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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、全体としては緩やかな景気回復が続いているものの、米国新政権の政策、英国のEU離脱を含む欧州の動向、新興国経済の先行きなど不透明さが増しています。当社グループにとって重要市場であるインドにおいては内需を中心に景気は拡大しています。日本においても政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復基調を続けています。

このような状況下、当連結会計年度の連結売上高は3兆1,695億円と前連結会計年度に比べ112億円(0.3%)減少しました。国内売上高は登録車の販売が増加しましたが、軽自動車販売やOEM売上の減少等により1兆375億円と前連結会計年度に比べ104億円(1.0%)減少しました。海外売上高はインドや欧州等での四輪車の販売は増加しましたが、インドネシア、パキスタンでの四輪車の販売減、および為替影響等により2兆1,320億円と前連結会計年度並みとなりました。

連結利益の面では、営業利益は為替影響がありましたが、インド、欧州での四輪車の販売増等により2,667億円と前連結会計年度に比べ714億円(36.5%)増加、経常利益は2,867億円と前連結会計年度に比べ776億円(37.1%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失としてタイ四輪車事業等で減損損失399億円を計上しましたが、経常利益の増加に加え、投資有価証券売却益の増加もあり1,600億円と前連結会計年度に比べ433億円(37.1%)増加しました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

① 四輪車

四輪車事業につきましては、国内は登録車が「ソリオ」「イグニス」に加え新型「スイフト」を投入し初めて10万台の販売を達成することができました。軽自動車につきましても「スペーシア カスタムZ」の投入、「ワゴンR」をフルモデルチェンジするなど商品力を強化し拡販に努めてまいりましたが、OEM売上の減少により、国内売上高全体としては前連結会計年度を下回りました。海外売上高は為替影響がありましたが、インドでの「バレーノ」「ビターラ ブレッツァ」、欧州での「ビターラ」などの好調な販売により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪車事業の売上高は2兆8,956億円と前連結会計年度に比べ171億円(0.6%)増加しました。営業利益は日本、インド、欧州での売上・構成変化等の改善により2,551億円と前連結会計年度に比べ625億円(32.4%)増加しました。

② 二輪車

二輪車事業につきましては、新型スーパースポーツバイク「GSX-R1000」や新興国向けスポーツバイク「GSX-R150」等を市場投入しご好評を頂いていますが、これら新機種の市場投入が連結会計年度末となったため、売上高は2,063億円に留まり、前連結会計年度に比べ276億円(11.8%)減少しました。営業利益は為替影響がありましたが、諸経費等の削減により、前連結会計年度の営業損失102億円から営業損失9億円へと改善しました。

③ 特機等

特機等事業の売上高は北米での船外機の売上は増加しましたが、為替影響等により676億円と前連結会計年度に比べ7億円(0.9%)減少しました。営業利益は125億円と前連結会計年度に比べ4億円(2.6%)減少しました。

 

 

所在地別の業績は、次のとおりです。

 

① 日本

売上高は国内は減少しましたが、輸出の増加により1兆8,588億円と前連結会計年度に比べ486億円(2.7%)増加しました。営業利益は為替影響がありましたが、登録車販売の増加などミックス改善効果や輸出増加による損益改善等により1,372億円と前連結会計年度に比べ524億円(61.8%)増加しました。

② 欧州

売上高はコンパクトSUV「ビターラ」の販売好調に加え、「バレーノ」、「イグニス」等、新型車の販売貢献もあり5,582億円と前連結会計年度に比べ77億円(1.4%)増加しました。営業利益は131億円と前連結会計年度に比べ64億円(94.9%)増加しました。

③ アジア

売上高は為替影響がありましたが、インドでの四輪車の販売増により1兆5,069億円と前連結会計年度に比べ108億円(0.7%)増加しました。営業利益はインドなどでの増益により1,214億円と前連結会計年度に比べ176億円(16.9%)増加しました。

