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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、国内においては、企業収益の改善を背景に設備投資も増加するなど景気は緩やかに回復を続けていましたが、米国のサブプライムローン問題や、為替環境の急激な変化、さらには原材料価格の高騰が続くなど、このところ企業収益は弱含みとなっており、景気回復は足踏み状態にあります。海外においては、アジアの景気拡大などにより、世界経済全体は回復を続けているものの、米国や欧州など景気減速の動きに広がりが見られました。

このような状況下、当連結会計年度は、海外における四輪車の好調な販売などにより、連結売上高は3兆5,024億1千9百万円(前年同期比110.7%)、連結利益の面では、研究開発費・減価償却費・諸経費の増などを、売上増加や原価低減、為替差益などで吸収し、営業利益は1,494億5百万円(前年同期比112.4%)、経常利益は1,569億4百万円(前年同期比112.7%)、当期純利益は802億5千4百万円(前年同期比107.0%)となりました。

一方、当社単独の売上高は2兆316億3千9百万円(前年同期比104.7%)と初めて2兆円を超え、利益面では、研究開発費・減価償却費・諸経費の増などを、売上増加や原価低減、為替差益などにより吸収し、営業利益は674億1千6百万円(前年同期比121.0%)、経常利益は621億1千9百万円(前年同期比100.9%)、当期純利益は408億6千4百万円(前年同期比94.9%)となりました。

 

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。

 

① 二輪車事業

国内では、全体需要が減少しているなか、フューエルインジェクションを搭載した「レッツ4」などの好調により、売上高は前連結会計年度より増加しました。海外では、アメリカの景気後退などにより北米の売上高が減少したものの、欧州、アジア、その他の地域などでの売上高の増加により、海外二輪全体では前連結会計年度並みの売上高となりました。その結果、二輪車事業の売上高は5,919億6千7百万円(前年同期比100.6%)となりました。営業利益は、北米の売上減少による減益を、原価低減、為替差益などで吸収出来ず、225億4千2百万円(前年同期比49.7%)と減少しました。

② 四輪車事業

国内では、全体需要が減少しているなか、小型車「スイフト」に新開発の1.2LエンジンとCVT搭載車の設定に加え、新型コンパクトセダン「SX4セダン」の発売、軽自動車にあっては、新型車「パレット」の発売など、商品力の強化を図り拡販に努めた結果、売上高は若干、前連結会計年度を上回ることが出来ました。一方、海外では、世界戦略車「スイフト」、「SX4」の順調な販売により、売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。その結果、四輪車事業の売上高は2兆8,338億9千2百万円(前年同期比113.2%)となり、営業利益は、減価償却費・研究開発費・諸経費などの増を、売上増加や原価低減、為替差益などで吸収し、1,139億6千2百万円(前年同期比148.8%)と増加しました。

③ その他の事業

その他の事業の売上高は765億5千9百万円(前年同期比106.8%)となり、また、営業利益は、売上増加などにより、128億9千9百万円(前年同期比117.8%)と増加しました。

 

所在地別セグメントの業績は、次のとおりです。

 

① 日本

売上高は、2兆1,940億1千7百万円(前年同期比105.2%)となり、営業利益は研究開発費・減価償却費・諸経費の増などを売上増加や原価低減、為替差益などで吸収し、849億6千万円(前年同期比121.9%)と増加しました。

② 欧州

「スイフト」、「SX4」などの順調な販売により、売上高は7,773億2千3百万円(前年同期比117.6%)と増加しましたが、営業利益については、新型車投入の準備費用や減価償却費の増などにより、133億7千8百万円(前年同期比90.4%)と減少しました。

③ 北米

ガソリン価格高騰やサブプライムローン問題等によるアメリカでの販売減少が影響し、北米の売上高は、4,056億9千6百万円(前年同期比88.3%)と減少し、営業利益についても、△85億3千5百万円とマイナスになりました。

