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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境は、先進国を中心に景気の回復が進んだことから、全体的には緩やかな改善基調となりました。海外では、中国をはじめとした新興国経済の成長が鈍化したものの、米国経済は個人消費の増加などにより好調に推移し、欧州においても金融緩和政策などにより緩やかな回復が続きました。日本は、新興国経済の減速による影響が見られたものの、企業収益の改善などにより、総じて緩やかな景気回復となりました。しかしながら、新興国経済の減速や年初以降で為替相場が円高に推移するなど、先行きは不透明な状況となっております。

 このような状況の中、当社グループは、新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ テクノロジー)」(以下「SKYACTIV技術」という。)を梃子にした構造改革を推進し、マツダらしい魅力ある商品とサービスの提供を通じたブランド価値の向上に取り組んでまいりました。本年3月には、新型「マツダ ロードスター(海外名:MX-5)」が、「2016ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と「2016ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」をダブル受賞するなど、「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用した新世代商品群は、グローバルで高い評価をいただいております。当社グループは、すべてのお客様にマツダブランドの提供価値である「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」をお届けするとともに、着実な台数成長を図ってまいります。

 

 当期のグローバル販売台数は、各市場での販売が本格化した「マツダ CX-3」や、引き続き販売が好調な「マツダ CX-5」の寄与などにより、前期比9.8%増の1,534千台となりました。

 市場別の販売台数は、次のとおりです。

<日本>

 需要が前期を下回る中、「マツダ デミオ(海外名:Mazda2)」の販売が堅調に推移したことに加え、「CX-3」や新型「ロードスター」が販売を牽引したことにより、前期比3.5%増の232千台となりました。

<北米>

 米国では、好調な販売が続く「CX-5」の商品改良モデルに加えて、「CX-3」や新型「MX-5」による台数貢献により販売が順調に推移したほか、メキシコにおいても、「Mazda2」や「Mazda3(日本名:マツダ アクセラ)」の販売が増加したことにより、全体で前期比3.0%増の438千台となりました。

<欧州>

 販売が本格化した「CX-3」や好調な販売が続く「Mazda2」などにより、前期比12.0%増の257千台となりました。国別では、ロシアで需要縮小の影響があったものの、主要国であるドイツや英国を中心に市場の伸びを大きく上回る販売となりました。

<中国>

 政府の小型車減税政策により、「Mazda3」の販売が高い伸びを示したほか、「CX-5」の商品改良モデルや「Mazda6(日本名:マツダ アテンザ)」も好調な販売を維持するなど、前期比9.5%増の235千台となりました。

<その他の市場>

 主要市場であるオーストラリアでは、「CX-3」や新型「MX-5」の寄与により台数・シェア共に前年を上回る販売となりました。また、ASEAN市場では、タイやベトナムなどで販売が大きく増加したほか、その他の新興国市場でも、サウジアラビアやコロンビアなどで過去最高の販売を記録したことから、その他の市場全体で前期比22.6%増の372千台となりました。

 

 当期の当社グループの連結業績は、売上高は、「SKYACTIV技術」搭載車のグローバルでの販売拡大により、

3兆4,066億円(前期比3,727億円増、12.3%増)となりました。営業利益は、出荷台数の増加や「モノ造り革新」による継続的なコスト改善等により2,268億円(前期比239億円増、11.8%増)、経常利益は2,236億円(前期比110億円増、5.2%増)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、製品保証引当金繰入額を一部特別損失へ計上したことなどにより、1,344億円(前期比244億円減、15.4%減)となりました。

 

(注)当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

 セグメント別の業績は、次のとおりです。

① 日本

 当セグメントにおきましては、売上高は2兆8,157億円(前期比2,875億円増、11.4%増)となり、セグメント別営業利益(以下、利益)は1,625億円(前期比201億円増、14.1%増)となりました。これは主に、台数・車種構成の改善に加え、コスト改善の進捗等があったことによるものです。