④ その他の地域

売上高は米国での二輪車の売上減少等により1,423億円と前連結会計年度に比べ121億円(7.9%)減少しました。営業利益は米国や中南米等での損益改善により41億円と前連結会計年度に比べ17億円(67.0%)増加しました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,663億円の増加(前連結会計年度は2,941億円の資金増加)となり、投資活動では有価証券、有形固定資産の取得など2,886億円の資金を使用(前連結会計年度は2,424億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは777億円の増加(前連結会計年度は517億円の資金増加)となりました。財務活動では銀行借入金を返済する一方で転換社債2,000億円を発行したことにより895億円の資金が増加(前連結会計年度は5,204億円の資金減少)しました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は6,140億円となり、前連結会計年度末に比べ1,639億円増加しました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高

前年同期比(%)

四輪車

2,943,427台

+5.3

二輪車

878,969台

+0.5

特機等

56,518百万円

△1.1

 

(注) 1 金額は販売価格によります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

四輪車

2,895,619

+0.6

二輪車

206,289

△11.8

特機等

67,633

△0.9

合計

3,169,542

△0.3

 

(注) 1 金額は外部顧客への売上高を示しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げてきました。今後ともこの社是の精神に則り、常にお客様の立場で考え行動するよう努めてまいります。

「小さなクルマ、大きな未来。」をスローガンに、お客様の求める小さなクルマづくり、地球環境にやさしい製品づくりに邁進いたします。

あらゆる面で「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、ムダのない効率的な健全経営に取り組んでまいります。

 

(2) 対処すべき課題

当社グループは、平成27年からの5ヵ年における「新中期経営計画 SUZUKI NEXT 100」−創立100周年・次の100年に向けた経営基盤の強化−を策定しております。

当連結会計年度は新中期経営計画の2年目にあたりますが、平成31年度目標の連結売上高3兆7,000億円及び営業利益率7%の継続的達成に向けて順調に推移しております。

一方、自動車を取り巻く環境の変化や市場競争の激化により、今後、環境・安全などの研究開発、インドを中心とした成長投資に注力することが必要になってきております。そのような中で、当社は、新中期経営計画達成のため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

<コンプライアンス>

当社の四輪車の燃費・排出ガス試験業務について、国が定める規定と異なる不正な取扱いを行っていたことを受け、法令教育やコンプライアンス研修の強化、認証業務における責任の明確化、社内チェック体制の強化などの対策を速やかに実施いたしました。今後とも全社を挙げてコンプライアンスの強化を図ってまいります。

 

<品質>

当社は、お客様の安全・安心を最優先に考え、高品質でお客様に安心してお使い頂ける製品の開発・生産とアフターサービスの提供に努めております。今後とも、お客様の求める品質を的確に捉えながら、全部門が品質意識を緩めることなく活動し、お客様が引き続き安心して製品をお使い頂けるように全力を尽くしてまいります。

 

<商品と研究開発>

環境問題への配慮が企業に求められる中、自動車業界においても環境技術、低燃費化技術などが求められています。また、自動車を取り巻く環境も変化してきており、安全技術はもとより、情報通信技術などにも取り組む必要があります。当社グループは、今後ともお客様に求められ、安心してお使い頂ける商品を提供してまいります。

 

<生産>

国内においては生産計画を達成するための人員の確保、全世界において安全第一の工場を実現するための教育や安全設備導入などを強化しつつ、製造品質の向上を図るとともに、世界最適生産体制の構築に努めてまいります。

 

<四輪車事業>

国内四輪市場においては、登録車で初めて10万台の販売を達成することができました。インドでは旺盛な需要を受け、新たにグジャラート新工場が稼働し、さらに平成31年初めの稼働を目指してグジャラート第二工場とエンジン・トランスミッション工場の建設も計画しております。当社グループの大黒柱である国内四輪車事業、インド四輪車事業をさらに太く強くするとともに、アセアン、欧州、パキスタン等の四輪車事業を強化することで利益源泉の多角化、「オールグリップ」構造改革を進めてまいります。

 

 

<二輪車事業>

「150cc以上」「バックボーン」「スポーツ」のカテゴリーに注力することを基本に、大排気量車から小排気量車までシリーズ化を行い、一貫したスズキブランドの強化を行っています。当連結会計年度は固定費削減やコストダウンに注力し、連結会計年度末には「GSX-R1000」、「GSX-R150」などの新型モデルを投入しました。今後、これら新型車の拡販を図るとともに、経営改善を進めることにより、黒字体質化を実現してまいります。

