 「構造改革プラン」での主要施策をより高いステージに引き上げ、ビジネス基盤の強化、ブランド価値の更なる向上、強固な財務基盤構築にあわせ、株主還元の着実な向上を図ってまいります。

 最終年度となる平成31年3月期の経営指標は以下のとおりです。

 

平成31年3月期 経営指標の見通し

・グローバル販売台数

165万台

・ROS(連結売上高営業利益率)

7%以上

・自己資本比率

45%以上

・配当性向

20%以上

(前提為替レート:1米ドル120円、1ユーロ130円)

 

「構造改革ステージ2」の主要施策は、以下のとおりです。

 

(1)商品・開発

 「SKYACTIV技術」搭載車に技術・デザイン面で継続的な進化を図り、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を両立させたマツダブランドを体現する新型車を導入します。次世代商品に向けた技術開発では、環境対応と安全対応に重点を置き、開発・生産・調達が一体となったグローバル一括企画を推進し、最適コモンアーキテクチャーを実現します。

 

(2)グローバル販売・ネットワーク強化

 「SKYACTIV技術」搭載車のフルラインナップによる販売力の強化を図ります。店舗では常に最新のデザイン・技術を搭載したモデルをラインナップし、お客様のニーズにあわせたマツダ車を提供します。また、正価販売の実現やブランド価値訴求に焦点を当てたコミュニケーション戦略などの販売戦略を浸透させるため、現場改革を推進します。

 

(3)グローバル生産・コスト改善

 国内生産拠点で大きな成果が出ている「モノ造り革新」をグローバルの全拠点及びサプライチェーンに展開し、生産効率の最適化とコスト改善を加速させていきます。また、好調な「SKYACTIV技術」搭載車の販売増に対応するため、メキシコ、タイなど海外生産拠点を最大限に活用し、グローバルで165万台レベルへの生産拡大を図り台数成長を実現します。

 

(4)財務基盤強化と株主還元

 安定的・持続的な成長に向けた財務基盤を構築するため、有利子負債の圧縮や自己資本の充実に取り組みます。また、経営資源を効率的に活用し、研究開発や設備投資においては資本効率の向上を意識した規律ある成長投資を実施します。

 株主還元については、業績に応じた配当の実施を基本とし、財務基盤の強化にあわせた配当性向の向上などを図ってまいります。

 

(注) 文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末時点において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがあります。

 以下に記載する事項は、当連結会計年度末現在において予想される主なリスクを記載したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。なお、文中における将来に関する事項につきましては当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業を取り巻く経済情勢

 当社グループは、日本を始め北米、欧州、アジアを含む世界各地域に製品を販売しており、それぞれの市場における景気動向や需要変動に強い影響を受けています。従いまして、当社グループの主要市場において、景気の減速または後退、需要構造の変化、需要減少、価格競争の激化等が進むことにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社グループは、日本から世界各地域へ製品を輸出しているほか、海外の工場で製造した製品を世界の他の市場へ輸出するなど、グローバルな事業活動を展開しています。これら取引は様々な通貨を通じて行われているため、為替レートの変動は当社グループの経営成績と財政状態に影響を与えます。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等を円換算しているため、為替レート変動により、為替換算調整勘定を通じて自己資本に悪影響を及ぼす可能性があります。また、為替レート変動リスクを最小限にするために為替予約を行っていますが、為替レートの変動状況によっては機会損失が発生する可能性があります。

 

(3)他社との提携、合弁の成否

 当社グループは、商品の開発、生産、販売に関し、技術提携や合弁等の形で、他社と共同活動を実施、もしくは検討を行っています。これにより経営資源の最適化、集中化及び相乗効果を期待しています。しかしながら、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、あるいは、提携や合弁の変更または解消等により、期待される結果を生まなかった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、意図しない提携や合弁の変更または解消が、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)環境等に関する法的規制

 当社グループは、事業展開する各国において、燃費及び排ガス、車両の安全性、製造工場からの汚染物質排出レベルに関する規制などの環境規制のほか、労働規制など、様々な法的規制を受けています。今後、法的規制の強化によるコストの増加などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)市場競争力