④ アジア

インドのマルチ スズキ インディア社や、落ち込んでいたインドネシアのインドモービル スズキ インターナショナル社の売上増加などにより、売上高は、8,468億1百万円(前年同期比129.1%)と増加し、営業利益についても、売上増加などにより、561億3千8百万円(前年同期比128.7%)と増加しました。

⑤ その他の地域

売上高は、884億1千1百万円(前年同期比143.6%)と増加しましたが、販売費増加などにより営業利益は、46億8百万円(前年同期比91.0%)と減少しました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動より1,940億3千9百万円の資金を得、投資活動では、有形固定資産の取得など2,159億2千1百万円の資金を使用しました結果、フリー・キャッシュ・フローは218億8千1百万円のマイナスとなりました。また、財務活動では、短期借入・長期借入の増加などにより、493億2千2百万円の資金が増加しました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は4,563億6千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ120億3千4百万円増加しました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

事業の種類別セグメントの名称
生産高
前年同期比(%)
二輪車事業
1,627,903台
96.6
四輪車事業
2,420,858台
109.5
その他の事業
79,657百万円
109.7

(注) 1 金額は販売価格によります。

2 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

事業の種類別セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
二輪車事業
591,967
100.6
四輪車事業
2,833,892
113.2
その他の事業
76,559
106.8
合計
3,502,419
110.7

(注) 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループを取り巻く経営環境は、為替変動、原材料価格上昇など極めて不透明であり、また、企業間競争は一段と激化し、ますます厳しい状況にあります。

このような厳しい環境に対処するため、当社グループは、基本方針として“生き残るために、我流をすてて、基本に忠実に行動しよう”を掲げ、あらゆる分野での見直しを行い、経営体質の強化に努めてまいります。また、「なんでも語ろう!」をスローガンに、各部門の連携、コミュニケーションの強化、コンプライアンスの確保など社内の風通しを良くする取り組みを行ってまいります。

二輪車におきましては、国内では、原付車や大型二輪車の拡販に努め、また、欧州・北米市場では、レースで培った「スポーティ、若々しさ、ユニークさ」といったブランドイメージを成長させられる商品を投入し、収益性の高い二輪車事業を構築してまいります。

一方海外では、低迷しているアジア地域の小型二輪車事業につきましては、市場ニーズにあった商品の投入、販売力の強化、品質・生産性の向上などを推進してまいります。ガソリン価格の高騰やサブプライムローン問題等の影響により業績不振となった北米地域の二輪車・ATV事業につきましては、個性的でユニークな大型車を中心にマーケティングすることで、建て直しを図ってまいります。

四輪車におきましては、国内・海外ともに市場に密着した商品づくりと営業活動を進めてまいります。国内では、営業マンの増員・教育など販売力を強化し、また、「スズキ アリーナ店」の店づくりを進め、販売増に結びつけてまいります。一方、海外においては、“Way of life!”をスローガンとしたスズキブランドイメージの向上に努め、販売力の強化を図るとともに、部品の現地調達、コストダウン活動や一層の品質・生産性向上などを推進し、海外拠点のさらなる強化を図ってまいります。

また、海外の旺盛な需要と慢性的な生産能力不足に対処するため、相良工場敷地内に年産26万台規模の小型車専用工場を、今秋の稼動を目指して建設中であります。海外工場につきましても、マルチ スズキ インディア社など、生産能力の増強を図ってまいります。

さらに、世界4極市場にマッチした商品を効率的にスピードを上げて開発し、タイミングよく商品化していくよう努めてまいります。また、地球環境保護のために、排出ガス低減、燃費向上、省資源化、リサイクル化など環境に配慮した商品開発を推進するとともに、ディーゼルエンジンについてはフィアット社、ハイブリッド車・燃料電池自動車等の開発はゼネラル モーターズ社など、各社との提携による効果を最大限活用し取り組んでまいります。

なお、当社とゼネラル モーターズ社は昭和56年8月以来、建設的な提携関係を継続しており、今後とも、先端技術の開発協力、カナダでの合弁工場CAMIプロジェクト、パワートレイン開発協力、OEM製品の相互供給、グローバル共同購買など具体的なプロジェクトは積極的に推進してまいります。