② 北米

 当セグメントにおきましては、売上高は1兆4,404億円(前期比1,843億円増、14.7%増)となり、利益は298億円(前期比81億円減、21.3%減)となりました。これは主に、台数・車種構成が改善した一方で、メキシコ新工場における償却費の増加等があったことによるものです。

③ 欧州

 当セグメントにおきましては、売上高は6,900億円(前期比671億円増、10.8%増)となり、利益は87億円(前期比62億円減、41.5%減)となりました。これは主に、主要国を中心に台数・車種構成が改善した一方で、対ユーロでの円高に加え、ロシアにおける需要縮小の影響等があったことによるものです。

④ その他の地域

 当セグメントにおきましては、売上高は5,950億円(前期比1,116億円増、23.1%増)となり、利益は216億円(前期比81億円増、60.0%増)となりました。これは主に、台数・車種構成の改善によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より396億円増加し、5,687億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,670億円及び減価償却費790億円等により、2,628億円の増加(前期は2,045億円の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出789億円等により、1,081億円の減少(前期は955億円の減少)となりました。これらの結果、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、1,547億円の増加(前期は1,089億円の増加)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払等により、941億円の減少(前期は628億円の減少)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における車両生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

前期比(%)

日本

989,401

7.6

北米

213,088

52.1

合計

1,202,489

13.5

 

(2)受注状況

 当社グループは、主として販売会社の販売実績及び受注状況等を考慮して生産計画をたて、見込生産を行っております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

1,016,260

7.8

北米

1,157,524

13.6

欧州

674,998

11.3

その他の地域

557,821

19.8

合計

3,406,603

12.3

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

「構造改革ステージ2」(平成29年3月期〜平成31年3月期)

 当社グループは、平成24年2月、厳しい外部環境への対応と将来の成長を確実にするため、「構造改革プラン」を策定し、「SKYACTIV技術」を梃子にした構造改革を強力に推進してまいりました。将来に向けた成長投資を行いながら、商品・販売・生産・アライアンスなどの各領域における主要施策が大きく進捗するなど、安定した収益構造の実現に向けて一定の成果を上げております。しかしながら、これらの領域において依然として更なる改善の余地があることから、「構造改革プラン」の主要施策を一層強化していく必要があります。

 そこで、将来の更なる成長に向け、ビジネスの質的成長を図り、ブランド価値の向上を加速するため、平成29年3月期からスタートする中期経営計画「構造改革ステージ2」を策定いたしました。

 最終年度となる平成31年3月期の経営指標は以下のとおりです。

 

 平成31年3月期(2019年3月期)経営指標の見通し

・グローバル販売台数           165万台

・ROS(連結売上高営業利益率)       7%以上

・自己資本比率              45%以上

・配当性向                20%以上

(前提為替レート:1米ドル120円、1ユーロ130円)

 

※ 文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末時点において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。

 

 「構造改革ステージ2」の主要施策は、以下のとおりです。

 

(1)商品・開発

 「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を提供する新型車を、引き続き「構造改革ステージ2」期間中においても投入いたします。また、最新のデザイン・技術を「商品改良モデル」に搭載し、新世代商品群の継続進化を図るほか、グローバルで需要が高まりつつあるクロスオーバー系車種のラインアップ拡充により、台数成長と収益性向上の両立を図ります。次世代商品に向けた技術開発では、今後さらに厳しくなる各国の環境等の規制対応も含め、環境・安全対応に重点を置いて進めてまいります。

 

(2)グローバル販売・ネットワーク強化

 「SKYACTIV技術」搭載車のフルラインアップにより、販売強化を図ります。また、引き続き正価販売方針のグローバルでの展開・浸透を図り、実売価格や車両残価を改善することでリテンションを向上させていきます。さらに、カスタマーケアやお客様のブランド体験向上に重点を置いた現場改革を推進し、お客様と特別な絆でつながるブランドを目指して取り組んでまいります。

 