 当社グループが製品を販売している世界各地域の自動車市場においては、多様な競合相手が存在しています。ブランド価値の維持発展を含む市場での競争力の維持強化は当社グループの成長にとって非常に重要であり、そのために開発・製造・販売等において競争力の強化に向けた取り組みを進めています。しかしながら、市場の予測が十分でなかった場合、あるいは技術力や生産上の問題等により、魅力ある製品を適切な時期に投入することが出来なかった場合、あるいはお客様の価値観または変化に対応した流通網、販売手法を効果的に展開できなかった場合、販売シェアの低下や製品価格の低下を含め、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原材料、部品の調達

 当社グループは、原材料及び部品の購入を複数のグループ外のサプライヤーに依存しています。従って、これらの供給元企業が災害等により被災した場合等の供給能力の制約や物流機能の低下、また需給の逼迫や契約条件の変更または破棄等により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難になる場合、あるいは当社グループが調達している原材料の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などによりその影響を吸収できない場合や、調達した原材料または部品の品質が不十分であった場合には、製品の生産状況の悪化やコスト上昇を招く可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)国際的な事業活動に伴うリスク

 当社グループは、日本を始め世界各地域に製品を販売しており、米国、欧州及び発展途上市場や新興市場を含む海外市場において事業活動を行っています。これらの海外市場での事業展開には以下のようなリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・不利な政治、経済要因

・法律または規則の変更による障害

・関税などの輸出入規制、不利な税制及びその他の規制

・人材の採用と確保の難しさ

・未整備のインフラ

・ストライキ等の労働争議

・テロ、戦争あるいは疾病その他の要因による社会的混乱

 

(8)知的財産権による保護

 当社グループは、事業の優位性を確保するために他社製品と区別化できる技術とノウハウの蓄積、それらの保護並びに、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めています。それにもかかわらず、認識または見解相違により、第三者からその知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、当社グループとして製造販売中止、あるいは損害賠償などが必要となった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。第三者が当社グループの知的財産権を無断使用して類似した製品を製造した場合、多額の訴訟費用のみならず製品区別化が図れないことによる販売減少により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)製品の品質

 当社グループは、市場の要求に応えるべく品質改善に努める一方で、製品の安全性の確保にも最善の努力を注いでいます。しかしながら、予測できない原因により製品に欠陥が生じ、大規模なリコール等が発生した場合には、多額のコストの発生、ブランドイメージの低下、市場信頼性の失墜などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害や事故に関するリスク

 当社グループは、製造設備等の主要施設に関して、防火、耐震対策などを実施すると共に、財務リスクを最小化すべく災害保険加入等の対策を行っています。しかしながら、大規模な地震、台風、洪水等の自然災害及び火災等の事故の発生により製品供給に重大な支障を来たした場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報技術への依存

 当社グループは、製品の開発、生産、販売など、様々なビジネス活動の遂行において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。また、当社製品にも、運転支援システムなど、これら技術を採用した装備が搭載されています。情報技術やネットワーク、システムには、安全な運用のため対策が施されていますが、インフラ障害、サイバー攻撃、コンピューターウイルスへの感染等などによって、各種業務活動の停止、データの喪失、当社製品の機能低下などが発生する可能性があります。この場合、対策費用の発生、当社製品の信用の失墜やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)財務会計リスク

 当社グループの経営成績及び財政状態は、以下の財務会計的な要因を含む、資産及び負債への財務会計上の評価や、会計基準の変更及び新たな適用により、影響を受ける可能性があります。

① 繰延税金資産

 繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して、将来の課税所得に関する予想等に基づく回収可能性を評価することにより計上されていますが、経営状況の悪化により回収できないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正等があった場合には、評価性引当額の計上などにより、繰延税金資産の額が減額され、当社

グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 固定資産の減損

 固定資産について、経営状況の悪化等により帳簿価額を回収できないと判断された場合には、対象資産の帳簿価額に対する減損損失の計上により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 退職給付関係

 退職給付に係る負債は、退職給付債務と年金資産の動向によって変動しますが、数理計算上の前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合などには、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)資金調達環境の変化と金利の変動等

 当社グループは、銀行からの借入に加え、株式及び社債の発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、金融市場が混乱した場合、税制改正や政府系金融機関の制度変更等がなされた場合、もしくは当社グループの信用格付けが引き下げられた場合等においては、資金調達コストの増加や必要とする金額の資金調達が困難となること等により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれており、金利上昇により金融コストが上昇した場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの財務内容の悪化が一部借入金等の財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失することとなった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)コンプライアンス、レピュテーション

 当社グループは、個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取り組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じています。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでいます。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではありません。法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)将来の見通し等