 

<船外機事業>

アメリカ市場での販売を重点的に強化することに加え、アジア市場の開拓を進め、「THE ULTIMATE 4-STROKE OUTBOARD」を新ブランドスローガンとし、世界一の4ストローク船外機ブランドを目指してまいります。

 

<環境・社会活動>

当社は、環境保全のための地域と密着した様々な奉仕活動に加えて、当連結会計年度は、地球温暖化の抑制に寄与するための太陽光発電事業の推進、被災地域支援などを実施いたしました。また、スズキ財団、スズキ教育文化財団を通じて研究助成や奨学援助にも取り組んでおります。今後は、国際的に機運が高まっている人権問題、国内における課題である働き方改革などにも積極的に対応してまいります。

 

また、当社は、トヨタ自動車㈱と業務提携に向けた覚書を締結し、互いが抱える課題を解決するための協業の検討を開始することについて合意しました。

 

今後とも成長のための投資と経営基盤の強化とのバランスをとりながら、企業価値の向上に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

 

「新中期経営計画 SUZUKI NEXT 100」の詳細につきましては、平成27年6月30日発表の「新中期経営計画(2015〜2019年度)SUZUKI NEXT 100」をご参照願います。

当社ホームページ IR情報

http://www.suzuki.co.jp/ir/

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 市場に関するリスク

・経済情勢の変化、市場の需要変動

長期間の景気低迷、世界経済の悪化や金融危機、消費者の購買意欲低下は、四輪車、二輪車及び船外機などの当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の新興国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、各国の税制や金融政策などの予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性もあります。

 

・他社との競争激化

当社グループは、事業を展開する世界各国の市場において他社との競争にさらされています。世界の四輪車・二輪車産業の国際化が今後ますます進展することによって、競争はより一層激化する可能性があります。他社との競争は、製品の品質、安全性、価格、環境性能等のほか、製品の開発・生産体制の効率性や販売・サービス体制の整備、販売金融など様々な項目が挙げられます。

当社グループは、競争力の維持・向上のための施策に取り組んでまいりますが、将来において優位に競争することができないリスクがあります。

 

 

(2) 事業に関するリスク

・新商品の開発・投入力

お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉え、お客様に満足して頂ける魅力的な新商品を適時に開発して市場に投入することは、四輪車・二輪車メーカーにとって大変重要です。国内外における景気の低迷による需要の減少、環境性能への関心の高まり、先進技術搭載車の急速な普及等、急激に変化するお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を捉えることが従来にも増して重要になっています。

また、新商品の投入は、お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることだけでなく、具体的な商品の開発力、将来に向けた先進技術の開発力、さらには継続的に商品を生産する能力が必要になります。

さらに、当社グループがお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることができても、技術力、部品の調達、生産能力、優秀な人財の確保、その他の要因により、対応した新商品を適時に開発することができない可能性があります。お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えた商品を適時に市場に投入することができない場合、販売シェアや売上の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・製品価格・仕入価格の変動、特定の仕入先への依存

特定の部品・原材料の供給不足・値上がり、不安定な経済状況、輸入規制の改正、価格競争の激化など様々な要因により、当社グループの製品価格・仕入価格の急激な変動が引き起こされる可能性があります。このような急激な価格変動が長引かない、あるいは、これまでこのような変動がなかった市場で発生しないという保証はありません。当社グループが事業展開しているどの市場においても、急激な製品価格・仕入価格の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、技術力、品質、価格競争力などの要素により、調達が特定の仕入先に偏っている部品があります。これらの部品について、仕入先の予期せぬ事故等により、部品を継続的・安定的に確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・世界各国での事業展開

当社グループは、世界各国において事業を展開しており、また、いくつかの国においては、その国の法律上又はその他の要件に従い、現地企業との間で合弁による事業を行っています。これらの事業は、各国の様々な法律上その他の規制(課税、関税、海外投資及び資金の本国送金に関するものを含みます。)を受けています。これらの規制、又は合弁相手の経営方針、経営環境などに変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・為替及び金利の変動