(3)グローバル生産・コスト改善

 国内で培った「モノ造り革新」をグローバルの全拠点に展開し、コスト改善を加速させていきます。また、高い評価を獲得している「SKYACTIV技術」搭載車の販売増に対応するため、主要生産拠点の生産効率を最大化するとともに、拠点間の相互補完を可能にするグローバルスイング生産や車種間の生産フレキシビリティの拡大を図り、165万台に向けた台数成長をサポートします。

 

(4)財務基盤強化と株主還元

着実な台数成長とビジネスの質的成長によるブランド価値の向上により、安定的な利益とキャッシュ・フローを創出し、自己資本の充実など、財務基盤の強化を図ってまいります。株主還元については、当期の業績及び経営環境並びに財務状況等を勘案して決定することを基本とし、安定的な配当の実現とともに、財務基盤の強化にあわせ、着実な配当性向の改善を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがあります。

 以下に記載する事項は、当連結会計年度末現在において予想される主なリスクを記載したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。なお、文中における将来に関する事項につきましては当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの事業を取り巻く経済情勢

 当社グループは、日本を始め北米、欧州、アジアを含む世界各地域に製品を販売しており、それぞれの市場における景気動向や需要変動に強い影響を受けています。従いまして、当社グループの主要市場において、景気の減速または後退、需要構造の変化、需要減少、価格競争の激化等が進むことにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社グループは、日本から世界各地域へ製品を輸出しているほか、海外の工場で製造した製品を世界の他の市場へ輸出するなど、グローバルな事業活動を展開しています。これら取引は様々な通貨を通じて行われているため、為替レートの変動は当社グループの経営成績と財政状態に影響を与えます。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等を円換算しているため、為替レート変動により、為替換算調整勘定を通じて自己資本に悪影響を及ぼす可能性があります。また、為替レート変動リスクを最小限にするために為替予約を行っていますが、為替レートの変動状況によっては機会損失が発生する可能性があります。

 

(3)他社との提携、合弁の成否

 当社グループは、商品の開発、生産、販売に関し、技術提携や合弁等の形で、他社と共同活動を実施、もしくは検討を行っています。これにより経営資源の最適化、集中化及び相乗効果を期待しています。しかしながら、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、あるいは、提携や合弁の変更または解消等により、期待される結果を生まなかった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、意図しない提携や合弁の変更または解消が、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)環境等に関する法的規制

 当社グループは、事業展開する各国において、燃費及び排ガス、車両の安全性、製造工場からの汚染物質排出レベルに関する規制などの環境規制のほか、労働規制など、様々な法的規制を受けています。今後、法的規制の強化によるコストの増加などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)市場競争力

 当社グループが製品を販売している世界各地域の自動車市場においては、多様な競合相手が存在しています。ブランド価値の維持発展を含む市場での競争力の維持強化は当社グループの成長にとって非常に重要であり、そのために開発・製造・販売等において競争力の強化に向けた取り組みを進めています。しかしながら、市場の予測が十分でなかった場合、あるいは技術力や生産上の問題等により、魅力ある製品を適切な時期に投入することが出来なかった場合、あるいはお客様の価値観または変化に対応した流通網、販売手法を効果的に展開できなかった場合、販売シェアの低下や製品価格の低下を含め、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原材料、部品の調達

 当社グループは、原材料及び部品の購入を複数のグループ外のサプライヤーに依存しています。従って、これらの供給元企業が災害等により被災した場合等の供給能力の制約や物流機能の低下、また需給の逼迫や契約条件の変更または破棄等により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難になる場合、あるいは当社グループが調達している原材料の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などによりその影響を吸収できない場合や、調達した原材料または部品の品質が不十分であった場合には、製品の生産状況の悪化やコスト上昇を招く可能性があり、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)国際的な事業活動に伴うリスク

 当社グループは、日本を始め世界各地域に製品を販売しており、米国、欧州及び発展途上市場や新興市場を含む海外市場において事業活動を行っています。これらの海外市場での事業展開には以下のようなリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・不利な政治、経済要因