中期経営目標の進捗につきましては、当社グループは、昨年4月27日に修正公表した「スズキ中期5ヵ年計画(2005年4月〜2010年3月)」の内、連結売上高目標3兆5千億円を、ヨーロッパやアジアでの四輪車の旺盛な伸びなどにより前倒しで達成することが出来ました。

一方、経営環境が大幅に変化していることや、新たなプロジェクトに伴う設備投資増加も見込まれることから、従来の中期5ヵ年計画が3年経過したところで、残り2年に2011年3月期を加え、新たに連結売上高4兆円の達成を目標とする「スズキ中期3ヵ年計画(2008年4月〜2011年3月)」を策定しました。

この中期3ヵ年計画の基本方針は、引き続き従来の方針を継続する一方、具体的な経営目標は、以下のとおりです。この経営目標を達成出来るよう、引き続き当社グループ全員が一丸となって取り組んでまいります。


[基本方針]
成長のための研究開発投資・設備投資を推進し、これらを支える収益基盤の確立を
図るとともに、成長を担う人材の育成を行う。
[中期経営目標]
2011年3月期
2008年3月期
連結売上高
4兆円
3兆5,024億円
(二輪車事業)
(   6,200億円)
(   5,920億円)
(四輪車事業)
(3兆3,000億円)
(2兆8,339億円)
(その他事業)
(     800億円)
(     765億円)
連結経常利益
1,700億円
1,569億円
為替レート
US$100円
US$114円
ユーロ145円
ユーロ160円
世界生産台数
二輪車
440万台
339万台
四輪車
320万台
264万台
世界販売台数
二輪車
440万台
334万台
四輪車
295万台
241万台
3ヵ年累計設備投資
7,500億円
(主要な持分法適用会社を含む)

当社グループは、「小さなクルマ 大きな未来」をスローガンに、お客様の求める「小さなクルマづくり」、「地球環境にやさしい製品づくり」に邁進するとともに、生産をはじめ組織・設備・部品・環境などあらゆる面で「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、ムダのない効率的な健全経営に取り組んでまいります。

また、役員及び従業員は、法令、社会規範、社内規則等を遵守し、公正かつ誠実に行動してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成20年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。

 

経済情勢の変化

長期間の景気低迷、消費者の購買意欲低下は、二輪車、四輪車及び船外機などの当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の発展途上国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。さらに、各国の税制の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。

 

製品価格・仕入価格の変動

需要の急激な変化、特定の部品・原材料の供給不足・値上がり、不安定な経済状況、輸入規制の改正、価格競争の激化などさまざまな要因により、当社グループの製品価格・仕入価格の急激な変動が引き起こされる場合があります。このような急激な価格変動が長引かない、あるいは、これまでこのような変動がなかった市場で発生しないという保証はありません。当社グループが事業展開しているどの市場においても、急激な製品価格・仕入価格の変動は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

為替変動

当社は、日本から世界各国へ二輪車、四輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出しています。

また、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。為替レートの変動は、当社グループの経営成績及び財政状態、また、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響します。

さらに、為替変動は、外貨建で当社が販売する製品の価格設定及び購入する原材料の価格に影響します。当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上高の割合は72%であり、米国ドル、ユーロ等の外貨建取引もかなりの部分を占めています。為替変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジを行っていますが、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、円が他の通貨に対して円高になると、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

環境等の規制

排気ガス排出レベル、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、二輪車、四輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社グループの業績に対して大きな影響を与える可能性があります。

 

品質保証

当社グループは、製品の安全を最優先の課題とし、また、世界同一品質を目指し、開発から販売までの品質保証体制の整備に努めています。製造物にかかわる賠償責任については、保険に加入していますが、保険でカバーされないリスクもあり、また、顧客の安全のため大規模なリコールを実施し、多額の費用が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響