当社グループは、日本から世界各国へ四輪車、二輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出するとともに、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。現在では連結売上高に占める海外売上高の割合は7割近くになっています。特に、新興国を中心とした海外生産工場への依存度が高く、為替変動に左右されやすく、また、資金の多くを低金利が続く日本で調達していることから、金利変動にも左右されやすい構造にあります。

当社グループは、為替及び金利変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジや、生産拠点を分散してグローバルに最適化を図るなどの対策を行っていますが、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、生産国の通貨が他の通貨に対して高くなると、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、生産拠点を他国へ移したことにより、逆に自国の通貨が下落した場合でも、輸出による為替差益を享受できなくなる機会損失が発生する可能性があります。

さらに日本での急激な金利の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・政府規制等

排気ガス排出レベル、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、四輪車、二輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社グループの業績に対して大きな影響を与える可能性があります。

また、多くの政府は、関税の賦課や、価格管理規制及び為替管理規制を定めています。当社グループは、これらの規制を遵守するために費用を負担してきており、今後も負担することになると予想しています。新たな法律の制定又は既存の法律の変更によっても、当社グループが更なる費用を負担する可能性があります。さらに、各国の税制や景気対策等の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 

・品質保証

当社グループは、製品の安全を最優先の課題とし、開発から販売までの品質保証体制の整備に努めています。製造物にかかわる賠償責任については、保険に加入していますが、保険でカバーされないリスクもあり、また、顧客の安全のため大規模なリコールを実施し、多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・他社との提携

当社グループは、研究開発、生産、販売、金融等、国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っていますが、提携先固有の事情等、当社グループの管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

・情報技術への依存

当社グループでは、設計開発・生産・販売や会計など事業活動のあらゆる場面において電子データの形で、作成・処理・蓄積を行っています。また、製品においても様々な電子制御装置が搭載され、車輌や搭載装備の制御を行っています。これらに対しては、安全対策が施されているものの、電力停止などのインフラ障害、ハッカーやウィルスによる攻撃などが発生する可能性があります。この結果として、業務の中断や、データの破損・喪失、機密の漏洩が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

・情報の漏洩

当社グループは社内外の個人情報や、経営・業務・技術等に関する機密情報の漏洩を防止する体制を取っておりますが、不測の事態により当該情報の流出・不正使用があった場合、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払義務などが発生することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

・コンプライアンス

当社グループでは法令等の遵守については違反の未然防止の対策ならびにコンプライアンス案件に速やかに対応する体制を構築しております。しかしながら、不測の事態により法令違反の事実や不十分な対応があった場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

・知的財産の保護

当社グループは、他社製品との区別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を蓄積しており、その保護の対策を講じるとともに、第三者の知的財産権侵害防止の対策を講じております。しかしながら、当社グループの知的財産が不法に侵害され、或いは第三者から知的財産侵害の指摘を受け訴訟、製造販売の中止、損害賠償等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

・法的手続

当社グループは、事業活動を行っていく中で訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。それらの法的手続において当社グループにとって不利な判断がなされた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・自然災害・疫病・戦争・テロ・ストライキ等の影響

日本では、地震、台風、洪水などの自然災害や予期せぬ事故など様々なリスクにさらされています。特に、当社の本社をはじめとする主要施設や研究開発拠点、主要生産拠点は周期的な巨大地震が発生する可能性が高い東海地区に集中しています。当社グループでは、東海地震・東南海地震などの自然災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、事業継続計画の策定、地震保険への加入等、様々な対策を講じていますが、万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。

海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開しており、海外での事業展開に関連する様々なリスクにさらされています。

これら国内外のリスクには自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ、さらには政治的・社会的な不安定性や困難に起因するもの等があります。これらの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

1 昭和63年5月12日、マツダ㈱と軽自動車のOEM供給についての基本確認書を締結しました。

2 平成13年4月2日、日産自動車㈱と軽乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。

3 平成22年11月8日、三菱自動車工業㈱と小型乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は主に当社が行っており、環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。