・法律または規則の変更による障害

・関税などの輸出入規制、不利な税制及びその他の規制

・人材の採用と確保の難しさ

・未整備のインフラ

・ストライキ等の労働争議

・テロ、戦争あるいは疾病その他の要因による社会的混乱

 

(8)知的財産権による保護

 当社グループは、事業の優位性を確保するために他社製品と区別化できる技術とノウハウの蓄積、それらの保護並びに、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めています。それにもかかわらず、認識または見解相違により、第三者からその知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、当社グループとして製造販売中止、あるいは損害賠償などが必要となった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があります。第三者が当社グループの知的財産権を無断使用して類似した製品を製造した場合、多額の訴訟費用のみならず製品区別化が図れないことによる販売減少により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)製品の品質

 当社グループは、市場の要求に応えるべく品質改善に努める一方で、製品の安全性の確保にも最善の努力を注いでいます。しかしながら、予測できない原因により製品に欠陥が生じ、大規模なリコール等が発生した場合には、多額のコストの発生、ブランドイメージの低下、市場信頼性の失墜などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害や事故に関するリスク

 当社グループは、製造設備等の主要施設に関して、防火、耐震対策などを実施すると共に、財務リスクを最小化すべく災害保険加入等の対策を行っています。しかしながら、大規模な地震、台風、洪水等の自然災害及び火災等の事故の発生により製品供給に重大な支障を来たした場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報技術への依存

 当社グループは、製品の開発、生産、販売など、様々なビジネス活動の遂行において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。また、当社製品にも、運転支援システムなど、これら技術を採用した装備が搭載されています。情報技術やネットワーク、システムには、安全な運用のため対策が施されていますが、インフラ障害、サイバー攻撃、コンピューターウイルスへの感染等などによって、各種業務活動の停止、データの喪失、当社製品の機能低下などが発生する可能性があります。この場合、対策費用の発生、当社製品の信用の失墜やブランドイメージの毀損などにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)財務会計リスク

 当社グループの経営成績及び財政状態は、以下の財務会計的な要因を含む、資産及び負債への財務会計上の評価や、会計基準の変更及び新たな適用により、影響を受ける可能性があります。

① 繰延税金資産

 繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して、将来の課税所得に関する予想等に基づく回収可能性を評価することにより計上されていますが、経営状況の悪化により回収できないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正等があった場合には、評価性引当額の計上などにより、繰延税金資産の額が減額され、当社

グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 固定資産の減損

 固定資産について、経営状況の悪化等により帳簿価額を回収できないと判断された場合には、対象資産の帳簿価額に対する減損損失の計上により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 退職給付関係

 退職給付に係る負債は、退職給付債務と年金資産の動向によって変動しますが、数理計算上の前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合などには、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)資金調達環境の変化と金利の変動等

 当社グループは、銀行からの借入に加え、株式及び社債の発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、金融市場が混乱した場合、税制改正や政府系金融機関の制度変更等がなされた場合、もしくは当社グループの信用格付けが引き下げられた場合等においては、資金調達コストの増加や必要とする金額の資金調達が困難となること等により、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれており、金利上昇により金融コストが上昇した場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの財務内容の悪化が一部借入金等の財務制限条項に抵触し、期限の利益を喪失することとなった場合には、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)コンプライアンス、レピュテーション

 当社グループは、個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取り組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じています。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでいます。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではありません。法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)将来の見通し等