当社グループの日本での主要生産拠点は東海地区を中心に点在し、生産活動を行っています。また、当社の本社をはじめとするその他の施設も主に東海地区に集中しています。万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。このような災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、業務復旧計画の策定、地震保険への加入等、様々な予防策を講じております。

海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開していますが、自然災害、疾病、戦争、テロ、ストライキなどの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

1 昭和56年8月12日、米国の General Motors Corp. と小型四輪車の分野における相互補完を目的とした資本並びに業務提携契約を締結しました。

2 昭和61年8月26日、カナダの General Motors of Canada Ltd. とカナダにおける四輪車生産のための現地法人設立についての合意書に調印し、同年10月1日に CAMI Automotive Inc. を設立しました。

3 平成2年1月12日、㈱伊藤忠商事、ハンガリーの Autokonszern RT. 及び International 
Finance Corp. との間において、ハンガリーにおける四輪車生産のための現地法人設立についての基本合意書に調印し、平成3年4月24日に Magyar Suzuki Corporation Ltd. を設立しました。

なお、平成7年11月13日に Autokonszern RT. は解散し、平成9年6月に International 
Finance Corp. は合弁から離脱しました。

4 平成10年9月15日、米国の General Motors Corp. との間において、これまでの業務提携関係を全世界規模で一段と強化すること、並びにかかる関係及び競争力の強化を図るという両社の意図を表明する象徴的な方法として行う General Motors Corp. への新株割当に関する契約を締結しました。

5 平成12年9月14日、米国の General Motors Corp. との間において、従来よりの提携関係を一層強化することを目的とした新たな戦略的提携契約を締結しました。

6 平成12年9月29日、富士重工業㈱と業務提携に関する覚書を締結しました。

7 平成13年4月2日、日産自動車㈱と軽乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。

8 平成13年8月29日、川崎重工業㈱と二輪車・ATV(四輪バギー車)の商品開発、調達、生産その他における業務提携に関する覚書を締結しました。

9 平成14年5月15日、インド政府と Maruti Udyog Ltd.(現 Maruti Suzuki India Ltd.) の株主割当増資とインド政府保有株式の市場公開について修正合弁契約書を締結しました。

10  平成14年8月6日、GMグループ、韓国のThe Korea Development Bank との間において韓国の
GM DAEWOO Auto & Technology Company への資本参加について株式引受契約を締結しました。

11 平成14年11月15日、インドネシアのPT Indomobil Sukses International TBK との間において
PT Indomobil Suzuki International の株式買取りについて株式売買契約を締結しました。

12 平成18年3月6日、米国の General Motors Corp. との間において、GMグループの出資比率変更及び戦略的協力と相互支援の継続を内容とする、平成12年9月14日締結の戦略的提携契約の修正契約を締結しました。

13 当社は、海外において技術援助契約を締結のうえ、四輪車又は二輪車等のノックダウン生産を行っています。

その主なものは次のとおりです。

 

契約締結日
国名
締結先
契約項目
昭和42年5月1日
タイ
Thai Suzuki Motor Co.,Ltd.
スズキ二輪車の製造・組立に関する技術供与
昭和57年10月2日
インド
Maruti Udyog Ltd.
(現 Maruti Suzuki India Ltd.)
スズキ四輪車の製造・組立に関する技術供与
平成元年3月1日
カナダ
CAMI Automotive Inc.
同上
平成2年12月24日
インドネシア
PT Indomobil Suzuki
International
スズキ二輪車・四輪車の製造・組立に関する技術供与
平成3年4月24日
ハンガリー
Magyar Suzuki Corporation Ltd.
スズキ四輪車の製造・組立に関する技術供与
平成11年8月10日
中国
重慶長安鈴木汽車有限公司
同上

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は主に当社が行っており、技術革新の進展とますます多様化するユーザーニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供するため、既存分野にとらわれず幅広い技術開発に積極的に取り組んでおります。

