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第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国経済は、引き続く原油価格高騰や原材料価格上昇等により消費意欲に水を差す状態となり、またアメリカに端を発する金融不安の影響で欧米諸国の消費動向の落ち込みなどがあり生産活動が停滞してきています。そうした中でもアジア、中東、ロシアなどの外需に牽引された建設機械、工作機械、造船などに係わる大物部品加工などは好調を維持しています。一方で長い期間日本の景気を牽引してきた自動車に減速感が出てきています。 
 当社はあらゆる業種の部品加工に使用される消耗工具を扱っているため業種間の好不調は比較的平準化される傾向にありますが、ここ一年の顧客企業の機械稼働率の低下の影響を受け当社の受注も減少しました。昨年の後半、当社の上期に受注量が落ち込み、当社の下期に入り若干持ち直しましたが、今年の4月以降、好調を維持していた大手企業が減速傾向に入り上期ほどではないにしても低調な受注状態が続きました。 
 この結果、当期の売上高は2,186,356千円(前期比1.1%減)、営業利益は794,598千円(前期比6.2%減)、経常利益は822,779千円(前期比13.3%減)、当期純利益は487,817千円(前期比13.2%減)となりました。  

部門別の営業の概況は以下のとおりであります。

<コレットチャック部門>

 

当社の主力製品であるコレットチャックは主に小型精密部品の切削加工に使用される消耗工具で、小型自動旋盤で使用されるコレットチャックと専用機などで使用される特殊コレットチャックとで対応力を高めてまいりましたが、当社の顧客企業の機械稼働率の低下に伴い前期比微減となりました。
  この結果、当部門の売上高は1,557,987千円と前期比5.5%の減収となりました。

 

<自動旋盤用カム部門>

 

大手企業の海外工場移転に伴い、旋削加工部品の国内市場は量産品の減少が一層すすみ、厳しい環境下にあります。また、小型自動旋盤もNC旋盤に替わられ、すでに機械の製造も中止されております。しかし、商品寿命の短い一部の商品は国内生産でないと対応がむずかしい面もあり、量産品を短期間で国内で生産する「すみ分け」ができております。特にこの部門は深くかかわっている量産品の在庫調整の影響を大きく受けました。 
 この結果、当部門の売上高は102,015千円と前期比15.3%の減収となりました。

 

 

<切削工具部門>

 

当部門で切削工具の再研磨を開始して9年余りがたち、一定の顧客基盤が出来上がってきたことから当下期より特殊切削工具の製造に本格的に参入しました。当期は再研磨用研削盤の増設と特殊切削工具製造用の研削盤導入により事業基盤の強化と新規事業の立ち上げに注力してまいりました。 
 この結果、当部門の売上高は526,353千円と前期比19.0%の増収となりました。 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益822,779千円、有価証券の償還による収入2,300,000千円等を計上しましたが、法人税等の支払額359,370千円、投資有価証券の取得による支出249,674千円、有価証券の取得による支出2,095,654千円、有形固定資産の取得による支出196,955千円、定期預金の純増加額681,107千円等があったことにより、前期末に比べ427,018千円減少し、当期末は1,237,303千円(前期末比25.7%減)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動により増加した資金は、515,875千円(前期比25.1%減)となりました。これは、法人税等の支払額359,370千円等がありましたが、税引前当期純利益822,779千円、減価償却費194,751千円等を計上したことによるものであります。

なお、前期と比較すると、税引前当期純利益及び役員退職慰労引当金が減少しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動により減少した資金は、774,940千円(前期比111.8%増)となりました。これは、有価証券の償還による収入2,300,000千円、投資有価証券の売却による収入147,911千円等がありましたが、有価証券の取得による支出2,095,654千円、投資有価証券の取得による支出249,674千円、定期預金の純増加額681,107千円等があったことによるものであります。  

なお、前期と比較すると、定期預金が増加し、投資有価証券の償還による収入が減少しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動により減少した資金は、167,953千円(前期比5.8%増)となりました。これは全額配当金の支払額であります。 
 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期の生産実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
第18期
(自 平成19年7月1日
至 平成20年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,605,738
94.4
自動旋盤用カム部門
102,015
84.7
切削工具部門
526,353
119.0
合計
2,234,107
98.7

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では標準品の場合、受注から製造、出荷までが概ね1日で完了します。
 また、標準品以外でも数日で出荷が可能な体制をとっております。従って受注残高は軽微であり、受注実績の記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当期の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
第18期
(自 平成19年7月1日
至 平成20年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,557,987
94.5
自動旋盤用カム部門
102,015
84.7
切削工具部門
526,353
119.0
合計
2,186,356
98.9