 当社グループは、将来の更なる成長に向け、ビジネスの質的成長を図り、ブランド価値の向上を加速するため、平成29年3月期をスタートとする中期経営計画「構造改革ステージ2」を策定しています。しかしながら、計画の実行にあたっては、想定とは大きく異なる環境変化の発生や、計画どおりに進捗しない場合など、期待される効果が実現しないことにより、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、昭和54年、フォード モーター カンパニーとの間にグローバルなパートナーシップを構築し、その後も、両社は提携関係を一層発展、強化させてきました。平成8年には、提携関係を一段と強化する旨合意し、同社は当社の発行済株式総数の33.4%を所有しておりました。その後、同社による当社株式の売却が段階的に行われ、現在、同社は当社株式を保有しておりません。しかしながら、当社と同社は戦略的提携関係を継続することで合意しており、今後も主要な合弁事業など、双方がメリットを得られる分野で協力していきます。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、「“Zoom-Zoom”(ズーム・ズーム:子供の時に感じた動くことへの感動)」に体現されるマツダのブランド価値を、さらに進化・向上して行く技術開発長期ビジョンとして平成19年に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」を策定しました。これは「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を、限られたマーケットや限られたお客様だけでなく、すべてのお客様に提供することを宣言したものです。

 また、お客様のニーズに応えるための「多様化」と、効率化のための「共通化」という相反する課題を、単にベストバランスを探るのではなく、ブレークスルーによって高次元で両立させることを狙いとする「モノ造り革新」により、商品競争力の向上と開発・生産効率の向上の高い次元での両立に取り組んでいます。

 セグメントごとの研究開発体制は、日本では「本社R&D部門」と「マツダR&Dセンター横浜」にて新商品の企画・デザイン・設計・実験研究、並びに新技術の先行研究を行っています。海外では、北米は米国の「マツダモーターオブアメリカ, Inc.」、欧州はドイツの「マツダモーターヨーロッパGmbH」、その他の地域は中国の「マツダ(中国)企業管理有限公司」の各R&D部門と連携し、それぞれの市場特性に適合した商品の研究開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度の新商品は、新型「ロードスター」及び新型「CX-9」です。

 新型「ロードスター」は、新世代技術「SKYACTIV技術」(*1)と新デザインテーマ「魂動(こどう)」を全面的に採用した新世代商品の第6弾となるモデルです。人がクルマを楽しむ感覚の深化に徹底的に取組み、「人馬一体」の楽しさを追究した、後輪駆動(FR)の2シーターライトウェイトオープンスポーツカーです。新開発の1.5L直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」をフロントミッドシップに搭載し、前後重量配分を50:50としています。ボディには、アルミや高張力鋼板の使用比率を71%に高め(前モデル58%)、さらに構造の工夫などにより、先代モデル比100kg以上となる大幅な軽量化(車両重量990kg〜1,060kg)を実現しています。コックピットは、優れた視界、操作性の優れた機器配置、ドライバーに対して正対するペダルレイアウトなど、スポーツカーとして理想的なドライビングポジションを実現しています。また、本年3月には、リトラクタブルハードトップモデル「MX-5 RF」を世界初公開しました。「オープンカーの楽しさを身近なものにする」という先代のリトラクタブルハードトップモデルが目指した価値を引き継ぎながら、更なる進化に挑戦しました。

 新型「CX-9」は、年間約5万台のグローバル販売計画台数の約8割を北米市場が占める新型3列ミッドサイズクロスオーバーSUVです。主に成熟したファミリー層を対象に、新世代商品群のハイエンドモデルとして、機能やスペックを超えた上質な心地よさをお届けすることで、「親としてだけではない、人生のさまざまな側面をスマートに輝かせる新しいクロスオーバーSUV像」を提案します。よりプレミアムな世界観を追求した最新の「魂動」デザイン、上質さを高めた「人馬一体」の走り、卓越した燃費性能はもちろん、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」や新世代4WDシステム「i-ACTIV AWD」、使いやすく快適な室内空間などで、現代の家族のニーズに応えます。また、パワートレインには、「SKYACTIV-G」シリーズの最上位エンジンとなる新開発の2.5L直噴ガソリンターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」を搭載しています。「SKYACTIV-G 2.5T」は、「SKYACTIV-G」シリーズ初のターボエンジンです。「アテンザ」などに搭載されている自然吸気エンジン「SKYACTIV-G 2.5」をベースに改良を加えることで、卓越したカタログ燃費・実用燃費とともに、新型「CX-9」の使用シーンの9割以上を占める中低速領域でのリニアで力強い加速感、ターボラグのない良好な応答性を実現しており、4LV型8気筒自然吸気ガソリンエンジン並みの最大トルクを発揮します。