また、本社技術部門及び開発部門をはじめとした研究体制にて、自動車分野における先端技術の基礎研究から応用技術開発まで充実させるとともに、ゼネラル モーターズ社との技術提携により新技術の共同開発も進めております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,087億4千1百万円であり、事業の種類別セグメントの研究開発活動を示すと次のとおりです。

 

(1) 二輪車事業

主に新商品機種の開発及び要素技術の開発を行っております。また、低燃費次世代エンジンの三次元カム式エンジンや各種エンジン・シリンダーへの高速めっき適用拡大、エンジン燃焼解析や、さらには将来の環境保全に対応する有力な候補である燃料電池二輪車などの新技術について研究開発を行っております。当連結会計年度における研究開発費の金額は237億8百万円であり、主な成果としては下記のものが挙げられます。

・国内向けに、ライダーのブレーキ操作を補助する電子制御式ABSを国内400ccスポーツバイククラスとして初めて※1標準装備したモデル「GSR400 ABS」を開発しました。また、スクーター初搭載となる※1ブレーキとスロットル操作によりシフトダウンが可能な「スロットルシフト」を採用した「スカイウェイブ250タイプM」及びクラス初採用※1のハンドルポケットを装備した「レッツ5」シリーズを開発しました。「スカイウェイブ250タイプM」は、メリハリのある走りが可能な7段階の自動変速モードを新たに採用し、電子制御式CVT(自動無段変速機)にスクーター最多※1の5モードの走行モードを設定しました。「レッツ5」シリーズは、フューエルインジェクションシステムを採用した4サイクルエンジンを搭載し、平成18年国内二輪車排出ガス規制に対応しました。さらに、新開発のバッテリーレスフューエルインジェクションシステムを市販モトクロッサーとして世界で初めて※1搭載するとともに、トランスミッションの5速化や新設計アルミフレームの採用など大幅な改良を施したことで、高性能と扱いやすさを両立させた「RM−Z450」など、新商品機種を開発しました。

・北米・欧州向けには、当社の大型スポーツバイクのフラッグシップモデル「Hayabusa1300」を平成11年の販売開始以来初めてモデルチェンジしました。「Hayabusa1300」は、ライダーが好みによってエンジンの出力特性を選択できるS−DMS(Suzuki Drive Mode 
Selector)、SDTV(Suzuki Dual Throttle Valve)、ツインフューエルインジェクターなど最新の技術を投入しながら、高い空力特性を持つデザインを採用しました。また、当社の大型ネイキッドバイクのフラッグシップモデル「B−KING」を開発しました。「B−KING」は、大胆で質感の高いスタイリングを持ち、S−DMS、フルアジャスタブル前後サスペンションなどを採用し、動力性能・運動性能においてもクラストップレベルを実現しました、さらに、S−DMSや電子制御ステアリングダンパーなどを採用した「GSX−R750」及び「GSX−R600」など、新商品機種を開発しました。

・新技術として、「三次元カム式エンジン」を開発し、「第40回東京モーターショー 2007」に出品しました。「三次元カム式エンジン」は、低速・低負荷域から高速・高負荷域まで、エンジン特性を連続可変させる「三次元カム」を採用することにより、全域での最適な燃費効率と出力特性を両立し、従来の同サイズのエンジンより10%程度の走行燃費向上、及び最大6%の全回転域でのトルク向上を実現するものです。

・シンプル・小型・軽量の空冷式燃料電池システムと高性能二次電池を組み合わせることにより、最適な電力制御ができる燃料電池二輪車「crosscage(クロスケージ)」を開発し、「第40回東京モーターショー 2007」に出品しました。

・国土交通省の「先進安全自動車(ASV※2)推進計画」に基づく公道走行試験(平成20年3月から)へ、先進安全二輪車「スカイウェイブ250 ASV−4」を開発し、参画しました。

 