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。

3 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。

 

輸出先
第17期
(自 平成18年7月1日
至 平成19年6月30日)
第18期
(自 平成19年7月1日
至 平成20年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
アジア
台湾
146,500
44.3
149,629
50.5
韓国
77,985
23.6
54,155
18.3
中国(香港含む)
51,389
15.5
38,661
13.0
シンガポール
23,862
7.2
25,707
8.7
マレーシア
21,583
6.5
18,881
6.4
その他
9,586
2.9
9,295
3.1
合計
330,907
(15.0%)
100.0
296,331
(13.6%)
100.0

3 【対処すべき課題】

当社が製造、販売するコレットチャック、自動旋盤用カム、切削工具研磨・製造事業は精密機械部品または金型等を加工するために使用される工具にかかる事業であるため、当社の業績はこれらの加工業界の景気動向に影響を受ける傾向にあります。これまでもその影響により業績が大きく変動しております。今後につきましては、鉄鋼等の原材料の高騰は落ち着きを取り戻したものの、エネルギーの高騰、消費税率引上げの可能性など、景気回復に影響を与えかねない不安定要素も見受けられ、市場での競合はますます厳しさを増してきており、決して楽観できる状態にありません。 

このような状況に鑑み、業績の安定化を図るための主力のコレットチャック部門では、小型自動旋盤用コレットチャックの対応機種を広げ各種専用機及び一般産業機械に使用されるコレットチャックの受注にも積極的に取り組んでまいります。 
 生産面におきましては、ニーズの多様化するなかで作業の標準化、人材の育成、設備投資による作業の効率化・能力増強をさらに推進し、製造コストの低減を図り、納期の短縮に努めてまいります。

また、コレットチャック部門では、品質保証体制の充実した製品作りを行い、顧客の信頼感をさらに高め、顧客要求に対応し、企業基盤の強化に努める所存であります。
 営業面におきましてはコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は高品質製品の短納期対応をさらに充実させ、顧客ニーズに応えることにより市場の優位性を保ってまいります。 

また、海外販売におきましては現地の商社と協力して、十分なアフターサービスを展開し、販売体制のサポートの強化拡充を図ってまいります。

切削工具部門では、9年前に新規事業としてスタートし、切削工具の再研磨を主体に顧客先への訪問・新聞・専門誌への広告などにより新規顧客開拓、リピートオーダーの定着に注力し、ある程度の基盤ができてまいりました。引き続き営業地域の拡大と、既存の営業地域内での浸透度を高めて、より一層強固な基盤づくりを目指します。

また、今後は、切削工具の再研磨に加えて、特殊切削工具の成形・製作に力を入れてまいります。特殊切削工具製作需要は、再研磨需要同等に大きなものであり、多品種の特殊切削工具に短納期で対応することで受注を確保していくことが可能と考えております。従来対応不能であった難易度の高い特殊切削工具の製造が可能になったことで、顧客の幅が着実に広がってきており、この動きを確かなものとして基盤の強化に努めてまいります。

 

4 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当期末(平成20年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業の特徴について

当社の最近5期は、一時的な減少はあるものの、比較的順調に推移してきましたが、将来の業績は景気動向や機械業界の動向により影響を受ける可能性があります。 

 当社の事業参入の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、入念な参入準備のもと「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し5年程度で業界での高シェアの確保を目指すというものです。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーにより継続的な受注が可能となります。当社の事業は基本的にリピートオ−ダー中心であり、9年前に新規参入した切削工具部門以外は、積極的な受注活動は行っておりません。営業部門は顧客からの注文を電話、FAXで受け付け、受注内容を製造部門へ伝達することを主業務としております。そのため当社の業績は機械業界の設備投資の状況をあらわす実質機械受注(内閣府発表:電力・船舶を除く)にほぼ連動しております。 

 

① コレットチャック部門について

   当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、自動旋盤による金属の切削加工の大半の局面で使用される消耗品の機械工具で、安定して一定の需要が見込まれるものであります。最近5期の売上高は12億円から16億円程度で推移しております。ただし、今後市場規模が大きく拡大するものではなく、当部門の売上高も一定の範囲内で推移する可能性があります。このところ受注増加傾向にある NC旋盤・一般産業用機械で使用される特殊コレットチャックについても切削加工において材料の保持方法が変わる場合や、特殊コレットチャックにおいて当社の知名度が充分に高まらない場合は、業績に影響を与える可能性があります。  

