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第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

     当期におけるわが国経済は、原油価格の高騰など、景気回復の懸念材料もありましたが、企業収益の改善などによる設備投資などの伸びに支えられ、緩やかに回復してまいりました。

    当社が関連する精密機械部品加工業界におきましても、国内企業業績の回復を受け底堅く推移し、高水準の生産を維持するに至りました。

    建設機械・一般産業用機械・工作機械・造船・自動車などは、アジア、北米などの需要に牽引され好調に推移し、また国内製造業全般も比較的好調に推移しました。当社の顧客層の大半を占める精密機械・精密部品加工業界は、概ね好調に推移しましたが、当社の下期において引き続き好調な大企業に比べ中小規模企業で受注量の減少するところが散見されました。    

この結果、当期の売上高は2,210,992千円(前期比6.2%増)、営業利益は847,320千円(前期比8.5%増)、経常利益は948,751千円(前期比9.1%増)、当期純利益は562,075千円(前期比5.6%増)となりました。

 

   

    部門別の営業の概況は以下のとおりであります。

<コレットチャック部門>

 

     当社の主力製品であるコレットチャックを使用する小型精密自動旋盤による旋削加工業界は、在庫調整などの不安材料もありましたが、国内における自動車、薄型テレビ、DVD等、堅調な動きが見られたことにより全体として売上の回復は緩やかでした。

    この結果、当部門の売上高は1,648,327千円と前期比2.2%の増収となりました。

 

 

    <自動旋盤用カム部門>

 

     大手企業の海外工場移転に伴い、旋削加工部品の国内市場は量産品の減少が一層すすみ、厳しい環境下にあります。また、小型自動旋盤もNC旋盤に替わられ、すでに機械の製造も中止されております。しかし、商品寿命の短い一部の商品は国内生産でないと対応がむずかしい面もあり、量産品を短期間で国内で生産する「すみ分け」ができております。特にこの部門は深くかかわっている量産品の在庫調整の影響を大きく受けました。

    この結果、当部門の売上高は120,416千円と前期比16.5%の減収となりました。

 

  

    <切削工具部門>

 

     新規事業であります当部門は業界における知名度向上を図るため、業界新聞・雑誌による広告活動及び市場調査を兼ねた積極的な営業活動の展開を実施いたしました。

    また、工場の増設、人員の増強を行い、受注増加に対応すべく準備を整えつつあります。

    この結果、当部門の売上高は442,248千円と前期比36.2%の増収となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払額397,724千円、投資有価証券の取得による支出650,333千円、有価証券の取得による支出2,396,664千円、有形固定資産の取得による支出312,490千円等を計上しましたが、税引前当期純利益934,545千円、投資有価証券の償還による収入500,000千円、定期預金の純減少額506,722千円、有価証券の償還による収入1,900,000千円等があったことにより、前期末に比べ163,881千円増加し、当期末は1,664,321千円(前期末比10.9%増)となりました。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動により増加した資金は、688,638千円(前期比1.4%増)となりました。これは、法人税等の支払額397,724千円等がありましたが、税引前当期純利益934,545千円、減価償却費158,136千円を計上したこと等によるものであります。

なお、前期と比較すると、売上債権が減少し、たな卸資産が増加しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動により減少した資金は、365,938千円(前期は540,589千円の増加)となりました。これは、定期預金の純減少額506,722千円、有価証券の償還による収入1,900,000千円、投資有価証券の償還による収入500,000千円等がありましたが、有価証券の取得による支出2,396,664千円、投資有価証券の取得による支出650,333千円、有形固定資産の取得による支出312,490千円等があったことによるものであります。

なお、前期と比較すると、定期預金の純減少額が減少しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動により減少した資金は、158,818千円(前期比32.7%増)となりました。これは全額配当金の支払額であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期の生産実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別

第17期

(自 平成18年7月1日

至 平成19年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

コレットチャック部門

1,701,373

107.1

自動旋盤用カム部門

120,416

83.5

切削工具部門

442,248

136.2

合計

2,264,038

110.1

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では標準品の場合、受注から製造、出荷までが概ね1日で完了します。また、標準品以外でも数日で出荷が可能な体制をとっております。従って受注残高は軽微であり、受注実績の記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当期の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別

第17期

(自 平成18年7月1日

至 平成19年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

コレットチャック部門

1,648,327

102.2

自動旋盤用カム部門

120,416

83.5

切削工具部門

442,248

136.2

合計

2,210,992

106.2

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。

3 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。

 

輸出先

第16期

(自 平成17年7月1日

至 平成18年6月30日)

第17期

(自 平成18年7月1日

至 平成19年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アジア

台湾

165,427

50.7

146,500

44.3

韓国

48,896

15.0

77,985

23.6

中国(香港含む)