 当社グループは、外部環境の変化への対応と将来の持続的成長を確実にするため、中期経営計画「構造改革プラン」及び「構造改革ステージ2」を策定しています。しかしながら、これら計画の実行にあたっては、想定とは大きく異なる環境変化の発生や、計画どおりに進捗しない場合など、期待される効果が実現しないことにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、昭和54年、フォード モーター カンパニーとの間にグローバルなパートナーシップを構築し、その後も、両社は提携関係を一層発展、強化させてきました。平成8年には、提携関係を一段と強化する旨合意し、同社は当社の発行済株式総数の33.4%を所有することとなりました。その後、同社による当社株式の一部売却及び当社による新株発行により、同社は当社の発行済株式総数の2.1%を所有することになりましたが、同社は引き続き当社の大株主として、戦略的提携関係を継続することで合意しております。両社は、今後も主要な合弁事業や技術情報の交換など、双方がメリットを得られる分野で協力していきます。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、「“Zoom-Zoom”(ズーム・ズーム:子供の時に感じた動くことへの感動)」に体現されるマツダのブランド価値を、さらに進化・向上して行く技術開発長期ビジョンとして平成19年に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」を策定しました。これは「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を、限られたマーケットや限られたお客様だけでなく、すべてのお客様に提供することを宣言したものです。

 また、お客様のニーズに応えるための「多様化」と、効率化のための「共通化」という相反する課題を、単にベストバランスを探るのではなく、ブレークスルーによって高次元で両立させることを狙いとする「モノ造り革新」により、商品競争力の向上と開発・生産効率の向上の高い次元での両立に取り組んでいます。

 セグメントごとの研究開発体制は、日本では「本社R&D部門」と「マツダR&Dセンター横浜」にて新商品の企画・デザイン・設計・実験研究、並びに新技術の先行研究を行っています。海外では、北米は米国の「マツダモーターオブアメリカ, Inc.」、欧州はドイツの「マツダモーターヨーロッパGmbH」、その他の地域は中国の「マツダ(中国)企業管理有限公司」の各R&D部門と連携し、それぞれの市場特性に適合した商品の研究開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度の新商品は、新型「デミオ」及び新型「CX-3」です。

 新型「デミオ」は、新世代技術「SKYACTIV技術」(*1)と新デザインテーマ「魂動(こどう)」を全面的に採用した新世代商品の第4弾となるコンパクトカーです。“車の価値はボディサイズに比例する”という既成概念を打ち破ることを目指して開発され、あらゆる領域での品質を徹底的に追求し、「CX-5」以降の新世代商品で一貫して培ってきた新しいマツダの技術やデザインの考え方のすべてをコンパクトなボディに凝縮させました。

 新型「CX-3」は、新世代商品の第5弾となるコンパクトクロスオーバーSUVです。都会での街乗りからアウトドアまでシーンを問わずお客様の創造的なライフスタイルをサポートすることを目指して開発され、圧倒的に上質かつ洗練されたデザインとお客様の使いやすさを追求したパッケージング、マツダが一貫して追求する意のままの走りなど、人がクルマに求める本質的な価値を高次元で融合させました。

 新型「デミオ」と新型「CX-3」には、新たに開発した小排気量クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載しています。「SKYACTIV-D 1.5」は、高価なNOx後処理装置なしで高い環境性能を実現しながら、2.5Lガソリンエンジン並みのトルクフルな走りと高回転までリニアに加速する優れた動力性能を実現したエンジンです。アイドリングストップ技術「i-stop(アイ・ストップ)」、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP(アイ・イーループ)」と高効率トランスミッション「SKYACTIV-DRIVE」や「SKYACTIV-MT」と組み合わせることにより、「走る歓び」の実現とともにハイブリッド車、軽自動車を除く、内燃機関搭載車として最高のモード燃費(*2)と大幅な実用燃費の改善を図り、すべてのお客様に「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」をお届けするという「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」の実現を目指しています。

 また、日本市場向けの新型「CX-3」に搭載される「SKYACTIV-D 1.5」には、ディーゼルエンジンのノック音を大幅に低減する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を採用しております。これは、ノック音の発生原因となるピストンの振動を吸収することにより、発進時などで聞こえやすいノック音を抑制する世界初の技術です。これにより走行時の静粛性を高めるとともに、エンジン音質の向上を実現しています。