(2) 四輪車事業

主に新商品機種の開発及び要素技術の開発を行っております。また、ITS※3/ASV※2、エンジン燃焼解析などの研究開発や、衝突安全性向上と軽量化を両立したレーザー溶接技術の開発、さらには将来の環境保全に対応する有力な候補である燃料電池車の開発をゼネラル モーターズ社との相互協力の下で進めるなど、安全・環境に関する技術や各種新技術の研究開発を行っております。当連結会計年度における研究開発費の金額は822億3千7百万円であり、主な成果としては下記のものが挙げられます。

・ゆとりある室内空間を実現する革新パッケージングを採用し、軽自動車本来の使いやすさや経済性を活かしながら、小さな車を大きく使う様々な工夫を盛り込んだ新型軽ワゴン「パレット」を開発、ボンネット型軽乗用車クラス初※1となる、後席両側スライドドアを全車に採用しました。また、日本初の「直噴(DI)ターボエンジン+CVT」を搭載し、「プレミアム スポーティーコンパクト」をコンセプトとした「セルボ」の上級グレード「SR」を開発、2WD車・4WD車ともに平成17年排出ガス基準75%低減レベルを達成し、軽ターボ車として唯一※1、2WD車・4WD車ともグリーン税制に適合しました。さらに、欧州をはじめとする世界各地の市場で高い評価を得ている「SX4」の特長を活かしながら、セダンならではの流麗なデザインを実現しつつ高い居住性と515Lの大容量トランクルームの採用により実用性を高めた「SX4セダン」、及び新開発K12B型1.2LエンジンとCVTを搭載し高い動力性能と低燃費(20.5km/L※1)を実現した「スイフト」など、新商品機種を開発しました。

・足腰の弱い方が乗り降りをしやすいように助手席が回転しスライドする機構を採用し、また、アシストグリップの装備や助手席ドアの開度を拡大するなど乗降性を向上させた福祉車両「SX4 回転スライドシート車」を開発しました。

・各国で走行性能の評価の高い「スイフト」のプラットフォームをベースに、ガソリン(1.3L)とディーゼル(1.3L)エンジンを搭載した「スイフトセダン(SWIFT DZire)」を開発し、平成20年3月からインド国内で販売を開始しました。

・国土交通省の「先進安全自動車(ASV)推進計画」に基づく公道走行試験(平成20年3月から)へ、先進安全自動車「ワゴンR ASV−4」を開発し、参画しました。

 

(3) その他の事業

特機事業におけるマリン関係製品をはじめ電動車両・産業機器・住宅の新商品機種の開発及び要素技術開発などを行っております。特にマリン関係においては環境に対応した各種防錆技術の研究開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は27億9千5百万円であり、主な成果としては下記のものが挙げられます。

・電動車両では、ブラシレスモーターを採用してモーター効率を改善し連続走行距離を伸ばした「セニアカー」シリーズの四輪上級タイプ「ET4D」と四輪標準タイプ「ET4E」をはじめ、小型ニッケル水素バッテリーの容量を増やし連続走行距離を伸ばすとともに、使い勝手及び快適性を向上させた手動車いすに電動ユニット「AC22AU」を装着した電動車いす「カインドチェア AC22A」など、一部改良した機種を開発しました。

・住宅では、「プラスワンのゆとりの空間」として「土間スペース」を設け、陶芸や園芸などの趣味のほか、様々な用途に対応したことで、ターゲットである活動的な熟年世代、団塊の世代のお客様がプライベートな時間を寛いでいただける鉄鋼系平屋建住宅「グランドモダム」を開発しました。

・ダイレクトメタノール型燃料電池ユニットを搭載した燃料電池セニアカー「MIO」を改良して4Lのメタノールで60km以上(昨年の出品モデルは約40km)の長距離走行を可能とし、「第34回 国際福祉機器展 H.C.R.2007」に参考出品しました。

 

※1 当社調べ

※2 ASV:Advanced Safety Vehicle(先進安全自動車)

※3 ITS:Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成20年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 

① 貸倒引当金の計上基準

当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 製品保証引当金の計上基準

当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。

 

③ 製造物賠償責任引当金の計上基準

北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。

 

④ 投資有価証券の評価

当社グループは、価格変動性の高い公開会社の株式と、株価の決定が困難な非公開会社の株式を保有しておりますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しております。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