63,763

19.5

51,389

15.5

シンガポール

16,008

4.9

23,862

7.2

マレーシア

21,538

6.6

21,583

6.5

その他

10,620

3.3

9,586

2.9

合計

326,254

(15.7%)

100.0

330,907

(15.0%)

100.0

 

3 【対処すべき課題】

   当社が製造、販売するコレットチャック、自動旋盤用カム、切削工具研磨事業は精密機械部品または金型等を加工するために使用される工具にかかる事業であるため、当社の業績はこれらの加工業界の景気動向に影響を受ける傾向にあります。これまでもその影響により業績が大きく変動しております。今後につきましては、鉄鋼等の原材料の高騰は落ち着きを取り戻したものの、エネルギーの高騰、消費税率引上げの可能性など、景気回復に影響を与えかねない不安定要素も見受けられ、市場での競合はますます厳しさを増してきており、決して楽観できる状態にありません。

   このような状況に鑑み、業績の安定化を図るための主力のコレットチャック部門では、小型自動旋盤用コレットチャック以外の各種専用機及び一般産業機械に使用されるコレットチャックの受注も積極的に行うため、当期は当部門中心に、設備・人員の増強を行ない、今後の拡販に努めてまいります。

   生産面におきましては、ニーズの多様化するなかで作業の標準化、人材の育成、設備投資による作業の効率化・能力増強をさらに推進し、製造コストの低減を図り、納期の短縮に努めてまいります。

   また、コレットチャック部門では、品質保証体制の充実した製品作りを行い、顧客の信頼感をさらに高め、顧客要求に対応し、企業基盤の強化に努める所存であります。

   営業面におきましてはコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は高品質製品の短納期対応をさらに充実させ、顧客ニーズに応えることにより市場の優位性を保ってまいります。

   また、海外販売におきましては現地の商社と協力して、十分なアフターサービスを展開し、販売体制のサポートの強化拡充を図ってまいります。

   切削工具部門では、6年前に新規事業としてスタートし、切削工具の再研磨を主体に顧客先への訪問・新聞・専門誌への広告などにより新規顧客開拓、リピートオーダーの定着に注力し、ある程度の基盤ができてまいりました。引き続き営業地域の拡大と、既存の営業地域内での浸透度を高めて、より一層強固な基盤づくりを目指します。

また、今後は、切削工具の再研磨に加えて、特殊切削工具の成形・製作に力を入れていきます。特殊切削工具製作需要は、再研磨需要同等に大きなものであり、多品種の特殊切削工具に短納期で対応することで受注を確保していくことが可能と考えております。現状でも、対応可能な特殊切削工具は製作しておりますが、今後は特殊切削工具製造設備を新たに導入し、本格的に事業展開し、受注の幅を広げると共に新たな顧客層の開拓を目指します。

 

 

4 【事業等のリスク】

   文中における将来に関する事項は、当期末(平成19年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

 (1) 事業の特徴について

   当社の最近5期は、一時的な減少はあるものの、比較的順調に推移してきましたが、将来の業績は景気動向や機械業界の動向により影響を受ける可能性があります。

  当社の事業参入の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、入念な参入準備のもと「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し5年程度で業界での高シェアの確保を目指すというものです。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーにより継続的な受注が可能となります。当社の事業は基本的にリピートオ−ダー中心であり、6年前に新規参入した切削工具部門以外は、積極的な受注活動は行っておりません。営業部門は顧客からの注文を電話、FAXで受け付け、受注内容を製造部門へ伝達することを主業務としております。そのため当社の業績は機械業界の設備投資の状況をあらわす実質機械受注(内閣府発表:電力・船舶を除く)にほぼ連動しております。

 

 ① コレットチャック部門について

   当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、自動旋盤による金属の切削加工の大半の局面で使用される消耗品の機械工具で、安定して一定の需要が見込まれるものであります。最近5期の売上高は12億円から16億円程度で推移しております。ただし、今後市場規模が大きく拡大するものではなく、当部門の売上高も一定の範囲内で推移する可能性があります。このところ受注増加傾向にある NC旋盤・一般産業用機械で使用される特殊コレットチャックについても旋削加工において材料の保持方法が変わる場合や、特殊コレットチャックにおいて当社の知名度が充分に高まらない場合は、業績に影響を与える可能性があります。

 また、将来技術革新等により切削工程が不可欠な工程でなくなった場合、当社のコレットチャック部門の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 自動旋盤用カム部門について