 また、将来技術革新等により切削工程が不可欠な工程でなくなった場合、当社のコレットチャック部門の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 自動旋盤用カム部門について

   自動旋盤用カム部門は自動旋盤のNC化、円高による製造メーカーの海外進出に伴う量産品の国内市場の減少、多品種少量生産に対応不可能等の要因により、年々減少傾向にあります。今後については、すでに小型自動旋盤メーカーが機械の製造を中止していること、カム式自動旋盤を使える作業員が高齢化していること、多品種少量生産が時代の趨勢であること等を考えますと、今後ともこの減少傾向は緩やかに継続していくものと思われます。

 

 ③ 切削工具部門について

   当社は切削工具部門において工業用刃物の再研磨及び特殊切削工具製造を行っております。工業用刃物の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は平成11年8月に新規事業展開を開始いたしました。  

ただし、当社の想定するほど自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しなかった場合、当社の切削工具部門の売上高は、当社が想定するほど増加しない可能性があります。 
 また、当期から本格的に開始した特殊切削工具の製造は、従来から対応可能なものは扱っておりましたが、特殊切削工具製造に適した高精度研削盤を導入し、徐々に受注へと繋がってきています。ただし顧客に当社の特殊切削工具が浸透しない場合は売上が増加しない可能性があります。

(2) 海外市場依存度について

当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。また、この他に商社を経由した販売もあります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。

 

区分
第14期
第15期
第16期
第17期
第18期(当期)
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
輸出販売高
320,733
18.2
309,453
16.6
326,254
15.7
330,907
15.0
296,331
13.6
国内販売高
1,443,105
81.8
1,549,960
83.4
1,755,685
84.3
1,880,085
85.0
1,890,025
86.4
合   計
1,763,839
100.0
1,859,413
100.0
2,081,940
100.0
2,210,992
100.0
2,186,356
100.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当期末における流動資産の残高は、3,849,721千円(前期末は、3,466,379千円)となり、383,341千円増加いたしました。これは、現金及び預金が254,089千円増加したこと及び有価証券が57,718千円,繰延税金資産が50,729千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定資産)

当期末における固定資産の残高は、3,272,020千円(前期末は3,748,094千円)となり、476,074千円減少いたしました。これは、繰延税金資産が53,302千円増加しましたが、投資有価証券が528,690千円減少したことによるものであります。

 

 

(流動負債)

当期末における流動負債の残高は、246,227千円(前期末は、322,575千円)となり、76,348千円減少いたしました。これは、主に未払法人税等が68,997千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

当期末における固定負債の残高は、259,416千円(前期末は370,832千円)となり、111,415千円減少いたしました。これは、退職給付引当金が14,525千円,役員退職慰労引当金が96,890千円減少したことによるものであります。

役員退職慰労引当金の減少は、当期中に退任した取締役2名に退職慰労金108,910千円を支給したことによるものであります。

 

(純資産)

   当期末における純資産の残高は、6,616,097千円(前期末は、6,521,066千円)となり、95,031千円増加いたしました。これは、当期純利益を487,817千円計上しましたが、その他有価証券評価差額金が224,786千円減少したこと及び配当金の支払が168,000千円あったこと等によるものであり微増に留まりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの分析

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照下さい。

 

(キャッシュ・フロー指標)

 

第17期
第18期(当期)
自己資本比率(%)
90.4
92.9
時価ベースの自己資本比率 (%)
104.0
93.7
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

※当社は、第17期から第18期(当期)まで有利子負債は全くありませんので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績の項目をご参照ください。

 

 

(営業利益)

当期における営業利益は、794,598千円(前期は847,320千円)となり、52,721千円減少し、営業利益の売上高比率は2.0ポイント下降し、36.3%となりました。

 

(経常利益)

当期における経常利益は、822,779千円(前期は948,751千円)となり、125,972千円減少いたしました。これは、営業利益が減少したこと及び営業外収益の有価証券利息、受取配当金が78,077千円減少したこと等によるものであります。

また、経常利益の売上高比率は、5.3ポイント下降し、37.6%となりました。

 

(当期純利益)

当期における当期純利益は、487,817千円(前期は562,075千円)となり、74,257千円減少いたしました。当期は、特別損益の計上はなく、経常利益の減少が当期純利益の減少に繋がりました。

また、当期純利益の売上高比率は3.1ポイント下降し22.3%、1株当たり当期純利益は、32,521円18銭(前期は37,471円67銭)となりました。

 





出典: 株式会社エーワン精密、2008-06-30 期 有価証券報告書