⑤ 固定資産の減損処理

当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

⑦ 退職給付費用

当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。

長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。

また、年金資産の運用利回りが、期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。

 

(2) 経営成績の分析

当社グループの経営成績は、当連結会計年度において連結売上高は3兆5,024億1千9百万円(前年同期比110.7%)、連結利益の面では、営業利益は1,494億5百万円(前年同期比112.4%)、経常利益は1,569億4百万円(前年同期比112.7%)、当期純利益は802億5千4百万円(前年同期比107.0%)となりました。これは、研究開発費・減価償却費・諸経費の増などを、売上増加や原価低減、為替差益などで吸収したことによるものです。

 

① 売上高の分析

当連結会計年度の連結売上高は3兆5,024億1千9百万円ですが、これを事業の種類別セグメントごとに分析すると、「二輪車事業」「四輪車事業」「その他の事業」すべての事業において増収となっております。

「二輪車事業」では、国内売上高は、全体需要が減少しているなか、フューエルインジェクションを搭載した「レッツ4」などの好調により前連結会計年度を上回りました。海外売上高は、アメリカの景気後退などにより北米の売上高が減少しましたが、欧州、アジアその他地域などでの売上高の増加により、前連結会計年度並みとなりました。以上の結果、「二輪車事業」の売上高は5,919億6千7百万円(前年同期比100.6%)となりました。

「四輪車事業」では、国内売上高は、全体需要が減少しているなか、小型車「スイフト」に新開発の1.2LエンジンとCVT搭載車の設定に加え、新型コンパクトセダン「SX4セダン」の発売、軽自動車にあっては新型車「パレット」の発売など、商品力の強化を図り拡販に努めた結果、若干、前連結会計年度を上回ることが出来ました。海外売上高は、世界戦略車「スイフト」、「SX4」の順調な販売により、前連結会計年度を大幅に上回りました。以上の結果、「四輪車事業」の売上高は2兆8,338億9千2百万円(前年同期比113.2%)となりました。

「その他の事業」の売上高は、765億5千9百万円(前年同期比106.8%)となりました。

 

② 販売費及び一般管理費の分析

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は7,211億3千4百万円で、前連結会計年度に比べ691億6百万円増加しました。売上高の増加に伴い、発送費、広告宣伝費、販売促進費等の販売費が増加したこと、及び新商品の開発、先進安全技術の開発、燃料電池車など次世代車の開発に取組んでいることから研究開発費が増加したことなどによります。

 

③ 営業外損益の分析

当連結会計年度の営業外損益は、受取利息の増加などにより差引74億9千9百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ12億1千6百万円増益となりました。

 

④ 特別損益の分析

当連結会計年度の特別損益は、固定資産売却益などから差引5億5千9百万円の利益となったのに対し、前連結会計年度の特別損益は、減損損失の計上などから差引4億5千1百万円の損失であったため、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ10億1千万円の増益となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より81億5千4百万円減少し、1,940億3千9百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益及び減価償却費が前連結会計年度より増加したものの、たな卸資産や法人税等の支払額が増加したことなどによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より164億4千7百万円支出が増加し、2,159億2千1百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得が増加したことなどによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権付社債1,500億円の発行などを行った前連結会計年度より1,739億6千7百万円減少し、493億2千2百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は4,563億6千9百万円となり、前連結会計年度に比べ120億3千4百万円増加しました。

 

② 資金需要

当連結会計年度は、新機種投資、生産対策及び合理化・省力化投資等、また、新商品・新技術開発のための研究開発投資、販売拠点投資、情報関連投資等、主要関連会社を含む総額で2,436億4百万円(内、主要関連会社は319億3千8百万円)の設備投資を行いました。これらは、主に自己資金によっています。

なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は主要関連会社を含む総額で2,900億円(内、主要関連会社は170億円)ですが、その所要資金については、主に自己資金を充当する予定です。

 





出典: スズキ株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書