   自動旋盤用カム部門は自動旋盤のNC化、円高による製造メーカーの海外進出に伴う量産品の国内市場の減少、多品種少量生産に対応不可能等の要因により、年々減少傾向にあります。今後については、すでに小型自動旋盤メーカーが機械の製造を中止していること、カム式自動旋盤を使える作業員が高齢化していること、多品種少量生産が時代の趨勢であること等を考えますと、今後ともこの減少傾向は緩やかに継続していくものと思われます

 

 ③ 切削工具部門について

   当社は切削工具部門において工業用刃物の再研磨を行っております。工業用刃物の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は平成11年8月に新規事業展開を開始いたしました。

     ただし、当社の想定するほど自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しなかった場合、当社の切削工具部門の売上高は、当社が想定するほど増加しない可能性があります。

     また、次期本格参入する特殊切削工具の成形・製作は、従来から対応可能なものは扱ってはいたものの、新規に導入する機械設備の立ち上げや、顧客の間に当社の特殊切削工具が浸透しない場合は、売上が増加しない可能性があります。

 

 

 (2) 海外市場依存度について

    当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。また、この他に商社を経由した販売もあります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。

 

 

区分

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期(当期)

金 額

比率

金 額

比率

金 額

比率

金 額

比率

金 額

比率

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

輸出販売高

273,909

17.0

320,733

18.2

309,453

16.6

326,254

15.7

330,907

15.0

国内販売高

1,341,470

83.0

1,443,105

81.8

1,549,960

83.4

1,755,685

84.3

1,880,085

85.0

合      計

1,615,379

100.0

1,763,839

100.0

1,859,413

100.0

2,081,940

100.0

2,210,992

100.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

 (1) 財政状態の分析

   (流動資産)

      当期末における流動資産の残高は、3,466,379千円(前期末は3,302,695千円)となり、163,684千円増加いたしました。これは、有価証券が499,002千円増加し、現金及び預金が342,840千円減少したこと等によるものであります。

      

   (固定資産)

      当期末における固定資産の残高は、3,748,094千円(前期末は3,481,960千円)となり、266,134千円増加いたしました。これは、有形固定資産が146,150千円及び投資有価証券が146,518千円増加したこと等によるものであります。

      有形固定資産の増加は、主に機械装置の購入によるものであります。

 

   (流動負債)

      当期末における流動負債の残高は、322,575千円(前期末は338,208千円)となり、15,632千円減少いたしました。これは、未払法人税等が、22,385千円減少したこと及び預り金が4,243千円増加したこと等によるものであります。

 

   (固定負債)

      当期末における固定負債の残高は、370,832千円(前期末は387,578千円)となり、16,745千円減少いたしました。これは、退職給付引当金が10,884千円増加し、役員退職慰労引当金が27,630千円減少したことによるものであります。

      役員退職慰労引当金の減少は、当期中に退任した取締役1名に退職慰労金41,140千円を支給したことによるものであります。

 

   (純資産)

   当期末における純資産の残高は、6,521,066千円(前期末は、6,058,868千円)となり、462,197千円増加いたしました。これは、当期純利益を562,075千円計上したこと及び、その他有価証券評価差額金が59,122千円増加したこと等によるものであります。

 

 

 (2) キャッシュ・フローの分析

   第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照下さい。

 

   (キャッシュ・フロー指標)

 

   

第16期

第17期(当期)

自己資本比率(%)

89.3

90.4

時価ベースの自己資本比率 (%)

130.4

104.0

債務償還年数(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

   (注)自己資本比率:自己資本/総資産

      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

      債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

   ※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

       ※当社は、第16期から第17期(当期)まで有利子負債は全くありませんので、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

 (3) 経営成績の分析

   (売上高)

      第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績の項目をご参照ください。

 

 

   (営業利益)

      当期における営業利益は、847,320千円(前期は781,108千円)となり、66,211千円増加いたしましたが、営業利益の売上高比率は0.8ポイント上昇し、38.3%となりました。

 

   (経常利益)

      当期における経常利益は、948,751千円(前期は869,487千円)となり、79,264千円増加いたしました。これは、営業利益が増加したこと及び営業外収益として受取利息及び投資有価証券の解約による受取配当金が計上されたこと等によるものであります。

また、経常利益の売上高比率は、1.1ポイント上昇し、42.9%となりました。

 

   (当期純利益)

      当期における当期純利益は、562,075千円(前期は532,367千円)となり、29,707千円増加いたしました。これは、固定資産除却損を計上したものの、経常利益が増加したこと等によるものであります。

      また、当期純利益の売上高比率は0.2ポイント下降し25.4%、1株当たり当期純利益は、37,471円67銭(前期は35,491円17銭)となりました。

 





出典: 株式会社エーワン精密、2007-06-30 期 有価証券報告書