 安全技術面では、LEDアレイ方式グレアフリー(防眩)ハイビームを備えた新世代ヘッドランプ「アダプティブ・LED・ヘッドライト」を開発し、「アテンザ」、「CX-5」に搭載しました。これは、LEDによるハイビームの光源を4つのブロックに分割し、個別に点消灯することを可能としたもので、対向車や先行車のドライバーを眩惑させることなく、常時ハイビームでの走行を可能とした技術です。

 マツダは、平成18年から「モノ造り革新」に取り組んできました。これは、生産プロセスに留まらず、開発や購買を横断する全社的な構造改革活動です。現在までに、開発効率化30%以上、生産設備投資改善20%以上を達成し、高性能かつトレンドに合った商品の効率的な開発や、タイムリーな市場導入、売れ筋商品の急変などの環境変化に柔軟に対応できる高効率な生産体制を構築するなど、「SKYACTIV技術」を搭載した商品の開発及び導入のみならず、経営面でも多大な成果を収めています。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,084億円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,041億円、北米は17億円、欧州は20億円、その他の地域は6億円であります。なお、当社のセグメントは、生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。

 

(*1)「SKYACTIV技術」とは、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づいて、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を高次元で両立することを目標に開発したエンジン(ガソリン・ディーゼル)、トランスミッション、ボディ、シャシーなどの新世代技術の総称。

(*2)JC08モード燃費。SKYACTIV-D搭載デミオ6MT車。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、「SKYACTIV技術」搭載車のグローバルでの販売拡大などにより、3兆339億円(前期比3,417億円増、12.7%増)となりました。仕向地別の内訳は、国内が6,174億円(前期比383億円減、5.8%減)、海外が2兆4,165億円(前期比3,800億円増、18.7%増)となりました。また、製品別の販売実績では、車両売上高は、台数・車種構成の改善等により2兆5,004億円(前期比3,197億円増、14.7%増)となりました。海外生産用部品売上高は、中国向けの出荷が増加したこと等により790億円(前期比86億円増、12.3%増)、部品売上高は2,317億円(前期比252億円増、12.2%増)となり、その他売上高は2,227億円(前期比119億円減、5.1%減)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、2,029億円(前期比208億円増、11.4%増)となりました。これは、広告宣伝活動の強化による費用増加や、開発への投資強化、メキシコ新工場の固定費増など、将来に向けた成長投資による費用増加を、「SKYACTIV技術」搭載車による台数・車種構成の改善、為替変動の影響並びに「モノ造り革新」の推進によるコスト改善の成果が上回ったことによるものです。

(経常利益及び当期純利益)

 経常利益は、持分法による投資利益172億円等により、2,126億円(前期比719億円増、51.1%増)となりました。当期純利益は、法人税等合計477億円等により、1,588億円(前期比231億円増、17.0%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、たな卸資産及び有形固定資産などの増加により前連結会計年度末より2,273億円増加し、2兆4,733億円となりました。有形固定資産の増加は、グローバル生産体制の再構築のための、メキシコ新工場及びタイの新トランスミッション工場への投資等によるものです。

 負債合計は、仕入債務の増加などにより、前連結会計年度末より128億円増加し、1兆5,820億円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末より417億円減少し、7,010億円となり、有利子負債から現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高を除いた純有利子負債は、前連結会計年度末より911億円減少の1,719億円となりました。純有利子負債自己資本比率は、前連結会計年度末より20.0ポイント改善し、19.8%(劣後特約付ローンの資本性考慮後15.1%)となりました。

 純資産は、当期純利益1,588億円などにより、前連結会計年度末より2,145億円増加し、8,913億円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末より5.8ポイント増加し、35.2%(劣後特約付ローンの資本性考慮後36.6%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より494億円増加し、5,291億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,045億円の増加(前期は1,364億円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益2,093億円及び減価償却費689億円に対し、たな卸資産の増加による運転資金の減少や法人税等の支払等があったことなどによるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、955億円の減少(前期は1,201億円の減少)となりました。これは、メキシコ新工場やタイの新トランスミッション工場への設備投資など、有形固定資産の取得による支出1,234億円等によるものです。

 これらの結果、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、1,089億円の増加(前期は163億円の増加)となりました。将来の成長に向けた高水準の設備投資を継続しつつ、1,000億円を超える連結フリー・キャッシュ・フローを創出しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、628億円の減少(前期は105億円の増加)となりました。これは、長期借入金の返済による支出等によるものです。

 

 





出典: マツダ株式会社、2015-03-31 期 有価証券報告書