 マツダは、平成18年から「モノ造り革新」に取り組んできました。これは、生産プロセスに留まらず、開発や購買を横断する全社的な構造改革活動です。現在までに、開発効率化30%以上、生産設備投資改善20%以上を達成し、高性能かつトレンドに合った商品の効率的な開発や、タイムリーな市場導入、売れ筋商品の急変などの環境変化に柔軟に対応できる高効率な生産体制を構築するなど、「SKYACTIV技術」を搭載した商品の開発及び導入のみならず、経営面でも多大な成果を収めています。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,166億円で、セグメントごとの研究開発費は、日本は1,116億円、北米は22億円、欧州は20億円、その他の地域は8億円であります。なお、当社のセグメントは、生産・販売の管理体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動の大部分を日本セグメントで行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、記載を省略しております。

 

(*1) 「SKYACTIV技術」とは、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づいて、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を高次元で両立することを目標に開発したエンジン(ガソリン・ディーゼル)、トランスミッション、ボディ、シャシーなどの新世代技術の総称。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、「SKYACTIV技術」搭載車のグローバルでの販売拡大などにより、3兆4,066億円(前期比3,727億円増、12.3%増)となりました。仕向地別の内訳は、国内が6,609億円(前期比435

億円増、7.1%増)、海外が2兆7,457億円(前期比3,292億円増、13.6%増)となりました。また、製品別の販売実績では、車両売上高は、台数・車種構成の改善等により2兆8,615億円(前期比3,611億円増、14.4%増)となりました。そのほか、海外生産用部品売上高は644億円(前期比146億円減、18.5%減)、部品売上高は2,442億円(前期比125億円増、5.4%増)となり、その他売上高は2,365億円(前期比137億円増、6.2%増)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、2,268億円(前期比239億円増、11.8%増)となりました。これは、為替の変動に加え、開発への投資強化、メキシコ新工場の固定費増など、将来に向けた成長投資による費用増加を、「SKYACTIV技術」搭載車による台数・車種構成の改善並びに「モノ造り革新」の推進によるコスト改善の成果が上回ったことによるものです。

(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 経常利益は、持分法による投資利益220億円を計上した一方で、為替差損160億円等により、2,236億円(前期比110億円増、5.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、製品保証引当金繰入額を一部特別損失へ計上したことや、法人税等合計297億円等により、1,344億円(前期比244億円減、15.4%減)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金及び繰延税金資産などの増加により前連結会計年度末より751億円増加し、2兆5,484億円となりました。

 負債合計は、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末より103億円減少し、1兆5,717億円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末より839億円減少し、6,171億円となり、有利子負債から現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高を除いた純有利子負債は、前連結会計年度末より1,235億円減少の484億円となりました。純有利子負債自己資本比率は、前連結会計年度末より14.7ポイント改善し、5.1%となりました。

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益1,344億円などにより、前連結会計年度末より854億円増加し、9,767億円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末より2.2ポイント増加し、37.4%(劣後特約付ローンの資本性考慮後38.8%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より396億円増加し、5,687億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,628億円の増加(前期は2,045億円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,670億円及び減価償却費790億円等によるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,081億円の減少(前期は955億円の減少)となりました。これは、メキシコ新工場やタイの新パワートレイン工場への設備投資など、有形固定資産の取得による支出789億円等によるものです。

 これらの結果、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、1,547億円の増加(前期は1,089億円の増加)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、941億円の減少(前期は628億円の減少)となりました。これは、借入金の返済や配当金の支払等によるものです。

 





出典: マツダ株式会社、2016-03-31 期 有価証券報告書