平成27年から「SUZUKI NEXT 100」の「ものづくりの強化」を推進しています。これは、生産、技術、購買が一体となってお客様に価値ある商品を届ける仕組みを見直す取り組みです。現在までに新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」に対応し、50%の投資額で実現できる新溶接ラインの開発とインドのグジャラート工場への展開、先進安全技術を搭載した商品の開発及び生産システムの導入を行うなど商品性向上のみならず、経営面でも多大な成果を上げています。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,315億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。

 

(1) 四輪車

四輪車事業では、国内軽自動車をはじめとした小型車の開発においてトップクラスの環境性能の実現と、安心・安全な車づくりに取り組んでいます。

まず環境性能への取り組みとして、環境に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の開発と採用車の拡大を進めています。

「スズキグリーン テクノロジー」では、まず車体の軽量化を進めました。軽量化と高剛性を両立した新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の開発及び採用を進め、平成29年1月発売の新型「スイフト」では従来モデル比で120kgの軽量化を実現しました。また、パワートレインの電動化において、発電も可能な駆動用モーター(MGU)と伝達効率に優れたトランスミッションであるオートギヤシフト(AGS)を組み合わせ、高効率なEV走行を実現した当社独自のハイブリッドシステムを新開発しました。新システムは「ソリオ」、「ソリオ バンディット」に搭載し、クラスNo.1※1の低燃費32.0km/L※2を実現しています。

次に安心・安全な車づくりへ向けた取り組みとして、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート(DCBS)」や単眼カメラと赤外線レーザーレーダーで前方の歩行者や車を検知して衝突の被害を軽減するシステム「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」、また、車両周囲の俯瞰映像を表示する「全方位モニター」などの先進安全技術の開発・採用を進めました。

これらの先進安全技術を搭載したスズキ車は、平成28年度JNCAP※3予防安全性能アセスメントにおいて最高ランクの評価である「ASV※4++(ダブルプラス)」を獲得しました。小型乗用車「イグニス」がスズキ車で初めて獲得したことに続き、軽自動車の「スペーシア」、「ハスラー」、「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」及び小型乗用車の「ソリオ」、新型「スイフト」が獲得しています。予防安全性能アセスメントは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が自動車の先進安全技術について評価し、結果を公表する制度です。当社グループは今後も安全技術の取り組みを強化し、安心・安全な車づくりを進めていきます。

また、平成28年度は当社グループが取り組んできた技術開発が評価され、著名な賞を受賞しました。主なものとして、まず当社のインド子会社Maruti Suzuki India Ltd.が製造販売する新型SUV「ビターラ ブレッツァ」が、インドのカー・オブ・ザ・イヤーである「Indian Car of the Year(ICOTY)2017」を受賞しました。また、無塗装でも塗装に匹敵する外観と高い耐久性能を実現した樹脂材料を開発し、世界で初めて自動車で実用化した功績により、第49回「市村産業賞 貢献賞」を受賞しました。

当連結会計年度における四輪車事業の研究開発費の金額は1,117億円です。

 

※1 コンパクトハイトワゴンクラス=総排気量1.5L以下・全高1,600㎜以上の2列座席5ドアワゴン。JC08モード走行燃費(国土交通省審査値)に基づく。平成29年3月現在、当社調べ。

※2 燃料消費率JC08モード走行(国土交通省審査値)。ソリオ HYBRID SZ、HYBRID SX、ソリオ バンディット HYBRID SV。

※3 JNCAP:Japan New Car Assessment Program

※4 ASV:Advanced Safety Vehicle

 

 

(2) 二輪車

二輪車事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。

MotoGPで開発された技術を取り入れた新機構「ブロードパワーシステム」を採用し、高回転域での出力向上と低中速域での出力を両立するとともに、欧州新排出ガス規制「ユーロ4」に対応した、新型「GSX-R1000」及び「GSX-R1000R」を投入しました。またアセアン向けに、軽量でコンパクトな車体に147.3㎤の水冷4バルブ単気筒DOHCエンジンを搭載した新モデル「GSX-R150」、「GSX-S150」を投入しました。軽量化についても最新の解析技術や試験装置を活用して、形状、材質、製法の見直しを進め、新型「GSX-R1000」及び「GSX-R1000R」では、現行車に対しフレームで9%、シートレールで36%、タンクで15%の軽量化を実現しました。その他の新興国向け及び欧州向けの各機種においても車体部品と電装部品において、現行車に対し最大65%の軽量化を実現し、車両全体の軽量化に貢献しました。

また、資源の有効利用促進のため、PPリサイクル材の利用拡大に継続して取り組んでいます。また、リサイクル設計を推進する上で、容易に車両を解体し部品を取り外せる構造を追求しています。

その他の研究開発として、水素を用いた空冷式燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル」は、平成28年8月に型式認定を取得し、平成29年3月から市場性の確認を目的に公道走行を開始しました。

レース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めていきます。

当連結会計年度における二輪車事業の研究開発費の金額は171億円です。

 

(3) 特機等

特機等事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。

環境面では、熱効率向上、吸排気損失低減による燃費向上を行いました。主な成果として、「DF175AP/150AP」の2機種の新型船外機を開発しました。旧機種から採用されている「リーンバーン(希薄燃焼)制御システム」の採用に加え、高圧縮比化による熱効率向上、セミダイレクト吸気の採用による燃焼室内流入空気温度の低減、電子スロットルバルブ制御の最適化による吸排気損失低減を行い、旧機種に比べて巡航速度域で最大4%の燃費低減を達成しました。

利便性及び信頼性の向上面では、「DF175AP/150AP」に電子制御方式の操作系を採用し、反応の良いスロットル制御と滑らかなシフト操作を実現するとともに、新たにプロペラの正/逆回転を統合した「スズキ・セレクティブ・ローテーション」を採用することで、多機掛けボートへの搭載性の向上を実現しました。さらに燃料性状に合わせて燃焼を最適化するためのノックセンサー、O2センサーを新たに採用、また、燃料内への水分混入を検知し警告を発する水分検知機能付燃料フィルタを採用し、信頼性を向上しました。

当連結会計年度における特機等事業の研究開発費の金額は28億円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 

① 貸倒引当金の計上基準

当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

② 製品保証引当金の計上基準

当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。

③ 製造物賠償責任引当金の計上基準

北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。

④ 投資有価証券の評価

当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。

⑤ 固定資産の減損処理

当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。

⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

 

 

⑦ 退職給付費用

当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。

長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。

また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の財政状態は、総資産は3兆1,160億円(前連結会計年度末比4,140億円増)となり、また、負債の部はインドにおけるグジャラートプロジェクトを中心とする当社グループの競争力強化のための戦略投資に充当するため、転換社債2,000億円を発行したことなどにより1兆7,289億円(前連結会計年度末比2,146億円増)となりました。その結果、純資産の部は1兆3,870億円(前連結会計年度末比1,993億円増)となりました。

 

(3) 経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりです。

 

① 売上高の分析

売上高の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりです。

② 販売費及び一般管理費の分析

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,409億円で、前連結会計年度に比べ306億円(4.6%)減少しました。これは、製品保証引当金繰入額等の販売費が減少したことなどによります。

③ 営業外損益の分析

当連結会計年度の営業外損益は、金融収支の黒字などにより、差引200億円の利益となりました。前連結会計年度との比較は、62億円(45.0%)の増益となりました。

④ 特別損益の分析

当連結会計年度の特別損益は、タイ四輪車事業等で減損損失を計上する一方、投資有価証券の売却などにより、差引85億円の利益となりました。前連結会計年度との比較は、280億円の減益となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より722億円収入が増加し、3,663億円の収入となりました。これは、前連結会計年度に比べて、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より462億円支出が増加し、2,886億円の支出となりました。これは、前連結会計年度に比べて、有形固定資産や有価証券の取得による支出が増加したことなどによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より6,099億円支出が減少し、895億円の収入となりました。これは、前連結会計年度に自己株式の取得による支出を計上しており、また当連結会計年度においては銀行借入金を返済する一方で転換社債2,000億円を発行したことなどによります。

以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は6,140億円となり、前連結会計年度に比べ1,639億円増加しました。





出典: スズキ株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書